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柿澤委員 みんなの党の
柿澤でございます。
この
郵政株式凍結法案の
審議によって、いわゆる歴史的な
郵政巻き戻しが始まったと言えると思います。その第一歩となるのがこの
法案の
審議になりますが、今回のこの衆議院
総務委員会では、わずか二時間余りの
委員会
質疑で衆議院を通過させよう、こういう
審議日程になっております。大変性急で、私たちとしても遺憾に感じざるを得ません。そのことをまず冒頭に申し上げたいと思います。
まず、
質疑に先立って、そもそも
郵政民営化がなぜ行われたかを踏まえる必要があると思います。
かつては、財投が郵貯から借り入れするときに通常より高い金利を払っておりました。それが、二〇〇一年ですけれ
ども、
資金運用部への預託が
廃止をされて、何もしなくても高い利ざやを稼げる、こういう構造がなくなって、みずから
資金運用をして収益を稼ぎ出す必要が出てきたわけであります。
しかしながら、今は
政府が一〇〇%出資をしておりますので、リスクの高い投資もなかなか難しい。現に、
郵便貯金の
資金は八割が国債で運用されているわけであります。国債での運用で利ざやを稼げるのは今までの低金利
時代だったからこそ可能なことでありまして、今後、金利上昇の局面になったときに、低利の国債運用では逆ざやとなってしまうことは必定です。そうなりましたら、
郵政事業の人件費一兆円、この赤字を恒常的に垂れ流す、こういう赤字構造になっていってしまう。
こうしたことを防ぐためにも、
民営化を行って、ゆうちょが一人前の
銀行となって、貸出業務を含めて
事業の多角化をしていかないと、将来、ゆうちょ、
かんぽは破綻をしてしまう。これは目に見えたことだと言わざるを得ません。それをしないまま、かつ
郵便局ネットワークを維持しようとすれば、その選択肢は税金投入、国費の投入しかないわけであります。結局、今回の
郵政事業見直しというのは、口ではどう言っても、帰着するところは
郵政の再国有化の第一歩だと言わざるを得ません。
しかも、
郵政事業の高コスト体質の温存につながりかねない動きがあるように見受けられます。いわゆるファミリー法人の問題です。
私の手元に、
郵政事業の関連法人の整理・
見直しに関する
委員会の最終報告書があります。これは、
郵政三
事業の在り方について
考える懇談会の
委員を務めた、
民営化にもかかわった東洋大学教授の松原聡さんが
委員長を務め、ファミリー法人の整理、
見直しを行ったものであります。ここで言うファミリー法人とは、
子会社や関連
会社、関連公益法人に加えて、
郵政公社取引額が年間三千万以上に上り、売上高に占める割合が五割を超える企業、全部合わせると二百十九社に上ります。
このパネルをごらんいただきたいと思いますが、二百十九社の中には、郵便輸送の
会社、あるいはメルパルクや
かんぽの宿の運営にかかわる法人のほか、
郵便局の制服を納める
会社や年賀はがきの印刷を行う
会社、金庫やコピーを
郵便局に納入する
会社、こういうことを挙げていたら切りがないですけれ
ども、こういうファミリー企業が随意契約などで
郵政公社からの契約を受け続けてきたわけです。
ファミリー法人と二百十九社の取引額は一千五百億円、そこに
郵政省や公社から天下っている役員が四百人、そして職員が千六百人であります。道路公団でさえファミリー企業というのは七十社と言われておりましたが、二百十九社。とんでもない天下りファミリー企業の
ネットワークが形成されてきたわけであります。ここにメスを入れて整理、
見直しを進めようというのがこの松原
委員会の報告書であったわけです。
衆議院選挙が終わって、
郵政グループの人事の
見直しが進みました。
齋藤次郎社長、そして坂副
社長、足立副
社長、私たちから言わせれば官僚の天下り、わたりそのもののとんでもない人事だというふうに思っておりますが、しかし、それだけではなく、
政府の
郵政改革推進室長に清水英雄さんを起用するという人事がありました。
手元に共同通信の記事がありますのでそのまま読み上げますが、
民営化抵抗勢力が
郵政改革推進室長にということが書いてあります。
総務省出身の清水氏は
小泉政権の二〇〇四年に
郵政行政
局長についたが、
郵政民営化に抵抗したとみなされ〇五年に政策統括官に事実上降格された、抵抗勢力とされた元
総務省幹部の復権で、
小泉元総理や竹中元
総務相が敷いた
民営化路線からの転換が一段と鮮明になった、こういうふうに書かれております。
この清水英雄さんの直前の役職はゆうちょ財団の
理事長、かつての財団法人
郵便貯金振興会で、いわゆる今申し上げたファミリー法人の代表格。
一方、
郵政事業の関連法人の整理・
見直しに関する
委員会
委員長としてファミリー法人の整理、
見直しを取りまとめた松原聡さんは、
郵便事業会社の社外取締役をこのほど退任させられております。先日、我が党の勉強会に松原聡さんに直接来ていただいて話を聞きましたけれ
ども、十一月十七日に坂副
社長に呼ばれて、お察しでしょうかということで退任を求められて、わずか三日後の取締役会で退任をさせられたということでありました。
ファミリー法人の整理に尽力をした功労者の松原聡さんを首にして、ファミリー法人のいわば親玉を
郵政改革推進室長に据える。人事はメッセージといいますけれ
ども、これほどわかりやすいメッセージもないのではないかと思います。
先ほど出てまいりましたように、郵便輸送を担うファミリー企業を整理統合して日通のペリカン便と合併をしようとした
JPエクスプレスは、
総務省の認可を得られない中、巨額の赤字が続いているということで、既に
事業の
見直しに入っているということです。この報告書に基づいて行われようとしてきたファミリー法人の整理、統合、
見直しの動きの逆戻しが始まっているというふうにも見受けられます。
その中でお伺いをいたしますけれ
ども、今申し上げた
郵政事業の関連法人の整理・
見直しに関する
委員会の最終報告書のとおりに今後もファミリー法人の整理を進めていくのかどうか、お伺いしたいと思います。