○下村
委員 この教員免許更新制度というのはことしから始まったばかりですから、これは当然慎重に、十分な検証、議論をしていく必要があるのは当たり前のことだと
思います。
そもそも、この教員免許更新制度、その時々で教員として必要な資質、能力を保持されるよう、定期的に最新の知識、技能を身につけることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立てる、社会の尊敬と
信頼を得ること、これを目指すものとして始まったわけですね。
しかし、最初は、指導力不足、不適格教員、この排除のために検討された。そもそも、教員に対する保護者などの不信感というのが充満しているわけですね。新学期が始まったときに、ことしは当たりだ、外れだと。それぐらい、ほかの、もしビジネスとしたら
考えられないことが学校教育現場においてあるわけです。
教員というのは子供に対して非常に強い影響力、支配力を持っているわけですから、きちっとした能力を持った教育をしてほしい、これは
国民にとって切実な願いであるわけです。ですからこの教員免許更新制度というのは導入されたわけですし、これが安易に代案として教員養成課程六年制とか、あるいは拙速な改廃が議論される、これは教育現場に対する混乱になってくると思うんです。
ことしから始まったばかりなのに、なぜ早々に教員免許更新制度の廃止が議論されようとしているのか。それについては、パネルをごらんになっていただきたいと思うんですが、教育
行政における日教組の影響が非常に強いということを私は改めて感じました。
お手元に、日教組の
政策制度要求と提言、これは二〇〇九から二〇一〇年度版、それから
民主党の
政策集インデックス二〇〇九、マニフェスト、これを対比した資料を用意しております。
日教組がこの教員免許更新制度の廃止というのを明確に主張しているわけですね。これに対してインデックス、これは
国民には余りよくわからない
民主党の
政策集ですが、ここでは、教員が職責を全うできるように教員免許制度を抜本的に見直すと。つまり、ここで既に、教員が職責を全うと、本来は不適格教員を排除するための制度スタートだったわけですけれ
ども、逆になっているんですね。
しかし、さすがにこれはまずいと思ったのではないかと
思います。マニフェストで「教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直す。」というふうに文言が変わっております。
同じように、学習指導要領の大綱化、これも、
民主党がこれに対応して、学習内容、学校運営を現場の判断で決定できるようにするという、これはインデックス。マニフェストにはありませんが、このようなこと。
それから、教科書採択の学校単位への移行、これも、マニフェストには記載がありませんが、
民主党のインデックスの中で「学校単位へと採択の範囲を
段階的に移行します。」と。さらに、
民主党のインデックス二〇〇八、ここには、普通教育に対する国の
責任の一環としての教科書検定制度の維持があったんですが、ことしの二〇〇九年では、どういうわけか、これが削除されているんですね。
また、日教組の教育
委員会制度のあり方の見直し、これも、インデックスでは「教育
委員会制度は抜本的に見直し、
自治体の長が
責任をもって教育
行政を行います」と。マニフェストでは、「教育
委員会制度を抜本的に見直し、」さすがに「
自治体の長」というのは問題があったのか、「教育
行政全体を厳格に監視する「教育監査
委員会」を設置する。」というふうにマニフェストでは変わっております。
それから、日教組の、子供、保護者、地域の協力、協働の学校運営組織をつくるというのが、インデックス、マニフェストで同様の記述。つまり、日教組の
政策制度要求が、
民主党の
政策集インデックス二〇〇九、マニフェストにほとんどそのまま載っているんですね。
民主党は、教員免許更新制の抜本的見直しの理由として、ここに書いてあるように、インデックス二〇〇九では「教員が職責を全うできるよう」としているけれ
ども、マニフェストでは「教員の資質向上のため、」と表現を使い分けた。職責を全うと資質向上では、明らかに
意味が異なるわけです。
公約の内容が同じであれば表現も同じになるはずなんですけれ
ども、なぜ使い分けているのか。マニフェストの資質向上の方が
国民の
理解を得やすいために、支持
団体である日教組のねらいである教員の身分保障を隠ぺいするための表現に変更したのではないか、このようにしか
考えられないというふうに
思います。
日教組は、この
政策制度要求と提言二〇〇九から二〇一〇において、指導が不適切な教員の人事問題について、研修は現場復帰を
前提、あるいは、
地方教育
行政法による転勤に当たっては本人の意向を尊重ということで、教員の身分を保障するための要求のみを列挙していて、子供
たちのために指導が不適切な教員を教壇に立たせない、あるいは教員の資質を向上させる、こういう姿勢で言っているわけじゃないんですね。
本来、子供
たちにとって不適切教員を教壇に立たせるべきでないというふうに文部
行政は
考えるべきではないかと
思いますが、非常に日教組の意向に沿ったマニフェストをつくっているということがこれは明らかであるというふうに
思います。
ここで川端
大臣に確認いたしますが、不適格教員を教壇に立たせるべきではない、子供
たちにとっては、教員として、教師として、より資質、能力を持った教師という
意味での免許更新制、教員の資質向上という視点でいいのかどうか、これについてお伺いします。