○輿石東君 民主党・新緑風会・国民新・日本の輿石東です。政府四演説に対し、会派を代表し、質問をいたします。
麻生総理、あなたの
施政方針演説と
与謝野大臣の
経済演説を要約すると、私は決して逃げません、今こそ政治の責任を果たすとき、そして不安と萎縮の連鎖を断ち切り、明るく強い日本を取り戻すというものでした。したがって、明るく強い日本を取り戻すための総理の
政治責任は、ただ一つ、一日も早く国民に信を問うことだと改めて確信いたしました。
そこで、まず、
麻生総理、あなたの
政治姿勢についてお尋ねをいたします。
私は、あなたが総理に就任した前国会の
代表質問で、
自民党本部前に張られた、麻生がやりぬく、まずは景気だと書かれたポスターについて触れ、あなたのやることはただ一つ、
補正予算を成立させたら、さっさと衆議院を解散し民意を問え、私たちはいたずらに審議の
引き延ばしはしないと申し上げました。現に、第一次
補正予算は三日間の審議で私たちも賛成し成立しました。ところが、あなたは
金融危機への対応を理由に解散を先送りし、今もって総理の座にしがみついたままであります。
景気対策の柱としている第二次
補正予算の必要性を強調し、ポイントはスピードと言いながら、税収の正確な把握や民主党の抵抗を理由に
臨時国会に提出せず、年を越せるかどうか苦しんでいる国民に救いの手を差し伸べようとはしませんでした。それが現在政権を担っている
責任政党のやること、賢明なる
国家指導者のやることでしょうか。
政府の責任というものをどのように理解しておられるのか、とりわけ国家の
最高責任者の責務と
出処進退をどのように考えておられるのか、本日、私が
麻生総理にお伺いする最大のテーマはそのことであります。
次に、緊急の課題についてお聞きをいたします。
まずは、
景気対策についてであります。
麻生総理は、現実の社会に生きていないように見受けられます。所得の低下や雇用の危機に苦しんでいる国民の実感に目をつぶり、国民の悲鳴に耳をふさぎ、国民の要請に何もこたえようとしない。まるで、見ざる聞かざる言わざるを決め込んでいるかのようであります。現実から逃避して、自分の無理が通る
仮想現実の社会に生きているように見えるのであります。しかも、政府・与党までもがこの
仮想現実の社会で暮らすようになってしまいました。
例えば、焦点の
定額給付金であります。これを含む第二次
補正予算は、参議院で修正、否決されたものの、
両院協議会を経て、衆議院の優越によって火曜日に成立をいたしました。
言うまでもなく、
両院協議会は、予算の議決が衆参で異なるとき、必ず開くよう憲法で義務付けられているのであります。私たちは、形だけのセレモニーに終わることなく、実質的な合意を得ようと二日間にわたって審議を行いました。今回は、成案こそ得るに至りませんでしたが、相当な時間、互いに真摯に
意見交換を行うなど、
ねじれ現象の中で両院の調整弁的な働きをした画期的な
両院協議会であったことを評価したいと思います。
あのように時間が掛かったその一番の原因は、自民党が記録を取ることも否定をし、公開をも否定したからであります。
それにもかかわらず、昨日の衆議院本会議の
代表質問で自民党の
細田幹事長は、民主党はこの
両院協議会の場を政局に利用し、
引き延ばしと混乱の演出を図ったものでありますと発言しました。これは、まさに二院制を否定し、
議会制民主主義をも否定する暴言で、断じて許すわけにはいきません。このような発言を許す総理の責任を問いたいと思います。
さて、この
定額給付金について、
報道各社の
世論調査によれば、国民の七、八割もの人たちが反対をしており、共同通信社の調査結果では、二兆円の財源を何に優先的に使うべきかとの質問に対し、四二%の人が年金、医療、二六%が
雇用対策と回答し、
定額給付金と回答した人はわずかたったの三・三%なのであります。それにもかかわらず、与党は衆議院で
強行採決を行ったのであります。
また、その後に開かれた
財務大臣の
諮問機関である
財政制度等審議会では、
定額給付金は見直すべきという意見が相次ぎ、
西室会長から
財務大臣に対し、
定額給付金を撤回し、二兆円の使途を見直すよう注文が付いたと報道されております。政府がいったん決めた政策について
諮問機関が反対するのは極めて異例でありますが、政府内の
諮問機関から反対されるような制度をどうして強行するのですか。今からでも遅くありません。法案を廃案とすべきです。総理の真意をお聞かせいただきたいと思います。
また、
麻生内閣の支持率は軒並み二〇%を割り込み、調査によっては一〇%前半にまで落ち込み、逆に、支持しない不支持率は八〇%にも達しようとしています。こうした中で、保守王国と言われる山形県で、去る日曜日に行われた
知事選挙で、民主党が推す吉村さんが自民党が支援する現職候補を破り初当選をいたしました。
にもかかわらず、総理も与党もそれらを国民からの退陣要求だとは全く思っていないようであります。
支持率低下の原因を聞かれた総理は、国民にこういう政策なんだと説明しないといけないが、
国際金融の説明はかなり難しくなると述べるなど、国民の理解力不足が
支持率低下の原因だと言わんばかりの態度であります。
麻生総理、あなたは、衆議院の解散・総選挙の時期、
定額給付金の枠組み、
道路特定財源の在り方など、
就任早々から迷走を続けてきました。
昨年来の
世界同時不況についても、あなたは、日本が世界で最初に不況から脱出すると繰り返し宣言してきました。ところが、株価の下落率は昨年、
ニューヨーク市場が三四%ダウンだったのに対し、
東京市場は何とそれをはるかに上回る四二%ダウンだったのであります。あなたは、米国発の
金融危機について、欧米に比べて日本の被害は軽いとの認識を示していましたが、日本が震源地である米国より深刻なダメージを受けたのは一体なぜだったのでしょう。総理は、政局より政策と言いながら、効果的な
景気対策を打ち出さず、
無為無策のうちに第二次
補正予算の提出まで先送りをしました。
東京市場の株価の急落は、総理、あなたが第二次
補正予算の提出を先送りした昨年十二月のことであります。これが不況を深刻化させた一因となったのではないでしょうか。
こうした状況下で、
野村証券金融経済研究所は、
個人投資家を対象に
アンケート調査を行い、今月六日にその結果を発表しました。
それによると、今年の
日本株式市場において
マイナス要因になるのは何かとの質問に対し、最も多かった回答は何と
麻生政権であり、全体の五三%にも上りました。二七%の
国内景気、二三%の
為替動向をはるかに上回る圧倒的な一位であります。逆に
プラス要因になるものとしては、三六%が
国内景気、二四%が
日銀金融政策、二三%の
為替動向に続いて
衆議院選挙が二二%と四位であります。
内閣支持率の低下に歯止めが掛からず、反対に支持しない人が増え続けていることについて、また、
個人投資家の過半数が
麻生政権の
存在そのものを
景気回復の障害と評価していることについて、あなたはどう受け止めていますか。市場は
麻生政権を真っ向から否定し、総理への引退勧告をしているのです。御自分がお辞めになることが一番の
景気対策になるのだとはお考えになりませんか、お伺いいたします。
今回の世界的な
金融経済危機の契機となった米国での
金融経済の行き詰まりは、多くの教訓を含んでおります。消費者のクレジットカードと
銀行ローンによる
過剰消費体質、その裏側の低い貯蓄率、高度な
金融技術を用いた
金融商品、巨額な
国際収支の赤字といったものが米国の
金融バブルの発生、崩壊を招き、世界中に拡散させました。四月に再び開かれる
金融サミットでは、問題の本質をしっかりと議論すべきであり、米国に向かって言いにくいことでも言うべきであると考えますが、いかがでしょう。この問題は
中川財務大臣に伺いたいと思います。
平成十四年から始まった景気の回復も一昨年十月以降、
後退局面に入っていったのではないかと言われていますが、この間の戦後最長と言われる
景気回復は、専ら
世界経済の好調に支えられた
輸出頼み、
外需頼みの回復でありました。しかし、
世界経済が一転して急速に縮む状況になると、頼みの輸出が急減し、それが
我が国経済の足を引っ張る構図になっております。
輸出頼みの
経済構造を許し、
国内産業の発展をおろそかにしてきた政府の
経済政策の無策のツケがここに来て回ってきているのではないでしょうか。
与謝野大臣に見解を伺います。
総理、あなたは
内閣記者会とのインタビューで、来
年度予算成立後に
経済状況を見て追加の
経済対策もあり得ると新
年度予算の補正に含みを持たせていますけれども、新
年度予算の審議も始まっていない段階から補正に言及するとは不謹慎と言わざるを得ません。それは取りも直さず、
総理自身が新
年度予算案は不十分なものであると認識しているからではないでしょうか。明確にお答えください。
去る二十日、
米大統領に就任したオバマ氏はその
就任演説で、現在を新たな責任の時代と位置付けた上で、私たちは危機に瀕している、元気を出して
アメリカを再生する仕事を始めなければならないと述べ、米国民から熱狂のうちに迎え入れられました。米国民は
市場原理主義と
金融バブルで生じたゆがみを是正する役目をオバマ新大統領に託し、肩を組み、手を携えて危機を乗り切ろうとしています。七十三兆円とも言われる
オバマ大統領の
景気刺激策で米国と世界が
不況脱出のきっかけをつかめるかは予断を許しませんが、その強烈な
リーダーシップで米国民を引き付け、潜在力を引き出そうとしています。
一方、我が国はといえば、
経済危機を脱出する資金もあれば経験や知恵もあるにもかかわらず、明快なビジョンと強い
リーダーシップを持つ
国家リーダーがいないため、更に混迷を深めております。このことを率直にどうお考えですか。お答えいただきたいと思います。
国会召集日の一月五日、
新聞各社に民主党の全面広告が掲載をされました。我が民主党の広告は、国民は家族ですとして、私たちの新しい
国づくりの理念を国民の皆さんに訴える内容であります。
国民は家族です。うつむいている人は、顔を上げてください。私たちの手で、この国の仕組みを変え、新しい生活をつくり始めるときです。それは、まじめに働く人が報われる社会。年金、医療、子育て、雇用、地域が、立て直された社会。暮らしの安定が希望を生み、積極的になった心が、この国全体を押し上げていくのです。その担い手は、私だけでも、あなただけでもない。私たちです。いよいよ、動くときでありますというものであります。
これは、
小沢代表自身のメッセージですけれども、私
たち民主党議員全員の決意でもあります。国民は家族ですとは、そういう思いですべての国民を見捨てないとの覚悟にほかなりません。地方を
切り捨て、弱者を
切り捨て、非
正規労働者を
切り捨てる
自公政権をこのまま続けていけば、日本の社会は崩れ、日本は滅んでしまいます。この国を立て直すには、だれも見捨てないという覚悟から出発することこそが必要なのであります。
すべての国民がそれぞれの役割を担い、十分に能力を発揮し、共に生きていく、それが私たちが目指す公正な
共生社会であります。そして、それは、だれも見捨てないと覚悟している私
たち民主党が中心となって新しい政権をつくることで初めてスタートすることができるのであります。その思いを国民の皆さんにお伝えしていくのであります。御意見があればお伺いをいたします。
緊急の課題の第二は
雇用対策です。
民主党が中心になって新しい政権をつくり、共に生きる社会を実現する政策が昨年十月に発表した新しい生活をつくる五つの約束であります。すなわち、税金の無駄遣いの根絶、年金、医療の改革、子育てへの支援、働き方の改革、農林漁業と
中小企業の再生の五つであります。
ただ、その後、米国発の
金融危機に
麻生内閣が的確な対応ができず、
無為無策の結果、
日本経済が急速に悪化したことから、雇用の確保を中心とする経済の
立て直しに本格的に取り組まなくてはならないこととなりました。
日本経済の
立て直しは、
自公政権が第二次
補正予算や新
年度予算に盛り込んだような単なるばらまき的な
景気刺激策では実現することは不可能であります。何となれば、
日本社会に崩壊の危機をもたらしたのは、ほかでもない
小泉構造改革以来の
市場原理主義、
弱肉強食政治の結果であるからであります。もうけるためには何をしても構わない、富める人はますます富み、貧しい人はますます貧しくなっても仕方がないという格差容認の風潮が蔓延してしまいました。そこにメスを入れない限り、社会、経済の再生はできません。
したがって、企業の経営者は、企業の
社会的責任を自覚し、社員、従業員とともに生きる経営を最優先しなければなりません。
経営環境が厳しくなると、
役員報酬をカットすることも
株式配当を引き下げることもせず、真っ先に首切りや
賃金引下げに走るというやり方は、真っ当な経営者のすることではありません。雇用を確保し、働く人たちの暮らしを守ることで、景気の回復に地道に貢献している企業が正当に評価される仕組みをつくり上げなければなりません。見解を伺いたいと思います。
また、
小泉改革以来の失敗を踏まえて、雇用の仕組みを根本的に見直すべきであります。
実力主義の導入という美名の下に破壊された
終身雇用制は、実は日本人が生み出した優れた知恵であると思います。働けるうちは働き、生きがいを持って暮らす、その
国民共通の願いとして確立したのが
終身雇用制ではないでしょうか。
そのように再評価した上で、
雇用制度全般を見直し、
終身雇用制をベースにした新しい
雇用政策を確立すべきだと考えます。それは、働く人の選択として非
正規雇用も認めるが、その待遇は
正規雇用と均等にする仕組みであります。
麻生総理、
雇用制度の見直しについてどう考えておられるか、お伺いをいたします。
さらに、急速に悪化する
企業マインド及び
実体経済の影響を最も強く受けているのが労働者、殊に非
正規雇用労働者であります。
派遣切りと言われる解雇が急速に広がっていますが、多くの労働者が突然解雇され、会社の寮からの即時退去を迫られているこの事態に、多くのNPOやボランティアが年末年始に仮の宿泊所を設けたり炊き出しを行うなど温かい手を差し伸べましたが、政府は一体何をしたのでしょうか。
これまで政府が進めてきた
市場経済化と弾力的な
労働市場は、景気が
後退局面を迎えたことで一気に問題が噴出いたしました。行き過ぎた
市場経済化を見直す考えはありませんか。特に、規制緩和を進めてきた
労働法制の見直しが必要ではないでしょうか。製造業に
派遣労働を認めることは問題が多いのではないでしょうか。御見解を伺います。
さて、内政の諸問題に移ります。
麻生総理、あなたは積極的に公務員の天下りを進めようとしているのではありませんか。そう疑われても仕方ありません。一昨年の
通常国会で、省庁の
天下りあっせんを
官民人材交流センターに一元化する
改正国家公務員法が成立しました。同法では、センターが機能するまで三年間は従来
どおり省庁による
あっせんを認め、再
就職等監視委員会が承認することとされておりますが、私たちの反対で
監視委員会は宙に浮いたままであります。
ところが、驚いたことにあなたは、政令で
天下りあっせんを
首相権限で承認できることとし、天下りを繰り返すわたりまでその対象としました。
首相承認は暫定措置と弁解していますが、法律には委員会に委任すると明記されており、首相に権限はありません。立法府が決めた法律を行政府が政令で覆すなど、許されるはずはありません。
麻生総理は天下りの弊害に目をつぶっていると言わざるを得ません。どう考えておいででしょう。
さて、政府は昨年末に、公明党との間ですったもんだの挙げ句に、
景気回復を前提に三年後の
消費税増税の時期を明記した
中期プログラムを決定しました。これはまた
増税プログラムそのものであります。しかし、景気が回復したかどうかはどうやって判断するのか。また、回復と判断した場合には回復直後でも増税に踏み切る考えなのでしょうか。これについては
与謝野大臣に伺います。
さらに先週、政府は、その内容を附則に盛り込んだ
税制改正関連法案を閣議決定しました。しかし、党内の強い反対を考慮して、一応
消費税引上げのための法律を三年以内に作るものの、焦点の増税の実施時期は決定を先送りすることもできるというまさに玉虫色の内容となりました。
総理は、これまで繰り返し消費税の引上げ時期について三年後という期日を明言しており、何としても三年後という期日だけは附則に書き込みたかったのでしょう。しかし、これがぶれでなくて何でしょう。実施期日を先送りする無責任な法案など見たことがありません。
今や自民党内はばらばらで、総理の
リーダーシップはもはやどこにも見当たりません。かつて、小泉元総理は自民党をぶっ壊すと叫びましたが、総理、衆議院を解散できないのであれば、最後の
リーダーシップを発揮して自民党を解散したらいかがでしょうか。
次に、財政について伺います。
政府も徹底した行政の無駄の排除を表明しております。しかし、今回の
補正予算及び二十一
年度予算を見ても、まだまだ多くの無駄が、隠された金や、すなわち埋蔵金が眠っていることが明らかになりました。典型的な例は、
財政投融資特別会計の
金利変動準備金の取崩しであります。政府はこれまで、埋蔵金などそんなものはないと言い張り、
特別会計の積立金の取崩しをかたくなに拒んできましたが、今回は政府自らが予算の財源として持ち出してきました。こうした隠された埋蔵金はすべて表に出し、無駄を完全になくしてからでなければ増税の話など国民にすべきではないと思いますが、いかがでしょうか。この問題については
中川財務大臣に伺います。
政府が掲げてきた二〇一一年度
基礎的財政収支の
黒字化目標は完全に破綻しております。この上は、一刻も早く国民に対し目標未達成の報告とおわびをして、新たな目標の設定の検討を急ぐべきであると考えます。この問題についても
中川財務大臣に伺います。
次に、強い批判を受けてきた骨太二〇〇六に基づく毎年二千二百億円に上る
社会保障費の伸びの抑制についてであります。
政府は来
年度予算で、その建前は維持しながらも、いわゆる埋蔵金を活用するなどして抑制幅を実質二百三十億円に圧縮しています。できもしない目標や方針を掲げ格好だけ付けるやり方は、国民への背信行為であり裏切りであります。
削減方針は明確に撤回すべきであると考えますが、総理、いかがでしょう。
こうした
福祉切捨て方針の結果、去年の一月から十月までに
年金記録の訂正が行われた九十三万六千件のうち、正しい年金額を確定できたのはたったの二割にとどまっています。
社会保険庁職員による
標準報酬月額の改ざんについて、政府の
コンピューター調査では延べにして百四十四万件も疑わしい事例があったにもかかわらず、現在、政府が
個別調査の対象にしているのはたった二万件にすぎません。
年金記録確認第三者委員会にはこれまでに八万七千件の申立てがありましたが、
年金記録の回復が認められた一万五千件に対し、二万六千件が却下されております。
また、現在のうば捨て山とも言われる
後期高齢者医療制度について、政府・与党は、余りに国民の批判が強いため、これに代わる制度を一年掛けて検討することを打ち出しました。これは
後期高齢者医療制度は間違いだったと認めているようなものであります。一体いつ結論が出るのか。直ちに廃止し、いったんは元の制度に戻すべきであります。医師不足、
介護労働者の待遇問題なども、
根本的解決はすべて先送りであります。
国民の皆さんは、もはやこれらの問題の解決を与党に求めるのは無駄だと考えておられるようであります。一刻も早く
政権交代をして解決を私たちにゆだねるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
次に、外交の諸問題です。
麻生総理は、日本を世界の秩序をつくる国にすると唱え、また自由と繁栄の弧との理念を掲げて外交を展開してきましたが、今までいかなる成果を上げたと言えるでしょう。
拉致問題が何ら進展を見せない中、
アメリカのブッシュ前政権は北朝鮮の
テロ支援国家指定を解除し、世界の中の
日米同盟が空事にすぎないことを内外に印象付けました。
国際金融危機に対処するため、
サミット議長国として
金融サミットの
日本開催を探ったものの、米国がワシントンでの開催を主導すると、なすすべがありませんでした。
麻生外交は花火を打ち上げるだけで、何の意味もないのではないでしょうか。
米国一国優位に陰りが見え、
欧州諸国はもとより、中国、インド、ロシア、ブラジルの台頭など多極的な世界が現れている中、今の我が国は、
ジャパン・ナッシングと無視されたり、
ジャパン・ミッシングと行方不明扱いされているのではないでしょうか。外交が立ち行かない根底には、
自民党政治の迷走による我が国の存在感のなさがあります。
麻生総理は事あるごとに日本の底力を強調されますが、底力を発揮するには、速やかな衆議院の解散・総選挙により民意を反映した新たな政権を樹立することが何よりも大切ではないでしょうか。自らの外交をどう評価されるのか、
麻生総理の認識を伺います。
オバマ新政権は、
日米同盟は米国の
アジア政策の礎と位置付けております。米新政権の関心が中国に傾いているとの観測も根強いものがあります。また、オバマ新政権は、
多国間外交を重視し、同盟国にも実質的な負担を求める姿勢を強めると見られております。
米国の
政権交代を契機に、対米追随と評された従来の
日本外交の姿勢を転換し、米国に言うべきことは言う対等の関係を構築すべきではないでしょうか。
麻生総理の考えを伺いたい。
オバマ大統領は、
経済政策の柱の一つにグリーン・ニューディールを提唱しています。環境問題への対処、
地球温暖化対策は喫緊の
国際的課題でありますが、この面でも日本の顔が見えないとの強い指摘があります。
ポスト京都議定書をめぐる
国際交渉への取組、
国際再生可能エネルギー機関への対応を始め、
環境外交をどのように進めるお考えか、この問題は
中曽根外務大臣に伺いたい。
オバマ新政権は
国際テロとの闘いの軸足をアフガニスタンに置く方針を示しておりますが、自衛隊の派遣を求めてきた場合にはどのように対処する所存か、お聞かせいただきたいと思います。我が国が自衛隊の派遣に応じない場合、米新政権は相当の
財政負担を求めてくるのではないかとの見方もあります。日本は治安の安定を図るために、ODAを軸に
復興支援、民生部門での援助に力を発揮すべきではありませんか。今後、アフガニスタン問題にいかに取り組むか、総理の御見解を伺いたいと思います。
また、
麻生総理は、
ソマリア沖の
海賊対策のため、
現行自衛隊法に基づく
海上警備行動を発令し、
海上自衛隊艦船の派遣を進めようとしています。しかし、
武器使用基準をめぐり、政府部内、与党内でも意見が分かれていると聞きます。
麻生総理は、オバマ新政権に対し日本の
国際貢献をアピールしようと考えているのか、また、中国の
海軍派遣決定に押され焦っているのか。外交・
防衛政策で
対処方針が迷走すれば、国益を損なうことは甚だしいものがあります。
麻生総理は、慎重な対応を取るべきだと思いますが、所見をお伺いいたします。
そして、
世界同時不況に対処する中で、中国、韓国、
東南アジア諸国との緊密な協力、
アジア外交の展開が不可欠であります。他方、
麻生総理に関係の深い旧麻生鉱業がさきの大戦中に朝鮮半島出身者を使用していたことは、
総理自身も認めておられます。
アジア外交を展開するには、このような歴史的事実を踏まえ、きちんとした歴史認識を表明して当たらねばなりません。
麻生総理は、どのように
アジア外交の地平を切り開いていく所存か、お伺いをいたします。
田母神前航空幕僚長の論文問題は、制服組最高幹部の発表した論文の内容が政府の方針に全く反するというもので、自衛隊に対する文民統制に重大な懸念を抱かせました。専門家の指摘によれば、田母神論文の主張は独善的なものであり、国際的な視野、適切な歴史認識に欠けるものです。田母神氏が幹部自衛官の教育に当たる要職を経験していることから、自衛官の中に田母神氏と同じような意識が蔓延しているとしたならば看過し得ない事態であります。何よりも、田母神氏の言動は、空幕長に昇進する以前から一貫していたもので、このような言動を許容し最高幹部の要職に就けた防衛省・自衛隊の人事管理の甘さは厳しく指摘せざるを得ません。
麻生総理は、文民統制をいかに貫徹し、自衛隊の隊員教育の改善を求めていくのか、認識をお伺いいたします。
ODAは、我が国の国際社会への貢献の重要な手段の一つであります。参議院はODA特別委員会を設置し、ODA案件の海外調査を進めてまいりました。ODAをめぐり、我が国企業が外国政府関係者に賄賂を贈るなどの不祥事も後を絶ちません。厳しい経済財政状況の中、国民の税金によるODAは、限られた予算を有効に活用し、事業量を増やすとともに、援助の質の改善が求められております。ODAに関する参議院の取組に対する考えを伺うとともに、我が国のODAを再生させるための方針を
中曽根外務大臣に伺います。
さて、
麻生総理、あなたは今年の年頭所感でも、また一昨日の
施政方針演説でも、私は決して逃げませんと繰り返し言っています。これだけ解散・総選挙から逃げ回っていて恥ずかしくはありませんか。国民の皆さんはもう既に、総理、あなたにはとてもこの日本を任せられないと見限っています。二〇%を切る
内閣支持率と七〇%を超す内閣不支持率が、それを如実に物語っているのであります。
今、私たちが直面しているのは、世界的な金融システムの行き詰まりと様々な矛盾を抱えて立ち往生している国内の経済財政システムの行き詰まりが重なった複合的な危機であります。これを克服するためには、もう一度日本を立ち上げるくらいの大仕事となるでしょう。小手先の雇用・
景気対策ではなく、大胆なビジョンを持って実行する政治の力が必要であります。将来を見据えた
国づくりに集中して資源を投下し、雇用も創出する、そうしたたくましい政治が今求められております。それは、このような危機を引き起こした
自公政権にできるはずはありません。
子供たちに夢のあるあしたを取り戻すため、一刻も早く総辞職し、野党に政権を譲るか、解散・総選挙で民意を問う以外に道はないことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕