○岩城光英君 自由
民主党を代表いたしまして、
麻生総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
質問に先立ち、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスとの紛争についてでありますが、日々、被害が
拡大しており、誠に憂慮すべき事態であります。
政府におかれましては、様々な外交ルートを用いて、一日も早く停戦が
実現するよう努められ、中東情勢の安定と平和が回復することを願ってやみません。
さて、
質問の第一は、世界の
金融経済情勢についてであります。
昨年九月のリーマン・ブラザーズの経営破綻により、急速に世界の
経済金融情勢が
悪化してきました。いわゆるサブプライムローン問題の深刻化が証券化
市場の混乱を招き、アメリカ国内を震源とする
金融危機が飛び火し、ついには世界各国の実体
経済に激変をもたらしているのが現状であります。
しかしながら、サブプライムローンの
規模自体はアメリカのGDPの一割程度であり、しかもすべての借り手の
返済が滞るわけではありません。それがどうして百年に一度と言われる世界的危機につながったのか、いまだ釈然としない
思いをお持ちの
国民も多いのではないでしょうか。
そこで、世界的
規模で起こっているこの問題について、
中川財務大臣から
国民の皆様に分かりやすく御
説明願います。どうしてこんな事態に至ったのかを分析し、解決策を明確にすることが重要だと考えるからであります。
質問の第二は、世界各国との
政策協調についてであります。
昨年十一月に、世界的な
金融危機に対処するため、G20と言われる主要国がワシントンに集まり、金融サミットが開催されました。各国が
政策協調と自助努力によって危機を乗り切り、世界
経済を回復軌道に復帰させる
方針が確認されたのであります。
本年四月にロンドンで開催予定の第二回金融サミットまでに、各国は回復への道筋を付けることが望まれております。
我が国におきましても、累次にわたる総額七十五兆円もの
経済対策が
効果を発揮し、金融機能や資本
市場の正常化や
景気回復への手掛かりをつかみ、世界各国からの
評価につなげたいものであります。
麻生総理は金融サミットを
日本で開催したいとの意向を示されていたようですが、今後とも、G20やアメリカのオバマ新
政権とも協調し、リーダーシップを発揮され、世界的な
経済、金融の混乱からの脱出の陣頭指揮を執っていただきたい、そう願っております。
総理の御覚悟と意気込みのほどをお伺いいたします。
第三は、
我が国の
経済状態に関してであります。
我が国経済も極めて厳しい
状況に陥っています。世界
経済の低迷から外需が伸びず、かつてより個人消費が盛り上がらない状態が続いており、
住宅投資や公共投資も冷え込んだままであります。
政府経済見通しによりますと、
平成二十一年度の
我が国の実質成長率はゼロということでありますが、民間研究所やエコノミストの見通しは押しなべてマイナス成長を見込んでおります。
政府見通しは甘いと言わざるを得ないのではないでしょうか。仮に民間の見通しのようにマイナス成長になれば、今年度もマイナス成長の
可能性が高いわけでありますから、二年連続のマイナスといったかつて経験したことのない長い期間にわたる
景気の後退を経験することになります。
麻生総理は全国各地へ視察に行かれ、
社会的に弱い立場にある人々の生の声を広く耳にされていると伺っております。先日、朝のテレビ番組を見ておりましたら、お年玉を何に使うのかという街頭での
質問に、高校生らしい若者が将来のために貯金しますと答えていました。ほほ笑ましいと思う反面、何か欲しいものもあるだろうになと、そんなふうにも
思いました。それは、年金を始めとする
社会保障の在り方、
雇用状況など、世間の風評を肌で感じ、節約や節制の
気持ちが根付いているからではないのかという印象を持ったのであります。
総理が直接お話しされた消費者であり
生活者である
国民の皆様は、日常
生活においてどのような点に不安や心配を抱えているのでしょうか。
総理が実感されているそのままの御
認識をお伺いいたします。
総理が
国民の声を直接受け止められたその上で、
政府としては現在の
我が国経済の
状況をどのようにとらえ、そして将来の姿をどう描こうとしているのか、
景気は必ず回復させるという強い決意を含めて、御
見解をお示し願います。
第四は、
生活支援としての
定額給付金についてであります。
野党は、
ばらまき的な
政策であるとの批判の声を上げております。しかし、
現下の
経済状況を見ますと、消費を刺激するようなあらゆる
対策を工夫し、
早期に実行することの
必要性は強調するまでもありません。その一日も早い支給を待ち望んでいる声も実際耳にしております。様々な商品、サービスの購入に向けられ、地域の商店の創意も働き、零細な商店が潤い、地域が活性化するきっかけになるものと期待をしております。
その
実施手法などについていろいろな
意見もあるようですが、
定額給付金に期待される
効果がいかがなものか、
麻生総理にお伺いいたします。
第五は、
雇用対策についてであります。
雇用情勢が厳しさを増しています。パートや
契約社員などの非
正規雇用者の失職、新卒者の
内定取消しなどの話を私の身の回りでも耳にするたびに身を切られる
思いであります。大手、中堅、中小の
企業規模あるいは業種を問わず、
雇用調整が深刻化するのは避けられません。
今回の第二次
補正予算の大きな柱は、
雇用対策であります。再就職
支援、
内定取消し対策、
雇用調整助成金の
拡充といった
雇用を守る
対策に加え、
雇用促進住宅の活用や解雇
労働者に対する
住宅の供与など、
雇用対策として総額一千六百億円が盛り込まれております。
現在、
国民が関心を寄せている最重要
課題でもありますので、舛添大臣には、
政府が行っている
雇用対策をより具体的に御
説明願います。
第六は、
企業の資金繰り
対策についてであります。
昨年の
臨時国会では、テロ特措法の延長とともに大きな
課題であった金融機能強化法が
成立いたしました。これにより、国の資本参加の枠が十兆円増やされ、
合計十二兆円にまで
拡大しました。
金融機関の自己資本が充実し、
安心して地域の
中小企業や自営業の方に融資を
拡大でき、資金繰りが
悪化しない、しっかりした措置が整えられたと
評価するものであります。
年末の資金需要期は信用保証協会の信用保証の
拡大などが
効果を発揮したところでありますが、今後、年度末にかけては更に多くの
企業の資金需要の高まりが予想されます。
中川大臣は、民間
金融機関へも
企業金融に向けた特段の配慮を依頼されたと聞いております。日銀との
政策協調を含めて、
企業金融の円滑化、安定化に向けた
政策運営について、大臣の御
見解をお伺いいたします。
最後の
質問は、
地方そして
中小企業対策についてであります。
全国の市町村長を始めとする
地方自治体関係者は、日夜、地域振興に心血を注いでおりますが、中心市街地でのシャッター通り化、地場産業の衰退など、
地方経済は厳しい立場に立たされております。
しかし、厳しいからといって
気持ちがなえてしまっては活力は生まれてまいりません。
福島県南会津の尾瀬国立公園入口にあります人口わずか六百人強の檜枝岐村は、観光立村を旗印に地域おこしに取り組んでおりますが、一人
当たり所得が県平均を上回り、人口減にも歯止めが掛かっております。
また、それまで地域を支えてきた石炭産業が衰退し、閉山に追い込まれつつあった四十数年ほど前のこと、いわき市にリゾート施設が誕生しました。それまでは邪魔者扱いであった炭鉱から排出する温水を逆転の発想で活用したものです。その誕生のいきさつは、映画「フラガール」で
御存じの方も多いかと存じますが、今でも年に二百万人近くの集客力を持つ観光拠点として地域に貢献しております。
私は、
地方自治体がそれぞれの持つ歴史、文化、伝統、置かれている環境などの個性、特性を生かした地域づくりに取り組むことが
基本だと考えております。そのためには、行政と住民、官と民の協働作業により、地域が自立し、創意工夫を図っていくことが大切であります。
しかしながら、現状の
経済下にあっては地域の活力にも限界があり、全国一律ではなく、その地域地域の実情に応じて国が
地方の活性化策づくりを
支援し、
地方と一体となって今まで以上に強力に推進できるような仕組みが求められているものと
認識しております。
総務大臣の御経験を踏まえた
麻生総理の
地方再生へ向けた御
見解をお伺いいたします。
また、
我が国には約三百万の
企業がありますが、その九九%は
中小企業であり、
雇用者数でも八〇%を占めております。しかし、現状では仕事の
確保にさえ苦しむような
状況となっております。
中小企業が活力を取り戻さなければ、
日本は元気になりません。
中小企業に対する現状
認識とその打開策について、改めて
総理の御所見をお示し願います。
麻生総理は、
国会の首班指名により選任され、
就任なされました。民主主義のルールに基づいて
就任されたわけであり、
国民の信任を受けていると理解するのが
国会開設以来の
我が国憲政上の
基本的な考え方であります。
今、
国民は、かつてない地球
規模の
不況に襲われるのではないかとの不安を抱いております。一刻も早く第二次
補正予算、そして
平成二十一年度
予算を
成立させ、切れ目のない施策を講ずることによって
日本の
景気を回復させることこそ
国民の皆様の切実な願いであります。
麻生総理には、世界的
規模で混迷が深まる現在の
状況であるからこそ、
我が国の将来を見据えて、
国民一人一人が希望と生きがいを実感する国づくりに邁進されますよう強くお願いいたしまして、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣麻生太郎君
登壇、
拍手〕