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市村委員 ありがとうございます。
まさに今
菅大臣がおっしゃっていただいた部分なんですが、きのう
菅大臣が本
会議の答弁の中で、例えば
介護の
分野また
環境の
分野等でも、これからいわゆる
雇用という点では大変重要な
意味を持っているんだということをおっしゃいました。では、今
菅大臣もおっしゃったように、例えばどこがそれを担うのか。
では、また
行政が、例えば保育に関して、
保育園をたくさんつくっていくのか、
行政の
市立保育園をつくっていくのか。今この財政難のときになかなか難しいな。では、また
株式会社立で
保育園をつくったらいいのか。これもまた何かちょっと違うな。東京都では、
株式会社立の
保育園が突然閉鎖されて大変困ったという例が二年ぐらい前にありました。
では、
介護もそうです。二十四時間
介護をしましょう。
制度はあります、しかしだれが担ってくれているんでしょうか、だれが二十四時間やってくれているのか。結局、
お金があっても、
サービスを提供する
人たちがいない。では、それをまた
介護の
分野でも、また
行政が
特別養護老人ホームをつくればいいのか。それもちょっと違う。では、また
株式会社にすればいいのか。コムスンの例がありますね。もうつぶれました。
結局、だれが一体担うのか、
担い手がどこなのかというと、実は、これは私は二十年言い続けています、
NPOなんです。
NPOが
担い手が一番いいんです。非
分配原則を持ちまして、そして配当しない。そして、もし
利益が出た場合、
利益を得ることは可能です。
皆さん、
NPOは
ボランティアだと思っています。違います、もうけていいんです。もうけてもいいけれども、
利益が出た分を
株式会社みたいに配当はしないということが大切で、また、もし
利益が出たら、黒字が出たら、それをまた次の、翌年度の
組織目的のために生かしていくということをやっていけばいいわけです。そうしたところがやる。
これを私はずっと民の公というふうに呼んでまいりました。
民間の公の
セクターが必要なんだ、そういうところがないと、
介護の
分野でも子育ての
分野でも、その他のいろいろな、今
菅大臣が挙げていただきました
農業の
分野等々も結局
担い手がいない、受け皿がないということになってしまうということであります。
だから、まさにこれは
菅大臣の
勉強会、国のか
たちでありますけれども、まさにこの国の形の中で
NPOというものを大切な一本の柱として打ち立てていくことが必要なんだということを私は確信を持って二十年間訴えてきているわけであります。
その
意味で、きょうお手元に見ていただいておりますこの資料でございますが、これも十年以上前から使っているフリップといいますか座標軸であります。
結局今
日本は、
余り細かくは申し上げませんが、これまで、どちらかというと、戦後、
高度経済成長期のころから、公のことは官がやればいい、税収も伸びたし官がやればいいんだ、そして
民間は
営利企業の
世界に任せておけばいい、この二つの
世界で財・
サービスの提供をしてきたのがこの
日本であったと
思います、
原則としてです。しかし、この
仕組みが行き詰まっていると私は思っています。この二十数年行き詰まっている。結局、これをちゃんと改善しないまま来たために今日のようないろいろな問題が起こっている。
これは十年前のものですから、
特殊法人という、
表現がちょっと古いものがありますが、結局なぜ
公益法人が
天下り先になってしまったのか、これも実は
NPOのことをしっかり考えていくと理解できる話なんです。
公益法人がなぜ
天下りになったか。きょうはその
議論というのはありません、きょうはもっと大きな
議論をしたいと
思います。
ですから、いずれにしましても、きょう
菅大臣にお越しいただいているのは、まさにこの国の形を考えるときに、まず
マーケットメカニズムの
世界がある、市場の
世界がある、そしてそれをある種補うものとして官の
世界ができた。しかしこれも、
行政の
世界などというものは、
国民国家が登場してのことですから、ここ数百年の
歴史しかありません、実はガバメントの
歴史は。その前から何が起こっていたか。実は、人々は助け合っていたんですね、
共助の
社会があったわけです。
そのときに何が起こっていたか。例えば
日本の
江戸時代を見ていただきたいと
思います。
教育、手習いや寺子屋、これはまさに今日で言うところの
NPOです。結局、官でもなければ
営利企業でもないところが
教育を担ってきたわけですね。あそこには
ボランティアも入っていました。もちろん多少の謝礼も取っていたでしょう。しかし、基本的には、今日で言えば
NPOと思えるものが
江戸時代に
教育を担っていました。例えば
医療もそうです。町医者、それも、今日の感覚で言えば
NPOに近いものが実は
医療を担っていたということでありまして、
自分の
足元を見詰めてみても、
NPOの
歴史というのが実は
日本にはある。
だから、実は、この新しい
公共の新しいという
意味も、僕は決して新しいとは思っていないんです。
自分の
足元を見詰めてみれば、ここ数十年は確かに忘れていましたが、やはり結局、官にすべて税金でやってもらうという
仕組みも、
高度経済成長期のときはよかったけれども、後の、それが崩れるともうもたないよ、一時期のことだったんだよと。実は、もっとプリミティブなところ、原始的なところを考えると、結局一人一人、みんなで助け合うしかないと。その
仕組みをでは何というかといったら、私は
NPOという
表現をしていたわけであります。
ですから、この新しい
公共という
意味も、例えば温故知新、古きをたずねて新しきを知るという
意味での新しきだったら、この新しい
公共でも私はわかったと。
つまり、
自分の
足元、
江戸時代を見て、古きをたずねてみたところ、
日本は確かに
NPOのようなものが実は頑張っていたんだ、だから、こういう
時代になってもう一回
共助の
社会をつくり直すときに、まさに
総理もおっしゃる、こういう新しい
社会を、新しい
公共をしっかりとやっていこうというときに、古きをたずねて新しきを知るという
意味での新しい
公共という
意味でこれが言われている、それぐらい深い考えでこの
言葉が語られているということを私は信じていたいと思っています。
菅大臣、
国家戦略の中に、この
NPOを支える
土台づくり、
土づくり、
土壌づくりというものをぜひとも一本の柱に据えていただきたいと私は思っています。
先ほど大臣もおっしゃいました、この
特定非
営利活動促進法ができたことは、これは別に決して悪かったとは
思いたくないんですが、結果として
NPOの、
本当の
意味での
NPOの発展を私はおくらせたと実は思っています、この
特活法人の
制度のおかげで。ですので、私は、これから
本当の
意味で
NPOがしっかりとこの
日本の国に根差すような
土づくり、
土壌づくり、
土台づくりをしっかりやっていかなくちゃいけない、こう思っています。
そのときに、
NPOとは何ぞやということがやはり必要だ、もう一回白紙に戻して考え直すことが必要だと私は
思いまして、きょう実は冒頭に二人の
先輩に、ちょっと失礼な
質問だったかもしれませんが、お尋ねをさせていただいたわけであります。
やはり
NPOというのは、
先ほどから申し上げておりますように、まさに新しい
公共を担うもの、私の
言葉で言う
民間の公を担う存在だと思っています。これは実は
特定非
営利活動法人だけでありません。例えば
公益法人も実は
NPOです、もともと
民法典に書かれているわけですから。
民法三十四条に規定されていた
法人が
公益法人だったんですね。
ところが、
公益法人が、
先ほども申し上げましたが、なぜか、といいますか、一応
意味があったんですが、結局
天下り先に悪用された。本来であれば
NPOは
民間の
組織、官の
組織ではありません。それがいつの間にか悪用されてしまった。それについてはもう去年の十二月一日に、
民法三十四条が削除されましたので、その
意味ではこれからはそういう悪用されるような種も大分ちっちゃくなっているということでありますが、しかしそういう
歴史があったんだということ。
結局、
公益法人も
NPOだったのが、そういうふうに思われていなかったということ。例えば
学校法人、
社会福祉法人、これも
NPOの
仲間です。例えば
労働組合、これも
NPOの
仲間です。JC、
NPOの
仲間です。多分、
日本医師会、
NPOの
仲間です。そうした、いわゆる官の
組織でもなければ
営利組織でもないものというのはあるんですね。それが実は大変重要な
役割を担ってきたし、これから特に、
共助の
社会をつくり直していくときに、新しい
公共の
社会をつくり直していくときに、重要な柱としてこの
NPOが立たなくちゃいけない、こういう
思いで私はおります。
菅大臣には、ぜひとも
国家戦略で取り上げていただきたいと
思いますが、また御見解いただきたいと
思います。