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参考人(
武内智君)
ワタミファームの
武内と申します。
私は、
株式会社ワタミファーム、これは
民間の
販売会社であります。もう
一つ、
農業生産法人有限会社ワタミファーム、この
社長業を兼務しております。見ていただいたとおり真っ黒なのは、実は昨日も
北海道の
農場で
子供たちを相手にずっと
農業をしていたものですから、昨日の夜、
最終便で参りました。
今回の
農地法の
改正については、実は余り興味がなく、
新聞は見ていたんですが、大勢は影響ないだろうなというふうに実は思って見ておりました。
企業批判が多いのも重々承知しておりますが、実際産地へ行きますと、そうではなくて、もう何とかしてくれという悲鳴が上がっております。今も
全国から個人の
農家さん始め
高齢者の方、あるいは
行政、県庁始めかなりの
方たちが毎月のように
おいでになります。今お会いしますと
期待を持たれてしまうので、なるべくはお会いしないように最近はしておりまして、できることなれば、我々もう少し力を付けて、もっと
農業界に貢献したいなと実は思って今
社員たちを育成をしております。
私は、
農業を始めましたのは十五年ほど前でございます。
ワタミとしては七年前に
農業に入っております。入り方は、当初
農事組合法人の私が理事やっていたものですから、まずそこで
農場をスタートさせると。それは
民間で初めて、役場に行って実は
農業やりたいんだと言ったときに、おまえら産廃やるのかというふうに言われたので、とてもじゃないけれども、これ正面から突破できないなということでやむを得ず違う手を取りました。
一年後には、
農業特区、それから
農業生産法人、ほぼ同時に通りまして、実は
農業生産法人と
特区と兼用していたと。残念ながら
特区の
制度については非常に使いにくい
制度で、何かいいことあるかなと思いましてこれはやったんですが、何もいいことなくて、
コマーシャルだけだったなというふうに正直思っております。
その後、各
地方行政から
依頼があったたびに、
特区でやりますか
農業法人でやりますかというふうにお話しすると、
皆さん農業法人にしてくれと、
特区はやめてくれと。
北海道で
特区をやるときにも、実は
農協さんから呼ばれて、やめてくれと。あなた
たちは
農業法人は持っているんだからそれでやってくれという
依頼もありましたが、あえて
特区でやったのは、その町の
町づくりの
コマーシャルのために実はやった経緯がございます。
やはり
株式会社でやると非常にいろいろ
不都合があります。
株式会社じゃなく
農業生産法人でやらないと実は
不都合があります。
例えば、これは
北海道のせたなというところで、町が作った乳製品、
乳加工製品の工場があります。当然
補助事業が入っております。ここを
株式、
民間で借りようと思って進めていたところ、待ったが掛かりました。
用途変更であるということで、
農水の方も駄目だということで、いったん
営業許可を
株式会社で取ったものを一回取消しをして、
農業生産法人で取り直して、それで
農水省に半年ぐらい実は通って、町は赤字になっているので何とか変わってくれということだったんですが、それさえもなかなか思うようにならぬというのが
実態の
民間の
参入です。
実は私、その町は、十五年前から
町づくりにかかわって、町、町長も含めて、町の方とどうやってこの町を再生しようかということで、そんな活動をしていく中で、私は
有機農業が非常に好きなものですから、じゃ
有機農業で
町づくりしようよということでスタートしたんですが、なかなかやはり道庁、それから
農水と上に上がっていくに従って話が通らない、書類が机の上に置いたままになる、数か月そのままになってしまうということで、非常に嫌な、我々の
経営にとってもマイナスがありました。
民間、いわゆる
株式会社というのは決して、
農業法人であっても
株式会社あるわけですが、ここで言う
株式会社というのは、あくまでも商法の
民間の
会社のことを言っていると思いますが、やはりもし
民間参入が、あるいは
株式がまずいのであれば、やっぱり僕は
地方行政も徹底してリースなり、いわゆる
農業生産法人でない形を進めればいいんです。ここが全く違う動きであると。それは手続上非常に厄介だからですね。
農業生産法人の今回
出資要件、それから
構成要件等々ありますが、これも随分いろんな
補助やら相談で
農水に行ったときにお話をしたんですが、実際の今の現在の
農業法人の
方々は、ほとんどがお父さんが
社長、お母さんが
専務、
息子が
取締役部長と。いわゆる
法人の形を成しているけれども、実際の
法人の運営はしていないですね。ましてや月次の決算もしていない。
今日は
北海道の
議員の方も
おいでのようですが、
北海道のある
規模の
農家さんには、私、今
経営指導をしております。やはり
経営指導を、
経営ができない
農家さんのちょっと
経営を見てあげるだけでそれは改善ができるわけです。今までそれはだれがやらなきゃいけなかったのだろうかと、そしてなぜそれが今まで
農業界にできていなかったんだろうと。
今、私どもはメーンの
農場は、千葉三か所、群馬一か所、京都一か所、
北海道で
関連会社を入れると三か所をやっております。来年四月には大分の臼杵市に新しい
農場を今準備をしております。これは県が、あるいは市が三年にわたって何とか出てほしいということの
依頼で行くんで、我々が
企業参入と言えるものではないです。
この
出資要件についても、今回一〇%が二五%に変わると
新聞ではにぎわしていますけれども、それで何が変わるんだろうなと。最近の例でいうと、
セブンファームさんもある、あるいは、らでぃっしゅさんもある。いろんなところが
出資、
農業生産法人をつくっているとは言いますが、たかだか三十万や五十万のところの
出資に一〇%や二〇%の
出資して、それ何の役に立つんですかということです。全く
実態とそれから
法律上の話とでは違いますよと。十万、二十万で
農業機械何が買えますかと。そんな
出資金で何ができるんですか。我々は、私は十五年ほどやって、実際に今資本金は一億二千万、
株式会社を持っておりますが、
農業生産法人は三百万ですが、
実態としてはほとんど
株式会社から資金的なものは出しております。
そんな中で、本当に
民間参入がそんな簡単にいくものだろうかと。よく
新聞社の
方たちが、
武内さんは
農業法人の
改正あるいは緩和どう思いますかとか、いろいろお話を聞かれます。あるいは、
農地を買った方がいいですか、買えるようになった方がいいですかなんて聞きますけれども、何で買わなきゃいけないんですかと、
民間企業が。ただ、農振地区だとかでハウスを建てたいとか
農業の施設建てたくても、これは全部転用を掛けなきゃえらい厄介ですと。この辺のことを考えると、買えた方がいいかもしれないけれども、別にその分だけ何らかの手があれば要らないんじゃないですかということも過去に何度も言っています。
それと、もう
一つは担保にならないということですね、
農地は。これは非常に大きいと思います。なぜ
民間会社あるいは
民間の金融機関がそれを担保にできないんだろうと。だから、どうしても
農家さんは
農協さんへ依存してしまって、依存度が高過ぎて、結果としてまともな
経営をしていない。要するに、オープンに全くなっていない。
先ほど、年一回の
農業委員会の報告義務、それから認定
農業者の申請等も私どもやっております。正直申しまして、認定
農業者に全部私どもなっていますが、書類を書ければ、ある程度若ければだれでもなれる
制度だなと思っています。本来は、そうではなくて三年とか五年のPL、BSの事業計画を出してやるべきであって、あれは作文。
特区のときもそうでした。ですから、千葉県にも私、物を申しました、県が勝手に書かないでくれと。何で県の新規就農を我々が育成しなきゃいけないんですかと。何で我々が自分
たちで施設を用意して、そこで人を育成して
農業界に輩出しなきゃいけないんですかと。
我々は社員を育成します。そして、将来そのメンバーが
全国に散って優秀な
農業者になったり
農業のマネージャーとして行くことが大事だと思っています。今
農業界にいないのはマネージャーですね。ですから、最近若い
会社の
方々、三十代、四十代の
経営をやっている異業種から
参入している、あるいは元々
農業の二代、二世の
方たちで
経営センスの持っている方、
全国に多分何十人とはいないと思いますけれども、五本指に入るような方はいますが、その方は非常にマネジメントセンスを持っています。そのことを教育するのはだれだったんだろうと。それは、恐らく
民間企業であればマネジメント、マネジメントって、もう明けても暮れてもマネジメントであり
経営であり、ここが
農業界になかったからこういう問題が起きてしまったんじゃなかろうかと。なぜそのことを
議論せず、ですから分かりにくい
言葉ばかり出てしまうんだと僕は思います。
ですから、私はもちろん今回、
農地法の
改正を何度も読みましたけれども、相変わらず分からないなと。集落営農のときもそうでしたけれども、この目的は一体何なんだろうと。じゃ、
農地法ってだれのためのものなんだろうと。ひょっとしたら、
農家さんだけのものとしか考えていないんじゃなかろうかと。そうではないんでしょうと。これは国民の食生活を守るために
農地をこう
利用していきましょうという
法律の原理
原則があるんじゃなかろうかと。その原理
原則を忘れて、どうも小手先の方法論ばっかりにしか我々には見えません。
民間企業では
理念というのを非常に大事にします。この
理念は一体何なんだろうと。
農地法の矛盾はたくさんあると思います。省をまたがった
法律もありますし、先ほども出ていましたけれども、例えば相続の問題。もう千葉では、土地ばらばら、もう小さな土地だらけですね。これ、何でだか。どんな不整だって、相続で
農家じゃない子
たちにどんどん
農地が行っているわけですから、これを何ともせずにして
農地法改正したって何も変わらないと思います。なぜ、そういうところに手を打たれないんだろうなと。これは我々、実感として借りるときに厄介です、非常に。
我々の畑は、今
規模でいうと
全国で約五百ヘクタールぐらい管理をしていますが、一か所一か所は小さいです。十ヘクタールぐらいの
規模です。十ヘクタールの畑で、畑が三十契約もあります。そんな状態になっています。でも、我々は
農協さんに余り好意的じゃないものですから、中山間地のいろいろな
制度だとかに乗れません。ほとんど、
補助は全くもらっていません。
補助をもらうのは、新規進出で、例えば京都府、今回大分県から
依頼があったときには県と市が組んでいろんなことをやっていただきました。それ以外は、最近、何か分かりませんが、認定事業者向けに何かお金が二十万だとか三十万、訳の分からないのが来ます。非常に有り難いです。有り難いですけれども、これは随分お金が余っているんだなと。私のポケットに入るわけじゃないんで、私どもの
会社で二十万、三十万もらったって、どうしようかと、雑収だねと言うだけで、一体これが
農家さんにとって、うれしいけれども、お金くれるの、小遣いくれるのはうれしいけれども、やる気を起こす
制度なんだろうかなと。最近、
補助の
制度を見ているとそう思います。
なぜ、水田だけ二百億もの緊急のリースの
補助が出るのか。我々は、買いたくても買えなくて、中古のトラクターとトラック、全部中古です。以前、山田
議員がまだ
議員になる前に
おいでになりましたけれども、新品買えないんです、新規で
補助をもらえれば買えるかもしれませんが。そうやって私どもやってきて、ですからずうっと実は赤字でした。
一番の赤字は国営
農地開発事業。県のパイロット事業でやったところに
行政から
依頼があって行ったところです。二年、三年ぐらいで一億円赤字が出ています。もうどうにもなりません、土木事業をやってくれたおかげで。でも、地元の
行政は何とか植えたい、だれもやる人がいない、ほうっておけば山になる。もう山にすればいいと思うんですね、ああいうところは。別に
農地に変えたからって、
農地である必要はないんであって、
法律を変えてもう一回山にすればいいんですよ。そんなところにお金を使って、こんな山の引っ込み引っ込みを平らにして、水の流れもぐじゃぐじゃにして、全く
農業の分からない
人たちが造成をしてしまっていると。そういうところに
民間の私どもが入ってえらい目に遭っていますし、以前、
特区で入った
方々も随分これで駄目になっていっています。
よく
民間はすぐやめると言いますけれども、もっとひどいのは僕は
農家さんだと思いますね。土は売ってしまう。お金になるのは何でもやってしまう、全部とは言いませんが。これは別に、
民間企業であろうが
農家さんであろうが僕は一緒だと思います。そのことを何か、
株式会社だ、
民間参入というのを悪者扱いするのは、何ともやっぱり不思議で仕方がないと、なぜそんな
議論になるんだろうと。
それは恐らく、
農業界に今まで
民間参入がなくて、オープンにされていない閉鎖的な社会であったからであろうと思います。だから
言葉も分からなくしているんだろうと思います。一般の消費者の
人たちが分かるような
言葉を使った
法律にすべきだなというふうに思います。
あと、今回
農業委員会のいろいろ
制度改正もあるようですが、
農業委員会も私いろいろお付き合いをさせていただいて、今日も
会議所の方
おいでになっていますが、すばらしい
農業委員会はやっぱり事務
局長がすばらしいなと思います。でも、
農地情報も全くない。この間、昨年でしたでしょうか、
耕作放棄地の
調査したときに、本当に
調査をしたんだろうかと。知らないですね、
農業委員会の
人たちは。事務
局長さえも知らないです。我々の方が詳しいですね、地元にいますから。そんなヒアリングは一回も来ていません。
我々は、
農地は、黙っていても今
農家の
方たちが借りてくれと来ます。私どもは買いませんので、うちは買えませんよと、でも
ワタミさんなら借りてくれますよねといって皆さん
おいでになります。そういう
農家さんが借りてくれという
農地は悪い
農地じゃないんです。もう年取ったからできないから、二ヘクタール、これ借りてくれないかと。そういう関係で、私どもは地元で
農業活動をやっていますが、こういう僕は
農業参入をもっと増やしていって
活性化されたらいいんじゃなかろうかなというふうに思っております。
以上でございます。