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2009-04-27 第171回国会 参議院 北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年四月二十七日(月曜日)    午後零時二十五分開会     ─────────────    委員異動  二月十三日     辞任         補欠選任         魚住裕一郎君     山本 博司君  二月十六日     辞任         補欠選任         山本 博司君     魚住裕一郎君  四月二十四日     辞任         補欠選任         徳永 久志君     川崎  稔君  四月二十七日     辞任         補欠選任         白  眞勲君     青木  愛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤田 幸久君     理 事                 川上 義博君                 山根 隆治君                 山谷えり子君                 山本 一太君     委 員                 青木  愛君                 風間 直樹君                 川合 孝典君                 川崎  稔君                 外山  斎君                 白  眞勲君                 前川 清成君                 森 ゆうこ君                 関口 昌一君                 中山 恭子君                 松山 政司君                 魚住裕一郎君                 風間  昶君                 山下 芳生君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        国務大臣        (内閣官房長官) 河村 建夫君    副大臣        外務大臣    橋本 聖子君    大臣政務官        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房拉致問        題対策本部事務        局総合調整室長        兼内閣大臣官        房拉致被害者等        支援担当室長   山口 英樹君        警察庁警備局長  池田 克彦君        法務大臣官房審        議官       高宅  茂君        外務大臣官房審        議官       石川 和秀君        外務省北米局長  梅本 和義君        防衛省防衛政策        局次長      松本隆太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に  関する調査  (北朝鮮をめぐる最近の状況に関する件)  (拉致問題をめぐる現状に関する件)  (北朝鮮ミサイル発射に関する件)  (六者会合再開拉致問題に関する件)  (北朝鮮に対する追加制裁措置に関する件)  (北朝鮮ミサイル発射に関する国連安保理議  長声明に関する件)  (拉致被害者等給付金支給に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る二十四日徳永久志君が委員辞任され、その補欠として川崎稔君が選任されました。     ─────────────
  3. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  先般行いました北朝鮮による拉致問題等に関する実情調査のための視察につきまして、視察委員報告を聴取いたします。山根隆治君。
  4. 山根隆治

    山根隆治君 本委員会藤田委員長山本理事山谷理事外山委員徳永委員白委員衛藤委員魚住委員山下委員及び私、山根の十名は、去る三月十六日、新潟佐渡市において、北朝鮮による拉致問題等に関する実情調査を行いました。以下、その概要を御報告いたします。  まず、曽我ひとみさんとその母ミヨシさんの拉致現場である佐渡四日町の状況を、新潟県警説明を受けながら実地に調査し、拉致現場近くの川から日本海にすぐ出られることを確認し、北朝鮮による日本人の拉致という国家的犯罪行為の恐ろしさを改めて実感いたしました。  次いで、新潟県の鶴巻嗣雄知事政策局長より県に関係する拉致問題の主な経緯県内拉致被害者特定失踪者概要及び拉致問題に関する県の取組状況について、佐渡市の高野宏一郎市長より曽我さん母娘拉致容疑事案経緯曽我ひとみさんと御家族帰国後の状況及び拉致問題に対する市の取組状況について、新潟警察本部田村昌三郎警備部参事官より県内における拉致容疑事案捜査状況について、それぞれ説明を伺った後、意見交換を行いました。  鶴巻知事政策局長からは、新潟県においては、平成九年三月に横田めぐみさんの御両親と知事の面談を機に拉致問題への取組を開始し、国に対する要望書の提出や横断幕を掲示するなど拉致問題の啓発に努めてきた。平成十四年九月の第一回日朝首脳会談を契機に、同年十月、蓮池薫さん、祐木子さん御夫妻及び曽我ひとみさんが帰国を果たされた後、県は拉致被害者家族支援室を設置し、柏崎市及び佐渡市と一体となって帰国した拉致被害者等への支援を行ってきた。県内の安否不明の拉致被害者は、横田めぐみさんのほか曽我ひとみさんの母ミヨシさんがいるが、北朝鮮側曽我ミヨシさんの入国を完全否認している。また、特定失踪者問題調査会が発表した拉致の疑いがある失踪者として、拉致濃厚とされる藤田進さん、大澤孝司さんのほか四名がいる。県民拉致問題に関心を持ち続け、世論の喚起に努めるように、県は政府への要望提案活動を進めており、拉致問題を考えパネル展開催拉致問題に関する意識啓発のポスター、パンフレットの作成、配布を行うなど、拉致問題の早期解決に向けた様々な活動を行っているところである旨の説明がなされた後、拉致問題は県民の最重要課題認識しており、北朝鮮に対する経済制裁延長及び追加制裁を講じることなどを含めて、拉致問題の早期解決に力添えを願いたい旨の発言がなされました。  高野市長からは、曽我さん母娘失踪当時は、北朝鮮による拉致であるとは思われなかった。曽我ひとみさんの父は二人の墓を作って弔ったが、平成十四年十月、曽我ひとみさんは佐渡市に帰郷した。現在、曽我ひとみさんは介護施設に正職員として勤務しており、夫のジェンキンスさんは観光施設に勤務している。また、長女の美花さんは新潟市のビジネス専門学校卒業見込みであり、本年四月から私立保育園職場研修を受ける予定であり、次女のブリンダさんは地元酒造会社職場研修を受けている。市においては、担当者を一人置き、生活支援就職支援など帰国家族自立に向けた支援を行っている。国委託事業費として四百九十万円が計上されており、日本の文化を学ぶための生活相談員を一名、美花さん及びブリンダさんに対し日本職場環境に適応できるように家庭教師を二名配置し、また、自動車運転免許取得等にも活用している。拉致問題解決に向けた取組としては、市は民間組織曽我さん母娘を救う会とも連携し、曽我ミヨシさん救出のための署名活動等を行っている旨の説明がなされた後、拉致被害者支援法による給付金支給は五年が限度とされており、平成二十二年三月で打ち切られる。曽我ひとみさんと御家族について、自立支援とともに経済的課題が気になるところであり、国の支援を願う。また、曽我ミヨシさんの帰国が実現されるよう協力願う旨の発言がなされました。  田村警備部参事官からは、曽我さん母娘拉致容疑事案は、佐渡四日町において曽我さん母娘が、昭和五十三年八月十二日夕刻、自宅から数百メートル離れた商店まで買物に出かけ、買物を終えた後、帰宅する途中、被害に遭ったものである。この事案に関しては、被疑者通称キム・ミョンスクを特定し、逮捕状を得た後、平成十八年十一月、国際手配実施した。このほか新潟県においては、新潟市内沿岸部で発生した横田めぐみさん拉致容疑事案柏崎市の柏崎中央海岸で発生した蓮池夫妻拉致容疑事案があり、後者に関しては、被疑者通称チェ・スンチョルを特定し、逮捕状を得た後、平成十八年三月、国際手配実施するとともに、平成十九年二月、その共犯者も同様に国際手配実施した。また、北朝鮮による拉致が濃厚であると届出のあった大澤孝司さんの行方不明事案については、昭和四十九年二月二十四日夕刻、旧佐渡郡新穂村で発生したものであり、県警捜査室を設置し捜査を推進しているところである旨の説明がなされた後、北朝鮮拉致については、我が国主権国民人権を侵害する極めて重大な事案であると認識し、全国の国民情報提供を呼びかけるとともに、県警事案全容解明に向け強い意志を持ちながら捜査を進めているところであるので協力願いたい旨の発言がなされました。  その後、視察委員から、国への要望事項拉致被疑者特定過程拉致被害者等給付金への要望とその延長必要性曽我さん母娘を救う会の活動内容拉致被害者と御家族への心のケアの必要性県警特定失踪者調査会との連携等についての質疑が行われました。  次いで、曽我ひとみさんとの懇談を行いました。曽我ひとみさんからは、日本帰国して六年になるが、私が日本にいない間に友人や後輩が仕事を立派にしている姿を見て、二十四年という年月は私にとってとても長いブランクだったと感じた。周りの人が優しく心配してくれて、今では介護員として仕事をしているが、まだ慣れることができず不安でいっぱいである。老人ホームでお年寄りと接していると、拉致されてからいまだ帰らぬ同年代の母を思い出す。母にも同じような世話をしたいが今は無理な話である。拉致被害に遭った当時、母と一緒に買物に出かけなかったら今も佐渡に暮らしているのだと思うと、ますます自分を責めたくなる。どうか国会議員先生方の力を借りて、一日でも早く母と二人で温泉に行きたいとそれだけを願っている。今までも支援をいただき感謝している。母は年老いており時間がなく、一日一日を大切にし、一時間でも早く拉致問題が解決するよう御支援願いたい旨の発言がなされました。  その後、視察委員から、生活支援への要望、現在の御家族の様子と将来の見通しなどについて質問がなされました。これを受け、曽我ひとみさんからは、二人の娘は日本語は何とか話せるが、社会に出ると話せるだけでは通用しない。日本社会の仕組みが分からず仕事につまずくことになる。前向きに努力していくしかないが、娘たちには親にも言えないようなことでも話し合える同年代の友達をつくってあげたい。また経済的には、現在は国から拉致被害者等給付金支給され助けられているが、長い間日本にいなかったので蓄えがない状況である。現在は働いているが、これから先を考えると今まで以上に不安があるので、できれば給付金延長を考慮いただきたい旨の発言がなされました。  以上が調査概要であります。  今回の調査により、拉致被害者とその御家族に対する支援在り方新潟県における各事案状況等について認識を深めるとともに、拉致問題の一日も早い解決について思いを新たにした次第であります。  最後に、今般の調査に当たり、新潟県、同警察本部佐渡市を始め、御対応いただいた関係者皆様に対し、心から感謝を申し上げます。  以上でございます。
  5. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で視察委員報告は終了いたしました。  北朝鮮をめぐる最近の状況に関する件及び拉致問題をめぐる現状に関する件について、政府から順次報告を聴取いたします。初めに中曽根外務大臣
  6. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 参議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会開催に当たり、謹んでごあいさつ申し上げます。  本日は、先般のミサイル発射中心とする最近の北朝鮮をめぐる情勢について御報告いたします。  四月五日、北朝鮮は、我が国を含む関係各国が自制を求めたにもかかわらず、ミサイル発射を強行いたしました。今回のミサイル発射は、我が国にとり安全保障上の脅威であるとともに、国連安保理決議第一六九五号及び一七一八号並びに日朝平壌宣言に違反し、かつ六者会合共同声明とも相入れないものです。そのような観点から、今回のミサイル発射は、我が国として容認できるものではありません。  我が国は、発射後、速やかに北京の大使館ルートを通じて、北朝鮮に厳重に抗議を行いました。また、国際社会連携して北朝鮮に対し毅然とした対応を行うべきと考え、直ちに安保理会合開催を要請し、米、韓、中、ロ、英、仏等の外相と電話会談を行いました。さらには、麻生総理が、訪問先のタイにおいて、温家宝総理及び李明博大統領首脳会談を行い、安保理での対応を協議いたしました。  これらの外交努力の結果、安保理は、今回の発射安保理決議第一七一八号違反であるとして北朝鮮を非難し、北朝鮮に対し決議第一七一八号の完全履行を求め、六者会合早期再開を要請すること等を内容とする議長声明を発出いたしました。北朝鮮が、今次安保理議長声明を重く受け止め、六者会合に復帰し、安保理決議第一七一八号を完全履行することを求めたいと考えます。  また、議長声明を踏まえ、国連北朝鮮制裁委員会において議論を行ってきた結果、二十四日北朝鮮への禁輸対象品目の拡大や資産凍結対象団体の指定につき合意が得られました。  政府としては、今後とも、安保理決議第一七一八号のより厳格な実施に向けて取り組んでいく考えです。  我が国にとって重要な問題である拉致問題及び核問題も未解決のままです。  拉致問題については、北朝鮮はいまだ全面的な調査やり直しを開始していません。我が国としては、北朝鮮による調査やり直し早期に開始され、拉致被害者方々の一刻も早い帰国につながるような成果早期に得られるよう、引き続き北朝鮮側に強く求めていく考えです。  三月には、韓国政府協力により、飯塚家金賢姫氏の面会が実現いたしました。本件は、飯塚家が長年にわたってその実現を切に願っていたものであり、大変喜ばしいことと思っています。  なお、一連の作業の過程で、飯塚耕一郎氏の手紙が外務省において長年にわたり保管されていたことが判明いたしました。私から飯塚耕一郎氏に直接おわび申し上げるとともに、二度とこのようなことが起きないよう私から担当局長等に注意し、一層丁寧に取り組むよう指示した次第であります。  また、核問題について、北朝鮮は今般の安保理議長声明の発出を受け、六者会合に参加しない、使用済み燃料棒を再処理するといった立場を表明しています。安保理議長声明でも、すべての参加者に対し、六者会合共同声明等完全実施に向けた努力強化が求められており、政府としては、引き続き、米国を始めとする関係国と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対して建設的な対応を求めていく考えです。  藤田委員長始め、本委員会皆様の御支援と御協力を心よりお願い申し上げます。
  7. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) では、続いて河村国務大臣
  8. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 本日は、拉致問題をめぐる現状について御報告いたします。  北朝鮮による拉致は、我が国国家主権及び国民生命と安全にかかわる重大な問題です。この国家的犯罪行為であり、許し難い人権侵害でもある拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はないとの方針に変わりはありません。政府としては、すべての拉致被害者方々の一刻も早い救出真相究明及び被疑者の引渡しを実現すべく、対話圧力姿勢をもって引き続き最大限努力を行う所存です。  この関連で、今月十日、政府は、北朝鮮拉致問題について平成二十年八月に合意した調査やり直しにいまだ着手していないことなど具体的な行動を取っていないこと、核問題について六者会合において検証の具体的枠組み合意していないなど非建設的な対応を取っていること、さらに、我が国を始め関係国の働きかけにもかかわらず、今般、ミサイル発射を強行したこと等、北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案して、すべての北朝鮮籍船舶入港禁止措置及び北朝鮮からすべての品目輸入禁止措置を更に一年間継続することを決定し、その上で、北朝鮮向けの資金の流れについてよりきめ細かく実態を把握するための措置を新たに実施することといたしました。この措置については、本年五月中旬を目途に実施すべく所要の手続を進めているところです。  政府としては、北朝鮮が昨年八月の日朝実務者協議合意に従い、権限を与えられた調査委員会を立ち上げ、拉致問題の解決に向けた具体的な行動を取るため、すなわち、生存者を発見し日本に帰させるための拉致被害者に関する全面的な調査を開始するのと同時に、日本側としても、人的往来規制解除航空チャーター便規制解除を行う旨の方針は引き続きこれを維持する考えです。この機会に改めて北朝鮮が具体的な行動を取ることを求めます。  政府はこれまで、拉致問題の解決に向け北朝鮮に具体的な行動を取らせるために、米国韓国中国等首脳会談等ハイレベル会合を行い、拉致問題についての我が国立場説明し、これら関係各国より理解協力を得る等、関係各国との連携強化に努めてきたところです。  その結果、本年三月十一日に、韓国政府協力を得て、拉致被害者田口八重子さんの御家族である飯塚繁雄耕一郎両氏が長年希望されていた金賢姫氏との面会を実現しました。この面会は、拉致問題の真相究明及び同問題の解決に向けた日韓連携強化という面において一定の意義があったと考えます。  国内においては、政府は、関係地方自治体とも連携協力しながら、北朝鮮より取り戻すことのできた拉致被害者やその御家族に対し、拉致被害者等支援法及び総合的な支援策の下で拉致被害者等給付金支給自立社会適応促進施策等実施しているところです。  この結果、これら拉致被害者やその御家族は、様々な困難を抱えつつも地域の人々の善意にも支えられながら着実に自立の道を歩まれているものと承知しておりますが、なお将来の生活への不安をぬぐい切れないものと認識しております。  政府としては、引き続きこうした支援枠組みに基づく必要な支援を行ってまいりますが、その在り方については、それら拉致被害者方々自立状況などを勘案しつつ、御本人、御家族の御要望や御意見も伺いながら、必要な見直しを含め、適切に対応したいと考えております。  拉致発生後、長い年月がたち、被害者や御家族方々はお年を召され、拉致問題の解決は一刻の猶予も許されない状況となっております。政府は、米国を始めとする関係国とも緊密に連携協力しながら、すべての拉致被害者を一刻も早く取り戻すべく拉致問題対策本部中心政府一体となって引き続き全力で取り組んでまいります。  藤田委員長を始め、本委員会皆様の御理解、御協力をよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  9. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 以上で報告の聴取は終わりました。  暫時休憩いたします。    午後零時四十四分休憩      ─────・─────    午後二時三十八分開会
  10. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) ただいまから北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、白眞勲君が委員辞任され、その補欠として青木愛君が選任されました。     ─────────────
  11. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、内閣官房拉致問題対策本部事務局総合調整室長内閣大臣官房拉致被害者等支援担当室長山口英樹君外五名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  13. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 休憩前に引き続き、北朝鮮による拉致問題等に関しての対策樹立に関する調査議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 民主党・新緑風会・国民新日本森ゆうこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、先般の北朝鮮ミサイル発射問題に関連して、この問題だけが非常に大きく取り上げられ、拉致問題が置き去りにされるのではないか、このような懸念を持っております。  改めて、先ほど官房長官の方からもございましたけれども、改めて政府拉致問題に対する決意を伺いたいと思います。
  15. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 政府といたしましては、この北朝鮮における拉致という問題、これはもうまさに未曾有の国家的犯罪行為である、我が国国家主権及び国民生命と安全にかかわる重大な人権侵害の問題であるという意識、そして、この拉致問題の解決なくして北朝鮮との国交正常化はないとの方針に変わりはないわけでございます。そのことは冒頭の報告の中にも特に強調させていただいております。  ただ、拉致被害者の皆さんはもう時間との闘いをされておりますので、私どもとしてもこの解決は一刻の猶予も許されないという思いであると、またそのように認識をいたしておるところでございます。そういう認識の下で、すべての拉致被害者方々を一刻も早く救出を実現したいということで、総理本部長とする拉致対策本部を動かしながら、政府一体となって、いわゆる対話圧力といいますか、姿勢をもって引き続き最大限努力を行う所存でございます。  おっしゃるように、拉致、核、ミサイルというのは一体のものであって、六者協議も復活をしなきゃならぬと、こういう状況下にございます。最終的には、拉致問題は日本北朝鮮の問題に集約されていくことは間違いない、そのことも念頭に置きながら、日米韓を始め中国関係諸国との連携をしっかり取りながら、事あるごとに拉致の問題の重要性を訴え続けてきておるところでございます。
  16. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 この件については外務大臣に伺おうと思ったんですが、本日は時間も短縮されておりますので、次に移りたいと思います。  今ほど六者会合のお話も出ました。次回の六者会合はいつになるのか分かりませんけれども、六者会合があるのであれば、ミサイル問題だけではなく、拉致問題を議題に提起すべきではないかと考えますが、外務大臣の御所見を伺います。
  17. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 六者会合中心的な議題は核問題でございますけれども、拉致問題を含む日朝関係につきましても、これは二〇〇五年九月の六者会合共同声明を始めといたします累次の成果文書で取り上げられておりまして、北朝鮮非核化や、それから米朝関係とともに六者会合枠組みの中に明確にこれは位置付けられているところでございます。  そして、我が国は毎回、拉致問題についても取り上げてきておりまして、また各国からも六者会合の中では拉致問題についての言及が必ずあるようでございますが、昨年十二月の六者会合首席代表者会合の際に発出されました議長声明、これにおきましても、六者は日朝による懸案事項解決及び国交正常化に向けた誠実な努力を奨励した旨が明記をされているところでございます。  政府といたしましては、引き続いて日朝平壌宣言にのっとりまして拉致と核とミサイル、この諸懸案を包括的に解決して、不幸な過去を清算して日朝国交正常化を実現すると、従来からの方針に変わりはなく、六者会合共同声明完全実施するために、朝鮮半島の非核化拉致問題を含む日朝関係の双方が共に前進するように、引き続いて最大限努力を行っていく考えでございます。
  18. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 そのような御答弁は何度もお聞きしております。  韓国の政権も替わり、アメリカも政権が替わったわけですし、先日、クリントン長官も、これは朝日新聞の二月十七日付けの夕刊でございますけれども、拉致問題を六者協議の一部とし、米側としても六者協議の中で提起する考えを示したというふうな記事も載っております。そういうことも利用して、きちんと一度六者会合議題として拉致問題を正式に議題とするという提案をまずはなされるべきではないかと思いますが、端的に、されるかされないか、お答えください。
  19. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 六者会合では、先ほど申し上げましたように、核問題のほかに拉致問題についてもこれは各国からの発言があるわけでございまして、また、六者会合をそう頻繁に、毎週のように行っているわけではありませんので、それを一つの議題として、集中でというわけには私はいかないと思いますが、核の問題とともに、またミサイルの問題とともに拉致の問題についても話合いが行われておりまして、我が国は積極的に、そういう意味では六者会合の中でこの拉致の問題をまた取り上げていきたいと、そういうふうに思っています。
  20. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 我が国拉致問題を取り上げるのは当然のことでございます。それを、この拉致問題を正式な議題として六者会合に据えるということは全く違う意味がある、そういうことを申し上げているので、一考をお願いしたいと思います。  次に移ります。  韓国との連携を更に深めるべきではないかと思います。李明博政権とは拉致問題も含めて対北朝鮮枠組み連携できるというふうに考えます。  実際、私も、国際議員連盟、IPCNKR、北朝鮮人権考える国際議員連盟に参加して二年続けてソウルを訪れましたけれども、政権交代前後では全く違う国ではないかと思うような対応でございます。この際、そのような状況を利用しましてもっと多くの情報提供を求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  21. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 日ごろから情報の収集については外務省も、あるいは政府としてもかなり力を入れているわけでございますけれども、この北朝鮮問題の解決のためには、特に拉致問題、これを解決するということのためには北朝鮮側に直接働きかけるということも当然大事でありますが、今委員がお話ありましたように関係国、また国際社会からのいろんな情報、協力を得ながらやるということが大事でございます。  韓国との関係では、今年四月の日韓首脳会談で核問題や、それからミサイル問題につきまして、日韓米で緊密に連携していくことを再確認をしておるところでございます。  御案内のとおり、麻生総理から、飯塚家金賢姫氏との面会実現に関する韓国側の協力に改めて先日謝意を表明したわけでございますが、李明博大統領からは、韓国は痛みを共に分かち合う立場にあり、協力するのは当然である、そのような観点から今後も積極的に協力していきたいと、そういう発言がございました。拉致問題に関しましても、引き続きまして日韓間で協力したいと、そういう意向が表明されたわけでございます。  政府といたしましては、拉致問題の一刻も早い解決のために、今おっしゃいました情報収集を始めとして、各国との連携を一層深めていきたいと思っております。
  22. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 飯塚家金賢姫元死刑囚の会談が成功したことは本当に評価できると思います。  ただ残念ながら、先ほど外務大臣報告で述べられましたように、飯塚さんが局長に預けられた手紙が五年間放置されていた。この件に関して、飯塚さん御本人は責任は問わない、その中身も金賢姫元死刑囚と会いたいという中身だったので、それが実現したので問わないというふうにおっしゃっていましたけれども、こういうことのないようにしっかりとした対応をしていただきたいというふうに私の方からも申し上げておきたいと思います。御本人は多分言えないと思いますから。  それで、その次の二つの質問は時間があったらさせていただきたいんですが、経済制裁について伺います。  追加制裁として送金の報告義務の引下げを選択された理由、そしてその実質的効果についてどのような御認識をお持ちか、お願いいたします。
  23. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘をいただきました今新たな対北朝鮮措置は、核、拉致ミサイル、諸懸案の包括的解決を求めておる、この中で北朝鮮側の具体的な行動がない、特にミサイル発射をまたその中で強行した。これを契機として、総合的な判断の中で実施に向けた手続を追加制裁として取らせていただいたということなんでございます。  日本の対北朝鮮措置の全体を見ますと、既に広範な分野にわたりまして相当の措置をとってきておるところでございます。今回、入港禁止、輸入禁止措置の一年延長に加えまして、金の面においても、特に北朝鮮向けに限って資金の流れの実態をよりきめ細かく把握するための措置を対北朝鮮措置の全体の中に新たに組み込んだ、こういうことでございます。  いずれにしても、一連の北朝鮮措置の目的は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案解決に向けた北朝鮮の具体的行動を引き出すことにあって、そのための措置を全体として実施しているものであります。
  24. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 送金の報告義務の引下げについて否定はいたしません。しかし、なぜ輸出の全面禁止など他の措置をとらなかったのでしょうか。
  25. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 四月十日に追加的な北朝鮮措置、これは、ただいま申し上げましたが、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決しよう、その中で北朝鮮のこれまでの具体的な行動がない、そしてあのミサイル発射した、これに対して総合的に考えた手続を取ってきたわけでございます。  北朝鮮へのこれからの措置在り方について、制裁の在り方について、これは不断のずっと検討を行っておるわけでございます。実際の対応については、拉致、核、ミサイル、この諸懸案対応して六者会合、そして国連安保理の動きもございます。こうした国際社会の動き全体を踏まえて総合的に判断をするということでございます。御案内のように、議長声明においてこれまでの一七一八号の履行をきちっと求めて、またその制裁措置として諸団体への動きを止める、こうした一連の措置も行われております。そういうことを踏まえながら日本政府としても対応をこれまで取ってきておるわけで、そうした一連の動きを総合的に考え対応しておると、こういうことでございます。
  26. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 様々報道にも、例えば日本だけ突出するというふうに見られるのを避けるためというふうな指摘もございますが、私は、日本は突出すべきだと思うんですね。我が国の問題じゃないですか。日本が一番危機にさらされている。そして、拉致問題もある。これは全く主権侵害であり、重大な人権侵害です。我が国がまず突出しなくてどこがやるんだ、私はそのように思います。  それで、北朝鮮ミサイルの問題ですけれども、官房長官に伺いますが、皆様のお手元にも新聞記事のコピーをお配りしております。北朝鮮ミサイル部品に日本製が含まれていたということをインドの元高官が証言をされました。このことについて見解を求めたいと思います。
  27. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘のこの報道の件でございます。  当時、日本政府としても事実関係の把握に努めたところでありますが、その限りでは、日本企業が外為法違反によって無許可輸出を行ったという事実は確認されておりません。北朝鮮に対しましては、現在、二〇〇六年の国連安保理決議に基づきまして、大量破壊兵器関連貨物の輸出や技術の提供はもう禁止をいたしておるところでございます。また、これ以外の貨物であっても大量破壊兵器の開発等に用いられる懸念がある場合には、いわゆる輸出等の許可を求める制度を二〇〇二年から導入しておりまして、厳格な安全保障管理貿易を実施しております。  引き続きまして、国内外の関係機関とも密接に連携をして北朝鮮向け安全保障貿易管理は厳格に実施してまいりたいと、このように考えております。
  28. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 私はそのような建前論をお聞きしたいのではありません。日本製の部品が含まれていた。例えばモーター、いろんなものに使えるモーターであっても、それを転用すればミサイルに使える。いろんなものが北朝鮮に持ち込まれて、そしてそれがミサイルの開発に使われていた。これはもう以前からそういう指摘はありました。そして、私はこの記事は非常に大きいと思いました。元インドの高官がこのようなことを証言しているわけですので、非常に大きなインパクトのあるこれは報道であったというふうに思います。  だとすれば、今ほど官房長官いろいろお答えになったんですが、それでは、北朝鮮はどのようにしてミサイルを開発したというふうにお考えでしょうか。
  29. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 北朝鮮がどのようにしてミサイルを開発したかということであります。  北朝鮮情勢については、平素から様々な情報に接しておるわけでございますが、これはやっぱりインテリジェンスに係る問題でもございまして、個々の具体的な情報についてを明らかにするということは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先般の北朝鮮によるミサイル発射を受けまして四月十四日に発出されました国連安保理議長声明は、安保理の総意として、弾道ミサイル計画に関するすべての活動を停止する、いかなる弾道ミサイル発射もこれ以上実施しないということを、北朝鮮安保理決議第一七一八号の下で負っております義務を完全に遵守しなきゃいかぬと、このように明確にいたしておるところでございます。国際社会の声も、これは安保理議長声明に明記されているわけでありまして、やっぱり北朝鮮はこの議長声明を重く受け止めて、六者会合に復帰をして、この安保理決議一七一八を完全に履行する、これは私は当然のことだというふうに考え、強く求めておるところでございます。  政府としても、引き続き米国韓国中国といった各国を含む国際社会連携協力しながら、こうした北朝鮮をめぐる諸問題の解決には全力を尽くしていく、こういうことで取り組んでおるわけでございます。
  30. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 当然、何でもやっていただくのは当たり前のことなんですが、四月二十三日の産経新聞「正論」に東京基督教大学西岡力教授が、ミサイル技術の対北流出を断てという記事を寄せられております。今日はお配りしておりませんけれども。つまり、日本から様々なミサイルのための部品が持っていかれたのではないか。  今日、法務省それから警察庁、来ていただいておりますが、先日衆議院の方でも松原仁議員が質問されましたけれども、北朝鮮のいわゆるミサイル兄弟と言われております徐錫洪、徐判道、この二人の出入国状況、そしてその活動状況について、答えられる点をお答えいただきたいと思います。
  31. 高宅茂

    政府参考人(高宅茂君) お答えいたします。  お尋ねの方たち個人の出入国歴につきましては、個人情報でありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  32. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 それでは、専門家が指摘されておりますミサイル技術、そして軍事技術を持つ又は知る在日朝鮮人の出入国の状況及び活動状況についてお答えをいただきたいと思います。
  33. 高宅茂

    政府参考人(高宅茂君) 出入国歴ということで、我が国を出入国した外国人の出入国記録というものは入国管理局が保管しておるわけでございますが、当局として、ミサイル関連の技術や情報を持つ在日朝鮮人の方が渡航したかどうかということは、具体的には確認、承知しておりませんし、あと個別的なお答えはできないということになるかと思います。
  34. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 警察庁とも情報を交換していろいろ対策をされていると思いますが、警察庁のお考えはどうですか。
  35. 池田克彦

    政府参考人(池田克彦君) 警察は、公共の安全と秩序の維持という責務を果たす観点から様々な情報収集を行っているところでございますけれども、その具体的な内容につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいというふうに思います。  なお、一般論として申し上げれば、当然、違法行為があれば法と証拠に基づいて、厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  36. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 専門家から度々、このミサイル技術、軍事技術を持つ又は知る在日朝鮮人の出入国が、北朝鮮ミサイル発射する前後に集中して過去行われている。それから、在日本科学技術協会、科協です、私もこの委員会でかつて質問したことがございますが、薬事法違反で警察が踏み込んだときにいろいろなものが出てきた、またいろいろなことが分かったかと思います。そういうことも全部利用してきちんと対応していただきたい。  西岡教授が指摘するように、ミサイル技術の対北流出を断て、日本から出ていくなんてとんでもないことだと思います。この件について、官房長官、御見解を伺いたい。
  37. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 政府といたしましては、様々な情報収集活動を行っております。ただ、今も御指摘のあったような具体的な内容については、事柄の性質上、お答えを控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしても安全保障貿易管理を含むこうした所要の措置、これはやっぱり厳格に実施していかなきゃいかぬと、このように考えております。  輸出等については、もちろんいろんな決まりがあるわけでありますが、法律に照らし合わせて。そうしたものを厳格にチェックをすると、そういうこともやってきておるわけでございます。  今、北朝鮮側と直接にこういうことは禁止しておるわけではありませんけれども、経由してということが今指摘をされておりますから、これはもう安全保障貿易管理を厳格にやると、このことに私は尽きると、こう考えておりまして、なお一層こうした問題が起こらないように厳格な対応が必要だと、このように考えます。
  38. 森ゆうこ

    森ゆうこ君 もう時間ですので、質問はこれくらいにさせていただきたいと思いますが、専門家がこのようなことを度々指摘され、さらにはその証左として、本日皆様にお配りしたような証言もあるわけでございます。  隣に山本一太議員がいらっしゃいますけれども、自民党ももっとしっかりとした、特にそのようなミサイル技術に関連する人々、そういう人たちの再入国の禁止等々、もっと厳しい制裁を科すべき。また、我々民主党もそのような案を拉致対策本部でまとめたところでございます。きちんと我々がやるべきことはやる。その上で、その上で国際社会にもっと強力に働きかけて、さもなければいつまでたっても私は拉致問題は解決しない。もうこれ以上御家族を待たせるということは許されないということを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  39. 風間直樹

    風間直樹君 民主党の風間直樹です。よろしくお願いいたします。  今日、まずミサイル発射についてお伺いをしたいと考えております。  今回、私、外交防衛委員会委員でもあるんですが、委員会審議を通じまして、この北朝鮮ミサイル発射に際して、日米同盟が果たして機能したのかという問題が余り議論されていないように思います。そこで、今日はまずこの問題から議論をさせていただきたいと思います。  発射からしばらく時間がたちまして、この発射に関する様々な国際社会の動きが徐々に明らかになってまいりました。そこで、一つ非常に私が違和感を覚えましたのが、今回のミサイル事案につきましてアメリカが余り強い危機感を実は有していなかったのではないかという事実であります。  去る三月二十九日ですが、ゲーツ国防長官がアメリカのフォックステレビのインタビューに答えてこのように表明をいたしました。今回は、そのミサイルがハワイなど米国領土に向かってこない限りはアメリカ側には迎撃の計画はないと、こういう発言をされております。この発言は、一見、確かにそうかもしれないなと思わせるものもあるんですが、ただよく考えてみますと、三月二十九日ですから、まだ北朝鮮ミサイルがどのような飛行経路をたどるか全く分かっていない状況であります。当然、日本領土に向かう可能性もこれは考えられるわけでありまして、在日米軍基地がひょっとすると攻撃される可能性もこの時点では捨て切れていない、そういう時点での発言であります。  同時に、四月七日の読売新聞の一面にこのような記事が掲載されております。米政府高官は外交関係者の集まりで、日本北朝鮮となると冷静になれないと本音を口にした。これと符合するように、ゲーツ国防長官は二十九日、北のミサイルが米領土をねらったものでない限り迎撃しない考えを表明、直後には防衛相に、日本の防衛大臣に冷静な対応を電話で促したと、このような記事が掲載されております。  そこで、外務大臣にお尋ねをしたいんですが、今回のそのミサイル発射、そもそも北朝鮮から受ける特にこのミサイルの脅威に対して日本米国との認識が異なるんじゃないかと。つまり、日本に対しては既にノドンミサイルが数百基配備されていると言われております。テポドンも日本を完全に射程に収めているわけであります。一方、米国から見ますと、テポドンはまだアメリカ本土には届かない。つまり米国は、日本とこのミサイルに対する脅威認識がかなり開きがある、このように感じるんですが、外務大臣はいかがお考えでしょうか。
  40. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今回は、我が国を始め各国北朝鮮に対しましてミサイル発射については自制を強く求めてきたにもかかわらず、北朝鮮ミサイルを強行したことは、まず大変遺憾なことでございます。  このミサイル発射につきましては、詳細といいますか、まだいろんなところが分析中ということでございますけれども、これまでの発射に比べまして飛距離が延びていることなどを踏まえますと、北朝鮮のこの大量破壊兵器のいわゆる運搬手段の強化、これを意味するということは明白であると思います。これは、地域及び国際社会の平和と安定、安全に対する脅威であると同時に、これはもう言うまでもなく我が国安全保障にとって大変重要な事態でございます。  この点につきまして、例えば、オバマ大統領が直接、発射直後の五日に外遊先のプラハで、委員も御承知のことと思いますけれども、テポドン2ミサイル発射安保理決議第一七一八号の明確な違反である、米国は北東アジアの安全と安定を維持することに完全にコミットし、そして六者会合を通じた朝鮮半島の検証可能な非核化に向け引き続き努力すると、そういう旨の声明を発出いたしますとともに、北朝鮮は安全及び尊重への道は決して脅威及び違法な兵器を通じて獲得されることはないと認識しなければならないと演説で述べるなど、米国我が国と同様の認識を有していると考えられるところでございます。  また、このような認識の下、日米間では当初から、今回の北朝鮮の行為が安保理決議違反であると、安保理が一致してできるだけ早く強いメッセージを出すべきだと、そういうような点ではずっと一致をいたしておりまして、緊密に連携をしてきたと私は言えると思います。二十四日に行われました日米首脳電話会談におきましても、オバマ大統領から、北朝鮮の今回のミサイル発射に関しまして、発射前から発射後に至るまで国連安保理の場を含めて日米間で緊密に連携できたことを評価すると、今後とも緊密に連携していきたい旨の発言があったところでございます。  我が国といたしましては、引き続いて米国を始めとする韓国また関係国と緊密に連絡を取りながら、また、六者会合やさらには日朝協議なども通じて、拉致問題のみならず核問題やミサイル問題などの解決に全力で取り組んでいきたいと、特に、具体的な行動北朝鮮から引き出すべく外交努力を積み重ねていきたいと、そういうふうに考えております。
  41. 風間直樹

    風間直樹君 今御答弁いただいた内容、まあアメリカの公式的な表明ですが、果たして本当にそうなのかなというふうに思います。  手元に四月十四日の産経新聞の古森義久さんの記事があるんですけれども、このような記述が出てまいります。海上自衛隊の元幹部の発言ということなんですが、日本側の日米安保関係者の間では、これまで北朝鮮中国ミサイルの脅威に日米共同で対処するミサイル防衛の重要性をさんざん強調してきた米国が、あっさりと米国領土に照準を合わせたミサイル以外は迎撃しないと表明したことは、日米同盟への背信にも等しいと憤る声も出たほどだったと。これは配付資料じゃありません、違います。これは私の手元資料で今御紹介をさせていただいていますが、こういう記事も出ております。  私、いたずらに日本とアメリカの溝を広げるようなことを言うのは控えたいというふうに思いますけれども、今回やはりミサイル発射に際して、アメリカが日米の連帯で発射を抑止するという姿勢を余り見せなかった。一方、中国やロシアを巻き込んでの多国間外交という姿勢をより強く打ち出したのではないかなという印象を受けております。  そこで、お手元の配付資料でありますが、これも産経新聞の四月二十六日日曜日、昨日の紙面であります。大臣のお手元に行っておりますでしょうか。  ここの四段目に、ちょっと線を引いたんですが、かなり本質的な記事が出ておりまして、読ませていただきますと、「後になって次第に判明したことだが、この日の会合は、」、この日の会合というのは、これは四月九日でしょうか。四月九日に、その日の夕方になって急遽召集された五常任理事国プラス日本国連の代表者の会合であります。これは「日本にとって決定的な転換点だった。決議追求で足並みをそろえていたはずの米国が主導する形で、中国にも配慮しつつ、一段効力が弱い議長声明で決着する案が諮られ、「あくまで決議を求める」との姿勢を崩さない日本は、いわばはしごを外された形になっていたのだ。」と、このように書かれております。  日本国連大使、高須大使でありますけれども、ふだん感情を表面に出さない高須さんが、この会合の直後、記者団に囲まれて経緯を聞かれたときに、感情をあらわにする形でこの会合の様子をそこで話をされて、それに記者団も驚いて、今後、会合はいつ予定されているんですかと、こう聞いたところ、大使が、アメリカ人に聞いてくれと。英文で言いますと、チェック・ウィズ・アメリカンズと、こう言わば言い残してその場を立ち去られたと、こういう紹介の記事であります。  これなどを見ましても、やはり今回、舞台裏では相当、日本とアメリカとの間に北朝鮮ミサイル発射の脅威に対する意識の広がりがあったのではないかなということを感じるわけでありますが、ここで一つ確認をさせてください。  日米安保条約では、両国の防衛協力日本に対する今回の北朝鮮ミサイル発射のような武力に対する威嚇を抑止することも目的としていると私は考えておりますが、そうした認識で間違いございませんでしょうか。
  42. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 我が国を取り巻くいわゆるアジア太平洋地域には、依然として、先ほどからお話ありますような北朝鮮の核とかミサイルの問題があります。また、これも御案内のとおり、大変急速でかつ不透明な形で進められております中国の軍事力の増強という問題もあります。またそのほか、大量破壊兵器やミサイルの拡散、これは国際的な課題でありますが、そしてテロ、海賊行為の多発といった、こういう国際社会に共通する大変重要な課題も存在しているわけでございます。  こういうような我が国を取り巻く安全保障上の環境の中で、我が国といたしましては、これも従来から政府方針でありますが、自らの防衛力を整備をしながら、現在の日米安保体制の下で米軍の前方展開を確保し、そして日米双方の総体としての抑止力をもって日本の安全を確保していくと、これが日本政府の基本的な方針でございます。  このような我が国をめぐる安全保障環境に日米同盟を適用させると、そういう観点から、日米の両政府は、今までの日米安全保障協議委員会過程で、例えば二〇〇五年の2プラス2におきましても未来のための変革と再編、これに合意をいたしまして、そして、この下で弾道ミサイル防衛、BMD等の分野において日米間の役割とか、また、任務とか能力を検討して安保体制の強化と、それから日米間の防衛協力を着実に進めてきたところでございます。このような日米両国の努力というのは、我が国の平和と安定というものを確保していく上でこれはもう欠くことのできないものでございます。  そういうことで、日米安保条約におきましてしっかりとした体制を組むということが一番大事だと、そういうふうに思っているところです。
  43. 風間直樹

    風間直樹君 大臣、実は今日は四時から官房長官の記者会見がおありになると、こういうことで私ども質問時間を短縮させていただいているんです。ですので、答弁も恐縮ですが短めにお願いしたいと思うんですが。  私の質問は、安保条約には今回の北朝鮮ミサイル発射事案のような武力による威嚇を抑止することも日米として目的としていると、こういう考えで間違いないですかという質問です。端的にお答えをいま一度お願いします。
  44. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども、安保条約において我が国安全保障、これをしっかりとした体制で確保するということになっておりますので、私は、安保条約におきまして今回のような事態というものもこれは抑止することを目的としていると、そういうふうに考えていいと思います。
  45. 風間直樹

    風間直樹君 ところが、今回、どうも日米安保条約上の抑止の効果というのは発揮されなかったのではないかという感が否めないわけであります。  そこで、改めてお尋ねをしたいんですが、この日米同盟が抑止力として機能するために、私は少なくとも二つの要素が必要ではないかと考えております。すなわち、米国が、まず日本北朝鮮からミサイル攻撃などの脅しを受けたとき、日米の連帯で発射を抑止する姿勢を示すこと、米国がですね。二点目に、やはり米国がですが、仮に日本が攻撃を受けた場合には、いわゆる相互確証破壊の理論に基づいて即座にかつ自動的に行動実施する、同時に、そのことを事前に明らかにしておく、この必要があるんじゃないかと思いますが、政府は、今回の北朝鮮ミサイル発射事案にかんがみて、オバマ政権移行後の米国に日米安保条約上のこうした責務を期待できるとお考えになっていらっしゃるか、あるいはそうでないか、お尋ねをいたします。
  46. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まず、我が国が武力攻撃を受けた場合には、これは日米安保条約の第五条でございますけれども、米国はこの安保条約に基づきまして対日防衛に係る義務を負っておるわけでございまして、政府といたしましては、米国がオバマ大統領の下でもまずこの義務を誠実に履行するということを確信をいたしております。  この点につきましては、例えば二月の日米首脳会談、それからヒラリー・クリントン国務長官と私との会談におきましても、オバマ大統領それからクリントン国務長官双方から改めて米国の核抑止を含む対日防衛に係るコミットメントの表明が明確にあったところでございます。  抑止の目的というのは、相手国に対しまして、仮に侵略を行えば耐え難い損害を被ることを明白に認識させることにより攻撃を思いとどまらせることにあると思います。  今も述べましたような首脳レベルにおきますこの米国のコミットメントの表明というのは、まさに、日本が攻撃を受けた場合には米国が必要に応じて打撃力を使用することを含めて対日防衛の義務を果たすという、そういう意思を事前に対外的に宣言をして、もって我が国に対する攻撃を未然に抑止するとの効果また意義を有するものでございます。  言うまでもなく、仮に我が国に対する攻撃の意思が示されるような場合に、日米連携の下にそれを未然に防止するため、外交を含めあらゆる必要な措置を講じますとともに、それにもかかわらず攻撃が行われる場合の対処行動について周到に準備、調整を行っていくということは当然のことでございます。米国がこのような対日防衛に係るコミットメントを効果的に果たす上で、米国の抑止力及び在日米軍の前方展開は極めて重要な役割を果たしております。  政府といたしましては、我が国国民の安全、これに万全を期するために、この日米同盟の抑止力の信頼性を一層向上させるべく、引き続いて、例えば弾道ミサイル防衛、これを始めとする日米協力を進めていく考えでございます。
  47. 風間直樹

    風間直樹君 今大臣より、二月ですか、クリントン国務長官との会談時に、いわゆる米国による日本防衛義務を確認されたという御答弁をいただきました。  さて、残り時間があと五分ほどでありますが、拉致問題に入りたいと思います。  先日、私は、アメリカの元国連大使でありますボルトン氏がテレビでインタビューを受けている内容を見ました。このボルトン氏の話が非常に印象的でありましたのは、北朝鮮の交渉プロセスのパターンというものを分析して、今後、オバマ政権下の米国に対してどういう交渉態度を取ってくるかということを明確に述べていた点であります。つまり、朝鮮戦争以来およそ六十年にわたって北朝鮮の交渉パターンは一貫して変わらないと。どういうふうに一貫しているかというと、アメリカの政権が替わるたびに、前の政権と交渉した同じ内容を次の政権に対しても交渉する。そして、それによって時間を稼ぎながら譲歩をしたように見せかけて、アメリカ側から、食料あるいは石油といった援助に関するアメリカ側の譲歩を獲得する。このパターンを繰り返しながら北朝鮮は核の開発を進め、現在では核の小型化が視野に入っていると。要約しますとこういう内容でありました。  思い起こしますと、我が国に五人の拉致被害者帰国をされたのが今から七年前、二〇〇二年であります。実は私、当時、新潟で県会議員をしておりまして、曽我ひとみさん、それから蓮池さん御夫婦が帰国をされましたので、新潟県を代表して羽田空港に迎えに参りました。当時、この委員会室にいらっしゃる、政府参与をお務めになっていらっしゃいましたが、中山参与と一緒に羽田空港でこの五人を迎えさせていただいたわけであります。  あのとき、じゃなぜこの五人を北朝鮮帰国させたのかということを考えてみますと、やはり国際情勢の大きな枠組みがあったと思います。つまり、当時、ブッシュ大統領が米国議会におきましていわゆる悪の枢軸演説を行いました。北朝鮮を含む悪の枢軸に対して、アメリカが非常に強い決意で臨むということを表明したわけであります。  その言わば北朝鮮に対する非常に強い向かい風の中で、当時の日本外務省の田中均アジア大洋州局長が小泉総理の指示の下、非常に積極的な外交交渉を行われた。実は、私はこの日本政府の外交交渉の中にアメリカ政府とは対照的な北朝鮮に対するあめがあったというふうに考えております。まだ確認はされておりませんが、当時、この田中さんが北朝鮮に対していわゆる覚書を提示して、この覚書の中には約百億ドルの経済援助を国交正常化以後に行うということが明記をされていたと、様々な資料で私は読んでいます。ただ、それが事実かどうかは分かりません。その結果、五人が帰ってきたと、こういう、簡単に言いますと構図があったと思います。  ところが、今日、先ほど河村官房長官も、更なる拉致被害者帰国に向けて、この問題の解決に向けて御努力いただくと、こういう御答弁をされたわけでありますが、では日本政府政府努力として、このときに比べて拉致被害者帰国を実現するような構図をつくり切れているかというと、私はなかなかそうではないのかなと思います。つまり、むちと同時にあめを両方駆使しながら北朝鮮に対して譲歩を迫る、この構図をつくり切れてないのではないかというふうに思うわけであります。  河村長官、私のこの認識に対してお考えございましたら、御答弁いただけますでしょうか。
  48. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 風間議員おっしゃったこと、ある面では非常に大事な指摘だろうと思います。  今、北朝鮮ミサイルを打ち上げたことによってかなり局面がああいう膠着状態になっております。そして、一説によれば、アメリカをいかに近づけるかという努力北朝鮮が払っているんではないかと、こういう話もあります。しかし、あの拉致の問題については、先ほど来御指摘のように、やっぱりこれは日本北朝鮮の問題であるという認識を持っておかなきゃいけません。最終的には日本自らが解決する姿勢が必要であります。  今いろいろ、かつての田中均さんのお話もございました。政府としてもいろんな情報があることは事実でございます。どれがどうと今ここでつまびらかにするような状況にはございませんが、そういう、今風間議員がおっしゃったような、このようなこともこれまであったということであれば、そういうことも一つの選択肢でありますし、いろんな角度からこの拉致問題を解決するように持っていかなきゃいかぬ。六者協議においても御案内のように油の支援等もあった。しかし、日本はこれに対しては強い態度で臨んでおります。  そのようなこともあって、まさに対話圧力といいますか、そういうものを駆使しながらこの拉致問題を解決したい、この思いを持っておることは間違いございませんし、今いただいた御指摘等も踏まえながら、あらゆるチャンネルを使って、また自らの努力もしながら解決の糸口を見出したいと、このように思っておるところでございます。
  49. 風間直樹

    風間直樹君 私は、やはり北朝鮮に対して実りある交渉を行うためには、日本政府としてむちとあめを用意する必要があるだろうと思います。それをつくり切れるかどうかが拉致被害者帰国を実現できるかどうかに懸かってくると思います。政府においても御検討をいただきたいと思いますし、我々もそこに知恵を絞っていきたい。  同時に、最後に一言申し上げますが、やはりこの間、北朝鮮の交渉にずっと米国日本も付き合ってまいりましたが、その間ずっと北朝鮮は核開発を進め、小型化を実現する一歩手前に来ていると思います。先日、自民党の筆頭理事の山本一太先生ともお話をいたしましたが、やはりこの小型化が実現した暁には、既に運搬手段たるミサイルは用意されているわけですから、我が国の防衛環境は根底から覆る、このような脅威を非常に強く感じております。これに対して私どもがどう対処していくのか。私は、そろそろ政府立場で、これまでの守勢一方ではなく、一定の抑止力になる手段を検討されるべき時期に入ったのではないかと、こういう認識を持っております。今日は時間が足りませんので、また後日、この点の議論はさせていただきたいと思います。  ありがとうございました。
  50. 山下芳生

    山下芳生君 日本共産党の山下芳生です。  北朝鮮がロケットを発射したことは、北東アジアの平和と安定に緊張をもたらすおそれのあるものであり、我が党は北朝鮮に強く自制を求めてきた経緯からいっても極めて遺憾だと考えております。  その上で、さきの国連安保理での議長声明は、第一に六か国協議を支持し、早期再開を求めていること、第二に事態の平和的、外交的解決の希望を表明し、対話を通じた平和的、包括的解決を促進するための安保理理事国及び他の加盟国の努力を歓迎することなどを盛り込んでおり、おおむね冷静で理性的な内容だと考えております。また、北朝鮮が六か国協議からの離脱を表明したのは間違った態度であると考えております。  その上で外務大臣に伺いますが、国際社会にとって今何よりも重要なことは、北朝鮮の核兵器開発を終わらせ、朝鮮半島の非核化を図るという中心課題に外交努力を集中することであり、その外交的解決の最良の場である六か国協議を一日も早く再開させるために努力することだと考えますが、外務大臣認識を伺いたいと思います。
  51. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 四月の十四日でしたか、国連安保理議長声明を発出をしたわけでありまして、この議長声明には、今委員が御紹介いただきましたように、安保理メンバーの総意といたしまして、六者会合早期再開を要請すること、そして共同声明完全実施のための努力強化を求めること、また今お話ありましたように、平和的及び外交的解決への希望も表明して、対話を通じた努力をするようにということが規定されておるわけでございます。  北朝鮮外務省はこれに対しまして、御案内のとおり、六者会合には参加しないとか、あるいは使用済み燃料棒を再処理するといったような立場を表明しているわけでありますが、政府といたしましては、北朝鮮との諸課題の解決のためにはやはり六者会合は最も現実的であると、そういう枠組みであるという考えには変わりはございません。  したがいまして、北朝鮮が今回の議長声明を重く受け止めて、そして六者会合に復帰することを求めたいと、そういうふうに思います。  具体的にどのような形でこの六者会合再開するかということにつきましては、中国が議長国でございますが、議長国を中心に、米国韓国、またロシア等と緊密に連携をして取り組んでいきたいと、そういうふうに思っております。
  52. 山下芳生

    山下芳生君 次の質問は、事前に通告ができなかったんですが、外務大臣官房長官に伺いたいと思います。  その議長声明は、すべての加盟国に対して、安保理決議一七一八号の下での義務を完全に遵守するよう求めております。  私は、六か国協議の早期再開に向けた外交努力を図る上で重要なことは、まさに、この一七一八号決議の十三項に明記されております六か国協議のすべての関係国が、外交努力強化し、緊張を悪化させるおそれのあるいかなる行動も差し控えるという点についても、文字どおり日本政府も遵守することだと思いますが、外務大臣、まずお考えいかがでしょうか。
  53. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まさに今委員がおっしゃいましたとおり、安保理のこの議長声明には、すべての加盟国がこの一七一八号の義務を完全に遵守するよう要請するということでございますので、これにつきましては、大変重い今回の内容議長声明でございますので、加盟国に対して我が国からもこういうような働きかけをする必要があると思っております。
  54. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 安保理議長の声明というのはまさに国際世論の声であると、私はこのように北朝鮮は受け止めなきゃならぬと思っております。  そういう意味では、あの制裁事項も合意ができたわけでありますから、関係各国はこれをきちっと遵守していく、日本は既にそれをやっておるわけでありますが、各国がこれをきちっとやるということは非常に大事なことだと、このように考えております。
  55. 山下芳生

    山下芳生君 ちょっと外務大臣、もう一点確認しますけど、加盟国に呼びかけるというのはもちろんなんですが、日本政府も遵守すべきだという立場はいかがでしょうか。
  56. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まさに、我が国安保理の非常任理事国でございますし、一七一八号につきましては、当然のことながらこれは遵守しなければならないと、そういうふうに思います。
  57. 山下芳生

    山下芳生君 続きまして、国民の安全を考える上で一番の基本は、絶対に北東アジアで戦火を起こしてはならないということだと思います。そのために今最も重要なのは、北朝鮮の核兵器開発を平和的な交渉でやめさせ、朝鮮半島の非核化を図ることだと思います。  ところが、今回の事態を受けて、自民党などから、日本も核を持つという脅しぐらい掛けないといけないとか、日本独自で北朝鮮の基地を攻撃できる能力をなどといった軍事対応論が聞かれました。  官房長官に伺いますが、政府はこうした考えを是とするんでしょうか。
  58. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 我が国が、いわゆる非核三原則によって、政策上の方針としては一切の核兵器、これを保有しない、この原則がございます。これはもう堅持してきておると。また、原子力基本法及びNPTによって一切の核兵器を保有しないということでやってきておるわけであります。  また、政府は従来から、日本にとって急迫不正な侵害が行われる、その手段として、我が国国土に対して誘導弾等により攻撃が行われたような場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ないような必要最小限度の措置をとること。例えば、誘導弾等の攻撃を防御するのに他の手段がないと、こういうような場合に敵の誘導弾基地をたたく、このことそのものは法理的には憲法が認める自衛の範囲に含まれると、こういう解釈、こういう考え方を取ってきております。  しかし、今、現時点、現実の自衛隊の装備体系の在り方としては、従来から敵基地攻撃を目的とした装備体系の保有は考えておりません。日本としては、日米安保理体制の下で日米間の適切な役割分担によって我が国の平和と安全を期すると、こういうことでやっております。  いずれにしても、日本としても、今後とも、アメリカを始めとする関係国と密接に連携を取りながら、北朝鮮側から諸懸案解決に向けた具体的な行動を導き出す、これに取り組んでいく、こういう考え方に立っております。
  59. 山下芳生

    山下芳生君 北朝鮮は、過去の国際的な無法行為を清算していないという問題点を持っている国であります。だからこそ、一層日本は冷静で道理ある立場を厳格に貫く必要があると考えます。こうした立場を欠いたやみくもな制裁強化論や軍事対応論は、日本のよって立つ立場を失わせ、事態を悪化させるだけだと考えるものであります。  私は、核・ミサイル開発の推進といった行為を繰り広げる北朝鮮に対しては、国際社会が一致して核兵器開発の放棄を迫ることこそが一番厳しい対応だと考えますが、官房長官、いかがでしょうか。
  60. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 国際社会が一致して核開発放棄を迫る、このことは北朝鮮に対して一番強いまさに圧力になると考えます。そういう意味で、四月十四日国連安保理議長声明、これは安保理の総意として、国際社会の世論として、すべての核兵器及び既存の核計画を完全かつ検証可能な形で放棄すること、それから弾道ミサイル計画に関するすべての活動を停止する、いかなる弾道ミサイル発射もこれ以上実施しない、この決議、この義務を完全に遵守しろということを明確にしておるわけであります。  これに対して北朝鮮側は、六者会合に参加しない、あるいは使用済核燃料棒を再処理すると、こういうようなことを言っておるわけでございまして、このことは今のまさに国際社会に背を向けることになる、そのことが北朝鮮にとって本当に国際社会の中で生きていく上でこれでいいのかという、この国際世論にどのようにこたえていくかということを我々がきちっと強く求めていくことが必要だと思います。  そういう意味で、日本としても、関係国との連携国際社会との連携、これがますます大事になってまいりますし、国際世論として、それをバックにして北朝鮮に対して諸問題の解決に全力を挙げていく、こういう覚悟でございます。
  61. 山下芳生

    山下芳生君 最後に、拉致被害者等給付金支給について、その果たしている役割をどのように考えているか、官房長官に伺いたいと思います。
  62. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 拉致被害者等給付金、これは北朝鮮当局によって拉致された被害者の皆さんの支援に関する法律がございます。これによって帰国被害者自立被害者方々自立を促進をして、そして生活基盤の再建又は構築に資するために、帰国被害者及びその御家族に対して支給されてきたところでございます。その御家族帰国被害者の皆さん方は、給付金のほかにも支援法及び政府の総合的な支援策に基づいて、関係省庁、地方自治体と密接に協力連携を取りながら生活相談や職業訓練などを実施されておる、こういうことでございます。  現在も帰国被害者方々は多くの困難を抱えておられますけれども、地域の方々の善意にも支えられながら地方自治体やまた大学で勤務される、こうしたことで直接、間接、着実に自立の道を歩んでおられます。お子さん方も就職をされている、あるいは大学で勉強されている。このような政策が一応の成果を生んでいる、効果を果たしている、このように考えておりまして、この拉致被害者等給付金支給がそのような役割を果たしてきておると、このように考えております。
  63. 山下芳生

    山下芳生君 その給付金支給が、御存じのように二〇一〇年三月末に支給限度の五年を迎えます。しかしながら、二十四年間、日本における生活基盤を失ったことによる拉致被害者家族の皆さんの困難は大きいものがあります。給付金が期限を迎えることについて政府はどのように考えているのか。  先ほど、官房長官発言では、引き続き必要な支援を行ってまいりますとお述べになりましたが、給付金支給期限の延長もその中に含まれるんでしょうか。
  64. 河村建夫

    国務大臣河村建夫君) 御指摘のように、この給付金平成十七年四月から五年を限度としておりますから、支給期限が二十二年三月になっております。この果たしてきている役割は今述べさせていただいたところでございますが、当時、五年というのが被害者の皆さんが自立される上で必要な一つのめどであろうということで、総合的に判断をして、考慮して決めたというふうに聞いております。  政府としては二十二年の四月以降どうするかという問題でございますが、総合的な支援策等は引き続き取りたい。それから、帰国被害者方々の御意見、御要望、そういうのを伺いながら、必要な見直しも含めながら、今御指摘の点も含めながら適切に対応してまいりたいと、このように考えております。
  65. 山下芳生

    山下芳生君 終わります。
  66. 藤田幸久

    委員長藤田幸久君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時四十分散会