○下田敦子君 話は変わりますけれども、先日、中国全人代の温家宝首相の発言を見ておりましたら、そのテレビの中では、中国はGDP八%を維持する内需主導型に切り替えると。そのために、
社会のシステムを変えて、
社会保障、医療
制度の拡充、情報能力を高めるという発言をしておられました。
ただ、私は思いますが、貿易黒字が二六・五の中に二千万人の
失業、これはGDPが三・四を前にしていかがなものかなと考えさせられましたけれども、
社会保障、医療
制度の拡充という温家宝さんの発言というものには強い関心を持ちました。
そこで、次の
お尋ねをしたいと思います。
輸出
経済に偏っている我が国のこの結果でありますけれども、
経済状況を顧みまして、内需拡大を図る意味から、医療・福祉ソーシャルビジネスの
経済波及効果について
総理の御見解を求めたいと思います。
パネルで御覧いただきたいし、お手元のお届けしてありますパンフレット、
資料に
社会保障分野の
雇用誘発効果についてございます。(
資料提示)
その中で、介護が一位でございます。
社会福祉、保健衛生、医療分野、
雇用誘発効果が極めて高いものがあると。このところ、自動車、電気製品、衣類、これが金融危機感が実体
経済を相互作用しながら
悪化されております。いわゆる負のスパイラルが今続いておる最中であります。しかし、一向に、何といいますか、国家的な
政策として全庁的なプロジェクトが我が国では霞が関辺りからも話されることはありません。
そこで、この意味からも一つ申し上げたいんですが、単独政権というわけではありませんけれども、六十年続いてきた我が国の
政治、
政策集団、特に霞が関においてはトリビアリズム、いわゆる瑣末主義の結果が今日に至っているのではないかなと。という意味は、本質を離れまして末梢的なことにこだわっている昨今の
状況があるように思えてなりません。
具体的に申し上げます。
資料二を御覧いただきたいと思います。まず、お手元の
資料、一中学校学区における介護保険財政の
経済効果について説明させていただきます。ごく平易に申し上げますと、一中学校学区に介護をする、例えば介護老人保健施設、それから介護老人福祉施設、それから今減じられておりますが介護療養型施設、そしてまた、その他の在宅の介護サービスがたくさんございます。
これらの介護サービスの
経済効果というものは四億三千万円、これはちょっと
数字が古くて恐縮なのですが、かつての介護保険
制度が始まったときの新ゴールドプランベースとなる試算がございます。この第一次
経済波及効果、それから第二次
経済波及効果、第三次
経済波及効果は、公共事業の
経済波及効果と何ら変わるものではございません。そして、これらを京都大学の西村周三副学長
先生は、かつて昔からいろいろ御指導いただいていたものがありますけれども、そういう研究があるということであります。
例えば、もっと分かりやすく申し上げますと、百人の入所者を有している施設があったとします。そこには百人の医療、介護職員が必要になります。その土地に定住いたしまして、家を建て、子育てをし、消費
生活を営むことになります。さらに、百人の入所者の施設には、医薬品業者それから医薬品の機器業者、自動車、そして食品業からクリーニング業の果てまで出入りいたします。活動することによって
経済波及効果が生まれてまいります。
一方、我が国は、公共事業国家になってしまいましたけれども、公共事業は建設工事期間中、
雇用が発生します。しかし、工事終了とともにその
経済波及効果はおおむね終了いたします。そして、様々な働く場がそこで大方終わるということが継続しているわけです。そこで、誤解のないように申し上げなきゃなりませんが、医療や福祉で金もうけ、利益追求、利潤追求だけをしてはならないという哲学が私はやはり必要であろうと思います。
参考までに、釈迦に説法ですが、我が国で遅れている産業分野は、このサービス産業分野、そしてなおかつ会計学、アカウンタビリティー、これがどうしても学問的にも実践的にも遅れている現状がございます。
この辺のことを考えていくときに、私は、高齢化
社会というのを、
社会保障の経費が掛かる、大変多くなるという
マイナス思考ではなくて、ソーシャルビジネスの
経済波及をもっと研究し、例えば昨今、インドのムンバイ、もうアジア一帯にこの医療
経済が普及して、
日本まで今来ております。様々な検査物体、これもムンバイに送っていって、一両日で検査結果が出てくると。
そういうことですので、将来に向けて内需拡大のプロジェクトを起こすべきと私は考えております。これは、一厚生
労働省の所管だけではなくて、全国各市町村において介護保険会計の負担、これを、やはり介護施設を開設することに対して、少しお勉強の足りない自治体においては全く受け付けません。介護保険が大変な
状況なので、これ以上の施設は受けませんという張り紙さえしている自治体が多く見かけられます。
先日、
総理の御答弁の中に大変すばらしいなと思いましたことが一つございます。地方自治体をそれぞれお回りになってごらんになりますと、リーダーの実力が問われると。私は本当に拍手をしたい思いでございました。それを選ぶそれぞれの住民ということにもあるのでしょうけれども、こういうことから大変感銘をいたしました。また、
厚生労働大臣にこのことを強く望んで、次の
質問に入らせていただきたいと思います。
まず、介護従事者の処遇改善と人材確保についてお伺いいたします。
例えば、欧米のケアワーカーあるいはドイツのアルテンプフレーゲリン、これは老人介護士ということで、大変歴史もあれば
社会的地位も充実しています。何度か言ってまいりましたけれども、歴史があるということにおいては我が国の看護師の百年の歴史に相当するものを持っています。ですが、我が国のこの介護というものの、いわゆる介護福祉士の国家資格はわずか二十年しかございません。
非常に困っていることをずばり申し上げます。これは、
舛添厚生労働大臣にも是非提言を申し上げておきますが、厚生
労働省の
社会・援護局の所管が介護福祉士でございます。ところが、認定資格のホームヘルパーの所管が老健局でございます。これは、ちょっと申し上げると長い歴史があってこういう結果に陥っているわけなんですが、縦割り行政の弊害によりましていろいろな意味で混乱が生じていることをまずもって申し上げたいと思います。
そこで、パネルの二番目、お手元の
資料の二枚目でございますが、
平成元年から全国二十五校の介護福祉士の養成校で始まったものが、現在、全国で四百三十四校になりました。
総理のお地元の福岡にも、自らのグループの中の介護福祉士の養成校がおありと承っております。
さて、その中で、
社会保障費二千二百億減にすると。いわゆる市場原理主義、サッチャーイズム、レーガンイズムの
影響を受けた、申し訳ありません、ずばり申し上げます、小泉・竹中ラインの
政策により、低賃金、介護人員減となりました。
平成十八年から今日まで介護の現場はすっかり崩壊してしまいました。二十万人に上る介護福祉士が、現在別な職種に移って休眠状態でございます。入
学生徒の激減により、大学、専門学校の教職員の解雇、閉校という厳しい
状況に突入しているところもございます。
専門学校の
状況もさることながら、学校法人におきましては、これは様々な財産の所管がございます。閉校した場合には大蔵省の、国の財産に移管していく、こういう厳しい
状況の中で、このことについて文部
大臣はどのような御所見をお持ちでありますか。
また、
厚生労働大臣にも、諸施策を講じておられるのは多といたしますけれども、どのようにお考えであるか。
何せこういう
状況で築いてきた二十年とはいえ、それぞれの介護に関する学問的なインテリジェンス、その他地域貢献、すべてゼロに帰してしまう地域もあるということを申し上げなければなりません。そういうことでお答えをいただければ有り難いと思います。