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国務大臣(
石破茂君) 数字はおっしゃるとおりでございます。大体それが
生産コストに跳ね返り、
生産性というものに跳ね返る、この差が恐ろしく付いたのはここ五十年の
お話でございます。この間に、
日本と
ドイツ、
オーストリアの
森林整備の
在り方というのは全然違っちゃっていたということ。
それは、
一つは、
我が国の従来の
木材生産は、ある程度まとまった面積を皆伐し、それを架線により集材するという方式でやっていたと。これは私の考えなのですが、やっぱり一本切ると何千万とか、そういう銘木なるものがあって、それはもう極端な話、ヘリコプターで運んだって採算が合うのだみたいなところがあって、きちんと、それがすべてとは申しませんが、そういう北欧の諸国にはない
木材の特性というものがあったというのも私はあながち否定できないところだろうと思います。
その
林道の
整備というのが遅れてきた。あるいは、
作業道の
お話ですが、伐採跡地などに造成された人工林にありましては、これまでは下刈り等の保育初期の間伐を行う時期にあるものが多くて、
作業道の
整備を優先する必要性は乏しかった、よって幹線的な
林道の
整備が優先されてきたのだということは言えるのだろうというふうに思っております。
私
どもとして、今、二度目、三度目の間伐期を迎えておるわけでございまして、このような
森林につきましては、公益的機能の継続的発揮等々の観点あるいは
コストを削減する観点から、皆伐の方法によるのではなくて、
間伐等の繰り返しによる長伐期化を図っておるということであります。そのためには、路網と高性能機械を組み合わせた作業システムの
整備、普及を進めていかねばなりませんので、二十一年度
補正予算におきまして、
林道、
作業道等の
整備を行う
森林整備事業、公共でございます、の
予算を手厚く措置をいたしました、七百九十億。あるいは、工夫次第でございますが、
森林所有者の負担なしで
作業道の
整備を
実施できる定額助成方式の
支援拡充、これは今それぞれの地域において非常に好評を持って迎えられておるところでございます。
林道と
作業道とを適切に組み合わせた林内路網の
整備を強力に推進していかねばならないということですが、とにかく
林道、
作業道の
整備というのを相当に加速していかないとこれはもうできないと思っております。
日本の木がどうしても高いというのは、やはり搬出に掛かる
コストが高い、それは
林道網というものが全然十分ではないということが根源的な原因であることは間違いない事実でございますので、これをどうやって急いで
コストを下げていくかということが、私はこれから先、林政の中心的な課題になるのではないかというふうに考えております。
オーストリアの農林
大臣ともこの間随分長い時間
議論したことですが、
オーストリアの
森林政策、よく
日本の場合には傾斜が急だからと言われるんですけれ
ども、
オーストリアだって急じゃないのという話ですよね。
日本が今までエクスキューズとしてきたものが必ずしも普遍的に当てはまらないという
認識を私自身は持っておるのです。
そうすると、かなりの
予算を必要といたしますが、それによって
森林が守られ、よく公益的機能というふうに言われますが、これはこれだけお金を掛けて
森林を
整備することにこういう意義があるのだということを納税者の
方々にもよく理解をしていただきませんと、何でこんなにお金を使うんだというような
お話になります。
でも、二百年住宅とかいろんなことを言いましても、CO2削減とかいろんなことを言いましても、これをきちんとやって森が
整備されなければそういう政策目標は成就いたしませんので、そこをやはりどうやって納税者の
方々にも広く御理解をいただくかということ。もちろん、
森林所有者の
方々とも私、定期的に意見交換を行っておりますけれ
ども、それと納税者とのマッチングというようなものを図っていくことが必要なことだと。
今までの政策というものの
問題点というものはよく
認識をしておるつもりでございますので、ここをどう改めるかは、また
委員の御意見も承りながら積極的に進めてまいりたいと思っております。