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2009-11-09 第173回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年十一月九日(月曜日)    午前九時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月六日     辞任         補欠選任      川合 孝典君     島田智哉子君      脇  雅史君     山本 一太君      加藤 修一君     谷合 正明君      草川 昭三君     木庭健太郎君  十一月九日     辞任         補欠選任      植松恵美子君     藤原 良信君      徳永 久志君     富岡由紀夫君      姫井由美子君     櫻井  充君      円 より子君     川合 孝典君      森田  高君     自見庄三郎君      米長 晴信君     武内 則男君      大門実紀史君     小池  晃君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         簗瀬  進君     理 事                 大島九州男君                 辻  泰弘君                 平野 達男君                 藤末 健三君                 牧山ひろえ君                 川口 順子君                 西田 昌司君                 舛添 要一君                 荒木 清寛君     委 員                 植松恵美子君                 梅村  聡君                 川合 孝典君                 喜納 昌吉君                 小林 正夫君                 今野  東君                 櫻井  充君                 自見庄三郎君                 島田智哉子君                 下田 敦子君                 鈴木 陽悦君                 武内 則男君                 谷岡 郁子君                 富岡由紀夫君                 友近 聡朗君                 藤原 良信君                 円 より子君                 山根 隆治君                 吉川 沙織君                 荒井 広幸君                 泉  信也君                 加納 時男君                 木村  仁君                 小泉 昭男君                 佐藤 正久君                 世耕 弘成君                 西島 英利君                 橋本 聖子君                 牧野たかお君                 森 まさこ君                 山本 一太君                 若林 正俊君                 木庭健太郎君                 澤  雄二君                 谷合 正明君                 小池  晃君                 大門実紀史君                 近藤 正道君    国務大臣        内閣総理大臣   鳩山由紀夫君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策科学技        術政策))    菅  直人君        総務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣地域主        権推進))    原口 一博君        法務大臣     千葉 景子君        外務大臣     岡田 克也君        財務大臣     藤井 裕久君        文部科学大臣   川端 達夫君        厚生労働大臣   長妻  昭君        農林水産大臣   赤松 広隆君        経済産業大臣   直嶋 正行君        国土交通大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣沖縄及        び北方対策、防        災))      前原 誠司君        環境大臣     小沢 鋭仁君        防衛大臣     北澤 俊美君        国務大臣        (内閣官房長官) 平野 博文君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    中井  洽君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣金融)        )        亀井 静香君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣消費者        及び食品安全、        少子化対策、男        女共同参画))  福島みずほ君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣行政刷        新))      仙谷 由人君    内閣官房長官        内閣官房長官  松野 頼久君        内閣官房長官  松井 孝治君    副大臣        内閣府副大臣   大塚 耕平君        外務大臣    福山 哲郎君        財務大臣    峰崎 直樹君        文部科学大臣  中川 正春君        文部科学大臣  鈴木  寛君        厚生労働大臣  細川 律夫君        厚生労働大臣  長浜 博行君        農林水産大臣  郡司  彰君        経済産業大臣  増子 輝彦君        防衛大臣    榛葉賀津也君    大臣政務官        総務大臣政務官  階   猛君        文部科学大臣政        務官       高井 美穂君        厚生労働大臣政        務官       山井 和則君        厚生労働大臣政        務官       足立 信也君        農林水産大臣政        務官       舟山 康江君        経済産業大臣政        務官       高橋 千秋君        国土交通大臣政        務官       三日月大造君        環境大臣政務官  大谷 信盛君        防衛大臣政務官  楠田 大蔵君        防衛大臣政務官  長島 昭久君    政府特別補佐人        内閣法制局長官  宮崎 礼壹君    事務局側        常任委員会専門        員        藤川 哲史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査     ─────────────
  2. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、去る六日に引き続き、質疑を行います。  平野達男君の関連質疑を許します。櫻井充君。
  3. 櫻井充

    櫻井充君 おはようございます。民主党櫻井充です。  国会議員生活の十一年ちょっと、ほとんど、ほとんどじゃありません、すべて野党生活でございまして、与党慣れしておりませんので御迷惑をお掛けするかもしれませんが、お許しを願いたいなと、そう思います。よろしくお願いいたします。  冒頭、鳩山総理にちょっとお伺いしたいというか、総理の御答弁の中で、民主党マニフェストは四年間でお約束したものだから四年間でこれをきちんと行えばいいんだという趣旨の僕は御発言があったように感じておりますが、医者の私の立場から申し上げれば、慢性疾患患者さんもいっぱいいらっしゃいますけど、急性の患者さんもいっぱいいらっしゃいまして、そういう点でいうと、国民皆さん民主党政権に替わって早急に手だてを取ってもらえるんじゃないだろうかと、そういう期待感が私は随分強いんじゃないかなと。  そういう点から考えると、あの総理の僕は御答弁はちょっと納得できない点がありまして、改めて総理からこの点について御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。
  4. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 与党になられた櫻井充議員に御答弁を申し上げたいと思います。  言うまでもございませんが、マニフェスト、私どもは、民主党としては、国民皆さんに、選挙から選挙の間、すなわち基本的には四年間の間の契約だと、そのように申し上げました。ただ、これは四年間でぎりぎり引っ張って四年目にできればいいと、そのように思っているわけではありません。  当然のことながら、財政の状況もありますけれども、経済状況雇用状況、大変厳しいものがございます。いろんな社会保障部分に関しても急がなきゃならないものもあります。その意味では、やはりできる限りマニフェスト一つ一つ丁寧に、できるだけ迅速に行ってまいりたいと思っておりまして、国民皆様方の御意向なども伺いながら、できるだけ早く実現に向けて努力を申し上げることは当然のことだと、そのように考えております。
  5. 櫻井充

    櫻井充君 私も、地方に住んでいて、地方経済というのは本当に疲弊している状況の中で、リーマン・ショック以降また大変な状況になっておりますので、是非緊急に対応すべき点はきちんと早急にやっていただきたいなと、そう思います。  そこの中で、やはり地域経済が活性化するためには中小企業対策が一番重要ではないのかというふうに、そう思っております。  私も、前々から、条件変更返済猶予と言った方がいいのかもしれませんが、これを早期に実現するべきではないかということを主張させていただいていて、そういう点では、亀井大臣が御発言され、そして実行されているということは、僕は本当にすばらしいことだと思っております。  要するに、竹中さんが作ったルールが余りにめちゃくちゃで、二十年ぐらい前の商慣行に私は戻すだけの話ではないのかなと、そう思っているんですが、亀井大臣の今回の法案提出等に関しての意気込みといいますか、思いを御答弁いただければと思います。
  6. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 議員がかねがね中小企業実態について大変心を痛めておられて、民主党アセスメント法案等々の検討中心になっておやりになった、その中身を私承知しておりますけれども、私は、まさに当面、金融機関がやるべきことをきちっと述べておられると、大変私は敬意を払っておるわけでありますけれども。  この度、議員のそうしたお気持ちも踏まえて、三党合意の中で、金融機関社会的責任をきっちりと果たしていただく、言わばその背中を押すような、そういう法律をやはり作らざるを得ない。これは、本来は金融機関が自主的にやっていくべきことですけれども、残念ながら、前の政権や党のことを、私もかつて自民党におりましたから言うわけじゃございませんけれども、やはり改革という名の下で、特に地域における弱者が金融面において大変ひどい状況になっておることに対して私は議員と全く同じ認識でございますので、早急にこの法案を成立をさせたい。  ただ、私は、総理にもいつもお願いしているんですが、返済猶予と、また金融面での環境を若干整備しても、それだけで地域は助からないと。やはり仕事地域に出していくと。また、その仕事が大企業によって、もうかりもしないような値段で仕事をやらされるというような状況をやはり変えていく。そういう意味では、公正取引委員会等も私は真摯に取り組んでもらいたいと、このように考えて、先日も委員長等においでいただいて、その点を注意を喚起をいたしました。
  7. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  その中で、例えば今回の返済猶予法案に関して申し上げると、情報公開をしますということが盛り込まれているわけですが、そうであったとすれば、我が党がずっと主張してきていた金融アセスメント法案をこれはマニフェストどおりに早急に成立させることの方が私は先ではないのかなと、そう思うんですが、この法案の取扱いについて御説明いただけますでしょうか。
  8. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 議員の御提案は、私は正鵠を得ていると思います。  この度の法案の中では、そうした条件変更を申し出たことに対してのどういう対応を金融機関がしているかということについては、これを公表するという一部処置をとっておるわけでありますが、議員の御指摘のような点については今後前向きに検討させていただきます。
  9. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  これは我が党の最重要政策としてもうここ四、五年ずっと主張してきたことですから、これを実行していただきたいことと、亀井大臣、今回の法律時限立法になっていますよね。私は、この点すごく大きな問題があると思っているんです。  それはなぜかというと、金融機関方々お話をすると、十一月の七日付けで条件変更不良債権じゃないという扱いになりました。しかし、以前は、竹中さんの時代は全部不良債権になると。ですから、これがまた制度が変わってしまうんじゃないかということで皆さん怖くて使えないという、この声が圧倒的に多いわけです。そうすると、今回も時限立法にしてしまうと、またいずれ何かの折に制度が変わってしまって、条件変更したら不良債権になってしまうと。  こういうことになったら、もう銀行は多額の不良債権を抱え、不良債権比率が高いといって批判されることになるわけであって、そういう点で申し上げれば、今回の法律について時限立法にすべき点とそうでないものときちんと切り分ける必要性があると思いますが、その点についていかがでしょう。
  10. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) なぜ時限立法にしたかと申しますと、今のような言わば経済的にもあってはならない状況が続いておるわけでありますけれども、こういう状態がずっと今から続くんだという前提に立てば、私は、中小企業零細企業の方はもうお先真っ暗の中でやっていくということになると思います。私は、これも総理関係大臣にも私お願いしておるんですが、やはりきっちりと経済を上向きにさしていくというそういう努力、ちゃんと借金は返済できると、そういう状況をやはりこの一年できっちりとつくっていかにゃいかぬと思います。  そういう意味では、やはりいつまでも今の状況が続くんじゃないというメッセージを私なりに与える意味において時限立法としたわけでありまして、その時点において不幸にして今のような状況が続いておるとすれば、私はこれを延長をしていくという必要があると思いますので、基本認識においては議員と同じであります。
  11. 櫻井充

    櫻井充君 大臣、私、多分若干一つだけ違う点があるかもしれないと思っているのは、私は積極的に条件変更を行ってくれと今度は逆に中小企業の方にも申し上げているんです。それは何かというと、ここ何年間か、どういう方向に進んでいったらいいか分からないと。そうであったとすると、内部留保して、先の見通しが立ったときに自己資本を、資金を蓄えておいて、例えば建設業界の方であったとすれば、農業の分野であるとか介護の分野であるとか、そういうところに参入するための自己資金を蓄えていくという。僕は、非常に苦しいから条件変更するということではなくて、積極的に自社を立て直していくためにも、僕は、これ使うときにはすごく有用だと思うんです、内部留保金課税が基本的に廃止されていますから。  そういう点で考えると、今の苦しい状況を救済するだけではなくて、前向きな条件変更ということも念頭に置かれるべきではないでしょうか。
  12. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) やはり連立を組ましていただいただけにあって、議員と私は基本認識が極めて似ているということを非常に心強く思います。  議員、この法案を成立させるだけじゃなくて、金融マニュアル、これを全面的に改定いたします。そうして、従来、そうした返済猶予等処置をとった場合、不良債権区分に入れるというようなことをやっておったことは、それは機械的にそんなことをやることはやらせません。そうして、私は、今度作る金融マニュアルは、ある意味において借り手の経営コンサルタント的な、その企業が今後力強く仕事をやっていく上において金融機関コンサルタント的役割を果たしておるかどうかが今後の金融庁検査のこれが眼目だという形で、百八十度金融マニュアル中身を変えますので、また議員からもいろいろとお知恵をいただきたいと思います。
  13. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  諸悪の根源の一つ金融検査マニュアルであるということは、これはもうずっと主張させていただいておりました。特に金融機関側からすると、過剰な引き当てを迫られてしまっている、債権分類によってですね。そのために自己資本不足に陥って、つぶれなくてもよかった恐らく足利銀行まで破綻に追いやられていったという経緯もありますし、たしか東京三菱銀行不良債権の直接償却をやった初年度、六千億ぐらいの利益が出たと。これは明らかに過剰引き当てであって、そういうことを解決していかないと、銀行余力がない余力がないと言っていますが、実態と僕は相当懸け離れていたんではないのかなと、そう思います。  そこの中で、もう一つは、我が党のマニフェストの中に中小企業憲章を定めるということを盛り込ませていただきましたが、これはいつごろまでに制定されるんでしょうか。
  14. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 中小企業憲章についての御質問ですが、お答えさせていただきます。  今御指摘のように、民主党としてはマニフェスト中小企業憲章を制定するということを書かしていただいていまして、私自身も、これは経済産業省としても大変重要なテーマだということで、今いろいろ内部的な議論をさせていただいております。  それで、いろんな御意見を聞きながら、例えば人材の育成であるとか、あるいは公正な市場環境の整備であるとか、今、櫻井議員が御質問された金融円滑化であるとか、もろもろの要素を入れた上で、できるだけ早く中小企業憲章は制定をさせていただきたいというふうに思っております。  ただ、当面は、御承知のような経済情勢でございまして、そういう中で、どちらかといいますと、今、亀井大臣から御答弁あったようなこの厳しい経済情勢の中で、中小企業皆さんにどういう手当てをしていくかというところがどうしても政策緊急性という意味中心にならざるを得ないんですが、しっかりと念頭にございまして、できるだけ早く今申し上げたように検討してまとめていきたいというふうに思っております。
  15. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  小泉総理中小企業を何で守らなきゃいけないんだということを答弁でおっしゃっておりましたが、私の認識は全く違っておりまして、地域経済だけではなくて伝統文化を支えてきているのも中小企業ですし、それからホンダにしてもソニーにしても町工場から始まってあれだけ世界的な企業になっていったことを考えてくると、中小企業育成こそが我が国の経済の再生の切り札の一つになるだろう。そういう点でいうと、この中小企業憲章というのは私は極めて大事な分野だと思っておりまして、是非早急に制定していただくことをお願いしておきたいと、そう思います。  それから、その意味でもう一つは、我が党として、中小企業が大切であると、インデックスの中に中小企業担当大臣を置くというお約束をしているはずであって、私の地元の中小企業関係者方々もそのことに相当期待感を寄せておられました。この中小企業担当大臣に関しては、鳩山総理はいかがお考えでございましょう。
  16. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 中小企業担当大臣という意味におきましては、私ども、まず直嶋経済産業大臣、任命をさせていただくときにこう申しました。指示書の中で、これは資金繰りの問題も含めて、中小企業を総合的に支援をする立場からやってくれということを申しております。それは、必ずしも、今、櫻井委員が御指摘のような担当大臣と総合的、一元的ということではまだ必ずしもないかもしれませんが、まずは直嶋大臣にその思いを伝えてあります。それから、中小企業担当補佐官として中山義活議員に、是非中小企業を守るために頑張ってほしいということは申しております。  このような状況を踏まえながら、私ども、今お話がありましたように中小企業担当大臣必要性も感じておりますので、総合的、一元的に働いてもらう大臣というものを、必要というものをかんがみて考えてまいりたい、そのように思っております。
  17. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  ただ、やはり大臣となって、中小企業専門家大臣が行って閣議決定に参加するか参加しないかということがすごく大きいのではないかというふうに思っておりまして、もう一点申し上げると、例えば今中小企業方々苦しんでいるのは、金融の問題だけではなくて社会保障負担です。  今回は政管健保保険料率が引き上げられるかもしれないやにお伺いしておりますが、本来であれば税金の投入額が全体の一六・四%から二〇%ぐらい投入する約束が、附則で一三%に減じられてきているからこそ保険料が引き上げられ、自己負担が増えてきているわけです。それから、企業年金にしてもこの年金制度が非常に大変でして、であれば、今積立金が百六十兆円を超えていますから、一部取り崩してでもこういうものを対応させていくようなことも大事なことなんだと思っているんです。  そうすると、今の体制で本当に社会保障から全般にわたってできるのかどうか、その点が私は非常に心配でして、そのことを総合的にやっていただくような体制を是非取っていただきたいと思います。
  18. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  政管健保が今度協会けんぽになりましたけれども、その協会けんぽお話の中で、確かに、このままでいきますと、かなり保険料率が上がるということがございます。今おっしゃっていただいたように、これまで一六%少しが国庫負担という約束でしたけれども、一定の時期に一三%に引き上げたという経緯もございますので、一三%ということでお金をマイナスにしたということもございますので、厚生労働省としては、概算要求でその部分軽減策というのも今要求させていただいております。  そして、厚生年金負担でございますけれども、これは積立金を取り崩すべきであるという一つ意見もございますけれども、将来に向けた積立金は貴重なお金でもございます。  いずれにしても、新しい年金制度制度設計の中で、そうしたことも含めて検討をしていきたいというふうに考えております。
  19. 櫻井充

    櫻井充君 税制も大事なんですが、社会保障負担というのは、これは企業利益を出そうが出すまいが皆負担を強いられてくるわけであって、このために倒産しているところも出てきておりますので、是非この点も踏まえて考えていただきたいなと。直嶋大臣、この点についてもう一度、経済産業立場から御答弁いただければと思います。
  20. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 櫻井議員おっしゃるように、総合的に中小企業をしっかり見ていくということの重要性は私も全く同感でございます。  それで、そういう中で、特にこれからのことを考えますと、やはり中小企業経営政策全体をまずどういうふうに後押ししていくかと。特に、やはり海外マーケットへの対応等含めて総合的に後押しをできるようなことを考えていかなきゃいけないと思いますし、例えば、最近、私、アジア各国に時々出張させていただいていますが、やはり、例えばベトナムとかタイ等でも中小企業政策育成重要性ということが言われていまして、例えばそういうところにしっかりと相手国のニーズに協力をしながら日本の中小企業を更に発展をさせていくとか、全体的な政策の何といいますか展開というのがやはり一番その根幹であろうと思っています。それに対して税制とか社会保障の問題が付いてくるというふうに思っていまして、そういう点も含めてもうちょっと悩まさせていただきたいと思っています。  どうもありがとうございます。
  21. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  今、直嶋大臣から中小企業を海外にというお話がありました。ODAのことは最後に聞こうかと思っていたんですが、岡田大臣に、これはお願いでございますというか、今日通告してありますが、昨年度、ODAの調査でドイツ、スウェーデンに行かせていただいた際に、ドイツはそのODAの、仮面をかぶせてと言ったらおかしいのかもしれませんが、中小企業をそこに、インドならインドのODAのために中小企業を連れていっているわけです。もう八百五十社になります。国がまず一番最初に先鞭を着けてあげて、そして中小企業の世界的信用力を付けてあげれば今度は自社で自立していけるようになっていくわけでございまして、日本もそういう取組をしていくべきではないのかと。  あわせて、ODAに対して、今後の日本政府の方針についてお伺いさせていただきたいと思います。
  22. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、委員指摘の点につきましては、ちょっと具体的にドイツの例もよく調べてみないと分かりませんので、是非委員にも御協力いただきながら、どういう運用をなされているのか確認をしてみたいと、いいものであればもちろん採用していきたいというふうに考えております。  そもそもODA予算がかなり今減っておりまして、我々も何とかしたいという思いは強いんですけれども、全体の国の財政状況の中でかなり国際社会における日本のプレゼンスが減っている、その一つの具体例としてこのODA予算が言われております。全体の予算が厳しい状況の中でやむを得ない部分もありますが、我々としてはその額ももっと増やしたいし、増やさなければいけないというふうに考えております。  同時に、それは単なる額だけの問題ではなくて中身の問題でもありますので、ODAに対して様々な御指摘もあります。無駄に使っている部分があるんではないかと、こういうことも言われますので、そういう中身の精査をするとともに、しかし日本の国際貢献という意味で、一定の量的なものも確保しながらしっかりとやってまいりたいというふうに考えています。
  23. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  各国も実は財政決して豊かではなくて、その厳しい中でドイツなりそれからスウェーデンなりはODA予算をきちんと確保しております。それはなぜかというと、自国の利益につながっていくんだという認識があるからです。例えばドイツの方々がおっしゃっていたのは、中国に対してヨーロッパで一番最初にODAで取り組んできていたと、その信用力があって中国に対して輸出入でドイツがヨーロッパでナンバーワンになっていると。つまりは、戦略的にODAを活用してきております。  私たちが、視察団が行った会社は二十二人しかいないソフト会社でございました。ここは麻薬中毒患者さんからの麻薬中毒の離脱を行っているプログラムを開発しているところでして、今度はインドに行って、そのプログラムを使って麻薬中毒患者さんの更生といいますか、その離脱を行っていきたいということを政府として取り組む、そのときに中小企業の技術があって、それを応用していくわけです。  そうすると、私が見ていて感じることは、日本政府なりそれからJICAなりが、果たして中小企業が持っているノウハウというのをどれだけ理解しているのかと。これはお金の問題以上にそのJICAの僕は能力というところが問われてくるんではないのかなと、そう思っておりまして、まずそういう分野をきちんと集約していくところから始めていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。  是非御検討をいただきたいと思いますし、それからもう一点、これも今は違っているのかもしれませんが、ドイツの方に言われたのは、日本のODAの場合に、日本の、JICAの職員なのかどうかちょっと分かりませんが、現地の人たちは非常に熱心に議論をするんだけど、その裁量権が限られていて、最後これでどうですかと言ってほかの国はみんなオーケー出すのに、日本だけはちょっと本省にとか、そういう雰囲気があるんだそうでして、決裁権も含めて現地の人たちにもうちょっと権限を委譲すべきではないかと思いますが、その点についていかがでしょう。
  24. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) まず、今最後に委員おっしゃった点ですけれども、確かに非常に重要な点だと思います。  JICAは緒方理事長の下でなるべく現場主義というモットーを掲げておりまして、様々な複雑困難な課題に機動的に対処するために、まず在外への人員シフトを進めております。そして、在外事務所の再編強化を行って現場の強化を行っているということであります。  外務省としても、国別の援助計画の現地主導での作成、あるいはJICA、大使館が協力して現地ODAのタスクフォースを活用するなど、なるべくそれぞれの現地でのニーズに対応した、そして同時に、素早い意思決定ができるような、そういう仕組みづくりを進めているところであります。  それから、最初におっしゃったことは、なかなか本質的には難しい問題を提起されたというふうに思います。つまり、ODAというのは一体何なのかということです。国益、じゃ、その国益とは一体何なのかと。非常に、日本の企業、産業のためという見方もありますが、同時に、もう少し広く、ODAというものを広い意味での国益というふうにとらえる、そういう考え方も当然あるわけで、その辺をどう考えていくべきかというのはこれ本質的な議論でありまして、私は、余り狭く考え過ぎると結局日本のためにやっているんじゃないかというふうに受け取られてしまったのでは意味がない、やっぱりその国にとって、あるいはその地域にとって必要なことということが私は大前提としてあると思いますので、そこのバランスの取り方の問題であるというふうに考えております。
  25. 櫻井充

    櫻井充君 おっしゃるとおりだと思います。言葉足らずだったかと思いますが、我が国として、やはりODAの理解をしていただくためにはそういう分野がもう少しあってもいいんじゃないかということを申し上げたかったところでございまして、是非その点は併せて検討していただきたいと、そう思います。  それでは次に、先ほどお話がありましたが、金融政策だけでは難しくて産業政策をどうしていくのかということについてお伺いしたいと思いますが、短期の雇用をどうやって確保していくのか、それから中長期的にどの分野を産業の主力としていくのか、その点について御答弁いただきたいと思います。
  26. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) これからの経済成長を担っていく分野ということを念頭に置きながら、現在、鳩山総理のチャレンジ25という意欲的な環境政策、これに関連して先般の総合科学技術会議でも私の方からグリーンイノベーションという言い方をいたしましたが、ある意味での環境に関するいろいろな新規の技術、さらには林業、農業といった、そういう意味でのグリーンという両面での課題、これが一つの柱ではないかと考えております。同時に、櫻井委員、医師でおられますけれども、やはり健康産業といいましょうか、そういった分野について、健康長寿社会の実現という、このことも極めて重要ではないかと思っております。  こういったところを含めて、短期的に言えば、雇用、環境、子供、こういったものを軸にした経済成長の道筋をいろんな関係省庁とも含めて議論していきたいと、こう考えております。
  27. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  これは、ただ、ずっとそういうことが大事ですねと言われているわけですが、じゃ、具体的に一体どの分野をどうしていくのかということがこれからきちんと詰めていかなきゃいけないことなんじゃないのかなと、そう思うんですね。  例えば、私の地元で一生懸命農業をやっている方がいらっしゃって、その方は、米作りには人手が必要ないから、それはだれかに、ほかの農家の方に田んぼを貸して、むしろ休耕田を借り入れて、休耕田で野菜を作っています。野菜を作ると人手が必要になるんですが、ところが価格的に合わない。その方はハウスでトマトもやられていますが、そういう方々、僕はその方と話をすると、地域で大体パートさんで十六人ぐらい、最盛期には二十人を超えるぐらい雇用されているんだそうです。しかし、野菜の価格が結果的には安いがためにパートでしかないと。  こういった努力している方がいらっしゃるわけであって、特に地方では農業なり介護なりが主力産業になってくるのかなと、そう思っているんですが、農業政策に対してもう少し具体的に、どうやって雇用の創出を行っていくのか、それから産業としてどういう位置付けにするのか、農水大臣から御答弁いただきたいと思います。
  28. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) 櫻井委員からの、どうやっていわゆる雇用という立場から農業政策を進めていくのかという御質問だと思います。  農村に雇用を創出をしていく、そしてそれをもって地域を活性化していくということは極めて重要でありますし、今この農水分野も、菅国家戦略大臣の下に入りまして、大きな雇用を創出する分野ということで取組をさせていただいております。  一つは、今農業の持続性を回復することが重要でございますし、それから何よりも、今お話のあったように、農業に従事しても採算に合わないとか、いわゆるこれでは食っていけないとか、そういうことでは困るわけで、ある意味でいえば、成長産業にそれを育てていくということが重要だと思っております。  その意味で、来年から始まります戸別所得補償制度では、農業に意欲のある人たちが、規模の大きい人であれ、あるいは中山間地のような比較的農業条件が悪いところでもちゃんと成り立っていける、しっかりと岩盤部分は補償していく。その意味で、どうぞ多くの皆さん方が、農業の分野にもどんどんと新規の雇用として、新しい従事者として入ってきてくださいというのがこの政策のポイントでもございます。  それからもう一つは、農山漁村の六次産業化ということで、単に今まで、米さえ作っていればいいんだと、消費者のニーズもあるいはこれからの農業の方向、そうしたものも考えずにただ作ればいいという時代ではもうないというふうに思っております。  その意味で、こうした消費者ニーズにも対応しながら、あるいは、今度は作るだけではなくて、加工する、あるいは農村地帯で加工なり流通が共にやっていけるという意味での六次産業化という言葉がありますけれども、そういう六次産業化に向けての応援もしていきたいし、そのことによって担い手が、販路の拡大や地産地消というような形で、自らの創意の工夫によって所得そのものも増えていくと、付加価値のより高いものを作ることによって所得、収益が増えていくというようなことにも是非取り組んで今おるところでございます。  今、緊急の問題といたしましては、農の雇用事業ということで、今約三十六億円ですけれども、こうした農業法人等が新規就農者を雇用する形で受け入れる場合にはそこに対して応援をしていく、補助をしていくという事業もやっていますし、先日発表しました緊急雇用対策では、一部厚生労働省所管の基金も使いながら、更なる雇用創出、就業促進に向けて、例えば、今、はやりでありますけれども、道の駅なんというのがありますが、そういう道の駅の設置でありますとか、あるいは地域ブランドを立ち上げてもらう、この地域ブランドでどんどんと売ってもらうという形にも、そういうことについても是非応援をしながら、農業分野における雇用の確保にも努めてまいりたいと、このように思っております。
  29. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  戸別所得補償政策はよく理解しております。ただし、これは内外価格差を埋めるための制度であって、そうでないものを作っている方々に対しては多分基本的に恩典がないんだろうと思うんですね。ですから、先ほどのように、ハウスでトマトを作っているとか、その方は、夏は田んぼでオクラを作って、冬はホウレンソウを作っている、二毛作をやられているんですが、こういう方々にどういう手だてを取っていくのかというのが今後大変難しいことではないのかなと。例えば今、雇用調整助成金のようなものが企業には出ていますが、農家には多分出ていないんじゃないのかなと。  ですから、例えばそういうお金を回してくださるのか、それとも、例えば農産品に関して見ても、生産者で掛かっているコストを積算した上で価格と調整した分に補てんをするとか、何らかの手だてを取らないと、戸別所得補償政策だけでは残念ながら限界があるのではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょう。
  30. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) お答えをいたします。  櫻井委員、御指摘はまさにそのとおりでございまして、だからこそ今、果樹、野菜等についても、その生産については補助制度がございます。  是非御理解いただきたいのは、戸別所得補償制度は来年モデル事業でスタートいたしますけれども、取りあえず米を中心に、水田作を中心にやりますが、これは単にお米だけを一定の数値目標にとどめればいいという制度ではなくて、実はポツ二の方の、もう一つの自給率を向上させる事業と実はセットなんですね。是非ここを理解をしていただきたいんですが。  今の水田作でいえば、日本の米の需要は約その六割あれば足ります。じゃ、あとの四割の農地は空けたままでいいのかということになるわけで、作らなければあとは補償だけすりゃいいやというのが今までの考え方であるとすれば、私どもは、そうではなくて、一つの大きな柱は自給率、自給率を上げていくと。そのためには、この四割の空いた水田を使って、例えば、今はほとんど輸入に頼っているような飼料米だとか、あるいは、あと小麦、大豆もそうですけれども、そういうものに是非取り組んでください、そちらへ取り組んでいただければ米を作ると同じようにちゃんとした収益が出てくるんです、それも補償しますから是非作ってください、それによってやっぱり自給率を上げていこう、お米ばかりじゃなくて、農業全体を力強い、そしてまた、これからの日本の食料政策の中で、安心して、食料安保と言う人もいますけれども、そういう立場でもしっかり引き継いでいける持続性のある、そしてまた安心できる、安定的な供給も保障される、そういう農業を目指しているということを是非御理解を賜りたいと思います。
  31. 櫻井充

    櫻井充君 農家の方々は、農家の方というよりも、地方は公共事業が削減されて、農業土木の予算も多分削減されることになって、今後一体何で生活していったらいいんだろうかということを本当に悩んでいらっしゃるんですね。であるとすれば、公共事業を減らすものと同時に、農業の分野にシフトしてくださいということであれば、それに合わせてプログラムを組んでいかないと大量の失業者が出てしまうんじゃないだろうかという、そういうことを懸念しております。  大量の失業者が出れば、結果的には生活保護になるのか雇用保険を使うことになるのか分かりませんが、そうであったとすれば、何らかの形で働ける環境をつくってくることが、財政支出上は全く同じですから、ですからそこをセットでやっていかないとなかなか大変になるのではないのかなと。その点は政府全体として御議論いただきたいと思いますけれども、これは菅大臣からでしょうか。
  32. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今農水大臣の方から農業の分野のことについて言われましたが、国交大臣の方からも、これから公共事業全体が少なくなる中で、事業転換というか業種転換を積極的に内閣として考えてほしいということも言われております。  今回、十月の二十三日に出しました緊急雇用対策の中でも、農業に加えて林業を一つの大きな柱にしております。二年前に民主党として、私が中心になって林業再生プランというものを海外の視察も含めてやってまいりまして、直接雇用で十万、川下まで全部含めれば百万の雇用というかなり大規模な提案をいたしております。  実は昨日も、東大の前総長の小宮山先生のお宅でいわゆる断熱のおうちを見せていただきましたけれども、私は、国産材はまだ二割しか国内で使われていません、そういう意味では、国産材を使って、そしてそうした断熱の環境にも貢献できるような形を取っていけば、決して直接雇用の十万と間接雇用を合わせた百万というのは夢ではないと思っております。  特に、林業のことを細かくはもう申し上げませんが、路網がないために切捨て間伐がほとんどになっております。路網の整備といったことは、多少のノウハウは要りますけれども、今までの土木事業とほとんど同じような事業でありますので、そういうものを転換できるように、これは相当頑張って林野庁などにも働きかけてやっていただきたい、またそういうことで今進めているところであります。
  33. 櫻井充

    櫻井充君 林業にしろ農業にしろ、とにかく受皿になる産業をきちんとつくっていかなければいけないので、それをまず検討していただきたいと思います。  そこの中で、後で医療のことについてまとめて触れさせていただきますが、もう一点、そうなってくると、今度はシーズを育てていくということも極めて大事になってくるんですが、どうもその研究開発予算が減額され続けているんじゃないだろうかと。大学の関係者からも言われるんですが、研究予算が削減されてきて困っているんだと。その点については、これは文部科学大臣にお伺いすればいいんでしょうか。今後どうなっていくんでしょうか。
  34. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) 申すまでもなく、資源のほとんどない我が国にとって、経済を支え、そして将来、国を支えるためには研究技術開発が一番の柱であることは言うまでもないと思います。そういう中で、残念ながら、最近、先進国に比べて研究開発に関するとりわけ国の負担分というのが、公的な部分での支える額が、総額そして比率も含めて先進国に比べて劣っている現状に来ていることは間違いありません。  そういう中で、鳩山総理が所信でもお述べになりましたし、私が大臣を拝命したときの指示書においても、世界を科学技術でリードするように位置付けるようにという御指示でありました。そういう意味でも、大変厳しい財政状況でありますが、科学技術に関しては大学の研究を含めて幅広く国がしっかり支えるように、最大の努力をするように概算要求で取り組んでいるところでございます。
  35. 櫻井充

    櫻井充君 今資源がないというお話がありましたが、本当にそのとおりでして、その資源を確保するために努力している機構もあるわけです。例えば、これは文部科学省が所管しております日本原子力研究開発機構というところがあります。ここの僕はグラフト重合という技術がすばらしいと思っているんですが、そのグラフト重合とは一体どういうものなのか、御説明いただけますでしょうか。
  36. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。  委員から事前に御指摘いただきまして、主にはポリエチレンがほとんどだと思いますが、放射線、電子線あるいはガンマ線を照射して、炭素、水素の結合を切ってラジカル化させて、そこに多機能のモノマーをつけて、その高分子自体がいろんな機能を持つようにするという、いわゆるグラフト、接ぎ木の技術だというふうに承知をしておりますが、その中で、御指摘、御案内の研究機関においては、いわゆる金属イオン、希少金属等々が吸着できるような機能の分子を重合させて、モノマーを重合させて、実際に海中あるいはいろんな分野、排水も含めた中での希少金属の吸着等々に利用していると承知をしております。
  37. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっと説明が、頭の悪い私が多分説明した方が簡単でよくお分かりいただけるかと思いますが、まあ繊維にコバルト60を照射して、それで水素と炭素のところを切るんですが、そこにあるイオンを全部結合させるんです。そのイオンを結合するその種類によって吸着するものが全然違ってきます。  例えばスルホン酸基というのを結合させるとアンモニアを吸着いたします。アンモニアというのは、例えば高齢者の方が、例えば人工肛門を造った方と言った方が分かられるかもしれませんが、やはりどうしてもアンモニアのにおいがして外に出られないと。そういう人たちに対して、そこの部分をその繊維でふたしてしまうとにおいを全部吸着するので外に出ないんですね。  それから、そこの切った水素の部分に例えばイソジンのようなものを吸着させると、それでマスクを造るとウイルスをみんな殺してしまうんですよ。  それだけではなくて、実はレアメタルの採取も可能になっておりまして、海水中から今このグラフト重合を使ってウランを採取できるという、これもやっております。ウランの埋蔵量は、平地と比べるとというか、どこかの鉱山と比較するとどのぐらいあるかというと実は千倍ありまして、だから無尽蔵なんですよ。ですから、海洋国家である我が国にとってみれば、そういう技術をもってしてウランを採取できるようにできないんだろうか。  それから、今は草津温泉で膜の開発をやっていますが、スカンジウムという金属を温泉水から取り出そうと、そういう研究もなされているわけです。  こういうことをきちんとやっているところに本来であれば、もっともっといい技術を、多分調べてみればあるんだろうと思いますけれども、そういうところにこそ予算をもっと戦略的に付けていくべきではないのかなと、そう思いますが、これは総理に御決意をちょっとお願いしたいなと思いますが。
  38. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今お二人のやり取りを伺いながら、さすがだなと思って拝聴しておりました。この内閣、私も含めてでありますが、工学系の大臣が四人もおるというのは空前絶後ではないかと、そのようにも思っておりまして……(発言する者あり)いやいや、絶後は分かりませんですね。今修正いたします。その特徴はやはり生かし切りたいと、そのように思っております。  戦略的に、まさにこれからの日本にとって大変重要なレアメタルを始めとして、そういった金属、鉱物などをもっと例えばしっかりと研究できるような方向性をつくり上げていきたいと。レアメタルの話で申し上げれば、私ども海外から買ってくるみたいな話もありますが、ある意味で、都市鉱山というか、日本がある意味で一番レアメタルを現実に有している国でありますので、そういったものの再資源化をどのように図っていくかというようなことも含めて、それから、まさに世界の六番目の海洋国家であるという立場から、海洋資源の開発に向けて、戦略的な立場からしっかりと研究を進めていけるように、私としても精いっぱい頑張ってまいりたい、その決意を申し上げさせていただきます。
  39. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  今、中国は本当に戦略的にレアメタルであるとかレアアースであるとか、その資源を押さえにかかってきています。オーストラリアにも多額な投資を行っていますが、これとてすべて同じことであって、日本が例えばエコカーであるとかエコ家電であるとか、そういうものを幾ら開発していったとしても、川上を全部押さえられてしまっては日本の技術が生かせないんではないのかなと、そういうふうに思います。  ですから、今の都市鉱山のお話がありましたが、それの再利用を推し進めていくとすれば、これはかなり戦略的に投資をするべきではないのかなと、そう思いますが、ここは菅大臣の方から御答弁いただければと思います。
  40. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 科学技術についてはもう今総理から言っていただきましたように、やはり日本にとっては最大の戦略的な重点を置かなければいけないところだと思っております。  今言われました都市鉱山といいましょうか、既にいろいろなものに使われているレアメタルを回収して完全に使えるようにするための仕組みというもの、まだ国家戦略室ではそこまでは考えが至っておりませんが、経済産業省を始め関係の皆さんともそのための議論を始めたいと、今のお話を聞きながら考えたところであります。この問題は日本の産業構造全体にかかわる問題でありますので、是非力を入れていきたいと思っております。
  41. 櫻井充

    櫻井充君 是非よろしくお願いしたいと思います。  もう一度、くどいようですが、日本は技術を幾ら開発したとしても資源がなければ何もできないわけですから、その確保も含めてきちんとやっていただきたいなと、そう思います。  その次に、医療の分野について御質問させていただきたいと思いますが、先ほど菅大臣の方から医療の分野もというお話がございました。そうすると、国家戦略局として医療を産業化していく上でどのようなことが必要で、どのような今お考えをお持ちなんでしょうか。
  42. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 先ほど申し上げたのは、これからの研究開発の重点分野として、いわゆる予算等を重点的に配分する研究分野として大きなもう一つの柱が健康長寿社会の実現ということを申し上げたところであります。  これを展開するのにどうすればいいかというのは本当に大きな課題でありまして、国家戦略室という大変大きな名前はいただいておりますが、医療制度全般にわたる問題でありますので、余り思い付き的なことを申し上げても逆におかしなことになりますので、これは、まさに日本の医療制度全体がかなりいろんな面で行き詰まっておりますので、それを、櫻井議員の知見もいろいろお聞かせをいただいておりますが、そういう中で改めて日本の医療制度の根幹の在り方を議論する時期に来ているのではないか、厚労省中心になると思いますが、そのように考えております。
  43. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、厚生労働省ということなので長妻大臣にお伺いしたいと思いますが、これまでの政府の方針では社会保障費の伸びの抑制を二千二百億円行ってくるという方針を立てておりましたが、これは大転換するんだろうと思いますが、まずその決意と、それから今後の医療費はどういうふうになっていくのか、その点について御答弁いただけますでしょうか。
  44. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えを申し上げます。  今おっしゃられたように、前政権の中で社会保障の伸びを機械的に毎年毎年二千二百億円削ると、これがいろいろなほころびを生んだというのは事実だと思っておりまして、この政権では機械的な削減というのはいたしません。  そして、今お話がありましたように、医療全体を見ますと、GDPに占める医療費の割合、比率というのは、OECD先進国の中でも低い部類に入っております。そういう意味では、やはり先進国並みの医療の経費を掛けた水準を維持することも必要である。医師の数も人口千人当たり二・一人ということで先進国の中でも非常に少ない方であると、こういうこともございますので、医療全般の制度の問題もございます。そして、先ほど産業政策という問題も、今介護ロボットの開発、あるいは検査機器の内外価格差の問題、薬価の問題などなどございますけれども、いずれにしましても、やはり先進国並みの医療の水準ということについては私どもとしては目指していきたいと考えております。
  45. 櫻井充

    櫻井充君 私は、長妻大臣思いと同じで、できれば早急に対GDP比でいえば一〇%ぐらいまでには引き上げていただきたいなと、そういうことをしていかないとなかなか大変ではないのかと、そう思っているんですが、具体的数字を言うのは大変かもしれませんが、この点についていかがでございましょうか。
  46. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  やはり中長期で考える問題だと思いますけれども、いずれにしましても、医療費については、少子高齢化という現実もございますので、これは、きちっとした医療をするには公的な資金も含めて投入額を増やさざるを得ないというのはもう事実でございます。ただ、数値目標につきましては、これは財政当局とのお話もございますので。  ただ、いずれにいたしましても、そしてもう一つは、その絶対金額もさることながら、配分の問題ということで、診療報酬をどこにどう配分するかと。これも今ほころびが見えている部分に重点配分すると、こういう総合的な考え方を持って医療を立て直していきたいと考えておりますので、御指導を今後ともよろしくお願いいたします。
  47. 櫻井充

    櫻井充君 それでは、今財政当局というお話がございましたので、財務大臣、医療費は増額していただけるんでしょうか。
  48. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) 私は、経済政策とか財政政策というのは国の資源配分の問題なんですね。国の資源配分のときに、今までのやや高度成長的な大規模公共投資中心の資源配分から変えていこうということで、今、櫻井さんも属しておられる民主党はやっておられるわけですね。  そこの一つがやっぱり医療の問題でありますね。それから介護の問題でありますね。そして、さっきから出ているような農林業の問題がありますね。それからもう一つ櫻井さんの言われた大事な点は、何にも資源のなかった日本がここまで来たのは日本人の英知なんですね。それは要するに先端技術なんですね。だから、それもやっぱり育てていかなきゃならない。そういう資源の再配分をしなきゃいけないというふうに考えております。  したがいまして、私は、医療というものも資源再配分のこれからの非常に重要な対象だと、まず申し上げておきたいと思います。言葉を換えて言えば、これからはやっぱり福祉経済、あるいは地域経済、こういう言葉でいいのかもしれませんが、そういうこと中心の社会に持っていきたいと、このように思っております。
  49. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  小泉竹中改革の時代は、医療費の増額は国家財政を圧迫する悪者であるかのように言われていますが、その点については財務大臣はいかがお考えでしょうか。
  50. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) 今お答えしたとおりでございます。  ただ、これだけは申し上げておいた方がいいのかもしれませんが、これは党派を超えまして、今の財政について国債市場のことを皆さん取り上げてくださいましたね。つまり、ボンド市場です。ボンド市場の話は大事なんですね。これが野方図になったときに日本の国というものに対する評価が国際的に下がると、このことだけは常に頭に入れておきたいと思っております。
  51. 櫻井充

    櫻井充君 ただ、イギリスではどうなったかというと、(資料提示)世界の国々でどういうふうになってきたのかというと、ブレア政権が発足いたしました。ブレア政権が発足する前は、サッチャー政権で財政再建で医療費を大幅に減額して、例えば入院が必要だと言われた方で入院待ちの方が百数十万人になった。それから、がんだと診断されてから手術まで半年から一年待たされるということが当たり前になって、そのために政権交代が行われたんではないか、その要因の一つだというふうに言われています。  ブレア政権発足後、この一番上の青いところが医療に関する税金の投入額ですが、大幅に増やしております。倍ぐらい投入額を増やしてきているんですが、じゃ国家財政は悪くなったのかというと、このグラフからお分かりのとおり、全く悪くなっていないか、むしろ対GDP比でいうと財政状況はいい方向に向かってきております。ですから、私は、今まで言われてきているようなことには当たらないんではないのかなと。  それからもう一つ。どうしているのかというと、ブレア政権で五年間でどうなったかというと、雇用が医療産業全体で平均すると二〇%ぐらい増えてきていると。今の勤務医の激務の状況を考えてくると、医者だけではなくて、激務のことを考えてくると、こういう医療のスタッフとかそういった人たちももうちょっと増やしてきていいんじゃないかと、そう思います。  ですから、我々は、医療費を増やして、医者であるとかそれから歯医者であるとか、そういう人たちの取り分を増やしたいということではなくて、雇用の受皿にもなっていくんではないのかなと、そう思っておりますが、この点についてはどうでございましょうか。
  52. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  おっしゃられるように、イギリスではブレア改革で医療費がかなり投入をする、GDP比でもかなり比率が上がったということでございます。  そういう意味で、おっしゃられるように、日本におきましても、やはり雇用という面から見ても、医療のみならず介護、特に介護というのは有効求人倍率がいまだに一以上という人手不足の分野でもございます。医療におきましても、例えば医療クラークといいますか、医療の事務、お医者さんはいろいろな書類を書く時間が大変取られているということで、それを補佐する人などなどについてもこれから取り組んでいきたいというふうに考えております。
  53. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) 先ほど申し上げました福祉経済に持っていきたい、地域経済に持っていきたいということは、これは当然それを前提とした雇用の増というものを考えての上のことを申し上げたつもりでございます。
  54. 櫻井充

    櫻井充君 政権が替わったんですから、是非医療の分野についての方向転換をしていただきたいということを申し添えておきたいと思います。  それからもう一つ。私は医療が充実した方がいいと思っているのは、年代別の個人の金融資産の残高でして、これを見ていただくとお分かりのとおり、日本人全体で金融資産が一千四百七十三兆円でございます。世代別に見ると、七十五歳以上の人たちでも二百兆円を超える金融資産を所有されている。五十五歳からの刻みで五歳刻みでも、ほとんど平均してみると二百兆円ぐらいの金融資産を保有されておりまして、その理由を調べてみると、お手元に資料があるかと思いますが、一番が六九・二%で病気や不時の災害への備えでございまして、二番目が六〇%で老後の生活資金ということになっております。  この点を踏まえてみても、経済が活性化するためにはお金が循環していくシステムをつくらなければいけないわけであって、そうなってくると、やはり医療であるとか介護の分野を手厚くすることによって高齢者の方々に安心を伝え、そして、その上でお金を安心して使っていただけるような環境をつくっていくべきではないかと、そういうふうに思っていますが、長妻大臣、この点に関していかがでしょう。
  55. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  本当におっしゃるとおりだと思っておりまして、今までの発想でありますと、医療、介護などにつきましてはコストというふうにとらえがちですけれども、これは未来に対する投資という発想を持って、年金もそうでございます、将来の不安を取り除いていく。国が、あるいは地方自治体も含めて最低限度の保障がきちっとなされている日本であると、こういうことが国民皆様方の安心を生んで、ひいては消費にもいい影響が出てくると、そういう意味では投資ととらえる発想も重要であるというふうに考えております。
  56. 櫻井充

    櫻井充君 そこで、長妻大臣にお願いがあるんですが、皆さんに、僕は地域回ったときに医療費って入院するとどのぐらい掛かると思われますかと聞くと、百万円とか、もう多い方だと一千万ぐらいでしょうかという方もいらっしゃるんですね。  日本には高額療養費制度というのがあって、所得五十三万円以下であれば、大体八万円もあれば基本的には入院医療費が済んでしまうわけですよ。そういうことをもう少し、きちんとしたこれだけすばらしい制度があるんですから、そのことをもう少し国民皆さんに伝えるべきではないかと、このことを早急にやるべきではないのかなと。済みません、これ通告していませんが、この点についていかがでしょう。
  57. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 確かに、この日本の皆保険というのは世界にも誇れる制度であるわけでございますけれども、最近はほころびが見えているのも事実でございます。ただ、負担も含めて非常に制度というのがメニューはたくさんございますので、それをきちっとこれからも周知をしていくという努力はしていきたい。  ただ、後期高齢者医療制度に見られますように、一部の方々を一グループにする、後期高齢者という名前を付けるという世界に類を見ない制度も始まったということもあって、国民皆さんの不安が高まっているということもありますので、その不安を払拭するために今後とも取り組んでいきたいと考えております。
  58. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  じゃ、今大臣から後期高齢者の医療制度の話が出ましたので、後期高齢者の医療制度というのは一体どこに問題があるとお考えでしょうか。
  59. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 一つ最も大きな問題といいますのは、七十五歳以上という方々というのは、これは病気にかかりやすい方々であると、病院に行く回数が多い方々である。そういう方々一つのグループに分けて、しかも一つの保険にしてしまうということは、これはだれが考えても分かることですけれども、そのグループの保険料というのは急上昇すると、ほかの世代に比べて。そういう問題点が一つ大きくあると。  そして、もう一つの問題は、後期高齢者医療制度が導入と同時に七十五歳以上の方だけに対する診療報酬体系というのができて、それが非常に不安を、医療が削減されるんではないかという不安を生んだ。そして、国保から後期高齢者医療制度に移ったときに、例えば人間ドックの助成金が打ち切られるとか健康診断が不十分になるとか、そういう七十五以上の方だけを一つのグループとして、そこを集中的に医療費を削減するかのような、そういう問題点があったということであります。
  60. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。  私は、正直に申し上げて、一番大きかったのは、七十五歳以上の方が差別されるような医療を受けざるを得ないような環境をつくってしまったからだと、そう思っています。  例えば、それこそ評判が悪くて廃止になりましたが、七十五歳以上の方だけ延命治療を受けるか受けないかを尋ねられるとかですね。これは何をもってして延命治療とされるのか、全く私たちには理解できません。人工呼吸器を付けるとまるで悪者のように言われていますが、私は呼吸器科、循環器科の医者として何回も人工呼吸器を付けましたし、それから、何回も離脱といって外すこともできて、ですから、そういう点でいうと、何が延命治療なのかと、それから終末期医療なのかということが定められる前にこういう制度を導入したことが僕は最大の問題だと思っているんです。  この後期高齢者の医療制度を何年間か掛けて検討されるようですが、取りあえずのところは、この差別されている部分はすぐにでも解決できるんですから、ここはなるべく早くに、これとは、今の制度設計とは全く別に、まず差別している部分だけ解決される、やめるということにはできないんでしょうか。
  61. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今言われたのが、診療報酬体系における七十五歳以上の方だけを一つのターゲットにした体系というのが幾つかございます。その中の一つが終末期の相談料ということで今おっしゃられた部分。そしてもう一つは、例えば七十五歳以上の方が入院が長引くとどんどんどんどん診療報酬が下がって、病院としては早めに出ていただくと、こういうような格好になる可能性のある入院基本料というのも七十五以上の方だけに始まりましたので、そういう診療報酬で直せる部分は平成二十二年度をめどに私としては廃止を目指していきたいと考えております。
  62. 櫻井充

    櫻井充君 ここが僕は一番大きな問題だと思うんですね。ですから、そこの点だけ、今大臣から二十二年度、来年度ということになるんですよね、是非きちんと制度を変更していただきたいなと、そう思います。  それで、併せてこれはお願いしておきたいと思いますが、今回、病院に対して入院の基本料から含めてどうも引き上げられるやに私はお伺いしておりますが、この入院医療費、というか入院を支えてきているのは、実は中堅、中小の病院もまさしく最前線で頑張っておられるわけです。これは大病院、それから三次救急をやっているところではなくて、二次救急をやっているところが相当疲弊しております。ですから、この分野についても是非手厚くしていただきたいことと、それから、高齢者の今の医療が闘って治してくる医療からみとりの医療という概念が生まれてきて、医療の質が変わってきております。  そういうことから考えてくると、今までは有床診療所を廃止するような方向の保険点数を付けてきていて、開業の先生方、皆さんおやめになっているんです。もう入院の二か月目ぐらいになると、ちょっと正確な数字忘れましたが、たしか一か月で十六万程度しか収入がないと。そうなってくるとカプセルホテルと同じぐらいなんですよ。これ、病院スタッフが全員いて、そのような診療報酬ではとてもやっていけないですね。  ですが、今の地域医療を見てくると、大病院からじゃ出てくださいといった後に行く先がないんですよ。その点でいうと、私は有床診療所などをもう少し手厚くして、これは要望ですから政務官は結構です、これは要望ですので、それはきちんと検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  63. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今の要望をしっかりと考えていきたいと。この中医協という、診療報酬をどこに幾ら分配するのかという審議会でございますけれども、メンバーも替わり、もう既に議論が始まっておりますので、またそういう部分についても御指導を賜ればと思います。
  64. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。是非、現場の様々な声を聞いた上で医療政策をつくっていただきたいと、その点について要望しておきたいと思います。  それから、新型インフルエンザ対策についてお伺いしておきたいと思いますが、ワクチンの接種回数についてでございます。このワクチンの接種回数は、WHOではどのようにするべきだというふうに勧告、勧告というか方向性を決めているでしょうか。
  65. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) WHOにおきましては、成人については原則一回でいいんではないのかということでございますけれども、ただ、先進国でもありますEUにつきましては二回というお話も出ているやに聞いております。
  66. 櫻井充

    櫻井充君 今私がお伺いしたのはWHOであって、WHOは基本的に、これは妊婦さんであってもだれでも一回で取りあえずいいんじゃないだろうかと、そういう方向性が出されているわけです。厚生労働省も、最初は一回で取りあえず様子を見ていこうかという話になっていたのが、いつの間にかそこが変わってきたやにお伺いしております。  今、インフルエンザ、これは大臣どうお考えか分かりませんが、我々がちょっと想定していたのと違ってきているんじゃないだろうかと。例えばどの点が違っているのかというと、若年者に圧倒的に多いと。特に子供さんたちに多くて、普通は子供が感染してくると親が感染して、それが蔓延する原因になっているんですが、親がほとんど感染してきていないということを考えてくると、随分違ってきているんじゃないだろうかと、我々の思いとですね。そういう点で、厚生労働省でも分析されているようですが、なぜ若年者に多いというふうに考えられているんでしょうか。
  67. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  今、インフルエンザワクチン、新型でございますけれども、一回接種、二回接種のお話でございますが、厚生労働省といたしましては、基本的に今決めておりますものが、二十代から五十代のインフルエンザ患者の診療に直接従事する医療従事者は一回というのは確定して通知を出させていただいております。そして、十三歳未満のお子様については二回ということを確定をして通知を出させていただいております。それ以外の方につきましては、今臨床検査をしておりまして、十一月中旬あるいは十二月下旬などをめどにこれから方針を通知をしようというふうに考えているところでございます。  そして、今若年者の話がございましたけれども、実際、おっしゃられるように、若年者の方についての重症の事例も多く報告をされているところでございまして、そういう意味では、この新型インフルエンザは多くの方が免疫を持っておられないということでございます。特に若い方が多く重症化しているのは免疫が特に低いということも一つ考えられるとは思いますけれども、これから治験を集めて更に分析をしていきたいというふうに考えております。
  68. 櫻井充

    櫻井充君 ちょっとこれは検討しておいていただきたいなと思うんですけれども、若い人、僕ら今医者仲間で話をしているのは、どうも交差抗体なのかどうかよく分からないけれども、我々が既にこのインフルエンザにかかっているわけではなくて、ほかの病気にかかった際に持っている抗体が働いて病気にならないんじゃないだろうかという、そういう議論をしておりまして、ある総合病院では、医療従事者に来る予防接種の本数が全然足りないものですから、じゃだれから打っているのかというと、若い医者、若い看護師さんから最初に接種しております。だから病院長が一番寂しそうな顔をしているんです、自分に回ってこないものですから。  ですが、今までの優先接種が高齢者であったかに思いますが、厚生労働省のデータを見せていただいても基礎疾患の有無で全然違ってきていることから考えると、むしろその基礎疾患のある高齢者の方々は優先的にやらなきゃいけないんですが、もう一つは、若年者の方が、例えば二十代、三十代の人たちの方が大事ではないのかな。それから、受験生の方々が私たちは一体どうなるんだろうかという不安を抱えているところも考えてくると、むしろその世代に先に接種をするようなことも御検討いただきたいなと、そう思いますが、大臣、いかがでしょう。
  69. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  厚生労働省としては、先般、地方自治体の皆様、医療機関に対して、今の優先接種の順位は変えないものの、一歳から小学三年生までの皆様方については早めの接種をお願いをしているところでございます。そして、基礎疾患を有する方々につきましても、中学三年生までの方については優先的な接種をお願いしているところでございます。  そして、今御指摘の若者に対しての接種でございますけれども、基本的にこれからワクチンを順次接種をしていくということでございますけれども、インフルエンザの患者さんの発生状況などを今サーベイランスしておりますので、その結果も見ながらこの優先順位の検討をしていきたいというふうに考えております。
  70. 櫻井充

    櫻井充君 よろしくお願いします。  治療方針というのは、我々現場にいて変わってくるのはこれはもう当たり前のことですので、その状況を見て御判断いただきたいなと、そう思います。  それから、現場の医療の先生方が相当御苦労されていて、小児科はもうパニックになっております。そこで、予防接種はほかのところで今できるように御検討されているようですが、むしろきちんと呼びかけてほかの医療機関でできるようにするべきではないかと。病気になっている子供さんたちは小児科で診療するけれども、予防に関して言うと、ほかの例えば内科とかそういうところに是非行ってもらうようにするとか、何らかの工夫をしていただきたいと、これは要望さしていただいておきます。  それから、もう一つ現場から上がってきている声は、レセプトのオンラインの問題でございまして、この点について、先日もちょっと平野官房長官お話をさせていただいたので、どのようになっていくのか。  私たちは、地方の声を聞いてくると、高齢者の方々で支えられている部分も随分ございます。例えば、私の地元の登米というところは、七十三歳の産婦人科の方一人しかいらっしゃらないんですね。人口十万弱です。ですから、そういう地域方々にとってみると結構大変な問題なんですね。ですから、できればこのレセプトのオンライン化というのは手挙げ方式にするべきではないかなと、そう思っているんですが、官房長官、この点についていかがでございましょう。
  71. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 議員にお答えいたします。  私も議員と同じ考え方を持っております。といいますのは、衆議院の解散が今か今かと待っておりまして、約十か月近くございまして、やっぱり私は地域の現場から現場の声をよく聞くことが大事だと、こういうことで、私の地元大阪、さらには生まれ故郷の和歌山という地方の方をずっと回らせていただきました。そのときに八十五歳のドクターがおられましたが、そのドクターから、今進めておるやり方では到底医者として、あるいは患者さんに対して医療行為をする時間を割いてレセプトの請求の時間を掛けなきゃならないと、本来、本末転倒していることになるのではないかという強い声がございました。  そういう観点から、私は、レセプト請求のオンライン化という考え方は私は否定はいたしません。そういう方針の下に、やっぱり現場の医療に従事しておられる方々のその気持ちを十分にしんしゃくしながら、過度な負担を掛けない、こんな制度設計にしていくことが非常に大事ではないか、こういうふうに思っておりまして、今先生御指摘ありました手挙げ方式、いわゆる現場から積み上げていくという考え方を私は取るべきであると。具体的なところは専門の厚生労働の方で考えていただいていると思いますが、私はそういう考え方に立っております。
  72. 櫻井充

    櫻井充君 ありがとうございます。是非その方向で検討いただきたいなと。済みません、時間がないので。申し訳ないです。  それから、高速道路の無料化についてお伺いしておきたいと思います。  高速道路がなぜ無料にできるのかというか、この点はちょっと時間がないので私の方からお話をさせていただきたいと思いますが、高速道路は、今まで年金であるとか郵便貯金から借り入れて造っていたからこそ、その返済義務があったので結果的には有料であったと。税金で造ってしまえば高速道路は無料にできるはずです。  現状、民主党で無料化を約束して今後検討しますということでしたが、もう国交省の中で私が野党の時代からちょっと検討していた数字がございまして、これをまず見ていただきたいんですが、(資料提示)これが一例でございますけれども、交通量が三万台以上の区間、これが赤いラインになってきております。これ二万台の部分もございますし、それから収支率七五%の実は資料ももう国土交通省の中に検討してございます。  そうすると、例えばこの三万台以上の区間、その以下の区間を無料にしてしまうということになってしまうと、割と簡単に無料区間が設定できるんではないかと。まあ第一段階として二万台でも結構ですけれども、もうこういう資料があるのですから、マニフェスト約束した無料化は積極的に進めていくべきではないのかなと、そう思っておりますが、前原大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  73. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) マニフェストに書かれております高速道路の無料化というのは、原則として段階的に進めていくということになっております。  その原則としてということの大きなポイントは、まずは首都高と阪神高速については従来どおり料金は取らせていただくと。つまりは、交通量が多いために、こういったところを無料化するとより混雑するだろうと。そういうことに立ちますと、今議員がおっしゃったような、何台かは別にして、どれだけの交通量があるかということは社会実験をしていく上で大変重要なポイントになってくるというふうに我々も認識をしております。  したがいまして、どういったところを一つの目安にして行っていくかは別にいたしまして、また、無料化の社会実験をしていくということになりますと、他の交通機関への影響、そしてCO2の排出量等々、他の影響と、あとはどれぐらいの財政的な予算の確保ができるかといったことも含めて、議員の御提言も重く受け止めながら、社会実験を段階的にやらせていただきたいと思っております。
  74. 櫻井充

    櫻井充君 以前、僕と前原大臣とで一緒に民主党の民営化案をまとめさせていただいて、その後、山崎養世さんから意見いただいて無料化に民主党はかじを切っていくわけですね。その時点で、基本的にはこういう政策でやっていきましょうということになっているわけですから、なるべく早くにやっていただきたい。  というのは、例えば我が県のトラック協会などはもう無料化に賛成だと、そういってかじを切ってくださっているところもいっぱいあるわけですから、そのことに対して約束をきちんと果たしていただきたいなと思いますので、これは御要望だけ申し上げておきたいと思います。  それから、ちょっと時間がなくなってはしょりますが、国の出先機関について原口大臣は原則廃止だというふうにおっしゃっていましたが、この辺の意図、それからその後の措置についてお答えいただけますでしょうか。
  75. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 櫻井委員にお答えいたします。  先ほどから現場という、それから地域の声ということを委員は何回もお話をくださいました。ここの原則廃止、マニフェストでもお約束をしていますが、やはりそこにおける原則は次の三つかなと思います。  一つは、御一緒に国会Gメンやらせていただきましたけれども、情報開示の徹底、情報公開の徹底、ガバナンスの徹底ということだと思います。もう一つは、補完性の原則、行政刷新会議ですべての事業を事業仕分をしようとしています。その事業仕分をする中で、しっかりと地方にできることは地方にやっていくと、このことが一番大事だというふうに思っています。  その上で、私たちは……(発言する者あり)
  76. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御静粛に。
  77. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 原則廃止ということで、それを積極的に地方に移管することで財源やあるいは権限もそれぞれの現場に持っていただく、このことを目指していきたいと考えております。
  78. 櫻井充

    櫻井充君 その原則は分かりますが、そうすると個別具体にきちんと検討していただきたいと思うんです。  例をちょっと幾つか挙げたいと思いますが、日本政策金融公庫という機関がございます。ここは、実は医療や介護の分野、福祉の分野に融資をしておりませんが、それは一体なぜでしょうか。
  79. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) どなたですか。
  80. 櫻井充

    櫻井充君 ここの日本政策金融公庫の所管は財務省になるんでしょうか。これは幾つかの省が合併したんですか。(発言する者あり)じゃ、いいです。
  81. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 質問を続けてください。
  82. 櫻井充

    櫻井充君 済みません、通告してあるんですが。
  83. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 済みません、私が適任かどうか分かりませんが、まず私の方から答えさせていただきます。  医療とか福祉分野は現在のところ、いわゆる一般企業は当然収益を追求すると、こういう整理のとらえ方をされているわけですが、そういう一般的な企業経営とは異なると、こういう扱いになっていまして、したがいまして、厚生労働関連施策を総合的に実施をすると、そういう観点から今委員指摘のような仕組みになっているというふうに聞いております。  私の方からは以上です。
  84. 櫻井充

    櫻井充君 建前は大臣のおっしゃっているとおりかもしれませんが、実際には、結局その医療や介護の部分はどこがやっているかというと独立行政法人の福祉医療機構が担っているために、結局は政策金融公庫の方では融資をしないということになっているんです。  あの当時すべての金融機関が一体化されたわけですから、そうであれば、こういう福祉医療機関も政策金融公庫に私は一緒にしてしまった方が効率的になるんではないか、そして無駄な組織をやめさせることができるんではないのかなと、そう思いますが、これはどなたに。仙谷大臣、じゃ、よろしくお願いします。
  85. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) いよいよあさってから事業仕分という作業が始まるわけでございますが、この独立行政法人福祉医療機構も一体何をやっていらっしゃるんですかと、この現在やっていらっしゃることが、今、櫻井委員が言われたように、他の公的な性格を持つ金融機関でできないんだろうかと、効率的にできないんだろうかと、あるいは民間でできないんだろうかというふうなことを総合的に事業仕分という手法で議論をしたいと、議論の俎上にのせたいと、こういうことにしておりますので、有力ないろんな情報やお考え方がありましたら、私どもの方か仕分人の方に是非情報提供をお願いしたいと、こう思っております。
  86. 櫻井充

    櫻井充君 実はここの機能は私は必要だと思っているんです。病院も今経営が非常に大変ですから。  ところが、ここにある財団法人が融資をお願いした際に、七十八歳の理事長に連帯保証人になれと言ってまいりました。公的金融機関が連帯保証人、しかも七十八歳の方にそれを強いてくるようなところが果たして公的金融機関と呼べるのか。実は担保価値は十分ありまして、民間の金融機関からお金を借り入れておりましたが、保証人すら取られておりません。ですから、そういうような金融をやっているところであれば私は必要ないんじゃないだろうかと、そう思っておりますので、是非これは御検討いただきたいと思います。  一方で、東北経済産業局のようなところは、国として地方経済実態を知るためには私は必要な組織じゃないかと、そう思うんです。ただし、一方で中小基盤整備機構のような、要するに中小企業側から見ると区別が付かないようなところもあるんですよ。こういった分野に関して言うと、むしろ統合してあげた方が私はいいんではないのかなと、そう思いますが、これは直嶋大臣になるんでしょうか。
  87. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 今御指摘の点なんですが、基本的には、国の出先の機関である東北経済産業局と、中小企業基盤整備機構というのは独立行政法人で国が決定したことを実行するという組織ですから、役割、機能が違うというふうに思っています。  ただ、櫻井委員指摘のように、いわゆるそういうたらい回し的な扱いをするとか、こういう部分はやはり組織として改善をしていかなきゃいけないというふうに思っていまして、その点踏まえてきちっとやれるようにしていきたいというふうに思います。
  88. 櫻井充

    櫻井充君 役所側から見れば役割は違うように見えるけど、中小企業家側から見ると何がどう違うのか全然分かりませんので、統合させた方が僕は機能としても十分発揮できるんではないかと思います。  それから、私は国立病院で働いておりましたが、今のブロック事務所というんですか、これは絶対に要りませんね。私が経験上、そこのブロック事務所の不必要性は十分に現場にいて認識しております。ですから、こういうところも是非廃止の方向で検討していただきたいなと思いますが、厚生労働大臣、いかがでしょう。
  89. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) かつては今おっしゃられたように地方医務局ということでございましたけれども、国立病院が独立行政法人に移行すると同時にその医務局がブロックの事務所ということになりまして、それでも二つは減らしたということでございますけれども、今御指摘をいただきましたので、その効率的運用も含めて我々も見直しをしていきたいというふうに考えております。
  90. 仙谷由人

    国務大臣仙谷由人君) 今、中小企業基盤整備機構ですか、元の中小企業事業団だそうでありますが、このお話地方経済局の事業のお話ございました。  櫻井委員おっしゃるように、一番大事なのは、その公共サービスを受ける側がこの事業が必要なのかどうなのか、あるいは使い勝手がいいのかどうなのか、そのことによってどういう効果が生まれるのかということだと思います。  この際、この運営交付金も当然のことながら事業仕分の対象になっておりますので、そのユーザーというか、一般の中小企業の事業者から、この機構の行っているいろんな業務があるようでありますが、それが果たして必要なのかどうなのかというようなことも声を上げていただきたいというか、情報を寄せていただきたいというふうに思います。  それから、医務局の仕事も、これも事業仕分の対象にするように私の方から申し上げます。  私、この間、実はつくづく感じますのは、これ蛇足になるかも分かりませんが、こういう事業要らないとか、こういうやり方駄目だとかという情報を事業者とかあるいはもうちょっと違う立場の人が言ったときに、どうも悪代官のような連中がかなりおってしっぺ返しをする、江戸の敵を長崎で討つと、こういうことがしばしば行われてきたようでございまして、私どもはこういう事例があったら厳しく臨んでいくという態度でおりますので、大いに安心して情報をいただきたい、このことを、今日テレビの中継も付いておりますので、声を大にして申し上げておきたいと存じます。
  91. 櫻井充

    櫻井充君 どうもありがとうございました。  いろいろ今日は質問させていただきましたが、是非、鳩山総理にお願いしたいことは、国民の生活が第一だという公約を掲げて選挙を戦って、我々民主党政権を取らせていただきました。国民皆さんが望んでいるのは、やはり自分たちの生活を何とかしてくれ、早急にここのところを何とか変えられる部分は変えてほしいということが一番でございますので、そこの原点に立ち返って内閣を運営していただきたい、そのことを申し添えまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  92. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 関連質疑を許します。藤末健三君。
  93. 藤末健三

    ○藤末健三君 民主党の藤末健三でございます。  本日は、初めて諸先輩方にこうやって質問をさせていただく機会をいただきまして、本当に政権をいただいたんだなという実感を本当に重く受け止めさせていただいています。  私は、政治の目的は、すべての人たちが笑顔で暮らしていただくこと、つまり平和に暮らしていただくことと考えております。  しかしながら、国内を見てみますと、今、名目経済成長率は昨年度マイナス三・二%、そして今年度もマイナス三%を超えるという戦後最悪の状況です。また、この七月には失業率は五・七%ということで、これも戦後最悪。有効求人倍率も〇・四三と、これもまた戦後最悪で、二人の方に一つ仕事しかないような状況になっております。  また、世界を見ますと、今、アフガニスタンやイラク、ガザといった国際紛争は続き、そして今、一年間に約一千万人の五歳未満の子供たちが、これは約三秒間に一人になります、飢えやそして貧困といった問題で命を落としているという状況。  是非、友愛を唱えられる鳩山総理に、初めに、世界平和、そして一人一人の平和についてどう考えられるかということを教えていただきたいと思います。お願いいたします。
  94. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 藤末委員にお答えをさせていただきます。私の友愛の思い、それがどう平和と結び付くかということでございます。  今お話がありましたように、世界で、特にまた日本でも国民皆様方から笑顔が消えてしまっているという藤末委員お話、そのとおりだと思います。笑顔を早く取り戻せる、そんな日本や世界にしていきたいと。  平和というものは、まさに一人一人、人々が、また全世界のすべての人々でありますが、人々が精神的にもあるいは肉体的にも命が脅かされるような状況から解放される、そういう状況だと思います。そういう状況をつくっていくために必要なことは、私はやはり友愛の精神だと思っておりまして、お互いに違いというものを認め合う、人々が自分たち自身の尊厳というものを保ちながら相手の尊厳、相手の国の尊厳というものも認め合う、そしてそのことによって信頼感を高めていくと。私は、そのことが結局は世界の人々の平和に結び付く、導かれると思っておりまして、その思い、友愛の精神が世界の平和に大きく貢献できる考えだと、基本的にそのように考えております。
  95. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  マハトマ・ガンジーもすべての人の目からすべての涙をぬぐい去ることが私の願いであるとおっしゃっておりますし、また、宮沢賢治も世界が全体幸福にならないうちは個人の幸福はないというふうにおっしゃっています。  私も、やはりこの世界の平和というものをつくるためには、一人一人の方が平和でなければいけないし、また一人一人の方が平和でなければ世界平和もないというふうに考えております。まずは、この世界の平和をつくることにつきまして御質問したいと思います。特に核兵器の廃絶について御質問申し上げたいと思います。  まず頭に、外務大臣にこの核兵器の廃絶についてのお考えを伺えないでしょうか。お願いいたします。
  96. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 挙手をしてからお願いします。
  97. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 失礼しました。  核の問題は、人類が直面する極めて大きな課題の一つだというふうに思います。他の大量破壊兵器については既に禁止をされておりますけれども、核についてはそうはなっておりません。現実になかなか難しい問題があることは事実でありますが、一瞬にして人類を、すべてを消し去るような、そういう能力を今人類は持っておりまして、その廃絶に向けてしっかりと努力をしていかなければいけない。オバマ大統領のプラハ演説というものが人々の心を打ったのも、やはり基本的にこれは人類にとって大きな脅威である、最大の脅威であるという、そういう認識を広く共有されているからだというふうに思っております。  我が国としても、唯一の被爆国として今この核の廃絶に向けて、しかし、これは唱えているだけでは実現しませんから、具体的に現実的なステップを一つ一つ踏んでいかなければいけない、そう思っております。
  98. 藤末健三

    ○藤末健三君 岡田大臣がおっしゃるように、我が国は世界で唯一の被爆国でございます。  実は、私の母は小学校二年生のときに長崎の原爆の雲を見ております。私は、母が見たこの長崎の原爆を必ず人類に使われた最後の原子爆弾にするという責任が我々日本にはあると考えています。  今お手元にお配りしましたこのパネルを御覧いただきたいんですが、これは日本国憲法の前文でございます。(資料提示)  日本国憲法前文には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」と書いてあり、そして一番下の方にございますのは、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とございます。  私は、この日本国憲法にあるように、全世界の国民が核兵器の恐怖から免れるため、また我々日本は全力を尽くすべきだと考えますし、その際に、この憲法にある全世界の国民が平和に生存する権利を有してそれを実現するんだということを、これは日本国憲法の理念であるということを強く国際社会に前面に打ち出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。総理大臣、お願いします。
  99. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) まさに今、藤末委員お話しされましたように、日本国憲法が平和憲法であると、そのゆえがこの前文にもあろうかと思っております。  普通の他の国の憲法を必ずしも十分熟知しているわけではありませんが、日本国の憲法の中に「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」ということを誓うということは、私はこの前文は大変すばらしいと思っております。これ自体が、まさに日本人だけが平和であればいいという発想ではなくて、世界の国民が平和でなければ日本人も満たされない思いをここに書いていると、そのように思っておりまして、その思いが、核だけが脅威だとは思いません、恐怖はまだほかにもあろうかと思いますが、まずは最大の脅威であります核の廃絶に向けて、日本国憲法のこの平和憲法の思いというものを伝える役割を是非とも行ってまいりたい、そのように感じております。  ありがとうございます。
  100. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、岡田外務大臣におかれましてもこの日本国憲法の理念を国際社会で訴えていただきたいと思いますが、岡田大臣、いかがでございましょうか。
  101. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今総理が述べられたとおりです。
  102. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非ともお願いしたいと思います。  私の経験ですと、この日本国憲法の前文などの理念を外交で訴えられている方は余りおられないんですよ。是非、日本国憲法の理念というものから基づき、この核廃絶等を行うことを訴えていただきたいと思います。  また、先ほど岡田大臣からお話がありましたが、この四月にプラハにおいてオバマ大統領が、アメリカは核兵器を使用した唯一の国として行動する道義的な責任があるということをおっしゃっています。我が国は、唯一の被爆国としてこの唯一核兵器を使ったアメリカと協力して核兵器を廃絶する責任があると考えますが、是非とも、今週に予定されているオバマ大統領との協議において日米が共に核兵器を廃絶する具体的な道筋を議論していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  103. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 具体的な日米首脳会談におけるテーマについては、現在協議中であります。  ただ、オバマ大統領も日本にお見えになります。そのときに、日米間の二国間の問題は当然でありますが、それにとどまることなく、アジア太平洋地域における日米両国でできること、そしてグローバルな核の不拡散、あるいは地球温暖化といったグローバルなテーマについても幅広く意見交換ができ、そして世界に向けて発信ができれば、それはすばらしいことだというふうに考えているところであります。
  104. 藤末健三

    ○藤末健三君 鳩山総理にもお聞きしてよろしいでしょうか。お願いいたします。
  105. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 岡田外務大臣が申したとおりでありますが、中身に関しては今私の頭の中に様々あります。当然のことながら、核兵器の廃絶の問題に関して大いに議論をしてまいりたいと思っております。
  106. 藤末健三

    ○藤末健三君 また、この日米協議において、普天間基地問題について移転先に硫黄島も検討していただきたいと思いますが、防衛大臣、いかがでございましょうか。お願いいたします。
  107. 北澤俊美

    国務大臣(北澤俊美君) ただいまの硫黄島のお話につきましては、去る十月二十九日でしたか、沖縄選出の全国会議員の「うるの会」の皆さん方が私のところへおいでをいただいて、その提案を初めて承りました。  硫黄島につきましては、現状を申し上げますと、海上自衛隊と航空自衛隊が四百人弱現在駐屯しておりまして、二千六百五十メーターの滑走路と、それに平行する誘導路、緊急時に使える誘導路があります。そういう意味では一つの条件はあるんですが、一方、沖縄とは千三百八十キロという、ちょうどグアムとの間と同じ距離に位置するわけでありまして、また地質的にはかなりまだ不安定な部分があるということと、それから遺骨収集が毎年まだ行われているというような事情がございます。四、五年前でしたか、那覇市長がこの件について非常に真剣にアピールを行っていろんなところへお話をされたという経過もあります。  いずれにいたしましても、総理の御指示で我々は普天間の移転について様々な選択肢を今検討しているところでございまして、沖縄の全議員皆さん方の御提案ということを十分脳裏に刻んでおきたいと、こんなふうに思っております。
  108. 藤末健三

    ○藤末健三君 日米関係は本当に我が国の基盤でございますので、是非いろんな、様々な検討を進めていただきたいと思います。  核兵器の廃絶に話を戻しますと、私は今年の五月に核不拡散条約の準備会合というものに参加させていただきました。これ、国連で開催されました。この会合に参加していますと、ちょうど四月にオバマ大統領が核がない世界ということをおっしゃっておりまして、来年五月に開催されるこの核不拡散条約の本会合、NPTの会合にオバマ大統領が来るんではないかという話がございました。  そこで、岡田大臣と、そして鳩山総理、もしよろしければお聞きしたいんですが、来年五月にもしオバマ大統領がこのNPT、核不拡散条約の本会合に参加されるならば、我が国もやはり総理大臣など出ていただいてはどうかと考えますが、いかがでございましょうか。お願いします。
  109. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) オバマ大統領が出席をされるかされないかいかんにかかわらず、私としてはできる限り、これは国会日程その他もあろうかと思いますが、出席をすることを個人的には強く期待をしているところであります。
  110. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当にありがとうございます。是非お願いいたしたいと思います。  それで、岡田大臣にお聞きしたいんですけれども、是非、やっぱり日米とかいろんな国が総合的に核廃絶、核兵器をゼロにするということに向かって具体的なロードマップ、道筋をつくっていただきたいと思うんですが、是非岡田大臣の決意をお聞かせください。
  111. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) NPT条約、これは不拡散ということを目的にしたものでありますが、同時に、核を既に持っている国に対して核を軍縮、核を減らすということを求めているものでもあります。したがって、これは車の両輪、それにプラスして原子力の平和利用ということになるわけですけれども、私は、やはり核を持っている国の真剣な核軍縮努力ということも非常に重要なことで、オバマ大統領になって米国政府の考え方がかなり変わってきたことは非常に望ましいことだというふうに思います。  まず米ロ間でしっかりと軍縮を実現していく中で、そのほかの中国やフランスやイギリスといった核保有国に対してもしっかりと核軍縮の努力を迫っていかなければいけない。そのことがあって説得力を持って核の不拡散ということを他の国に求めることができるというふうに思っております。もちろん、現に核を保有しつつあると、あるいは保有しているというふうに言われる国々に対して、それを放棄をしっかりと求めていくことも同時に重要なことであると、そういうふうに考えているところでございます。  そういうトータルとしてやっていかなければいけないことですが、日本としてももっともっと役割を果たさなければいけない。そういう意味で、川口さんとオーストラリアのエバンスさんが中心になって委員会をつくり、ほぼ報告書もまとまる段階になっております。政府の政策と比べると二歩、三歩先を行くものだというふうに私は思っておりますが、そういった報告書も参考にさしていただきながら、日本あるいは日米で核のない世界に向かってしっかり努力をしていかなければいけないと、そういうふうに思っております。
  112. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、鳩山総理の来年のNPTの本会合に参加への意思、そして岡田外務大臣の核兵器廃絶に対する思いは本当に有り難く思います。私は、政治の一つのテーマがやはり核兵器をなくすこと、そして軍備をなくすことでございますんで、是非諸先輩にお力添えをいただき頑張りたいと思います。  特に、我が国は今非常に優秀な原子力の平和利用技術、原子力の発電技術を持っておりまして、それが民間ベースではもうアメリカとすごい密接な関係を持っております。ですから、本当に世界に安全なこの核の不拡散、そして原子力の平和利用ということを進める上でも我が国の役割は非常に大きいものだと思いますので、是非とも日米政府の間でも、この核不拡散、そして原子力の平和利用という問題、そして最終的には核兵器をなくすという議論を進めていただきたいと思いますので、是非ともよろしくお願いいたします。  続きまして、アフガニスタンの問題に移らさせていただきたいと思います。  先月、私はアメリカとカナダに伺ってまいりました。そこでいろんな方とお話をさせていただきましたが、やはりこのアフガニスタン問題に関する我が国の貢献に対する期待、大きいものを感じております。(資料提示)  こちらのパネルにございますように、今アフガニスタンの人々は長い紛争によりもうひどく過酷な環境にございます。こちらのパネルにありますように、五歳までちゃんと年を取れる子供たち、何と四人に三人、四人に一人は五歳までに達せず命を落とされているような状況。そしてまた、紛争で学校はございません、ほとんど。文字が読めるアフガニスタンの方々は四人に一人ぐらいしかいないという状況になっております。  私はこのような中、日本国憲法に、先ほどございましたように、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」という理念がございますが、この理念の下、アフガニスタンの国民が恐怖から免れる、例えばテロリストなどの武装解除、そして今警察がございませんので、警察機構の再構築など、そしてまた、アフガニスタンの国民が欠乏から免れるため、病院や学校、そして水道などを造り、食料を提供すること、また農業の再生など、武力によらない民生分野での貢献を是非やっていただきたいと思うんですが、まず岡田大臣、お願いいたします。
  113. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 日本国政府としては、従来からそういった分野でのアフガニスタン支援ということは続けておりまして、例えば学校建設、五百以上の学校の建設又は修復、それから日本のJICAによる一万人の教師の育成、あるいは三十万人を対象とした識字教育、そのほか延べ四千万人に対するポリオ、BCGのワクチン供与、それから二百万人の帰還民受入れのための仮設住宅、教育、保健、職業訓練などの包括的な支援など、そのほか農業支援とかインフラ整備、様々なことを日本政府としてはやってまいりました。  今日まで約二十億ドル近い支援をしてきたわけであります。この度、その二十億ドルがほぼ使われる状況になりつつあるということを受けて、次なる支援策を今政府の中で検討中でありまして、これは近日中に発表できますというふうに思っております。最終的な調整を今政府の中で行っているところであります。その際にも、従来の考え方を基礎としながら、それに加えて新たなメニューとしてどういったものができるか。例えば、元タリバン兵士に対する職業訓練など、様々なテーマを今検討しているところでございます。
  114. 藤末健三

    ○藤末健三君 鳩山総理にも、もしよろしければこのアフガニスタンに対する武力によらない民生支援についてちょっとお言葉をいただけないでしょうか。お願いいたします。
  115. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今、岡田大臣から申したとおりでございまして、アフガニスタンに対する総合的な支援の在り方をもうほぼでき上がりつつある状況だと申し上げて、そのかなりの部分に対して大臣から説明がございました。  やはり私たちが考えておりますのは、藤末委員お話ありましたように、武力によって果たしてテロというものを根絶することができるのか。今お話がありましたように、テロの根源的な原因の部分、すなわち貧困、大変厳しい環境の中にアフガニスタンの方々が置かれている。その方々から、まさに平和の状況でない、非常に脅かされていると、こういう脅かされている状況から彼らを解放してさしあげるための日本としての役割を積極的に果たしてまいりたい、そのような思いで今支援策を用意しているところでございます。
  116. 藤末健三

    ○藤末健三君 オバマ大統領は、ハーバードのロースクール、法律の学校を出ておられまして、実は憲法を研究されておられました。ですから、是非ともこのアメリカとの、オバマ大統領との協議におかれましては、この日本国憲法の前文にありますような、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」という、まさしく我々の憲法に書いてある理念を私は訴えていただき、先ほど申し上げました核兵器の廃絶や、そしてアフガニスタンの国民方々一人一人が平和に暮らしていただくようにすることが我々の国の理念であるということを訴えていただきたいことをお願いさせていただきたいと思います。  続きまして、東アジア共同体について御質問をさせていただきます。  お手元の資料、パネルにございますように、この東アジア共同体、EU、ヨーロッパ連合が一つのひな形になるのではないかと考えます。このヨーロッパ連合、何と構築には、このパネルにございますように、五十年近くの時間が掛かっている。是非ともこの東アジア共同体の構築についても、共通した歴史観の確立や若者の交流、文化の交流、そして資源の共同管理といったものまで包括的に含めたすごい長期的な、数十年にわたるような計画を示すべきではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
  117. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今委員、EUのことを例に引かれました。五十年近くということですが、その前の鉄鋼石炭共同体の時期も含めますとそれ以上であります。  考えてみますと、そういったEUの中におけるフランス、ドイツが中心になって、二度と戦争をしないという決意を込めてこの試みが始まったというふうに私は理解しておりますけれども、その当時、今日のEUの姿を予想した人はまずいないというふうに思います。  そのことが何を意味しているかといいますと、私は、むしろ余り具体的なものを今から想定するのではなくて、やはりできるところからしっかりやっていく、その結果として将来、私は、EUとは政治体制もかなり異なりますので、異なる国々が含まれておりますので、そう簡単ではないと思いますけれども、しかし、ヨーロッパの試みがスタートしたときに今日のEUを予想した人はほとんどいなかったと同様に、多くのことができる可能性は十分にあるというふうに思っております。  現時点では経済中心に、例えばエネルギーとか環境とか保健とか人の交流とか、そういった分野を手始めに様々進めていくということで、余り長期的な計画図のようなものは作らない方がむしろ私はいいのではないかと、そういうふうに思っております。
  118. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に御指摘のとおりだと思います。ヨーロッパはやはり似たような宗教、同じような文化を持っておられる中で、やっぱりアジアは宗教や文化の違いが大きい、また経済の格差も非常にございますので、岡田大臣のおっしゃるとおり、是非、とにかく進めていただくということも大事だと思います。  ただ一方で、私はこの東アジア共同体の最終的なゴール、最終的なイメージとは何ぞやということはやはりある程度共有化した方がいいんではないかと思っておりまして、例えばEU、ヨーロッパ連合は、これはもう二度と大きな戦いをしないように、第一次世界大戦、第二次世界大戦と数千万人の命を失い、もう二度と戦争をしないということで国境をなくす努力をそれこそ五十年以上されたわけでございます。  私は、一つの提案でございますが、この東アジア共同体も、経済繁栄とそして安全保障といった概念だけではなく、やはりアジアの平和、恒久平和を確立するといったようなものを掲げてはどうかと考えますが、いかがでございましょうか。
  119. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 我々考えるときに、東アジア共同体を考えるときに、もう一つ重要な前提として日米同盟ということを考えております。日米同盟がこの東アジア地域において果たしている役割というのは非常に大きなものがあります。そのことも忘れてはならないことだというふうに考えております。この東アジア共同体ということを考えたときに、私は、安全保障というのは、もちろんその定義にもよりますが、一挙に例えば東アジア地域において集団的安全保障体制ができるなどということは非常に考えにくい状況だというふうに思います。当面、日米同盟ということが非常に重要な役割、この地域における安定的な重要な役割を果たすと、そういうふうに考えているところでございます。
  120. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  総理もいかがでございましょうか。お願いいたします。
  121. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 安全保障のお話も、これは人間の安全保障という方面から、私たち、東アジア共同体の構想というものを一つ一つ実現をさせていきたいと、そのように思っておりまして、その先に、今、岡田大臣が申されたように、ただ単にある意味では軍事的な意味での共同体ということよりも、そうではない形で東アジア全体の平和というものを構築をする。  一番大事なことは、国と国、人々が、あなたは信頼できるね、仲よくしていけるねと、そういう気持ちに自然自然に様々な協力を通じて導いていくことが私は最大の安全保障だと、そのようにも思っておるものですから、その道筋をできるだけ追求をしていきながら東アジアの平和というものの構築に貢献できる、そんな構想に高めていきたいと、このように思っております。
  122. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当にありがとうございます。  実は、また日本国憲法の前文を出させていただきますが、ここにありますように、「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」というのがございまして、ちょうど鳩山総理がおっしゃいましたように、人と人が信頼し合う人間の安全保障という概念が私はこの日本国憲法の前文に入っていると思います。  ここで重要なことは、ここは諸国民ということでございまして、諸国ではないということ。ですから、国と国の信頼というものだけではなく、諸国民国民国民が国境を越えて信頼し合うことがまさしくその安全とそして安心につながるということでございまして、是非ともアジアにおける東アジア共同体、この日本国憲法の前文にございますような、諸国民の信頼をつくるようなものにしていただきたいと思いますが、総理、いかがでございましょうか。(発言する者あり)
  123. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) いろいろやじが飛んでいるようでありますが、気にしないで申し上げますが、諸国民の公正と信義に信頼をしてということは私は非常に重要だと思います。と同時に、果たしてそれが今まさに、やじが飛んでおりますが、この東アジア、北東アジア全体にそれが信頼できる状況になっているのかなっていないのかということが問われているんだと思います。それだからこそ東アジアの共同体のようなものを構想していくことが大変意義のあることだと、そのように思っておりまして、諸国民の公正と信義というものを信頼できるような環境をつくっていく、その状況に東アジア共同体を、見事に構想を導いていきたいと、そのように思っております。(発言する者あり)
  124. 藤末健三

    ○藤末健三君 ちょうど今、自民党の議員の方から北朝鮮を信用するのかというお言葉をいただいたんですが、これは私は、北朝鮮という国では、国ではございません、やはり北朝鮮の国民一人一人が、恐らく戦争をしたくない、平和に暮らしたいという一人一人の国民は私は信用できるというふうに思っております。それは申し上げたいと思います。  なお、この東アジア共同体の構築のかぎである自由貿易協定、FTAについても中長期的な戦略を作成すべきではないかと考えます。現在、我が国のこのFTA、自由貿易協定の全体貿易のカバー率は何と二割以下になっているという状況です。隣の国の韓国は、自由貿易協定のロードマップというものを策定し、貿易の大きなパートナーでありますアメリカやEUとこのFTA、自由貿易協定を締結しておりますが、是非とも国家戦略局でこの自由貿易協定、FTAの戦略をつくっていただきたいと思うんですが、菅大臣、いかがでございましょうか。
  125. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 国家戦略室に大変期待をいただいて、ありがとうございます。  今もお話がありましたように、FTA、さらにはWTOのドーハ・ラウンド、EPA、こういったいろいろな仕組みがあるわけですが、マルチのWTOのドーハ・ラウンドも大変重要な時期に来ておりまして、これを早期妥結を目指すということが一つ必要なのかなと思っております。また、EPAやFTAについても、いろいろ農業分野などで国内の農業にマイナスにならないようにという大きな配慮は必要でありますが、基本的には交渉を積極的に推進していくというのがマニフェストにも盛り込まれているわけであります。  そういった意味で、やはり日本はまさに自由貿易の中で生きてきた国であり、これからも生きていかなければいけない国でありますので、そうした立場に立って努力をすべきだと、このように考えております。
  126. 藤末健三

    ○藤末健三君 菅大臣にはちょっとまたお聞きしたいんですけれども、この自由貿易協定の議論は、例えば農業の問題、あと人の行き来という話がございまして、あと介護士の問題とかで厚生労働省とか、あと金融関係でいうと金融庁、いろんな省庁が関係します。当然、経済産業省。ですから、私は是非とも省庁の枠を超えた全体的な戦略などをつくっていただきたいと思うんですが、それはもう外務大臣に是非ちょっとお聞かせいただきたいと思います。お願いします。
  127. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員指摘のことはそのとおりだと思います。そういう観点から、先般、外務財務経済産業農林水産、この四大臣、そして副大臣で関係閣僚委員会を設けまして、これから定期的に会合を持ちながら全体的な戦略性を持ってこの問題をやっていこうということを決め、先般第一回の会合を開いたところであります。  もちろんその際に、具体的なテーマによってはその他の省庁にも深く関係する問題でありますので適宜関係閣僚にも加わっていただいて、政治主導でこの問題についての解決をしっかりと図っていきたいと。韓国などに比べて非常に日本が遅れているという御認識はそのとおりであります。
  128. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非ともFTAのスピードを上げていただきたいと思います。もう韓国が多分、来年の頭ぐらいにEUとの間のFTAを発動させれば、自動車関税一〇%、大型液晶テレビ一四%の関税がなくなり、恐らく三兆円規模の産業へのショックがあると言われていますので、是非岡田大臣にお願いしたいと思います。  ここで世界の平和の話は終わりまして、一人一人の平和という話についてお話しさせていただきたいと思います。  私はやはり、冒頭で申し上げましたように、世界平和、全体が平和であることは、一人一人が平和に暮らせることが基盤だと考えます。そのためには、すべての人に働く場所、学ぶ場所、そして住む場所といった居場所と出番が必要だと考えますが、まずネットカフェ難民について御質問をしたいと思います。  私、昨年末に菅大臣とネットカフェを視察させていただき、そしてネットカフェの方々が、ネットカフェで住民票が取れないから正社員になれない、正社員になれないからアパートは借りれなくてネットカフェで暮らし続けているというような悪循環の話を聞かせていただき、そしてこれを国会で質問をさせていただき、ネットカフェでも住民票が取れるようにさせていただきました。  まず、このネットカフェ難民、またホームレスの方々に対する対策、どうなっているかというのを、菅大臣、お願いいたします。
  129. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 十月に緊急雇用対策本部を鳩山総理の下につくっていただきまして、私がその本部長代行という立場で緊急雇用対策をまとめたことは御承知のとおりであります。  この中に、私も藤末議員と一緒に出かけたあのネットカフェに事実上住んでおられる人が満員の状態だったということを思い出しながら、やはり職業に就く上では住居というものが前提なんだという当たり前のことを改めて思い起こしていたところであります。  そういう中で、今回の緊急雇用対策の中では、住宅をきちんと住宅のない人には紹介をできるような仕組みが必要だということで、具体的には、今ハローワークでは住宅の支援までは一般的にやらないわけですが、ハローワークに行けば住宅の支援なども含めてワンストップでいろいろな紹介なりができるような仕組みができないかということで、今準備を進めているところです。  実は、自治体にも私からも直接幾つかの県の知事やあるいは大きな市の市長に御連絡をしておりますけれども、かなり快く引き受けていただけるところと、これは生活保護の問題もワンストップでやろうと思っていますので、余り、こういう貧困の人が何か自分の自治体に集まってくるんじゃないかという心配からややちゅうちょされている自治体も率直なところあります。これは全国的にやればいいんですけれども、ハローワークがあるところ、ないところがあるものですから、あるところだけに集まってこられるとその自治体が負担が多いという問題も言われております。  しかし、こういった問題は、いずれにしても日本国民の問題でありますので、何とかそうした協力を得て、昨年末の派遣村のような形を取らなくてもきちっと公的な立場ででもそうしたサービスが提供できるように、これから年末年始に向けても更に取組を強めていきたい、この対策本部として進めているところです。
  130. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、菅大臣におかれましては頑張っていただきたいと思います。  そしてまた、昨年末に家賃を滞納した方々が家賃保証会社からいきなり家から出ていけというふうに追い出されるような、まあ追い出し屋問題というものがございましたが、国会で質疑させていただき、様々ないろいろな動きをしていただくということになりましたが、前原大臣にお聞きしたいんですけれども、今の現状や今後の対策等をお教えください。お願いします。
  131. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) この追い出し問題につきまして、藤末議員が国会での質問あるいは質問主意書などを通じて熱心に取り組んでおられますことに敬意を表したいと思います。  藤末議員の御指摘等もありまして、実態調査を我々はしております。そして、今年の八月から、いわゆるかぎの交換とかあるいは無断の立入りとかそういった行き過ぎた督促行為、こういうものの禁止の明確化などを定めた自主ルールというものを改定をいたしまして業務の適正化に向けての取組を行っているところでありますが、まだ自主ルールの確定だけでは不十分だろうということで、こういったものを法制化できないかということで今検討させていただいているところでございます。
  132. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、法制化も含めて御検討いただきたいと思います。私もずっといろんな話は引き続きお聞きしておりまして、まだまだやっぱり問題が残っているということがございますので、是非お願いしたいと思います。  そこで、やはり雇用で一番重要なことは何かと申しますと、雇用全体の七割を支えてくださっている中小企業対策だと思います。先ほど櫻井議員からも質問がございましたけれども、私は民主党中小企業政策検討チームの事務局長をさせていただきまして、今おられます増子副大臣とも一緒にこの中小企業政策を提言させていただきましたが、この中で中小企業担当大臣というのを提言させていただきました。この中小企業担当大臣に当たるものの機能を是非とも実現していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。お願いします。
  133. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 先ほどの櫻井議員の御質問にもお答えしたというふうに思いますが、今中小企業を取り巻くテーマといいますか、これはいわゆる金融の問題と、それから中小企業経営そのものをどう発展させていくかという経営の問題と、それからあと雇用であるとか社会保障と、こういう問題になるというふうに思っていまして、その中でそれぞれについて連携を取りながら、例えば金融の問題については亀井大臣中心にして連携を取りながら、あるいは雇用の問題については、先ほどお話あったように、菅大臣の下での雇用対策本部に私の方も入りましてそこで議論させていただいているということでありまして、そういう意味で、現在そういう運営をする中でいわゆる中小企業を担当する大臣が必要かどうかということについては整理をしていきたいというふうに思っています。それから、先ほど申し上げたとおり、それと併せて、中小企業憲章の作成を併せて実行していきたいというふうに思っています。
  134. 藤末健三

    ○藤末健三君 直嶋大臣から御指摘ございましたように、中小企業庁とか、あと中小企業金融を担当する金融庁、あと公正取引委員会、厚生労働省、そしてまた中小企業の外国展開に関係するのはやっぱり外務省だと思うんですよ。そういう関係省庁が集まって中小企業対策会議みたいなものを、仮想中小企業担当大臣みたいなことは検討していただけないでしょうか。お願いします。
  135. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 中小企業という立場から見ると、今、藤末委員がおっしゃったような発想になるんですが、例えばさっき例にあった雇用対策でいいますと、雇用が緊急の課題だということで対策本部をつくってそこにメンバーが集まると、こういう形で議論していまして、そういう意味ではその時点時点によって必要なテーマとの関係もあるというふうに思っています。  したがって、要は、そういう運営をする中で本当に中小企業全体を見る大臣なりあるいはそういう受皿的なものが必要かどうかということはよく見極めていきたいと思います。でないと屋上屋をつくっていくようなことになるので、そこら辺はもう少し時間を掛けて判断をさせていただきたいと思います。
  136. 藤末健三

    ○藤末健三君 やはり我々が政権を取らせていただいた一番大きなポイントは政治主導ということでございますので、今までやはり各役所がばらばらだったものを、中小企業政策を統合化することを是非お願いしたいと思います。  そしてまた、私たちのマニフェストには、中小企業向け法人税率を一一%に減税することや、あと政府の調達の一定量を中小企業に割り当てる、義務付けるというSBIR制度などがございますが、このような制度の実施について教えていただけませんでしょうか。お願いいたします。
  137. 峰崎直樹

    ○副大臣峰崎直樹君) 藤末委員にお答えしたいと思いますが、本当に委員は、これまで中小企業問題については本当にしっかりと議論をされ、また中小企業育成努力をされてきたことには心から敬意を表したいと思っております。  ただいま税の問題で、本来であればこれ二二%の中小企業の税率になっておりますけれども、これをちょうど八百万円までは、今は一八%まで軽減しております。さらに、これを一一%、すなわち二二の半分までということで、大体千八百億円ぐらいの減税の規模を要求されているのは、先日、政府税制調査会でも増子副大臣からのお話ございました。  私どもは、これはマニフェストに書かれていますが、実はマニフェストの中には財源を確保しつつというところが入っておりまして、今率直に申し上げて財政状況相当厳しい、特に税収の落ち込みが相当厳しいわけでありまして、是非この点はいわゆる他の中小企業に対する優遇税制の内容なども精査されて、是非その点をしっかりとペイ・アズ・ユー・ゴーの原則で我々も政府税調で議論していきたいなというふうに思っています。  また、御存じのように、まだこれ三割の大体企業中小企業しか実は法人税を支払うところ、つまり赤字法人が七割に達しているということですが、是非、そういった意味でいうと、本当はすべての中小法人が払っていただければいいんですけれども、なかなかそこまで行っていない。むしろ逆に言えば、もっと中小企業対策としては、法人税率の引下げもそうですけれども、中小企業の体力をどのように付けていくのか、こういった点が非常に重要なんじゃないかというふうに思っておりますので、これは政府税調の場でしっかりこれからも議論していきたいと思っております。
  138. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 税制については今、峰崎大臣の方から御答弁がありましたが、私ども経済産業省としては、マニフェストに書かせていただいた政策でありますし、中小企業政策の一番初めに書いた政策でもございますので、その部分は大事にしたいと、こういう思いで、いろんな議論があったんですが、今回あえて税調の方に経産省として要請をさせていただきました。  したがって、今、峰崎大臣からお答えがあった問題とか、あるいはいわゆる法人の場合と個人事業主の課税との関係も若干、累進税率になっていますので、そこら辺の調整もといいますか整理も必要だというふうに思っていまして、そういうものも含めて議論をしたいというふうに思っています。  それから、日本版SBIR制度の御質問ございましたが、御指摘のように、やはり国際的な中小企業の今後の展開も含めてしっかり育成していくという意味で重要な制度だと思っていますが、中小企業の技術力を高めるという観点から技術開発補助金等を中小企業にできるだけ振り向けましょうということで、その支出目標を織り込んだ交付方針を実は毎年予算の後閣議決定していまして、平成二十一年度の金額で申し上げますと千百二十億円、これは補正も一部入っていますが、という金額になっていまして、これまでに比べると大幅に増えているということは間違いありません。  したがって、こういう制度をこれからも充実させていきたいと思いますし、それから、これは出資の部分でありますが、新しい技術なんかを育成するために産業革新機構というのをつくらせていただきました。こちらは、技術ソースでいいものを持っているところに対してしっかり全体的に資金支援していこうということでありまして、そういうものも活用して中小企業の競争力の向上につなげていきたいというふうに思っています。
  139. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、中小企業政策、力強く進めていただきたいと思います。  税制についてちょっと一言申し上げますと、私はやはりこの税制、今まで亀井大臣中心お金の、ローンの借換えみたいな話は整備されつつあるんですけれども、やはり頑張って今この状況でも黒字を出している企業があられます。そういう企業がもっと頑張って、また仕事をつくり雇用をつくっていくことを推進するためには、私はこの減税という措置は非常に大きな力があると思います。恐らく、黒字企業が三割とおっしゃいましたけれども、私はまだ減ると思うんですよ。そうすると、恐らく二千億円掛からなくても私はできるのではないかと思っておりますので、是非引き続き検討をお願いしたいと思います。  そしてまた、何より働くところを、場所をつくるには経済成長が必要となります。  こちらのパネルは、昨年、経済財政諮問会議が出された資料です。(資料提示)これを見ていただきますと、この赤い線が期待される経済成長率となってございますけれども、何と一%ぐらいしかないんですね。このような中、「希望を捨てる勇気」という本も出版されて売れていると聞いておりまして、我々新政権は、是非とも、人々が希望を持てる、希望を与えるような経済成長を示すべきだと考えております。  家計の可処分所得を増やすことや、今まで議論がございました環境への対応、医療、介護、農林水産業などで新しい、新規分野の産業を生み出すだけじゃなく、先ほど申し上げましたように、自由貿易協定によるアジアの市場を開拓していくことや、あと、イノベーション、新しい事業、そして製品を生み出すこと、そして、これから推定では人口、労働力が減っていくから経済成長しませんとなっていますが、まだまだ女性や、あと高齢者の方々、そして外国人労働者の利用とかいうこともできますし、また同時に、一千四百兆円から一千五百兆円あるという家計の金融資産、これがまだ有効利用されていないと思います。  是非とも、菅大臣におかれましては、省庁の枠を超えた総合的な戦略というものをつくっていただきたいと考えますが、いかがでございましょうか。
  140. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 今、私、経済財政担当という大臣も仰せ付かっておりまして、日々その下でいわゆる旧経企庁のスタッフといろいろ議論しております。  私が大変不思議なのは、例えば一兆円財政から何らかの形で支出をすると、貯蓄に回らなければ一兆円だけGDPが上がるというのが何か今の計算方式なんだそうです。ということは、知恵を使おうが使うまいが、何に使おうが、結局一兆円だったら目いっぱいで一兆円しかその効果がないということなんですね。しかし、私が高校時代に、例えば東京—大阪の新幹線、たしか二千億ほど世界銀行から借りて造ったわけですが、多分それは、それを何十倍にも超える投資効果があったと思うんですね。  ですから、私は、どうもそういうこれまでの経済の考え方そのものも私は余り現実に合っていないのではないかと。(発言する者あり)今、公共事業が効果があったというやじも飛びましたが、確かに効果があった時代もあったんですが、多分二十年ぐらい前からはたくさん飛行場を造り、たくさん釣堀のような港湾を造って、結果として、これから将来、十年、二十年先にそれがかつての新幹線、東京—大阪の新幹線のような効果を生み出さないものを造ったために、まさにこの二年間だけ見ても三十兆円ものGDPの低下を招いておりますし、そして、巨大な巨大な財政赤字を累積したことも御承知であります。  そういったことで、今、藤末議員からも言われましたように、これからどういう方向で日本の経済成長を目指していくのか。私は、一つのかぎは、やはり環境鳩山総理の言われたチャレンジ25を軸にした、先ほど申し上げたグリーンイノベーション、環境の問題が一つです。  それから、子供の問題は、これはさらに中期、長期の問題としても、あるいは人口がこれ以上急激に減らないという問題からしても大きな問題だと思っております。  それから、もう既に言われましたけれども、私は、労働人口を逆に増やしていく政策が必要なんではないか。やはりそれには、この子供の問題とも相まって、女性がもっともっと仕事をしやすい状況をつくる。あるいは、六十五歳、七十歳、場合によっては七十五歳ぐらいまで元気な方はたくさんおられますので、そういう人たちに適する週五日ではなくて週三日程度のそういった分野、老老介護という言葉もありますけれども、きちんとそれが仕事になるような形で、より多くの人が働いてより多くのサービスが生まれれば生産が上がるというのが私が少なくとも常識的に考えた経済の原則だと思いますので、そういう形を是非目指していきたいと思っております。  そして、それに加えて、先ほど来ありました東アジア共同体構想といったことの中で、アジアは中国さらにはインドという大変な、あるいはASEANという大変な成長の地域、そばにあるわけでありまして、そういった意味では、例えばゼネコンの仕事が国内でなくなったときには、インドなどでそういったインフラがまだまだ不足しておりますので、そういうところで大いに活躍をできるような環境をつくっていく。  そういう形で、あえて言えば、環境、子供、そしてこのアジアとの連帯、さらには女性と高齢者、こういう形で私はできれば今年中にもこの鳩山内閣としての経済成長戦略をつくっていきたいと思いますので、藤末議員にも是非知恵をお貸しいただきたいと思います。
  141. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、菅大臣には、皆様が希望が持てるような経済成長戦略、頑張れば何か明日が見えるような、夢を是非与えていただくようなことをしていただきたいと思います。  今までいろんな、政府がどう人々を支えていただくかということを議論させていただきましたが、私は一方で、国がすべての人々を支えさせていただくということは負担が大き過ぎることになるんではないかと考えます。ですから、もっともっと人と人が支え合うような政策もつくるべきではないかと考えておりまして、例えば住むところを失った方が、先ほどのネットカフェ難民ではないですけど、例えば友達やそして親族のところに住まわせてもらうときには支援するとか、あと、二世帯住宅を推進する、家族による介護を支援していく、また、地域のNGOなどに会社をリタイア、退職された方が活動していただけるとか、家族や地域で人と人が支え合うような政策検討すべきではないかと考えておりまして、これはまさしく友愛政策一つではないかと思うんですが、総理、いかがでございましょうか。お願いいたします。
  142. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 友愛そのものだと思っております。  今お話がありましたように、大変雇用状況が厳しい中で、住むところも失ってしまう、そういう方もたくさんおられます。そういう方々に、ただ単に官がサービスをしますよという話ではなくて、お互いに官と民が支え合うというか、民が支え合っていくことに官がうまく支援をするという仕組みをつくるべきだと思っておりまして、そういう方向で、多様な生き方ということも含めて、二世帯住宅の話もありましたが、そういうものに対する支援を行うとか、あるいは御高齢の方が家におられる、その介護をしなきゃならない、しかしそれを家でやるのはどうかと、難しい話があります。家でなさるとき、あるいは地域で包括的に支え合うという考え方もあろうかと思います。そういうことに国が支援の手を差し伸べるということによってトータルとしてのコストというものを抑えながら、しかし一人一人の皆さん方の満足度というものは今まで以上に上がるような、そういう施策をつくり上げていくことが大変重要ではないか。まさにそれこそきずなのある社会づくりの政策だと、そのように思っておりまして、重視してまいりたいと思います。
  143. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  そして、あらゆる人が安心して平和に暮らしていただくということのためには、やはり声なき人の声を拾うということが大事だと思います。  パネルを御覧になっていただきたいんですが、これは投票率を世代別に見たものでございます。(資料提示)このように、この表にございますように、投票率を二十代と六十代とを比べますと、投票率に二倍の差があるという状況でございます。  インターネットなどを見てみますと、鳩山総理は非常に若い方に人気があられます、アンケート調査などを見ますと。是非とも、若い方々に非常にアプローチをしていくために、若い方とタウンミーティングを開いていただくとか、あと、今アメリカのオバマ大統領などはツイッターと言われる新しいインターネットサービスを利用して情報発信などを行っていただいていますけれども、是非とも、我が国においても総理大臣を始め閣僚の方々がインターネットなどで情報発信していただいたり、あと若い方々政策を発信していただくようなことをしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。お願いいたします。
  144. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 藤末議員にお答えいたします。  民主党は、インターネット選挙の解禁も法案として出されておりますが、やはり新しい情報ツールで若い方々、主権者の皆さんと頻繁に情報を交換するということがとても大事だと思います。  例えば、ヤフーみんなの政治といったものも藤末議員、大変御努力をくださって、そしてその中でどの議員がどのような立法に携わったかということも今分かるようになっています。あるいは、私たち自身も、SNSやあるいはツイッターというものの可能性について更に議論を深めてまいりたい。  民主主義には多くの学びが必要です。これは大変コストが掛かるという制度だと言われるのも、若いころから教育、小さなころから民主主義の教育ということがとても大事である、このように認識をしております。
  145. 藤末健三

    ○藤末健三君 ありがとうございます。  是非、鳩山総理に、ツイッター等新しいインターネットサービスの活用についてちょっとお考えをお聞きしたいんですが、よろしいでしょうか。お願いいたします。
  146. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私どもの新政権一つの考え方はきずなでございます。同じ時刻に国境も異なり性別も異なるような方々が一瞬にしてつながるようなその世界がまさにツイッターだと思っておりまして、それは大変計り知れない効果があると思います。また、ただ一方で、インターネットには光もあれば影もあると言われております。いろいろと携帯電話の問題なども指摘をされているところもございます。  したがいまして、そのことも考えていかなければならないかと思っておりますが、むしろインターネットのポジティブな部分を積極的に利用しようではないかという試みの一つがツイッターであろうかと思います。  自分自身に果たしてその時間があるかどうかとかいうことになると必ずしも自信がないわけではございますが、しかし、こういったものをいかにして大事なつながるというきずなの部分で役に立てるか、ポジティブな部分も考えてまいりたいと、そのように思っております。
  147. 藤末健三

    ○藤末健三君 是非、鳩山総理におかれてはいろいろ検討いただきたいと思います。  実は、総理がまだ代表であられたころに、インターネット選挙活動を解禁しますよということを、私、携帯で動画を撮らせていただいてそれをネットで流したことがあるんですよ。そうしたら、非常に多くの方々に関心を持っていただいておりまして、本当に自分なりに使わさせていただいて、新しいインターネットの可能性みたいなものを感じさせていただいていますので、是非御検討いただきたいと思います。  そこで、このインターネットの利用、特に若い方が利用されておられるわけでございますが、若い方も利用されておられるわけでございますが、先ほどございましたように、民主党はインターネット選挙活動の解禁をマニフェストに掲げております。  ネット選挙の活動の解禁と申しますのは、若い方々に政治に関心を持っていただくだけではなく、やはり印刷とか郵送といったコストを大幅に削減できるということ、そしてもう一つ大事なことは、今起きていることをネットで即時的にリアルタイムで伝えるというそのリアルタイム性があると思います。  是非、民主党、そして政府と一緒にこのインターネット選挙活動の解禁を次の参議院選挙に向けてするべきだと考えますが、いかがでしょうか。  そしてまた、民主党は──あっ、失礼しました、じゃ、まずこれを質問を申し上げます。お願いします。
  148. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 藤末委員に後で階政務官の方からお答えさせていただきますが、やはりお金の掛からない選挙の実現、あるいは双方向性、それから有権者の政治参加の促進、候補者情報の充実など大変大事だというふうに考えています。  具体的な中身については、政務官来ておりますんで、政務官から答えさせます。
  149. 階猛

    大臣政務官(階猛君) 藤末健三議員からの御質問にお答えさせていただきます。  私も藤末さんと同じようにまだ議員経験の短い若手の議員でございまして、やはり資金力が乏しい中でインターネット選挙の可能性というのは私どもにとっては非常に大事なことかなと。私も、たまたまなんですけれども、藤末健三議員と似たような名前の藤井堅三君という人が非常にインターネットに詳しくて、そういう方に手伝ってもらいながらいろいろとインターネットを通じての広報活動をしております。  そういった中で、今現在インターネット選挙について法律がどうなっているかといいますと、公職選挙法の百四十二条というところ、原則として選挙運動のために使用する文書図画は一定のものを除いて配れない、頒布できないと。その文書図画の中にインターネットのホームページも当たるというのが判例でも確定しています。  そういった中で各党各会派において立法に向けての準備が進んでいるというふうに承知しているところでございますけれども、我々総務省としましても、ITを所管しており、また選挙制度も所管しております。そういった中で、是非この分野については我々の知見も最大限お役立てして各党会派の議論に貢献してまいりたいと思いますので、今後ともこの問題については積極的に取り組んでまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
  150. 藤末健三

    ○藤末健三君 階政務官にもう一つ質問させていただいてよろしいでしょうか。  時期をどうするかということでございまして、是非とも我々は立法府と実際にその選挙活動などを実施する行政府、一緒にこの公職選挙法の改正を目指すべきだと思うんですが、是非次の参議院選挙までに成立させていただかなきゃいけないと思っているんですが、その点いかがでございますか。
  151. 階猛

    大臣政務官(階猛君) 今の点につきましては、今、民主党の中でも、このインターネット選挙だけにとどまらず、選挙制度につきまして戸別訪問ですとかいろんな議論が進むと聞いております。早ければ次の通常国会にも法律が、いろんなものがパッケージになって出てくるというふうにお聞きしております。  その選挙運動のいろんな仕組みについては、まさに選挙という勝負を進めるための土俵づくりにかかわるものでございますから、そういう土俵づくりについてはちゃんと整合性のある形で、一点だけを進めるのではなくて、自由化の方向で行くのであればパッケージとしていろんなものを進めていくのがいいのかなというふうに私どもは考えております。
  152. 藤末健三

    ○藤末健三君 また、このインターネットの選挙活動とともに、やはり投票率を上げるためには、駅前とかショッピングセンター、これは実はもう投票所が置けるようになっております。このような動きがもうございますが、やはり自治体によって偏りがございますので、是非とも総務省におかれましては、駅前投票、ショッピングセンターでの投票所の設置、いい事例をどんどんどんどん各地方自治体に普及していただきたいということと、あと予算の手当てなどをきちっと大丈夫だということを表明していただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。お願いします。
  153. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 藤末委員にお答えいたします。  おっしゃるとおりだと思います。実際にさきの総選挙でも私たちは各自治体選管に助言を、今、藤末委員がおっしゃったとおりの助言をさせていただきました。その結果、駅前で三十五か所新たにできました。そのうちの十二か所は埼玉県なんですね。おっしゃるように、まだ偏りがあります。あらゆる研修の場、あらゆる様々な場を通して啓蒙や御助言をさせていただきたい、そして予算措置も適切に行っていきたいと思います。
  154. 藤末健三

    ○藤末健三君 この駅前やショッピングセンターに投票所を置いた方がいいんではないかということは、実は元々は学生さんのアイデアなんですよ。私は民主党の青年局長というのをさせていただいていまして、それで学生の方々になぜ投票に行かないんですかということをお聞きしたら、もっと便利なところにつくってくれたら行くのにということでずっと質問をさせていただき、やっと広がりつつある状況でございますので、是非、もう若さあふれる原口大臣におかれましては、若い方が投票しやすいように、そして多くの方々がより一層政治に参加しやすい環境を引き続きつくっていただきたいと思います。  最後でございますが、私の政治信条は、すべての人々が笑顔で暮らしていただけるということでございます。本日いろいろ議論させていただきましたが、この友愛という鳩山総理の理念、まだ抽象的じゃないかという話はございますが、私は是非、一つ一つ政策を具体的に進めることにより、そしてこの友愛という理念が明確なものとして私は見えてくると確信しております。  是非、鳩山総理のこの友愛という理念を個別政策で実現していくということにつきまして、決意みたいなものをお聞かせいただきたいと思います。お願いいたします。
  155. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) やはり、新しい日本をつくり上げていくためには、私はそのバックグラウンドに理念が非常に必要だと思っています。その意味で、友愛という理念を掲げながら一つ一つ政策に落としてそれを実現をさせていくと。当然、理念だけで終わっては意味が乏しくなるわけでありますので、その友愛の理念を一つ一つ政策にしっかりと導いていくように最善の努力をお約束をいたします。どうぞよろしくお願いします。
  156. 藤末健三

    ○藤末健三君 本当に、総理、一緒に頑張らさせていただきたいと思います。  私は、今回も申し上げましたように、本当に今国内でもいろんな苦しい状況にあられる方がたくさんおられます。と同時に、やっぱり世界を見回すと、やはりアフガニスタンの方々なども本当に苦しい状況に置かれている。そういう状況にやはり対応できるのは、この友愛という大きな理念を持って、それを全部統合化して我々の政策理念として、そして日本の理念として訴えていくことが必要だと考えます。  是非とも、我々この仲間と一緒に、そして党派も超えて、この国の一人一人の方々が安心して平和で暮らせるように、そして世界中の方々が本当に安心して平和で暮らせるようにしていくことが我々の政治家としての義務だと思いますので、是非これからも御指導をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  157. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。  午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十二分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  158. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) ただいまから予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題とし、休憩前に引き続き質疑を行います。  平野達男君の関連質疑を許します。島田智哉子君
  159. 島田智哉子

    島田智哉子君 引き続き、関連質問をさせていただきます民主党の島田智哉子でございます。  鳩山総理は、先日の所信表明演説の中で、あの夏の総選挙の勝利者は国民皆さん一人一人なのです。その一人一人の強い意思と熱い期待にこたえるべく、私たちは今こそ日本の歴史を変えるとの意気込みで、国政の変革に取り組んでまいりますとお述べになりました。私も与党議員の一人として、これまで以上に緊張感と責任感を持って共に取り組んでまいる所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  総理は、所信表明の中で、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない、それが友愛政治の原点と宣言をされました。  改めまして、その総理がお考えになる友愛政治の原点をお聞かせください。
  160. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 島田智哉子委員から友愛政治の原点のお尋ねがありました。有り難く思います。  私は、友愛という言葉を、自立、それと、共に生かされるという意味での共生、この二つの理念の架け橋だと、そのように考えております。一人一人が、あるいは国もそうですが、もっと自立をする、尊厳を持って生かされる世の中にしていくと。しかし一方では、その一人一人、一人だけでは生きていけませんから、多くの方々、考え方も育ちも境遇も違う方々が共生をする、共に生かされるということの尊さというものをしっかりと認識しなければいけない、そこに友愛の原点があると思います。  特に、共に生かされるという意味においては、いわゆる社会的に弱い立場に立たされてしまっている方々のためにこそ政治はあるのではないか。一生懸命自立しようと努力をして生きながら、しかし簡単ではないねと、一番難しいねと思っておられる方々のところに心が届く、そういう友愛政治。だからこそ、政治というものは弱者のために、あるいは少数者のためにこそあるのではないか、そのように思っているところでございます。  島田智哉子委員もまさにその立場で今日まで政治活動をされてこられたこと、大変私にとっても有り難い存在だと思っております。ありがとうございます。
  161. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  菅副総理にお聞きをいたします。  子育てや教育は個人の問題ではなく未来への投資とする総理のお考えに対して、財政構造を転換していく上で子育てや教育をどのような位置付けで今後の政策をお考えになっているのか、お聞かせください。
  162. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 子育てや教育は個人への投資という、コンクリートから人へというこの鳩山総理の考え方、今まさに財政構造の大改革という形でスタートをしていると認識をしております。  言うまでもないわけですが、日本の人口が二、三年前から減少に転じているわけですが、その傾向はもう二十年ぐらい前から少子化という形でスタートをしていたわけであります。しかし、残念ながら日本の財政構造は、そういったことに関係なく一九六六年ごろから公共事業の比率がGDPの、最盛時は二〇%近くにまで伸びて、それがかなり長期に続いてきたわけでありまして、私は今考えてみると、二十年ぐらい前からもっとそうした子育てを含むところに変更していなければならなかったと、このように思っております。  しかし、遅いからといってスタートを切らないわけにはいかない。そういう中で、まずは子供が育ちやすい環境をつくるために、子育て支援、さらに保育所の充実など、そういったことに力を入れていくことが必要だと。  このことについて、財政の在り方全体について今いろいろと国家戦略室でも基本的な考え方を提示することにしておりますが、当面の問題でいえば、まさに子育てと環境とそして雇用と、この三つの要素をしっかりと押さえた形で、今後の財政運営の柱をそういうものに置いて進めていくべきだと、このように考えております。
  163. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  今の総理、副総理の御答弁を踏まえまして、鳩山内閣が掲げる子ども手当の創設など、子育てや教育への投資に対して具体的にどのようなお考えで政策を生み出していくのか、関係各大臣にお聞きをしてまいりたいと思います。  最初に、今実際に子育てをされているお父さん、お母さん方が大変心配をしていらっしゃいます新型インフルエンザ対策についてお聞きをいたします。  午前中、櫻井議員から、若年者が重症化している問題などの御指摘がございました。長妻大臣からは、自治体に対して子供たちへの予防接種を早めていただくよう要請されたという御答弁でございましたけれども、その要請に対する自治体の対応の現状はどのような状況にありますでしょうか。  改めて、子供に対するワクチン接種について、また医療提供体制など、子供の新型インフルエンザ予防対策について、長妻厚生労働大臣よりお聞きしたいと思います。
  164. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  今おっしゃられたこの新型インフルエンザは、多くの方が免疫を持っておられない、感染力が強いということでございますが、多くの方は一週間以内で治るということもございます。そして、重症化の方はやはりお子さんに多いということで、これ統計を取らせていただきましたが、十一月三日までに入院された方が新型インフルエンザで五千七十二人把握をしております。そのうち十四歳以下の方が八割という数字も出ておりまして、我々といたしましては、先週の金曜日でございますけれども、ワクチンの接種につきまして、優先順位は変えないものの、基礎疾患を有する方は中学三年生までは優先していただきたい、そして一歳から小学校三年生までの方は健康な方でも優先をお願いをしますということで自治体に要請をいたしました。  これ先週の金曜日でございますので、在庫の問題もございまして、今どういうその指示が状況になっているのかを調査をして現状を把握をしていきたい。そして、接種場所につきましても、保健所あるいは保健センターも使って接種もお願いをしますという御要請をさせていただいているところであります。  ただ、ワクチンの数と接種の希望の方々というこの両方の条件を満たしていくということで大変現場でも厳しい取組がされておられますので、我々としても現状を把握して、その都度その都度我々も対応を考えていくということも真摯に取り組んでいきたいと考えております。
  165. 島田智哉子

    島田智哉子君 よろしくお願いいたします。  子供たちにつきましては、その多くが学校などで感染する場合が多く、学校等における対策についても大変重要だと思われます。この点につきまして、これまでの対応状況と今後の対応について、お考えを川端文部科学大臣にお聞きをしたいと思います。
  166. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。  現在、十一月五日現在で、国内で、小学生で疑いも含めまして四名、中学生で一名、高校で一名、残念ながら死亡者が出ております。加えまして、学校の休校としては三百八十五校という状況でありまして、文部省内にも対策本部を設置をいたしました。  予防と感染の拡大防止という意味では、もう当たり前のことなんですが、手洗いとうがい、外出から帰ったときの手洗いとうがいの励行、それから症状が出た場合のマスクの着用、あるいはいわゆるせきエチケットの徹底等々、それから早期の受診、治療、これを教育委員会に対しても繰り返し現場に徹底していただくようにというお願いをまずはいたしております。  加えまして、休業に関しましても、やはりデータを見ますと、例えば連休がありますとちょっと収まって、またこう出てくるというふうに、やはり学校が感染の拡大になりかねない状況は間違いなくありますので、そういう意味でも、適切な休業、あるいは学級閉鎖等々の基準も弾力的に運用していただくようにということも徹底をしておるところであります。  なお、間もなく受験シーズンがやってまいりますので、文部科学省といたしましては大学のセンター入試を行っておりますので、従来どおりこれは実施をいたしますが、今までは、万一そのときに受けられなかった人たちのために一週間後に東京と大阪だけいわゆる追試験というのをやっておったんですが、今回は、こういう状況もありますので、二週間の間を置いて、そして全国各都道府県で追試ができるようにという体制を取らせていただきました。  加えまして、全国の大学協を通じて、国立大学に関しても追試をやっていただきたいということで今取り組んでいただいておりますし、私学に対しても、そういう部分で、万々一そういうときに受験にも可能な限り影響の出ないように、あるいは高校受験に関しましては都道府県の教育委員会でありますので、いろんな対策を講じて、受験生が万一のときにも何とかバックアップできるようなことを最大限取っていただくようにということを含めまして、あらゆる角度からいろんな手だてを打って対策を講じているところでありまして、引き続き万全を期してやっていきたいと思います。
  167. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非、万全の体制を期していただきたいとお願い申し上げます。  この新型インフルエンザワクチンの接種につきましては、その副作用と健康被害についても一方では大変大きな不安をお持ちであるという親御さんの声が多く聞かれます。この点につきましては正確な情報をスピーディーに国民に提供していくことが重要でありますが、その情報提供体制と実際の副作用、健康被害について大臣よりお聞かせください。
  168. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この新型インフルエンザワクチンの接種の今副作用のお話だと思いますけれども、これにつきましては、国内産につきましては、季節性インフルエンザと作り方が基本的に同じでございますので、副作用は同程度というふうに考えております。  今、初期に新型インフルエンザワクチンを打った二万例につきまして副作用調査をいたしました。初期といいますのは、医療従事者が優先順位が初めですので、その方々に打った後の状況を今報告を受けているところでございまして、これにつきましては、十月十九日の接種開始より三回にわたって厚生労働省のホームページで詳細に公表をしております。  結論からいいますと、これまでに報告された副作用、ワクチンの場合は副反応というんですけれども、副反応の内容については、季節性インフルエンザワクチンによるものと同様に、発熱、じんま疹、アナフィラキシー等であり、死亡等生命に重大な影響を与えるような報告はなかったということでございます。
  169. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非、今後とも正確な情報の提供をお願いいたします。  しかし、万が一健康被害が発生した場合の救済策の整備が必要でございます。既にその救済法案については政府より国会に提出をされているところでございますが、その概要について御説明をいただきたいと思います。
  170. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この新型インフルエンザ救済法案につきましては、閣議決定をさせていただきまして、この臨時国会に法案を提出をさせていただきました。是非御議論をいただきたいと思いますが、この法案中身については大きく二つございます。  一つは、新型インフルエンザワクチンの予防接種で健康被害が生じた場合の救済措置を整備するというのが一つ。もう一つは、国産のワクチンだけでは不足をする可能性がございますので、輸入のワクチンも使うということで、これは海外でも使われているワクチンでございますけれども、それに関しまして、この輸入ワクチンの健康被害が起こったときに国が輸入企業へ損失補償を行うという、企業との契約内容へ対応するということで、これは条文が必要だということでございますので、この二点に関する法律を提出をさせていただいているところでございますので、是非御議論を賜ればというふうに思っております。
  171. 島田智哉子

    島田智哉子君 今後、厚生労働委員会において詳細な審議が行われることと思いますが、国民が安心できる体制の整備に向けましてできる限り早期に成立を図りますよう委員の一人としても努力をしてまいりたいと思います。  そこで、予防接種行政につきまして是非政府に対して要望をさせていただきたい項目がございます。  今年五月の本委員会におきましても、我が党の森ゆうこ議員から同じ趣旨の御質問がございました。私自身、まさに子育て真っただ中にいる世代でございまして、日々の政治活動におきましても、同じく子育てをしているお父さんやお母さん方からお悩みや御相談を受ける機会も当然ながら多くございます。  その中でも、予防接種によって子供さんに健康障害が発生する、あるいはその健康障害と予防接種との関係が否定できない、そういった事例がございます。もちろん現行の予防接種法の中にも厚生労働大臣の認定によります救済制度がございますが、現状ではその手続が大変複雑で、しかも審査期間も相当に長く掛かるケースがございまして、子供さんの通院やリハビリと育児、あるいはお仕事をされている場合など、一層御負担が大きくなっています。  そこで、まず、現行の予防接種法の健康被害救済制度につきまして、その申請から大臣の認定を受けるまでの手続の流れについて、また直近三年間の認定、否認の件数について御説明をいただきたいと思います。(資料提示)
  172. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  今、パネルを出していただいておりますけれども、そのパネルのとおりでございますけれども、現行の予防接種救済制度でございますが、まず初めには、健康被害を受けたと思った方が市区町村担当課に対して報告を、連絡をしていただくということで、所定の書類を提出をしていただくと。そして、それを受けて、市区町村はその市区町村内に予防接種健康被害調査委員会というものを設置をして、医学的な判断のための情報収集、あるいは医療に必要な検査などについて、被害を受けたと思った方への御助言を行っていくと。そして、市町村は、申請書類に収集した情報を加えた上で、市町村を所管する保健所、都道府県を経由して厚生労働大臣に進達をする、連絡をするということになります。そして、厚生労働省厚生労働大臣は、疾病・障害認定審査会という厚生労働省にある審査会において予防接種と健康被害の因果関係に関する御意見を聴いた上で認定するか認定しないかということを決定をする、決定結果は書面により申請者に対して通知をすると、こういう流れになっております。  そして、過去三年でございますけれども、この予防接種法救済制度について、健康被害を受けたと思われた方、それは、そのとおりであるということで認定された方が平成十八年度は二十四件、否認された方が十件、平成十九年度は認定された方が五十四件、否認された方が十件、平成二十年度は認定された方が五十九件、否認された方が十四件ということで、認定率というのを仮に出すとすれば、平成十八年度は七〇%、平成十九年度は八四%、平成二十年度は八〇%ということで、二割程度の方は否認をされているというのが現状でございます。
  173. 島田智哉子

    島田智哉子君 今の御答弁にございますように、およそ八割のケースについては大臣の認定が受けられ、救済の対象となっておりますが、およそ二割のケースでは否認という決定によりまして救済の制度の対象となっていない方々もいらっしゃいます。大臣が認定するに当たりましては、その審査が必要なことは十分に理解をいたしております。しかし、仮に否認する場合には、親御さんに十分な説明をし、また場合によっては主治医の意見もお聴きするとか、親御さんに御納得いただけるように最大限の配慮が必要だと思うんですが、現状の行政対応には全くそのような配慮がなされていないんです。  と申しますのも、この制度の過程につきましては個人情報を理由に全く公開されていないものですから、たとえ問題があったとしましても外に出ないものですから、結果として、当事者の方だけで苦しんでいる方々が決して少なくございません。  実は、そうした状況の中で本当に苦しんでいらっしゃる親御さんから御相談をいただきまして、すべての資料を御提供いただきまして、私なりに調査も進めてまいりました。この親御さんの苦しみは、単に認定か否認か、その結果そのものだけではございませんで、制度上に相当な問題があるのではないかと感じております。  この子供さんについては、今から六年前に、生後八か月のときにポリオの予防接種を受けまして、その後、その赤ちゃんに大変な健康障害が発生をいたしました。ただ、この時点では、御両親は、ワクチンとの関係についても、もちろん救済制度についても御存じなかったということでございます。  ところが、これは国が出している平成十五年度の、お手元に資料をお配りさせていただいておりますけれども、感染症流行予測調査報告書というものなんですが、実はこの中にポリオ根絶委員会の報告としてこの赤ちゃんの事例が記述されておりまして、ワクチン由来の麻痺の可能性は否定できないと書かれております。  この記述を受けまして、予防接種した市町村の方から申請を促されて御両親は申請手続を行ったわけなんですが、先週、私はポリオ根絶委員会の委員長にお会いいたしまして、この記述が委員会としての御見解であることを直接伺ってまいりました。ところが、この申請から厚労省の審査会の決定まで二年も掛かった上、その審査会では認めないと判断され、救済策を受けることができていない事例です。  もちろん、その是非についてここで申し上げることはございません。しかし、その後の対応が余りにも配慮がないと申しましょうか、誠意が見られない、機械的で事務的な対応がなされています。  そして、資料の二にございます、当時の厚生労働大臣よりその否認という決定の通知でございます。御覧ください。たった三行の文書です。たった三行の文書による通知なんです。プライバシーの関係でペーパーによる資料提示にさせていただきましたけれども、国の重要な報告書の中で、ワクチン由来麻痺の可能性は否定できないと書かれたことによって救済制度の申請をなされた御両親には余りにも過酷な対応がなされていると言わざるを得ない、そんな思いを持ちました。  しかも、御両親は、またその大変な御苦労の中、審査会の議事録の情報公開を求めましても、資料三にございますように、ほとんど黒塗りの内容でしか公開されないんです。これでは到底御納得できないでしょうし、御両親の苦しみが和らぐような行政対応には程遠い現状がございます。  このポリオ根絶委員会、また厚生労働審議会、いずれも重要な国の機関でありますが、その御判断に違いが出ると。御両親はもちろんのこと、私も理解、納得ができなかったのですが、長妻大臣の御所感をお聞かせください。
  174. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今の御指摘をあらかじめいただいて、私も調査をしてみましたところ、やはりこれは余りにも、三行、四行の機械的な文書で却下をする。しかも、その理由を求める審査会の議事録を情報公開請求で開示要求をしたらば、今委員がお配りのようにほとんど黒塗りであるということについて、私も今は厚生労働行政を担当する責任者として非常に申し訳なく、その対応、機械的な対応について思っております。  そして、この情報公開の黒塗りにしても、余りにも、ほとんど意味が分からないと、黒塗りでという状況でございますので、この文書自体の黒塗りの部分をこれは改善して再度提出をするという今検討をしております。
  175. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  今回、鳩山内閣が提出をされました新型インフルエンザ予防接種救済法案には、新型インフルエンザ予防接種の在り方、そして健康被害の救済措置の在り方についても検討を加えること、そのことが明記されているところでございます。その際には、情報公開の在り方、あるいは申請者への、特に否認された方々へのフォロー体制の在り方など、現行の予防接種法における健康被害の救済措置につきましても見直しの検討を要請いたしたいと思います。  長妻大臣、いかがでしょうか。
  176. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今るるいただいた情報や、あるいは、これから新型インフルエンザワクチンの接種も始まりますので、その現状も把握した上で議論を今後ともしていきたいというふうに考えております。
  177. 島田智哉子

    島田智哉子君 よろしくお願いいたします。  ここで、先ほどの御両親のお手紙を一部御紹介をさせていただきたいと思います。  私ども親の心情を是非ともじかにお伝え申し上げたく、お手紙を差し上げる次第です。私どもは、次男の左下肢弛緩性麻痺についてワクチン由来の可能性があると知ったとき、我が子の健康を願い接種した予防接種により病気にさせてしまったと自責の念に駆られるとともに、予防接種に対し不信感を抱かずにはいられませんでした。しかしながら、今となりましては、ポリオを含む一類疾病の予防接種が集団予防に比重を置き、疾病による社会的損失を防止するためであるもの、それにより万が一の健康被害が生じることはやむを得ないものだと理解をしております。このように気持ちの整理を付けますのには大変な苦悩がございました。そして、数年掛かっております。親にとって子供の健康は何よりの願いです。この思いをどうかお酌み取りいただけたらと思います。今私どもが願うことは、生ポリオワクチンの四百四十万人当たり一名と言われている副反応健康被害が漏れることなくすべて救済されることです。  今朝、私のところには同じような御家族の方からメールが来ました。まさに友愛精神の下で行政対応をお願いしたいと思います。総理、御感想がございましたらお願いいたします。
  178. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今のお母様の思いを伺わせていただいて、大変行政の在り方自体に対して大きな問題があったと感じたところでございます。  まず、本来ならば、ワクチンを接種をして、そして病気を予防、防ごうという発想の中で、逆に身体などに麻痺が生じてしまう、そういう健康被害があるということを認めることも大変つらい話であろうかと思いますが、そういう状況が起きたときに、やはりこれはできる限り、プライバシーの問題が全くないとは言いませんけれども、まずは真剣にチェックをして、そしてできる限り丁寧な対応を行政としてするべきではないか。ややもすると、行政というものが、心がないというか、愛情がないような対応をしがちになることを改めなければならないと感じたところでありまして、先ほど長妻大臣が申しましたように、見直しなども含めて徹底してまいりたいと思っております。
  179. 島田智哉子

    島田智哉子君 どうぞよろしくお願いいたします。  次に、子供が病気になったときの病児・病後児保育についてお聞きをいたします。  このインフルエンザに限りませんが、子育てをしながらお父さん、お母さんが働いていらっしゃる御家庭にとりまして、子供が突然発熱をしたけれども仕事を休むことができずに途方に暮れていることが多いお父さん、お母さん、多くいらっしゃると思うんですけれども、こうした場合には、一つは、育児・介護休業法によります看護休暇が法律としては一応の整備はされておりますけれども、しかし、実際にはなかなかその利用ができないことのお悩みは大変よくお聞きいたします。平成二十年度の調査では、取得されたのはわずか六%にとどまっております。  この看護休暇の取得を行いやすくするためにやはり政府としてもその対応策が必要だと思いますが、この点につきまして長妻厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
  180. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今おっしゃられましたように、この働く環境ということで、お子様が病気になられたと、そのときにやはり休まざるを得ない、あるいはお子さんが、今回の例えば新型インフルエンザワクチンで小さいお子さんが接種しなきゃいけないと、それは親が付いていかなければならない、そういうような場合に看護休暇制度というのがございますけれども、おっしゃられたように、いまだ六%程度の人しか取得をしておりませんし、この就業規則を規定している事業所の割合も全体の四六・二%ということで、まだまだでございます。  これは、もう国会の御努力で成立した改正育児・介護休業法によって、来年の夏からはお子さんが二人以上であれば年に十日までこの休暇が取れるということになっておりますが、ただ、これが実際に採用していただく企業が増えないと絵にかいたもちになりますので、厚生労働省といたしましては、両立支援レベルアップ助成金ということで、両立というのは仕事と家庭の両立ですけれども、この案件につきましても、成果を上げた事業所に対しては助成を行うということを取り組んでおります。  今後とも、広報活動も含めて十分に取組を強化していきたいというふうに考えております。
  181. 島田智哉子

    島田智哉子君 この看護休暇をできるだけ活用できるような環境と併せまして、それでも仕事が休めないとか、自営業の方々にとりましては、病児・病後児あるいは預かりを行うサポート事業などへのニーズがとても多くございます。しかし、我が国の現状としてはこの整備が非常に遅れていることは、多くの働くお父さん、お母さんが感じていらっしゃいます。  例えば、病児・病後児の預かり事業ですが、平成十七年度より国の直轄事業として全国で取り組まれてまいりました。ところが、昨年の九月ごろのことでしたが、突然国の直轄事業を廃止する、そして市町村が行っているファミリー・サポート・センターへ再編する、このような方針が打ち出されました。ただ、先週も実際に埼玉県で再編をコーディネートなさっている方々お話を聞いてまいりましたが、その再編がなかなか進んでいないのが現状のようなんです。  是非、長妻大臣を始め政務三役の皆さんには、これまでの事業について御検証をいただきまして、お父さん、お母さん方の御不安を払拭していただきますようお願い申し上げます。長妻大臣、いかがでしょうか。
  182. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今御指摘いただきましたこのファミリー・サポート・センター事業というものでございますけれども、国の直轄事業である緊急サポートネットワーク事業が廃止になってこちらに統合して、厚生労働省としては質を落とさないで対応するということでありますけれども、さらに実態をきちっと把握をしていきたいというふうに考えております。  そして、お尋ねのありました、御病気になった子供を預かる保育、病児・病後児保育というものでございますけれども、それを実施している箇所というのが、これは国の助成事業でいいますと平成二十年度実績で八百四十五か所ということで、これまだまだ不足をしております。  そして、もう一つ調査をいたしましたところ、全国の保育所で勤務されている看護師の数は四千七百六十人おられるということでございまして、この方々がどういう役割をしているのか、モデルとなるような事業があるのかどうかも含めて、この看護師の方々の活動状況を早急に把握するべく今調査をして、現状を把握をして対応策をまとめる予定にしております。
  183. 島田智哉子

    島田智哉子君 それから、看護休暇あるいは預かり事業と併せて、皆さんが本当に必要とされていらっしゃるのが施設型の病児・病後児保育です。しかし、この施設型の病児・病後児保育については、整備そのものが全く不十分な状況にございます。  この施設型の病児・病後児保育について、新政権として今後どういった方針で対応していくのか、お聞かせください。
  184. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 施設型と、今言われた御自宅でサポートされる方が病気のお子様を預かると、二つ大きく事業がございますけれども、この施設型でいいますと、先ほども申し上げましたが、国が助成している事業で平成二十年度で八百四十五か所しかないということと、もう一つ、それ以外に、お子様が御病気になったときにお母様が迎えに来るまでの一定の時間、そこに看護師さんがおられて、その一定の時間看病すると、こういう状況が配備されている保育所は三百十九か所ということで、両方合わせても千百六十四ということでとどまっているところでございます。  ただ、それ以外に、看護師の方で常勤換算で保育所で勤務されておられる方が四千七百六十人おられるということも統計上出ておりますので、ある意味では、任意でというか、国の事業ではなくやられている場所も多数存在すると思っておりますので、看護師さんを今後うまく活用させていただいて、あらゆる方策を考えてこういう保育所の充実というのを図っていきたいというふうに考えておりますので、今後とも御指導をいただきますようお願い申し上げます。
  185. 島田智哉子

    島田智哉子君 長妻大臣は、先日ニュースで拝見いたしましたけれども、いつもの硬い表情ではなく笑顔で保育所の視察をしていらっしゃいましたが、お子さんに泣かれてしまうというハプニングもちょっとほほ笑ましかったです。  この保育所の整備を始めとする子供の保育の問題に対する総理のお考えをお聞かせください。
  186. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 保育所の整備全般に関しては、御案内のとおり、まだまだ待機児童がたくさんおられるという状況がございます。  また、これは地域によっても差があるものですから、例えば保育所の面積の緩和のような議論が出ております。こういったことをまずは東京などを中心として緩和をさせていただくということになったわけでありますが、どこまでこれは地域で、地域主権というときに地域で行うべきか、また、やっぱりナショナルミニマムみたいなものは国がしっかりと支援をしなければならないことだと、ここが大変重要なことだと思っています。一般論としての待機児童の解消に向けて国の果たすべき役割は大変大きいと思っております。  また、やはりお子様にもいろいろといらっしゃって、先ほどの例では、いわゆる病気になられるお子さん、あるいは病気になられたその後の、治られた後のお子さんの保育という問題がございました。その問題に対して、先ほどのお話を伺っておりますと、看護休暇制度がなかなか使いにくいというようなことをいかに整備をするか、あるいは、それでもやっぱりお母さん働きに行かなきゃならないというときの、保育所にお医者さんや看護師さんがいないからなかなか預けられない、こういう状況が至る所であると思います。  こういった整備はやはりナショナルミニマムの問題として国がしっかりと扱わなければいけないことだなと、そのように感じたところでございます。  以上です。
  187. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非ともよろしくお願いいたします。  次に、安心して子供を産み育てるという社会を目指すという意味では、地域のきずな、ネットワークづくりも重要な課題であると思います。  総理は、地域のきずなについて、今やずたずたに切り裂かれつつあると、私たちが目指すべきは新しい共同体の在り方だとおっしゃいました。まさに、子育てをする上で、地域の支え合い、助け合い、地域のきずなを取り戻す努力が必要なんだと思います。  そこで、小沢環境大臣にお聞きをいたします。  環境省においては、ESD、持続可能な開発のための教育という概念の下、持続可能な地域づくりに向けての政策が行われていると承知をいたしておりますが、環境省のその政策に対する評価をお聞かせください。
  188. 小沢鋭仁

    国務大臣(小沢鋭仁君) お答え申し上げます。  今委員からお話がありました持続可能な開発のための教育というのは、二〇〇二年にヨハネスブルクで地球サミットがございまして、日本が提唱をし決めた事業と、こういうことでございます。そういった事業の中で、環境省としましては、国連大学に対する拠出事業を行うほか、地域ではESDの十年促進事業、あるいはまた二十一世紀環境教育トリプルAプランと、こういった事業を立てまして、地域での子供のための環境教育、推進してまいってきているところでございます。  自然との共生、あるいはまた地球温暖化問題への対応、お子さんのときからしっかりとそれを理解していただくというのは本当に大事なことだと思っておりまして、それを地域の中で事業を起こしていって、そして地域ぐるみで行っていくという政策を今後ともしっかりやってまいりたいと思っておりますし、総理のおっしゃるチャレンジ25のこれからの大きな柱にもしたいと思っているところでございます。  どうぞよろしくお願いします。
  189. 島田智哉子

    島田智哉子君 その環境省の政策によってこれまで地域においてどのような取組が行われてきたのか、私もいろいろと拝見をいたしました。  もちろん、環境をテーマとした地域住民が触れ合う企画がございます。その中でも、地域で子育て中のお父さん、お母さんを対象とした企画が随分と行われているということです。親子でおやつ作りをしながら食について考えるでありますとか、親子でおもちゃ作りを楽しみながら自然と触れ合う企画などがございました。こうした企画がきっかけになって地域のネットワークが広がっていきますと、それは大変意義のあることだと思います。  その中でも私が個人的に注目をしましたのは、ある自治体のESD企画として、赤ちゃんや子供たちの歯の健康について、歯科衛生士さん、保育士さんとお父さん、お母さん方、子供たちがいろいろ勉強をしていただいているということですが、私は歯科医師でもございますので、環境政策から歯の健康につながっていることについて、ちょっとユニークな企画で大変うれしく思いました。  私どもの歯の健康、歯科医療につきまして、長年にわたりまして櫻井議員中心に様々な角度から検討してまいっておりまして、これまでにも民主党として歯の健康に関する基本法を国会に提出した経緯もございますので、是非、政府におかれましては今後とも御検討いただきますようよろしくお願い申し上げます。笑顔のため、全身の健康のためにも、総理も歯の健康にはくれぐれも御留意くださいませ。  総理がおっしゃる新しい地域のきずなづくり、そのきっかけを政府としても側面から各省が連携をして取り組んでいくことも鳩山内閣として重要な政策になるのではないかと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
  190. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) もっと笑顔が出るように努めたいと思っております。  今、島田委員からお話がありました地域のきずなというものを大変大切にする、そういう政権でありたいと思います。  例えば、今歯科医療のお話もございました。私の知っておるのは、例えば終末期だけはどうしても自宅でという思いの方がたくさんおられる、そういう方々のためのボランティアの在宅医療の在り方みたいなものを一つのきずなのような形でやっておられるところもございます。  こういう発想をしっかりと支援をしていくためには、一つの役所だけではできません。いろいろな役所がそれぞれ知恵を出し合って進めていくと、各省の連携が必要であることは言うまでもありません。それを進めていくのはやはり政治主導の私どもの政権だというふうに思っておりまして、政治主導か各役所の縦割り行政かというようなところが私どもにとって新しい価値を見出す部分だと思っておりまして、是非、政治主導の中で壁を破って、今までのような、今お話があったボランティア、きずなの部分を共通の価値として、地域で頑張っておられる方のために進めていけるような、そんな行政をリードしていきたい、そのように思っております。
  191. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非ともよろしくお願いいたします。  次に、子供の貧困の問題への対応策についてお聞きをいたします。  この貧困の問題の中でも、一人親家庭の貧困率は極めて高い数字で示されておりまして、一人一人の子供の育ちにとりましてはその解消のための施策は極めて重要であると思います。新政権におきましては、生活保護における母子加算を復活させる、また、現在は母子家庭には支給されている児童扶養手当についても、親の性別によって区別するのではなく、個々の家庭の状況に応じた対応が必要であるということから、父子家庭に対しても児童扶養手当を対象とすることが厚生労働省概算要求の中では示されております。  私も、父子家庭に対しても児童扶養手当の対象とする必要があるという考えから、さきの通常国会におきまして児童扶養手当の改正案を提出した発議者の一人でもございます。今後、児童扶養手当法の改正案の提出について、総理のお考えをお聞かせください。
  192. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 母子家庭のみならず父子家庭においても、大変お暮らしが厳しい御家庭たくさんございます。そのようなことを私どもとしては考えていきながら概算要求をしてきたところでございます。  これから予算編成過程の中において、大体百五十億程度ではないかというふうに思っておりますが、しっかりとこれは予算が付いていけますように、また島田委員にも是非とも御支援を願いたいと思いますが、私どもはその決意でやりたいと考えております。
  193. 島田智哉子

    島田智哉子君 是非よろしくお願いいたします。  次に、障害者対策の中から、障害を持つ方々への就労支援についてお伺いをいたします。  今年の二月のことでございますけれども、私と地域皆さんとの懇親の場に、総理には、当時幹事長時代でしたが、御無理を申し上げて御参加いただきました。総理は御記憶いただいていると思いますが、さいたま市で重い障害をお持ちの方々が、同じく障害を持つ地域皆さんに対してホームヘルプ事業などを行っている「くれぱす」の皆さんと御交流をいただきました。  先日の総理の所信表明を皆さんテレビ御覧いただいていたそうで、早速に、総理の演説に感激しましたという御連絡をいただきました。総理の演説にもございましたように、障害を持つ方も持たない方も、働く意欲を持つすべての方々の就業を実現していくことが私どもの社会にとってはとても重要なことであると思います。  しかし、そのためには、皆さん方にとって、仕事はもちろんですけれども、通勤や食事も含めて介助者が欠かせないことはこれは当たり前のことでございまして、例えば職場介助助成金という制度が現在ございますが、ところが、この助成金の対象となるのはあくまで職場、仕事の介助でありまして、食事やトイレの介助、つまり生活の介助は対象となっていないんです。人の生活において仕事と生活を分断できるはずがありませんので、仕事も食事もトイレに行くこともすべてが生活でございますので、まさに生活者の視点、当事者の視点を全く無視をして制度だけが存在をしているにすぎないんだと思います。  こうした制度についても、是非、鳩山内閣におかれましては、一つ一つ検証していく中、本当に働く意欲のあるすべての方々が就労できる社会の実現に向けてお取り組みをいただきたいと思いますが、総理の御見解をお聞かせください。
  194. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 総理の御答弁の前に一言申し上げます。  今御指摘いただきました障害者介助等助成金というのがございますけれども、これは、障害者の方々が働いていただいている職場で、業務遂行のために必要な介助の業務を担当する方を配置するとその介助者の賃金の四分の三を事業主に補助するという制度でございますが、今おっしゃられた、例えばおトイレに障害者の方が行かれるというのは業務なのか業務じゃないのかということでありますけれども、厚生労働省としては、トイレに行かれるということも業務を遂行する上で必要となる行為であると、必要となる介助に含まれるということを明確にしていきたいと考えておりまして、これを関係機関に徹底してまいる所存でございます。
  195. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 助成金の話は、今、長妻大臣が申したとおりであります。  私も、所信であえてチョーク工場の話をいたしました。七割の方が障害がおありの方でございます。私は、行ってびっくりしたのは、私ではできないような仕事を、チョークを手で置いているんですが、真っすぐにきちんと置けるような、子供たちが頑張っていると。この仕事はむしろ障害がおありの方だからこそ一生懸命やってできる話なんだなと思って、非常に感銘を受けたところであります。こういった障害がおありの方々がもっともっと働く幸せ、働くことによって幸せを得られるような、そんなシステムをつくっていきたい。  私は、そのチョーク工場で社長さんから伺いました。こういうのはどうですかと言われたのは、障害がおありの方が施設で入っておかれてもそれなりに当然お金が掛かると、むしろ、それよりも安いお金で、最低賃金ぐらいを国が補助することによって彼らに働く機会を与えることができるじゃないか、そのことが結果として彼らを幸せに導けるじゃないか、国としても今まで出している予算よりも少ない予算でより幸せというものを与えられるじゃないか、どうしてこういうことができないんですかというようなお尋ねがありました。  いろんなことを私ども真剣に考えていきたいと思っておりまして、障害、チャレンジドの方々のために、まさに弱者のためにこそ政治はあると、そんな思いで頑張っていきたいと思います。
  196. 島田智哉子

    島田智哉子君 温かい御答弁ありがとうございました。  次に、引きこもりなど、子供、若者に対する支援策についてお聞きをいたします。  さきの通常国会におきましては、当時の私ども野党と与党の修正協議によりまして、子ども・若者育成支援推進法が成立をいたしました。私どもの議論の中では、引きこもりなど、子供や若者が抱える問題が深刻化している、その背景には何があるのか、言うまでもなく、そうした若者や家族だけの問題でなく、学校や地域、職場を含めた社会全体に様々な原因が存在しているのではないかと、そうした視点から党内協議、また与野党における修正協議を行ってまいりました。  一昨日もちょうど親の会の全国大会が仙台市で行われまして、私も櫻井議員とともに皆様の御意見をお聞きしてまいりましたが、御家族の皆様も、国や自治体とともに御自身たちも一緒に取り組むという強い決意がございまして、今後の具体的な支援策につきましては、まさに官民の連携、特に御家族の御意見を十分にお聞きする中での対応が必要になると思います。  鳩山総理より、こうした子供、若者、そして御家族に対してのメッセージをお聞かせいただきたいと思います。
  197. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 引きこもりの若者たち、どういう原因でそのような引きこもりになっておられるか、いろいろあろうかと思います。まさに彼らは居場所も、さらに出番というものも失ってしまっていると、こういう人たちに居場所と出番を見付けることこそが政治の役割だと、そのように思っております。  今、島田委員お話をされましたけれども、法的には子ども・若者育成支援推進法というものがございますが、こういった法律に基づいて、さらに心というものをその中に入れていきながら社会全体でこういった引きこもりの若者たちをしっかりと支えていけるような、そんなシステムづくりにしっかりと頑張っていきたいと思っております。
  198. 島田智哉子

    島田智哉子君 よろしくお願いいたします。  次に、周産期医療についてお聞きをいたします。  この周産期医療の再建につきましては、私ども、現在の鈴木文部科学大臣中心検討を行いまして、昨年の十二月に民主党としての考えをまとめたところでございます。(資料提示)  時間の関係で一つ一つお聞きすることができないと思いますけれども、NICUの病床数や救急搬送システム等につきましてその処方せんをお示しをさせていただきました。最後に、再建に向けまして長妻大臣のお考えをお聞かせいただき、救急搬送につきまして原口総務大臣にお伺いし、そして、医師の育成につきまして文部科学大臣よりそのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  199. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今お尋ねがございました周産期医療再建というのは、これは本当に医療の中でも喫緊の課題だということは認識をしております。NICUという新生児の集中治療室でございますが、現在は二千三百四十一床ございますが、これでも不足をしているということでございまして、将来的にはそれを三千床程度まで拡大をしていくという対応を取ってまいりたいというふうにも考えております。  そして、診療報酬でありますけれども、これにつきましても、周産期医療の再建に資する改定を行うように私どもとしても今後議論を進めていただくよう、中医協も含めて診療報酬体系の中で考えていきたいというふうに考えております。  いずれにしても、産科、小児科、外科、そして急性期の医療というところが今大変厳しい状態になっておりますので、その立て直しのために全力で取り組んでいく所存でございます。
  200. 原口一博

    国務大臣(原口一博君) 島田委員にお答えいたします。  島田委員中心にまとめてくださいました、本当に命を守る政治、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。  特に、十月三十日に消防法の改正施行されました。その中心は、今、島田委員お話しになったような医療機関と消防の緊密な連携です。四回以上コールしてまだ医療機関に届かないところが、昨年私たちが調査したところでは四県、そこに偏っていました。何といっても速やかに医療機関に行っていただく、そのためにもコーディネーターの役割、あるいは今度十月二十七日に総務省消防庁が厚生労働省と連名で各都道府県に対して実施基準の策定ガイドライン、緊密な連携のためのガイドラインを通知させていただきましたけれども、このガイドラインに沿って各都道府県で緊密な連携体制をつくってくださる、これがとても大事だというふうに思っています。  いずれにせよ、医師の不足や厳しい環境の問題もございます。消防だけでは解決できないものを政府全体として解決をしていきたいと、このように考えています。
  201. 川端達夫

    国務大臣(川端達夫君) お答えいたします。  地域及び周産期あるいは産科、小児科等々を含めて医師不足がもう深刻な事態は、先生も私たちも共通の認識だというふうに思っています。  そういう意味でのいわゆる救急あるいは周産期医療、小児科、産科等々を重点的に充実させるというカリキュラムの改定を今計画をしているところでありますと同時に、奨学金制度の拡充も含めて、地域医療あるいは周産期医療等々にかかわる医師になるという人に対する奨学金を返還猶予するという形の中での大学の医師の定数の増員も今、来年度、概算要求としては考えております。  加えまして、今御指摘ありましたNICUに関しましては、基本的に大学病院でもういつも満杯状況ということでの全体的な設備の充実というのと同時に、非常に高度な専門技術が必要であるということと、これにかかわる先生方には女性の医師の方が多いということで、その部分のいわゆる仕事と生活の両立という女性特有の問題もありまして、それも併せて、二十一年度予算もやってまいりましたが、引き続き来年も拡充をしてまいりたいというふうに思っております。  以上です。
  202. 島田智哉子

    島田智哉子君 ありがとうございます。  自殺対策についてお聞きをする時間がなくなりました。福島大臣、是非ともお取組、よろしくお願い申し上げます。  関係閣僚の皆様方、誠心誠意御答弁いただきましたことに感謝を申し上げ、以上で質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  203. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) これにて島田智哉子君関連質疑は終了いたしました。  平野達男君。
  204. 平野達男

    平野達男君 今日は、今朝から私の関連質問ということで櫻井、藤末、島田、三人の委員に質問に立たせていただきまして、いい議論ができたんではないかというふうに思います。残りの時間についてはまた私が預からせていただきまして議論をさしていただきたいと思います。  財務大臣がちょっと立っておられますので、農林大臣からちょっと質問を始めさせていただきたいと思います。  午前中、農業者戸別所得補償の議論がございまして、その考え方についてはもう大臣から説明をいただいたというふうに思っています。ただ、この農業者戸別所得補償については、来年度、米を中心にモデル事業をやるということで進めておるんですが、現場でちょっと情報が若干錯綜している面があるような気がいたします。その一番の問題点は、需給調整をやるのかやらないのか、どうも需給調整はやらないんじゃないか、あるいは生産調整をやらないんじゃないか、好きなようにお米を作ってそれでも所得補償もらえるんだ、いただけるんじゃないかというように考えておられる方もいますし、現に私は何人かからそういう問いかけを受けたことがございます。  この農業者戸別所得補償とその需給調整、生産調整との関係、今日はテレビ入っておりますので、赤松大臣にしっかりと御説明をいただきたいと思います。
  205. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) お答えをいたします。  旧来の農業政策と私どもの農業政策と一番どこが違うのかということがやっぱりポイントだというふうに思っています。  一つは、今までは作らせない農業、私どもはむしろどんどんと作ってもらおうという農業でございまして、その意味でいえば、来年はモデル事業ですけれども、米を中心にこれは生産計画数量をきちっと定めまして、それに従って、それに応じてやっていただける方にはしっかりとそれに即した形でやっていただこう。ただ、これは強制力を持たない、あくまでもその農業者の選択でもって加わるか加わらないかを決めてもらう。ただ結果的には、結果的には、中身をきちっと理解をしていただければ、こんな有利な、こんな得になる制度に入らなきゃそれは損だよということで、ほとんどの方たちは、ほとんどの農業者がこの戸別所得補償制度に積極的に自ら参加をしていただける、このように信じております。  それからもう一つのポイントは、どうも米、米というところで目が行っちゃうんですけれども、もう一つはやはり自給率を上げていくと。水田利活用ということでセットで実は今回提案をしておるわけでございますけれども、これについては、旧来輸入にほとんど頼っている麦、大豆、あるいは今注目をされております米粉、あるいは飼料米、こういうものについてこれをしっかりやってください。午前中申し上げましたけれども、今、日本で必要なお米を作るためには約六割の水田でもういいわけですから、あとのじゃ四割はいわゆる作らないことの補償をもらってそれで終わりかというふうではなくて、むしろそれを有効に使っていくと、有効に使っていただくと。  そして、この間も実は東京農業大学を見学に行ってきたんですが、今は飼料米で……(発言する者あり)あ、はい、とにかく六分の一の労力でもって、コストでもって、しかし、大体今十アール当たり五百三十と言われていますが、その倍できるというようなことで、しかも、それ十アール当たり八万円もらえるわけですから、これはもう是非そちらをどんどん作ろうということになるんじゃないかと思って。是非そういうことを理解をしていただければ、その意味でいえば、今御心配のようなことはないというふうに思っております。
  206. 平野達男

    平野達男君 米政策の最大の課題というのは、ずっと過剰米対策であり続けたというふうに私は思っています。今の政府も、基本的には今どちらかというと、過剰基調の米は作らないでそれ以外の作物を誘導していきたいんだということだろうと思います。  それで、重ね重ね確認しますけれども、米の所得補償については、需給調整、生産数量目標の計画に参加し、それにきちっと守った農家が対象になるという、そういう御理解でよろしいですね。
  207. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) まさにそのとおりでございます。  ただ、一点だけ。今までと違いますのは……(発言する者あり)いいですか、それは。今までと違いますのは、生産調整に、我々の言い方をすれば生産数量目標に応じたこの制度にたまたま応じない方、あるいはできなかった、作り過ぎちゃった人、そういう人については、第二番目の自給力を付ける方の分野についても、そっちも駄目だよと、麦、大豆あるいは飼料米、米粉作っても駄目ですよと言っていたんですけれども、それは、そちらは関係ありませんよと、その生産調整に応じなかった人も、こちらについてはちゃんと補助金等を出しますよというところが今までの農政と大きく違う点だということでございます。
  208. 平野達男

    平野達男君 今反当たり八万円というお話がございましたけれども、これも、細かな話で恐縮ですけれども、水田利活用事業で今回産地づくり交付金が、私に言わせれば突然廃止になります。それで、米粉等あるいは飼料作物等については反当たり八万円、これは高い単価です。  おっしゃったように、これは大変高い単価で有利なんです。有利なんですが、今これ現場で何が起こっているかといいますと、有利だから作っちゃえということなんです。ただし、これ作っちゃえって、売れなければ大変なことになっちゃうんです。これは有利なものを出しましたけれども、必ず作ったら受取手があるということが大前提なんだということも、これは赤松大臣、簡単で結構ですから、これはあくまでも作ったら買手があるんだということが前提だということを、これは是非生産者にきっちり言っていただかないと、現場混乱すると思います。
  209. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) 御回答申し上げたいと思います。  いわゆる平野委員のおっしゃっているのは、捨て作りのような形で、いわゆる植えたけれども後刈取りもしないと、やったことだけが残れば補助金だけはもらえるということを御心配されていると思いますが、これは今、細目を十二月に決めますけれども、少なくとも授受者との間で契約がきちっとあるとか、あるいは飼料米を作ったら、例えばトウモロコシと混合させるところまでチェックするとかいう形できちっとそれはやります。ですから、その御心配もないように、そういう仕組みをつくっていきたいと思っております。
  210. 平野達男

    平野達男君 それからもう一つ、米を中心とした戸別所得補償の方は、これは販売農家をすべて対象にするということになっておりまして、これは今までも農林水産委員会、予算委員会、あるいはいろんなところで議論になったんですが、それはひょっとして零細農家を温存させるだけではないですかという御指摘がありましたけれども、私はもうこれに関しては、まず今、昨日も申し上げましたけれども、農業就業人口が残念ながら急速に減っていく、そういう中で今日本の農業を支えているというのは六十五歳以上。私は岩手県の出身ですけれども、岩手県では七十歳前後の方々がまだ現役で頑張っています。そういった方々が今頑張っているからこそ今日本の農業農村がもっているという状況の中で、できるだけやれる限り頑張ってくださいというメッセージを送るのが一つ。  しかしその一方で、そういう所得補償を入れることで、価格下落があったとしてもある一定の収入が得られるという見通しが立ちますから、これで規模拡大するという農家が出てくるということも期待されるという中で、これからは戸別所得補償と農地の流動化、生産の法人化、集落営農でもいいですよ、その地域に合ったそういった農地の流動化、構造政策の推進はセットで進めなくちゃならないと考えておりますけれども、赤松大臣にそのことに対しての御見解をお伺いしたいと思います。
  211. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) まさにおっしゃるとおりでございまして、私は、小規模の農家であっても、食料の安定的な供給、そして多機能に持つ面ですね、例えば水、緑、環境を守っていく、あるいは防災になる、そういう多面的な機能をやっぱり維持をしてきているのも小規模の、大きいところの人たちももちろんですが、小規模農家についてもその大きな役割を果たしてきているということでございますし、それからもう一方、今言われるように、今度の戸別所得補償制度ができることによって、全国一律の単価ですから、生産性の高いところ、土地の集約化を進めてコストダウンするところはやればやるほど利益になるわけですから、どんどんと土地の集約も一方では進んでいく、この両面をもって、両方生かしながらこの制度を進めていきたいと思っております。
  212. 平野達男

    平野達男君 どうもありがとうございました。是非よろしくお願いいたします。  財務大臣戻られましたので、財務大臣にちょっと御質問をしたいと思います。  先般、セントアンドリュースで財務相・中央銀行総裁会議、G20ですけれども、やられまして、日本から野田副大臣が参加されたということですが、この会議で、世界経済の不均衡是正についてのこれから監視の仕組みその他、そういった枠組みが合意されたんだという報道がされていますけれども、世界経済の不均衡是正というのは具体的にどういうことなんでしょうか。
  213. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) セントアンドリュースは、実は参議院のこの予算委員会がありましたもので、私は出ておりません。野田副大臣が代わって出ております。その報告によれば、要するに、世界同時不況に端を発した事態に対してG20ができたと、これが国際協力をしなければいけない、これが八十年前の反省だということは参議院の本会議で申しました。  そこで、なぜ国際協力するかというと、今のお話なんですね、不均衡の是正なんですね。あした、実はアメリカの財務長官ガイトナーが来ます。私はまたゆっくりお話ししようと思っておりますが、アメリカは本当はドルを強くしたいんです。現実にそうなっていないんです。ドルが弱いから、円高でありユーロ高になってしまっているんです。本当の本心は、ガイトナーさんたちはドルを強くしたいんです。強くするにはどうすればいいか。それは、貯蓄経済に戻りたい、しかし現実は垂れ流し経済をやっている、こういうことですね。それだから、済まないけれども日本や何かは余り輸出をしてくれるなよと、こういう話ですよ。  私は、ですからガイトナーさんに言っていることは、日本だって世界に誇るべきいろんな知識というのがあるし、先端技術だって持っているんだから、そういう輸出はやる。しかしながら、今までの十年間のように外需が一・八倍になったのに内需が一・一倍だというのは、これは日本の国にとっても駄目なんだよと、だから内需中心に変えるということをやっているんだよと、こう言って、彼は非常に共感してくれているんです。そこだと思います。  そこで、今度アンドリュースで何が決まったかというと、各々検証をしようじゃないかと、こういう話ですね。そういう点が今までと進歩したというか、変わった点だと御報告申し上げます。
  214. 平野達男

    平野達男君 お手元に一枚紙行っていると思いますけれども、これはIMFが作成した二〇〇七年の各国の経常収支の状況を示したものでありまして、左側が赤字、右側が黒字ということになりまして、ここではっきりしていますのは、アメリカ一国の赤字が突出していると、それをファイナンスするのに中国を始め日本を始め世界各国がファイナンスしているという、そういう状況になっているということですね。  金曜日のこの質疑でも私出させていただきましたけれども、一九八〇年の日米構造協議のときは、このデフィシット、要するに赤字、黒字の関係は日本とアメリカの関係だけで、二国間でこの是正を議論していたんですが、今はアメリカ対世界という、そういう構図になっているということだろうと思います。これを是正するというのは、これはなかなか難しい問題だろうと思いますが、これはしっかり対応していかにゃいかぬということだろうと思います。  そこで、私のテーマはむしろどちらかというと、こういう経常収支の黒字、赤字というよりも財政再建であります。この世界不均衡の是正の中には財政再建も入っているという理解をすべきなんでしょうか。
  215. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) 野田副大臣がこの六日、七日の会で言っておりましたことは、日本は、今お話が出ましたように、財政再建、先進国では世界一悪いと、これを是正するということも大事だということは言ってまいっておるようです。その上に立って、昨日、おととい盛んに出ております国債市場の信認を得るということは、これはやはり非常に大事なことだということを野田副大臣は発言してきていると聞いております。
  216. 平野達男

    平野達男君 世界で、これ、政策の枠組みや計画、見通しを二〇一〇年一月までに設定するというふうに言われています。これに財政再建が入るということは、日本としても何らかのその目標みたいなものを出さなくちゃならないということになるんだろうと思います。  私は、そうしますと、日本だけじゃなくて世界これ共通するんですけれども、財政再建の取組は世界が見ている中で進めなくちゃならないということになってくるんだろうと思います。こういう御理解でよろしいんでしょうか。
  217. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) この問題は菅さんが担当しております長期戦略にも関係しておりますので、余りそこに入らないように申し上げますが、やはり私は、前から言っておりますように、経済あっての財政だと。ところが、過去において、財政至上主義者の一部はこれを間違って大失敗しているわけです。急速に経済を悪くしてしまった人がいます。名前は言いません。  そこで、経済あっての財政であることは間違いないんです。ただ、それで何でもかんでもやっていいということになりますと、海図なき航海ということになります。したがいまして、これはなければいけない。ただ、前政権もそうだったように、今経済が非常に不安定なんです。不安定なときにいろんなもの作っても、絵にかいたもちになる可能性は非常に強いんです。ですから、むしろ菅さんからお話があった方がいいかもしれませんが、今やるのではなく、もう少し経済が安定したときにこれをやらなきゃいけないと。そのことは国際社会においても、まあ今度私が出ることになったら主張してまいります。
  218. 平野達男

    平野達男君 菅副総理、何か補足ございますか。よろしいですか。
  219. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) もう財務大臣の方からほとんど答えていただきましたが、まさに二〇〇九年という今年は、昨年のリーマン・ブラザーズの破綻からの回復というものがまだ十分でない中で、来年度の予算に関してもそういった過去の大きな傷をまだ残した中での予算編成になろうと思っております。そういう意味で、中期的な財政の健全化のフレームについては、二〇一一年度の予算、これを複数年度予算のスタートにする中でそういった中期フレームを考えたいというのが、まず国家戦略室が出した第一の閣議決定をしていただいた方針であります。  それからもう一つは、これはまだこれからのことですが、これまでの経済成長戦略と言われた過去の例を見ておりますと、あるいは財政再建の例を見ておりますと、多くは比較的高い経済成長を前提としていろいろな財政出動をしたわけですが、結果として成長はしない、しかし赤字はたまっていくと、こういう結果がこの約二十年間眺めてみると出ております。  私は、どうも何かの考え方の根本が間違っていたんではないか。つまりは、財政が出動する場合においても、それは何らかの、本当の意味の投資効果がなければいけないので、単に一兆円使ったら一兆円だけ経済効果がありましたというのでは、これは借金が増えるのは当然であります。  逆に言うと、例えば太陽の電力の全量買取りのような制度を考えれば、必ずしも財政出動がなくても内需の拡大につながるものもあるわけでありまして、そういった意味で、これから先は環境の問題、子供の問題、場合によっては東アジアの成長というものを日本の経済にもリンクさせるようなそういう知恵を是非多くの方々から編み出していただいて、財政出動がなければ同じだけの成長がないなんという、こんなおかしなことはないわけでありますから、そういう財政出動に対してそれをはるかに超える経済成長が望めるような、そういう成長プログラムというか成長戦略を編み出していきたいと、こう考えております。
  220. 平野達男

    平野達男君 G20でもまずは足下の問題だと、その後は出口戦略だと、それから財政再建、それから様々な成長戦略、不均衡の是正だというふうに言っておりますので、その方向に沿った答弁だったというふうに思います。  それから、日米構造協議の後に作ったのが公共投資基本計画でした。たしか三百兆か何かちょっと忘れましたが、亀井大臣が一番お詳しいと思いますが、あれに基づいて、私も当時農林水産省ですから、せっせせっせと予算つくって執行をやりました。社会資本ストックは、後でちょっとこの話に触れますけれども、社会資本ストックができましたけれども、その一方で、国、地方の財政赤字は本当に膨らみました。地方の財政赤字の最も最大の原因は、そのときの公共投資基本計画ではなかったかというふうに私は思っています。  そこで、財政再建なんですけれども、いずれ将来的には多分世界の見ている中で進めるんだろうというふうに、ルールになるんだろうと思うんですが、日本の財政赤字というのはもう一〇〇%と言っていいぐらい国民でファイナンスされている。それはもう、どこかの国の、アルゼンチン債とか何かとは全然違うわけで、アメリカの国債とも違う。だから、その点においては、やっぱり国債管理というのは、ほかの国とはちょっと違って、国さえ信頼されていれば、鳩山内閣さえ続けばこの国は安心ということで国債管理もやりやすくなるんじゃないかなと思うんです。  ただ、それに油断してはいけない。ただ、私が言いたいのは、日本の国債管理のやり方というのは世界とはちょっと違うんですよということも世界にやっぱり主張していった方がいいんじゃないかと思うんですが、そこに対してはどうですか。
  221. 藤井裕久

    国務大臣(藤井裕久君) おっしゃるとおり、日本の国債は内国債でみんな処理しているわけですね。内国債と外債というのとは意味が違うのは分かっております。意味は分かっておりますが、内国債であるから大丈夫だという議論も世の中の一部にあるのは承知しております。しかし、結局次の世代の人が返さなきゃならないという本質は変わっておりませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
  222. 平野達男

    平野達男君 財政規律を緩めてもいいという趣旨で申し上げたのではないということだけちょっとコメントをさせていただきたいと思います。  それでは……(発言する者あり)西田さん、ちょっとね、うるさいから少し静かにしてちょうだい。  それで、最後のテーマに移りますが、今度は公共投資の話に移らせていただきたいと思います。(発言する者あり)
  223. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 御静粛にしてください。
  224. 平野達男

    平野達男君 二〇〇七年に内閣府が日本の公共投資ということについてのリポートを発表しています。二〇〇七年ですから、今から二年前になりますか。そのときに日本の社会資本は七百兆あるというふうな試算が出ています。これは再計算コストとか再計算法とかいろんなやり方があって、どういうやり方やったかよく分かりませんが、七百兆ある。  あれから、これは二〇〇三年のベースに基づいていますから、それから公共投資続いていますので、今現在でいくともっともっとあるということになると思います。これだけの社会資本ストックができますと、これからこれをどうやってメンテナンスしていくかということが国としての大きな課題になってくるし、これは国だけじゃなくて自治体もそうだろうと思います。  ここに関しての前原大臣の御認識を伺っておきたいと思います。
  225. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今委員からお話をいただいたことで、一つ例を挙げてお話をいたしますと、橋、ブリッジでありますけれども、全国で十五メートル以上の橋というのが約十五万あるわけでありますが、そのうち現在通行禁止にしているのが百二十一と、そして、重さ制限、重量制限を加えている橋が六百八十ということで、メンテナンスができない状況にあると。これは地方が管理をしている橋でございますけれども、まずはお金がないと、先ほど委員がおっしゃったようにお金がないと。そして、技術者がいないと。こういうようなことで、どんどんどんどん造ったはいいけれども、メンテナンスのできていないインフラというものが増え続けていっております。  それと同時に、併せて申し上げれば、これから維持管理、それから更新もしていかなくてはなりませんけれども、そういった費用がどんどん増えていくということで、今までのストックというものをこれからも使い続けるということになれば、将来的には新規の投資がなかなか難しい状況になってくるんではないかと思っております。
  226. 平野達男

    平野達男君 ここに国土交通白書、二〇〇六年版の国土交通白書がございまして、ここには「増大は必至、社会資本の維持管理・更新費」という試算が出ています。この試算の内容について、簡単でいいから御紹介いただけますか。
  227. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 今委員がお手持ちの資料について若干分かりやすく簡略に説明をいたしますと、これからの公共投資額がフラットな場合はどうなっていくのかということでありますが、フラットな場合においても、先ほどお話をしましたように、維持管理費は一定程度毎年存在をすると。一番これから増えてくるのは更新費でございます。更新費がかなりの勢いで増えてくるということでございまして、フラットの場合でも新規投資というものが抑制をされるということであります。  ましてや、ケース二というのは、委員が御覧になっている下側の図でございますけれども、このケースで述べているのは対前年比三%マイナスということでございますけれども、そうなりますと、それで置いた場合にはどういう状況が生まれてくるかといいますと、二〇二〇年を越えたころからは更新できないインフラというものができてくるということになります。
  228. 平野達男

    平野達男君 もう社会資本ストックが膨らむということは、我々の利便性が向上するということで大変いいことでもあります。しかし同時に、今、前原大臣が言われましたように、これをきちっと管理をするということに今度はコストが掛かってくるということですね。  私は、今社会資本ストックはまだまだ偏在していますから、私みたいな岩手県出身者に言わせれば、まだ道路は必要だって言いたいところたくさんあります。あります一方で、新幹線も造る、高速道路も造る、飛行場も造る、この狭い国土の中で本当にどこまで整備を進めるんだということに対しての危惧もあります。  私は、こういう試算をきっちりやって、そろそろ日本は社会資本のストックの増大はもうしないんだということを原則にして、しかしやらないということじゃないですよ、パラダイムを転換して、もうしないということをきちっとしたデータで基づいて検証して、そして、できるだけダムにせよ道路にせよ造らない、造るならば整備水準はできるだけ簡単にするというような方向に転換していくんだということを、前原大臣、きちっと訴えられたらどうでしょうか。そこはどうでしょうか。
  229. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 全く平野委員に同感でございます。  この間、この場で三つの制約要因ということを申し上げました。人口減少、そして少子高齢化、そして対GDP比一・八を超える、一・八倍にも及ぶ長期債務ということで、こういった三つの制約要因の中でお預かりをしている税金をどう最適配分をしていくのかということになれば、少子化対策やあるいは社会保障、あるいは環境対策というものに優先的に使っていかなくてはなりません。したがいまして、公共投資というものは全体を見ても減らしていかざるを得ないと。  ましてや、委員が御指摘をいただきましたように、今までのストックの維持管理、更新というものもありますので、これからは維持管理をしっかりやるとともに、新規投資については相当制約をして集中と選択をしていかなくてはいけないと思っておりますし、そういう意味で、例えば空港整備勘定の見直しの中では、基本的にあのフレームでは新しい空港整備はしないと。もしするんであれば堂々と一般会計から要望していくということにしておりますし、また、それと同時に、港湾についても、国際競争力を強化するという観点での投資は必要でございますけれども、本当に選択と集中というものをしっかりやって、委員おっしゃったような観点から公共投資というものをしっかりとマネジメントしていきたいと考えております。
  230. 平野達男

    平野達男君 国土交通省内でも多分ストックマネジメントということの検討に入っていると思いますが、是非これをきちっと検証して数値的に出して、もう日本はこれからストックマネジメント、つまり、これまで造った社会資本の維持管理、更新に軸足を置いた政策を進めますよということをしっかりうたった方がいいんじゃないかと思います。  それと併せて、これからの時代に必要なのは今まで造ってきた社会資本ストックの有効活用です。補助金適化法とか何かいろいろ問題がございますけれども、造っているものはもうできるだけ使いたいという人にはどんどん使ってもらうというような、その制約要因を外すということも考えていただきたいというふうに思います。  それから、最後になりましたけど、ちょっと通告しておりませんけれども、八ツ場ダム、これを見直すということには、中止を前提とした見直しをするということは賛成です。特に、利根川についてはダム群、相当のダムを造りました。恐らく後発のダムほどダムの効用というのは限界、その効用がどんどんどんどん縮減していくはずです。そういったことをまずこれから数量的にきっちり示していただきたいと思いますし、ただ、同時に、前原大臣、何で八ツ場ダムが五十七年も掛かったのか、ここは御感想でいいですからちょっと言っていただけませんか。
  231. 前原誠司

    国務大臣(前原誠司君) 私は、八ツ場ダムの地元、そして川辺川ダムの建設予定地、地元にも行かせていただきました。  川辺川は今委員がおっしゃったように五十七年間、そして川辺川ダムについては四十三年間……(発言する者あり)八ツ場が五十七年間、川辺川については四十三年間ということであります。  大体、ダムの建設計画が起きますと反対運動が必ず起きるということでございまして、むしろ旗を立てて反対運動をされると。しかし、だんだんだんだん切り崩しを受けたり集落が分断をされるということの中で人間関係がぎくしゃくをしてきたりというようなことで、最終的には苦渋の選択として受け入れられると、こういうことが大体ダムの通例ではないかなというふうに思っております。  しかし、今八ツ場の御質問でございましたけれども、当初計画が二千百億円余りということでありますけれども、今の段階ででも、まだ本体工事に掛かっていない段階でも、今の最終見積りが四千六百億円ということでどんどんどんどん膨れ上がっていくと。  ちょっと極端な例を申し上げるのが適当かどうか分かりませんが、奈良県の大滝ダムというものについては当初計画が二百三十億円、そして最終的にでき上がったときに掛かった費用はこれまた四千六百と。しかし、湛水試験をしているときに水がたまらないというような状況になっておりまして、公共事業全体をやはり見直していかないと、時間が掛かってまたコストが増えると。  しかも、この間、脇委員でしたかね、私がお答えしたように、今の利根川水系の基本高水というものをクリアをしようと思ったら、八ツ場ダムを建設してもまだ足りないと、あと幾つもダムを造らなきゃいけないということでありますので、個々の河川管理というものを、先ほどもまさに委員がおっしゃったようなトータルマネジメントの中でどう行っていくのかということもしっかりと検証の上、明示をさせていただきたいと。今までのように造り続けて、湯水のごとく公共投資にお金を使い続けるという時代ではありませんので、しっかりと検証して見直しをしていきたいと思っております。
  232. 平野達男

    平野達男君 実は私も土木屋のつもりでいます。農林省で土地改良、農業土木の仕事をやってきまして、ダムの設計、建設にも工事課長として従事したことがあります。私の皮膚感覚からしますと、巨大プロジェクトのやるときの最大の問題は、まさしくいろんな地元との交渉です。先ほど地元感情という話がありますけれども、地権者との交渉に大変なエネルギーが掛かります。  この国には土地収用法という法律がございますけれども、これはなかなか使えない、これは過去の例がいろいろありますから。河川法というのは、もう御承知のように元々治水法で、後でそれに利水が加わって今の河川法になるんですが、治水法というのは数ある法律の中ではかなり強権的な法律です。それでも用地の交渉というのは慎重に進めざるを得ないんです。  私の感覚で言わせると、さっきの同じ言葉で言って申し訳ないんですけれども、大きな土木工事の工事を進める場合に、用地交渉、地権者、周辺の同意を得たら工事の大体八割、九割はもう終わったという感じでいます。あとは予算さえあれば、岩手県の言葉で言ったらだんがだんがと工事進められるんです。どんどん工事進められるんです。  何を言いたいか。つまり、八ツ場ダムは五十七年の中で、国交省どれだけまじめに用地交渉やってきたか、地元の交渉やってきたか分かりませんが、少なくとも地元の人は大変なエネルギーと、要するに感情的葛藤があったと思うんです。今は日本の場合は、ここでプロジェクトやりますよ、土地収用法掛けますよ、こんなのできません。掛けないから、時間を掛けてやってきた。そうしたら、仮に中止だということについては、多分同じぐらいの努力を掛けて地権者に説明しないとなかなか理解できないという形もあると思うんです。  これがやっぱり、そうでないと民主党のこれからの政策の姿勢も問われるし、前原大臣はそれを一生懸命になって一人で今やろうと、一人というか一生懸命やられようとしておりますけれども、一人でやるんじゃなくて是非役所も全部使って、今まで八ツ場ダム推進については役所が先頭に立ってやってきましたけれども、役人の知恵も使わせていただいてしっかりやっていってくれることを老婆心ながら言わせていただきたいと思います。  残余の時間、二分はございますけれども、後で質問者もおりますので、私の質問はどんどはれということで、ここで終わらせていただきます。  鳩山総理、頑張ってください。よろしくお願いします。
  233. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 以上で平野達男君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  234. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 次に、木庭健太郎君の質疑を行います。木庭健太郎君。
  235. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。  まずは鳩山総理、御就任おめでとうございます。さらに、私ども参議院の仲間から閣僚席を見ますと四名の大臣が誕生いたしております。是非御健闘をお祈りしたい、こう思っております。  そして、鳩山総理は本会議の我が山口代表の質問に対して、公明党と政策として似通った部分もあるとエールも送っていただいております。もちろん、私ども無駄ゼロ社会をつくる、例えば事業仕分を始めとして国民からお預かりした税金は国民のために全部使えるような社会にするんだ、こういったことにはこれまでも、これからも全力で取り組みたいし、また子供が主役の社会、子育てを行政や政治のど真ん中に置く、これも大賛成です。是非これも実現していきたいし、何より命を大事にする、生活を守る、こういったことについては、私ども全国に三千名を超える地方議員がおります。是非現場の意見を今の政権にも率直にぶつけさせていただきたいと思っておりますし、その一方で、やっぱり政権に何か問題があるのであれば、それについては国民目線で追及することもある、こういった姿勢で臨みたいと思っております。  総理総理はいろんなことをおっしゃるときに、何よりも大事なのは政治の信頼の回復だとおっしゃった。でも、政治の信頼の回復の一番根本は何かといったら、政治と金の問題については一点の曇りもない、これが私は基本だと思うんですよ。そういった意味で、総理の御自身の政治資金の問題、これまでの回答を、答弁をお聞きすると、やっぱりまだあいまいさというか不透明というか、よく分からないところがある。これはやっぱり国民の政治不信を加速させている、深めていると言わざるを得ないんですよ。是非、せめて何が起きているのかという概要だけについては総理御自分の口で是非御答弁をいただきたいし、その意味で今日、何点かだけこの問題でお聞きしたいと思うんです。  まず一つは何かというと、これまで明らかになっているのは、鳩山総理自身、この友愛政経懇話会の政治資金収支報告書に名前が載った分ですね、個人献金、これについては記者会見で、亡くなった方、実際に献金を受けてなかった人の名前も使ってしまった、言わば偽装と言われるものが百九十三件、二千百七十七万円あったということで、これについては訂正をした、これはよろしいですか。
  236. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 公明党さんとは、先ほど木庭委員からお話がありましたように、大変政策的にも近いものがたくさんあります。協力できるところは大いに協力していただきたいし、私どもも公明党さんの様々な政策に対して共鳴できるところは是非政府の中に取り入れさせていただきたいと思います。  今お尋ねがございました。(発言する者あり)だますつもりはありませんから。私は国民皆さんに、改めて、このようなことを私どもの事務所全体起こしてしまったこと、本当に申し訳なく思います。そのことによって政治の信頼が失われたということになれば当然おわびを申し上げなければならないことだと思います。真相の究明に向けて全力を尽くしてまいりたい。  その中で、今お尋ねがありましたことは事実でございます。六月三十日の時点で判明した事実として申し上げました。
  237. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 それで、私が御指摘したいのは、その部分があるんです。でも、その友愛政経懇話会のこの主たる部分というか主体になっているのは何かというと、実はその発表をされた部分でなく、どうも金額を見ていくと、その政治資金報告書に寄附者の名前を記載する必要がない、いわゆる匿名献金ですね、これの額が結局〇四年から〇八年だけでも約一億八千万円弱あるんですよね。こちらがどちらかというと大きい。  でも、この問題については総理は何とおっしゃっているかというと、記者会見のときにですよ、疑いがあるかもしれない、調査をさせていると、こうおっしゃったんです、六月に。その後は一切このことについてはおっしゃってないんですよ。だから全体像が分かりにくい。  私がお尋ねしたいのは、それがどれだけあったか、個別のことは、それは捜査中だからなかなかはっきり言えない部分はあるかもしれませんが、私が申し上げたいのは、疑いがあるとおっしゃっている以上、じゃその一億八千万円弱の匿名献金、これは、報道されているように、ほとんどがどうも偽装献金の疑いがあると認識されているのかどうか、これだけはお答えをいただきたいと思います。
  238. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 六月三十日の時点で疑いがあると申し上げたことも事実でございます。  木庭委員、むしろお分かりのとおり、私はあの事件の直後から、これは前から何度も申し上げておりますように、元会計の実務担当者とは一切接触をしてはまかりならぬということになりました。したがいまして、私として分かり得るすべての資料というものは、今地検において捜査をして、そこで調査をしているところでございます。  私は、その中で報道があることは存じております。しかし、一部始終、その中でほとんどなのか、あるいはほとんどは違うのか、そこのところは分かりません。したがって、これはまさに元実務担当者も協力をするべきだと思いますが、今地検の中で鋭意調べているところだと思っておりますので、私の知っている事実として申し上げられるのはそれがすべてだということで御理解を願いたいのであります。
  239. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 確かに秘書に今聞くべきではない、それはそれで一つの見識だとは思うんですよ。ただ、この匿名献金というのは、それは政治資金報告書には名前書かなくていいんですけれども、事務所に備付けの会計帳簿には、これは必ず寄附者の氏名そして日付そして寄附の金額、この三つを書かなければならないことになっているんです。これは秘書に聞く必要ないんです。事務所備付けの帳簿にどうなっているかという問題なんです。  そこで、じゃ、聞き方を変えますが、この会計帳簿ですが、これは自由に見れたわけですから、これを御覧になって、これは報道ではどうなっているかというと、会計帳簿にはほとんど名前の記載がなかったと、こうなっておりました。この点は事実ですか。
  240. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) ほとんど名前がなかったかどうかということは、私は、報道としてはそのようなことがされておりますが、事実として存じ上げているわけではありません。そこもすべてもう提供をいたしているところでございます。そして、したがって元実務担当の者が、これが、これはそうだ、これは本当に寄附したんだということを一つ一つ彼が判断をして解明しなければ分からないところだと思っておりますので、したがって、私としては今すべて地検にお任せしているという状況であることでございまして、御容赦を願いたい。
  241. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は別に、どれだけあってそれが本当かどうかと聞いているんじゃなくて、帳簿をそれはめくってみれば、名前があるかないかだけというのは、それが偽装なのかどうなのか分かりません。でも、名前がなかったかあったかぐらいは、これは分かるんじゃないですか。
  242. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私自身は帳簿を見ておりません。したがって、すべて帳簿を含めて証拠となる資料を全部提供しておりますので、地検に判断をゆだねたいと、そう申し上げているのであります。
  243. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ちょっと聞き方を変えさせていただいて、もう一方、このどうも偽装献金の元のお金ですね、原資ですね、これはどうも総理が自分で調べてみると、六幸商会という御自身の、これは資産管理の会社ですか、それがあって、私どもはちょっと自分の資産を管理する会社なんて持っていないものですから、そういうのがあって、その上で、そこからどうも会計実務担当者がお金が足りなくなりましたと言った場合、この口座から総理が署名をされて引き出していた、これは事実ですかね。
  244. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) はい、それは事実でございます。私の友愛政経懇話会のお金部分のみならず、個人の議員としてまた個人としてのお金もある意味で引き出す場合、彼にゆだねておりました。
  245. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 そうしたら、総理、これは御自身で署名されているんですから、少なくともそう言って、秘書から言われて、この四年間でですよ、御自身が署名されて引き出された額は数百万なんですか、数千万なんですか、億を超えるようなお金が出ているんですか。
  246. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今、その詳細のお尋ねがあろうと思っておらなかったので正確には分かりませんが、毎年それは数百万から、あるいは数百万を超えていたかもしれません、そこは正確には分かりませんが、年に何回か引き出すことに私も署名をしているのは覚えております。
  247. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 なかなか御答弁いただけないんですけれども、六月からやっぱりもう半年近くたっているんですから、少なくとも御自分の口で語れる部分というのはやっぱり語っていただきたい。それがある意味では政治と金という問題できちんとできることだと思うんです。是非とも、記者会見とか何かやるお考えないですか。
  248. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) この額の問題、引き出した額が毎年どのぐらいになるかということは、正確に調べれば当然分かる話でありますので、お答えをさせていただくことはできると思います。  また、そういうことに関して今記者会見をということを考えているわけではありませんが、もし新しい事実というものが出てきて、私が知り得る状況になって、それを記者会見した方がよろしいという判断があればそのようにいたしたいと思います。
  249. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理、この問題がもう一つ国民の不信を買うというのは、これはもう総理も私も同じように感じていると思うんですけれども、これがもういつもの政治の、政治と金のパターンと同じところにはまっているところなんですよ。つまり、一番我々が嫌だった、秘書が秘書がという話ですよ。政治家とこの秘書の関係をどうするかという、秘書がというやつが続いたでしょう。総理の場合もこれと同じような構造にちょっとはまっているようなところがあると思う。  この政治家と秘書という関係について、そしてこのどう責任を取るべきかという問題について、総理はどうお考えですか。
  250. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 秘書は当然私のために働いてくれていたわけでありますから、その秘書が私を信頼して、また私も秘書を信頼していたがためにこのようなことになってしまい、国民皆さんに御迷惑をお掛けしたこと、本当に申し訳なく思います。秘書がやったことだからおれは関係ないよという思いを、こんな思いでいるわけではありません。大変痛烈な思い、痛切な思いを感じていることは事実でございます。  責任の取り方、法的な責任の取り方に関しては当然これから司法が判断をすることになろうかと思っておりますが、道義的な責任というものも痛感をしているところでございます。どのようにしてその責任を取るかということで、様々おわびなどは申し上げているところでありますが、その責任の取り方に関していろいろと勉強してまいりたい。  ただ、やはり、このことが事実として判明をしておきながら、そして国民の多くの皆さん、まだまだ鳩山、説明責任果たしてないよと思っていただいているのも事実だと思いますが、それにもかかわらず、でも政治を変えろという大きなお力をいただいていることも事実でございまして、そのような中での責任の取り方の在り方を考えてまいりたいと思います。
  251. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理ね、今の法律でいくと、法的責任という問題をおっしゃいましたが、確かに法律の中には監督責任とかそういうことを問えると。ただ、構成要件が物すごく難しいんです。だから、現実に今のこの政治資金規正法では、例えば会計責任者とか秘書がやったとしても政治家に問えないですよ、これは。  だから、だから是非私ども提案しようと思っています。何かと。少なくとも会計責任者がこの虚偽記載等をして罪に問われるということが確定するならば、政治家は即座に監督責任を問われて公民権停止をする、これぐらい厳しい法改正を是非すべきだと思いますが、この点、総理はどう考えますか。
  252. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 政治とお金の問題に関して、秘書の役割、特に会計責任者の役割というものは大変重いものがあると思います。私の場合は会計責任者ではなかったわけでありますが、しかし、いずれにしても今のお話などは大変ある意味で十分に議論するべきテーマだと思っておりまして、まずは国会の中で与野党を超えて大いに議論をしていただきたいと思っております。
  253. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 この問題とともに、国民目線で見ると本当分からないのが日本郵政株式会社のやっぱり社長の問題、副社長の問題ですよ。やっぱり国民目線で見る。だって、民主党はまず真っ先にやられたのは、現職官僚の天下りの全面禁止をやったわけですよ。で、しばらくたったら、あれ、これ郵政会社は、あら、社長は大蔵次官、副社長の二人まで元官僚、こういった問題が起きている。これは天下りじゃないですか。総理に聞きたい。総理に、総理にお聞きしたい。
  254. 亀井静香

    国務大臣亀井静香君) 木庭議員に──ちょっと、じゃ、こっち、こっち聞いてくださいよ。私の答弁は聞きたくないんですか。  いや、私は、議員のどうも御質問とは、どうも私は解せない。だって、役人をやった人は何か悪いことをしているみたいな、能力がないと。いいですか。それは、天下りは、いいですか、天下りが悪いのは、この役人をあなたの会社で引き取ってくれればこれだけ仕事の土産を渡しますよという、かつてそういうことがうんと行われたんですよ。そういうことは絶対にやっちゃならぬ。  そうじゃなくて、役人で非常に優秀な方もいるわけでしょう。その方が、役人を終わったら、もう隠居暮らしをして、社会に貢献をしたらいかぬなんということは、私は、マンパワーの損失ですよ、国家から見て。いいですか、木庭議員、そういうことをやっていいんですか。  私は、郵政事業という私は壮大な新しい事業をやろうと思っているんですから。かつての小泉さんががたがたにした事業の前に戻す気は全然ない。それをやるには、もう有能な、しかも統率力のある、なまじっかな人物じゃ駄目ですよ。私は考えに考えた上であの方にお願いしたわけであって、あなたにそういうことを言われることはないと、私はそう思う。  以上。
  255. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今回の日本郵政株式会社の人事に関しては、この郵政株式会社は、御案内のとおり、一〇〇%政府が株を持っているということであります。その株を持っている政府が、すなわち現実は亀井大臣でありますが、が選任をすることができるわけであります。  したがって、選任をしたわけでありまして、いわゆる天下りというのは、先ほど大臣が申したように、役所が退職後のまさにOBを自分たちの影響力のあるようなところに、団体などに再就職をさせることであって、今回の話はそういう人事ではありません。
  256. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 官房長官、官房長官、衆議院の議院運営委員会にこの鳩山政権としての天下りに関する見解を、統一見解を文書で出されたとお聞きしておりますが、どういった内容ですか、御説明ください。
  257. 平野博文

    国務大臣平野博文君) 突然の御指名ですが、いわゆる天下りというのは、各省庁が退職後の職員を職員の手によってさせるということを天下り、いわゆるあっせんと、こういうふうに呼んでいると、こういうことでございます。
  258. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今の官房長官の発言と総理の発言はちょっと違っていませんか。  私がちょっと言いたいのは、総理はまずこの天下りの問題、日本郵政公社の社長人事のことを聞かれて、最初、衆参の本会議では何と答えられているかというと、十年以上たっているとおっしゃっているんです。言わば、ある年数がたてばいいじゃないかということをまずおっしゃっている。その次に、十一月二日、衆議院の予算委員会では何とおっしゃっているか。こうおっしゃっています。先ほどの答弁と似ています。民主党として天下りあっせんを禁止しなきゃならない、そう言っているのは何か。それは、そのあっせんによって、元いた役所の影響力を新しいところに行使する、これが大変な癒着、無駄遣いを生む温床となる。いい話ですよ。元いた役所の影響力というものがあってはならない。私は、いろいろ財務省にも調べました。もう既に影響力というものはない方であるという状況の中で、冷静な判断を申し上げたと、こう言われている。  しかし、今、官房長官が答えられたのは違いますよ、全然見解が違いますよ。ぶれていますよ。先ほどの統一見解でいえば、総理は何を調べられたんですか、財務省に。調べる必要ないじゃないですか。府省庁があっせんした者でなければ、それは天下りではないとおっしゃっているんじゃないですか。何のためにこれ調べるんですか。
  259. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) だれですか。
  260. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総理です、総理が調べられたんですから。
  261. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私は、天下りの定義というのは、先ほど官房長官が申したとおり、そして私が今この官房長官と同じ話を官房長官より前に申し上げた、それが天下りの定義であって、あっせんの定義で、今回はまさに天下りのあっせんではないと。ただ、いろいろと斎藤社長のことに関して様々な御批判がありましたから、それに対して更に付け加えて私がいろいろと申し上げた、もう既に十年以上たっているではないかと、影響力というもの、影響力という話も申し上げたけれども、影響力というものももう事実上消えている方ではないかというようなことをあえて付け加えさせていただいて、だから大丈夫ですよということを申し上げたわけであります。(発言する者あり)
  262. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 皆様に一言御注意申し上げますけれども、答弁中のやじで委員長すら言葉が聞き取りづらくなりますので、程々にお願いを申し上げます。
  263. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私は、今総理が言われた方の方が統一見解よりもよっぽど実態をきちんとしていると思うんですよ。手続論だけのことで天下りというものがどうだということよりは、実態に合わせて、私は総理答弁の方がよっぽどましだと思う。ある意味では、これはだからそういう意味では民主党が出された統一見解というのはおかしい、こう思っております。そういうふうにして見ていけば……(発言する者あり)まあもうこの問題はここまでとします。またこれは御指摘をさせていただきたいと思います。  次は何の問題かと申しますと、補正予算の、第一次補正の凍結の問題でございます。  これ凍結、まあ鳩山政権になってばんと切り込んできましたから、その新政権の意欲は感じましたよ、意欲は。でも、やったことによって何が起きているのかということについて、もうちょっときちんと点検をして、説明をすべきものはもっときちんと国民に説明してもらいたい、こう思いますよ。例えば、子育て応援特別手当の問題、やっぱり地方自治体に混乱をもたらしたりショック受ける人をつくっちゃいけませんよ。  そしてそれ以上に、もう一点、国民に是非丁寧な説明をしてもらいたいということとともに、何を申し上げたいかというと、この第一次補正とは何かというと、結局、景気対策のために私たちは一応組ませていただきました。これを削ることによって何が起きるかというと、今でさえ厳しいこの景気、雇用の問題が更に厳しくなるんじゃないかなと、このことが一番心配だった。そして、そのこと自体も実際、これは菅副総理が発表されたんですかね、内閣府として、この補正予算の一部凍結によってGDP成長率がこれまでの想定と比べて〇・二ポイント押し下げる、つまり厳しくなるということを率直に言われているわけですよね。  これをまず総理としてどう今の事態を実感されているのかということとともに、やはり、ここからも声がありましたけれども、とにかくだから今の状態を受けて手を打たなくちゃいけないときだと思っているんです。この状況に対してどんな手を打とうとされているのか。認識とどう手を打とうとしているか、総理からお聞きしたいと思います。
  264. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) まず、約三兆円の執行停止をしたことで〇・二%の成長率にマイナスの効果があるというのは、私は、これは事務方の計算で、後年度の支出の予定もありましたので、今年度についてだけの影響を考えると〇・九兆、いわゆる九千億程度と、それをGDPで割ると大体〇・二%という、そういう数字でこれを客観的な数字として発表いたしました。  しかし、私は、同時にといいましょうか、その直後に発表しました鳩山総理本部長の雇用対策本部で、十万人の新規雇用、これは例えば人材育成の七千億のうちの三千五百億はありますし、いろいろな財源がありますので、そういうものを使っての新規雇用十万人というものを発表しております。これについても改めて計算をさせました。なかなか計算が、単にこれに掛かった費用だけをすれば何か〇・〇一とかというんですが、しかし、十万人の雇用が発生して安定的にその人が仕事をすることになれば年間三百万円程度のサービスなり物の生産ができますから、そうすると三千億程度のことにはなりますので、私は少なくとも〇・一程度はそれで回復はできると思いますし、あわせて、約三兆円の凍結したものについてはこれから従来よりももっと国民にとってプラスになるものに振り向けたいと思っていますから、それは国民皆さんにも期待をしていただきたいと思っています。
  265. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 私が申し上げたいことを菅大臣から話されてしまったんで残りがほとんどなくなりましたが、ただ、子育て応援特別手当に関しては、やはりそれは期待されていた方もおありになったと思います。御迷惑をお掛けしたことは長妻大臣からおわびを申し上げたところでございまして、またいろいろと、行政的にいろいろと混乱が生じたことを本当に申し訳ないと思っています。ただやはり、より効果的なところに使いたいという思い、菅大臣思いも御理解をいただいて、確かに三兆円減ればそれは影響が出ます。しかし、その三兆円をより良いところに、もっと効果的なところに使うために努力をしたいと思っておりますので、木庭委員にもまたいろんな意味で御協力願えればと思います。
  266. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 菅副総理お話聞いていて、緊急雇用対策と、もう一つはやっぱり経済対策も打たなくちゃいけないという御答弁だと思うんです。  この前、平野委員の質問に対して総理は、補正予算ここで明言した方がいいんじゃないかと言われたときに、総理はできるなら生み出したこの三兆円を何とか有効に使ってこの補正予算というものもというようなことをにおわされました。におわされました。  是非、やっぱり二次補正を私もやる必要があると思っています。その規模についてはいろいろ意見があるでしょう。総理、この三兆円以上のようなことを考えていらっしゃるのか、今いませんけれども、あの方は十兆円以上とかおっしゃっていました。是非、この二次補正をどうやるつもりでいらっしゃるのか、総理からこれは御答弁をいただいておきたいと思います。
  267. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 御案内のように、これから雇用経済情勢、決して楽観が許されないという状況が続くと思います。これから年末に向けて状況をしっかりと見定めていきながら、必要があるというふうに認められたときにやはり組まなければならないことだと、そのように思います。  そのときの規模は、三兆円から十兆円までですか、いろんな議論があろうかと思いますが、しかしそれは、まず一番大事なことは財政、財政というものも健全化、これも大変大きな目標でありますから、そこのところもしっかりと勉強させてもらいながら、しかしながら、規模以上に効果的な、効果があるような、そんなものを組んでいければというふうに考えているところであります。
  268. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つの方の雇用の問題です。  先ほど菅副総理がおっしゃったように、緊急雇用対策というのを打たれた。十万人どうにか捻出すると。でも、見させていただきました。それでちょっと感じたのは、あれっと思ったところがある。それは、例えば緊急雇用創造プログラムって三つの重点分野があったじゃないですか。そうすると、介護雇用でしょう、グリーン雇用でしょう、地域社会雇用でしょう。何かこれ、私たちも何か一生懸命やったような記憶があるんです。前とどこがこの新しい緊急対策は違うのか、簡潔にちょっと御説明いただけますか。簡潔で結構です。
  269. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 率直に申し上げて、昨年、私どももトランポリン法案という形で、当時は野党ですが、三党で出しまして、残念ながらそのときは与党の反対で否決されましたが、その内容に近いものを七千億のいわゆる人材支援の中に入っております。ですから、私たちはいいものはそっくりそのままもちろん継続させていただきました。  と同時に、私たちがその中で特に注意をしているのは、今、木庭議員の方から三つの分野ということも言われましたが、それを確実に推し進めるための検証のためのアクションチームをつくっております。例えば、年末もああいう派遣村のようなことにならなくて済むようにということで、自治体にもお願いをして、ワンストップサービスを何とか実現できないか、住宅も何とかならないかということもやっておりますし、新卒者の問題などについてもアクションチームをつくってフォローしておりまして、まさに今そのアクションチーム自身が動いているというのは、私は、従来のやり方よりも少なくとも政治家が動くという意味ではある意味で積極的なやり方ではないかと、このように考えております。
  270. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 菅副総理、ちょっと心配しているのは、例えばグリーン雇用とおっしゃっている。さっき林道の話ちょっとされましたよね。ところが、第一次補正のときに、例えば林道を造るための予算ってあったんですよ。でも、これは一応凍結されたと思いますよ。  それから、ちょっと幾つかあるんです。例えば、耕作放棄地の再生利用緊急対策交付金、これも、実際に今使っていないということで全部これもう減額されたところありますよね。だから、雇用を創出する、それはもう是非やっていただきたい。でも、そのための環境整備というのをどうしていくのかということについてちょっと矛盾が来ていないか。  だから、前政権のいいものは是非それはやっていただきたいんですけれども、その辺のそごというのが出ないのか、じゃ環境整備のために何を新しい政権はしようとしているのか、その辺を是非教えておいてください。
  271. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 実は、民主党は、二年ほど前に林業再生プランというものを当時の私の責任の下に作りました。その中で特に申し上げたいのは、例えば森の間伐をすれば森に大変いいことだというように一般的に言われていますが、これまで多くの補助金は切捨て間伐に投じられているわけです。つまり、路網がありませんから、つまり作業道がありませんから、切ることはチェーンソーを抱えた人が一人入れば切れるんですが、材が出せません。ですから、今の山田農水副大臣は切捨て間伐には一切金を出さないということを言明されておりますけれども、まさに路網を造れるかどうかが私は日本の林業を再生する一つの大きな要素だと思っています。そういったことについて私も幾つかの現場を見てきましたし、ドイツの例を見てきました。  もう一つは、団地化するというような問題もあります。これはまあ余り細かく言うと時間が掛かりますのでこの程度にさせていただきますが、少なくとも林業再生において私どもの提案は、党としての提案は、直接雇用十万、それから生まれた国産材を使った川下まで含めれば百万の雇用ということを二年前に提案しておりまして、できるだけそれに近づけるように頑張っていきたいと思っております。
  272. 赤松広隆

    国務大臣(赤松広隆君) お答えをしたいと思いますが、御指摘の点は森林整備事業の返納額二百四十六億円についてのお話だと思います。しかし、これにつきましては、実は箇所別にきちっと調査をいたしまして、今年度中に執行ができないというものについてのみ二百四十六億返納をさせたということで、もう既にやっているもの、あるいはもうその事業が進んでいるものについてはそのまま認めたということでございます。  あと、大きいのは、農水省の場合は例の農地集積の三千億円もありましたが、これなんか三千億円ですから、しかも三千億円を全部土地を出す方にだけやっていくなんということはこれはどう考えても無駄遣いだということで、これは全額カットをいたしました。  ただ、一方、その貸し手と借り手と両方のあっせんをする人、この人たちが土地のあっせんをするためにいろいろ御苦労いただくというところについては現実的にゼロではありませんから、そういうところはきちっとやっていただけるように八十億円の手当てをしているということで、必要なものはちゃんと出す、必要じゃないものは大胆に切り込むというのが今回の補正のカットでございます。
  273. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 まだ納得していないところもあるんですけれども、是非、本当にそのグリーン雇用に人が誘導できるようなやっぱり環境整備という問題はこれからお金を付けて考えてもらいたいということなんです。  もう一つ大きいのは、やっぱり介護の分野ですよね。これ、何で介護の雇用ということを言いながらなかなか付かないのか。もうなぜかという一番の中心は分かっていると思うんですが、長妻厚生労働大臣、どうですか。
  274. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  今全く御指摘があったとおり、介護分野というのは雇用という側面から見ても非常に有望な分野、そもそも介護事業そのものが今ほころびを見せておりまして、それを立て直す絶好のチャンスだと私は考えておりまして、介護では有効求人倍率が一以上と、いまだにそういう数字であります。  そして、なぜ介護になかなか人が来ていただけないのかと。一つはやはり処遇の問題で、お給料が、その労働に見合った部分が報酬があるのかどうかと、こういう点。それともう一つは、それをスムーズに移行するそういう研修のプログラムが不十分ではないのか、あるいはその広報も不十分ではないのかということで、これは私ども、新しい緊急雇用対策のメニューでございますけれども、介護施設で働きながら、そして夜などの時間を利用して講習を受けてホームヘルパーの資格を取っていただくと、こういうこともございますし、前の事業の延長で、無料で介護の職業訓練を受けていただくと同時に、雇用保険が切れた方あるいはない方に関しては、介護保険の講習を受けると同時に、一定の条件で生活費を一か月十万円支給すると、こういうものも今全力でPRしているところでございます。  私も先日、新宿の介護の訓練施設に参りましたけれども、そこは定員が二十人のところ七十人の方が面接に来られて、職業訓練にもかかわらず五十人の方は面接で落として御遠慮せざるを得ないということで、非常に希望者が多いのでこの部分を拡充をしていきたいと。そして、私どもとしては、最終的にこの四年間の間で介護報酬を順次上げて、最終的に一か月四万円の月給の上昇というのを考えているところでございます。
  275. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 介護問題につきましては、私ども公明党も、今地方議員さん三千人と、この介護問題というのはこれからの一番日本に大きな問題になっていくので総点検もやらせていただいているんですけど、これはこれでまた別途提案もさせていただきたいんですが、今おっしゃったその介護報酬の問題、そのいわゆる介護報酬の中での何%という問題とともに、やっぱりいろんな形で、さっきおっしゃいました例えば深夜の手当の問題とか、様々な方法でこの待遇改善ということをやっていかないとこれはなかなか難しいと思っています。  もう是非とも、先ほどおっしゃっていただいた点も含めて、この処遇改善へどう全力で取り組むのかと。もしあれば。
  276. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  基本的にはその介護報酬の改定というのがございますので、その介護報酬の改定の中でそういう部分に手厚くしていくと。ただ、その介護報酬の改定でも、その部分が事業所の経費に流れて職員の方の処遇に結び付かないということがあってはいけませんので、それについても詳細を把握して、きちっとフィードバックする仕組みもつくりながら処遇改善をしていきたい。  あるいは、環境についても、やはり腰を痛めてしまうホームヘルパーの方もおられますので、介護の施設の中で、介護ロボットというか、高齢者の方を支えるそういう設備等々の充実にも力を入れていきたいと考えております。
  277. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つ、雇用創出とともにセーフティーネットづくりという問題で、先ほど二度とああいう派遣村みたいなのをつくらないという強い決意でワンストップ化をされるような問題も御提案をいただいております。しかし、このセーフティーネットづくりでもう是非とも緊急にやっていただきたい問題が、そして仕組みをつくっていただきたい問題が私たちとしては二つございます。  一つは何かというと、雇用調整助成金のこの要件の緩和、生産量要件の緩和でございます。この雇用調整助成金というのは何かというと、労働者が辞めないで雇用を維持してくださるという企業に対して言わば休業期間中の手当を国が補償する制度でございまして、もうこれはかなり拡充することが私どもできまして、月間で二百万人を超えるような人たちがこれを活用していただいていると。もう極めて重要な一つの施策だと思っております。  ただ、これ、要件がありまして、何の要件かというと、支給できる要件が一年前の生産量に比べて五%以上仕事がダウンするということが要件なんです。正直申し上げて、これだけ不況が長引いていますから、じゃ一年前を基準にされてしまうと、これから年末そして年度末にかけてこの調整助成金が受けられないというような企業が大量に出る危険性が本当にあるんです。この生産量、いわゆる一年前との比較じゃなくて、ここの部分の緩和だけはもう早急に、是非とも総理、これだけは取り組んでいただきたい、こう思っておりますが、いかがですか。
  278. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 生産量要件の緩和ということについては、既に、さきに発表しました緊急雇用対策の中に……
  279. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 入っていない。
  280. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 盛り込む方向で検討しておりますし、それから、更に言えば、雇調金そのものがやや少なくなっておりますので、それに対しては、場合によっては今後の財政措置をも考えなければならないと。  この雇用調整金が現在のこれ以上の失業者の増大を止めているという効果は非常に大きいものだと思っておりまして、それが今言われたような長引いたことによってストップされないように確実に処置をしていきたいと考えています。
  281. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 菅さん、ちょっと見ておいてください。この前の発表のときはこれが入っていないんですよ、この前のときは。生産量要件が入っていないんですよ。是非ここは、もう今入れるとおっしゃっていただいたんですからもうそれで結構ですが、ちょっとその辺は見ておいていただくと。
  282. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 確実に今後につなげるようにしていくということを総理の了解の下でお約束いたします。
  283. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つのセーフティーネットで、是非その仕組みということで、これはもう民主党さんがずっと前からやっておられて、私ども公明党も、つくった制度といったら何かというと、実は雇用保険の対象や失業給付の対象にならない労働者に対する訓練・生活支援の問題なんです。  私どもは、ようやくこれ、政府、舛添さんいますが、納得していただいて、前回、この仕組みは創設はさせていただきました。ただ、これはどうなっているかというと、訓練・生活給付は、訓練することを条件に月十万から十二万生活費が支援できるという制度なんですけれども、これは二十一年度、つまり今年度と来年度二年間の今仕組みになっているんです。これはもう是非恒久化するというのは当然のことだろうと思いますが、是非とも、二十二年度にはこれは終わってしまいますから、二十三年度にはこれは恒久化という方へ向かって是非ともこれはもう直ちに検討に入っていただいて是非実現をしていただきたい、このように考えますが、総理の、どなたです、長妻さんですか。
  284. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今大変重要な御指摘をいただきました。  日本の国におきましては生活保護という制度と雇用保険という制度がございますけれども、その両方にも当てはまらない方、雇用保険が切れた方、あるいは自営業の方というのは元々雇用保険がございませんので、そういうはざまにおられる方を何とかしなければいけないということで、野党時代の民主党も含めて求職者支援という考え方を打ち出し、時の前政権も取り入れていただいて、今基金講座ということで無料で職業訓練を受け、そして生活費も一定の条件で月十万円あるいは月十二万円雇用保険がない方にお支払いすると、こういう制度がございます。  おっしゃるように、平成二十三年度からこのお金がないわけでございますけれども、しかし、私どもとしては、この制度は非常にいい制度でございますので、平成二十三年度からは恒久的な措置として法律の措置をして、これを恒久措置として二十三年度以降も継ぎ目なく続けていきたいというふうに考えておりますので、御協力をいただきますようよろしくお願いします。
  285. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私の質問の最後に、命の問題というか難病対策でちょっとお聞きしておきたいんです。  難病対策というのは今年度大幅に予算が四倍ぐらい付きまして、新たな調査研究事業が始まりました。そして、初めてのことなんですけれども、これも当時の舛添厚生労働大臣に決断していただいて、いわゆる治療費を受けられる難病、いわゆる医療費助成が受けられる難病を一気に十一増やしていただいて、今五十六なんです。十一増やして、これいつから実施するかということは大変いろいろ問題があったんですけれども、これは長妻厚生労働大臣に頑張っていただいて、十月から既にもう十一を増加したというのが今の実態なんです。そういった意味ではこれは感謝を申し上げます。  ただ、感謝を申し上げながら概算要求を見たら、概算要求です、この難病性の疾患克服研究事業がようやく頑張って百億まで拡大したのに、来年度概算要求七十五億になっているんですよ。四分の三になっちゃう。もう患者団体始め物すごいみんな、もう少数の人たちの集まりですから物すごい不安がっています。何でこんなことしたんですか。
  286. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えを申し上げます。  前段で委員が御指摘された特定疾患治療研究事業というものにつきましては、今年の先月の十月三十日より、今まで四十五の疾病でございましたけれども、これに十一疾病を新たに加えさせていただきました。それにつきましては、その十一疾病に該当する患者さんは、追加ではありますが、今年の十二月三十一日までに申請すれば十月一日以降の医療費からさかのぼって受けられると、こういう措置もとらせていただいているところでございます。  そして、お尋ねの難治性疾患克服研究事業と、こういうものでございますけれども、これについては、前政権の御努力もあって、平成二十年は二十五億円の予算、そして二十一年度の予算額が百億円ということでございますけれども、これにつきましては、他の研究事業との役割分担等を行って、研究費予算の効率的、効果的な活用により、これまでと変わらない研究を図ることができるということでこの予算を付けさせていただいているところでございますので、我々としても実態を把握をしてきちっと予算を執行していきたいというふうに考えております。
  287. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私がお付き合いをしている、まだ難病にもなっていないんですけれども、多発性再発性軟骨炎という病気があります。これ、まだ診断基準も原因も分からないんですよ。治療方法もないんです、難病に相当するんですけれども。でも、これ、この診断をどうやっていいかという基準もないんです。日本に一体何人いるかも分からない。こんな病気がもう物すごいいっぱいあるんです。  これ、どんな病気かというと、軟骨炎というのは軟骨が溶けるんですよ。だから、外形、鼻が突然陥没したり耳がここからなくなったり。これはもう全身、体中に痛みが関節に走るわけです。激痛です。胸に来たらどうなるかと。呼吸困難になって亡くなった方が何人もいらっしゃいます。こんな病気もまだ難病にも指定されていない。もうこの方たちも一生懸命、何とか難病指定にならないかと頑張って今一生懸命やっていらっしゃるんですけれども。  こういった病気に対して、先ほどおっしゃった、これは研究事業として初めてやろうということで始めて、二百ぐらいいろんな病気が是非これやってもらいたいということで要請があって、その中の百だけ認めて、今ようやく、もう研究の前の研究ですよ、診断基準を決めるというんですから、一体日本に何人いるかと調べるというんですから。そんなことから今ようやく始めている、その予算がこれなんですよ。  これを形変えるといっても、削るという話になれば、これはもうやっている皆さんにとってみれば物すごい、総理は友愛という理念の中で本当に少ない人たち、命の問題に対しては取り組まなくてはとおっしゃった。衆議院でうちの富田がこれは薬品の問題を質問しましたね。私は、総理、そこまでおっしゃるんだったら、まさに総理、命の特別枠を本当に総理自身がきちんとつくっていただいて、そういう本当に少数の人たちをよく見ていただきたいし、これについては私は是非復活していただきたいと思うんですが、いかがですか。
  288. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 人の命をとことん大切にする、そういう政権でありたいと思います。それだけに、今、木庭委員から御指摘がありました、まだ新しい政権でありますから、不十分なところもあるいはあろうかと思います。そういったところを一つ一つしっかりとチェックをしながら国民皆様方に、特に政治というものは弱い立場方々のためにある、少数者の、少数の方々の命こそむしろ大切な政治だと、そんな思い努力をしたいと思いますので、今の話はしっかりと受け止めさせていただきました。
  289. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 肝炎対策なんですけれども、何回も答弁されているんですけれども、私ども公明党も自民党さんと一緒になって、あした、あさってですかね、肝炎対策の基本法をようやく出せるところまで来ました。ちょっと事情は分からないんですけれども、民主党さんも多分出されるんだろうと思いますが、近々。我々も、国の責任を明記する、肝硬変とか肝がんについてもこれ対策するというような法案になっています。是非、私どももこの国会で、この臨時国会でこの基本法だけはもう是非成立させたいと思っています。総理の決意を改めて伺って、次へ譲りたいと思います。
  290. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 肝炎対策のお話でございます。  これは今、もう急ピッチで各党で御議論が進んでいると伺っております。できる限り、様々なやり方があろうかとは思いますが、いずれにしても今国会の中で成立させるべく努力をしたいと、そのように思います。
  291. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 関連質疑を許します。谷合正明君。
  292. 谷合正明

    谷合正明君 公明党の谷合です。  私も木庭議員に引き続きまして、関連質問ということで、雇用について、特に来年春卒業予定の高校生、また大学生の就職支援についてまず伺いたいというふうに思います。  今回の緊急雇用対策本部の本部長は総理でございます。まず総理に伺いたいと思いますが、総理御自身、若いころにどんな就職活動をされてきたのか、ハローワークを使ったことがあるのか、そんな御経験があればよろしくお願いいたします。
  293. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 谷合委員にお答えを申し上げます。  私は大学、日本の大学を出てアメリカの方に留学をいたしました。留学から帰るころに東京工業大学という大学の方から誘いがありました。したがいまして、恐縮ではございますが、就職活動のようなものを十分に行ってはおりませんし、ハローワークで就職活動をしたことはありません。
  294. 谷合正明

    谷合正明君 私も総理のバックグラウンドは承知しておるつもりでありますし、だからどうとかいうことじゃないんですけれども。  まず、緊急雇用対策本部で来年春の卒業予定の新卒支援、これを最優先課題にするというふうに取り上げていただいております。これは大変重要な点であると私も思っておりますが、その対策を始める前に、総理が本部長であります。であるならば、まず本部長として自ら、高校三年生、大学四年生、いまだに内定取れずに、高校生は三七%しか今内定が取れておりません。そういう苦境にある学生の生の声を聞いていただけないかと思います。どうでしょうか。
  295. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今お尋ねがありましたように、まだ九月末時点で高卒予定者の内定率は三七・六%にとどまっていると、大変低い状況でございます。  その理由も、当然経済の波ということが一番だと思っておりますが、私も最近いろいろと学びながら、ミスマッチがかなりあるということも伺っております。したがって、いかにして求職と求人、特に高卒の方、あるいは大卒も含めてでありますが、希望している職種と必ずしも求人というものが違うとなかなか勤めにくいという状況もあるわけでありますから、そういったものの解消に努力しなければなりませんが、そのような状況を伺うために高卒予定者の方々意見交換をさせていただけるという機会を見付ければ、大変私にとってもプラスになると思っております。
  296. 谷合正明

    谷合正明君 是非よろしくお願いいたします。  それで、先ほども木庭議員の方から補正予算の執行停止に伴う景気への影響の質問がございました。  当然、今回の緊急雇用対策本部の政策を策定するに当たりまして、三兆円のいわゆる執行停止とも関連するわけでありますから、この執行停止によって雇用がどれだけ失われるのかという試算があって、雇用ですよ、試算があってのこの対策本部の緊急対策であるのかと私は認識しているんですけれども、そういう試算を持っているのでしょうか。
  297. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 先ほどの新卒者については、ちょっとだけ補足させていただきますと、高井美穂文科大臣政務官も含めて特に新卒者についての対応チームをつくっておりまして、今順次協議をして進めているということをちょっと申し添えておきたいと思います。  それから、約三兆円の補正予算、第一次補正の凍結を行いましたが、直接的にそのことによって雇用が失われる数というのは計算いたしておりません。ただ、多くは二年度、三年度先のものを中心に凍結いたしましたので、そうしたマイナス効果はあったとしても極めて少なくて、先ほど申し上げたように新規の雇用創出を十万人を想定していろいろな施策を打っておりますので、トータルとしてはマイナス的な効果はほぼなかったのではないかと思っております。
  298. 谷合正明

    谷合正明君 そのほぼとかほとんど影響はないという、そこが私は問題だと思うんですよ。なぜなら、例えば菅さんは金曜日の時点で、新規雇用により時間差はあるが三千億円から四千億円のGDP押し上げ効果があると。まさに、この執行停止による影響はあるけれども、時間差があって十万人の雇用創出、あるいは次の二次補正、検討されているかもしれませんが、時間差があって何とか回復できると。そういう時間差ということは問題ですよ。年末の派遣村の問題を、要するに年越し派遣村なくそうという下でこれはスタートしているわけですよね。今十一月ですよ。十一月、十二月というこの時間差、これ私は恐らく一か月、二か月のことを想定されていると思うんですけれども、一番大変な時期に一番大変な人が影響を受けるんじゃないんでしょうか。  例えば、来年春新卒予定の方は今就職活動中なんですよ。その時間差があって、将来的に穴埋めができるというのは三月、四月の話だと思います。今新卒予定者が就職活動している。ですから、私が言いたいのは、補正予算の執行停止によって一番の犠牲になっているのが新卒予定者であると。反論がありますか、じゃ。
  299. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) まず、この政権が誕生したのは九月の十六日でありまして、まだ六十日を経過いたしておりません。その中で最も早く対策を打ち出したのが、一つがこの緊急雇用対策でありまして、先ほども申し上げましたように、先ほど木庭議員の質問にも答えましたが、従来の政策は、ややもすれば、決めて、あとはお役人に任せるという形が多かったわけですが、今回はアクションチームをつくりまして、この新卒者に対するアクションチームも特に設けておりまして、文科の担当政務官なども加わっていただいて、各学校、高校あるいは自治体にもお願いをして、今そのためのいろんな行動を起こし始めているところであります。  ですから、確かに、先ほど私が申し上げた時間差があるというのは、新規雇用が経済効果にプラスになっていくにはちゃんとした仕事ができ始めてからということで時間差があるということですが、もちろんこの新卒者の問題はまさに待ったなしでありますので、私たちとしては最大限急いで現在も努力をしているつもりであります。
  300. 谷合正明

    谷合正明君 十万人の雇用創出の中に新卒向けの雇用創出は何人含まれているんですか。
  301. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 考え方としては三つの分野ということで、どちらかといえばこれまで職を失っている人に、先ほどの議論のように、介護などの研修を受けたり、あるいは農業、林業などのを受けたり、あるいはNPOグループのいろんなものにミスマッチングをマッチングさせていくというものが中心になっております。  新卒者については、どちらかといえば、私が理解しているところでは、中小企業などは新卒者に対する求人はかなりあるけれども、大企業がかなり少ない。そういう意味でのミスマッチングという問題が多いと思っていますので、そういうミスマッチをできるだけなくして、そのマッチングさせるための努力をする、そこが新卒者に対する一番大きな努力かなと、このように考えています。
  302. 谷合正明

    谷合正明君 問題点を指摘させていただきたいんです。  配付させていただいている、新規高校卒業者、新規大卒者の就職状況を配付させていただいていますが、高卒の方はこれ実はもう九月末にデータ出ているんですね。ただ、大卒の方はまだデータ出ていないんですよ、直近のが。これは、私はいち早く直近のデータを出すべきであると。十月一日時点のデータを今急いで取りまとめているところと承知しておりますが、対策を打つためにもしっかり早くまとめるべきであると。  もう一点は、大卒の方はこれは内定率、率しか分からないんです、実は。数として把握できていないわけで、ここも私は今後大学といろんな連携が必要と思いますけれども、統計の取り方も工夫する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  303. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えをいたします。  今御指摘のあったとおり、厚生労働省の中における労働の統計については、非常にそのリードタイムが長いとか取り方が不十分であると、こういう数々の問題点があるというのは私も把握をして、改善をしようと考えております。  その中の一つとして大学生の内定という、これも実態がなかなかこれまで把握できていませんでした。高校生においては学校ぐるみで就職活動しますので、これは全数確認ができております。そういう意味では、新卒者支援チームというチームを結成をいたしまして、できるだけ早く、十一月中旬にまずサンプル的な調査の結果を公表して実態を把握していきたいと考えております。  そして、新卒者のお話でございますけれども、おっしゃるように、例えば九月末、今年ですけれども、来春の新卒の高校卒業者の状況というのは、内定されている方が三七・六%しかおられないと。これは前年同期比に比べて一三・四ポイントも下回っているということで、これ緊急雇用の対策本部におきましても、高校卒業のジョブサポーターという支援のチームを十一月中、今月中に全国のハローワークに五百三十二人配備をいたします。そして、大学も新卒の大卒就職ジョブサポーターも八十六人全国のハローワークに置きまして強力なバックアップ体制を取ろうと思っておりますけれども、これですべて十分だとは思っておりませんので、追加の対策も含めて取り組んでまいりたいと考えております。
  304. 谷合正明

    谷合正明君 私も大学生とよく懇談するんですけれども、やはりハローワーク知らないというか、行ったことないですね。そんな中で対策を打つというのは大変なことはよく理解しているつもりです。  その上で、先ほどミスマッチという話がありました。私は、中小企業と特に大学生の方はミスマッチがあるわけですね。なぜかというと、大学生は大体三年生ぐらいのときに就職活動を開始します。その際、何を始めるかというと、大手の就職ナビサイトに登録するところから始まるんです。でも、そのサイトに登録されている企業というのはせいぜい六千社、七千社です、大企業中心に。しかし、中小企業は四百二十万社ありますね、ほとんど入っていない。一方、大学生の就職希望者の数はもっとあるということで、結果的に何が起きているかというと、内定をもらえる学生はたくさんもらえる、しかし内定をもらえない学生は五十社以上やっても全然取れない、要するにミスマッチが起きているわけですね。  何が問題かといったら、雇用創出とかあるいは職業訓練、ここは政府がしっかりやるということで今立ち上がっておりますが、しかし欠けているのは職業紹介について、新卒向けの職業紹介が欠けているんですよ。そのために政府がなぜこれをやらなきゃいけないかというと、中小企業は大手の就職ナビサイトに登録するのに、広告を出すのに何百万というお金が掛かるんです。こんなお金はないんです。ですから、政府がしっかりと中小企業、採用意欲のある中小企業を、新卒向けの求職情報システムというものも政府がつくっていくということも検討する、そういうときに来ていると思っていますが、いかがでしょうか。
  305. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今、中小企業皆様方とのマッチングの重要性を御指摘をいただきまして、私もそれは認識をしております。  そういう意味では、今後とも更に中小企業等を広く対象とする就職面接会というのをもっと頻繁に開催をして未内定者とのマッチングをやっていくということと、あるいは経済団体や業界団体等に対する求人拡大の要請を通じて中小企業の皆様と内定されていない方をマッチングするなどなど、我々としても考え得る手段を皆様の御助言もいただいて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  306. 谷合正明

    谷合正明君 分かりました。  厚労省と経産省とでこれ結構分かれるんですね。ですから、ちょっと経産大臣答弁があればどうぞ。
  307. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 今委員から御指摘あったように、特に大卒の場合は大手の有効求人倍率は非常に低いんですが、ちょうど谷合さんが資料を出されていますこの同じ会社の調査で、例えば千人未満の求人倍率を調べますと三・六三という数字が出ていまして、大手は〇・六弱ですね。ですから、おっしゃるようなミスマッチが起きているんですね。  それで、昨年もこういう状況でしたので、経済産業省で様々な業界団体でありますとか大学等にも働きかけまして、ちょっと今日はお持ちしていないんですが、かなり分厚い求人の情報を整理しまして、それで約千四百社整理をして、今年の七月でその中から七千人ぐらいがマッチングができたという実績がございます。したがって、今年はそれを更に力を入れて一層拡大するように努力したいと思っています。
  308. 谷合正明

    谷合正明君 それでは、時間がありませんので、次の話題に移らせていただきます。(資料提示)  これは、九月三十日に起きましたインドネシアのスマトラ沖の地震の様子でございます。これ、死者千人を超えた大変大きな地震でありましたけれども、この上の方はインドネシアのパダンという被災地域の都市部の様子、下の方はパリヤマンという、岡田大臣も行かれていますけれども、パリヤマンという農村地域の被災状況の様子です。  私は、公明党も現場第一主義ということで、真っ先に現地調査に行ってまいりました。私も国会議員として初めて十月十日から十四日まで行ってまいりました。その際に、現地で活動する日本の自衛隊、あるいはAMDAのようなNGO、ジャパン・プラットフォーム、そういった事業を視察をさせていただきました。  今でも街頭募金活動も行っている、まさにオールジャパンで支援していると。そういう意味では現地の評価というのは高かったわけですが、あえて課題を二つ申し上げるとすれば、一つは、資料を提供させていただいていますが、震災後一か月たっておりますが、世界各国のインドネシア沖地震に対する二国間支出、世界機関に対する支出を取りまとめたデータがこれなんですね。しかし、これ、日本は国ベースでいうと十九番目なんですね。これは何でこんなまだ、一か月たっているのにこんな低いのか。  これは友愛外交の姿勢とちょっと私は矛盾するんじゃないかなという思いがありまして、ちょっと答えてください。
  309. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員指摘のインドネシア西スマトラ州パダン沖地震ですけれども、我が国としては、地震発生とともに国際緊急援助隊の派遣、それから医療部隊を含む自衛隊の派遣などを迅速に行ったところでございます。そして加えて、緊急支援物資の供与やあるいはNGOへの資金提供なども行いました。  金額がなぜ多くないのかという御指摘ですけれども、私も現場に行きまして、もう第一フェーズはかなり早い段階で終わって、今や復興支援の段階に入っているというふうに思います。現場で私も小学校が完全につぶれた状況も視察をいたしましたが、あれで子供の死者がなかった、その小学校における死者がなかったのは奇跡的だという感じがいたしました。  今政府として考えておりますことは、そういった学校の耐震化、そこに、ですからもちろんつぶれた学校の再建ですね、そういったことに対してまず取り組んでいこうということで、これは本年度中に考えておりまして、八校分、恐らく五億円ぐらいに供与額がなると思いますが、そのことを無償資金協力という形で行いたいというふうに考えております。  中長期的には、例えば、委員も恐らく行かれたと思いますが、パダンで図書館がつぶれてしまいました。唯一の図書館であります。そういったものの再建についても日本としてできることはないのか。これは少し時間が掛かりますが、そういったことなど、我が政府としてはそういった支援をしていきたいというふうに考えておりまして、当面の、すぐの支援金としては今おっしゃったように日本が断トツに多いというわけではありませんが、これから中長期的な視点でしっかりとやっていこうというふうに考えておりまして、ユドヨノ大統領からも日本の支援について感謝の意も述べられたところでございます。  是非、公明党におかれましてもいろんな現地のニーズについてお教えいただいて、そして地元の人が本当に必要とするそういう支援をしていきたいものだというふうに考えております。
  310. 谷合正明

    谷合正明君 二つ目の課題は、これ緊急救援というのはもうこれ幾ら重ねても根本的な解決にはならない、これ同じ思いを共有していると思いますが。今回、やはりインドネシアの問題だけじゃなくてアジア太平洋地域という中で防災ということを考えなきゃいけないと。  その際に、国際機関なんかがこの防災対策をしているわけですけれども、何がネックになっているかというと、アジア諸国のこの防災データが、標準化されたデータが不足しているということなんですね。例えば問題点としては、そのデータも信憑性が薄いとかいった問題、死者十人以上あるいは負傷者百人以上の災害じゃないとデータが上がってこない。これを唯一取りまとめているのがベルギーの大学なんですね。これも民間ベースですから、私は今後、自然災害の多発地域でありますアジア太平洋地域の人間の安全保障ということを考えるのであれば、当然日本がイニシアチブを取ってこうした統計データを集める、分析をする、そうしたことの枠組みを、イニシアチブを取るべきじゃないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  311. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 委員の方が恐らくお詳しいと思いますが、私の理解では、二〇〇五年に我が国で開催された国連防災世界会議でもその災害に関するデータ、情報の共有の必要性というのは確認されておりまして、現在、各国における災害の情報について国連人道問題調整部が二十四時間体制でウエブサイトを通じて提供しております。そして、そういった情報を基に、国連国際防災戦略事務局が災害に関する中長期的なリスク分析、評価を行っているところであります。この国連人道問題調整部の神戸事務所というものも設置をされていて、そこもその活動に参加をしていると、こういう状況でございます。  なおそれで足らざるところ、御指摘いただければ更にいいものにしていきたいと、そういうふうに思っております。
  312. 谷合正明

    谷合正明君 是非よく研究していただきたいというふうに思っております。  次に、核廃絶について総理にお伺いしたいと思います。  総理は今回の所信表明演説でも、また国連の中でも、核廃絶に向けて唯一の被爆国である日本が先頭に立つと演説をされました。安保理では、まさに全会一致でこの核のない、核兵器のない世界の状況を生み出していくんだということも決議されたと。画期的なことでございまして、その総理の演説というものは私も高く評価したい。公明党も共感する思いでございます。  そんな中、オバマ大統領が来日するわけでありますけれども、核廃絶に向けての総理の新たな決意をもう一度聞かせていただきたいというふうに思います。
  313. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) オバマ大統領のプラハ演説、それは全世界の方々に大変な共感を与えたものだと、そのように思います。なぜならば、最大の核保有国が核のない世界に向けて努力しようではないかという一歩を踏み出したということは大変すばらしかった、そのように思います。ある意味で、もっと日本がその先を行かなければならなかったかと思っております。  ただ、遅きに失したわけではありません。むしろこれから核廃絶に向けてステップを踏んで、まず、日本という国は当然のことながら唯一の被爆国ではあります。しかし、核を持つという能力という意味では持っている、しかしその国があえて道義的な意味から持たないというその決意を固めているという、この思いを世界に広めていく必要があると。  そして、したがって、核を持たない国から核を持っている国に対しては是非核軍縮に向けてもっと努力をしろというふうに勧めるべきでありますし、核を持たない国が核を持ちたいというそういう思いを絶対に有してはならない、日本がそうなんだからという思いを強めていく必要がある。  ある意味で、具体的に申し上げれば、いわゆるNPTの運用検討会議が来年ございます。その中で日本としてリーダーシップを取っていけるように、しっかりと核廃絶に向けたメッセージを発出していくことが大事ではないかと。  その中では、先ほども岡田外務大臣が申したことでありますが、川口先生が御努力された川口・エバンスの委員会、この提言も確かに我々の政府よりも進んでいると思います。こういったものを見習いながら核廃絶に向けた日本としてのメッセージを他の国よりも先駆けて出すことが大事ではないかと、そのように感じております。
  314. 谷合正明

    谷合正明君 配付させていただいている資料に、今年五月に米国議会のアメリカの戦略体制に関する議会委員会の最終報告書というものが取りまとめられたんですね。この提言を踏まえて、オバマ政権では核体制の見直しを来年初頭に発表するという段階でございます。  この報告書の中に、実はアジアにある米国の同盟国の一部は、巡航核ミサイル、いわゆる核トマホーク、この退役について非常に憂慮するだろうということが明らかになったという一節が入っているわけですね、赤で囲われているところですね。要するに、アジアの同盟国の外交当局が、トマホークというのは、二〇一三年にこれはもう退役する予定でございますが、この退役に懸念を示した結果、トマホークを復活させようという動きにも力を与えているんじゃないかとも指摘されているわけですね。朝日新聞にも、先週の六日付けの新聞にも報道されていますが。  まず、総理に伺いたいと思いますが、この核トマホークの退役に憂慮とレポートされ、これはどこの国かとは明示されていませんが、それを受けて朝日新聞には我が国が核戦力の維持を求めたと報道されていますが、先ほど、総理は核のない世界へ向けて日本がリードしていくという旨ありました。今後の核廃絶の潮流に逆行するような行動は我が国としては取らないと、そういう理解でよろしいでしょうか。
  315. 岡田克也

    国務大臣(岡田克也君) 今のお話は鳩山政権の下での話ではございません。  核の傘の問題と核なき世界を目指すということは必ずしも私は矛盾するわけではないと思いますけれども、しかし、言い過ぎると確かに一貫性がなくなってくる部分があります。核ない世界を目指すという大きな流れの中で、それでは今何ができるかということはしっかりと日米間でも議論をしていく必要があるというふうに思っております。
  316. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 時間が来ております。
  317. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今、岡田外務大臣が申したとおりでございまして、私どももその思い努力をしたいと思います。
  318. 谷合正明

    谷合正明君 終わります。
  319. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) これにて谷合正明君の関連質疑は終了いたしました。  以上で木庭健太郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  320. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 次に、小池晃君の質疑を行います。小池晃君。
  321. 小池晃

    小池晃君 日本共産党の小池晃です。  今日は、後期高齢者医療制度のことについて総理にお伺いをしたいと思います。  これは年齢だけで差別する世界に例を見ない医療制度であると、放置すれば負担はどんどん上がっていく、若い世代にも重くのしかかる、直ちに廃止しようということで御一緒に法案を出しました。私も発議者に入りました。  これ、参議院では昨年六月に可決をされたわけですね。これは、もしこのまま実現すれば今年の四月には廃止ということになっていた。ところが、衆議院では、これ、自民、公明がたなざらしにして実現しませんでした。今度の総選挙の結果で自公政権退場したから、後期高齢者、この言葉も退場かと私も思っていたし、国民皆さん、特に高齢者の皆さんは期待をしていたと思うんです。ところが、すぐにやめないんだと、こう言い出した。何で態度が変わったんですか。  いや、総理に聞いているんです、総理に。総理に聞いているんですよ。
  322. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) お答えを申し上げます。  今言われましたように、野党の時代、法案を提出をいたしました。政権交代後、この後期高齢者医療制度につきまして、私自身も、役所の中のデータあるいは資料、これをつぶさに拝見をいたしますと、今の後期高齢者医療制度を廃止して直ちに前の老健制度に戻すだけでも、広域連合の問題あるいはシステムの改修の問題等々で二年掛かるということでございます。データにいたしましても、七十五歳以上の方をいったん別のコンピューターに入れたものを、七十五歳以上の方を今度は前の老健、国保等々に振り分けて戻していくなどなど、二年掛かるということでございましたので、そうであれば、我々は前の制度が、後期高齢者医療制度は私は良くない制度だと考えておりますけれども、じゃ、前の制度もすばらしい制度なのかというと、そこにもクエスチョンがありますので、そうであれば、この制度については四年以内に新しい制度にそのまま移行させていくということで、先日、高齢者医療改革会議を立ち上げまして、そこでの新制度を議論をして、そこに移行をしていくと、こういうことになったわけでございます。
  323. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 今、長妻大臣が申したとおりでありますが、私も実はすぐに廃止できるものだと思っておりました。この七十五歳を区切りにするような制度は良くないと思っておりましたから、小池委員とともにいろいろと闘った覚えがございます。ただ、今、長妻大臣が申したとおり、この廃止をするだけでも二年は掛かる、二年掛かるんだったら、その間に新しい制度を、元に戻すんではなくて新しい制度を考えた方がより効果的ではないかという判断に至ったわけでございまして、私どもとすればそのような方向で努力いたします。(発言する者あり)
  324. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 答弁中の不規則発言はお慎みください。
  325. 小池晃

    小池晃君 私、明らかにやっぱり態度が変わっていると思うんですね。  昨年の廃止法案の審議のときに、民主党議員はこう言っているんです。後期高齢者が、何で自分たちは区別、差別されるんだと、非常に不安とそして怒りに満ちた制度になってきた、そしてその混乱は、旧老人保健制度の持っている足りない部分をもってしても、とにかくいったん元に戻すことが非常に重要な課題だと四野党で認識を共有させていただいたと、こうおっしゃっていたんですね。だから、とにかく戻すんだと。  廃止には時間が掛かるっておっしゃるんだけど、私、長妻さんの口からそういう言葉が出るとは思わなかったんですよね。廃止法案のときも、厚労省はもう時間が掛かるんだ、大変なんだと、自民党も公明党も、コスト大変なんだと、そういうふうにずっと言っていたわけですよ。  長妻さん、役人に二年掛かるって言われて簡単に引き下がってきちゃったんですか。私はこれは情けないと。きちっとやっぱり、言ったとおりにやりましょうよ。
  326. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この後期高齢者医療制度の問題というのは、今おっしゃられたとおり、七十五歳以上の方を区分すると、これが最大の問題で、七十五以上の病院に行く頻度の高い方だけを一つの保険にすれば、それはそのグループの保険料というのはほかのグループに比べて急上昇していくと、これはもう自明の理でございますので、これは問題あると。  そこで、我々は、新制度に移行しますけれども、その前の段階で今の後期高齢者医療制度が抱える問題を極力解消していこうと。特に、御存じのように、診療報酬の体系の中でも、これは制度とは別に、七十五以上の方だけを一くくりにした、七十五以上の方だけの診療報酬制度というのがございます。これ、項目にすると十七項目ございます。全部説明しませんけれども、外来の包括点数とか長期入院の報酬の減額とか終末期の問題とか十七項目ございますので、この診療報酬で七十五以上のことを差別しているものについては、来年度、平成二十二年度に私は廃止をすると、こういうことを中医協にもお願いして、その方向で実現したいということで考えているところでございます。
  327. 小池晃

    小池晃君 診療報酬のそういう仕組みをなくしたとしても、七十五歳で区切るという制度の根幹は全く変わらないんですね。  総理は本会議でいろんな意見をいただいたんで方針変えたとおっしゃったけど、どこから意見が出たんですか。
  328. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) これは、長妻大臣方と相談をして、そこで意見を伺って、私として理解をいたしたと。ただ、これは小池委員、当然でありますが、我々も、後期高齢者医療制度、七十五歳で区別をするというような制度が悪いということは、今でもそのように思っておりまして、その欠陥を改めたいと。廃止をすることは廃止をすると。ただ、そのときに新しい制度に移そうではないかという発想になったということで御理解を願いたい。
  329. 小池晃

    小池晃君 そんなにひどい制度だったら、後生大事に守らなくてもすぐにやめればいいではないかと。  意見ということでは、やっぱり自治体からいろいろ意見が来ていると思うんです。自治体の意見をやっぱりよく聴くことは大事だと私は思います。自公政権が犯した間違った政治によって自治体に負担を掛けたということについては、ちゃんとこれは率直に謝罪をして、新政権として十分な支援しなきゃいけないと思いますが、何よりもやっぱり大事にしなければいけないのは、こういう差別の仕組みはやめろという国民の願いだと思います。  先ほどから新しい制度ができるまでというふうにおっしゃるんですが、新しい制度というのは影も形も今ないわけですね。廃止法案の審議のときには、自民党、公明党の両党は新しい制度を提案しなければ無責任だというふうにおっしゃっていた。私はそれは間違いだと思います。それに対して民主党皆さんはどう答えていたかというと、我々としては、まず国民に不安をあおっている後期高齢者医療制度についていったん廃止をする、そして老健制度に戻すと。今火事が起こっているのを消そうと思っている最中に、新たな家の設計図がないから新たな家の設計図持ってこないと無責任だという議論は成り立たないと、こうお答えになっていた。私、これ正論だと思うんですよ。  この発言に照らせば、今政府がやろうとしていることは、火事が起こっているそのときに、消そうとするんじゃなくて一生懸命新しい家の設計図を作りましょうよと、こういう話じゃないですか。私は、この廃止法案を審議してきたとおり、そのときの立場のとおり、まずこの火を消すんだという立場に是非新政権皆さんは立ち戻っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  330. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 新しい制度の今お話がございました。そういう意味では、この高齢者医療改革会議というものについては、白紙から検討していただくということではございませんで、新しい制度の六原則というのを設けまして、その範疇で検討を急ピッチでいただくということになっているところでございます。  一つは、後期高齢者の七十五以上の区分を廃止する。もう一つは、民主党マニフェストでも掲げております、地域保険としての一元的運用の第一段階として高齢者のための新たな制度を構築する。三原則目といたしましては、市町村国保などの負担増に十分配慮する。そして、高齢者の保険料が急に増加したり不公平なものにならないようにする。そして、市町村国保の広域化につながる見直しを行うということを原則として議論をしていただくということでございます。  先ほど、現行制度の診療報酬に対する不備、七十五以上の部分を解消するということを申し上げましたけれども、制度の中でも、人間ドックの助成が打ち切られるとか、あるいは健康診断が不十分になるとか、あるいは資格証明書ということで保険証を取り上げられるとか、それも七十五以上で起こっておりますので、それについても我々は是正をするということで、既に手当てをする通知を出させていただいているところでございますので、御理解をいただければと思います。
  331. 小池晃

    小池晃君 いや、今おっしゃったことは全部分かっているんです。ただ、だからそのためにもやっぱりいったん戻すという当初の議論にやっぱり戻るべきでないかと。  老人保健制度というのは、これは高齢者が現役時代の医療保険に加入したまま負担軽減を受けるという制度ですから、年齢だけで区切ってしまう差別の制度とは決定的に違うわけです。私たちは、これは国庫負担を投入して窓口負担を下げる、あるいは高過ぎる国保料を下げるために国庫負担を元に戻すと、このことを提案しています。これをやるべきなんですよ。民主党皆さんも廃止法案のときはそういう立場を言っておられた。  さらに、放置すればどういう被害が広がるかというと、保険料どんどん上がっていくわけです。来年は初めての保険料の引上げの年になる。東京都の広域連合が十一月四日に発表した試算によりますと、来年度、法律、政令どおりに保険料を改定すると、平均的な厚生年金の受給世帯、二百十一万円を受け取っている単身世帯では一万三千五百円、それから夫婦世帯では一万七千三百円の値上げになると。  廃止を先送りすればするほどこういう被害が広がっていくわけですね。これはどう考えるんですか。
  332. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 今御指摘のとおり、この後期高齢者医療制度保険料というのは、七十五以上の病院に行く頻度の高い方だけを区切った制度でありますので、保険料が急上昇する。これは私どもも指摘をさせていただいて、廃止をするという決断をした大きな理由でございます。  数字を申し上げますと、案の定といいますか、来年度は全国平均で約一二%も保険料が上昇すると、こういう事態となっております。そういう意味で、私どもといたしましては、概算要求でも盛らせていただきましたけれども、この御負担を少しでも抑制をしていく措置、そして各広域連合にございます剰余金を活用していただいて、一定程度の抑制をしていただく措置などなどをとって緩和に努めていきたいと。  いずれにしましても、抜本的にこの制度を廃止して新しい制度に移行するときには、保険料地域差が極力ないように、そしてほかの世代との保険料の急上昇、上昇スピードが差がないような、そういう制度をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
  333. 小池晃

    小池晃君 軽減措置とると言うんだけれども、今言われている軽減措置の範囲で計算しても、例えば東京都でいうと、少なくとも単身者では約一万円、夫婦世帯では一万二千円以上保険料が上がるんですね。これだけ問題があるとおっしゃるんだったら、やめればいいじゃないですか。これほど分かりやすい解決はないんです。  総理、大変けしからぬ制度だと総理は何度もおっしゃっているんですよ。私も大変けしからぬ制度だと思う。このけしからぬ制度をこのままにしておけば、例えば今七十五歳、誕生日迎えた方には、今も後期高齢者の保険証というのは送られていくわけですよ。次々次々、その差別の対象は広がっていくわけであります。  この後期高齢者医療制度というのは、私は、ある意味では自民党政権による二千二百億円の社会保障削減、抑制路線のまさに象徴のような、冷たい政治の象徴のような、そういう政策だと私は思うんですね。私、新政権国民が第一の政治をやるというのであれば、なぜこの象徴のような制度をやめるということに踏み出さないのか。私は、これは国民にとっては本当に分かりやすい、ああ、政治が変わったんだなということになると思いますよ。何でそれをやらないんですか。やりましょうよ、鳩山首相。是非やってください、これ。鳩山総理に答えていただきたい。
  334. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) ですから、私どもは後期高齢者医療制度は廃止しますと、廃止するのに二年掛かるんだったら、その間に新しい制度をつくりましょうという話で、皆さん方の御協力をいただいてより良いものにしていくと。  七十五歳で人を区別するなどというやはり信じられない発想、今お話があったように、その方々にどんどん負担というものが重なっていくわけでありますから、そういうしわ寄せになるような間違った制度はやめるということは誓った。そして、その間に、その新しい制度に変わる前に、いろいろと御不自由されるそのさらに七十五歳以上の方々に対してはそれなりの措置をしっかりととりましょうということを今長妻大臣から申し上げたばかりでありまして、そのことを御理解をやっぱり願いたい、むしろ私はそう思います。
  335. 小池晃

    小池晃君 信じられないような制度を続けようという方が私には信じられないです。やっぱりこれは国民から見ればおかしいです。  もう一つ、私取り上げたいのは、やめると言っていたものをすぐにやめない、その一方で、自民党政権も手を付けなかった問題に踏み込もうとしている。保育所の問題であります。保育所には最低基準というのがある。これ一九四八年に作られて、六十年間、これずうっと自民党政権は放置してきたわけですよ。実態はどうか。(資料提示)  これはある保育所の写真、これ全国社会福祉協議会からお借りしたわけですが、ここは最低基準じゃありません。これは一般的な今の保育所の姿です。これお昼寝風景ですが、寝返りも打てないという、こういう実態があるわけですね。  今、最低基準について厚労省の委託研究が今年やられました。この報告書で現行の最低基準についてどう評価しているか、その該当部分を読んでください。
  336. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) この保育所の問題でございますけれども、後からもその面積の要件等々の御質問があると思いますので、今報告書だけを抜粋して読まさせていただきます。  これは厚生労働省の委託の研究の報告書でございまして、保育所の部分でございます、この面積の部分でございます。「したがって、現在の面積基準をさらに切り下げることや、切り下げられるような仕組みを導入することは、一人ひとりの子どもの発達に応じた保育をさらに困難とするものであることから、少なくとも、現行の最低基準以上のものとなるよう取組みを進めることが重要である。」と、こういうふうに書いてあるわけでございます。
  337. 小池晃

    小池晃君 そうなんですね。それで、この報告書では日本の最低基準が世界最低だということも書いてある。二歳児の場合で、七畳間の広さで六人子供がいて先生が一人ですよ、これが実態だと。ここで食事もお昼寝も遊ぶのも一緒にやる。これ六十年前の基準ですからね、引き上げるのが当然だと。  今年の三月には、今報告があったように、これはむしろ引き上げるべきだという報告書も出ている。チルドレンファーストだという政権になった。おお、いよいよこれ六十年ぶりに引上げの議論が始まるのかなと思ったらば、逆の話になっているんですよ。厚労大臣は引き下げてもよいという方針を出している。  私は、地方分権の名で子供や教育に係るナショナルミニマムを壊してはいけないと思います。そして、待機児童の解消のためだというけれども、これで親御さんが安心して預けられるのかと。やっぱり子供に犠牲を押し付けていいのかということについて、私、厚生労働大臣、方針出したんなら答えていただきたい。
  338. 長妻昭

    国務大臣(長妻昭君) 正確に御説明を申し上げますと、この保育所につきましては、これ待機児童の方々が大変多い、これは厚生労働行政としても全力で取り組まなければいけない問題であるということは言うまでもございません。その中で地方分権という問題もございます。  その意味で我々は、いろんな、保育所にも幾つもの国の基準がございまして、その中で面積というのが一つあると。その中で私どもが提出した考え方といいますのは、この面積の基準に対しては、一人当たり何平米というのがお子さんの年齢ごとにございますけれども、東京などの待機児童が多い、そして地価が高い、なかなかスペースが取りにくい場所に限定をして、しかも待機児童が一定程度解消されるまでの時限的な措置として、しかも全く基準をなくすんではなくて、地方自治体に条例で作っていただきたい、地方自治体が自主的にその基準をその地区だけ作っていただきたいということで、地方自治体にある意味では責任を預けて考えていただくということでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、この保育所の中でもお子様何人当たり保育士は一人必要ですと、こういう人員配置基準もございます。これも緩和をしてほしい、地方に任せてほしいというお話がございましたけれども、これに関しては私どもは譲れませんということで、国が基準を決めて地方の条例でそれを差配していただく、制定していただくと、こういうことでめり張りを付けた判断をさせていただいておりますので、是非御理解いただきたいと思います。
  339. 小池晃

    小池晃君 私は、これは理解できないんですね。やっぱり最低基準というのは絶対に壊してはいけない最低の、最後の基準ですよ。待機児童の解消というのは、私は、詰め込んで解消するんじゃなくて保育所を増やすことによって解消すると、これがやるべきことだと。土地がないというのであれば、国有地の提供なんか国にやれることは幾らでもあると私は思うんです。  一九六〇年代、七〇年代には年間一千近く造ったこともある。しかし、昨年日本全国で増えた保育所の数、日本中で一年間でどれだけ増えたか御存じですか。十六か所ですよ。要するに造ろうとしてこなかったんですよ、今までの政府は。公立保育園の設備、あるいはその運営費も一般財源化しましたから、自治体は全く造れない。一年間に十万人分の保育所を造るために必要なのは、国の予算見積りに照らすと建設費で約一千七百億円。土地取得への支援も必要だと。私は、子ども手当に五兆三千億円、増税には反対です。しかし、子ども手当の一部を回してでも、こういうことにこそお金を緊急事業として私はやるべきだというふうに思います。  総理、やっぱりこういう問題で私は子供にしわ寄せをしてはいけないと思う。総理にこの最低基準の引下げを撤回していただきたいというふうに思いますが、総理、お答えいただきたい。総理総理総理
  340. 福島みずほ

    国務大臣福島みずほ君) 保育の質をきちっと守りながら、待機児童の解消をきちっとやってまいります。  小池委員がおっしゃったとおり、確かにナショナルミニマムというものは最低限必要な部分はあると思います。しかし、この間、財源も確保しながら待機児童の解消と保育の質の問題、そして地方分権といっても、これは地方に丸投げではなく、しっかり国がやはり保障していくことを全力でやっていきたいと思います。  厚生労働省が言ったのは、例えば短いこの三年間ぐらい待機児童がとっても解消できない東京など一部についてどうかということで、調理場などはきちっと必要である、人員、保母さんはきちっとその枠は外さない。保育の質を守るべく、全力を挙げてまいります。
  341. 小池晃

    小池晃君 福島さん答弁に立ってきたんであえて言うけどね、六月の厚生労働委員会で、あなたは「東京であっても児童にとって必要な基準については安易な緩和は問題だというふうに思っています。」と質問されているんですよ。おかしいですよ。無責任だと。  総理ね、やっぱりこれは撤回していただきたい。最後にお答えいただきたいと思います。総理、答えてください。総理
  342. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 時間が来ておりますので、総理答弁をお願いいたします。
  343. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) これは保育所の質を守るということも大事なこと、ただ一方で待機児童の方々も大変お困りになっているのも実態としてお分かりのとおり、その中でどうするかと。それは保育所をすぐに増やせればいいですよ。それがそんな簡単にできないという状況の中で、今、時限的な話で、当然ナショナルミニマムをできるだけ守りたいということで、東京などわずかな地域のみに限ってこの地域の自主性に任せようではないか、そして待機児童の解消に向けて努力をしようではないかという話になったわけでありまして、ある意味での地域主権の一つの私は実験だと思って見ております。
  344. 小池晃

    小池晃君 終わりますが、ナショナルミニマムはできるだけ守るじゃない、保育所もできるだけ造るじゃないですよ。やっぱり断固としてやらなきゃ駄目だと申し上げて、質問を終わります。
  345. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 以上で小池晃君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  346. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 次に、近藤正道君の質疑を行います。近藤正道君。
  347. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  私は雇用の問題から質問を始めたいと思っています。  雇用情勢が非常に悪化をしております。雇用調整助成金がついに今年の九月、二百五十四万人に達しました。有効求人倍率、完全失業率共に最悪の状態でございまして、失業保険受給者のうち今年後半に受給期限が切れる人は四十万、こういうふうに推定をされておりますし、自己都合の人を入れますと百万人ぐらいになるというふうに言われております。  失業者を短期で復職させるトランポリン、この就職支援策、緊急人材育成支援事業の枠を大幅に拡大するなど、危機意識は私は政府が持っていると、こういうふうに思っておりますけれども、とにかく潜在的な失業者を含めて増大する失業者にどのように対応されていくのか。緊急人材育成支援事業等緊急雇用創造プログラム、これは体制、規模ともこれで本当に大丈夫なんだろうか。  そこで、その次の一手、私は二次補正、是非やるべきだというふうに思っておりますが、次の一手はどうなるのか。トータルに雇用政策について総理にお尋ねをしたいと思います。
  348. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 先ほど、他の委員の御質問に対して菅大臣から雇用問題、かなり詳しく御説明をいたしました。重複は避けたいと思いますが、私も雇用情勢は決して楽観は許せないという思いは近藤委員と同じでございます。  そして、そのために我が連立内閣としては、まずは緊急雇用対策本部を立ち上げてその対策を打ち出したところでございます。そして、それをこれからの年末に向けて大車輪で動かしてまいることが大事だと。それをまず見る必要があろうかと思いますが、これから年末、さらに年始にかけて来年どうなっていくか、非常に楽観が許されない状況でありますから、そういった状況を見ながら、また経済情勢も見極めながら、必要なときに新たな財源措置というものを雇用対策に見出していくことも私は必要になってくる可能性はあると、そのように考えております。
  349. 近藤正道

    ○近藤正道君 緊急雇用あるいは貧困対策の柱は、実効あるワンストップサービス、この体制の整備だというふうに思っておりますし、住宅確保なども非常にやっぱり大切だというふうに思っています。  先ほど、菅大臣からお話が午前中ありましたけれども、自治体の参加が必ずしも十分得られていないんではないか、こういうふうに聞きます。自治体としては、ほかがやるんならやるけれども、うちだけでは失業者が集中してくるので生活保護受給者も増えるということで、まさに総論賛成各論反対、この状態が今あるんではないか。あるいは、雇用は非常に不安定化して、人は流動化するけれども、自治体サービスというのは結局住民要件があるためにすき間ができちゃう、そこに、すき間に落ちてそれが貧困につながっていく、構造的な問題が生じているというふうに聞いております。  非常に重要なことでございますが、失業が原因で年間一万人の人たちが今自殺しているわけです。また、昨年十月以降、二十二万人の非正規労働者が職を失っておりますけれども、このうち三万から四万人ぐらいの人は同時に住居も失ったと言われています。大変深刻な事態なわけでございます。  総理は、所信の中で、地方公共団体や企業、労働組合、NPOの方々を含め、社会全体で支え合いの精神でこの雇用確保に向けた努力を行っていくべきだと、こういうふうに言っておられます。  本当に重要なことだと思いますが、菅大臣にお尋ねをいたします。  雇用、住居、生活支援のワンストップサービスは、失業、貧困問題対策でありまして、同時に自殺対策でもあります。結果的に自治体負担の軽減にもなっているわけです。ですから、鳩山内閣の支え合い社会のまさに試金石だというふうに思っております。自治体の総論賛成各論反対、そして構造的な問題を乗り越えて、ワンストップサービスをより多くのハローワークで、より長期間、相談者の意向に沿う形で取り組む、今年は年末年始に何としても年越し派遣村は起こさない、みんなが安心して生活が送れるようにする、その断固とした決意を菅大臣からお聞かせいただきたいと思います。
  350. 菅直人

    国務大臣(菅直人君) 昨年は私も年越し派遣村に福島党首を始め与野党の皆さんと足を運びまして、あそこでの活動が、やはりあそこに行けば何とかなるという、いろんな人が相談に乗ってくれるという、そういう要素が非常に大きかったと思いまして、今言われたように、まさにワンストップサービスをハローワークを拠点にしてやっていこうということで今進めております。  確かに私も直接に知事や市長に電話を幾つかいたしました。名古屋の市長のように、よし、やりましょうと言って大変前向きな市長もおられますし、中には、今、近藤議員が言われるように、特に生活保護の関係が自分の自治体に余り集まってきてもらうのは困るというのが若干背景にあって、ややちゅうちょされているところもあります。そういった意味では、これからいろんな形で、実は民主党という党の地方組織にもお願いをして、各県議会、市議会でもそういうことをお願いをしていこうということで、社民党の皆さんにも御協力をいただくことでやっていきたいと思っています。  一、二点だけちょっと感じたところを申し上げますと、まさに多重債務の問題など、自殺につながりかねないというか、多分これまで多くがつながっている問題の相談も受けるということで、いろいろなことをやっていこうとしておりますが、もう公の立場でやれることと、それを超えた、やっぱりこの一年、二年後まである意味では付き合っていかなきゃいけない。今内閣府の参与になっていただいた湯浅誠さんにも参加をしていただいていますが、去年あれで終わったんじゃなくて、いまだにお付き合いをしてフォローしている人もあるんだという話を聞きまして、そうなると、もう行政の活動、もちろん責任を持たなきゃいけませんが、場合によったら、この場を借りて申し上げたいのは、行政以外のいろんな団体、NPO団体とか場合によったら宗教団体とか、いろんな団体もやはりこういう活動に積極的にかかわっていただいて、逆にそういう人たちをまた行政が応援するといったような形を取ることも考えないと、どうしても行政にはある種の公平性とかそういう限界がありますので、そういった個人的な付き合いをもう覚悟してフォローしていくという体制が必要なんではないだろうかと。  いろいろお知恵を借りながら精いっぱい頑張っていきたいと、このように思っております。
  351. 近藤正道

    ○近藤正道君 頑張っていただきたいと思います。  次に、原発の安全規制について質問をさせていただきたいと思います。  総理は代表質問の中で、安全性を更に高めていくという前提の下で原発の利用を図ると、こういうふうに答弁をされました。  原発については様々な意見がございます。しっかりとした安全規制の体制を確立してほしい、これは原発に関する立場を超えた国民の願いだというふうに思っています。  民主党マニフェストには、安全を最優先した原子力行政ということがうたわれておりまして、安全チェック機能の強化のため、国家行政組織法第三条による独立性の高い原子力安全規制委員会を創設する、こういうふうに明記されております。また、民主党はかつて、原子力安全規制委員会を設置をして推進機関と規制機関を完全に分離する、原子力安全委員会や保安院を原子力安全規制委員会の下に吸収統合して一元的な安全規制機関とする、こういう法案を出したこともございますし、あるいは最近でも、原子力の安全に関する検討委員会の報告の中で、保安院と原子力安全委員会のダブルチェックというのは全くこれは機能していないと、こういうふうに厳しく批判をして、原子力行政をきちっと立て直すためには独立した安全規制機関の早期の設置が不可欠だと、こういうふうに言っております。  そこで総理にお尋ねをしたいんですが、総理念頭にある安全性を更に高める方策とは一体具体的に何なのか、マニフェストに掲げた安全チェック機能を強化してより高い独立性を有する原子力安全規制委員会を創設することと考えてよろしいのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  352. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 総理には後でお答えいただければいいと思うんですが、今の近藤委員お話しになった中で若干誤解があると思うんですが、私どもはマニフェストでは原子力安全委員会、第三条委員会、三条委員会を設置するとはうたっておりませんで、最初に御指摘あったように、原子力については安全性を確保して、その上で推進すると、こういう言い方をしてまいりました。それで、ここはこれから、したがいまして、議論すればいいと思っています。  念のために申し上げますと、大体民主党政策集の中に今、近藤委員がおっしゃったことが入っているんですが、大体三百から四百の政策政策集の中に入っています。私どもがこの間の衆議院選挙マニフェストの中に織り込んだのは、その中から約六十前後だったと思いますが、重点絞る形で織り込まさせていただきました。  したがって、政策集の方はやらないというふうに申し上げているんではなくて、マニフェスト政策集でそこは内容は違います。ただ、おっしゃったように、安全性については最重点でやりますと。これは三党合意の中にもうたわれておりますし、与党議員の一員であります近藤委員からの御指摘でございますから、改めて私はよく検討したいというふうに思っています。  ただ、その上で申し上げますと、やはり安全の確保ということで申し上げますと、今おっしゃった体制ももちろん大事なんですけれども、同時にやはり規制の内容をどうしていくかということが一方で非常に重要でございます。  それで、この間、ジェー・シー・オーの事故があった後、さっきおっしゃった法案、我々は民主党が野党の時代に出させてもらった法案なんですが、そのジェー・シー・オーの事故以降、例えば新潟の原発の問題とかあるいは地震の問題とか、様々なことがありまして、その都度、規制の内容も見直したり強化したりしてきてまいっておりまして、実は先日の衆議院で同じような質問が出たときにも私申し上げたのは、一つは、そういう過去の積み上げてきた規制の内容についても改めて検討して検証させていただきたいと。それと、その今御指摘のあった体制をどうしていくかと、この部分についてもよく併せて検討させていただきたいと、このように申し上げさせていただいた次第でございまして、責任大臣として今の御指摘についてはよく検討をさせていただきたいというふうに思っております。
  353. 鳩山由紀夫

    内閣総理大臣鳩山由紀夫君) 御案内のように、地球温暖化対策ということも大変世界規模で最重要なテーマになってきている現実がございます。そういうことを考えますと、原子力発電所というものに関してはいま一度大きな光が当たりつつあると、そういう状況だと思います。  ただ、それを進めていきたいと考えてはおりますが、そのためにはまさに安全性というものが担保されなければなりません。したがいまして、私どもは、一度、二度出したことがございますが、いわゆる三条委員会、独立性の高い原子力安全規制委員会というものの設置を求めたこともあります。その思いというものが変わったわけではありません。マニフェストではありませんが、政策インデックスに掲げている以上、その思いというものは大事にしなければなりませんから、私としては前向きに検討を申し上げたいと、そのように思っております。
  354. 近藤正道

    ○近藤正道君 政策インデックスに載せられているということで、とにかく前向きに考えていきたいと今総理答弁がございました。  原発についてはいろんな意見がございますけれども、やっぱり進める以上は安全性をよりぎりぎりまでやっぱり高めていただきたいと、これ本当に国民のやっぱり立場を超えた願いだというふうに思っています。  そこで、十年前にジェー・シー・オーの臨界事故がございました。あのときに原子力安全委員会の委員長代理をやっておられました住田健二さんという方が最近、推進と規制の分離、これは原子力行政の基本なんだ、国際的には常識なんだ、しかし日本ではいまだにこれが実現できていない、政権交代の今こそ実現の好機だと、こういうふうに主張をされております。  また、私は新潟でございますけれども、原発の立地の自治体の多くがやっぱり推進機関と規制機関、チェック機関はきちっと分けてもらいたいと、そういうふうな要望を出しております。これは、多分内容的には民主党がこの間言っておられた原子力安全規制委員会の中身と大体同じだというふうに思っております。  一定の時間は掛かることは分かりますけれども、是非、この問題については官房長官もあるいは小沢大臣もこの間かかわっておられましたので、是非、民主党の新しい政権の中で原発の安全性をきちっと担保する新しいやっぱり機関ができた、そういうような体制を是非私は国民に見せていただきたい、それがやっぱり政権交代の意味ではないかと、こういうふうに思いますが、もう一度、総理、御答弁いただければ有り難いと思うんですが。
  355. 直嶋正行

    国務大臣(直嶋正行君) 御指摘の点は、先ほど申し上げたとおり、しっかり承って、よく検討させていただきたいと思っています。  それで、今、実は体制としては、さっき近藤委員がおっしゃったように、ダブルチェック体制になっていまして、いわゆる原子力保安院があって、その上に内閣府に原子力安全委員会がありまして、原子力保安院もチェックをするし委員会の方もチェックをすると、こういう体制になっています。そういうダブルチェック体制というのは一つの機能かなというふうに思っています。  それから、保安院についてもやや誤解があるのは、資源エネルギー庁の中の一組織という御認識があるんですが、数年前にこれを予算も人事も完全に分離をした形で経産省の中では独立させているということも是非御理解いただきたい。ただ、同じ経産大臣が両方見ていていいのかと、この議論は率直に言ってあります。  したがって、そういう体制で今ダブルチェックでやっているものですから、どういう形がいいのかというのは、一方で、この三条委員会一本にしてしまうと今度は監視体制一つ別にできて推進部局があると、こういう形になりますから、確かに分かりやすいんですが、どちらがどういうメリットがあるかということもしっかり踏まえた上で、御指摘のように、過去に法案を出しているという事実も御指摘のとおりですから、そういうことも含めて検討をよくさせていただきたいと、このことを申し上げたいと思います。
  356. 近藤正道

    ○近藤正道君 民主党皆さんは、この間、ダブルチェック体制を、これはやっぱり機能していない制度だよということで厳しく批判をしてきた、その経緯を是非重く受け止めていただきたいと思いますし、この原子力安全規制委員会というのは単なる見解の一つではなくて、政策集の中に明確にやっぱり載せている、そういう制度でございますので、是非やっぱり重く受け止めて、世界の流れにやっぱり沿いながら、是非これを実現する方向で議論を深めて、進めていただきたいということを強く要望申し上げておきたいというふうに思っています。総理にも、あるいは直嶋大臣にも前向きな御答弁をいただけたと私思っておりますので、よろしくお願いをいたします。  今日は、実は沖縄の話も少ししようかというふうに思っておりましたけれども、時間がございません。これ、明日に飛ばしまして、最後に福島大臣に質問をしたいというふうに思っています。  地方消費者行政の抜本的強化に向けて担当大臣としてどう取り組んでいかれるのか、決意をお聞かせください。
  357. 福島みずほ

    国務大臣福島みずほ君) 地方消費者行政の窓口の充実と地方消費者行政の充実、この二つをきっちりやってまいります。  これについてはきちっと予算も付け、あるいは消費者庁の中に地方協力課というのを設けて人員をきっちり配置をいたしまして、地域とのネットワークをきちっとやっていきたいと考えています。これは相談窓口の情報などを国に一元化をして、情報の解析や分析、発信もちゃんとやってまいります。  ところで、都道府県の中で知事を本部長とする地方消費者行政推進本部は、現在、群馬県とそれから静岡県と兵庫県にあります。また、鳥取県は、本部長は知事ではいらっしゃらないんですが、市町村がちゃんと入ってやっております。  消費者庁としては、消費者担当大臣としては、各地、四十七都道府県に地方消費者行政対策本部を、知事を本部長とするものをつくってもらって、地方消費者行政を地方自身も全力でというか、本当に頑張って、熱を込めてやっていただけるような体制をつくってもらうよう要望をする予定です。頑張ってやってまいります。
  358. 近藤正道

    ○近藤正道君 時間ですので終わりますけれども、消費者庁あるいは消費者委員会がスタートをして二か月がたちました。私、最近そういう地方の実情を聞く機会が三度ほどありましたけれども、なかなか法案作ったときの熱い国会の議論が地方にやっぱり伝わっていないと、こういう実感を非常に持ちました。  是非、それぞれの地域で知事をトップにする対策本部をつくっていただいて、強力に進めていただきたい。これはもう総理が人間のための経済のポイントの一つだというふうに所信で申されておりますので、是非福島大臣に頑張っていただきたい、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  359. 簗瀬進

    委員長簗瀬進君) 以上で近藤正道君の質疑は終了いたしました。(拍手)  これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。  明日は午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会