○田中(康)
委員 しかし、計画ができてから何年もたっているものはたくさんございます。そして、象徴的だとおっしゃいましたが、なぜこれだけ、
前原さんのおっしゃった方向性というものは私も賛同するところであります、しかしながら、なぜ、少なからぬ
方々がこの問題が混迷しているとおっしゃるのか。
私は、これはあえて申し上げると、プレゼンテーションの手順というもの、すなわち戦略性というものに大きな反省すべき点があったのではないかと思っております。すなわち、この二つの
ダムをやめますというふうにおっしゃいました。現地をすぐに訪問するとおっしゃいました。しかし、現地の方は、来てもお話し合いには応じられないとおっしゃいました。すると、現地の方の御理解をいただくまで法的措置はとらないというふうにおっしゃいました。しかし、その後、やはりこの
ダムは二つともやめるのだという言い方をされております。
実は、
ダム問題というのは河川のあり方で、
ダムの建設予定地の方だけの問題ではございません。すなわち、本来、国内の最も大事な安全保障というのは水でございます。今、月に水があるというお話が出てきましたが、水がなければ人類も生物も生存いたしておりません。
これはきょうは譲りますが、
水源地というものの森を、現在、多国籍
企業というものが買い占める形が起きております。これこそ国内の大きな、ゆゆしき安全保障問題でありまして、私は、ましてや地下水法というものが今もないということに大きな危機感を持っておりまして、これは、
中川秀直さんを初めとする超党派の
方々と、この問題にきちんと取り組むべきだというふうに
考えております。
すなわち、今大きな問題は、
ダムをつくればそこに公民館や道路をつくってくれますと言ったから、
ダム予定地の方は皆、最初は
反対でございました、しかし、時間がかかると賛成になっていかれるというのは、すなわちこれは、河川局の予算で道路も公民館も直していきましょうというこの予算体系を変えるということが、本来、鳩山由紀夫
政権がレジームを根底から変えるということなのではないかと思うんですね。すなわち、
ダムの予定地だけではなくて、上流、下流、中流、すべての
方々にとっての河川でございます。なぜ迷走したのかというと、私はこうした点があろうかと思います。
同時に、もちろん
前原さんは既に十分御承知であられようと思いますが、何年確率、百年確率というような言葉がございます。新潟県には、刈谷田川というところに刈谷田
ダム、それから五十嵐川というところに大谷
ダムというのがつくられ、これは百年確率の雨に耐えられる
ダムであるというふうに、ある
意味では胸を張っていた
ダムでございますが、残念ながら二〇〇四年の豪雨の際に、この
ダムの操作の手順の問題があり、護岸が決壊をし、多くの人命が損傷されました。
しかしながら、例えば、
前原さんがまさに一
国民として義憤を感じられる発言をなさったJR西日本の経営効率至上主義のもとで事故が起きたときに、これは多くの方が
業務上過失致死等に問われたことでございます。しかしながら、河川が決壊しても、河川管理者が
業務上過失致死に問われたことは寡聞ながら私は存じ上げません。唯一の例外は、「岸辺のアルバム」のドラマで、皆様御存じの、多摩川の狛江市のところが決壊したときに、これはいわゆる刑事ではなく民事として河川管理者の責任が問われただけでございます。
すると、こうしたことをどう変えていくのか。今、何年もたっていらっしゃると言いました。しかし、きょう公明党の高木さんもお越しでいらっしゃいますが、
平成十二年、ちょうど私が知事になる二〇〇〇年の、私が知事になる二カ月ほど前に、当時の自由
民主党と公明党と保守党は、長きにわたって進んでいない公共
事業を見直そうということで、二百七十九挙げられました。これは当時政調会長であった亀井静香さんのイニシアチブのもとであったと思います。このときですら、採択後五年以上経過していまだに着工していない
事業、あるいは完成予定を二十年以上経過して完成に至っていない
事業、このように明確な、多くの
国民にわかる基準を設けた上で
見直しを行いました。
残念ながら、マニフェストに書いてあるから二つの
ダムが挙げられる。しかし、ではそのマニフェストに二つを載せた根拠は何なのかということは、論理的な
意味においてさらなる検証が必要であろうかと私は思っております。
むしろ、この八
ツ場ダムに関して申し上げれば、
前原さんも御存じの今本博健さんという京都大学の名誉教授がおられます。私ども新党日本の運営
委員でもありますが、彼は本来
ダムによる治水ということを目指されてきた教授で、歴代の河川局長や河川局の多くの課長は彼の教え子であります。しかし、彼は、いつの間にか、本来
ダムをするということは大外科工事である、しかし、外科工事が何十年行われていないと。医療崩壊の医療
機関ですら、医師が一時間遅ければ、その間に点滴やマッサージをするはずだと。しかしながら、河川の予算は、
皆さんも御存じのように、一平米機械を使えばしゅんせつができる掘削というような形が、維持修繕の費用の中に入っていますので、多くの現地
機関の人件費と一緒になっているので、適度なしゅんせつも行われていないというような状況であります。
本来、この
ダム問題は、
ダムをつくるつくらないだけではなく、そうした河川行政のあり方を問うものになっていかねば、単なるモグラたたきで終わってしまうと。そのモグラたたきを、八
ツ場ダムと川辺川
ダムという最も象徴的な、最初からアイガー北壁を登るようなことをしたのでは、そのほかのトレッキングコースのような
ダムはぬくぬくと建設されていくということでございます。
補助
ダムに関して少しお聞きいたしたいと思います。
補助
ダムというのは、皆様御存じのように、都道府県営の
ダムでございます。
その前に、実は、今本博健さんと、「週刊SPA!」で私が特集をした中で、最もわかりやすい例は、八
ツ場ダムは七割工事が完成したわけではございません。総
事業費の七割の
お金を使ってなお取りつけ道路の一〇%に満たないものが完成しただけでございます。すると、恐らくは、どんな、微積分はまだ習っていない小学生でも、残りの三割の
お金で取りつけ道路の九割と、そして
ダムの本体と、あるいはそのほかの周辺整備ができるという方程式があるとするならば、私はこれこそ、長嶋監督ではなくても、メークミラクルであろうというふうに思っております。ということは、極めてテレポリティクス的ではなく、よい
意味で論理的に、視覚的に
国民の
方々にお示しをしたときに初めてこの問題が問われる。
あるいは、伊勢崎市の基準点で、過去五十年で最も雨が降ったときに、それでも堤防の上から四メーターの余裕があり、そして八
ツ場ダムができてもその場所では水位がおよそ十三センチ下がるだけにとどまるというこの二つの事例を示すだけでも冷静な議論になろうかと思います。
補助
ダムに関して、すべての
ダムを見直されるというふうにおっしゃっていますが、
前原さんはこの都道府県営の補助
ダムに関してはどのようにお
考えでありましょうか。