○澤雄二君 この新型インフルエンザについては、
平成十八年の三月、当
委員会で、その前の年の十一月に
厚労省が初めて行動計画を発表いたしまして、それに基づいて、多分国会では初めてだと思いますが、本格的、総合的に質問をさせていただきました。それから三年、新型インフルエンザ対策、大変前に進んだと思っておりますが、当時も同じような質問をいたしましたけれ
ども、そのときから変わっていない大きな疑問点が
一つ残っています。それは、新型インフルエンザ対策のすべての
規模や対策の大きさを決めてしまう大前提となる数字でございます。それは、第一回から先月の改定まで罹患率は二五%、致死率は二%という数字は変わっていないんでございます。これが本当に妥当性のある数字なのかどうか、もう一度今日質問をいたしますので、具体的に質問いたしますから、
一つ一つ本当に合理的に説明ができるのかどうか含めて
大臣に質問をいたしたいというふうに思っています。
資料を御覧ください。
最初にスペイン風邪との比較をいたします。
スペイン風邪が世界で大流行しました。一九一八年であります。世界で一億人死んだとも言われています。
日本では三十八万人若しくは四十五万人と言われています。そのときの罹患率が四三%なのに、どうして新型が二五%なんでありましょうか。
スペイン風邪のウイルスは弱毒性ですから、今のインフルエンザと同じですね。ですから、気管支若しくは腸管しか感染しません。しかし、今度やってくる新型は強毒性でありますから、H5N1でありますから、血流を通って全身感染をします。そのために、治っても脳に後遺症が残るという心配もされています。
人口を見てください。倍以上になっています。混雑の度合いが全く違っています。感染率というのは人口密度に比例すると言われていますから、どうしてスペイン風邪が四三%なのに新型が二五%でとどまるんでしょうか。
移動のスピードが全く違っています。
それから、死者の数と致死率を見ます。スペイン風邪では三十八万人が亡くなったと言われています。
最初の研究では四十五万人というふうに言われています。新型は強毒性で人類が全く免疫を持っていないので、どうしてスペイン風邪と同じ程度かそれ以下の致死率なんでありましょうか。
ちなみに、今の鳥インフルエンザによる致死率は六三%、さっき
大臣が言われたとおりであります。アメリカの保健省ではいろんなジャンルで予行演習を行っていますが、このとき前提として置いている致死率、罹患率じゃありません、致死率は二〇%又は三〇%であります。オーストラリアの国立大学のロウイー研究所の推定では
日本の死者は二百十万人であります。
次に、外国の罹患率と
日本の罹患率を比べています。人口密度が
日本の十分の一、アメリカ、百分の一のカナダが
日本よりも高い罹患率を想定しているのにどうして
日本はアメリカ、カナダよりも低いんでしょうか。
最後に、この二五%を決めたのは第七回ヨーロッパ・インフルエンザ会議の勧告によるというふうに行動計画では説明をしています。この第七回インフルエンザ会議はいつ開かれたかというと、一九九三年であります。十六年前の会議の勧告に基づいて今の行動計画、二五%を
出しています。今世界中で流行している強毒性の新型鳥インフルエンザが
最初にニュースになったのは一九九七年、そして全世界に広まったのは二〇〇三年の後半からと言われています。つまり、この国際会議の勧告は強毒性のインフルエンザを認識していないときに
出した勧告の数字でございます。また、致死率二%、これはアメリカのCDCのシミュレーションに基づいていますが、これも弱毒性に基づいた二%であります。
罹患率、致死率は行動計画の前提で、我が国の新型インフルエンザ対策の
規模を決定付けるものでございます。
国民の命を守る対策の最も基本となる数字であります。しかし、今説明したように、いろんな点において大きなクエスチョンマークが残っています。罹患率、致死率の見直しが必要だと思いますけれ
ども、
大臣、いかがでしょうか。