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石井みどり君 実は、随分ショッキングな報道が、もう二年前ですが、週刊東洋経済で報道されて以来、いかに歯科の
現場が最も悲惨であるか、最も過酷であるか。
その中で歯科
医療関係者、本当に最善の努力をして国民の歯科
医療を守る努力を続けているわけでありますが、そのことが、先ほど申し上げた
社会保障審議会の
医療部会で八月二十六日、水田
委員、九州大学の副学長だったと思いますが、この方が、私が院長をしていましたときに歯科の診療報酬の低さにちょっとびっくりしたのです。それで歯科の
先生方に、あなたたちはそれを上げろと言わないのですかと言ったら、言い続けても駄目なのだとおっしゃったのです。
一つの歯科全体の一年分の収入が、ある
一つの外科の一か月分にも足りないぐらいのことしか上がってこないと。なぜこんなかというと、点数が物すごく低いわけです。
仕事をしていないのかというと、そうではない、一生懸命やっていらっしゃる。だから、何とかしてやっていらっしゃるのに低いのだということ、やはりそういうことを少し見直さなければいけないと。大変御
理解のある発言をされています。
少し歯科のことを御
理解いただきたいと思いまして、今日、
資料を何点か出させていただいております。
資料一の図の一は、これ一九五五年から二〇〇七年までですが、実は御承知のように、皆さんは
専門家でいらっしゃいますので御承知のように、一九二七年に
日本の
医療保険制度が全面施行されました。そのときから元々、歯科
医療にしても
医療にしても
技術料が非常に低かった、ドクターフィーが低かっ
たんですね。特に歯科に関して非常に低かった。その元々の低
医療費政策が今日に至っていると言っても言い過ぎではないんですが、そのために何をしたかというと、政府は差額制度を実施し
たんですね。差額という、差額徴収という、歯科にあってはまさに混合診療というか、それがもう認められてきた過去の歴史があります。その間にどっと落ちたというこのデータですね。更にそのときよりも、二〇〇七年は
医療費の中で歯科
医療費の割合がもう七・三、ここまで落ちてきているわけですね。これは様々な理由があります、理由があります。先ほど
大臣からもちょっとおっしゃられ
たんですが、これを少し申し上げたいと思います。
もう本当に良質な歯科
医療の提供がもはや困難なところまで歯科は追い詰められています。ちょっと
資料を御覧いただきたいんですが、なぜこういうことになってきたか。
資料の二のところで表一というところでありますが、何と歯科に関しては長期にわたってこの
技術料がもう据え置かれてきているんですね。例えば、このスタディモデルとかいうのも、最初に皆さんの初診時に取るんですが、こういうものも三十九年間据え置かれている。それから、かみ合わせを検査する、これも二十七年間据え置かれた後に、逆に二十点引き下げられているんですね。それから、伝達麻酔に至っては、伝達麻酔というのは、歯科ほど麻酔を日常頻繁使う、する診療科はないんですね。特に伝達麻酔というのは、下顎、私どもは今よく一口腔単位とかいって計画診療しますので、例えば下顎の半分を麻酔をするんであれば一回でやって治療するというような、そういうことをやるんですが、この伝達麻酔というのはそういう下顎の麻酔でやるんですね、下歯槽神経一回で効きますので。これも二十一年間据え置かれているとか、もう挙げれば切りがないんですね。
こちらの、見てください。三十四年間とか二十四年間とか二十八年間とか、ましてや形成という、例えば虫歯ができて、カリエスの部分を取って窩洞形成する、そこに至っては、据え置かれて、そしてやっと五十四点、十点ですね、百円上がっただけという。本当に、まさにひどいんですね。長期に
技術を、現にある
技術を放置してきただけじゃなくて、新しい治療方法の保険給付も放置をしてきているんですね。
次に、表二を御覧いただきたいと思うんですけれども、二〇〇八年の改定では三
技術が導入されているんですけれども、二〇〇〇年から二〇〇八年の間、五回
診療報酬改定があっ
たんですが、たったこれだけなんですね。ところが、医科の方は二〇〇六年の改定だけでも五十ほどの新
技術が保険に導入され
たんですね。こういう差が今の歯科の
現状を生んでおります。
さらに、もうまさに合理的な
説明ができない、もう全く
説明ができないというような包括化ということも行われてきています。いつも私どもが問題にするのは、表三を御覧いただきたいと思いますが、医科・歯科格差であります。国民の方はほとんど御存じないんですね。耳鼻科へ行ったり、皮膚科へ行ったり、眼科へ行ったり、あるいは歯科へ行っても、初診料とか再診料一緒だろうと皆さん思っていらっしゃるんです。歯科だけ不当に低い、長年格差があるんですね。このことはまた今度詳しく
お話をしていきたいと思っています。
そして同時に、表四とか表五を御覧いただきたいんですが、
資料の四のところ、これは私が臨床医を続けていれば一番怒り狂っただろうというところなんですね。私は口腔小児科医、オーラルペディアトリックスだと思ってやっておりましたが、小児の歯科の治療のときに欠かせないラバーダム防湿法というものがあります。これをしないと怖くて治療なんかできません。まさに、口腔内は何億という細菌がいるわけですね。だから、唾液から隔離をして無菌的な
状態でやる治療のときなんかは小児だけでなく成人のときにも必要なこれは手技なんですが、そして、小児の場合は口腔の大きさに比べて舌が大きくて絶えず動きますから危なくてできない。そういうものが丸められたりとか、それから歯肉息肉除去というのは、まあ専門的になりますが、乳歯の場合、非常に歯肉息肉ってできやすいんですね。だから、私なんかは割とよくこれは治療をして請求をしていた。すっぽりなくなってしまっ
たんですね。
こういうようなことが、算定できないというようなことがもう歯科の場合はたくさんあるんですね。それだけじゃなくて、入れ歯に関しても補強線なんかが丸められたりとか、そういうこととかがあるものですから、今回余り
皆様なじみがないと思って
資料でお出しをいたしました。また改定率が決まった後、詳しくこの辺は御議論をさせていただきたいと思いますが。
実に、先ほどの総
医療費の中でどんどん落ちてきたというのは、歯科の場合は意図的にこういうことが行われてきた。そして、自然増もほとんど歯科の場合は少ないというのは、新規
技術も入らないというところも原因の
一つなんですね。
先ほど、歯科
医療の
現場の悲鳴も聞こえているというふうに受け止め
たんですが、こういう現実を御覧になって、
大臣、いかがお考えでしょうか。