運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2009-06-18 第171回国会 参議院 文教科学委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月十八日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      平山 幸司君     横峯 良郎君      西田 昌司君     岸  信夫君      山下 栄一君     松 あきら君  六月十七日     辞任         補欠選任      那谷屋正義君     相原久美子君      岸  信夫君     西田 昌司君      中曽根弘文君     神取  忍君      義家 弘介君     森 まさこ君      松 あきら君     山下 栄一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中川 雅治君     理 事                 佐藤 泰介君                 鈴木  寛君                 関口 昌一君     委 員                 相原久美子君                 青木  愛君                 大石 尚子君                 神本美恵子君                 亀井 郁夫君                 友近 聡朗君                 西岡 武夫君                 藤谷 光信君                 横峯 良郎君                 神取  忍君                 西田 昌司君                 森 まさこ君                 山内 俊夫君                 浮島とも子君                 山下 栄一君    衆議院議員        修正案提出者   池坊 保子君    国務大臣        文部科学大臣   塩谷  立君    副大臣        内閣府副大臣   増原 義剛君        文部科学大臣  山内 俊夫君    事務局側        常任委員会専門        員        渡井 敏雄君    政府参考人        内閣大臣官房        審議官      西川 泰藏君        文部科学省高等        教育局長     徳永  保君        文部科学省科学        技術・学術政策        局長       泉 紳一郎君        文部科学省研究        振興局長     磯田 文雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日までに、平山幸司君、中曽根弘文君、義家弘介君及び那谷屋正義君が委員辞任され、その補欠として横峯良郎君、神取忍君、森まさこ君及び相原久美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、文部科学省高等教育局長徳永保君外三名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 鈴木寛

    鈴木寛君 民主党・新緑風会・国民新日本鈴木寛でございます。  独立行政法人日本学術振興会法の一部改正案について質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭、大臣にお伺いをしたいと思いますが、この法律は、いわゆる補正関連法でございますが、衆議院で私どもは、これは共同会派提案でございますけれども修正をさせていただいた上であえて賛成に回らせていただきました。参議院におきましても、今日の質疑が充実した、そして納得のいく答弁が得られればそういう方向で対応ができるものというふうに考えております。補正予算につきましては私どもは様々な問題点がありますので反対をさせていただきましたが、この部分についてはきちっと党内でも議論をし、そして、このところはやはりこれからきちっと推進をしていくべきテーマでもありますので、この法案については、もちろん問題の点は直させていただいて、それは衆議院で直していただいたということ、そういう建設的な議論を重ねて、そして与野党賛成をしていこうと、こういうふうな議論党内でもあるいは与党の皆さんともさせていただいて今日の審議に至っているわけでありますが、こうしたことを今の麻生内閣はどのように受け止めておられるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  7. 塩谷立

    国務大臣塩谷立君) 今回の補正につきましては、麻生内閣としても現在の経済状況を深刻に受け止めて、本予算を策定した後、更なる厳しい状況から、そして将来に向けての我が国在り方等も含めて今回補正を組んだわけでございまして、できればすべてにおいて御賛成いただければという願いで、これも緊急的な経済対策あるいは将来に向けての投資も含めて、内閣として今必要だということで私ども判断してやっているわけでございまして、是非御理解を賜りたいと思っているところでございますが、そういう中で、この法案につきましては賛成いただいたということは大変感謝もし、また、しっかりこの問題には取り組んでいかなきゃならぬと決意を新たにしているところでございます。
  8. 鈴木寛

    鈴木寛君 この今回の法改正は、昨年、私ども、そして自民党の林芳正参議院議員、そして公明党の斉藤議員共同でいろいろな作業をさせていただきまして、研究開発力強化法という法律議員立法で、これも与野党で成立をしていただきました。  その中で、研究開発力強化をしていかなければいけない、そのために必要な資金あるいは年度を超えて使い勝手のいい研究費交付在り方と、こういう議論をさせていただいて、そして法律もできて、その精神といいますか、その考え方に沿った第一弾ではないかなと、こういうふうにも理解をさせていただいているところでございます。  その中で、特に昨年も重要であるというような議論をさせていただきましたけれども、最先端の研究支援とそして若手研究者支援と、この両方の観点から、それぞれ二千七百億円、三百億円の基金を積むと。基金でありますから、予算の単年度主義の弊害をある程度、何といいますか、解決できますということでございますので、そういう意味ではその方向に沿ったものだというふうに理解をし、評価もさせていただいているところでございます。  そこで、今日は、改めて我が国研究開発力というものがどうなのか、大丈夫なのかという観点から質問をさせていただきたいと思いますが。  お手元の資料の四と五を御覧いただきたいわけでありますけれども、昨年も議論をいたしましたけれども情報環境生命科学ライフサイエンスと、この三つは非常に重要なとりわけ研究課題研究分野だと、こういう議論はこの間ずっとされているわけですけれども、その中で特にライフサイエンス、これがやっぱり日本はなかなか諸外国に比べて基礎研究応用研究も非常に脆弱といいますか、更なる振興が必要だと。情報などにつきましては、例えば応用、あるいは環境についても応用、ここは民間企業がかなり担っていただいておりますので、もちろん情報環境についても基礎研究については更なる支援が必要だと認識しておりますけれどもライフサイエンスについては基礎応用臨床も相当てこ入れをしていかなければいけないなと、そういう議論をさせていただきました。  そういう中で、資料の四でございますけれどもライフサイエンス中核を担う医学論文でございますが、これ、二〇〇四年以降、日本は一〇%ぐらい減っているわけですね。世界全体は七%ぐらい増えていると。まさに、今でも更に強化をしていかなければいけない臨床あるいは生命科学分野医学分野研究、これ基礎も含めてですけれども、のところが、ここへ来てまた水を空けられていると。  このことは大変に憂慮すべき事態だと思いますし、かつまた、その理由は何かということを見てみますと、資料の五でございますけれども、結局、医学研究中核を担う大学の医学部あるいはその附属病院、この教員あるいは教職員の皆様方診療時間が極めて多忙になっているがために、例えば平成二十年で申し上げますと、診療時間が増加したとお答えになっておられる、これは国立大学協会のアンケートでございますけれども、六六・七%の方々が増えたと。そして、教育は、教育もこれは問題なんですけれども、減少したという人が二四・四%います。結局、診療時間の増加のしわ寄せ教育の減、さらには、決定的に効いておりますのは研究時間、研究時間が減少したという方が七七・八%と、こういう状況でございます。  このことが先ほど医学論文の、世界はどんどん伸びている中で、七%も伸びている中で日本は一〇%下がってしまうと、こういうことにつながっているわけでありまして、まず前半は、大学附属病院、とりわけ国立大学附属病院が今置かれている状況について少し議論をさせていただきたいと思います。  私は、今、国立大学病院は、これはトリプルパンチというふうに言わせていただいているんですけれども、そういうふうな状況にあるんじゃないかと。つまり、まず二〇〇四年に国立大学国立大学法人になりました。法人化によって、後で詳しくお伺いしたいと思いますが、まず膨大な長期債務を抱えたと。その元利償還ということを負っていかなければいけない、国立大学法人が。そして、と同時に、交付金が、五百八十四億円あった国立大学病院運営費交付金が二百七億円、まさに三分の一に減らされてしまったと。このまさに国立大学法人化に伴って、法人化がいけないんじゃないんですけれども法人化をきっかけとして債務を負わされ、そして交付金を減らされると。これが第一のショック。  それから二つ目は、診療報酬も減らされました。これは四度にわたる診療報酬マイナス改定がありまして、つまり、二〇〇二年にはマイナス二・七%、二〇〇四年にはマイナス一・〇%、二〇〇六年にはマイナス三・一六%、二〇〇八年にはマイナス〇・八二%で、実に四回にわたる診療報酬マイナス改定で約一割弱の診療報酬水準が下がっているわけです。これはもとより国立大学附属病院にも同じ影響。さらに、大学病院というのは大変に高度な医療をやっていますから、そういう意味での打撃は一割を超える診療報酬減と、こういう影響を受けているというふうに思います。  そしてさらに、この診療報酬改定でもって様々な影響が生じておりまして、診療報酬改定の結果、他の病院がどんどんどんどん医療機能を縮小をいたしております。  例えば救急で申し上げますと、二〇〇一年、四千三百四十七か所あった救急医療機関が二〇〇七年には二百十八か所減って四千百二十九か所に減っていますし、したがって救急大学病院が負わなければいけない役割というものが増えてしまった。あるいは公立病院は、これは公立病院改革ガイドラインというものが二〇〇七年に出まして、その結果、公立病院どんどん縮小しております。都立病院も十四あったのを七に減らすとか、あるいは八百三十七の公立病院のうち、診療報酬改定等々もありまして八〇%が赤字になってしまった結果、全体の一九%に当たる百五十九病院が統廃合、再編、あるいは十二病院民間譲渡、十病院指定管理者制度になり、十八病院診療所化したということで、公立病院も崩壊していると。銚子市民病院事例あるいは岩手県の事例というのは皆様方もよく御承知のことだと思います。そのこれまたしわ寄せ国立大学、あるいは私立大学も含めて大学附属病院に来ていると。  それから、三つ目でございますが、それはまさに行政改革推進法国立大学人件費、これに対して五%のカットが掛かっています。私どもは、先ほどこの参議院文教科学委員会に提出させていただいた、公的教育機関人件費を削るという行革推進法のその条文を削除しろという法律を提出させていただいて、可決していただきました。あれは主として、公立も入りますけれども、あの中の条文には国立も入れておりますから、国立大学の定員についても私ども法律ではここは削除させていただいているわけでありますけれども、いずれにしても行革推進法人件費削減になったと。  後でまた詳しく申し上げますけれども人件費削減でもってどんどんどんどん国立病院医師の立ち去りというものを促進をさせたと。それから、加えて、二〇〇四年から導入をされました新臨床研修制度でございます。結局、それまで五千九百二十三人いた研修医の在籍が、現状で申し上げますと三千五百九十一人ということで、実に二千五百人もこの新臨床研修制度の発足によって大学から物理的に人がいなくなってしまったと。  こういうまさにトリプルパンチの下で国立大学病院大学病院が大変な状況にあるということであります。結果、二十代の大学病院勤務医師平均の一週間の病院滞在時間というのは何と八十四時間、平均が八十四時間ですから、ということが医療崩壊につながっているということでございます。  これまでも予算委員会などで御質問をさせていただきましたけれども、改めて伺いますが、この国立大学病院運営費交付金、これ三分の一に減ってしまったと。まさに大学附属病院というのは、地域医療を守り、そして人を育てる、極めて重要な役割を本当に担っていただいているわけで、ここに対しての運営費交付金をやはり私は二〇〇四年の水準に少なくとも戻すべきだというふうに思っておりますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
  9. 塩谷立

    国務大臣塩谷立君) ただいま御指摘大学附属病院運営費交付金につきましては、効率化を求める観点から、毎年度経営改善によって二%の病院収入増額を求めておりまして、その当該増額分をあらかじめ交付金から減額するという仕組みとなっておりまして、先ほどお話ございましたように、平成十六年から二十一年までの間に三百七十七億円の減少をしているところでございます。さらには、診療報酬減額改定、これもお話ございましたとおりでございまして、現在、国立大学病院では大変厳しい経営状態になっていることと認識をしております。  このために、今年度補正予算においては、緊急的に例えば放射線治療救急医療のための診療用設備整備、これは三百億円でございます。また、NICU等周期医療のための診療用設備二十六億円、医療補助職員看護助手等新規雇用経費国公私全体で三十億円を計上して支援をしているところでございますが。  やはり運営費交付金につきましては、今後、第二期の中期目標期間、これは国立大学法人に対する運営費交付金算定方法をこれからどうするかということで検討を始めておりまして、私どもも、この国立大学病院運営費交付金についても大変な危機感を持っているところでございまして、交付金総額の確保に努めるとともに、算定方法検討、これに当たってしっかりと今後対応していきたいと思っているところでございまして、国立大学病院が、教育研究あるいは診療の場として機能を十分に果たせるように今後とも支援を充実させていく方向検討してまいりたいと考えております。
  10. 鈴木寛

    鈴木寛君 今お話がありましたが、この人件費部分が三十億というお話でございました。これでは全然足らないですね。後でNICUの話はもう一度申し上げさせていただきたいと思いますが、これ、大学附属病院が大変だということは、これは診療科の偏在の加速にも大きく影響をしておりまして、つまりは、例えば二〇〇三年には日本外科学会への入会者が千二百四人でございましたが、二〇〇六年には八百六十三名、実に三割減っているんですね。日本外科学会は、このままいくと二〇一五年には一人も新しく外科医にならないと、こういうことを発表をいたしております。  これは、まさに医学生あるいは研修生がこの大学病院で、外科、あるいは産科もそうです、産科はもう全体の産科医が一割ぐらい減っていると、こういうことでありますから、こういう小児だとか外科だとか産科だとか救急だとか、こういう惨状を見ているがために、本来、今の診療科というのは非常に、命を助け、まあお医者さんという仕事はすべてそうでありますけれども、とりわけ救命の、あるいは救急の極めて重要な仕事で、やりがいも他の診療科に比べて決して劣るものではないけれども、余りにも過酷で、このままでは自分自身が燃え尽きてしまうと、こういうことでありますから、やはりそういう観点からも、この大学附属病院就業環境というものは何とか改善していかなきゃいけない、そのためにやはり人員というものはきちっと手当てをしていかなければいけないというふうに思っております。  現に、これ、今公立病院の閉鎖の問題はメディア等々でも報ぜられるようになってきましたけど、私、このままいくと次は大学病院だと思うんですね。といいますのは、今でも運営費交付金減額をされていて、三八%の大学附属病院赤字ですよね、実質赤字ですよね。とりわけ、この四十二附属病院中六病院業務欠損が発生しておるわけです。この六つの大学は本当にもうぎりぎりと、こういう状況です。市立病院がつぶれてもその医療圏はもちろん大変でありますが、最後最後のとりでの大学病院がつぶれれば、その圏あるいは、何というんでしょうか、東北地方だったら東北地方九州地方だったら九州四国だったら四国、もうそのブロック自体がおかしくなってしまうということでございます。  ですから、やっぱりここの重要性というものは是非、文科大臣は御理解いただいていると思いますが、少なくとも麻生総理は全く御理解いただいてないと思いますので、きちっと改めて関係大臣にこの共有をしていただきたいというふうに思いますし、それからもう一つは、先ほど業務欠損が六病院ということでありましたが、長期借入金、さっき申し上げましたように二〇〇四年で法人化されて長期借入金償還も負わされましたので、それをカウントしますと十六の附属病院実質赤字と。さらには、これは新しい新規設備投資は入っておりません。しかし、大学病院役割を果たすためには新規設備投資もしなければいけない、人員も増やしていかなければいけないと、こういうことになりますと、ほとんどの病院が極めて厳しい財政状況にあるということだと私は理解をいたしております。  そこで、今申し上げました長期債務、二〇〇四年から突然負わされてしまった長期債務でございますが、これ、どれぐらい今あるんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  11. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 国立大学病院長期債務につきましては、もうこれは実は法人化の後に言わば負わされたということではなくて、言わば国立学校特別会計時点におきましても、国立学校特別会計全体として各病院が行う施設整備あるいは新たな大型の診療設備購入等につきましては長期借入れを行い、これを、言わばすべての国立大学附属病院が一括して債務を負っているという姿を負っていたわけでございます。その時点での債務がおよそ一兆円ございました。これについては現在、六千二百四十五億円まで減っているわけでございます。しかしながら、一方で十六年度末から言わばまた新しくそれぞれの大学で再開発施設整備を行っております。こういう法人化後に新たな投資のものが三千百三十九億円ございまして、総計で九千三百八十四億円となっております。  確かに、以前でありますれば、すべての大学で全体として一体となってこれを負担をし、これを返済をしていたものが、法人化時点で突然個別大学別にそれぞれ債務が負わされてしまったということについては、若干その債務在り方として不公平であるというような御指摘もいただいております。こういったことについては十分認識をしているわけでございますが、私どもとすれば、こういったことも踏まえまして運営費交付金というものをこれまで措置をしてきたわけでございます。
  12. 鈴木寛

    鈴木寛君 この長期債務の問題は、運営費交付金の充実とともに、長期債務をやはりどれだけその負担をやっぱり軽減するのかと。あるいはその負担を、もっと国立大学附属病院で負っていくということではなくて、まさに地域中核、あるいはまさに人材を育てるのは大学附属病院ですから、そういう観点から改めて私どもはその長期債務軽減、抜本的な軽減について考えるべきだというふうに思っておりますので、そこは是非改めて御議論を、御検討をいただきたいと、こういうふうに思います。  それで、資料の二を御覧いただきたいんですけれども、結局、診療報酬改定で何が起こったかということなんです。結局、これは一番上の米印の線がありますが、これは資格を持っていないあるいは資格を必要としない医療機関での従業員従事者数でございます。つまりは、診療報酬改定病院収入が減りました。今や一割ぐらい減りましたと。一方で、看護師さんは七対一看護とか、あるいはお医者さんはちゃんとその病床数に応じてお医者さんは何人以上確保しなきゃいけないということがこれは決まっていますから、そうするとそこは減らせないと。  そうするとどうなるかというと、結局、そういうふうな規制のない職種、しかしこれもチーム医療の中で極めて重要な役割を担っている職種でありますが、その職種方々を切らざるを得ないと。したがって、これが約十万人ぐらい雇用を削減されているわけであります。この中には、まさに看護補助をしていただいた方々とかあるいはそのお医者さんや看護師さんたちの、特にお医者さんですが、いろいろなそのドキュメントワークといいますか、文書作成とかあるいはそのカルテ管理の手伝いとか、そういう極めて重要なお手伝い、医師の直接的なサポートをしていた、いわゆるクラークと言っていますけれども、そういうクラーク、そうした方々がここでばさっと切られちゃったわけですね。  そうすると、医療崩壊がなぜ起こっているかというと、今までこの看護補助さんのやっていた仕事看護師さんがやらなきゃいけなくなってしまう、あるいは今まで医療クラークの方にお願いをしていた仕事医師自らがやらなければいけない、あるいはその玉突きで、今まで看護師にお願いしていた仕事医師自らがやらなければいけないという中で、医師の多忙が更に悪化して、そして医師の立ち去りにつながっていると、こういうことでございます。  私は、国立大学あるいは大学附属病院立て直すためには、きちっとやっぱり医師数コメディカル数あるいは職種別の人数あるいはその平均年齢あるいは勤続年齢あるいは給与、そして、それぞれの診療科別にどういうチームが必要で、どういう医療をやっているのかという辺りをきちっと把握をして、そしてこの大学病院の問題についての議論をしていきたいということで、今どういうふうに文科省はその実態を把握しておられるんですかということを伺ったんですけれども、余り私が求めていたものを全部いただけたわけではないんですが、これちょっと、今どうでしょうか。あるいは、今後きちっとそういうところを把握していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  13. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 御指摘のように、私どもとして、四十二の国立大学附属病院全体について、言わばそこで雇用されている職種の全体について詳細なデータがないということは御指摘のとおりでございます。  ただ、個別の大学の様々な例をお聞きいたしますと、およそ例えば六百床程度、言わば俗に言う新設医大と言われたところの病院でございますが、こういったところでは、大体一千名強の職員のうちコメディカルのスタッフが六百六十七、六百七十名ぐらいでおよそ三分の二と。あるいはまた、四十二の国立大学附属病院全体においては五七%というようなことは承知をしております。  ただ、具体的にそれが、先生御指摘のように、平均年齢でございますとか、具体的にそれがどういう雇用形態でそれぞれについてどういう処遇がなされているかといったことについては把握していないわけでございます。  これまで私ども法人化して以降、各病院の実態を聞くために各大学病院の院長先生に来ていただいて、私どもの担当審議官のところでじっくりきちっと情報交換をするというようなことで把握に努めてまいりましたが、今後そういったことについてもきちっと把握をするという方向で少し、それぞれの具体的などういう形で把握ができるのか、どういうことが必要な情報なのかといったことについて検討していきたいと思っております。
  14. 鈴木寛

    鈴木寛君 それは本当にきちっとやっていただきたいと思います。  それから、やっぱり国立大学財務センターというのがあるわけで、まさにそこがその長期債務あるいは債務管理のことを大学と協力してやっておられるわけですから、当然その債務管理をする以上、そのそれぞれの大学病院がどういう経営状況になっていて、そのコスト構造がどうで収入構造がどうでということを把握するのは、少なくとも国立大学財務センターというのはこれ当然の仕事だと。そこからやはり文部科学省が必要に応じてそういった情報なりデータなりというのはこれはきちっと共有しておかないと、運営費交付金を増やしてくださいという財務省への要求も私はできないと思いますし、やっぱりそういう体制だから、ちょっと口幅ったい言い方ですけれども、三分の一切られちゃったということも大いに反省をしていただいてですね。  それから、今六百床当たりで職員が千名というお話ありましたけれども、これも例えば国際比較をするともう全然足らないわけですね。今私のところにボストンの非常に高度な医療機関のデータがありますけれども、そこは三百床です。そこで職員全体が二千人ぐらいいるんですね。六百床ということは四千人ですよね。そうすると、アメリカだと六百床の病院やるのにやっぱり四千人。日本は千人と。こういう状況でやっているわけですから、それはやっぱりこれ多忙になるのは当たり前で、アメリカでは四千人でやっているところを日本では千人でやっていると、こういう実態。あるいは、とりわけその場合に、アメリカの場合は、例えば今六百床の事例を挙げられましたから、やっぱり七、八百の医師は要るんじゃないでしょうか。  というようなこともきちっと把握をしながら、やはり私どもは先進国ですから、その先進国並みの医療、特に高度医療地域医療というものをやっぱり推進していくためにはどういうふうな体制が必要で、そのために必要な経費はどうかということは、やはりきちっと把握をしていただきたいと、このように思います。  そういう観点で、昨年の末に文部科学大臣NICUの問題意識をいち早く厚生労働省よりも持っていただいて、そのことにメッセージを発していただいたことは私は評価します。  しかしながら、それの中身ですよね。周産期医療環境整備事業というのをやっていただきましたけれども、あるいは冒頭大臣からも御説明がありましたけれども、結局ハードなんですね。もちろんハードも必要です、ないよりはあった方がいい。しかし、今一番重要なのは人をどうやって確保するかと。特に、NICUの場合はこの新生児科医という人たちをどうやって確保するかということが極めて重要で、手元に、例えば総合周産期母子医療センター、これを大学病院にもやろうと、こういう構想であられたかと思いますが、今の総合周産期母子医療センターというのはもうすごいですよ。これはある県の私の手元にある資料です。経験年数十七年の医師の時間外勤務時間ですよ、時間外勤務時間。二百十五時間、十七年目の人が。それから、一年目の人も百九十二時間とか二百六時間とか。いずれにしても、もう若い人もベテランも中核も、時間外だけで二百十五時間とか、そういったのが新生児科医の勤務実態でございます。  こうしたことをきちっと踏まえた上で、そして限られた人材をどういうふうに有効に活用していくのか。そして、もちろん総合周産期の機能強化するということは重要ですが、そのためにはいろいろな個別の県の状況を踏まえて、そしてまず国がやるべきは人材、人件費の確保、ここに私はプライオリティーがあるんじゃないかなと、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  15. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 御指摘のように、NICU整備ということに関してきちっと人員を確保する、特にまたそういったことに関して習熟した人を確保するということは、診療を行っていく上で大変必要だと思っております。私どもの方といたしましても、この額につきましてはまた少ないというおしかりを受けるかもしれませんが、この二十一年度当初予算におきましてもこういう人材育成経費として七億円を計上しているところでございます。  あるいはまた、その国立大学の運営交付金の中で、先ほど病院運営交付金とは別な一般の交付金の中で、そういう様々な病院人員確保等に使える経費として全体で七十億円程度の予算を確保しているわけでございます。  一方で、具体的にそういう修練した方をどういう形で確保するのかということにつきましては、これまで既にNICUを設置をし、また成功している病院の例をお聞きいたしますと、やはり院内の小児科医を登用すること、あるいはまた関連施設で研修に派遣をする、そういう形でその方をまた登用し、その当該施設には交代の医師を派遣をする、あるいは公募等により行うということでございます。  あるいはまた、大学病院におきましては、言わば大学病院の中で完結をして診療を行うというだけではない、地域の周産期医療機関と連携をいたしまして、言わば地域産科医大学病院がそれぞれの役割を果たしながら連携して患者を特に必要な場合には受け入れるという形で、オープンシステム、言わば地域医療機関大学が一体となった医療という形で取り組んでいる例もあるわけでございます。こういう形のこともそれぞれの大学には工夫を求めていきたいと思っております。  しかしながら、やはり中長期的には、何といっても大学病院におきましてNICU整備をし、その整備されたNICU、その施設を使いながら、その大学病院が本来の機能でございます教育研究診療という形で人材を育成をしていこうということ、医学部の教育においてきちっとそういったことを教育をすることによって、中期的にはそういう医師の供給自体も私どもとすれば可能になってくるのではないかと思っております。
  16. 鈴木寛

    鈴木寛君 NICU整備し、という中身がちょっと違うんだと思うんですね。局長は、ハードができればNICU整備されるかのごとく聞こえてしまう、そうでないというのは分かりますけれども。しかし、財務省とやっぱり勝負してないですよ、申し訳ないですけど。今NICUで一番大事なのは、繰り返しますけれども、新生児科医、まさに人件費、そして人を雇ってくること、これがまず第一ですよね。  例えば私も、人材養成の中身をちょっと教えてもらいました。そうしたら、教育プログラムの開発だとか実習用機器のシミュレーター、要するにこれも悪くはないけれども、これでもってどれだけ直接的に明日からあるいは来月からNICU診療・治療体制が強化されるかというと、これは少し迂遠な話で、結局こういうことでもって現場を私はゆがめかねないなということをとっても心配しているわけでありますんで、ここはもう一回きちっと、動機においては良いことだと思いますけれども、動機において良くてもやってることの順番を間違うことによって結果として地域の周産期医療の現場に対して悪影響を与えていないかどうかということは、もう一回きちっと現場実態あるいはそうした新生児科医の状況。  それから、先ほどオープンシステムと、これもいいことなんですけれども、オープンシステムをするためには、ちゃんと大学病院側にオープンシステムで来てくれる医師に対するきちっとした報酬を確保しないと、幾らオープンにしたってだれも来ないですよ、だれも来てくれないですよね。こういうところのやっぱりきちっとした、結局は行政改革推進法があって人件費の話になるので、結局文科省も悩んでおられるのだと思いますが、そこはちゃんとやっぱり指摘するは指摘して議論をしていただきたいというふうに思いますし、今、骨太の議論もされていると聞きます。いまだに医療費をカットするという報道もあります、これはどうなりますかよく分かりませんけれども。  そこは文部科学大臣も声を大にきちっと、まさに診療報酬を引き上げていく、そして大学病院に対しても、極めて重要な医療を担っている部分については病院運営費交付金、あるいは先ほどお話があったような周産期医療をちゃんと実りあるものにしていくためのきちっとした加算、こうしたことの要求を私はきちっとしていくべきだというふうに思いますので、今からでも遅くありませんから、是非、直談判をしていただきたいと思います。  それでは次に、まさに行革推進法によっていかに国立大学病院で勤務されている医師の皆さんの、先ほど残業時間あるいは在院時間のお話は少しさせていただきましたが、議論をさせていただきたいと思います。  結局、例えば、これ伺ってみますと、大学病院で働いておられる医師方々と他の病院、これは国立病院も含めてですが、あるいは公的病院も含めて、民間病院との差じゃないですよ、民間病院との差を求めてやっている大学の方はそうはいないと思うわけでありますが、しかし、他の公的医療機関とか国立病院と比べても、例えば五年目の医員で申し上げると、例えば五年目の、要するに三十歳ぐらいですよね、ストレートで行って。三十歳ぐらいの国立大学病院医師、年収三百万円ですよ。これではやはりやっていけない。  三十歳で、大変に研修もやって努力されて、給料をもらい始めるのは、二十四で取って、そして今度は卒後臨床ですから二十六からしかもらえないわけですね。二十六歳からしかもらえない。それまでは逆に言うと払うばっかりと、そして奨学金も借りていると。そういう人たちが奨学金も返し、そしてというような、まさに将来の日本医療中核を担っていただく人材に対して我々は三百万の給与しか出していないと。これでは燃え尽きてしまうのは私はやむを得ないかなと。  これを時給換算に直しますと千四百四十九円ですよ。これ大学生のアルバイトでも二千円とか二千五百円とか今取りますから。だったら、これだけ大変な思いをして、そして命と毎日向き合って、そして少しのミスも許されないと、そういう過酷な環境であって、しかも一時間単価千四百四十九円と。これは、これで立ち去るなと言う方が酷な話であって、この状況でとどまっていただいている方には本当にもう頭が何度下げても足らないというふうに私は思います。  更に申し上げると、これは国立大学の医学部教授ですよ。勤続年数二十五・六年、要するに五十六歳ぐらいです、平均で、この方の時給が千六百九十円ですよ。国立大学医学部教授の時給が千六百九十円。まさに大学生が家庭教師したら二千五百円、それを教えている医学部の教授が、医学生なんかだったらもっと取りますからね、それ千六百九十円で。  ですからこれ、まあ局長どもよく御存じだと思いますけれども大学に残った、講師で頑張って、助教授で、准教授で、教授でと。昔はそのことに本当に一生懸命自分の研究と治療に邁進をできたと。しかし、やはりいろいろな、家庭も持ち、子供の教育もということになると、本来は大学にとどまって頑張って研究を続けていただきたい、あるいは治療を続けていただきたい、あるいは地域のそうした医療者の教育に従事していただきたいという方がどんどんどんどん立ち去る。さらには、訴訟だ、あるいは訴追だ、その管理責任だ、監督責任だということがまさに医療崩壊立ち去り型の遠因というか直接的な原因になっているわけでありまして、やはりここは早急に何とかしないと私はいけないんだと、こういうふうに思います。  この前、聞いてきますと、救命蘇生のときの心臓マッサージありますよね、この心臓マッサージ三十分間やっていただいて、これがうまくいけばまさに生き返るわけです、蘇生するわけです。その診療報酬が二千五百円ですよ。自己負担は七百五十円。これが今の診療報酬の実態でありますから、ここを私は改めて何とかきちっと手当てをすべきだと。行政改革推進法というものはこういうことを助長してきたと、あるいはこういうことを加速してきたということを何とか正していただきたい。私どもはまさにきちっとこの点を、こうした重要な医療を担っていただいている病院には入院医療費をやっぱり病院収入ベースで一・二倍ぐらいにしなきゃいけないと、これも緊急措置ですけれども、しないともう止まらないというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。
  17. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 大学病院医師の給与につきましては、全体として言わば大学教員としての給与というようなことから、例えば他の国立病院等の医師と格差があるということも承知をしております。  一方で、そういうことに対しましては、先生の方から先ほど診療報酬自体が減っているではないかという指摘を受けているところでございますが、例えばそういう人件費の五%カットという中でも、診療報酬を財源とする場合、あるいは競争的研究資金を財源とする場合についてはその適用除外とされているところでございます。そういう意味では、もちろんそういう診療報酬自体が減っていくという問題もございますが、そういう中で、特に臨床をやっている、あるいはまた、その中でも救急でありますとかそういう夜間勤務をやっていらっしゃる医師に対しては特別な手当を措置をしていると、こういう大学もあるわけでございまして、各大学に対してはその大学教員としての給与体系ということと同時に、また病院に勤務するそういう勤務実態に合わせた形での処遇といったことについても十分工夫をしていただきたいと思っておりますし、また私どもの方も様々なところでそういう実態については十分把握をし、そういったことをまた今後大学病院がきちっと教育研究診療ということに当たれるような環境整備、そういった方向で努力をしていきたいと思っております。
  18. 鈴木寛

    鈴木寛君 資料三を御覧いただきたいんですけれども大学病院の先生方、医師の皆さん、もちろん必要最低限生活できるだけの給料に増やしていかなければいけないという要望はありますけれども、やっぱりそれ以上に聞くのは睡眠時間が欲しいと、こういうことでございます。したがって、やはり医療従事者、先ほど申し上げましたように、この十年間は医師増えませんから、この十年間はチーム医療でそのチームのパートナーを増やす、病院収入を増やしてチームのパートナーを増やすことで、医師の皆さんには医師にしかできないことに集中していただくと、それ以外のことはコメディカルの方々あるいはチームメートの方々にシェアしていただく。このためにその人件費というのは必要だと、今ずっとやり取りしていることでございますが。  しかし、十年はもちろん掛かりますけれども、これ、十年後は日本医療現場更に大変なことになります。例えば、患者当たりの医師数というものは、東京などで申し上げますと、二〇二五年に向けて今よりさらに二〇%少なくなるんです。つまりは、高齢化によって推定患者数というのは増えます。医師の養成というのは、今年から増えはしましたけれども、なお十分ではないと。そうすると、患者当たりの医師数というのは二〇二五年に向けてさらに二〇%下がってしまうと、こういうことでございます。  したがって、その二〇二五年ショック、あるいは、そこにはもう医療破壊になってしまいますから、その破壊につながらないように、昨年、政府も大転換をしていただいて、閣議決定も見直して医学部定員を増やすと、こういうことになりました。私どもも、医学部定員は一・五倍ぐらいにしていかないと、団塊の世代が後期高齢者になる二〇二〇年—二〇二五年の我が国医療提供体制は守れないと、こういうふうに思っておりますので、そこはやるべきだというふうに思っています。  まさに、これは資料三を御覧いただければ、医師定数というのは、やっぱりこの二十何年来の余りにも長く続き過ぎた医師抑制政策の結果、このベースがあって、そこに、例えば臨床研修制度とかそういうものがきっかけになった、さらに、小泉さんのおやりになった診療報酬改定が合わさった、国立大学はまさにトリプルパンチと、こういうことなわけでありますけれども。  したがって、来年度、去年は六月に閣議決定が変わって、そして秋に相当文科省も走り回られて、それから大学方々も走り回られてということの中でよくやっていただいたと思いますが、来年度は、これ、きちっとした議論もでき、積み重ねもできと、こういうことでありますので、そして今までの枠を今年戻しました。そうすると、いよいよ医学部を新しくつくる、新設する、こういったことも視野に入れて本格的に医学部定員増のことを考えていく時期に来ているというふうに思いますが、この点についてお伺いをしたいと思います。  私は、なかなかこれやっぱり、とはいえ、新規に建物もあるいは教員も確保するというのは大変ですから、まずは、既に病院を持っている大学、例えば歯学部が病院を持っているとか、看護学部が病院持っているとか、こういうところからでも、そうしますと病院はあるわけで、結局、医学教育というのはやっぱり病院、実習をやらせるための病院と、それから解剖の施設、あるいは教員のところが大変だということですから、やっぱり病院を持っているようなところからは医学部を新規につくっていくということを私はきちっと検討してはいかがかなという思いを持っておりますけれども、今、この検討状況どうなっていますでしょうか。
  19. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 医師全体の言わば医師不足といった問題につきましては、先生が御指摘のように、この四月から医学部の入学定員を八千四百八十六人に増員したところでございます。一方でまた、卒後臨床研修等につきましても必要な見直しを行い、新たな制度がスタートするわけでございます。そのほかまた、医師以外の職種方々にできるだけそういうきちっと様々な行為を分担をしていただくといったことも必要だと思っております。また同時に、分野、地域別の偏在を是正をする対策、こういったことも、必要性も言われているわけでございます。  現在、政府の中で骨太の方針二〇〇九が検討されておりまして、その中では、今申しましたような医師の偏在是正対策と並んで医師等の人材確保対策につきましても、こういったことについても、言わば骨太二〇〇九の中できちっと盛り込んでいくようなことも検討されているところでございます。  今後、この政府全体としての方針が決定をした上で、私ども、関係省庁とも連携をしながら必要な措置を検討していきたいと思っております。
  20. 鈴木寛

    鈴木寛君 明快な御答弁はいただけなかったわけでありますが、是非、私の今日の提案は関係省庁との会議の中で十分踏まえていただいて、しかしながら、これは選挙はいつになるか分かりませんけれども、少なくともお役所はちゃんと概算要求に向けての検討、勉強はされるんでしょうから、これ非常に重要な六月、七月になりますので、ここのところは是非、先ほど申し上げたことを踏まえてしっかりと検討をしていただきたいと思います。  やっぱり来年の四月一日に向けての作業というのは非常に重要なんですね。去年は非常に限られた時間の中で関係者がみんな頑張ったということですけれども、今年はやっぱり本格的に議論をしながら大きなガイドラインも示しながらやっていくと、こういうことになりますので、医学界も大変注目しておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。  そこで、こうした病院診療時間を減らして、冒頭申し上げました、いかに医師皆様方を、研究の時間も増やしていくかと、こういうことになるわけであります。  今の医学部の定員を増やしてほしいと言ったのは、実は医学研究観点からも極めて重要なんですね。実は、医学論文が減ったということは先ほども御紹介を申し上げましたけれども、博士課程、医学の博士課程に、特に基礎系、これは例えば今も新型インフルエンザの問題とかあるいはいろいろな、臓器移植法案もかかっておりますが、これから細胞移植だとかあるいは再生医療だとか、もう様々なまさに基礎的な研究をベースに医学の新しいパラダイムを切り開いていくという意味で、基礎研究も極めて基礎臨床一体となった研究、非常に重要な局面に来ています。  しかし、その観点からすると、本当に大変な状況にございまして、今、例えば平成二十年で、ドクター、要するに医師免許を持っておられて新しく医学部の博士課程に入られる方というのは、年間、主要七大学で六十五人しかいないんですよ。これで我が国医療研究ができるでしょうかと。  これは、十年前は倍いました。二十年前はその倍いました。例えば私なんかが、私は医学部ではありませんけれども大学を出たころというのは、例えば東京大学の医学部の卒業生の二十名、百人いますけれども、二割がその基礎研究に進んでいたと。その人たちが今まさに中核になって、三十代、四十代、五十代ということで、日本の医学の基礎研究あるいは医学研究というのを支えているわけです。しかし、例えば東京大学で申し上げると、新しくそうした基礎系に入る人というのは、例えば平成十八年ゼロ、平成十九年一、これぐらいの学生しか医学基礎研究に進まないんです。  これでどうやって、まさに生命科学医学研究というのは国際的な競争、そしてこれから我々の社会が最も大事な分野、新型インフルエンザの話でもそうです、まさに新しいワクチンを開発しなきゃいけない。そのためには、本当に基礎的な研究者、あるいはその研究者の層というものが大事ですけれども、これ、医学部定員の議論をするときに、こうした基礎研究に従事する人たちの分も考えて、そして今その人たちがこれだけ減っちゃっているということも考えて是非議論を深めていただきたいと、こういうふうに思いますが、このまさに医学研究の人材確保の観点から御答弁いただきたいと思います。
  21. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 御指摘いただきましたように、東京大学など七大学における医学系大学院の基礎医学分野への医師免許を有する入学者、平成年度に比べて平成二十年度では四割減となっているわけでございます。こういったことについて、私どもも大変深刻な事態であるというふうに受け止めているわけでございます。  少なくとも私どもの方では、医学教育のカリキュラムの面におきまして、例えば基礎研究者養成を目的とした大学院への早期進学を行うPhDコースの取組の促進に加え、あるいは研究マインドの涵養のための医学教育モデル・コア・カリキュラムの改定と、こういったものも検討しておりますし、一方ではまた、基礎医学研究者養成に関する大学の優れた取組を様々な形でグローバルCOE等を通じまして支援をしているところでございます。  また、今後、医学部の入学定員をどうするかというような検討に際しましては、当然、基礎医学研究者の育成という面も考慮しなければならないというふうに考えております。
  22. 鈴木寛

    鈴木寛君 これはもう本当に、一回やっぱりそういうのがゼロとか一になってしまうと、人の育成というのは、やっぱり先輩がこう、毎年ちゃんと入って二年目の人が一年目教え三年目の人が二年目教えという、このコミュニティー全体で人というのは育ちます。これはまあ医師もそうですし研究者もそうですけれども、まあ屋根がわら方式などと言うようですけれども、ここは本当に速やかに手を打っていただきたいというふうに思います。  そして、まさにこういう研究活動を修士あるいは博士課程と続けていかれる、そしてこれは三十歳あるいは三十五歳ぐらいまでこういう研究活動を続けていただく、博士課程等でですね。やっぱりこういう人たちに対する奨学金、これはもう私何度も指摘をさせていただいておりますが、親のすねをかじらないと大学に行けない国はもう日本と韓国だけでございます。あのアメリカでも奨学金が、民間の奨学金が充実していますし、それから政府もきちっとお金を出しています。両方が相まって希望者は十分な額、奨学金を借りられ、かつまた給付を受けられる。日本は高等教育を受ける場合の自己負担比率が六割、アメリカですら三割、ヨーロッパ諸国は一割、あるいは北欧諸国はもう二%とか、スウェーデンなんかはゼロと、これが実態ですね。ここのところを、やはり私はこういう事態も踏まえて一挙にこの充実をしていく必要があるというふうに思っております。  国立大学の博士課程などについては希望する方はもらえるようになったようでございまして、これは私も二〇〇一年からずっとお願いを申し上げてきた者として大変関係者には感謝を申し上げたいと思いますが、しかし、まだまだ私立の文科系あるいは私立の理科系、これはまあ授業料だけでも私立文系で九十万、私立理系だと百二十万、更に申し上げますと私立医系だともう五百万とか一千万と、こういうことになるわけでありますから、やはり相当この思考を変えて、パラダイムシフトをしながら奨学金の充実というのをやっていかなければいけない。私どもは、まさに私立であれ、そういった授業料に見合った分の奨学金が借りられるように、やっぱりこの貸与額の大幅な引上げと、そしてその返還の免除あるいは返還金の一部削減と、こういったことをやっていかなきゃいけないと。  それから、とりわけ昨年来のリーマン・ショックの経済危機の中で、まあ緊急奨学金や応急奨学金、臨時奨学金という制度をやっていただいておりますことは感謝しますが、それがもう本当に物すごい倍率で、これも枯渇していると。ですから、これは更に追加的に枠が必要だと思いますし、私立の親御さんはやはり銀行から百六十四万円借りているというんですね、平均で。まさに親が借金をして大学に通わすと、こういうことになっております。あるいは生命保険を解約したりということであります。  やはりここは学生支援機構の出番ではないかと思いますし、それから大学も、東大が四百万円以下の年収の世帯の学生に対してはこれ授業料を完全免除にしていただいた。これは前小宮山総長の私は大変リーダーシップに敬意を払っているところなんですが、そういうところには、今もやっておられますが、やはりその減免分の運営費交付金は追加する、あるいは私学助成金を追加すると。慶応大学もそういうことをやっています。神奈川大学もそういうことをやっています。ここのところはやはり更なる、今の予算の十倍ぐらいの措置をして、中長期的な観点、そして短期的な経済的な観点、両方の観点から奨学金、学費軽減のために強化すべきだと思いますが、ここについての御決意を伺いたいと思います。
  23. 塩谷立

    国務大臣塩谷立君) 奨学金事業につきましては、当然ながら教育の機会均等を確保する観点から、その就学機会が奪われることのないようにしっかりと充実をさせていかなければならないと考えているところでございます。このために毎年貸与人数の充実を図っておるわけでございまして、先般成立しました補正予算においても、現下の厳しい経済状況を踏まえて、緊急採用奨学金の貸与人数を倍増するなど措置を講じているところでございます。  現在、家庭の教育負担の問題は極めて重要でございまして、この点についても、教育安心社会実現に関する懇談会を開催しまして、家計の負担軽減に焦点を当て、また大局的、中期的な視点で御議論をいただいておりまして、この議論を踏まえて今後しっかりと検討し、また実行に移してまいりたいと思っております。  いずれにしましても、厳しい経済状況の中で、今政府としてもこれに対応し、また長期的な議論を進めているところでございます。
  24. 鈴木寛

    鈴木寛君 私どもはやっぱり年収八百万円以下のところはもう、先ほどの私立の場合は文系九十万、理系百二十万、これぐらい要るわけですから、そこに対してきちっとこたえていく。あるいは、さらに、低所得家庭のところは生活費の部分も、これドイツとかフランス等というのはやっていますね、奨学金、生活費の部分も。こうしたこともやっていくべきだと我々は考えております。  そして、じゃ、資料六を御覧いただきたいんですが、今日はずっと我が国研究開発の体制を議論しているわけでありますけれども日本の博士号授与者というのは少ないんですね。お隣の中国はもう既に四万人、日本は一万七千人です。しかも、中国は十年前は五千人だったんです。これが十年間で十倍になりました。私も年何回も中国の清華大学に伺っております。大変な活力、元気で、レベルもやっぱり清華大学ぐらいになりますと非常に国際的にも水準の高い研究をやっておられますし、人材育成をやっておられます。私は、このままいくと埋没してしまうんじゃないかということを大変危惧をしているわけであります。ドイツ、イギリスも、日本よりも多くの博士を養成をしていると、こういうことであります。  この前、私はちょっと新聞を見まして、報道を見て疑ったわけでありますけれども、文部省が国立大学等々に対してポスドクの問題があるので博士課程を減らせというようなことを求めたという報道があって、もちろんポスドクの問題はこれ大事です。しかし、ポスドクの問題は博士課程を減らして解決するんじゃなくて、ドクターを持った人たちがちゃんとその能力を生かし得る職場、活躍の場を増やすことによってポストドクター問題は解決すべきなんであって、方向が全く真逆だというふうに思って、このことはもう絶対委員会で聞かなきゃいけないなと思ったんですけれども、この報道は事実ですか。
  25. 徳永保

    政府参考人徳永保君) 文部科学省におきましては、先日、国立大学法人法によりまして、文部科学大臣中期目標期間終了時に国立大学法人の組織及び業務全般にわたる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとされていると、こういう法律の規定に従いまして、去る六月五日に、各国立大学法人に対して、それぞれの組織及び業務全般の見直しの内容を求める決定を行い、このことを通知したわけでございます。  こういった中には、大学院の博士課程についても入学定員や組織を見直すということについて求めておりますが、これは単に大学院の博士課程だけについて言ったものではなく、法科大学院でございますとか教員養成学部、あるいはまた他の学部、附置研究所その他すべての大学教育研究組織について所要の見直しを行うということを求めたものでございます。  私どもの方は、その新聞報道ではポスドク云々ということで書かれているわけでございますが、決してそのポスドク問題に対処するためこういうことを通知したものではございませんで、あくまでも、各大学がそれぞれの置かれている状況、そしてそれぞれの御判断によりまして機能別分化を促していく。  大学によりましては、より大学院博士後期課程に中心を置いて研究者養成あるいは研究といったことに重点を置いている大学、そういったものもあろうと思っておりますし、あるいはまた、修士課程あるいは学部教育といったことにおきまして高度専門職業人の養成に重点を置いている大学、そういったものあろうと思っております。あるいはまた、大学によっては学部等におけるリベラルアーツといったことに重点を置く大学があろうと思っております。  そういう意味で、それぞれの大学が、それぞれの置かれている状況あるいは自分たちのお考えといったことを踏まえ、さらにはまた、具体的に、現に設定をしております収容定員の充足状況、あるいはそれぞれの修了者の具体的な社会的需要、こういったことを踏まえて各法人が状況に応じた見直しを促すものでございまして、何か定員を一律に削減をするということを求めているものではございません。  したがって、当然、その見直しの結果については、ある大学によってはむしろ研究面の機能強化ということから、大学によっては学部の入学定員を減らし博士課程の方により重点を置いている大学もあろうかと思っております。  そういう意味では、それぞれの大学がそれぞれの大学機能といったものを十分お考えの上で、それぞれ言わばどういった方向に進んでいくのか、そういったことの観点から、その持っている教育研究組織全体の見直しを求める、そういった意味での通知でございます。
  26. 鈴木寛

    鈴木寛君 是非、誤ったメッセージを出すことなく、きちっと今の点をもう一回確認していただきたいと思います。  それで、これ、日本のやっぱり将来を考えたときに、大学後期課程、特に大学院、この教育の充実あるいは研究の充実というのはもう絶対不可欠なんですね。人口千人当たりの大学院の学生数、日本は二人です。アメリカは九人です。イギリスも九人です。フランスも九人です。韓国は六人です。ここを変えていかない限り、知的立国、人材立国ということはあり得ない。  なぜこうなってしまったか。日本は、高等教育にGDPの〇・四%しかお金をつぎ込んでいないからです。アメリカですら、税金で一・二、そしてそれをはるかに上回る額の民間からの資金が大学に直接、教育に投ぜられていますから、アメリカだってGDPの二%をはるかに超える。フィンランドだって、これは税金で二%の高等教育費がつぎ込まれている。この結果がまさに二対九にきれいに表れているんです。  そのことを是非きちっと御理解をいただきながら、この大学に対するこれからまた中期目標などを提示していくんだと思いますが、心していただきたいというふうに思います。  そこで、その上でしかし、ポストドクター問題はちゃんと解決しなければいけません。そのために今回の二千七百億円の基金がちゃんと使われるということは私は大事だというふうに思っております。  まず、私の考えを申し上げたいと思います。  一つ目は、今回の二千七百億のテーマ選定については、きちっとポストドクター問題の解決に資する、つまりは、そういうふうな能力を持った人たちが単にいわゆる物理的な労働を提供するということじゃなくて、知的な貢献をできる活躍の場を与えていただくという観点からこのプログラム選定を是非やっていただきたいということが一点でございます。  それから、今回は、これは事前に確認を、私どもの部門会議でも確認をさせていただきましたが、内閣府と文部科学省が国会議員に持って回っております資料によりますと、三十課題程度を選ぶと、この世界最先端研究支援強化プログラムとしてというふうになっておりますが、このことは役所間の議論のバックデータであって、このことは国会の予算審議補正予算審議、いわんや今回のこの学振法の改正の審議に全くそこは含まれていないという前提で私どもはこの法案賛成しています。つまりは、二千七百億円を三十課題に振り分けるということについて、私どもは反対でございます。  この選定に当たっては、まずやっていただきたいことがあります。つまり、第二段階としては日本の科学技術費全部についてでありますけれども、まずこの三千億円については、二千七百億円ぐらいあるわけでありますから、その十億でも二十億でも確保して、より望ましい研究プログラムあるいは研究プロジェクトのテーマの採択の在り方、あるいはその研究チームの採択の在り方、選定の在り方、ここを科学的にやっていただきたい。今回まさに十億とか二十億取って、過去の今までのそういったこの手の選定がどうだったのかと、これをやっぱりレビューしていただきたい。  あるいは、ほかの国あるいはほかの機関、民間の機関、大学、いろんなところが研究テーマを選ぶ、そしてそれを担う人を選ぶと、こういうことをやっています。そこはもちろんそれぞれの目的あるいはそれぞれの主体の特徴によって違っていいわけでありますが、私が申し上げたいことは、きちっと我が国研究開発についてのポートフォリオ、これをちゃんと組むということが重要だというふうに思っています。そのためには、今まで研究分野別の議論はありましたけれども、そうではなくて、若い方々の大変いろんな発想を生かすという分野、そこに例えば二千七百億あればその五百億ぐらいは使ってみるとか。  あるいは、今回の削除させていただいた意義は、緊急経済対策でやるのではなくて、まさに将来の我が国の社会経済の発展基盤になるという観点、その観点をブレークダウンするといろんな観点があると思います。要するに、直接的産業波及効果だけではなくて、むしろそれよりも、ちゃんと人材を育成するだとか、あるいは他の学問への波及だとか、あるいはその基盤になる研究だとか、様々な観点からきちっと目的のポートフォリオを決めると、その分野にそれぞれまた金額を分けていく。その分野の中でハイリスク・ハイリターンなものを、ローリスク・ローリターンなものを、あるいは短期的にある程度決着が付くものを中期的、長期的な観点から取り組む。  そういう立体的な観点から戦略的にきちっとまず調査をし、そして考え方をまとめて、その考え方の下にこの二千七百億の選定というものをきちっとやっていただきたい。ゆめゆめ経済界から事前に頼まれている三十テーマをそのまま追認をするというような愚策はやめていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  それから、今回、総合科学技術会議がおやりになるそうでありますが、この事務局体制、まだまだそういった意味でいわゆる政策科学としての科学技術政策のプロが入っていません。そこは、国立研究所であります科学技術政策研究所の協力あるいは連携なども深めて、こうした観点からきちっとやっていただきたいということをお願いを申し上げておきたいと思います。  何か御答弁があればお伺いしたいと思います。
  27. 西川泰藏

    政府参考人(西川泰藏君) お答え申し上げます。  幾つか御質問いただきましたが、まずポスドクの問題に絡めて、こういった若い方々がきちっと活躍できるような、そういった機会の提供に努めるべきだという御指摘でございます。御指摘のとおりだと思っておりまして、今回このプログラムを進めるに当たりまして、具体的な研究課題等を選ぶ基準、これ総合科学技術会議で検討して決定されることになるわけでございますが、委員指摘のとおり、ポスドク等の若手の研究者が活躍できるような、そういった要素も非常に重要だと思っておりまして、したがいまして、課題の選定に当たりましては、そういった点も含めて判断要素の一つになり得るものであるというふうに考えているところでございます。  また、三十課題という点につきましては、これは、委員指摘のとおり、これある種の目安でございまして、具体的な公募及び公募課題の、応募課題の審査の結果、柔軟に内容に応じて課題を選定するというのが基本でございます。また、ポートフォリオをきちっと考えるべきだという点につきましても御指摘のとおりだと思っております。  他方で、このプログラムはいわゆる公募を考えておりますので、今の段階でどういった課題を採択しますということを申し上げることはできないということは御理解いただければと思いますけれども、私どもとしましては、非常に基礎的な研究、国民に夢と希望を与えられるようなそういう、あるいは高度な人材の育成、あるいはその波及効果が期待できるような基礎的な研究から出口志向の政策的な課題の解決につながるようなそういったプログラムまで、幅広くそういう課題が選定されるように努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。
  28. 鈴木寛

    鈴木寛君 終わります。
  29. 山下栄一

    山下栄一君 おはようございます。  冒頭、増原副大臣におかれましては、衆議院委員会と重なっているところをあえて来ていただきまして、感謝を申し上げたいと思います。したがって、冒頭に内閣府に対して質問をさせていただきたいと思いますが。  今回の法案は二十一年度の第一次補正予算関連の法案でございます。関連なんだけれども、民主党さんの御英断というか、普通は常識的には国会対策上含めまして反対だと予想されるところを、もちろん修正されることがあったわけでございますけれども衆議院におきましては修正案付きで賛成というふうにされたことに敬意を表したいと思うわけでございます。  また、これ独立行政法人の業務を増やす面もあるわけでございまして、研究開発法人ではあるけれども、そういう意味で、独法の考え方に対しては非常に批判的というか廃止法案まで出されようとしている、出されておるんですかね、その中で、あえて大きな考え方によって、いかに研究開発部門の強化が大事かという視点に立って賛成されたことというふうに理解するわけでございます。そういう、それだけ説得力のある内閣法案を提出したとも言えるというふうに思うわけでございます。  それで、内閣府にお尋ねいたしますけれども、今も御質問ございましたように、これは非常に金額も大きいわけですし、課題選定についてもやっぱり民主的に納得のいく、経済界に偏っているとかそんなことでは駄目だということから修正もされたというふうに思いますし、そういう意味で、この課題の選定なり評価なり、国民への成果の還元なり、非常に重要な観点だと思います。  三十課題で計算しても、平均的に一課題九十億円と、五年間で。金額的には地方自治体の年間予算に匹敵する、そういうところが一研究チームに配分されるということというふうに考えることもできるわけで、重要な研究、使い勝手のいいということは大事でございますけど、やっぱりきちっとした、税金を投入するわけですから、きちっとした公正性を確保する体制づくりを担保できるようなことを考えていただきたいと。そういう意味で、課題三十ということは前提ではないという先ほど質問には私も賛成でございます。  このことをまず確認させていただきたいと。要するに、多額の配分、五年間ということでございますけれども、課題によっては三年間もあるのかも分かりませんが、この配分額、配分についての公正性を担保する仕組みをどうするのかということについてのお考えをお聞きしたいと思います。
  30. 増原義剛

    ○副大臣(増原義剛君) 先生今御指摘の点でございますが、私どもも極めて重要であるというふうに考えております。とりわけ多額の資金が多年度にわたって使用されるという点からいいましても、その公平性、透明性は極めて大事なものというふうに認識いたしております。  そういう意味で、基金の運用の方針あるいは選定の方法などのルール作りにつきましては、今後、総合技術会議の下のいわゆる有識者会議、これにおいて具体的に議論をされ、策定されることになると思いますが、そこでは内閣総理大臣、それから科学技術担当大臣、有識者、これが中心となって公平に決定をしていくということになっております。その検討、決定に当たりましては、適宜内容を公表することによりまして、その透明性、客観性の確保に努めてまいりたいと、そのように考えております。
  31. 山下栄一

    山下栄一君 法案の方では、業務方法書、この学振、学術振興会が提出、作るときには、特に今回の二つの基金業務については総合科学技術会議の意見を聴かなきゃならないと、もちろん関係行政機関の長に協議するとともにと、こう書いてあるわけでございます。これ以外のところはもちろん学術振興会の業務はもう文科大臣単独の、これは認可というんですかね、だと思うんですけれども。  総合科学技術会議が意見を言うということで、もうちょっと具体的にお聞きしたいんですけど、言いました選定の方法、そして評価の考え方、国民への成果の還元、これを法令上のどういう位置付けで、この科学技術会議の意見なんですけど、非常に重要だと思います。それは、やっぱり公正性を担保するために、やはり法令上の位置付けに基づいて運営方針ですか、ガイドラインというよりも運営方針でしょうか、それを機関決定する必要があると。それは有識者会議じゃないと思うんですね、私は。総理も入っておられる総合科学技術会議決定というふうにする必要があると思うんですけど、内閣府設置法に関連してのそういう位置付けでちゃんとやってもらいたいというふうに思いますけど、いかがでしょうか。
  32. 増原義剛

    ○副大臣(増原義剛君) ただいま委員の御指摘の点でございますが、ごもっともでございまして、本件につきましては、基金の運用等に関する総合科学技術会議の決定事項になると思います。それは、当然のことでありますが、その総合科学技術会議の議員でもある文部科学大臣に対して意見具申をされることにもなります。  設置法の第二十六条第一項四号でありますが、ここでは、第一号に規定する基本的な政策及び、特に本件の場合第二号ですが、第二号に規定する重要事項に関し、それぞれ当該各号に規定する大臣に意見を述べることができるとございます。二号の場合は内閣総理大臣又は関係大臣の諮問に応じてとなっておりますが、四号はこの諮問の必要性はございません。その基本的施策や重要事項についてはこの総合科学技術会議が独自に意見具申を行うことができる、こうなっておりますので、それを受けて行いたいと、そのように思っております。
  33. 山下栄一

    山下栄一君 今までも別に、文科省予算であれ厚労省の予算であれ、総合科学技術会議に諮問して意見を聴くということはあったと思うんです。今回はそうじゃないと。それがこの附則の二条の三のまた一項、二項の規定だというふうに、総合科学技術会議の意見をこれは聴かなければならないと書いてあるわけですからね。それは内閣府設置法に基づくこの会議の機関決定によるんだということを確認させていただきましたので、公正性の担保のために、国民が納得のいくそういう選定なり評価なり、そして国民への成果の還元、要望をさせていただきたいと思います。  じゃ、以上で副大臣、結構でございます。どうも申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
  34. 中川雅治

    委員長中川雅治君) どうぞ退席してください。
  35. 山下栄一

    山下栄一君 それで、今度は修正案の提案者に、今日は衆議院の方から、今回のこの修正案は自民党、民主党、公明党三党共同提案というようにお聞きしておりまして、今日は質問者が公明党ということもあるんでしょうか、公明党所属の池坊提案者が、鈴木議員も何か提案者みたいなもので影響力があったとは思いますけれども、これは衆議院からの提案者でございますので、池坊議員にわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。別に前副大臣に聞くわけじゃございませんので、提案者の立場で回答いただきたいと。昔を思い出して、政府の答弁ではありませんので、気を付けて、注意して答弁していただきたいと思いますけれども。  冒頭、元々入っていた「現下の厳しい経済情勢に対処するための臨時の措置として、」と、これを削ったということは、私も非常に衆議院として見識の高い削除をされたなと、こういうふうに私も思います。  それで、ただ、二点ありまして、一つは、これは経済対策でやるという限定的なものではないよと。基礎研究も含めて、当面の、何か産業に直結するような、そういうふうなものに限定するんじゃないよと。それともう一つは、臨時の措置、これでもないよと、こう書いてございます。その二つをお聞きしたいんですけどね。  経済情勢に対処するということを省いたのはこういう理由であると。もう一つは、臨時の措置の方は特に、これは元々五年間に限りと、こう書いてあるので、これ臨時の措置というのは、どうもこれ別に削っても余り意味がないのかなと思うことの疑問も含めまして、提案者の御説明をお願いしたいと思います。
  36. 池坊保子

    衆議院議員(池坊保子君) 見識が高いとお褒めいただきました修正案提出者の一人としてお答えしたいと思います。  今委員がおっしゃいますように、現下に経済状態が大変厳しいことはみんなが周知するところでございますけれども、これはあくまでも結果として経済の発展に資するものであるべきであって、それは本来の問題では私はないと思います。大切なことは、有能な研究者によって国際的な価値ある研究をすることにおけるその支援並びに有能な研究者を海外に送る、そして国際的な研究をしてもらうということが目的であって、結果的にはそれは今の経済の厳しさを救うことになったり、国際的にも経済発展に資することになるというふうに考えておりますので、この第一目的ではないということで、これを削除いたしました。  それから、臨時措置というのは、この今の経済状態が厳しい、それの臨時措置だよというふうに、そこに係ってくると私は解釈しております。恒久的にこのような研究活動を支援することができれば、これは大変好ましいことだと思いますけれども、まずは集中的に研究活動をしてほしいということで、一応五年ということを区切りとさせていただいたということでございます。
  37. 山下栄一

    山下栄一君 よく分かりました。ありがとうございました。  池坊議員、これで結構でございます。済みません、提案者に。ちょっと時間の関係でこれで結構でございますので、委員長のお許しを得て退席していただけたらと思います。ありがとうございました。
  38. 中川雅治

    委員長中川雅治君) どうぞ退席してください。
  39. 山下栄一

    山下栄一君 それで、今度は、元々の、内閣提出法案でございますので、今のこの修正の話ですけれども、元々経済対策の視点でこれは考えたんだということだったと思うんですね。  大臣にお伺いしたいんですけれども、この緊急経済に対処するためということが省かれるということは、今後の、先ほど内閣府の話もありますけど、選定なり研究分野の方も、何か産業に結び付くようなものが重視になってしまうということがあったと思うんですね。元々の提案者も、総合科学技術会議の経済界代表の担当の方が提案されているということもあったので。ということは、非常に全体的に影響を与えるこれは修正だと私は思うわけです。  ちょっとこれは内閣の思惑と違うふうなものになっていく面もあると考えられるわけで、結果として、もちろん、それは重要な経済成長戦略の観点からの研究開発ということがあり得るわけで、今も池坊さんの答弁あったとおりだろうと思いますけど、内閣も考え方がちょっと変わってくるのではないかと、修正案が最終決定しますとですね。そのことについての内閣を代表しての大臣のお考えを確認させていただきたいと。
  40. 塩谷立

    国務大臣塩谷立君) 今回の補正につきましては、全般的にやはり現下の厳しい経済状況に対してということで、緊急経済対策意味があり、また同時に、将来に向かっての投資という観点で、総合的に、今回できる限りの予算措置をしようということでつくり上げたわけでございます。  このいわゆる世界最先端技術支援プログラムにつきましては、いろんな考え方がある中で、先ほど鈴木委員お話にもございましたように、昨年来の研究開発強化法等、こういうことも踏まえ、やはり新しい科学技術の研究開発支援ということをやっていかなければならないということで、もちろん経済対策ということも考え、また、将来に向かっての研究開発在り方も踏まえ、いろんな観点で今回この新しい仕組みをつくったわけでございまして。  経済対策という言葉を除いたということは、単に経済対策だけではなくて、これから必要な、やはり科学技術に対する研究開発の一つの在り方ということで、五年間の多年度にわたる予算措置ということ、そして、特に研究者に重点を置いた今回の選定方法とか、結局、今までと同じようなことではなくて、やはり今までできなかったようなことを更に科学技術全体に対して、将来に向けての有効な在り方として今回考えたわけでございますので、いろんな意図があったというふうに言われておりますが、政府としては、将来に向けての経済対策も含め研究開発の先行投資ということになるわけでございますので、この文言は高い見識の下に削られたと思っております。
  41. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございます。  特に文部科学省としては、やっぱり今回の修正は非常に、かえって有り難かったのではないかと私は推察するわけですけど、今の大臣の御答弁、全く納得いたしました。  それで、今までも、今回は先端研究助成基金を勘定として学振に置くと、もう一つは海外派遣基金を置くわけですけれども。この研究助成の在り方なんですけれども、今、日本学術振興会の科研費約二千億ですか、今年度予算では、あると。そしてもう一つ、科学技術振興機構の方でも特に戦略的な研究に対しての約五百億ですか、予算が付いていると。  この配分も透明性また公正性、同じようにやはり必要だと思いますけれども、まず、それぞれ現行の研究予算配分の一チームまた一研究者に対して最高額は、複数年度という意味でです、もちろん単年度チェックするわけですけれども、三年計画とか五年計画で予算配分するのは可能だという仕組みだと思いますので。同じように、そういう計画ベースで、年度を超えた三年なり五年なりで最高額がそれぞれ、それぞれというか、どれぐらいになっているのかと。また、今回の総合科学技術会議の方で運営指針を作って選定なり仕組みを考えていかれるわけでして、そんなに大きな考え方の違いがあってはならないんではないかな。今ももちろん公正にやらにゃあかんわけですからね。  もちろん総合科学技術会議の方で選定はされるんですけれども、現行の文部科学省が関与される配分についても公正性は担保されていると思いますので、金額と、最高額と同時に、今の配分の公正性の担保の、こんなのやっていますということのお話をお聞きしたいと思います。
  42. 磯田文雄

    政府参考人(磯田文雄君) 文部科学省ではかなりの競争的資金の配分業務をやらせていただいておりますが、その中で一課題当たりの配分額が最も大きいものは、科学技術振興機構が実施する戦略的創造研究推進事業、ERATOと申しておりますが、これが五年間で総額約十五億から二十億程度でございます。  私どもの方では、金額的には、先ほど委員指摘の科学研究費補助金、これが総額で約二千億弱の予算を執行しておりますが、この中心的に行っております日本学術振興会では、配分のプロセスを、ピアレビューを中心に書面による一段審査あるいは合議による二段審査の併用によりまして公正な審査の確保に努めております。また、透明性を高めて、批判をいただき改善をするということで、配分審査の基本方針や審査委員の名前の公表、審査結果についての通知等の透明性も高めております。  さらに、大きな金額のもの、例えば総額五年間で一億以上といった大型の研究種目につきましては、研究期間の終了前年度研究進捗評価等を実施するなどしております。  私どもといたしましては、この科学研究費補助金を始めといたしまして、それぞれの競争的資金につきまして、公明性、透明性の確保に努め、その審査、評価の充実を図っているところでございます。
  43. 山下栄一

    山下栄一君 どうもありがとうございます。  余り特定の方に重複するとかがないような配慮もe—Rad等を活用して管理をされているということも承りまして、公正性の確保については国民の関心の高いところでございますので、信頼性を更に強化するような、今回を契機として更に配慮をしていただきたいと。  もう一点の方は、研究者の海外派遣基金の方ですけれども、これは私は非常に、もうちょっと金額が多くてもいいなと思うぐらいなんですけれども日本人の研究者、研究者の卵を外に出すと。留学生等を受け入れることについては確かに三十万人とかいって大きくやってきたけれども、外に出す方が何か体制が弱いなと。  我が党もこれについてはずっと言い続けてきておりまして、先ほどの新機構のを使った貸与型のやつもそうですけれども、着実に増えてきておりますけれども、三十万人に対してはどれぐらいですかと。私は少なくとも十万人ぐらいと。そんなことを我が党もこれはマニフェストでも入れようとしているわけですけれども、そういうことをやっぱりちゃんと明確に、計画的に戦略的にやはりやるべきだと。そういう観点からは今回の基金は非常に考え方として大賛成でございます。  特に、対象が、今までは研究者中心にやってこられたと思うんですけれども、今回は院生、ポスドクは前も入っていたんですかね、今もやっているんでしょうか、今回は新たに対象を変えて、学振の今やっている事業とは違う対象者になっていると思うんですけれども大学院生、大学生、この辺の全体はどれぐらい配慮されようとしているのかと。もちろん、常勤研究者、特別研究員、これはもう更に強化する必要があると思いますけれども、今回新しく対象としておる大学院生、大学生、先ほど大学生の話がございましたけれども、またそういうのを、割当てはどのぐらいをお考えなのかということをお聞きしたいと思います。
  44. 泉紳一郎

    政府参考人(泉紳一郎君) 今般の基金の三百億の方で対応いたします若手研究者等の海外派遣事業でございますけれども、これは事業内容が大きく二本立てになってございまして、個人支援型のものとそれから組織支援型のものとございます。  それで、個人支援型のものにつきましては、優秀な若手研究者を海外に派遣して海外の研究者と切磋琢磨する機会を機動的に提供するということで、大学の助教等の常勤的な研究者それから日本学術振興会の特別研究員等で、五年間で四千人程度を想定いたしてございます。  それから、もう一つの事業が組織支援型ということで、海外の大学等の学術研究機関等と協力関係を持っております我が国大学が、今先生御指摘になりましたように、将来の研究者を目指すような若い大学生あるいは大学院生、こういった者の研さんあるいは研究活動の機会として海外にこういった若い学生あるいは大学院生を派遣して、これを組織的に派遣することを支援するというものでございまして、対象人数といたしましては二万五千人程度を想定しておるところでございます。
  45. 山下栄一

    山下栄一君 二万五千人のうち大学生、大学院生がどれぐらいになるかなと、目安みたいなものがもしあればお聞きしたいなと思ったんですけれども。特にありませんか。
  46. 泉紳一郎

    政府参考人(泉紳一郎君) これは、各大学から出てまいります派遣計画を審査いたしまして、その結果としてどういうふうな人数になるかということになってまいるわけでございますけれども、この審査に当たりましては、若手人材、若手研究者の人材育成に対する取組あるいは教育研究の活動面での質の高さ等々を勘案いたしまして採択の審査をすることに今考えてございまして、そういったことの結果としてそれぞれの大学の計画がどうなるかということになるわけでございますので、今なかなか具体的に、個々に想定することは困難でございますけれども、この組織支援型の事業によりまして、より若い層の、将来の研究者を目指す大学生あるいは大学院生がより多く海外に行けるようになるということを期待しているところでございます。
  47. 山下栄一

    山下栄一君 じゃ、大臣に今の点ちょっと確認させていただきますが、これは結果的に、大学院生、大学生が入ってきまして、派遣の何に使えるかとなってくると、これは渡航費とか滞在費だと、生活費というか。となってくると、大学院生、大学生にとっては奨学金と同じ扱いになると思うんですね。これは給付型だと、給付型の奨学金だという考え方もあり得ると私は思うんです。ただ、所管は研究、学術、この泉局長のところなんでしょうか、どっち、磯田さんのところ。いずれにしても、研究関連局の方に私はなると思うんですね。だから、高等教育局じゃないと思うんですよ。奨学金というと、何となく高等教育局の学生支援機構というイメージがあるのでね。  私は、給付型の奨学金も、特に海外は、国内もそうかも分かりませんけれども、そういう視点も、やっぱりこれから日本はもっと教育に、人材育成にお金を掛けるということが大事だという視点から、高等教育におかれましてもこういう給付型の、海外に日本人の若手をどんどん出していくということを応援するということが非常に大事だと思いますけれども大臣のお考えをお聞きしたいと。
  48. 塩谷立

    国務大臣塩谷立君) 今回の海外派遣の事業につきましては、我が国の院生あるいは研究者、若手研究者が残念ながら最近は具体的に海外へ出る数が大変減少しているという実態を踏まえて、やはり海外のいろんな研究機関で、あるいは大学等で学ぶことが改めて重要だということでこのプログラムを新たにこの補正で創設したわけでございます。  今御指摘のように、ただ単にいわゆる研究という立場、研究者という立場ではなくて、やはり学生を支援するという観点では高等教育局の所管においてもこういったことを支援するということは必要だと思っておりますので、今後、そこをどう関連付けていくか、また検討したいと思いますが、いずれにしても高等教育局も選定においては当然関与していくようなことになると思いますので、今、山下委員のいろんな御指摘を踏まえて、省内でも検討してまいりたいと思っております。
  49. 山下栄一

    山下栄一君 ありがとうございます。  いずれにしましても、受入れだけじゃなくて、留学生、日本人の留学生、日本人の若手研究者も含めて、場合によったら高校生も含めて、今回補正予算でも高校生の派遣の支援が入っておりますけれども、そういうことはやっぱり非常に日本の将来を託する若手にとって、青少年にとって重要な取組だと思いますので、力を込めたお取り組みを、今の大臣のお言葉に非常に勇気付けられましたけれども、更に進めていただきたいということをお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。  ありがとうございます。
  50. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  51. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、佐藤君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤泰介君。
  52. 佐藤泰介

    ○佐藤泰介君 私は、ただいま可決されました独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案に対し、民主党・新緑風会・国民新日本、自由民主党及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一、研究課題の選定に当たっては、早期に事業化が見込めるもの等に偏ったり、課題数を三十程度と限定することなく、ハイリスク研究等の取扱い、分野間のバランスも勘案し、適正な資源配分を行うこと。また、中心研究者及び研究課題の選考に当たる者については、特定の業界や分野に偏ることのないよう、透明性を確保しつつ、真に我が国の科学研究振興に資する適切な人選を行うこと。  二、先端研究助成基金については、複数年にわたる多額の国費による研究であることを踏まえ、研究の評価の在り方について中間評価の実施を含めて十分検討し、適切に評価を行うとともに、この評価結果をその後の研究開発へ適切に反映させるよう努めること。なお、評価の実施に当たっては、研究者の負担に配慮すること。また、基金の使用状況研究の進捗状況及び研究成果等を広く国民へ情報提供するとともに、国民各層の幅広い活用を期すため、原則として公開すること。  三、総合科学技術会議は、先端研究助成業務について、公正中立かつ適切な選定及び選定過程の公表を行うとともに、本来期待される制度の趣旨が確保されることに責任を負うこと。  四、独立行政法人日本学術振興会は、三千億円の新たな基金が設立される独立行政法人として、科学研究費補助金の交付業務はもとより、先端研究助成業務及び若手研究者海外派遣業務について、一層、公正中立かつ適切な業務運営を行い、各案件の進捗状況に係る管理責任を負うこと。  五、若手研究者の人材育成の在り方は、本来各大学・独立行政法人等が自ら柔軟に判断すべきものであることから、若手研究者の海外派遣への助成に当たっては、運営費交付金や私学助成の拡充等の方策を実現できるよう、その在り方について早急に抜本的見直しを行うこと。  六、基金を使って実施される先端研究助成業務及び若手研究者海外派遣業務については、研究者や研究機関等から広く意見を聴取する等、基金化したことによる効果の検証を行うこと。  七、我が国研究開発力の向上や国際競争力強化観点から、既存の研究助成制度の改善を図るとともに、基礎研究の更なる充実を図るため、科学研究費補助金など研究助成の拡充に努め、その配分についても、基金の活用等、年度をまたぐ柔軟かつ機動的な支出を可能にできるよう、その在り方について抜本的見直しを行うこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  53. 中川雅治

    委員長中川雅治君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  54. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 全会一致と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、塩谷文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩谷文部科学大臣
  55. 塩谷立

    国務大臣塩谷立君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
  56. 中川雅治

    委員長中川雅治君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 中川雅治

    委員長中川雅治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    正午散会