○山田俊男君 今回、大詰めに来まして
農地法の
改正の
議論を初めてさせていただくことになったわけでありまして、少し時間を長めにいただいたわけでありますが、
大臣、それから衆議院で修正いただきました宮腰先生に出ていただいておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、我が国の
農業の
基本を考えたときに、
農業で食べていける基盤をどうつくり上げるかということが一番大事だというふうに思います。そうした観点からすると、やはり
生産力の基礎になります
農地をどう集積できるか、我が国の
実態からしますと所有地は大変小さいわけでありますから、そうするとどう利用を拡大できるかということが、これは長年にわたります我が国の
農政の柱であったというふうに思います。
この間、大変な努力を、それこそ
農林水産省の皆さんも
政策推進の皆さんも、それから各党の皆さんも、それからそれぞれ団体の皆さんも、ひいては市町村、自治体等の皆さんも
農業委員会の皆さんもそれぞれ努力されてきたわけですが、なかなかうまくやはり残念ながら進まなかった。ここへ来て、思い切って
農地の利用について、これはほぼ自由化と言ってはなんですが、それに近い形を取ってみよう、そのことによって食べていける多様な
担い手をつくり上げる基礎にしようじゃないかというのは、それは
一つの画期的な取組でありまして、その観点からしますと、この
改正に対しまして私は大いに評価するものであります。
ところで、これについては大変危険性もあるわけであります。
御案内のとおり、
農業生産法人以外の
法人、すなわち企業等に対して全面的に
農地の利用を開放するといったときに、運用いかんによりましては、また
実態の進み具合いかんによりましては大変な危険性を伴う両側面を持ったものであるというふうに思うわけであります。もしもこのことによって、企業の参入によって、我が国の大事な
地域であったり、さらには
家族農業経営が徐々に押しやられてつぶれていくというようなことになったのでは、それこそこの国の在り方を支える大事なものが崩れてしまうことになっては絶対にいけない、こんなふうに思うわけです。
地域や家族は、それは効率的なものかというと、いや、そうじゃなくて、なかなか効率的でないかもしらぬ。だけれども、今言いましたように、この国のありようを支える本当に大事な基礎であるということはもう論をまたないわけでありますので、この
農地法の
改正がそうした大事な
地域や家族
農業をつぶさないということをもう一番の念頭に置きましてこれを運用していくことが大事だと、こんなふうに思います。
私はこのことを考えるときに、昨年の五月の十四日の経済財政諮問
会議におきます
農業改革の論議、
農地改革、
農政改革の論議を大変忘れることができないわけであります。当時は若林
大臣だったわけでありますけれども、今の経済財政諮問
会議のメンバーとは少し違いまして、ややもすると、どちらかというと自由競争、市場原理を入れた方が要は構造が変わっていいんだというふうに主張される
委員が多かったんじゃないかという経済財政諮問
会議だったせいがあったかというふうに思いますが、大変緊迫した
議論がなされたということを、これは私はもうその場には出ていないわけでありますから議事録で承知しただけでありますけれども、福田総理が論議に加わるというふうなこともありまして、大変緊迫したものであったかというふうに思います。私は今回のこういう形での
議論、
議論を大変積み重ねた上での話でありますけれども、この画期になったのは、やはりこの経済財政諮問
会議だったんじゃないかというふうに思います。
経済財政諮問
会議の民間側
委員が提出されました
平成の
農地改革推進の
方向といいますか
農政展開の
方向ですか、これの全部に賛成したわけではありませんでして、
農業生産法人の全面的なといいますか
相当大幅な規制緩和、これにはこの
改正案はきっちり抵抗をした内容のものに私はなっているんだと思うんです。しかしその一方で、企業参入によります賃借の自由化ということについては思い切って踏み出したことになったかと、こんなふうに思います。
さて、衆議院の
議論を踏まえていただいて、そして、それこそ耕作者が所有するという
意味での耕作者主義という
言い方が適切かどうかということでありますが、耕作している者が所有するんだぞという
基本を目的
規定の中にしっかり入れていただいたということですね。それから一方で、利用といいますか賃借の場合においても、そうした
農業生産法人以外の
法人について、きちっと役員の中で一人以上常時
農業従事者がいることということの
規定を加えて一定の歯止めを掛けていただいたということも大変大事なことであったかと、こんなふうに思います。
前置きが長くなってしまいましたが、そこで、今回の
改正法の運用に当たって、私は留意すべき事項を
中心に、これまで
質疑のあったこと等とも関連させながら
質疑をさせていただきたい、こんなふうに思います。
まず最初に、これは
大臣にお聞きしたいわけでありますけれども、
改正法で描いている
農業経営像とは一体何なんだということなんです。
これらと関連しまして、これは
日本国際フォーラムというのがあるんです。ここのメンバーは学者であったり、それから経済人であったりしておられます、官僚のOBの皆さんも加わったり、多彩なメンバーが加わられております。私は若干納得いかないのは、政府の経済財政諮問
会議の専門調査会の
委員だった人がこの国際フォーラムのメンバーないしは主要な執筆者だったのかなというふうに思ったりしますけれども、そのメンバーであるということや、さらにそのメンバーが一方で、これは
石破大臣が
中心になって役割を果たされている
農政改革六
大臣会合、この作業チームのメンバーにもなっておられるということなものですから心配が募るわけであります。この
日本国際フォーラムの提言は、何と
日本の四百五十万ヘクタールのうちの三分の一に該当する百五十万ヘクタール、これについて百ヘクタールの経営を一万戸
経営体をつくるんだと、こういう提言なんです。まじめな
議論をした上での提言なんです。
一体これは我が国の
農業をどこへ持っていこうとしているのかです。百ヘクタールの
経営体、こうなりますと、もちろん
家族農業経営でできないことはないかというふうに思いますけれど、資本力からしても何からしても、やはり企業参入をそれなりに前提にした内容のものになってしまっているんじゃないかというふうに思うんです。これは我が国の
実態と本当に懸け離れたものであるとしかもう言いようがないわけであります。
一体、この
改正法が目指すのは、
地域に応じた、
地域の
実態に応じた多様な
経営体を育てるんだと、食べていける
経営体を育てるんだと。そして、もちろんそのためにも
政策は、そうした
地域の
実態に応じた多様な
家族農業経営体を
中心とするこれら
経営体に対する
政策支援ですね、これを位置付けていく、これを進めて国民合意を実現していくということなんだということなんだと思うんです。
どうぞ、
大臣の、この
改正法が目指すものは一体何なんだという将来像について意見をお聞きします。