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2009-11-17 第173回国会 参議院 農林水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年十一月十七日(火曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      舟山 康江君     岡崎トミ子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         小川 敏夫君     理 事                 一川 保夫君                 岩本  司君                 佐藤 昭郎君                 山田 俊男君     委 員                 大河原雅子君                 大久保潔重君                 岡崎トミ子君                 亀井亜紀子君                 郡司  彰君                 主濱  了君                 藤原 良信君                 松浦 大悟君                 岩永 浩美君                 中川 義雄君                 松下 新平君                 風間  昶君                 草川 昭三君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   赤松 広隆君    副大臣        農林水産大臣  郡司  彰君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○農林水産に関する調査  (戸別所得補償制度導入に関する件)  (中山間地域振興に関する件)  (食料自給率向上に関する件)  (漁業経営安定対策事業見直しに関する件)  (漁場における有害生物による被害の防止に関  する件)     ─────────────
  2. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林水産に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 一川保夫

    一川保夫君 民主党一川でございます。  先日、十二日の大臣所信、ほか副大臣政務官のごあいさつをいただきまして、それに対する御質問をさせていただきたいというふうに思っております。  我々は、この選挙を通じまして政権交代したという中で、これ、農林水産委員会も大変な多くの課題を有しているというふうに思っております。政権が替わったということは、当然ながらそこに政策の転換が伴うのはごく当たり前でございまして、そういう面で大臣所信の中でそういうことを強く強調されておりました。  私自身も、我々、二年余り前の参議院選挙においても、当時も、私も当時農林水産委員会にその直後おりましたが、二十九ある一つの地方区の選挙において、参議院においてすら、我々、当時の野党が二十三議席ですか、確保したと。今回のこの衆議院選挙において、農村地域といえども民主党中心とした今の与党の勢力が圧倒的な議席確保したというのは現実問題です。それは、やはり農村地域皆さん方はこれまでの政権農業農村政策に対して非常に危機感を持っていたと、また現状農村地域が大変な疲弊化を来し、また農業なり林業なり水産業の将来がなかなか明るいものが見えないという中で、皆さんがいろんな投票行動に出られたというふうに私は思っております。  そういう観点で、農林水産大臣所信で幾つかの点を整理されてお話をされましたけれども、特に政権交代をしたという中で、農林水産大臣として特にどういったところをしっかりと当面は取り組んでいきたいという思いなのか、その辺りをもう一度御説明をお願いしたいと思います。
  4. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 一川委員から御指摘をいただきました。私自身全国を回る中で、特に農村地域皆さん方から政治に対する期待、とにかく農業農村を何とかしてほしいという熱い思いを、候補者の一人としても、また党の選対委員長も務めておりましたので、全国を回る中でそういうことを痛感をさせられたところでございます。とりわけ農業につきましては、現状御存じのとおり、生産額減少就業者減少高齢化、農地、森林の荒廃、水産資源減少に代表されるように、誠に深刻な状況でございます。その意味で、また都市部消費者の食に対する信頼も大きく損なわれているところでございます。  このような状況を打開していくためには、私どもマニフェストできちっとそれを書き込んでありますけれども、食と地域再生を図る、そのために総選挙前から戸別所得補償制度による農山漁村再生、食の安全、安心の確保など政策実現を主張してきたところでございます。現在、こうした国民皆さんとの約束に従いまして、特に戸別所得補償制度導入農山漁村の六次産業化食品トレーサビリティーシステムの取組の推進などを実施すべく、今二十二年度の概算要求にもそれを入れて要求をしているところでございます。  これらによって、生産者が子や孫の世代にも安心して引き継ぐことのできる農林水産業実現をするとともに、消費者が将来にわたって安全な食の恩恵を享受し、緑豊かな環境の中で暮らすことができる姿を目指して頑張ってまいりたいと思います。
  5. 一川保夫

    一川保夫君 今ほどお話がされましたように、民主党政権鳩山政権の中で、私は、農業政策というのは、先ほど戸別所得補償制度というのが言われましたけれども、これが大きな一つ目玉商品になっているわけでございますけれども、今農林水産省として、この制度を今一気にすべて実行するということはなかなか難しいということで、モデル的に米を中心に取り組もうとしているというふうに聞いておりますけれども、こういった戸別所得制度導入するに当たって、今現状では農林水産省としては何が課題かというふうに思われているのか、その辺りをちょっと整理してお話をしていただきたいと思います。
  6. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 私どもマニフェストの中でも二十三年度から本格実施をするということを明記をしておりますし、その前年の二十二年度は二十三年度からの本格実施に向けての言わば助走期間としてモデル事業をしっかりやっていく。モデル事業の中でいろいろ出た問題点、あるいはいろんな期待、希望、あるいは見直しの点がもしあれば、そういうところについてしっかりと見直し点等も踏まえながら、二十三年の本格実施に向けて頑張っていきたいと思っております。  特に二点について、一つは、やはり何といっても、今申し上げましたような農村現況を見るときに、やはり農業者経営の安定を図るということがまず第一でありますし、もう一つは、今国内の自給率が四一%というような中で、各国と比べましても極端に低い食料自給率でございますので、この自給率向上、そして安定的な食料の供給、そしてまた農村農業が持つ多面的機能の維持というのを図っていくということにしていくところでございます。  また、今度の戸別所得補償制度モデル事業の一番のやっぱり課題といいますか、は、もちろん全品目やりたいんですけれども、まずモデル事業ですから、一番、作付けの戸数その他を考えれば、やはり日本農業を考えるときに米を抜きにしてはこれはもうあり得ませんので、まず米、水田作中心にした事業について、そのモデル事業としてまずそれにしっかり取り組んでいくという中で、その他のものについてもまた大規模化に伴う、あるいは環境対策に伴ういろいろなものも追加してやっていきますけれども、それは本格実施の中でやっていくということで、取りあえずはまずそれでもってスタートをさせていただきたいというふうに思っております。
  7. 一川保夫

    一川保夫君 農業は御案内のとおり自然相手のそういった産業でもありますし、一つ作付け体系の中で農家皆さん方も計画的にいろんな自分の農業経営に取り組んでいらっしゃるわけでございます。  そういう途中に政権が変わったという中のいろんな不安感心配事というのは当然あろうかと思うんですけれども、私はやはり、五十年余り続いてきた一つ政権の中で、そういったものが各自治体なり各いろんな農業関係の組織なり、農村地域にいろんなこれまでのやり方がしみ込んでしまっていると。もうそれが体質化しているところがございますから、そこを直していくというのは並大抵のことではないわけですけれども、そこをしっかりとまた踏み込んで点検をし、直すべきところはしっかりと直していくということが非常に重要なことでありますし、また我々の責任であろうというふうに思っております。  そういう面では是非しっかりと問題意識を持って、農家皆さん方が当面、中長期的にも余り心配のないような説明の仕方をタイミングよくやっていく必要があるんではないかというふうに思いますので、ひとつ御努力をお願い申し上げたいと思っております。  最後に、ちょっと質問時間もございませんから一点だけお聞きするわけですけれども、中山間地域と称する条件不利地域での農業なり、あるいはまたその奥地の山村振興という観点からすると、林業も含めて大変厳しい、これまたもう限界集落と言われる言葉さえ出てくるような状態になりつつあります。  こういったところは農業政策のみではなかなか解決できないところがあるわけですけれども、しかし農林省が中心となって取り組むしかないというふうに私は思いますので、そういう中山間地域農業再生、あるいは森林を更にしっかりと振興していくという面では基本的にはどういう姿勢で臨まれようとしているのか、その辺りお話しを願いたいと思います。
  8. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 旧来政策、自民党、公明党の皆さんを始め、一生懸命農政について取り組んでこられた、私はそのように思っております。しかし、にもかかわらず、耕作放棄地面積は三十九万ヘクタール、毎年二万ヘクタールずつ増えているという状況でありますし、残念ながら、やはり今までのやり方、今までの仕組みについて変えざるを得ないというのが今の農業の私は現況ではないかというふうに思っております。  その意味で、農業生産額の約四割を占めているのが委員指摘の中山間地地域でございます。今まではどちらかというと規模の大きなところに集中的に補助、支援をしていくという仕組みだったわけですけれども、それらでは、今の耕作放棄地が毎年二万ヘクタールずつ増えていくということに象徴されますように、そこにだけの手当てではもう何ともならないというところに来ているわけで、むしろこうした生産上不利と言われているような中山間地、こういうところに対してもっと元気に、もっとやる気で、もっと前向きに取り組んでいただけるような仕組みを併せてつくっていこう、これが実は戸別所得補償制度でございます。  その意味で、旧来からあります中山間地に対する直接支払につきましても、高齢化にも配慮したより取り組みやすい制度見直しをした上で、平成二十二年度より第三期対策として継続できるよう今概算要求を行っているところでございます。特に農業が持つ水、緑、環境、そういう意味からいえば、こうした多面的機能にも配慮しなければならないという意味からいえば、小規模であっても条件的な不利な地域であっても、是非日本のこれからのために、こうした地域皆さん方にも頑張って農業に取り組んでいただく、あるいは取り組んでいただける、そういう施策を行っていきたいと、このように思っております。
  9. 一川保夫

    一川保夫君 ありがとうございました。     ─────────────
  10. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、舟山康江君が委員を辞任され、その補欠として岡崎トミ子君が選任されました。     ─────────────
  11. 藤原良信

    藤原良信君 赤松大臣、御苦労さまです。郡司大臣も御苦労さまでございます。  私は、大臣所信表明の中での水産政策に絞って質問いたしますので、よろしくお願いいたします。できるだけまとめて御質問いたしますので、よろしくお願いいたします。  結論から申し上げますけど、水産予算充実強化に向けた大臣の基本的な考え方をお示しをいただきたいと思います。これは理念ともつながっていきますので、結論から先に申し上げましたけど、これを質問したいと思います。  その理由について若干申し上げますけれども日本海洋国家であると。水産漁獲高も、それから水産物消費量についても世界でトップレベルの国でございますが、ところが全体の水産予算大臣水産予算が二千五百億弱です。これはイージス艦が、「あたご」が漁船とぶつかった事故ありました。イージス艦一隻一千五百億、二隻で三千億なんです。それよりもオールジャパンの水産予算が少ないということが現実でございます。  これをどうとらえていらっしゃるかということ、過去も私は若林元大臣に御質問いたしました。財政が厳しい中で予算全体のバランスを考える必要がある、ただ水産政策責任を果たし得る予算額であるという御答弁をここの委員会でいただきました。果たしてどうでしょうかと。そういうものではないと私は思っておりまして、やはりきちっとした予算額ということをこれは目途とすることが必要であると、理由がそういう今お話をした理由でございます。これ、一点でございます。  それから、続けて申し上げますけれども、二番目といたしまして、漁業所得補償について申し上げます。  これ、概算要求として二億円を計上してございます。このことは漁業者の直接所得補償制度の設計のためであるということを理解しておりますが、それでは、これは、来年度の調査事業は具体的にどのようなことを何年くらい掛けて調査していくおつもりであるかということはお示しをするべきであると思いますので、この場でお披瀝をしていただきたいと思います。  この前提とはなるんですけれども水産庁としての現下の漁業経営状況をどうとらえていらっしゃるのかということでございます。  それから、今までの政権与党が進めてきた、これは新しい経営安定対策というのを続けてきて、二十年度からスタートしてやってきたんですね。この整合性がどうなっていくかということが出てくると思います。  私はこれは、このことについて若干申し上げさせていただきますと、とてもじゃないけどこれは使い勝手の悪い制度であるというふうに私は申し上げてまいりました。といいますのは、中身五つ要件がありまして、特に六十五歳未満であることと要件の中に入っておりまして、これはおかしなことであると。後期高齢者医療制度の七十五歳で切るのと何か似通っているようなことが感じられたんですが、このことについて、年齢要件が一部見直されるということは、これは六十五歳以上であっても後継者を確実に確保できる見通しがあれば例外的に認められるようになりますということでありますけれども、それでも原則六十五歳というハードルをまだ設けている理由が、この制度そのものに問題があると思うんです。  これが一点ございますけれども、しかしながら、大臣、しかしながら問題は、新しい漁業所得補償制度、これ創設していくことになれば、今までのこの既存制度が、既存のといいますか、新しい──よろしいですか、経営安定対策との整合性、どのようにこれなっていくのか。この点をまず、全部先に申し上げても覚えてませんから、どうぞ。
  12. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 日本水産産業、これからどうしていくのか、非常に大きなくくりの中でのお話から具体的な六十五歳の話まで出たものですから、順次お答えをしていきたいと思いますが、一つは、水産政策につきましては極めて重要だという認識でございますし、資源を守りながら国民の安全、安心な水産物を提供し豊かな食生活を支えていくためには、水産資源の管理、回復と、何よりも漁業経営の安定を中心施策を図っていかなければならない、これはもう先生の御指摘のとおりでございます。  具体的にじゃ、どういうものを計上しているのかと先ほどお話がありましたけれども、二十二年度の概算要求におきましては、漁場保全被害対策として五十四億円、燃油それから養殖用配合飼料価格高騰対策二十二億円、漁業者資金繰り支援のための金融対策四十九億円等を重点事項としているところでございまして、海洋国家日本にふさわしい豊かな国民生活実現を目指すために今後とも水産予算充実に努めてまいりたい、このように考えております。  それから、漁業所得補償制度についてお尋ねがございましたが、これは今委員指摘のように二億円という調査事業に対する要求を出させていただいております。これは、一年の事業としてこれを計上いたしまして、そして一年間でしっかり調査をして、今水産漁業につきましては残念ながら細かなデータやそういうものはまだ出ておりません。所得補償をするにしても、基本的な生産費や、また漁獲に当たっての収入が一体どういう今現状なのか等についてのきちっとしたそういう数字が出ていなければ、対策所得補償制度そのものが成り立ちませんので、この一年間を掛けてその辺り漁業経営体収入費用等経営実態の把握について努めてまいりたい、このように思っております。  また、特に漁業が難しいのは、経営体組織形態、個人でやったり大きな会社でやったり、それから漁業種類、一本釣りだったり巻き網で、そういう手法でやっているところとか、あるいは規模漁船といっても大変ピンからキリまでトン数の違いがございます。これらによって経営実態も大きく異なるものですから、そういうことを勘案をしながら経営状況調査分析を行ってまいりたいというふうに思っております。  なお、経営安定対策として積立ぷらすというのがあるのは御存じだと思いますけれども、これについても、漁業共済上乗せをした形で収入減少を補てんするものとして平成二十年度から導入をされ、今九割補てんということになっておりますけれども、更にこうした制度についても充実をさせていきたい、このように考えております。  それから、先ほどの五つ要件のうち六十五歳の理由ということでしたけれども、効率的かつ安定的な漁業経営体の育成と確保を目的としているためそのような要件付けをしているということで御理解をいただきたいと思います。昨年十二月の補正予算におきまして、一部の条件緩和後継者がいればよいというところにしているというふうに聞いております。  取りあえず、お聞きになられたことはそんなところだったでしょうか。
  13. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。  大臣、今の御答弁で、一番最後経営安定対策のことから触れていきますけれども、この要件で、大臣お話しのように、一部緩和ということでの年齢に対することも今御答弁ありましたけれども、私はそもそも、私は岩手県の沿岸部の出身でございますが、六十五歳以上の人が第一線でぴんぴんしているんです。三十年前の七掛けだと、七十歳の人は七、七、四十九歳、八十歳の人は七、八、五十六歳だって私は思っておりますけれども、これは食料が良くなって、医療が良くなって、どんどん六十五歳以上のが第一線でおります。  これを、五つ要件の中の一つであるんですね、原則僕はこれは切り離していくべき、六十五歳ということはやめていくべきだと思うんです。これは生きがいを失わせていきますね。是非ひとつ御検討していただきたいと思うんですね。そう思います。どうしてこれが出てきたのかって、僕は前の大臣にもこれはお話をいたしまして、質問させていただきました。そういうことを是非考えていくべきだと思います。  それから、このことについてもう一点申し上げますと、この新しい経営安定対策というのは私はいろんな不備があると思っているんですが、前回もこれは申し上げてきたんですが、これは共済に対する上乗せでございますから、そうすると、三つの大きな共済で、漁業者の場合は半分です。五割しか入っていないんです。初めから五割は対象外になっているんです。  これ、中身の問題があるからなんですけれども、例えば農業の場合でいきますと、いわゆるナラシ対策でいきますと、国と農家負担割合が三対一でございまして、農家負担が二五%なんです。漁業共済というのは一対一なんです。五〇%、五〇%なんです。だから、最初からそういう条件が、共済加盟に対する条件が非常に不利なんです。だから加盟率が五〇%なんです。  元々そういうのが基本的には根本にありまして、それで今度は要件が六十五歳以上は認めませんよという、元々こういう発想の制度がなぜ行われてきたのかと。  そして、よってこれは検討していただきたいということなんですが、あわせて、今度漁業所得補償を実行していくという調査費を計上しているわけですから、これとのそれじゃ整合性ということもこれ兼ね合いになってくると、何重にもこれは問題があるような感じがするんですが、まず御答弁をよろしく。
  14. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 御指摘の点はよく理解できます。政権交代もあったことでございますので、一年の調査結果を待ちまして、所得補償制度の中で、今御指摘の点については前向きにその制度の中で生かせるように検討をしてまいりたいと、このように思っております。
  15. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。前向きな御答弁でございまして、ありがとうございます。  そこでなんですけれども、私は前段で大臣に、所信表明演説から、この農林水産重要性について大臣から訴えられました。御表明されました。それに基づいての御質問にしているわけでございますけれども農林水産、いわゆる食料国家安全保障のこれは重要な柱であると思っております。だから重要性必要性については大臣所信表明のとおりでございます。  その中で、今のお話もそうですけれども漁村整備について触れさせていただきますけれども、これは来年度の概算要求が、お聞きするところ一五%カットということをお聞きしておりますけれども、これは例えば一例で申し上げますと、汚水処理施設は、これは普及率全国平均は八五%でございますが、漁村は五一%でございます。これは、文化的水準向上もさることながら、生活排水が海にそのまま流れているということは生産性の低下に大きくつながっております。  ですから、これは是非この水産公共事業概算要求見通し、それから、赤松大臣は基本的にはこれは重要であるという、進める方向でおりますけれども財政当局に対してのこれは理解力を深めさせていく上でどういう行動を取っていこうとされるのか、併せて、併せてといいますか、お尋ねしておきたいと思います。
  16. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 今御指摘の点につきましては、漁港漁場整備長期計画平成十九年の六月の閣議決定でもって決められた中身でございます。それに従って、今特に御指摘のあった排水問題については、漁業集落排水施設整備人口比率ということでここに表があるんですけれども平成十六年を基準年といたしまして、その当時で三五%、そして、平成二十年の数字があるんですけれども、これで四七%、そして今目標年としておりますのが平成二十三年でございますけれども、この二十三年に向けて、おおむね六〇%の整備比率にしてまいりたい、このように考えておるところでございます。  ただ、問題は、こうした排水施設整備等について予算もしっかり掛けて実現をしていくと、当然のことでございますけれども、しかし財政当局はなかなか厳しいだろうというのが委員の御指摘だというふうに思っております。先生方のまた御理解と応援をいただきながら、是非ども財務当局とのいろいろな交渉の中で、是非少しでも多くの予算を獲得して、そしてこの整備ができるだけ早く十分に行き渡りますように今後とも努力をしてまいりたいと、このように思っております。
  17. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。  大変限られた時間でございまして、それにもかかわらずお答えいただいておりますことを感謝申し上げます。(発言する者あり)ちょっとよろしいですか、済みません、一点だけ。  大臣、今問題となっている大きな定置網とかなんかのクラゲ対策で、このことだけ一点お聞きしますけれども、大型クラゲのエチゼンクラゲのことがこれは対象でしょうけれども、これはキタミズクラゲという小型もこれは結構大きな被害がありますので、使い勝手のいい予算体系に是非していただくことをお願いをしておきたいと思うんですが、両方とも対応できるような、四十億を目途としているようでございますけれども、どうぞ使えるような、大型だけじゃなくて小型も大きな発生をしておりますので、そういうことの、漁業生産向上につながるようにひとつお考えいただければと思うわけですが、一言どうぞ。
  18. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 今御指摘の件につきましては、キタミズクラゲ、例年春に集中して三陸海岸沖に発生するクラゲだというふうに聞いておりまして、ただ、これは三位一体改革の中でかつての考え方が少し変わりまして、単県、例えば岩手県の前だけに出るようなのはその県でやりなさいと。岩手、宮城に、二県以上にまたがるものは、これは国の制度でやりなさいということでございまして、特に今回は広く広域的に被害が発生しているというふうに聞いておりますので、有害生物漁業被害防止総合対策事業というものの対象になると思っておりますので、その中でこのキタミズクラゲについては対策を講じていきたいと、このように思っております。
  19. 藤原良信

    藤原良信君 ありがとうございます。
  20. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  この間、世界の食料危機あるいは世界経済危機という下で、食料輸入に依存する、そういう国づくりというのは持続不可能だということを示したというふうに思うんです。それで、我が国の農林水産業農山漁村再生というのは待ったなしの国民的な課題になっていると思うわけです。それから、飢餓問題や地球温暖化、この二十一世紀の人類的課題というふうに言ってもいいと思うんですけれども、この達成という点からも急務になっていると思うわけです。  それで、食料自給率向上中心に据えた我が国の農林水産業再生というのは非常に切実だということで、赤松農水大臣所信に対しての質問をさせていただきたいと思います。  それで、まず食料自給率なんです。民主党マニフェストを見ますと、食料自給率向上国家戦略目標として設置ということで、十年後五〇%、二十年後六〇%というふうにしているわけですけれども大臣所信の中では自給率向上を図るというふうに述べられています。詳しい中身はそこに言われていなかったのでお聞きするんですけれども、では、実際にその具体的な中身といいますか、食料自給率目標はいつまでに何%達成させるのか、そして、そのためには具体的にどのようにしていくのかということについてお聞きしたいと思います。
  21. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) この内閣は、社民党、国民新党との三党連立なものですから、そういう少し遠慮もございまして私自身所信では具体的な数字を申し上げませんでしたが、ただ、農業農村の基本計画というのがございまして、ちょうど来年の三月に新たな基本計画を策定するということで今その作業を進めております。そういう中で、当然、日本食料自給率についてもこれは触れざるを得ないということになりますので、委員先生方の御検討の中で、多分私は十年後五〇%、二十年後まで書くかどうか分かりませんが、少なくとも基本的に私どもが今まで申し上げていたような方向がこの基本計画の中で明示をされるのではないかというふうに思っております。  基本的な私自身の考え方でいえば、少なくとも主要な農作物についてはやはり早急に五〇%以上の、特に世界的、長い目で見れば食料が逼迫をしていくと、現在十億人の飢餓人口がいるというふうに言われている中で、食料安全保障という立場からも、特に主要作物を中心にしながら自給率を早期に上げていく必要があるというふうに考えておりまして、農水省としてもそのための取組を強めていきたい、このように考えております。
  22. 紙智子

    ○紙智子君 お聞きしたかったのは、こういうふうにしたいと思っているということではなくて、具体的にそれをやるために、農水省がいろいろ算定されている中で、例えば一%上げるために何をどれだけ増産するかという面積の問題とかもいろいろ算定されていると思うんですけれども、そういうところに照らしてどうするのかというところをちょっとお述べいただきたいんです。
  23. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 例えば、少し制度の問題でいえば、まさにそれは、今回私どもが提起をさせていただいております戸別所得補償制度がまさにそれに当たります。  米の部分についてだけ言えば、これは生産数量目標を立ててやるわけですから、これそのものでは食料自給率は上がりません。しかし、それと併せてやります水田利活用の制度の中では、主食米からむしろ米粉あるいはその他の麦、大豆等にどんどんとこれは切り替えていただくということでやっておりますし、米粉辺りでいっても、今フードアクション何とかといって農水省もしっかり力を入れてやっていますけれども一つの例でいえば、こういう小さなパンを月三個食べていただければ食料自給率は一%上がると、わずか月三個ですから、これで上がると。あるいは、お茶わんに本当に一かけら残った御飯を残さずに全部食べてもらう。これだけでも食料自給率は一%上がるということですから、細かなことから制度としてのこうした、先ほど言った戸別所得補償制度のような水田利活用自給力アップのこうした制度をどんどんと広げていく中で、中山間地地域も含めて、あらゆる農業者たちがしっかりとこうした食料自給のための取組にこたえていただく。  問題は、どんどん作っても食べてもらわなければ自給率は上がりませんので、これはパートナーであります食品産業の各分野の皆さん方とも連携をしながら、それはイコール消費に回っていく、消費の拡大につながっていくという方策を取っていきたいと、このように思っております。
  24. 紙智子

    ○紙智子君 農水省が出している試算でいうと、例えば米などの場合でいうと、一%上げるために増産する量が三十四万トンだとか、あるいは米粉用米でいうと三十四万トンプラスしなきゃいけない、飼料用米でいうと三百十一万トンだとか、そのために必要な作付面積とか、そういうのが一通り出されてはいるわけです、試算で出されているわけですよね。  そして、今ちょっと最後の方のお話にもありましたけれども生産面だけではなくて、加工や流通や消費の面ということも含めて総合的にどうしていくのかということを詰めて、それを本当に現実のものにしてやっていくにはどうするかということが詰めていかれないと、なかなか自給率上げる上げるといっても実態がそぐわないということになってしまうと思うんですよ。そこは、ちょっと今お聞きした範囲ではなかなか分からないんですよね。次の、ちょっと、短く答えをいただいた上で。
  25. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 今御指摘の点については、それぞれもう表を作って準備はしているんですけれども、先ほど申し上げましたように、基本計画が三月までに議論をしてそこで発表をするということになっていますので、この中で例えば米についてはどうするのか、米粉用米についてはどうするのか、飼料用米については、小麦については、大豆についてはというのは、具体的なそういう数量目標を設定をして自給率アップに具体的に分かりやすい形で発表し、皆さんの御協力で実現をしていきたいというふうに思っております。
  26. 紙智子

    ○紙智子君 私は、この試算の結果見ただけでもやっぱり一%上げるだけでどれだけ大変かということを改めて実感しますし、そのことを本当に現実のものにするための対策政策というのはいよいよ大事だというふうに思うんです。  その点で、次の質問ですけれども、戸別所得補償政策についてです。  それで、この政策の対象はすべての販売農家を助成対象にと、そして生産に要する費用と販売価格の差額を補てんするというふうになっていまして、我が党が出した農業再生プランというのがあるんですけれども、我が党の場合は所得補償、価格保障を組み合わせる中で、その価格保障の中で不足払い制度というのを提起しているわけですが、考え方でいうと、今言った二点というのは近いというふうに思うわけです。そういう意味では、前政権に比べれば積極的であるというふうには思っているわけです。しかし、よく分からないところも多々ありまして、それについて幾つかお聞きしたいんですが。  まず、二十二年度米の戸別所得補償政策、米の補償のモデル事業について示されていて、その補償水準なんですけれども、標準的な生産に要する費用のうち家族労働費は八割だと。なぜ八割なのか、何で十割では駄目なのかということについてお聞きしたいと思います。
  27. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) これにつきましては多くの先生方からも実は指摘を受けております。  じゃ、ちょっと考え方を変えて、じゃ十割で計算をした場合どうなるか。これは、例えば全中さん辺りも、民主党のこの政策は非常にいいけれども、あと八割を十割にしてくれたらもっといいなというようなことを具体的に新聞等でも書いておられます。  もし十割にした場合は、家族労働費の全額を算入することということになるわけですので、生産性向上等の経営努力が進まなくなったり、あるいは利益が上がり過ぎて貯蓄に回ったりするなど、税金をつぎ込むわけでありますから、モラルハザードが起こるおそれ、可能性があるということで、あくまでもこの制度農家の最低限の所得を補償する観点からということになっておりますので、だとすれば、やはり家族労働費は八割程度で見た方がよいのではないかというのが私どもの考え方でございます。
  28. 紙智子

    ○紙智子君 根拠というんですかね、何を根拠にしてこれ出されているでしょうか。
  29. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) これは、具体的にもう数字も十二月になるといろいろ出てまいりますから計算していただけると分かると思うんですけれども、平均的な販売価格と生産費、その差額分を定額的な補助で埋めるんですけれども、それでさえ、今かなり土地が、土地を集積して大規模化をして、そしてやっていくと利益がかなり出てしまうと。  建設業、製造業、運輸業の五人から二十九人規模事業所の賃金単価ということに今農家皆さん方の実際の労働時間を掛け合わせてみて計算してみるということをいろいろ比べてみると、これは額的にはやはり十割では少し高過ぎるのではないかと、やはり八割程度で見た方がよりすべての皆さん方に納得をしていただけるのではないかということで八割にさせていただいたところでございます。
  30. 紙智子

    ○紙智子君 そのことを聞いたんじゃなくて、ちょっとお聞きしたところによると、雇用保険法に基づく失業・休業補償制度を念頭にというふうに聞いたんで、これはそうなんですか。
  31. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 私どもは、旧来ありますように、今申し上げたそれぞれの建設業、製造業、運輸業等のこうした実態賃金を見る中で、そこから算出をしたということでございます。  全中さん辺りは、むしろ第三次産業の分も含めて計算をしたらもっと上がるじゃないかと、それでやってくれみたいな意見もあるやに聞いておりますけれども、私どもはそうした業種を中心にして計算をさせていただいたということです。
  32. 紙智子

    ○紙智子君 私は、やっぱり八割という話で、十割にすると努力してもらう分があるんだという話をされるんだけど、実際に現場の農家の人たちの状況というのは今でさえもぎりぎりで、もういつやめてもおかしくない状況の中でやっているというのが現実なんですよね。  だから、更にそれをもっと努力させるんだということではなしに、やっぱり家族労賃として十割持つということを基本に据えるべきだというふうに思うし、今製造業云々かんぬんという話があって、全中さんもそういうふうに書いているということなんですけれども、私も、やっぱり他産業並みということを言うのであれば、きちっと第三次産業も含めて全体の平均でこれはやる、考えるべきではないかというふうに思うんです。  それから、実際にその補償の中身そのものが、やっぱりみんなが期待しているのに対してやせ細ってしまうのでは、やっぱりその期待がしぼんでしまって希望が失われることになると思いますから、そこのところは、今はそれでよしとするのではなくて、是非引き続きそこのところは検討していただきたいということをお願いをしたいと思いますが、いかがですか。
  33. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 私は非常に柔軟でございますので、とにかく一年間モデル事業をやって、そしてそういう中で、今、紙先生が御指摘のことも含めて、いろんなまた御意見が出たり、あるいは農村現場で実際に農業に従事しておられる皆さん方からいろんなまた御意見も出ると思いますから、そういうことを踏まえながら二十三年度からの本格実施の中に生かしてまいりたい、このように思っております。
  34. 紙智子

    ○紙智子君 それからもう一つなんですけれども、二十二年度の水田利活用自給力向上事業の単価が示されています。この根拠についてお聞きしたいと思います。  全国統一単価ということで、麦、大豆、飼料作物が十アール当たり三万五千円、新規需要米が八万円、そば、菜種、加工用米が二万円、その他一万円となっているんですけれども、これで農家は減収にならないのかということを聞きたいんです。
  35. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 正直に、端的に申し上げまして、麦、大豆に高い助成単価を設定している地域では助成単価が下がる場合もあり得ると認識をいたしております。
  36. 紙智子

    ○紙智子君 下がる場合もあると、減収になるところもあるというふうには思っているわけですよね。  それで、実際に麦、大豆、飼料作物でいうと、産地づくりの、今までの、現行のでやってきたのが大体五万というふうにすると、三万五千では全然足りないと、実際の水準下がるということがあちこちから出ていまして、例えば岩手県で集落営農をするために物すごい苦労をして、とにかくもう繰り返し議論してまとまってみんなでやっていこうということで落ち着いて、麦とかやっと定着しつつあるかなというふうになってきているところで今回この指標を見てがっかりしていると、これじゃもうやっていけないと、それでオペレーターの給料も払えなくなると、どうするんだということで今非常に議論になっているということなんですよね。  それで、初めからそういうことを見て減収になるということが分かっていたら、それはやっぱり皆が作るとならないわけで、これに対しての対応策ということで考えていかなければいけないのではないかと。それで、地域の実態を踏まえた加算措置などは、全中なども政策提言の中で指摘しているんですけれども、これについてはどのように対応されるおつもりですか。
  37. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) 先ほど私がお答えしたのは、地域によっては単価が下がるところもあるでしょうということなんで、それはありますということを率直に答えさせていただきました。  ただ、その前提では制度全体を見ていただかなければならないというふうに思っております。あくまでもこれは米を中心とした、あるいは水田利活用ということに限った制度でございまして、米、大豆については本事業の助成単価で主食用米並みの所得を確保できる水準であると、平均的にはですね、そういう建前、原則でやっております。ただ、今までは地域によって単価を違った形で設定できたものですから、一部高く設定しているところについては確かに低く出る場合もあるというのも事実ですけれども、この一と二両方を勘案して考えていただく。あるいは、旧来経営安定対策費についても、これもまだ生きているわけですから、それも併せてやっていただければそれほど御心配をいただくことにはならないんではないかというふうに思っております。
  38. 紙智子

    ○紙智子君 いろいろ考えて組み合わせればというようなお話なんですけれども、例えば八万円のところの新規需要米のところなんかも、これ期待は八万円というと高いと思うんですけれども、しかし売手が決まらないと作っても余っちゃうわけですよね。だから、売り先がちゃんと定まっているのかというと、それはもう自助努力だとなっちゃうと、これはなかなか思い切ってやれないということがあるわけで、こういうことなども含めてもっとやっぱり詰めて、本当に大丈夫だと、これでやっていこうというふうに向かえるように必要な加算措置だとかいうことを検討する必要あると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  39. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) これについても私は、その今の八万円に該当する飼料米の、今既に実験的にかなり進んだことをやっている東京農業大学の現地も視察に行かせていただきました。そうすると、やはり通常の量の倍ぐらい収量があると。しかも、コストは、労力もあるいはそのコスト全体も六分の一で済むと。しかも、そこに八万円も十アール当たりお金がもらえるということで、是非これはやってみたい。もしここで作ってくれたら、そのときに養豚組合あるいは養鶏組合の皆さんも自主的に見学にお見えになっていましたけれども是非こんないいものだったら自分のところで使わせてほしいと、どんどん作ってもらいたいというようなことでお話もいただきました。  また、八郎潟、大潟村のあそこで入植をされて、今まで減反に真っ向から反対をしてやってきた皆さん方についても、今回、全部とは言いませんけれども、ほとんどの方、多くの方たちが、この制度是非参加して、自分のところは余った水田を利用して米粉を作りたいと。米粉で今うどんももう作る工場も横に併設して、来年度からは是非この事業に参加したいと。すばらしい制度だということのお褒めもいただいておりますので、こういうことが今全国でどんどんと起こりつつあると。是非、紙委員の御心配されるように、どんどん作ったが売り先がないじゃないのというぐらいになれるようにその制度を進めていきたいと思っています。
  40. 紙智子

    ○紙智子君 実際にどうなるかということでは、これからの話なので、いろんな場面が出てくると思うんですけれども是非やっぱり実態にかみ合う形での修正なり必要な加算なども含めて、また今後検討いただきたいというふうに思います。  それで、もう一つ質問したいと思ってきたのは、現場にとっては喫緊の課題なんですけれども、米価の価格下落に対する、暴落に対する対策なんです。  それで、今年の夏に宮崎県や高知県の早場米が出始めた段階で、例えば宮崎県のコシヒカリが生産者の概算金で一万二千四百円、これ前年比に比較すると千六百円下落していると。それから、高知のナツヒカリというのが前年比で二千五百円下落ということで、これに加えて、大手の量販店などがコシヒカリの特売なんかをやって物すごく安く買いたたいていると。十キロ当たりの価格で二千九百八十円なんていう、普通四千円ぐらいするのかなと思うやつが物すごい安く売られているということで、大幅に下げている状況があって、これに不安を持って、農民の皆さんがこの後全体への影響を心配して、早い段階からこの百万トンの備蓄をルールどおりに、その差になっている十五万トンについて買い取ってほしいという対策を求めてきたんですけれども、結局全く手が打たれないまま十一月になったわけです。  それで、これについて一体どのように考えているのか。需給と価格の動向についてどんなふうにつかんで、どう考えているのかということをお聞かせ願います。
  41. 郡司彰

    ○副大臣郡司彰君) 米価の下落ということが一方であるではないか、政府の買入れというものも考えてみるべきではないかというような御質問だというふうに思っております。  十月十五日現在の二十一年産米の予想収穫量、これも御案内のとおりでございますけれども、主食用米穀等生産量八百三十一万トンの見込みでありまして、二十一年七月の基本指針において見通した向こう一年間の需要見通し八百二十一万トン、約十万トンぐらい上回るような数字になるだろうというふうに言われております。  このような需給状況を反映をいたしまして、二十一年産の米価については、全農取引の主な銘柄の相対契約価格などは若干弱含みというような数字示していることも出ておりますけれども、まだこれも出来秋の経過の数字ということもありますので、その辺のところについては我々も慎重に見守っていくというような姿勢でおります。  こういうような形がありながら、この買入れということと連動をさせるという考え方がそもそもよろしいかどうかということについても、今後は検討をしていかなければいけないのかなというふうにも思っているところであります。  いずれにしましても、政府在庫の現状というものがこれはあるわけでありまして、それらを踏まえつつ適正な備蓄運営のための政府買入れについては検討を行っていこうと、こういうようにしているところであります。  ただ、同じ買入れをするにしましても、これまでのことの反省すべきところがあれば見直しをしていこう、つまり客観的かつ透明性のあるルールに基づくことが重要なことであろうというふうに思いまして、そのような観点から具体的な方策について今検討をしているという状況でございます。
  42. 紙智子

    ○紙智子君 全農がこの間、農家の売渡し、それから卸向けの相対価格なども昨年並みでスタートをしたんだけれども、今のお話の中で弱含みという話ありましたけれども、結局、価格下落が表面化してしまうとこれ良くないということで、懸念をして卸との相対契約を進めたんだけれども、なかなか不調に終わるという中で、結局は各県の裁量任せにしたということがあるんですけれども。  そうすると、各県の本部が、値下げの一方では圧力が加わり、もう一方では仮渡しということの中で、結局その苦渋の選択の結果、県によっては、例えば三重とか石川とか福島とか、こういうところは各県のコシヒカリを五百円以上値下げという形でやって、東北もそれに倣って追従するという構図になっているということがあって、実際上やはり非常に厳しい状況生産者の立場から見ればなっているというのが現実だと思うんですよ。  それで、私も実は大分早くからこの価格暴落を防ぐメッセージを早めにとにかく農水省は示すべきなんだというふうに言ってきたんですけれども、前政権の中では全くそれは手が付けられずに来たと。  それで、十月三十日の会見では、赤松大臣が百万トンぐらいめどに政府買入れについて言われていたということもあったんですけれども、しかし現実にはまだやられていない中でどうするのかということなんですが。
  43. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) これは、郡司大臣言いましたように、備蓄の問題と、そういう買い支えるといいますか、とはちょっと問題が違いまして、備蓄については私どもは基本的に百万トンと、今八十六万トンぐらいあるわけですけれども、だからそれは八十六じゃちょっと少ないから買い増しをすることになるなということになると思います。  それからもう一つは、若干の今下落傾向ですけれども、しかし新たな制度の下では、だからこそその辺りの需給調整をきちっとやっていく、生産数量目標をきちっと掲げて、先ほど八郎潟のお話をしましたけれども、今までそういうことに従わなかった人たちも含めて、すべての人たち、多くの人たちがこの制度にどんどんと入っていただくことによって、きちっとした、本当に必要な数量を確保していく、そのことが需給を更にきちっと引き締めていくということに私どもはつながっていくというふうに思っておりますので、今年の分は前の政権だからというような無責任な言い方はしませんけれども、それはそれとして、ちゃんと皆さん方が困らないような政策があるとすれば、それはそれで私どもまた考えてやっていかなければいけないと思っていますけれども、少なくとも、だからこそ来年度以降の問題は、やはりそういう需給バランスをきちっと取って、そしてなるべくそういう価格が乱高下しないような、そういう制度として、仕組みとしてこの戸別所得補償制度是非実現をさせていきたいと、このように思っております。
  44. 紙智子

    ○紙智子君 米は年に一度取れるということですよね。それが秋に相場が決まるわけだけれども、そのときに一回価格が下がってしまうと、なかなか元に引き上げていくということが難しいわけですよね。  それで、戸別所得補償政策というのは来年、再来年の話なんだけれども、この今の米価の問題というのは、来年どう支えるかというもう直近の問題、今、今の問題なんですよね。ここのところに早く手を打ってほしいというのが現場の皆さんから出されているわけで、やっぱり十五万トン早く買い入れてほしいと言っているのに、なかなか手を付けないと。下がっているのに、結局政府の方は売りに出しているわけですよね、政府米を。古米を出しているわけですよ。  だから、実際何となくだぶつき感があって米価が下がっているのに、それは買わずに政府米は売りに出すと。しかも、それに加えて今度ミニマムアクセスについては、いち早く十二万トン輸入してしまったわけですよ。  これは生産現場の人から見ると何とも納得し難い話なんですけれども、これについて大臣はどうお考えでしょうか。
  45. 赤松広隆

    国務大臣赤松広隆君) MA米につきましては、これは御存じのとおり、ガット・ウルグアイ・ラウンドの中で、関税の大幅な引下げなどは行わないいわゆる代わり、代償措置として最低限度の市場参入機会を与える観点から、すべての加盟国との合意の下で設定をしたものでございます。  あくまでもミニマムアクセスは輸入機会の提供でございますので、MA米につきましては国産米の需給に極力悪影響を与えないように販売するために国家貿易によって輸入を行ってきたところでありまして、通常の場合にはミニマムアクセス数量全量の輸入を行っていく、約束どおりにやっていくということについては、これは平成六年の政府統一見解から変わらない、この考え方を継承していくということで私自身は思っております。
  46. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 紙君。なお、時間が来ていますので手短にお願いします。
  47. 紙智子

    ○紙智子君 ええ。時間が来ましたので、ちょっと途中でやめなくちゃいけないんですけど。  ミニマムアクセス米の問題は汚染米のことを含めて物すごい議論になって、何であんなお米を入れなきゃいけないのかという話が繰り返し出されてきたし、JAグループの政策提言の中でもミニマムアクセス米の義務的輸入は我が国農業者にとって理不尽だというふうに書いているわけで、これをやっぱり見直すということを、せっかく政権が替わったこういうチャンスのときなんだから、やっぱり論を立てて、是非これはやめる方向にしていただきたいということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
  48. 小川敏夫

    委員長小川敏夫君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会