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2009-03-24 第171回国会 参議院 農林水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年三月二十四日(火曜日)    午後一時二十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         平野 達男君     理 事                                郡司  彰君                 高橋 千秋君                 加治屋義人君                 佐藤 昭郎君     委 員                                岩本  司君                 小川 勝也君                 大河原雅子君                 金子 恵美君                 亀井亜紀子君                 主濱  了君                 姫井由美子君                 舟山 康江君                 岩永 浩美君                 野村 哲郎君                 牧野たかお君                 山田 俊男君                 風間  昶君                 草川 昭三君                 紙  智子君    国務大臣        農林水産大臣   石破  茂君    副大臣        農林水産大臣  近藤 基彦君    大臣政務官        農林水産大臣政        務官       野村 哲郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 朝雄君    政府参考人        金融庁総務企画        局審議官     岳野万里夫君        文部科学大臣官        房総括審議官   合田 隆史君        文部科学大臣官        房審議官     尾崎 春樹君        農林水産大臣官        房長       佐藤 正典君        農林水産大臣官        房技術総括審議        官        吉田 岳志君        農林水産省総合        食料局長     町田 勝弘君        農林水産省消費        ・安全局長    竹谷 廣之君        農林水産省生産        局長       本川 一善君        農林水産省経営        局長       高橋  博君        農林水産省農村        振興局長     吉村  馨君        林野庁長官    内藤 邦男君        水産庁長官    山田 修路君        資源エネルギー        庁省エネルギー        ・新エネルギー        部長       羽藤 秀雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○平成二十一年度一般会計予算内閣提出、衆議  院送付)、平成二十一年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付)、平成二十一年度政府関係  機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管)     ─────────────
  2. 平野達男

    委員長平野達男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、金融庁総務企画局審議官岳野万里夫君外十二名を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平野達男

    委員長平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 平野達男

    委員長平野達男君) 去る十八日、予算委員会から、本日一日間、平成二十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管について審査委嘱がありました。  この際、本件を議題といたします。  石破農林水産大臣から説明を求めます。石破農林水産大臣
  5. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 平成二十一年度農林水産予算概要を御説明申し上げます。  平成二十一年度一般会計予算における農林水産予算の額は、関係省計上分を含めて二兆五千六百五億円となっております。その内訳は、公共事業費が九千九百五十二億円、非公共事業費が一兆五千六百五十三億円となっております。  平成二十一年度の農林水産予算は、食料安全保障確立農山漁村活性化資源環境対策林業山村再生や力強い水産業確立などを進める観点から、既存の予算を見直した上で大胆に予算重点化を行うなど、新たな政策展開が図られるよう編成をいたしました。  以下、予算重点事項について御説明いたします。  第一に、国際的な食料事情を踏まえた食料安全保障確立に取り組みます。  まず、水田等を有効活用し、米粉飼料用米、麦、大豆等需要に応じた生産拡大する取組を総合的に支援するとともに、米粉飼料用米等利用拡大飼料自給率の向上を図り、食料供給力を強化します。また、国産野菜果実等利用拡大耕作放棄地解消のための取組等を支援してまいります。  あわせて、意欲と能力のある担い手育成すべく、水田畑作経営所得安定対策を着実に実施するほか、食料生産基盤である農地確保有効利用を促進し、国内農業体質強化による食料供給力確保を図ってまいります。  さらに、国際協力等を通じた世界食料問題解決への貢献や、我が国農林水産物輸出拡大省エネ・省資源化推進生産現場から食卓にわたる食の安全、消費者信頼確保と食生活の充実先端技術知的財産活用等に取り組みます。  第二に、農山漁村活性化対策を展開します。  まず、地域活性化推進役となる人材育成への支援や、小学生の宿泊体験全国的な展開等を通じて、都市と農山漁村の共生・対流による農山漁村活性化推進します。  また、地域基幹産業である農林水産業商工業等との連携、いわゆる農商工連携を強化し、それぞれの強みを十二分に発揮した事業活動を促進します。  さらに、鳥獣被害から農山漁村の暮らしを守る対策を展開するとともに、防災・減災対策を講じ、安全、安心で活力ある農山漁村づくり推進します。  第三に、資源環境対策推進します。  まず、農林水産分野における低炭素社会実現のため、温室効果ガス削減効果を表示する取組や、農地土壌温室効果ガス吸収源としての機能を高める取組等を通じて地球温暖化対策を強化します。  また、食料供給と競合しない非食料原料を用いた国産バイオ燃料生産拡大等バイオマス利活用推進します。  このほか、田園地域森林、海洋を保全し、生物多様性を重視する農林水産業推進します。  第四に、低炭素社会に向けた森林資源整備活用林業山村再生に取り組みます。  まず、低炭素社会実現に不可欠な森林吸収源対策の一層の推進に向け、間伐等森林整備が進みにくい条件不利森林早期解消に向けた取組等充実を図り、国民ニーズをとらえた美しい森林づくり推進します。  また、充実しつつある人工林資源循環利用を担う林業経営体等育成を支援するとともに、需給変化に対応した木材産業構造確立し、国産材利用拡大に取り組みます。  さらに、社会全体で森林資源保全活用し、山村再生を図ってまいります。  第五に、将来にわたって持続可能な力強い水産業確立します。  まず、省エネ構造改革推進により、漁業経営体質を強化するとともに、漁業担い手育成確保します。  また、産地販売力を強化すること等により、新鮮で安心な国産水産物消費者に届けるとともに、漁業者手取り確保を図ります。  資源管理・回復を推進するとともに、漁港、漁場、漁村の総合的な整備多面的機能の発揮に向け、安全で活力ある漁村づくり環境生態系保全取組等を支援してまいります。  次に、特別会計については、食料安定供給特別会計等について、それぞれ所要の予算を計上しております。  最後に、財政投融資計画については、日本政策金融公庫等による財政融資資金の借入れなど総額二千三十六億円を予定しております。  以上で、平成二十一年度農林水産予算概要説明を終わります。
  6. 平野達男

    委員長平野達男君) 以上で予算説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 高橋千秋

    高橋千秋君 民主党高橋千秋でございます。  石破大臣に初めて質問をさせていただく機会を与えていただきました。今日はよろしくお願いを申し上げたいと思います。  ここのところ、中日新聞、東京新聞特集で毎日、「農は国の本なり」という特集がずっと続いておりまして、読んでいただいているかなとも思いますが、多くは農水予算の使い方、ここはおかしいじゃないかとか、いろいろ問題が多いという部分が連日特集をされております。今日も少し出ておりましたけれども、そういう問題についてもただしていかなきゃいけないと思いますが、私は、今日の質問はやっぱりこういうふうに前向きに変えていった方がいいんじゃないかという視点で御質問をさせていただきたいなというふうに思っています。  それで、私は国会議員になってから人口の問題についてもずっと取り組んでまいりまして、アジア人口問題議員懇談会というのがございます。会長は福田康夫さんがされておりまして、超党派でメンバーになっております。この中で、特に昨年、何度か会議があって私も出席をしたんですが、やはり食の問題というのはその中でもかなり大きな人口にかかわる問題で、要素となってまいっております。  昨年の十二月の十五日に私もベトナムのハノイでこの問題について一時間ほどスピーチをさせていただきましたけれども、そこで多くのアジア諸国方々に、日本の今の自給率の問題とか、輸入にこれだけ頼っているんだという話をさせていただくと、多くのアジア諸国議員方々は改めてそのことにびっくりをされることが多いなというふうに感じました。  そこで、これからあと三十年で日本人口は約一億人ぐらいに減るわけですが、世界人口は一・五倍になるというふうに予想がされています。特に、去年の今ごろだったと思うんですが、燃料高騰とともに食料高騰という問題が大きく問題になりました。バターがなくなる。スーパーへ私も見に行きましたけれども、棚にはいつ入荷するか分かりませんというような、そういう話があちこちであったり、えさ代が高くなって大変だとか、いろんな問題がちょうど今ぐらいから沸騰をし始めたなというふうに思うんですが、ある意味幸いだったのかも分かりませんが、アメリカから起こった金融危機で今度は価格が下がってきた。燃料は特にあの大騒ぎした前ぐらいにまで今は下がっていますが、ただ、食料それからえさ等については高止まりをしていて、畜産酪農家なんかは大変厳しい状態が続いているのはもう御存じのとおりでございます。  そういう中で、長期的に考えると、やはり一・五倍になる人口を、それだけの方々に食べていただくためには、生産量も今ほぼイーブンですので、これを、一・五倍に人口が増えるということは、一・五倍に生産量も増やしていかないといけないわけですが、その辺のことをどのように大臣としてとらえておられるか。  そしてまた、日本とすれば、私は最近、買い負けという話をよく聞きます。中国食料輸出国でございましたが、最近、輸入国に変わりつつあります。そういう意味で、外貨準備高ももう中国の方が多いわけで、これから買い負けという話が多分出てくるだろうと。そういう中で、日本とすれば、三十年後に一億に減るにしても、一億の方々に食べていっていただかなきゃいけない。これは、石破大臣の前職の専門かも分かりませんが、安保という問題を考えても、やはり大事な問題だというふうに私はとらえておるんですが、大臣の所見をお伺いをしたいというふうに思います。
  8. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 世界食料事情については委員指摘のとおりであります。これを食料不足ととらえるか、偏在ととらえるか、いろんな議論はあるんだろうと思っております。  すなわち、今、九億六千万人ぐらい栄養不良人口栄養不足人口というのが存在をし、一日に二万五千人が餓死をしておるという状況なんでありますが、栄養不良の反対、栄養過多というんですか、それが十五億人ぐらいいるわけで、この辺りをどう考えて議論をちゃんとしていかねばならぬのだろうと思っております。  翻って我が国状況を見ますに、委員が御指摘のとおりですが、加えて、毎年一千九百万トンの食料を廃棄しているわけで、これは、世界中がいろんな国に食糧援助をやっているわけですが、日本人が食べずに捨てている食料の量というのは、世界中食糧援助の総量を上回るということでありまして、我が国として、委員が御指摘になりましたように、昨年、ローマにおける会議あるいは洞爺湖サミットでいろんな議論がありました。我が国として、国民に対してきちんとした供給を行う、そして世界に対して迷惑を掛けない、あるいは世界食料事情我が国が資していくと、そういうことを考えていかねばならないんだろうというふうに考えております。  食料需給は今後十年間逼迫した状態が継続するだろう、国際価格も高水準で推移すると、かように予測をしておるわけでございます。いつまでも金さえ出せば食料は買えるという話ではございませんのです。  安全保障について御指摘をいただきました。  それは食料においても軍事面においても一緒なんでありまして、想定され得るいろんな状況に対応し得るものでなくてはいかぬのだろうというふうに考えております。どちらも安全保障に関することでございますので、かなり危機的な状況も想定して政策を組んでいきませんと、そうでなかった、ああよかったねということはあるんでありますが、考えていたのと違う状況になりましたと、国民に対してちゃんと安全が提供できませんと、そうなると責任の取りようがないわけで、私どもとしては、かなり起こり得るいろんな状態というものを想定し、政策を打っていかねばならないものだと考えておる次第でございます。
  9. 高橋千秋

    高橋千秋君 食料がこれから大変になっていくということは共通した認識だと思うんですが、私も民主党の方で、参議院の農水メンバー中心全国を今歩かさせていただいて、現地を見させていただいています。  その中で、先日も高知県へ行かせていただきましたけれども、やはりさっき相対的なという話もありましたが、危機的な状況にあるというのはやっぱりどこへ行っても肌身に感じることだし、大臣の方もその辺はそのように思っておられるんじゃないかなと、そのそれぞれの地方がこのままじゃ農業を続けられるのかどうかということを、私も非常に痛感をしています。  食料問題というのは、やはりこれから本当に大きな問題になっていくんだろうと。今、グリーンニューディールとかいろいろ言われていますけれども、大変な状況になるという認識の上で、やはり食の確保のために農業政策考えていただきたいなというふうに思っておりますが。  その中で、昨年だったか、バイオエタノール法案審議が、石破大臣じゃないときだったと思うんですが、させていただきました。私もそのときに質疑に立たせていただいたんですが、今回の予算の中に次世代バイオマス利活用推進対策として二百三億円付けられているわけですが、昨年とそう変わるわけでもなく、同じような金額が付けられておるわけですが、これが多いか少ないかは判断が分かれるかも分かりませんけれども、どうも去年の今ぐらいは燃料高ということもあって、このバイオマスバイオエタノール等を含めて、非常に、これはすぐに実行に移していかにゃあかんというような、そんな雰囲気だったかと思うんですが、やはり金融危機の後、いつの間にか、意気消沈と言ったら失礼かも分かりませんが、最近ほとんどマスコミに出ることもなくなってまいりまして、本当にこれ進んでいくのかなというふうに危惧をしています。  そのときに、六百万キロリットルをバイオエタノールでやっていくという目標もあったかと思うんですが、しかし、あのときの審議の中で、日本バイオエタノール食料原料にしない方向でやっていきたいということで審議もさせていただきましたし、私はそうあるべきだろうと思います。  ただ、これは技術的にもまだまだ確立されているわけではなくて、六百万キロリットルを確保するにはやはり結局輸入に頼らなきゃいけないという話になってきて、結果的には食料をエタノールにしていくということが当面続くのかなというふうに思うんですけれども、今後、この部分予算が適正かどうかも含めてどういうふうに進めていかれるおつもりなのか、お聞きをしたいと思います。
  10. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 確かに、去年の今ごろは、結構、バイオをどうするんだと国民的議論でありました。一年たつと、まあ意気消沈かどうかは分かりませんが、かつてのような盛り上がりがないと。こういうのをのど元過ぎれば熱さを忘れると言うのでありまして、きちんと備えておかないと、そういうようなエネルギー事情というのは、瞬時にしてと言ってもほとんど過言でないと思いますが、変わり得るものだということだと思っております。よって、バイオエタノール事業というものは、これは着実にやっていかねばならない、進捗させていかねばならないと思っています。  これは、委員指摘のように、非食用、稲わら等ソフトセルロース系原料を用いたバイオエタノール生産実証、そして林地残材、残りの材と書きます林地残材間伐材等ハードセルロース系原料を用いたバイオエタノール製造システム開発、これに取り組んでおるところでございます。平成二十年度からそうなっております。関係府省と連携を図りながら、昨年十月に施行されました農林漁業バイオ燃料法を始めとして、各種施策を通じまして生産拡大を図ってまいりたいと。  やはり我が国の場合に、例えば木質バイオマス利用というのがけた違いに低いということだと思っています。けた違いに低い。これは相当に深刻な状況だと考えていかなければなりません。  世界エネルギー需給というのは、別に我が国だけに響くわけではなくて、どの国もそうなのです。しかしながら、我が国として非常に低いということは、エネルギー需給のそのときの需給がどうであれ、きちんとこの事業実証を行い、それが活用されるという方向に変えていかねばならない、その重要性は昨年も今年も何ら変わるものではないと認識をいたしております。
  11. 高橋千秋

    高橋千秋君 マスコミの方ものど元過ぎればでなかなか取り上げなくなっているのだろうと思うんですけれども、是非農水省としてもそういう姿勢を積極的に出していただきたいと思います。  その中で、私たちが全国を回った中で、例えば牛ふん処理をしてバイオマス発電をしているところも行かせていただきました。北海道の阿寒町というところで、牛乳を取っているところで、その牛ふん処理をしてバイオマスにしていると。それから、岩手葛巻町も行かせていただいて、同じように牛ふんでやっているんですが。  そこで出た要望として、今、太陽光発電が買取りを倍にするというのを経産省の方で打ち出して、これは私はいいことだと思っています。グリーンニューディールアメリカ政策の中でも、今そっちの方を頑張って雇用も拡大しよう、日本もそれにならってやっていこうという動きがあるのも事実ですが、このバイオマス発電現場から見ると、買取りが非常に安いと。ほかの部分に比べると非常に安くて、一億、二億の投資をされておられるんですが、そこは、結局なかなか回収もできない、当然補助金もいただいているんですが、それの回収ができないと。余った電気を高い価格で買い取っていただくようなことが考えられれば、その農家も助かるし、そういうバイオマス発電というのも更に発展をしていくだろうと。  実際に岩手葛巻町、それから阿寒町も見せていただくと、そこにある機器は全部ドイツ製なんですね。日本製のものがほとんどないんです。日本製のものは基礎のコンクリートとパイプぐらいでして、あとはほとんどドイツ製の機械でした。なぜドイツ製なんですかと聞いたら、日本はそれだけ投資をしてもビジネスにならないので、やっぱり日本のメーカーは優秀で、もし開発をすればすごくいい機器が作れるんだろうけれども投資ができないということで、そういう部分発展が遅れているというふうなことを聞きました。どうしてもやっぱりドイツ製とかオランダ製だとか、そういうものをやっていかないとできないんだというお話があったんですね。  その意味で、一つの方法としてこのバイオマス発電ですね、ここの買取りも、太陽光発電並みに買取りを考えていただいたらどうかと思うんですが、これは、経産省さん来ていただいているんでしたっけ、その辺、お話ございましたらお聞きをしたいと思います。
  12. 羽藤秀雄

    政府参考人羽藤秀雄君) お答えを申し上げます。  先般、経済産業大臣が発表いたしました、今委員指摘の新たな太陽光発電に係る新たな買取り制度でございますけれども、これは技術革新需要拡大といったことを背景として、この三年から五年ぐらいの間に発電原価の定価が半減をするといったような、そういった見込みがあるという点、それから、我が国太陽光発電関連産業が非常に国際競争力を兼ね備えているという点、そして、この太陽光発電関係する産業は非常にすそ野が広うございまして地域経済活性化にも資すると、こういった理由にかんがみまして、バイオマス発電を始めとする新エネルギー、様々な重要なものがございますけれども、今回この対象を太陽光発電に限って講ずるというふうにしたものでございます。  他方、経済産業省といたしましては、バイオマス発電重要性につきましては、これを導入する事業者に対しましてその導入を支援するための補助制度、あるいは新エネルギーバイオマス発電も含めた新エネルギーにつきまして電力会社導入義務を課しておりますRPS法といった規制的な措置、これを組み合わせまして、バイオマスニッポン総合戦略も踏まえまして、農林水産省施策連携を図りながらバイオマス発電導入拡大に取り組んでおるところでございます。
  13. 高橋千秋

    高橋千秋君 結果的にはそのバイオマスの方はまだ買い取らないということだと思うんですが。  先日、NHKでグリーンニューディール特集をやっていました。その中で、今までブルーカラーというのが、労働者ブルーカラー、ホワイトカラーというのがあったけれども、今度はグリーンカラーというのが出てくるんだという話がございました。まさにこの農業分野でいえば、第一次産業というのはまだまだこれ伸びる余地がたくさんあるし、絶対に必要なものですから、ビジネスとしてもいろいろこれから伸ばせる余地は物すごくある、非常にチャンスがある産業だと私は考えておりまして、その意味でも、それを後ろから後押しするにもこのバイオマス発電なんかは、買取りは太陽光並みにすべきだと思うんで、是非それをやっていただきたいと思うんですが、これ、農水の方は直接関係ないかも分かりませんが、大臣、どういうお考えお持ちですか、これについて。
  14. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これはよく経産省と連携をし、協議をしながらやっていかなければなりません。我が国電力政策がどうあるべきか、ドイツとの比較は結局その原子力発電をどうとらえるかというそこの意識の違いもあるいは底流にはあるのかもしれませんが、このバイオを有効に活用するということが国家にとって重要であることは言うまでもございません。  委員指摘のように、これがビジネスとして成り立つ何らかのインセンティブというのを考えていかないと、なかなかいいことなんだけどね点々々で、それで終わっちゃうわけでございます。私どもとして、これがビジネスとして成り立つように、これが将来普及をしていって、コストを下げていくということになって、これがビジネスとして成り立つようにしなければならぬのですが、その過程において、国としてどういうような助成があり得るのか、インセンティブ政策があり得るのか、そのことはよく議論をさせていただきたいと思っております。  私は、個人的にそのようなインセンティブは、何らかのものは必要であるというような認識には立っております。
  15. 高橋千秋

    高橋千秋君 このバイオマス発電について言えば、愛知県で富士電機とそれから地元の大手の養鶏会社の方が協力して今鳥のふんでバイオマス発電の実験をしているところがあります。これは、日本のメーカーはまだ実験の段階なんですね。実用までまだ行っていないようなところがあって、太陽光発電で考えれば、つい最近まで日本メーカーが第一位だったのが、それはよく御存じだと思いますが、ヨーロッパの方が政策をぽっと変えると一気にドイツのメーカーが第一位になったり、今はもう中国にも抜かれてしまいましたけれども、それで、政策でころっと変わるんですよね。バイオマス発電でも、これは農家にとってみれば、牛ふんなり鶏ふんなり、そういうものというのは、どっちかというと迷惑を地域方々に与えるという、そういうものもありますので、両方解決するという意味では大変重要なやり方だと思います。これをやっぱり政策としてちょっと変えるだけで全部解決してしまうし、むしろビジネスチャンスにもつながると思いますので、是非そういう部分、対応を農水省としても、さっき経産省と連携するというお話でございましたけれども、この部分是非農水省の方でリーダーシップを取っていただきたいというふうに思います。  次に、農政の転換についてお伺いをしたいというふうに思います。  最近、石破大臣大臣に就任をされてからいろいろ発言をされているというのも報道はされておりますが、本当のところは我々もなかなか分かりません。その中で、水田フル活用というのが先日の所信のときにも出てきたかと思うんですが、この二十一年度実施予定の水田等有効活用促進交付金というのがどのような効果与えるのか。平成十九年に補正予算生産調整を拡大するために地域水田農業活性化緊急対策というのが五百億円付けられました。しかし、これはほとんど使われなかったというふうに聞いております。その意味で、今回の部分も何かちょっと、これは予算を組んでいただいたけれども本当にできるのかどうか。今の水田フル活用という、本当にフル活用できればいいですけれども、今後、農地法の改正の審議も後で行われることになりますが、しかし本当にこのままで水田がフル活用できるのかどうかというのは大変疑問に思います。私の地元でもどんどんどんどん高齢化が進んで、水田が空いているところが、草ぼうぼうになっているところがどんどんどんどん最近特に増えてきているように思います。  その意味で、こういう資金をつくっていただくのは結構なんですが、本当に効果があるものかどうか、どのように考えておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  16. 石破茂

    国務大臣石破茂君) フル活用についてのお尋ねでございますが、これが、何でこういう政策が出てきたかというと、稲作農家にとりまして要するに一番取り組みやすいということですよね、お米を作るわけですから。最も取り組みやすいということ。そして、それと関連して、新たな設備投資をしなくてよろしいと、新しい機械を買ったりしなくてよろしいということでございます。  また、実際に加工用のお米が生産現場において定着をしているということも踏まえましたときに、生産者に積極的に取り組んでいただくためにはどれぐらいの助成水準が適当なのかという考え方に基づきまして助成単価を設定をいたしました。すなわち、同じ原料用米である加工用米並みの収入が得られるという水準にいたしたいと思っておるものでございます。  これ、同じお米ですけれども、用途が米粉でありえさ米ということであって、この助成水準というものを更にどんどん上げていくということにはならないのだろうと思っております。むしろ、耕畜連携といいますか、えさ米がきちんと活用されるという流れ、それから今日の農業新聞なんかにも随分出ておりますが、米粉米を使ったいろんな商品の開発、それの需要の喚起、拡大、そういうことを図っていくべきではないのだろうかと。それが多く需要されるようになることによって、多く消費されるようになることによって、この政策というものの実効性が更に上がっていくものだというふうに私としては考えておるところでございます。
  17. 高橋千秋

    高橋千秋君 先日、高知へ行かしていただいて、先週の週末ですが、もう既に田植の準備が始まっておりました。もう田植が始まるのかなという感じなんですけれども。これだけ早い時期に、まあ三重県ももう四月の後半ぐらいから始まるんですが、実際のところ一期作ですよね。それで、一度米を取ったらもうそれで後は田んぼの風景が広がるわけですけれども。  このフル活用については、大臣言われるように、えさ米だとかそういう部分にしていくというのも大変重要なことなんですが、基本的になぜ水田をフル活用しないかというと、やっぱりもうからないからフル活用しないんだろうと思うんですよね。これ、もうかるようにするということがまず第一のことだと思うんですよ。農家が持続的に農業を続けていただく。これは水田フル活用の問題だけではないんですけれども、やはり農家がなぜ農家をやめていくのか、耕作放棄地が増えていくのかというのは、やはりもうからないからというか、生活が維持できない、仕事が維持できないからそうなっていくわけで、そこをやっぱり根本的に解決していかないと、小手先のやり方ではなかなかこれは解決しない問題だと思います。これは、予算を付けていただいたのは結構なんですけれども、なかなかこれだけでフル活用しなさいと言ったところで、はい分かりましたという、そうなるものじゃないということは大臣も御存じだと思いますけれども、それはやっぱり根本的に農家が農業を維持できるようなそういう政策に変えていくべきじゃないかと。  我々はその意味で直接支払制度を提唱しているわけでありますけれども、次の質問に関連してくるわけですが、大臣が就任以来、生産調整についていろいろコメントを出されているようでございます。いろいろ新聞にも出ておりましたけれども、生産調整、減反ですね、これについて、私はもう今農家が一番やる気なくしているのはここじゃないかなというふうに思うんですが、生産調整を見直すつもりがあるのかないのか、そこだけまず大臣にお聞きしたいと思います。
  18. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これ、今省内においても検討をいたしております。あるいは、六大臣会合の下で作業チームがいろいろな議論を行っておるところでございます。  これは農林水産省だけで行うものではございませんで、政府全体としてどう考えるかということでございますので、私としてこういうふうにするとかああいうふうにするとかいうことを今申し上げる段階にはございませんが、先週の土曜日でしたかしら、朝日新聞がアンケートを取っておりました。御覧になったかもしれません。東北大学との協力の下に、農家を対象として、生産調整についてどう思うか、これを減反政策という言い方、必ずしもオーバーラップしませんが、どう思うかというアンケートがございました。  そうすると、大幅に見直すべきであるとか、そういうような御意見ですね。つまり、そのまま読みますと、減反政策は廃止されるべきであるが一六・三%、減反政策自体やめるべきではないが大幅な見直しが必要である、四八・三%、減反政策自体やめるべきではないが若干の見直しは必要である、二三・五%、現在の減反政策は維持されるべきである、九・七%と、こうなっておるわけです。大幅な見直しが必要であるというのがもうほとんど過半数まで来ているということは、これは生産現場の実感がそうなのだということであります。じゃ、何を大幅に見直すかというのはまた議論があるんでしょう。  しかし、私は、これは何度か答弁申し上げましたが、不公平感というものは払拭しないと駄目なのだと。まじめにまじめに減反をした人たちが価格を維持をしているが、私は知りません、関係ありませんという人たちがその価格の上に乗って利益を得ていると、これはだれがどう見たって不公平だと。この不公平感の払拭というものはどうしても取り組まねばならないことだというふうに考えております。見直しのポイントの一つはそういうことなのでありまして、同じアンケートの中に、現在の減反政策は減反に協力しない人が得をし、不平等だという指摘があると、あなたはその指摘についてどう思うかと、そのとおりだと思うというのが七一・六でございます。これは一つの眼目にしていかねばならないのではないかという意識は強くございます。  ただ、それだけが政策の見直しではございませんで、これから先、水田営農が持続可能性を維持するためにどういうような政策が正しいか。これは、この政策だけで米政策が成り立つわけではございませんで、農地政策というものをどう考えていくかというものと一つのパッケージにして議論をしていかねばならないものだというふうに思っております。  ですから、それはもう全部総合的に、今後の国会におきまして農地法の御議論もいただきますが、何が持続可能性を担保するのかということについて、不公平感の解消ということも念頭に置きながら議論が更に濃密に行われて、生産現場が納得するような政策を出していくことが必要かと思っております。
  19. 高橋千秋

    高橋千秋君 アンケートはアンケートとして、いろいろ意見を聞いていただきたいというふうに思いますが、私の家も農家で三町歩あるんですが、一町歩ぐらい減反しているんですね。先日の高知でも、町によって減反の比率が違ったり、いろいろ不公平感というのもみんなお持ちでございました。  その中で、さっき朝日新聞の話が出ましたけれども、朝日新聞の二月三日付けに選択制という話が報道されました。大臣はそういう事実はないというふうに否定をされているようでありますけれども、自民党内若しくは政府の中でこういう問題についてどのように考えておられるのか。  そして、これ、見させていただいたときに、我々が出した農業者戸別所得補償法案に極めて近いなというふうに思ったんですね。それに対する評価も少し流れておりますけれども、もしこのような形でいくんであれば、私たちが去年出して、ちょうど今ぐらいに議論をさせていただいたわけですけれども、農業者戸別所得補償、つまり直接支払制度ですね、こういうものについてどういう評価をお持ちなのかをお伺いをさせていただきたいと思います。
  20. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 党内で私がいつも出て議論をしておるわけではございませんので、今の党内でどういう話をしておるか、適切に余りお答えできる立場にはございません。  選択制について、これ何を御覧いただいても結構なのですが、私は選択制を入れるということを言ったことはないのであります。ただ、食管法から食糧法に移りますときに、この選択制という議論は相当に行われました。オープンな場で行われたということは委員も御案内かもしれません。ですから、別に私が新発明してこれがどうだということを申し上げているわけではなくて、過去にもそういう議論があったということは事実でございます。  それから、あらゆる方向から検討するということなのであり、その中でいろんな手法が考えられるのだろうと思っております。  御党の政策に似ているではないかというお話でございます。いずれにしても、農家というもの、あるいは、ここの概念はうまく整理しなければいけませんが、農業というものをこれから先も維持していかねばならないという認識では一致をしているはずです。そのための手法としていかにあるべきかということであって、私どもとしては、その実現に至るまでの手法について、それが本当に実施可能なのだろうか。御党の法案を拝見をしたときに、米のみならず、主要な農作物について生産目標を設定しと、こういうことになっているわけですが、どのようにして設定するのかというのが分からない。そして、仮に設定したとしましょう。これぐらいが目標であるというふうに設定したとする。じゃ、それをどのようにして北海道に配分し、どのように三重県に配分し、どのようにして岡山県に配分しということは、どのような手法において行われるのか。それを各市町村に配分するというのは、一体どのように行われるのか。  今、米の生産調整だけでも現場がどれだけの負担感を覚えているかということでございます。それは委員の御地元もそうでいらっしゃいましょう。このことについて、特に兼業農家は多いわけですから、そうすると、そういうような会合というのは夜遅くなるわけですよね。そのことに参加してくれる人もくれない人もいるわけで、本当にそれが現場にどれだけの負担となっているかということを私はよく認識をしておるところでございますが、それをほかの作物にも当てはめるということが本当に可能かと。  そしてまた、そこにおいて需給の均衡というものはどのように実現をされるか。生産がオーバーをした場合にそれはどのようにして対処されるべきものか等々、別にいちゃもんを付けるとかそんなことを言っているわけではありません。それが実現可能なものであるかどうかということについてはきちんとした議論が必要なのだろうと思っております。  他方、私どもとして不公平感の解消ということも考えていかねばなりません。あるいは、今いろんな政策を取っております。例えば集落営農。集落営農が必ずしもすべての地域のいろんなタイプの営農にマッチしたものであるかといえば、それは多くの議論があります。私どもが行っております政策の中でも、いろんな御指摘を踏まえながら直していかなきゃいかぬことはたくさんあります。私は、甲か乙かという二者択一の議論ではなくて、本当に農業を維持するためにどのような政策手法を導入することが最も良いかということを、またこの委員会の場でもいろんな御議論をいただきながら、より良いものをつくっていきたいと思っておる次第でございます。
  21. 高橋千秋

    高橋千秋君 先ほど大臣が御懸念の点は、昨年のちょうど今ぐらいに参議院で十五時間、衆議院で十五時間やりまして、平野委員長と私がその件に関して十分答弁をしたつもりでございますので、是非議事録を読んでいただきたいなと思います。  それで、先ほど大臣も言われましたけれども、不公平感というのがありまして、やはり減反を強いられるというようなイメージが物すごくあるんですね、農家の側に。そして、今まで作らないことに対してお金を一生懸命使ってきた。それをやはりさっきの、冒頭の食料確保という観点からいっても、作ってもらうことにお金を使うということ、やはりそれは前向きな考え方でやっていくべきじゃないかというのが我々の考えですので、是非議事録も一度お目通しをいただきたいというふうに思います。  それで、さっき北海道と三重の話をしていただきましたけれども、私は、各地回らせていただいて、農業ほど産業として地域性が出るものはないというふうに思うんですね。大臣の御地元と私のところでも全然違います。特に北海道なんか行くと同じ農業とは思えないような感覚ですし、規模も当然違いますが、本当に地方性というのがこれほど現れる産業というのは、第一次産業以外、まあ水産の場合も多少そういうところありますが、それだけ違うというふうに思うんですね。  ただ、それに対して、これは農水省側からすると、それぞれの農政局があってちゃんと対応しているという判断なのかも分かりませんが、私たちは、やはりそれぞれの地域に合ったお金の使い方、地域に合った政策の変化というのをやっぱりしていくべきだろうと。その意味で、地方分権というものを先取りをするような形で私は農政というものを考えていってほしいなというふうに思うんですね。その中ではやっぱり権限と財源の移譲だろうと。  今回の予算でもいろいろなメニューは作っていただいていますけれども、結果的には、それぞれの地域補助金を受けようと思う農家がその申請書を書こうと思うと申請書の山で、さっきそれぞれ集まっていただくのは大変負担だという話がありましたが、もっと負担に感じておられるのは、それぞれの補助金なりそういうものをもらうときにすごく煩雑な作業をいっぱいしなきゃいけない、余計なこともしなきゃいけない。そして、もう最低限、農家から考えたらもうこの程度で施設を造ったら全部やれるのにと思っても、それでは補助金が下りなくて、余分なものまで造らないとその補助金がもらえないということはもう各地で聞きます。  私は、その意味で、一番分かっている地方に財源も権限も渡すべきだと、特に農業に関してはそういうふうに思うんですが、そういう地域性についてどういうふうにお考えか、そしてまた地方分権という観点でそのことをお考えはないかということを聞かせてください。
  22. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 基本的にはそういう話なんだろうと私は思っています。とにかく書類を減らそうということで、書類を書くのが仕事じゃないわけで、書類半減運動というのを当省としては今行っている。近藤副大臣がトップとなりまして、とにかく書類は減らす、枚数は半分にする、書くことも、枚数を半分にしても字を倍にしたら一緒になっちゃいますので、情報量としては、そんなあほな話は駄目なので、とにかくこれだけは最低限書いてくださいねということだけでいいのだと、役所のための書類ではございませんので、書類半減運動というものをやっている。  そしてまた、政策現場に分かりやすくなければいかぬと。市町村合併によって、かなりきめ細かさというものが失われてきた部分があります。JAも合併によって地域の支所というのが随分なくなりました。それで、そういう状況の中で霞が関直送の政策が行ったらば、何が何だかさっぱり分からぬということが起こるわけでありまして、その分かりやすさということも私どもは更に意を用いていかねばならぬと考えております。  地方分権との関係で申し上げれば、国は何をすべきなのかということでございます。これはいろんな御議論があるんでしょうけれども、ミニマムアクセス米の国家貿易みたいなことを考えたときに、これやはり国家としてやっていかねばならないことなのでしょう。あるいは、地域をまたがる食品の安全みたいなことも、これは国としてやっていかねばならぬことなのだと思っております。あるいは、農地の面積がどれだけ確保されるべきかということの議論をするときに、国と地方の役割分担の議論はかなりシビアな議論になるだろうと思っております。  国としてやらねばならないことは何なのか、委員指摘のように、地方がやった方がよほどうまくいくことは何なのかということをちゃんと実証しながら、だれのための農政かという意識に立って、地方に権限を渡すべきものはそれはちゅうちょすべきではない、しかし国に残さなければ農業自体が危うくなるものは何としても残さねばならぬ、その議論はきちんと行いたいと思っております。
  23. 高橋千秋

    高橋千秋君 先日、地元で農地転用の御相談を受けました。農地転用してほしくないようなところを団地にするという申請が町に出てきて、それをその四要件を満たしているのでどうしても町とすれば許可しなきゃいけないんだと。これ何とかならないでしょうかという御相談で、農水省の方に相談をさせていただいたら、四要件は満たしていても別に許可はしなければならないということではなくて、許可はしてもいいよということだと。だけれども、町の方はこれは許可をしなければならないというふうに取られて、結果的に許可を出してしまったと。これはちょっとした言葉の理解のことでこれだけ変わってきて、本当に農地として非常に有効なところがもう団地に変わる手はずが整ってしまったということが実際あったんですね。  これは、先ほど書類を減らすというお話もございました。半減という話でありますが、私はもっと減らしてもらってもいいと思います。三分の一でも十分の一でも結構だと思いますが、もう少しやはり簡単にするというのは、これは農業分野にかかわってきた野村さんなんかでもそうでありますが、もう本当に書類作るのが大変で、書類のために、仕事のために仕事をしているような感じがありまして、農水省の方もそのためにまた余分に人を置かなきゃいけないというようなことがあったりして、これはもう悪循環に陥っております。  半減をしていただくというのは是非進めていただきたいと思いますが、更に見直すべきところは見直していただいて簡単にしていただきたいし、それと、さっき農地転用の話をしましたけれども、地方自治体は、農水省のいろいろ規定がいっぱいありまして、それを全部理解するのは大変なんですよ。そのたびに相談はするんだけれども、なかなか行き違いがあったりして全部理解してもらえない。そういうことをやっぱりもう少し簡素に、簡単にすべきだし、説明をやはりしていただきたい。  それと、大臣が言われたように、国がやるべきこと、地方がやった方がいいもの、これをやっぱりもう少し明確にしていただいて進めていただきたいなというふうに思いますが、是非、それは要望としてお願いをしておきたいと思います。  余りもう時間がなくなってきましたので、あと二点だけお聞きをしたいと思います。  食育のことなんですが、先日の所信で大臣が、御飯をもう一杯食べたら八%自給率が上がるというお話をされました。まさにそのとおりだろうし、先ほど冒頭で大臣が言われた、いっぱい捨てているんですよという話がございます。こういう部分について、今回も食育の予算として、これも前年同様ぐらい、九十億というふうに聞いていますが、前年と同程度ぐらいしか付いておりません。この九十億、食育に使うのが多いか少ないかは議論が分かれるところだと思いますが、しかし、やはりこれだけいろいろ食の問題が出ているときに、もっと私は予算を割いてもいいと思いますし、これは、子供のときに覚えた食のことは一生付いてきますから、是非その意味でもこういう部分に力を入れていただきたいと思うんですね。  昨日、GLOBEの主催で環境教育というシンポジウムがありまして、私も座らせていただいて少ししゃべってまいりました。そのときにも話をしたんですが、やはり地域で教える、それから家族で教える、これも大事なことです。それから学校の教育の中で教えるというのも大変大事なこと、だけれども、これ、なかなかそれも進んでおりません。  最近、高校生なんかが弁当を持っていくときに、親が作った弁当を持っていくと恥ずかしいといって中捨ててしまって、コンビニで買ってきた弁当を持ってくると。家にそれをばれるとまずいから全部捨ててしまうというようなこともあると聞いています。コンビニの売上げの三分の二は食料品です。コンビニには貢献をしているのかも分かりませんが、しかし、このような子供がどんどんどんどん大人になってきたときに、さっき捨てるという話だとか、地産地消の問題も含めて、これは大変なことになっていくんじゃないかと。私は今やはりやるべきことだろうと、ここにもっと力を入れていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
  24. 石破茂

    国務大臣石破茂君) たしか委員と私は同学年のはずなんですが、昭和三十一年組ですから。私たちが小さなころは、もう食べ物を粗末にすると物すごくしかられたという覚えがございます。今はそうではないのだと。やっぱり、食べ物を粗末にしちゃいけませんよということは教育の場でもっときちんと語られるべきだと私は思います。  もう一つは、だれが作ってくれたものなのだろうということに対する感謝の思い、それは作った人であり、調理をした人です。親がせっかく作ってくれたお弁当を捨てるということは、本当にそれはどうなんだと、親子関係として、私は個人的にはそういう思いを持ちますが、だれが作ってくれたものか、だれが調理してくれたものか、それに常にありがとうという思いを持っていればこんなに食べ物を捨てるという話にならないのだと思いますね。  そして、地産地消というものを、学校給食でもそうですが、それは文科省からお答えがあるのかもしれませんが、それが例えばフードマイレージの問題の解決にどれだけ役立つか、どういうような教育効果を持つかということは、我々農政に携わる者も自分たちの問題としてきちんと提起をしていかなければいけない。食育の重要性というのは今後更に高まることはありこそすれ、これが低まることは絶対にあってはならないことだと思います。
  25. 高橋千秋

    高橋千秋君 文科省も来ていただいていると思いますが、時間がなくなってきましたので、大変申し訳ございませんが次の質問に移らせていただきます。食育の問題、是非力を入れていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  最後に、中国における商標登録の話をさせていただきたいと思います。  三重県は、私の地元は松阪牛が有名なんですが、実は台湾で松坂豚というのがはやっていまして、商標登録をされているそうです。それから、中国では日本の各地の地名が既に商標登録をされていて、最近新聞等にも出ております。本当の青森リンゴは中国で売れないということが発生をしておりまして、これに対してやはりもう早急に対策をすべきだろう。今度、二十六日に日中議員会議がこの参議院で行われて、私はそれに対して、向こうにその話をしようと思っているんですが、これはやはり政府として強い態度で臨んでいただきたいと思うんですね。  麻生総理が就任のときだったか、日本の米は中国で高く売れるんですよという話をされましたけれども、実際のところ売ろうと思ったら売れないということが既に法的に出ていると。既に幾つかの、五つぐらいの県名はもう既に登録をされているということでございますし、これはやはり強く中国に対して抗議もしていただきたいと思いますし、その対策をしていただきたい。農水省としても何か特別チームをつくられたということでありますが、是非その辺を強く対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  26. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 是非、委員中国の方とそういう機会があれば御指摘をいただきたいと思うのですが、先月、日本政府と民間企業が合同で中国の政府機関を訪れまして、商標制度を管轄する中国工商総局の副大臣、付双建さんという方からこのような言をいただきました。  外国の地名の商標出願問題については厳正に審査することを約束するというふうにその人が言っております。それが本当に中国全体の認識になっているのかということについては、是非委員の立場からも御確認をいただければ有り難いと思っております。  で、それは私どもとしては信じたいし、信じるべきだと思いますが、松坂豚の話は初めて承りましたが、私どもとして、中国がそれを受け付ける、出願を受け付けますときに、どういう状況かというのをインターネットで公表するということになっております。それを日本からもきちんとウオッチしようということでございます。どんなものが、例えば三重なのか尾鷲なのか何なのか存じませんが、そういうものが出願されたということがまず確認できるような体制を整えたい。それを一体的にウオッチをする体制を整えます。そして、疑義のある、疑いのある出願を発見した場合には御関係方々に速やかに通知ができる、そういう仕組みを整備をすることといたしております。二十一年度からそのようにしたいと思います。これによりまして、その通知を受けた関係の方が直ちに異議申立てあるいは無効の取消し請求、これを行うことを可能にしていかなければならない。  中国の方として厳正に審査をするとは言ってくれているわけですが、それがどういう状況なのか。青森の場合にはそれが使われなくなるまで相当の年数が徒過しておるというふうに承知をいたしております。それが出願された状況からきちんとそれには異議があるということが言える体制を政府としても確立をし、きちんとした権利の保護というのを図ってまいらねばならないと考えておるところでございます。
  27. 高橋千秋

    高橋千秋君 やはり、これは農業分野だけじゃなくて、ほかの、例えばトヨタなりソニーなり、そういうものも登録をされていろいろもめたというのも聞いております。知財保護という意味で大変重要な、日本がこれから生き残る上でも大変重要な問題だと思いますので、当然我々もそういう意見を言いますが、やはりこれは機会があったら意見を言うというんじゃなくて、やはりきっちりと政府として、これは農水省だけの話じゃないと思いますけれども、その辺に対応していただきたいということを要望させていただいて、私の質問を終わります。
  28. 岩本司

    ○岩本司君 岩本司と申します。  国民の皆様に分かりやすい質問をさせていただきますので、分かりやすい御答弁をよろしくお願いいたします。  まず、大臣に、農業従事者、新規の農業従事者の確保、このことのグランドデザインについてお伺いしたいと思います。  所信の冒頭に大臣は危機感を示されておりますけれども、平成二年から十七年までの約十五年間に所得は六兆一千億から三兆四千億円へと半減していると。また、農家の戸数が三百八十三万戸から二百八十五万戸に減少していると。また、基幹的農業従事者の六割が六十五歳以上となっていると。これ、冒頭おっしゃっていること、本当に大臣も私も危機感を持っているわけでございますけれども。  本日のたしか日本農業新聞に、農林水雇用が千人超すというふうな、これ農水省が発表されているんですけれども、新聞にも出ておりますけれども。千人、二千人、確かにそれはもう喜ばしいことでございますけれども、この十五年間に約百万戸、農家の方々人口が減っているということは、単純にあと十五年したら、百万戸減ったら百八十万戸じゃないかと。また、既に六割が六十五歳ですから、これはもっと加速して、百万戸をあと十五年、二十年たつと切るんじゃないかというような、そういう危機感もあるわけでございます。  また、今年の一月の総務省発表の失業者数、これが二百七十七万人なんですけれども、大臣も今までもう議論されていると思いますけれども、この失業者の方や、また、脱サラをしたいと、会社勤めも上からいろいろ言われ、下からあおられ、自分はもう自然の中で生活したいという、そういう方々も増えていると思います。今までは、実家が農家でも、安定した収入が得られない、ネクタイをして町に出れば安定した収入が得られると、そういう若者も多かったと思いますけれども、しかしその根底がもう崩れかけているんですね。会社に勤めても、いつリストラされるか分からないと。そういうタイミングで大胆な、サラリーマンをされている方々や失業者、そういう方々農業世界に入っていただくと、こういうことが僕は重要だろうと思います。  昔、日本からブラジルですとか海外に移民をされたあのときの時代とは違って、国内の話ですから、そのグランドデザインをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  29. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 冒頭、委員がおっしゃいましたように、三月十八日時点で千九百名程度の求人情報があったと、千十七名の採用は決定したということでございます。  平成二十年度補正予算、第二次補正予算ですね、二十一年度当初予算を合わせて農林水産業全体で五千名程度の雇用創出を図りたいと。何だ五千名かということを言われるんですが、やはり就農したはいいけれども、何か思っていたのと違うねと、いや、もう上からがみがみ言われることもないし、月曜日から日曜日まで全部自分で管理できるしと思ってやってみたものの、もう物はできないは売れはしないは、結局やめちゃいましたというようなことになってはどうにもならぬと。私どもとしては、もうきちんとした就業するための能力を身に付けていただきたいということを国として支援したいと思っておるところでございます。それで五千人ということを考えておる。  もちろん、それ以外にも新しく就農される方はおられるでしょう。大事なのはマッチングを図っていかねばならないということであって、都会には、もう明日から君来なくていいよと言われた意欲も能力もある若い人たちがたくさんいます。そして地域には、若い者帰ってきてくれぬかな、若い人欲しいなと言う人もいるんですが、それのマッチングをするシステムが必ずしも十分じゃなかったと。そこは厚生労働省とも連携をしながら、どの県にどのような求人があるのか、どの県にどのような人が職を求めているのか、それがちゃんと分かるような、そういうシステムを今組んで実際に運用をしておるところでございます。この充実を図っていきたいと思います。  それから、やはり農業で今もうけようというんですか、今本屋さんに行くと、農で起業したいという本が山ほどありませんか、雑誌なんかでも山ほどありませんか。それ、やっぱりそれだけ関心が強いんだと思っています。思っていますが、農業の場合には、全部農協さんにお願いをしてやっていけば話は別なんですけれども、それで大もうけをすることにはなかなか相なりません。なぜならば、販売リスクとか代金回収リスクとか、そういうものはなくしてもうかるなぞということはなかなか世の中にはないことでございます。  そうすると、きちんとしたマーケティング能力みたいなものも必要なのだろうと思っておりまして、私は、本当に起業してやっていける農業というものに対していろんな情報をちゃんと提供したい。そしてまた、そこにおいて土地利用型の、例えば米とか麦とか、そういうものについてはいっぱい人が来てもそれは効率が下がるだけのお話なんです。どうやっていけばもうかるかというものは、やはりそれは幾つかのジャンルに分かれていくのだろうと。今のこのいろんな農業に対する関心をブームに終わらせないために、そして失望感だけが残ったということにしないために、政策というものはもう本当によく精査をしながら、誤りのないように打っていきたいと思っております。  どうか、それぞれの日本全国いろんなところの委員がおられるわけで、こういう形はどうだ、ああいう形はどうだということをまた御提案をいただければ、私どもとして真摯に検討したいと思っております。
  30. 岩本司

    ○岩本司君 確かにブームに終わらせるわけにはいかないわけで、まだ実はブームにもなっていないと思うんですね。  私が申し上げているのは、たった五千人かということを言っているわけではなくて、十五年間で百万戸減少していると。このスピードは、例えば、これ十五年で百万戸ですよ。しかし、既に六割以上が六十五歳以上ですから、これは確かに後期高齢者医療制度のときは、後期とか言われても我々はまだ若いというようなお年寄りの方もいらっしゃいますけど、しかし、単純な作業であれば、私は七十五歳、八十歳、あるいはもう九十でも、我々の業界でいうと切手張りとか封筒入れとか、そういうことは私は可能だと思いますけれども、やはり、農業現場で重いくわを持って、それを八十五、九十、まあ九十五までやっていただくというのは、これはもう不可能な話です。  ですから、私が申し上げているのは、五千人とか数千人が少ないとかいうことじゃなくて、この予算説明にも書いてありますけれども、もう大胆に、やはり国民大臣が中心になってやっぱり訴えていくと。僕はコマーシャル使ったっていいと思いますよ、別に大臣の顔は出なくていいんですよね、選挙前だからといって。やはり、二百七十七万人の失業者の方々もいらっしゃいますから、そういう方々農業現場に入っていただく、間に農水省が入って、そういう一肌も二肌もやっぱり脱いでいただきたいというふうに思うわけであります。  これは本当に危機的な問題でございますので、また追って質問させていただきます。  次に、我が国森林林業の立ち遅れの原因についてお伺いします。  国土の七割を森林が占めておるわけでございますけれども、生産される額はGDPの〇・一%弱でございます。この立ち遅れた理由について、大臣、御所見をお伺いしたいと思います。
  31. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは何でこんなことになったかということですが、国産材につきましては、戦後造成された森林育成途上であったことに加えまして、森林施業の集約化、路網等の基盤整備が遅れたと。そのことによって安定した価格、品質、供給体制が整わなかった、需要者のニーズに対応できなかったということだと思います。  外材については安定供給が可能であるのに反して国産の材はどうなんだということだと思います。これは、十年前も二十年前も似たような話なんですが、今も申し上げましたように、国産材というのは価格が振れる、上がったり下がったりする、一定の量がちゃんと出てこない、品質がまた一定しないと。この三つの問題は十年前も二十年前も指摘をされておったことなんです。今日もなおそれが変わっていない。それをどうするかというお話だと思います。  やはりこういう結果になりましたのは、林業というものに対してきちんとした投資をしてこなかったということはやはり正面から認めていかねばならぬのではないだろうかと。これは衆議院で申し上げたことでございますが、コストが高いです。物すごく高い。一人当たりの生産量が物すごく低い。そして、路網密度が物すごく粗であるということを考えるとこういうことになってしまうわけですね。それぞれに原因があって結果があるので、委員指摘のとおりです。  何でこんなことになったかということも、なかなか森の現場というのは国民に理解されないところがあります。早い話が、国産材でおうちを建てたいねと思っても、一体どこに相談に行きゃいいんだと。東京なんかそうではありませんか。東京で国産材でおうちを建てたいといったら、東京都庁に相談に行けば何か相談に応じてくれるかというと、なかなかそういうお話にならないわけですね。そういうシステムをちゃんとつくっていかなければなりません。  私どもとして、本当に森の現場というもの、森の仕事に従事する人の大切さ、そのことを国民に向けてきちんと訴えていって、何も予算を取るために言っているわけじゃありませんが、森林に対してもっと充実した施策をやらないと取り返しが付かないことになるという危機感を私は強烈に持っておるところでございます。
  32. 岩本司

    ○岩本司君 私も危機感は同じでございます。  大臣、路網とおっしゃいましたけれども、路網整備については後で触れますけれども、おっしゃるとおり、日本の住宅市場はあるわけです。しかし、外材を使った方が安いと。安いだけではなくて、性能が高い、品質もいいということですね。寸法がそろっていたり乾燥率も高いと。また、一定量を安定して供給することができるという、この流通面のメリット、この三つのメリットが国際競争力を弱くしていると、日本のですね、そう思われるわけでございますけれども、住宅建築素材等に国産材を使ってもらうためには、国際競争力にやっぱり勝たなきゃいけないですね。  現在、木材の供給量、国産材が平成十九年度で二二・六%でした。八割が外材です。しかし、八割の外材ということは、日本で使う材木が八割まだ必要だということですから、海外の価格と同じであれば、日本の木材も十分供給できると。しかし、そこで問題なのが、先ほど大臣おっしゃった路網整備ですよね。この路網整備がもう全然進んでいないと。  所信の参考資料に、大臣も、日本とオーストリア、ドイツを比較した路網の整備状況というのを参考資料で配られていますけれども、まさにそのとおりで、オーストリアやドイツの例を本当に参考にして、いいところはどんどん取り入れていかなければならないと思います。当然、アメリカやカナダ、ああいう広い土地の、斜面もそんなにないようなところの政策導入したって、これはもう失敗するに決まっているわけですから、オーストリア、ドイツ、これを参考にすべきだと思います。  特に急斜面では、斜面の急さというんですか、オーストリアが非常に日本に近いわけです。しかし、それを克服しているんですよね、オーストリアは。オーストリアができて、あるいはドイツができて日本でできないわけはないと私思います。  この路網整備についてお伺いしますけれども、ドイツは、ドイツの例ばかり言って恐縮ですけれども、日本みたいにアスファルトとかそういうのを使ってないんですよ。もう道路をただブルドーザーで開いて上から砂利を乗せたようなそういう簡単な、土固めて上に砂利を盛っただけと、そういう路網なんですね。しかも低コストですから。  しかし、今まで、農水省だけではなくて国交省も含めて、あと外郭団体もそうですよ、特別会計の中に入っていく話ですけれども、山の中にアスファルトで整備された道というのはたくさんあるんですよね。しかし、活用されてないと、観光バスが通るようなそんな林道要らないわけですから。そこのところを、農水省の予算だけでなくて、特別会計も含めてこれ考えていかないと先に進まないんではないかと。  予算の件について私は通告してないと思います、幾ら掛かると思いますかと、路網整備に。それはなぜかというと、新たに農水省の予算、算定ではこれだけ掛かりますなんて言われても困るんですよね。なぜならば、外郭団体は外郭団体でそれぞれやっているわけですから、それをまとめて整備して、それで幾ら掛かるかと。で、幾ら予算に来年使おうというふうに計画を作らなきゃいけないものですから、そういう逆に答弁されると困るわけで。  路網整備について大臣の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  33. 石破茂

    国務大臣石破茂君) ドイツというのはまだ平たんですから余り比べる対象にはならない。委員がおっしゃるように、オーストリアというのは本当に比べる対象としてよく考えたいと思います。  先週、オーストリアの環境・農林大臣というのが来てこういう議論もしておりましたが、五十年前は日本とオーストリアってこんなに離れてなかったんですよね、いろんな指標が。五十年の間に決定的な差が生じたというのはそれなりの理由がある。その中に路網整備というのもあるはずなんです。  私は、粗である密であるということについてはよく認識をいたしておるつもりなのですが、ではそのクオリティーというんでしょうか、一体どんな道なのか、どれぐらいお金が掛かっているのか、そして林道の整備をしますのは、大型の機械、どのようなものを入れるためにどのような道路が必要なのかということの議論があるはずでございます。  そうしますと、何のためにどのような道を造るのが最も望ましいのか。そしてまた、地元の負担というのをなるべく減らしませんとだれもやらないわけですよね。ですから、そこの質の問題を量と併せて考えなければいかぬ。そして、どのような負担を負うべきかということを考えていかねばならぬ。このお話は、もし委員も知見があればまた御教示をいただきたいと思うのですが、この路網の整備というもの急ぎませんとコストが下がらないという認識でございます。  私、これは前、政務次官とか総括政務次官とかやっておりましたときにここまで強い問題意識を持っていなかったので大変不明を恥じておるところでございますが、そこの急速な改善に向けて、また御教示をいただきながら適切な施策実現してまいりたいと思いますので、どうぞよろしく御指導方お願いを申し上げます。
  34. 岩本司

    ○岩本司君 本当にこれは重要なことで、国際競争力を付けるためにはこの路網の整備が最低限真っ先にやらなきゃいけない重要なことなんですよ。  今日の予算説明の中に、既存の予算を見直した上で大胆に予算重点化を行うと大臣おっしゃっていますけれども、また林業のところでは、ちょっと二、三行で終わらせているんですけれども、充実しつつある人工林資源循環利用を担う林業経営体等育成を支援すると。あと需給変化に対応した木材産業構造確立すると。そこにもう一言、これ重要なことですね、国産材利用拡大に取り組みますと。  ここをクリアするためには路網整備が必要なんですよ。この予算の中でどのように取り入れられているんですか。
  35. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 私ども、路網を、林道、作業道、作業路と、こういうふうな形で用途に応じて分けてその整備を進めているわけでございます。当然、作業道、作業路といいますと三メーター程度の道でございます。しかも舗装はいたしません。したがいまして、メーター当たり三万円、あるいは安いのですと二千円ぐらいでもできる、そういう方式を今進めているわけです。  しかも、昨今、建設事業者の方が大変仕事がないということもございますので、建設事業者の方と連携をして、建設事業者方々のノウハウもいただきながらそういった路網整備を進めたいということで、定額、メーター当たり一万四千円とかですね、そういった定額で路網整備推進するというふうな新たな予算も付けまして、この路網整備について我々今緊急に取りかかっているところでございます。
  36. 岩本司

    ○岩本司君 長官、ありがとうございます。  ちなみに、これ、ドイツよりもオーストリアと大臣はおっしゃいますけれども、ドイツでいいますと、一般的な伐採・搬出コストが一立方メートル当たり三千六百円ですね。木材価格が平均一万円ですから、収益が六千四百円出るということになっています。先にこのデータはもう通告していますからお分かりになると思うんですけれども。  長官、じゃお伺いしますけれども、ここまで持っていくにはどのぐらいの整備が必要ですか。大体何年ぐらい掛かりそうですか。
  37. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 路網密度を比較しますと、大体、日本ですとヘクタール当たり今十七メーターくらいでございます。オーストリアが九十メーター弱でございますので、仮にヘクタール当たり百メートルにまで持っていこうとすると、それ掛ける延長線、それからそれに伴います、どれぐらいの森林で行うかということで事業費ははじけるわけでございますけれども、それで大体メーター当たり例えば作業路であれば四、五千円でやるとか、そういったことで事業量ははじけます。  ですから、そういったことをやるためには、まず森林所有者の同意といいますか、そういうことを得ませんとやっぱりうまく路網が入りません。したがいまして、私ども、境界の画定ですとか森林所有者に施業の同意を得ていただくとか、そういう形でまず集約化ということを進めながらこの路網整備を併せてやっていく必要があるというふうに思っているわけでございます。
  38. 岩本司

    ○岩本司君 なかなか議論がかみ合っていないようでございますけれども。  例えば、山をお持ちの方がいらっしゃいますよ。しかし、山のこっち側はオーナーが違って、向こう側オーナーが違うとしますよね。しかし、一方はアスファルトでもう上まで道路ができていたり、しかし、そこを、道路を借りるのにわざわざ隣のオーナーにちょっとそこを使わせてくれないかと、そしたら幾らか払えみたいな、そういう交渉が現在行われているんですよね。しかも、もうそういうこともだんだんしなくなって、後継ぎももういなくなっているという状況です。  後からちょっと触れますけれども、路網が重要だという認識はもう共通していますから、政府も民主党も。  次に、路網も関係するんですけれども、国有の林野事業に関与している職員のフォレスターとしての活用についてちょっとお伺いしたいと思います。要は林業の人材の確保ですね、分かりやすく言えば。林業の人材の確保についてお伺いしたいんですけれども。  私がなぜドイツドイツと言っているかといいますと、確かにオーストリアは日本と似てはいますけれども、ドイツも進んでいるんですよ。そんなせっかく進んでいる技術があるのに、それを取り入れないのはもったいないじゃないですか。だから申し上げているんですけれども。  ドイツ林業のサポートシステムでございますけれども、森林署という役所が設置されているんですね。これはフォレスターと言われる人たちだと思いますけれども、森林官という公務員が民有林の施業のサポートまで行っているんですよ。国有林だけじゃなくて、民有林、私有林も行っていると。しかも、私有林に対する林業経営や伐採や販売などのプランニングまでですから、小規模の森林所有者は森づくりの計画から木材販売までのすべてを森林官に委託していると。そしてまた、そういう人たちが増えているということなんですね。  データを農水省から出していただいてちょっと見たんですけれども、農林水産省の職員の方々が大体二万六千九百五十四人、非現業が二万二千五人で現業が四千九百四十九人と。この現業の四千九百四十九人、これ全員が林野庁の職員の方々なんですけれども、その林野庁の職員は全体で五千四百四十七人いらっしゃるんですね。その中の現業が四千四百四十九人ということは、オフィスワークの方が四百九十八名いらっしゃいます。あと現場ですか、現場が大体三千人ぐらいですか、四千人行っていますか、林野庁の現場の方、ちょっと……
  39. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 三千人くらいです。
  40. 岩本司

    ○岩本司君 三千人ぐらいですよね、現場に三千人ぐらいいらっしゃるということなんですけれども。  それで、現場のそういう職員さんの数をちょっと減らされていますよね。これは、ドイツやオーストリアのそのシステムを日本が今から導入していこうと、それは大臣もこれ所信のサブの資料で日本とオーストリア、ドイツのこれを見習うべきだと、これちゃんと出しているわけですから、それなのにちょっと逆行しているんじゃないかなと思うんですね。  私は、もちろんデスクワークも必要ですよ、デスクワークも必要ですけれども、やっぱりフィールドにヨーロッパのように出ていってそういうオーナーさんたちのお世話をする人たちを増やしていくべきじゃないか。あるいは、急に人を増やすということはできないにしても、工夫をしてこういう仕組みを取り入れていくべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
  41. 石破茂

    国務大臣石破茂君) よく考えてみます。  というのは、いいかげんなことを言うようで恐縮ですが、森林施業プランナーというのがあるわけですね、これの育成が重要だという認識で今のところ当省はおるわけでございます。  今の岩本委員の御指摘は、いや、そのプランナーの育成も大事だろうけれども、林野庁の職員自体がそういうマインドを持っていろんな経営にも指導ができる、本当に現場をよく知った指導ができるような林野庁の職員というものが必要なのではないかという観点からの御質問ではないかというふうに思っております。  ドイツにおいてもそうですし、私はドイツの例を軽んずるつもりは全くございません。委員指摘のように、オーストリアのが地形が似ているからというだけで申し上げているだけでございますが、森林に携わる国の関与の在り方、国の職員の関与の在り方というのは、これも私はドイツ、オーストリアから学ぶべき点が多いのではないかという感じをちょっと最近持ち始めているんですね。  林野庁の職員、本当に一生懸命やっているのですが、いや、現場は大変なんですねって、そういうことを言うようでは駄目なのであって、やはり長官以下みんなが現場の実情をよく知悉をし、そしてそこをどうすればいいかということがみんな分かっている状況にした方がより良いに決まっておるわけでございます。ですから、長官以下、今本当に一生懸命やっておりますが、望ましい林野庁の職員の在り方みたいなこともやはり検討してみなければいかぬのじゃないか、プランナーの育成に努力しますというだけでは十分ではないという認識を持っておりますので、それでもう少し考えさせてくださいということを申し上げました。  また、二十二年度予算要求に間に合うかどうかは分かりませんが、そういう職員というものをつくっていかないと、いわゆるお役所仕事に堕してしまう、そういう危惧なしとしないと思っておりますので、検討させていただきます。
  42. 岩本司

    ○岩本司君 農業だけじゃなくて林業も新規で、もう脱サラやあるいはリストラに遭った方々が森の中で生活したいと思っていらっしゃる方々もいらっしゃいますから、そこのお手伝いを私は林野庁がきちっとドイツやオーストリア並みにすべきだと思います、お手伝いを。先ほども申し上げて、二度も三度も繰り返しませんけれども、やっぱりサービスが行き届いていますね、役所のサービスが。そこは長官もしっかり学んで部下に教育をしていただきたいというふうに思います。  私ども民主党も二〇〇七年の六月に森と里の再生プランという政策を発表しまして、フォレスターの養成とまた百万人の雇用創出、これを掲げております、私どももしっかり頑張ってまいりますので。ただ、もう民主党政策は反対だというふうに大臣もおっしゃっていないから、考えますとおっしゃっていますので、前向きにこれは何党であろうが取り入れていただきたいというふうに思います。  また、学校、この教育も行き届いているんですね、ヨーロッパは。プロを養成するための学校が各地にあるんですね、ドイツでは。林業従事者が養成されております。また、大学では林業経営のプロやマネジャーも養成していると。もう十年も二十年も先行っていますから。しかし、黙って見ているわけじゃいけないんですよね。ここでやっぱり、大臣も新しく替わったことですし、しっかりこれ取り組んでいただきたいというふうに思います。  この点について、教育について、大臣、御所見あればお伺いしたいと思います。
  43. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 新しく替わったといっても、半年もやっておって、なかなかすぐ具現化しないというおしかりをいただければ、本当に恥じ入るばかりであります。  林業教育、それは木がどうやって育つかとかいうこともそうですが、林業経営みたいなものが学問として多分あるんだろうと。それがはやっているかというと、余りはやっていないわけです。また、日本全国、農林高等学校とか農業高等学校、林業高等学校というのはあるんですけれども、そこを出た人たちが林業にどれぐらい就業しているかというと、農業がそうであるように、林業も余りいい就職率ではないのではないかという感じを持っております。  それは、教育の内容の中で林業経営学みたいなものがもっときちんとなければならぬのではないか。これ、農林もそうですし、水もそうなんです。水産にもそういう問題がございまして、本当にそこで学ぶ農業者もあるいは林業者も、それは一つの経営者なわけですよね。経営者としてのマインドを学び、そしてそういうような経営を行ったとしたらばきちんと財産的な対価が得られるよと、そういうようなものも含めて教育がどうあるべきなのか、そしてそれが、学んだだけではなくて、それがどのように実践に結び付くか、そのことは私どもとしてよく問題意識を持ち、農林省だけでできるわけではありません、農水省だけではなくて文科省とも議論をしなきゃいけませんが、本当に教育が生きるようにしなければそれは実学たり得ないと思っておりますので、私として問題意識を持って、大学から高等学校に至るまで、林業、林学というものがどのように教えられているか、もう一度省内に戻りまして点検をいたさせたいと思います。
  44. 岩本司

    ○岩本司君 大臣林業の場合はなかなかスイスの卵のようにいかないんですよね、金額が高いですから。二千万、三千万の家が四、五千万になったら、これ買えないわけですよね、バイ・ジャパンといったって。ですから、ここの、日本の、何というんですか、木材を買えと言ったって、なかなかこれは国として責任を持って、路網の整備と、それと林野庁のサービスですね、山を持っている方々に対するそういうサービスも充実していかなきゃいけないと思いますし、早くこの政策を、予算に間に合うかどうかとおっしゃっていますけれども、なるべく少しでも間に合わせて、一歩でも二歩でも先に進めていただきたいというふうに思います。八割の木材はいまだに海外のものですから、それを早く六割、五割、四割と日本のものを使えるようにしていただきたいというふうに思います。  それと、特に今花粉症の季節ですけれども、杉、ヒノキ、あとブタクサ、こういう花粉症、これ一石二鳥で、厚労省も頭痛めていますから、国民が一番頭を痛めていますんで、こういう花粉が出る木を切って、早く市場に出していただきたいというふうに思います。  多分、これ、林野庁長官、進めていますよね。
  45. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) はい。
  46. 岩本司

    ○岩本司君 じゃ、どうぞ、答弁。
  47. 内藤邦男

    政府参考人(内藤邦男君) 花粉症対策でございますけれども、林野庁も広葉樹林化の推進、それから少花粉杉、少花粉ヒノキ等、新品種の開発に取り組んでおります。  また、二十年度からは、首都圏それから京阪神圏を中心にしまして、花粉発生源対策のための協議会、これは地方自治体とかそういう方にも入っていただいて、を開きまして、関係の都道府県、それから都府県、それから森林組合連合会、種苗生産者、苗を作る団体等と連携を図りながら、首都圏等への花粉の飛散に強く影響を与えるという、そういう地域がある程度特定できておりますので、そういう地域における杉を広葉樹へ転換していくと。  それから、少花粉杉等の苗木の供給、これがないとなかなか切っていただけませんので、そういった苗木の供給を大幅に増大するための体制整備ということに取り組んでいるわけでございます。  今後とも、関係省庁それから地方公共団体と連携を図りながら、花粉の多い杉の植え替えなど、花粉発生源対策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
  48. 岩本司

    ○岩本司君 ありがとうございます。  最後に、資料をお配りしているんですけれども、日本の学校、教育財産でございますけれども、校舎を私は木造建築といいますか、木造校舎に変えていくべきではないかと。しかし、人口が減って子供たちが少なくなっているところは木造校舎でもいいんですけれども、これは、何というんですか、体育館とかは避難場所にもなりますから、やはり耐震性だけはぴしっとしておかなきゃいけないものですから、鉄骨を使うところは使うと。しかし、木のぬくもりの中で子供たちは育った方が私はいいと思うんですね。  今日お配りしている資料、ちょっと二ページ目も三ページ目も見ていただきたいんですけれども、愛知大学の橘田紘洋教授が資料を、資料というか、発表されているわけでございますけれども、温度、湿度の環境コントロール力に優れると。それと、インフルエンザが木造校舎の方が流行しにくいと。あと、情緒不安定の傾向が、子供たちのですね、木造校舎より鉄筋校舎の生徒の方が多いと。だから、木造校舎の方がそういう情緒不安定になりにくいということですね。あと、ストレスも木造校舎の方がないと。そういうことですね。  全部木造にしなくても、内装だけ、例えば手すりですとか階段ですとか、そういうところでもいいんですね。少しでも多く材木を利用した子供の教育環境をつくるべきだと私は思うわけでありますけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  49. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりであります。  当省といたしまして、文科省あるいは市町村に対しまして木造化の推進について要請をしております。また、地方公共団体が校舎の内装などに地場産の木材を活用する場合に、森林林業・木材産業づくり交付金により事業費の二分の一の支援を行っておるわけでありまして、例えば栃木県の茂木町、そういうところでそのような学校造りに取り組んでいただいておるわけでございます。  私も小学校は木造でございました。情緒が安定したかどうかは余り自信もございませんが、これはもう私特有の事情でございまして、多くの子供は安定したんだろうと思います。やっぱり木造の方がいいんです。落ち着きますし、そしてまた、例のシックハウスというものに対して、木造であればそういうことがないということもございましょう。私の地元でも、とにかく学校は木造でということで相当に取組を進めておるところでございます。  多くのことに対して有効な木造住宅でありますし、またその地域で家を建てようと思えば、建物を建てようと思えば、その地域の材を使うのが一番いいに決まっているんです。ですから、法隆寺の五重の塔とか法隆寺の建築物というのは千四百年びくともしないでもっているわけでございますから。その地域の材を使うことが子供たちの情緒のためにもよろしい、省エネにもなるであろう、そしてまた地球温暖化防止にも資するであろうということですので、私どもとして文科省とともにこれを強力に推進していかねばならぬ。  今、かなり高い、高いというのは高さの方でございますが、高くて大きな建物でも木造でできるような技術が相当に進歩いたしておりますので、ほとんどの要件はクリアできるのではないかと思っております。このこともまた予算編成に向けまして努力をしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  50. 岩本司

    ○岩本司君 済みません。もう時間が来ましたので終わりますけれども、文科省、せっかく来ていただいていますので、大臣に、文科大臣にこういう議論があったということをしっかり伝えていただきたいと思いますし、農林水産大臣も文科大臣に、しっかりスクラム組んでこれを是非進めていただきたいと思います。  以上です。終わります。済みません、時間過ぎまして。
  51. 牧野たかお

    牧野たかお君 自民党の牧野でございます。  それでは、平成二十一年度の予算案に関しての質問をいたしますけれども、まず、喫緊の課題としてやみ専従問題について質問をさせていただきたいと思います。  前回の委員会で、佐藤委員からも早期の解明と厳格な処分を求めます意見や質問が出されましたけれども、私もそう思います。  さきに社会保険庁のやみ専従が明らかになりまして、これについては処分も出されましたし、また不正受給の給与も返還させました。やみ専従がはびこるような体質がサボタージュを生んで、そうした各種の問題を私は起こしているというふうに思います。  昨年は国民の皆さんにあれほどの不信感を与えた事故米の不正流通事件があったわけですけれども、それも十分なチェックができなかった。これは、農政事務所にもしやみ専従が存在したとするならば、昨年の事件というのは起きるべくして私は起きたと思います。  これについては、昨年の三月にやみ専従の疑いが出てから、現在まで調査、再調査が行われていますけれども、まずは昨年の三月の端緒を認知したときからの経緯をちょっと教えていただきたいと思います。
  52. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 御説明を申し上げます。  昨年三月に組合幹部が仕事をしていない旨の投書があったところでございます。これを受けまして、同年四月に、組合役員の勤務実態を幅広く把握いたしまして、不適切な状況があれば是正を行うことを目的といたしまして、四月一日現在の組合役員の勤務状況の調査を実施したところでございます。そうしましたところ、無許可専従が疑われた者が百四十二名おりました。このため、同年四月四日に全農林労働組合に対しまして勤務時間中に長時間組合活動が行われている状況の是正を要請するとともに、四月七日に農政事務所長等に職員管理を適切に行うよう指導したところでございます。  また、是正状況を確認するため、昨年四月九日にこの百四十二名につきまして四月八日以降の勤務状況を再度調査をしたところ、組合活動が一日一時間を超え七時間未満と報告された者が四十八名おりました。このため、昨年の四月二十三日にこの四十八名につきまして本人の聴き取りにより調査を行ったところでございます。その結果、事前に組合活動に従事する許可を得ているか、あるいは適法な労使交渉以外には勤務時間中に組合活動を行っていないことを確認したところでございます。  しかしながら、この調査については、例えば勤務実態を示す文書の確認や、組合役員本人への聴き取りを行わなかったことなど不十分な面があったことなどから、疑念の招くことのないよう、本年二月十六日に大臣から改めて徹底した確認の調査を行うよう指示を受けたところでございます。  このため、この百四十二名につきまして、総務省による無許可専従に関する全府省一斉点検と同様の基準で本人及び上司、同僚に対する聴き取りや、あるいは勤務実態を示す書類の確認等を行っているところでございまして、この調査結果につきましてはできるだけ早く取りまとめることとしているところでございます。
  53. 牧野たかお

    牧野たかお君 経緯は今お聞きしたとおりなんですが、あらかた新聞報道で出ていることと変わらないと思いますけれども、私が新聞報道、今の御説明を伺って判断するに、要は、農水省で調査したのと、最初、総務省の一斉調査とちょっと中身が違ったというか、厳しさというか、ちゃんと厳格に農水省では調査しなかったんじゃないかというふうに私は受け止めております。  それで、新聞報道では、その最初の調査のときにあらかじめ事前に全農林の方に調査しますよという事前の情報を伝えていたというふうに新聞等では書かれておりますけれども、どのような、どのようなというか、実際にそういうことがあったんですか。
  54. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 御説明いたします。  昨年四月の一連の調査につきましては、組合役員の勤務実態を幅広く把握し、不適切な状況があればこれを是正を行うということを目的として実施したものでございます。  昨年四月一日の調査については、管理職、労務担当者への聴き取りによりまして全国の組合役員の勤務状況を調査いたしました。昨年四月九日の調査については、同じく管理職、労務担当者への聴き取りによりまして、四月一日の調査で無許可専従が疑われた者百四十二名の勤務状況を調査いたしました。  同年四月二十三日の調査については、四月九日の調査で組合活動が一日一時間を超え七時間未満と報告された四十八名に対しまして本人への聴き取り調査を実施したところでございます。その際、全農林労働組合に対しましては、四月四日に勤務時間中に長時間組合活動が行われている状況の是正を要請するとともに、四月二十三日には組合活動への不当な介入であるとの誤解が生じることのないよう組合役員への聴き取りを行う旨、通告をしたところでございます。  しかしながら、先ほど申しましたように、この四月の調査につきましては、趣旨はどうであれ、事前に労働組合に通告することは疑念を招くとの指摘大臣より受けているところでございまして、このため、大臣の指示によりまして、昨年四月一日の調査において無許可専従が疑われました百四十二名につきまして改めて徹底した確認の調査を現在行っているところでございます。
  55. 牧野たかお

    牧野たかお君 徹底した調査をやらなきゃいけないというのは当たり前のことなんですが、今の再調査ですけれども、この間ちょっと資料もいただきましたけれども、当初は今月いっぱいまでに何か調査をまとめて公表するというようなことが新聞報道に出ていましたけれども、この間農水省からいただいた資料だと、今そのチームをつくって、発足させたばかりというような組織図をもらいましたのですぐにはできないのかなというふうに思っておりますけれども、今再調査を行っておりますけれども、それは厳格に行われるということで、じゃ前と今とどのように調査の方法が違うのか、そしてまた、この再調査の結果はいつごろ分かるんでしょうか。
  56. 佐藤正典

    政府参考人佐藤正典君) 御説明をいたします。  無許可専従が疑われました百四十二名につきましては、総務省による無許可専従に関する全府省一斉点検と同様の基準によりまして、本人及び上司、同僚に対する聴き取りや、勤務実態を示す書類の確認、出勤簿とか休暇簿とか旅行命令簿とかあるいは決裁文書等でございますけれども、こうしたものの確認をしているところでございます。  調査の対象期間は、昨年四月末日からさかのぼりまして、百四十二名それぞれの組合役員としての任期の開始時までとしているところでございます。  今その確認をしているところでございますけれども、この資料につきましては、三月十六日までに提出をされているところでございまして、現在、労使関係問題に関する特別調査チームというものを新たに形成をしておりまして、これらによりまして徹底的に確認、検証をしていくこととしております。  ただ、問題となる事例があるかどうか判断するにつきましては、これらの中身を相互に突合しなければなりませんし、様々な精査をする必要がございます。また、追加的な調査が必要となる場合も想定されるところでございます。したがいまして、現時点でいつまで掛かるか明言はできませんけれども、可能な限り早期に作業を進めていこうというふうに考えているところでございます。
  57. 牧野たかお

    牧野たかお君 可能な限り早くといっても、これは本当に慎重、慎重というか、厳格に調査していただきたいものですから、時間だけじゃなくて、本当により深い調査をしていただきたいと思います。  それで、この問題について大臣に伺いたいんですが、社会保険庁のときには私もちょっと党の方のPTにかかわったものですから分かっておりますけれども、最終的に四十人の職員の方が刑事告発されて、八億三千万円余りの不正受給された給与が国に返還されましたけれども、大臣として、この再調査の結果を受けて、やみ専従確認された場合、同様の措置をとられるのかどうか、伺いたいと思います。
  58. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、仮にそういうような事例があった場合には、これは法令に照らして厳正に対処いたします。であればこそ、この調査というものは多角的に徹底して行わねばならないと。もちろん、なるべく早くという意識はございますが、これ個人の権利にもかかわることでございますので、厳正に対処をするためには、調査というものも厳正、的確、公平になされねばならないと考えております。  こういうことがありました、以後気を付けましょうねというような、そういうことで終わっては駄目なので、本当に法令に照らして不適切な行為があれば、それは法に照らして厳正に対処する、当然のことだと思っております。
  59. 牧野たかお

    牧野たかお君 その問題はこれで終わりますけれども、是非徹底した再調査をお願いしたいと思います。  次に、果樹、畑作農産物の振興について伺います。  昨年の九月のリーマン・ショックから、国内は、大企業はもとより、地方では中小企業の倒産だったり、また臨時社員の解雇、また工場なんかの閉鎖がどんどん今起きております。高級品は全く売れませんし、家庭の消費のマインドはマイナスになっている状況でありますけれども、こういう状況というのはだんだんじわじわと農業にも影響を私は与えているんじゃないかと思います。  とりわけ、果樹とか、畑作でいうと私のところはお茶ですけれども、そういった農産物というのは、カロリーベースでどうのこうのという食料確保するものとは違って、どちらかというと嗜好的な農産物なものですから、こういう景気の変動が大きくどうしても受けてしまいます。  まず、この不況下で心配されるそういった果樹や畑作農産物への対応をどういうふうにお考えになっているのか、大臣に伺います。
  60. 石破茂

    国務大臣石破茂君) おっしゃるとおりで、嗜好的な面がございます。私の選挙区のナシもそうなんですが、景気が良くないと売れないねということがあるわけでございます。そうすると、どうやって消費者のニーズにマッチしたものを作るかとともに、いかにしてコストを下げるかということ、それから、いかにして多くの場でそれが食されるか、供されるかということだと思っております。ですので、ここには水が出ているわけですが、これがお茶になるとどうなるでしょうねなどということもあるのかもしれませんが、あらゆる場所でお茶が出るようにということも私ども考えていかなければいけないと思っております。  とにかくコストを低減させましょう、品質を上げましょう、そして園地の改良、機械共同利用、そして施設の整備、そういうことに対して支援を行いましょうということ、あるいは加工・業務用原料を国産品へ転換させる、あるいは特色のある商品開発支援を行う。景気が悪いからどうにもならぬのだというふうにあきらめるのではなくて、こういうときだからこそ、あらゆることを総動員をして支えていかねばならないと考えておる次第でございます。
  61. 牧野たかお

    牧野たかお君 そうした対応を考えていただく中で、私もずっとこちらの方に来てから農政関係の党の会議やこの委員会に出ているんですが、どうしても国の農政の基軸というのは、幹の部分というのは米、大豆とか麦とかそういったものを含めてですけれども、そういう米穀のもの、そしてまた畜産、酪農が中心になっていって、そういった農業に対しては経営安定化対策というのが枠組みとして取られております。  ただ、ほかの畑作とか果樹とか、そういったものは経営安定化対策の枠がございません。ですので、今みたいに、例えばお茶でいえば、五年前の六割ぐらいの市場価格がずっともう毎年毎年下がってきているんですが、それを救うべきそういう安定化対策というのが枠組みとしてありません。  それで、こうした農産物にも私は経営安定化対策の枠組みをつくるべきじゃないかと思いますし、もう一つは、先ほど委員から質問の中に出ておりましたけれども、私は、やっぱりそういう農産物というのは、特に果樹や畑作のものは、各県ごと、各地域ごとの特産品でありますので、一番事情が詳しいのは実は国じゃなくて、私はそこの都道府県じゃないかなという気がずっと、地方議員もしていたものですから、そういうふうに思っております。そういう都道府県を巻き込んだ形で私は果樹や畑作の農産物に対する経営安定化対策の枠組みをこれから考えていかないと、そういうところの農家の皆さんも、これだけ不況が長引いていくと、私はみんな廃業の道に行ってしまうんじゃないかなというすごい心配をしているところです。  そういったことを含めて、果樹、畑作に経営安定化対策の仕組みをつくっていただけないか、大臣に伺いたいと思います。
  62. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは、米とか畜産というのは、それはもう地域によって濃淡があります。私も自民党でずっと議員の仕事をしてきましたが、米と畜産にどうしても偏りがちであって、果樹あるいは畑作にウエートが少し弱いのではないかという印象はずっと持ってきております。  そうした場合に、さて、経営安定対策というのを全国一律にやっているわけですが、それに入れることがいいのかどうか。それよりももっと、委員指摘のように、都道府県の役割というものを明確にして、もっと地域対応型の政策、それに対して国が支援をしていった方がいいのか、どちらがいいのかという議論はする意味があるんだろうと私は思います。  地域に合った政策をやるためには、先ほど民主党の方の御質問にもございましたが、もっと都道府県の役割というものを拡大すべきなのではないだろうか。全国一律の対策でカバーできないところは、権限のみならず、予算の面も含めて地方にお任せした方がより地域活性化するものがありとせば、それは検討を行うべきものではないかと思っておりまして、委員の方からこういうようなやり方がどうだろうかという御提案をまたいただければ、私どもの方としてきちんと検討いたしたいと思います。
  63. 牧野たかお

    牧野たかお君 いろいろ提案は積極的にさせていただきますので、是非また御検討をお願いしたいと思います。  畑作の中で、今の現状をちょっと、現状の中で、先ほど申し上げたのは、その経営安定化対策というのは、やり方についてはこれからお考えになっていただくまでも、時間が掛かる話でありますけれども、今の現況の中で当面する中で、当面の対策としてちょっと例を挙げて説明をさせていただいて、その上で対策等を考えていただきたいという意味質問させていただきますけれども。  これは野村務官に、同じお茶の鹿児島県の御出身ですので実情をよく分かっていらっしゃると思いますので、特別にちょっと質問させていただきますけれども、お茶は露地栽培の農産物でありますけれども、野菜なんかと違って、結局は農家で加工をして、荒茶までには最終的にして、茶商という商売をされる小売商の方たちはそれをまた再製をするんですけれども、少なくとも、農家段階で生のまま出すんじゃなくて加工して出す農産物であります。  それで、そういうことでありますので、お茶の場合は畜産、酪農みたいに設備投資というのがかなり各農家ごとに掛かります。個人でやる場合でも最低数千万ぐらいの多分投資が要ると思いますし、共同でやる場合は大きいものだと十億円ぐらいの工場がやっぱり造られております。  ですので、なかなか設備投資のお金が掛かるわけですけれども、今の農政の補助制度ですと、基本的には共同の農事組合法人でないと補助の対象になりません。しかも、今までは、昨年までは、それもちっちゃな農事組合法人同士が幾つか統合されて、合併をして、新しく工場を造る場合はその補助を出しましょうということになりました。  昨年、石油高騰対策等の中の一環で省エネ施設への転換ということでは、設備更新というよりも、新たな省エネの機械を導入すればそれも補助の対象にしてもらえるようになりましたけれども、それもまだまだ枠が少ないし条件も厳しいということで、実態は、かつて二つとか三つのお茶の農事組合法人の工場が合併をして今工場として操業しているんですが、要は、先ほど申し上げたみたいにそういう茶価、市場価格が低迷しているものですから、最初の補助金をもらっても、今度設備を更新しようとしても内部留保が全くないような状態です。ですので、今の制度だと、十五年ぐらいが耐用年数ですけれども、それから更新をしたくてもなかなか更新ができない、じゃ、どうしようか、やめようかというような声が静岡なんかでも起きております。  そういう状態でありまして、私は、こういう畑作、果樹みたいなものは、特に設備投資が掛かるものについては、もうちょっと今までの制度的な条件だったりいろんなものを緩和した方がいいというか、緩和してくれないと、そういった畑作の、とりわけ私が今申し上げたお茶ですけれども、どんどん衰退の一途になってしまうんじゃないかというふうに危惧しておりますので、こういったことをどう考えていただけるのか、野村務官に伺います。
  64. 野村哲郎

    大臣政務官野村哲郎君) 牧野委員の御地元は、静岡県は日本一のお茶どころでございます。私のところが全国で二番ということで、いつも静岡に追い付け追い越せと、こういうことで大変、委員のところとはちょっと違いまして、私のところは生産の面積も毎年拡大をいたしておるところでございますが、ただ、御質問のありました荒茶の加工施設ですけれども、全国で大体六千か所ぐらいあります。  その中で、今おっしゃいましたように、再編整備しなければならない、あるいは老朽化してきたという耐用年数のところでございますけれども、大体二十年から三十年、設置してから、二十年から三十年すると大体この更新の時期ではないかと、こういうふうにも言われているわけでありますけれども、約その六千か所のうちの半分ぐらいは、これはまだ統計的に取ったわけじゃないんですが、大体その設置年度を見ていきますと、大体半分ぐらいがそういう更新の時期に来ているということで推測できるわけでありますが、そういう意味では、静岡は一番加工施設も多いし、そういう更新の時期を迎えている施設があることも知っているわけでありますが、ただ、今ございましたように、既存の共同利用施設がある場合に更新する場合でありますが、同じような種類で、そして同じ能力のものをまた再整備するということについては、これはもう単純な更新、単純更新と言っておりますけれども、これには補助事業はございません。  ただ、ただ、既存の共同利用施設を再編整備する場合でありましても、新たに整備するその施設の能力だとか、あるいはその効率性、あるいはまたコスト低減、こういったものの観点から、現行においても強い農業づくり交付金で補助対象になってございます。  ですから、そういうもので、多分二十年も三十年もたちますと機械も相当効率性の高い機械にも変わっておりますので、そういう意味では同種それから同能力ということにはならないと思いますので、是非その効率性を図られる施設への転換、そういう意味での補助事業を是非とも活用していただきたいというふうに思っているところでございます。
  65. 牧野たかお

    牧野たかお君 余り言えないものですからこれぐらいにしますけれども、現実的にもうちょっと条件を緩和をしていただけると有り難いなというのが多分皆さんの実感じゃないかと思います。  それで、今の話でも大分厳しいお答えだったものですから、これから質問するともっと厳しい答えが返ってくるかもしれませんけれども、基本的に、これは農水省だけじゃなくてすべての国政の中で補助の対象になるというのは、個人を対象としていないのは私も分かります。これは憲法上でも要するに個人を、特別にその人だけ優遇して公費を差し上げるというのは確かに理屈が立たない部分がございますけれども、そこはちょっと考えていただきたいので一つ御提案があるんですが。  去年から農商工連携という政策で、私は非常にいい政策だと思っております。要は、さっき申し上げたみたいに余り条件も厳しくない事業ですので非常に有り難いなと思っておりますが。そういう中で、お茶の場合、さっき申し上げたみたいな共同の農事組合法人もありますけれども、お茶でいうと自園自製という個人の農家が半分も、全体の戸数でいえば半分はないと思いますけれども、三割、四割の方が自園自製という方でありますけれども、要するに、今の制度ですと一切、個人ですので、個人農家ですので補助の対象になっていないわけであります。融資とか何かはありますが、直接的な支援はないんですが。  ただ、去年の農商工連携で考えると、この農家、これは果樹なんかの農家も入れてもいいと思いますけれども、もう今御自身で、そういう方たちはインターネットでお茶や果樹を、ミカンとかいろんなかんきつ類も売っていますし、もう一つは直接的に買いに来る人に全部売っていますので、農家といえども商の部分、工と商の部分も兼ねていると思います。それともう一つは、私が知っている範囲でいえば、そういう自園自製の農家の方は、ほかの周りのおじいさん、おばあさんの、御年配のそういうお茶の生葉を買い取って、それを自分のところで加工して売っているという方も多いわけです。  ですので、農商工連携の中で、私はこれは、そういう農家の方たちは農家でもあり商家でもあり、また工業をやられている方というふうに認定をしていただいて、そういう方たちは農商工連携の中で補助の対象にしてくれたらうれしいなというふうに思っておりますが、いかがでしょう。
  66. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 御指摘のように、補助事業といいますのは、やはり先進性、モデル性の高いもの、特に共同利用の場合にモデル性を発揮していただくということで補助をしてきているものでありまして、原則として個人で御利用される施設についてはこれまで補助金は交付してきていないということでございます。  ただ、今御指摘あったように、農商工連携という観点から、今年から新しい国産原材料供給力強化対策事業というのを起こしております。これは、中国野菜の問題があったときに国産の野菜に端を発しているわけでありますが、国産野菜がなかなかユーザーまであるいは加工業者まで供給されないと。そういう体制をつくろうということで、産地の生産者の方々、その仲介をされる方々、それから末端の加工業者さん、そういう方が一体となってそういう販売をしていく、そのような場合に、それぞれの施設について弾力的に運用を認めていこうというような事業でございます。  お茶の場合でいいますと、数戸の農家の方々が共同で特定の茶商業者さんに販売をされて、それを飲料業者の方々に結び付けていくというようなそういう供給チェーンをつくられる、そのような場合に、それぞれの農家の方々の製造施設についても対象にし得るというような考え方で一応事業としては起こしておりますので、個別にいろいろと御相談をさせていただきたいというふうに思っております。
  67. 牧野たかお

    牧野たかお君 それはまた、私がというよりも、静岡県とか鹿児島県とかそういう、公共性を持ってまたお願いに上がります。  それでは、次の質問に入ります。  肥料対策、これは長期的な肥料対策という意味ですけれども、時間がだんだん減ってきましたので途中の質問は割愛しますけれども、直接もう大臣質問をさせていただきますが、肥料対策というのは、本当に去年農家の方がみんな困って、今現在も困っておりますけれども、いち早くそういう対策を打っていただいたおかげで何とかその対応はできたと思っております。  ただ、日本人の悪いところは、のど元過ぎれば熱さを忘れてしまうものですから、私思ったんですが、こういう外国の原料高騰によって、また石油と同じように肥料も本当四十五度の角度で値上がりをして、そのたびごとに公費を使って対策を打っているというのは非常に大変じゃないかと思います。ですので、根本的なことを言えば、どのようにして外国から肥料の原料である燐鉱石とか塩化カリとか尿素とかそういったものを、低価なものを安定して供給できるかというのが、私は、これ農政の中でいうと重要なポイントだと思うんですが、余りいろいろなところの中長期の計画の中に肥料の安定供給というのを書いていないものですからふと思ったんですけれども、これはやっぱりそういう手を打っていかなきゃいけないと私は思います。  それで、これは現実的になるかどうか分かりませんけれども、石油もそうなんですが、肥料も国際価格が安いときに輸入して備蓄をしておいて、それをまた国際価格が上がったときに政府が備蓄したものを放出することによって価格調整をするようなことは、これはできないんですかね、よく分からないんですが。単純に考えると、そういうことをしていかないと、いつも国際価格が乱高下するたびに右往左往しているんじゃ安定した供給ができないんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。
  68. 石破茂

    国務大臣石破茂君) これは私もよく勉強します。  ただ、事務方から聞いておりますのは、肥料って安いので、基本的にですね、ただ量はやたらと使いますが、まあやたらと使うのは余り良くないな、量はその時々によって違いますが、肥料そのものは余り高いものではないと。そうすると、それを備蓄するということになると保管コストの方が高く掛かっちゃって、かえって国民経済上どうなんだという問題があります。  そしてまた、安いときに買って備蓄をしておきゃいいんですが、これ、いつが安くていつが高いかというのは、なかなかこれは商社でもよく分からないところでありまして、高いときに買っていたらこれは大損しちゃうということがございまして、どういうような形が安定供給になるのか。  ただ、肥料高騰で去年大騒ぎしたことは事実なんです。委員おっしゃるとおり、のど元過ぎれば熱さを忘れちゃっているというのが今の姿です。そうすると、去年みたいなことを繰り返さないために何ができるのかということは、価格高騰に対してそれを補うということだけではなくて、もう少し何か考えられませんかということは、ちょっと勉強させてください。
  69. 牧野たかお

    牧野たかお君 ついでと言っちゃ怒られますけれども、農政に関係ないわけじゃないんですが、燃油の問題があるものですから、今は肥料の話をしたんですが、私は、石油も要は乱高下によってパニックに日本の場合はなってしまいますので、今三か月の石油の備蓄基地がありますけれども、これをもうちょっと増量してというか、半年分とか一年分とかそういう備蓄基地を建設して、それでさっき申し上げたのと同じように、国際価格高騰したときにはそれを放出して、原油を備蓄してそれを放出して価格を調整するというのはどうかなと思っておりますが、これは私は景気対策としてもいいと思いますし、プラント造るの。それともう一つは、国防上でもやっぱり私はいいことじゃないかなと勝手に思っていますが、もし大臣、それがまともかな、まともだと思ったらもし提案をしていただきたいなと、政府の方にというふうに思っておりますが、どんな感じでしょうか。
  70. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 去年、石油が高騰したときに、本当に政府の中で議論はございました、この備蓄を放出したらいいんじゃないのと。ガソリンをもっと下げろと、道路特定財源たるものを取っ払えとかいう議論がありましたときに、いや、そうではなくてと。この備蓄を放出することによって値段を下げることはできないのかという議論がございましたが、この備蓄の石油はそんなことのためにあるのではなくてと、石油が入ってこなくなったときに国民供給するためにあるのだというお話でそこは終わっちゃったわけですね。  石油の備蓄というものを何のために持つべきなのかという、これ当省所管の法律ではございませんので所管官庁の御発言をいただきたいと思いますが、ここのところをもう一度議論する余地はないか、価値はないか。  あわせて、太平洋戦争もそうでしたが、要は資源をいかにして獲得するかということで戦は起こってきたことが多いわけでございます。そういうようなことを繰り返すことがないためにいろんな観点から研究はしておかねばならぬことだと思っておりまして、それは、資源をいろんなところから我が国は入れているわけですが、それをどうやって安全に運ぶか、あるいは国内に石油備蓄基地はいっぱいあるわけですが、そこへ何かが飛んできたら全部吹っ飛ぶわけで、一体それをどのようにして守るかとか、多くのもっともっと議論せねばならない点が防衛上の観点からもあるのではないか、私は個人的にそのように考えております。
  71. 牧野たかお

    牧野たかお君 政府内で検討して、まともだったらそういうことをまた実現をしていただきたいと思っておりますが。  ここでちょっと大きな話をしましたんで身近な話に戻しますけれども、肥料の話で。農水省のいろんな肥料対策の中に、畜産、酪農から出る、排出される堆肥を使うことによって化学肥料を減肥するというようなことが書いてありますけれども、ちょっと現実的な話を一つ申し上げようと思っているんですが、そういった堆肥を実は中山間でも、山間地の方は実は余り実態としては使ってないんですが、何で使ってないというふうに思いますか、ちょっとクイズみたいですけど。
  72. 本川一善

    政府参考人(本川一善君) 中山間地域におきましては、傾斜地や小区画で不整形の農地が多い、経営規模が小さいということでありますとか高齢化が特に進んでいるということから、やはり散布に掛かる労働力がない、だからその労力を確保することは非常に難しい、それがゆえに堆肥のなかなか活用が進んでいないというところがあるというふうに聞いております。  ただ、全国的に見ますれば、いろいろ事例を集めてもらったわけでありますが、中山間地域でもそういう畜産と連携をした取組地域を挙げてやっているところは幾つかございますので、そういうものを実例を示しながら我々としても引き続き推進をしてまいりたいというふうに考えております。
  73. 牧野たかお

    牧野たかお君 それは多分そういうお答えが返ってくるんじゃないかと思ったんですが、実は、これは私が本当に現地のいろんな、逆に畜産、酪農をやっている人からも聞いたし、農家からも聞いたんですが、堆肥をやるとミミズが発生するんですよ、大量に、大体、堆肥を肥料として使うと。それで困るのは、そのミミズをイノシシが食べに来て掘っちゃうもんだから、山間、山に近いところの畑だと堆肥使えないそうなんですよ。だから、そういうことも現実的にはあるんですが、私は、何でこんなことを言ったかというと、そういったことが私は、農政の中で現場の声というのはそういうものじゃないかなということの一つの例として挙げて、だから、肥料の問題にしても、これから頭の中で考えるんじゃなくて、やっぱりいろんなところの現場の声も反映して対策として考えていただきたいと思います。  最後に、この部分でいうと、やっぱり安定供給というのは私は農政の中長期の中でも大きなポイントになってくると思いますけれども、これからの肥料の安定供給対策をどうお考えになっているか、大臣に伺いたいと思います。
  74. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 済みません、今のイノシシの話は私自身存じませんでした。  やはり、おっしゃるとおりで、現場はどうなんだということをよく私ども把握しないと施策がとんちんかんになっちゃうことがございます。それから、先ほど予算説明でも申し上げましたが、いわゆる鳥獣害対策予算というのは相当に組んでおりますし、現場に合ったような鳥獣害対策をやっていかねばならぬということを考えたところでございます。  御質問について申し上げますれば、肥料の安定供給についてでございます。  海外での肥料原料確保に向けた投資の支援等を通じた肥料原料輸入先の多角化というものを図っていかねばなりません。これが一つ。  もう一つは、今も御指摘がありましたが、家畜ふん尿を始めとする地域の低利用資源を用いた新たな施肥技術の導入ということもやっていかねばなりません。我が国が有します肥料用燐の総量の一六%に相当します燐を含んでおります未利用資源であります下水汚泥、これからの肥料成分の抽出技術の開発、実用化ということもやっていかねばらならない。肥料はもちろん、委員よく御案内のとおりですが、どんどこやればそれでいいというものじゃありませんで、どの場所にどれだけの量を施肥するのが最も効果的かということも併せて、肥料を本当に有効に活用する技術の確立充実と併せて今申し上げましたようなことを推進していきたいと思っておるところでございます。
  75. 牧野たかお

    牧野たかお君 もう時間がなくなって山田長官に申し訳ないなと思っておりますが、質問はやめます。お願いだけ、お願いというか要望だけしておきますが、今回、マグロはえ縄の再編整備が進められておりますけれども、現場からいうと、これも漁協等に言われると、今回は減船のための交付金が少ないという、かなりのそういう御意見が出ています。  それと、それはそれで聞いていただきたいというのと、もう一つは、日本はTACを一生懸命まじめに守っているけれども、ほかの国は守っていないじゃないか、だから、おれたちばっかり守って損をしているだけだ、だから、自分たちにもちゃんと言う以上、外国にもTACの漁獲量は守るようにもっと強い姿勢で臨めというふうに言われてきましたので、伝えておきます。  以上でございます。
  76. 平野達男

    委員長平野達男君) 山田水産庁長官、ございますか、答弁。
  77. 山田修路

    政府参考人山田修路君) よくお話は承りました。ありがとうございます。
  78. 草川昭三

    ○草川昭三君 公明党の草川であります。  最初に、北海道根室沖の漁船の安全確保について質問をしたいと思います。  言うまでもありませんけれども、北海道の根室沖という海域は、サケ、マス、サンマ、スケトウダラ、ホタテなどの我が国を代表する漁場でありまして、多くの日本漁船がここで操業をしております。同時に、この海域は、北米と韓国、中国を結ぶ大型貨物船などの主要航路にも当たるところであります。大圏航法という言葉がございますが、これでいきますと、北米のロサンゼルスやサンフランシスコと韓国や中国の港を往来する貨物船は、このルートの最短距離であるところの根室沖、襟裳岬沖、津軽海峡を通って日本海に抜けるというコースを高速で航行をいたしております。  そのため、この海域におきましてはしばしば貨物船と漁船の衝突事故が発生をしておりまして、尊い命が奪われております。大小様々な船舶が混在し、衝突事故が起こりやすい狭い港の中や港の出入口付近ではなくて、広い外洋にもかかわらず事故が多いというのがこの海域の特徴になっております。  この海域の状況について農水省としてはどう認識をしておみえになるか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  79. 山田修路

    政府参考人山田修路君) 草川委員からお話がありましたように、根室沖合の海域におきましては、この付近に今お話がありましたようなサンマその他の魚介類の大変優良な漁場が存在をしております。したがいまして、漁船の操業が多いわけでございます。また、北米航路の貨物船等の通航もお話がありましたように非常に多いというふうに承知をしております。  委員からお話がありましたように、この海域におきましては、平成十七年九月にイスラエルの貨物船と日本の漁船が衝突をして七名の方が亡くなるというような大きな事故も起きております。そういう意味で、委員お話がありましたように、この海域、今おっしゃったとおりの状況であるというふうに認識をしております。  水産庁といたしましては、この海域に限らず漁船の操業の安全を確保する観点から、安全操業推進の月間をつくりましたり、あるいは様々な活動で普及啓発を行っておりまして、さらには事故防止、事故の減少を図るという観点から、ライフジャケット着用推進のガイドラインを作りましたり、あるいは特に昨年の十一月には、大日本水産会や全漁連、都道府県に対して漁船の安全航行、安全操業を呼びかけるというようなことも実施をしているところでございます。
  80. 草川昭三

    ○草川昭三君 今御答弁がありましたことに付け加えまして私の問題提起をしたいと思うんですが、今答弁がありましたように、海難事故防止のためには、この海域で操業する漁船や通過をする貨物船の双方のお互いの位置や針路あるいは速力などの情報を的確に把握をすることが重要だと考えます。  現在、大型の船舶には自動船舶識別装置というものの搭載が義務付けをされております。しかし、漁船等にはないわけでありますが、自動船舶識別装置というのは、識別符号、それから船の名前、船名、針路、それから速力、目的地などを発信をする無線機器でございまして、受信をされたデータは電子海図やレーダー画面に表示できるという非常に優れた能力を持っているものです。これを活用すれば安全な船舶の航行と漁船の操業がお互いに確保されるのではないかと思うんですが、この点についての見解をお願いをします。
  81. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ただいま草川委員からお話がありました自動船舶識別装置でございます。これは今委員からお話があったとおりでございまして、その船の名前あるいは位置、どっちへ向かっているかというようなことまで分かる、それを発信する装置でございます。それで、委員からもお話がありましたけれども、一定の規模の船舶につきましては関係法令によってこの設置が義務付けられておりますけれども、小型の漁船には搭載の義務付けはございません。  したがいまして、この自動船舶識別装置、委員からお話がありましたように、漁船の安全航行には非常に有益な装置であるというふうには考えておりますけれども、これを搭載をするということを考えますと、義務付けはないんですが、小型漁船にもこの装置を搭載をしていくという方法と、もう一つ、地上で漁協などがそのデータを受け取って、それを別途小型の漁船に伝えていくというような方法があろうかというふうに思います。  この方法についてはやはりクリアすべき課題がいろいろあるんではないかと思っております。第一番目に申しました小型漁船への搭載につきましては、やはり漁業者にとって負担、経済的な負担が生ずるということがございます。それから、二番目の陸上の漁協等への設置をするということになりますと、先ほど言いましたように、一回その情報を受け取って何らかの形で分析、変更、手を加えてそれを持っていない小型の漁船に伝えていくということが必要でございますので、ある程度そういうことができる専門の職員というようなものも必要になるかというふうに思っております。こういった課題をクリアをしていく必要があるんではなかろうかと考えております。
  82. 草川昭三

    ○草川昭三君 おっしゃるとおりでございまして、その海域、根室の管内でございますが、八つの漁業組合がありまして、その八つの漁業組合ではレーダーをネットワーク化するという努力をしておみえになるんです。それで、その八つの漁業組合で監視センターというのを設置をし、年間を通じて二十四時間体制で集中監視システムというのを採用しておみえになるようですが、そのレーダーが必ずしも高度なものではないというようにも聞いておるわけでありまして、はっきり申し上げれば能力が不足をしていると、そのレーダーでは。  それで、自動船舶識別装置から発信をされるデータを正確に受信をしてもらうということが大切ではないだろうか。だから、その自動船舶識別装置から発信されたデータをレーダーが正確にキャッチできれば、貨物船の通過情報を操業する漁船にすぐ提供することができるわけですし、貨物船側にとっても漁船の位置を通告することが分かれば事故を未然に防ぐことができると考えるわけです。  ですから、能力の高いレーダーをこの海域の安全対策として配備すべきと私は思うんですが、その点についての見解を賜りたいと思います。
  83. 山田修路

    政府参考人山田修路君) ただいまお話がありました漁船の安全航行に関する情報の送受信のための漁協等が有するレーダーの施設についてでございますが、これを整備する場合には、共同利用、まさに共同利用の施設の整備ということであろうかと思いますので、強い水産業づくり交付金の助成対象となり得るものと考えております。  この交付金につきましては、御案内のように、都道府県が各地の事業要望を取りまとめて国に申請をするということでございますので、こういった御要望がございましたらば都道府県にまず相談をしていただいて、水産庁は必要な情報提供なり相談に応ずるということで対応していきたいと考えております。
  84. 草川昭三

    ○草川昭三君 地元の方々からはかなり強い要望が出ているというように聞いておりますが、まだその声が弱いかも分かりません。  そこで、大臣にお伺いをしますが、ある専門家はこの海域の状況を、ダンプカーが行き通う、非常に高速道路でダンプカーがもうたくさん走っている、そこをよちよちと自転車で渡るような状況だと、分かりやすく言えばそういう状況だということを是非これは大臣にも伝えてもらって、それで、漁船の安全対策についてどうお考えになっておみえになるか、この問題について最後の一問をしたいと思います。
  85. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 漁船の安全操業の確保というのは、水産業の振興を図る上で最も重要かつ不可欠な問題であります。  この問題を議論しますときに、私、委員の御指摘を聞いて思い出すのですが、まさしく去年の二月にイージス艦が漁船と衝突をしたというあってはならない事故がございました。私、防衛大臣としてその問題のいろいろな対応というものを、不十分であったかもしれませんが、随分とやりました。そのときに、大きな商船あるいはタンカー、客船、軍艦、いろいろなものの前に漁船というものは本当に今委員が比喩なさったとおりなのだろうと思っております。  我々、農林水産関係する者として、その安全確保をどのように行うかということ、今水産庁長官からも答弁を申し上げましたが、漁業経営の実態というものもよく把握をしながら、しかし安全というものを最優先に私どもとしてもできる限りの支援を行ってまいりたいと思っておるところでございます。  例えて申しますと、ライフジャケットをみんな着用したらいいじゃないかというお話、もちろん事故が起こった後の話ですから、それはもう本質的なことにはならないことを百も万も承知の上で申し上げれば、ライフジャケットをちゃんとやったらいいじゃないかという議論もあのときありました。ところが、ライフジャケットを装着しちゃうといろんな作業が非常にやりにくくなっちゃう。じゃ、その漁業者の方々にとってどうなのだということでございまして、平成十四年から通信手段がない一人乗りの小型漁船、約三万隻ございますが、これはライフジャケットの着用が義務付けられたところでございます。国交省では昨年の四月、まさしく昨年の四月ですが、その義務付けを拡大し、すべての一人乗り漁船約十万隻に着用の義務付けを行ったと。二人乗り以上は努力義務ということになっております。  私どもとして、何とか予算等々を活用して漁労作業に適したライフジャケットの開発を積極的に進めたい。そして、漁業者のためのライフジャケット着用推進ガイドラインによる普及啓発を行いたい。漁業者の負担にならない形で、しかし安全操業というものは確保できる、そのために行政として考えられる限りのことをやっていきたいと思っておりますので、御指摘を踏まえて更に努力をいたしたいと存じます。
  86. 草川昭三

    ○草川昭三君 これで、残りの時間を農林中金関係質問に切り替えたいと思います。  もうこれで三月末ですね。去年の暮れに農林中金の方の増資計画というのが言われまして、三月中には一兆九千億の資本調達をする、会員あるいは信連等から支払期日に実現を果たしていただけるように努力をすると、こういうことを言っておみえになったわけですが、ただいまの現状の見通しをお伺いしたいと思います。
  87. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 委員指摘の農林中金の増資計画でございますけれども、これにつきましては、二月二十日の農林中金の経営管理委員会におきまして、会員信連等から今月中、三月中を払込期日といたしまして、後配出資及び永久劣後ローンにより最大一兆九千億円の増資を行うことを決定、公表したところでございます。  この資本調達、この公表に当たりまして農林中金は、昨年十一月以降、中金の理事が様々な機会をとらえまして、複数回にわたりまして会員であります信連、JAの役員等に対して直近の財務状況説明を行うとともに、個々の信連等の増資額につきましては、個別協議の上、個々の経営の実情に応じた額を決定したというふうに聞いております。  したがいまして、現在、各会員信連等におきましては、このような協議を踏まえて、農林中金に対します出資について、今月末までの、期日までの払込みを目指して所定の手続を進めているというふうに聞いております。
  88. 草川昭三

    ○草川昭三君 ここをちょっと聞いていただきたいんですが、いわゆる農家への融資貸出残高ですね、これが九三年以降急速に減少しているわけです。特に小口の融資の許可が非常に少なくなってきておるわけでございまして、小口融資が厳しくなってきたのは、いわゆる農林中金の増資に、親組合というんですか、あるいは信連というんですか、というところが貸出しの余力を、増資に応じた結果、貸出余力が失われて、農業者に必要な資金の調達がしづらくなってきておるのではないだろうかという声があるんですが、その点についてはどのような御意見か、お伺いしたいと思います。
  89. 高橋博

    政府参考人高橋博君) まず、この点につきましては、そもそも農協等におけますいわゆる貯貸率でございます、これは一般金融機関に比べまして、二一%強という形で相当低い水準にある。いわゆる農協段階におきましての農家の資金需要に対しまして資金が豊富にありまして、その余資について信連等に預けられる。信連段階においても、当然のことながら、県内におけます資金需要に対応するわけでございますけれども、この点についても必要な資金以上の資金量を持っておりますので、これが農林中金にまた預けられるという形になっております。元々、この農協系統が持っております資金量については、資金需要量に対しましても相当程度大きな余力を持っているところでございます。  今回、一兆九千億円の増資決定をしたわけでございますけれども、この資本拠出の方法につきましては、このような信連等が農林中金に既に預けております預金を、これを出資に振り替えるという形になること、それから、今申し上げましたように、系統そのものの貯貸率が二、三割程度という形で低いこと、それと、農業の融資の基本でございますけれども、委員も御承知のとおり、農業に関します融資の七五%程度はいわゆる制度金融によるものが圧倒的なシェアを占めているというような事態もございまして、今回の出資に伴いまして農協、信連等が農家に対して貸出資金が減少し、貸し渋りに直結するといったような事態はないというふうに考えております。
  90. 草川昭三

    ○草川昭三君 まあ、そこら辺りは実際現場でよく調べていただいて、疎漏のない融資をお願いしたいと思うんです。  いずれにいたしましても、八十兆を超す日本最大の、私は、何というんですか、投資機関であることは間違いがないわけでございますので、今後の発展をお願いしたいところですが、農林中金は、またこれいずれ専門的に議論があると思うんですが、有価証券の運用の一環として、六兆円を超す証券化商品を保有しておみえになります。農林中金の保有をする証券化商品はスリーA格を中心とした格付資産であると私どもは聞いているわけでございますが、結果として、スリーAという最高の格付機関が保証をしているにもかかわらず、今回のリーマンの問題を含める金融危機を生じておるわけでありますが、その中でも大きな位置付けである農林中金としてはどのような評価をしておみえになるのか、まず農林省にお伺いしたいと思います。
  91. 高橋博

    政府参考人高橋博君) 委員指摘のとおり、農林中金の有価証券運用でございますけれども、農林中央金庫が発表いたしましたところによりますと、平成二十年十二月末におけます証券化商品の保有残高は六兆四百三十四億円でございます。このうち評価損益は三千八百五十一億円となっておりますが、スリーA格の証券化商品の保有残高、これを見てまいりますと、六兆四百三十四億円のうち四兆八千百八十五億円、評価損益は三千八百五十一億円のうち千九百六億円となっているところでございます。  このような評価損益が発生いたしました個々の具体的な要因につきましては、個別金融機関におけます経営・運用内容にかかわることでございますのでコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として申し上げさせていただきますと、スリーA格のような、トリプルA格のような高格付資産については、これは元本償還の蓋然性は高いというふうに考えられて運用されているわけでございますが、サブプライムローンの発生問題以降顕在化いたしました世界的な金融市場の混乱によりまして、過去に例のない価格下落が発生しているというふうに承知しているところでございます。  いずれにしましても、農林水産省といたしましては、農林中央金庫が適切にリスク管理等に取り組むことが重要であるという考え方の下に、これまでも金融庁など関係当局と連携をしながらヒアリング等を実施してきているところでございますが、今後も、このような取組を通じまして、農林中金のリスク管理状況あるいは金融市場の動向等については十分注視してまいりたいというふうに考えております。
  92. 草川昭三

    ○草川昭三君 今日は金融庁にも来ていただいておりますので、これは金融庁の方から答弁をしていただきたいんですが、いわゆる証券化をしたものを購入する、しかも格付機関が保証をしている、しかも、まあこれは全部が全部じゃありませんけれども、アメリカのファニーメイとかフレディマックなんというのは、総裁は大統領の指名で総裁に任用されるというようなところから売出しをされたものを買うわけですから、かなりこれは購入者としては信用するのはやむを得ないものがあるのではないかと私は思うんですが、そこで理解をしておってはこれは大変なことになるので、一体こういうような評価損が発生をした原因というものは、やはりプロの、いわゆる金融庁の方から国際的な信用リスクの管理というような、ガイドラインというんですか、何かそういうものが、いつも見ていただいて注意を発していただくようなことが私は金融庁として必要ではないだろうか、こう思うので、金融庁からの御意見を賜りたいと思います。
  93. 岳野万里夫

    政府参考人岳野万里夫君) お答え申し上げます。  米国のサブプライムローン問題を契機といたしまして、世界の証券化商品を中心といたしまして金融資本市場の混乱が起き、そうした中で金融機関、これはもう内外共に、特に外国の金融機関でございますが、多額の損失を被ったという事態が現に起きているところでございます。  なぜこういう事態に至ったかという点につきまして、特に金融機関のリスク管理の在り方といった観点から国際的な場で検証が続けられておりまして、我が国を含む主要国の金融当局が集まって構成しております金融安定化フォーラム、略しましてFSFという組織がございますが、そこでの整理は以上次のようなものとなっております。  一つには、歴史的な低金利あるいは過剰流動性など長期にわたる経済金融環境を背景といたしまして、金融システムにおける与信及びレバレッジが急激に拡大したこと。二つ目は、金融機関におけるリスク管理の不備ということ。特に、格付への過度の依存を背景といたしまして、証券化商品への投資に当たってもその商品の評価、分析をきちんとしていなかったということ。それから、そもそも格付会社におきまして証券化商品の格付に関し様々な問題があったということなどが指摘されておりまして、このような複数の要因が相まって世界の多くの金融機関が金融商品への投資におきまして多額の損失を被ってきているということでございます。  こういった事態に対しまして、我が国の金融機関に対する、先生が今おっしゃられたような国際的なリスク管理の指導ガイドラインといった点についてでございますが、私どもも、やはりこの金融技術の進展によりまして市場で売買される金融商品に内在するリスクも非常に複雑化してきているところでございます。国際的に見ますと、今回の証券化商品への投資の損失という意味ではそのマグニチュードは我が国の金融機関は相対的に小さかったわけでございますが、私ども金融庁といたしましても、今回の金融安定化フォーラムを中心といたします国際的な検証を踏まえ、またさらに国内でのリスク管理の強化といった点につきまして、例えば昨年八月以降、大手金融機関を始めとする各金融機関に対する監督指針の改正を行い、各金融機関が資産運用を行う場合にそのリスク特性を踏まえたリスク管理体制をきちんと維持していただくこと、あるいはその高度化を図っていく等々、そういったことを今お願いをしているところでございます。
  94. 草川昭三

    ○草川昭三君 もうこれで最後になりますのでできたら大臣の見解を賜りたいんですが、農林中金は、今お話がありましたように、国際的な金融危機で大きな影響を受けたわけです。単位農協あるいは農業者にとりましてもこれは大きな影響を受けたと同じことだと思います。是非とも農林中金は、今後の健全な財務を維持することと、非常に困難な状況にある地域農業、農家の資金需要にしっかりとこたえられる存在として機能を果たすべきだと考えていますけれども、大臣はどのように御指導なされますか、お伺いをして終わります。
  95. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 農林中央金庫法第一条には、「農林中央金庫は、農業協同組合、森林組合、漁業協同組合その他の農林水産業者の協同組織を基盤とする金融機関としてこれらの協同組織のために金融の円滑を図ることにより、農林水産業発展に寄与し、もって国民経済の発展に資することを目的とする。」と、このように明確に定められておるわけでございます。  私は、農林中金が本当にこの法目的のとおりに機能するように今までもしてきたと思いますが、この金融環境が大きく変わった中にあって、相当事情が変化してきております。それにきちんと対応できているかということを私どもとしてよく認識をしてまいりたいと思っております。  先ほど来、局長が答弁を申し上げているとおりでございますが、資本調達に関しまして、農林中金自らも財務運営等の見直しを着実に進めなければなりません。そして、農林中金を始めとする農協系統金融機関が、これまで以上に農林漁業者の経営の安定や農林漁業発展に寄与していかねばなりません。それがお題目に終わっていないかと、本当にそういうことがきちんと行われているかということについて、農林水産省として強い関心を持って見てまいりたいと思っております。
  96. 草川昭三

    ○草川昭三君 以上です。
  97. 紙智子

    ○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。  今日は、事故米の問題についてお聞きいたします。  大臣は、去年の十月三十一日に事故米問題で大臣談話を発表しました。その中で、国の在庫保管中に問題が生じた場合はこれを廃棄処分すると明言をされました。また、米のトレーサビリティーを導入するために設置された米流通システム検討会でも、農林水産省食糧部枝元計画課長は、「倉庫の段階で仮にMA米なり国産米においてアフラトキシンが確認されたということについては、それについても要は政府が焼却をするということでございます。」と、アフラトキシンの汚染の米は、政府が倉庫段階の米についても焼却処分するということを明言しました。  ところが、今年の二月十九日の「輸入米の販売直前におけるカビ・カビ毒のチェックについて」、プレスリリース出ていますけれども、この中では「飼料安全法の場合は三つの基準値以下であれば、それを販売する。」ということで、焼却処分から飼料用には販売するということで、大きく方針を転換したわけです。  大臣、これは約束違反ではありませんか。大臣
  98. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 事実関係、極めて重要なことでございますのでゆっくり申し上げます。よくお聞き取りをいただき、また御議論に供したいと存じます。  米のカビ毒に関しまして、食品衛生法におきましては、この法律に基づき定められた検査方法で分析をした結果、アフラトキシンB1が検出されない陰性のものでなければ食品として販売はできません。ここは御理解いただけるところだと思います。  今度はえさの方になるわけですが、一方、飼料安全法におきましては、食品となる畜産物への影響あるいは家畜への影響の観点から、アフラトキシンB1、ゼアラレノン、デオキシニバレノール、この三つにつきまして、基準値、それぞれが〇・〇一ppm、一・〇ppm、一・〇ppmを定めておりまして、この飼料安全法に基づき定められました検査方法で分析をした結果、いずれも基準値以下の場合でなければ飼料として販売はできないことになっておるわけでございます。  このうち、ゼアラレノン、デオキシニバレノール、この規制は食品衛生法にはございません。飼料安全法独自の規制でございます。しかしながら、アフラトキシンB1におきましては、食品衛生法、飼料安全法、共に規制がございまして、問題はその規制の仕方がこの両方では異なっているというところが問題なのでございます。  今後どうするかということです。食品衛生法ではセーフだが飼料安全法ではアウトというような場合、逆の場合もですね、食品衛生法ではアウトだが飼料安全法ではセーフ、そちらの方が多いんでしょうね、飼料安全法ではセーフ、というような場合をどうするかということでございますが、消費者の不安を払拭をしていかねばなりません。私どもとして、消費者の皆様方の不安を払拭する観点から、アフラトキシンB1につきましては、飼料用、えさ用として販売いたします場合も食品衛生法の規制をクリアすることを確認をした上で販売をいたしたいと思っております。  したがいまして、これをクリアできないものにつきましては、飼料用、えさ用としても販売をいたしません。廃棄処分、焼却をすることということになるわけでございます。  委員が今御質問の中でおっしゃいました担当課長の言は、基準値以下ならばえさ用に販売することと矛盾するのではないかというお話ですが、今まで答弁をいたしたとおりでございますけれども、昨年の十月二十三日開かれました米流通システム検討会におきましての発言かと存じます。つまり、そこで、倉庫の段階でアフラトキシンが出たものについては廃棄するというふうに言ったではないかと、それは基準値以下ならばえさ用に販売するということと矛盾するじゃないかと、こういうような御指摘ではないかというふうに私は理解をしておるわけでございます。  そういうことを踏まえまして今答弁を申し上げたわけでございますが、ただ一言だけ申し上げれば、米流通システムの検討会は、米のトレーサビリティー、原料米に関する産地情報の伝達、在り方を流通、加工の実務の観点から検討するということでございまして、食品の安全性の問題を議論する場ではなかったということはあえて申し上げさせていただきたいと思います。  大変長い答弁になりまして恐縮でございますが、今後は食品衛生法の規制をクリアするということを確認した上でなければ販売をすることはいたさないということをこの場で申し上げさせていただきたいと存じます。
  99. 紙智子

    ○紙智子君 長々とお話をされて煙に巻こうということなのかな、ごまかすんじゃないかというふうに思うわけですけれども、大臣談話も、それから計画課長も明確に廃棄というふうに言っているわけですよね。  それで、ちょっともう一回確認しますけれども、これ農水相の談話ですよ、大臣の談話ですよ。「既に、事故米穀を今後二度と流通させないようにするため、一、輸入検疫で食品衛生法上問題があるとされた米麦については、輸出国等への返送又は廃棄を行うこととし、国と輸入業者との契約でこれを明確にしました。二、また、国の在庫保有中に問題が生じた場合は、これを廃棄処分にすることとし、処分を開始しております。」と、「こうした再発防止策については、今後も徹底して取り組んでまいりたいと考えております。」、これ大臣の談話ですよ。  それから、米流通システムの検討会議録ですけれども、これ二回の分ありますけれども、これでやり取りがあるわけですよね。それで、いろんな消費者の代表の方も含めてやり取りされている中で、阿南さんという方が言われているんですよ。  今のカビの問題ですけれども、前回も言いましたが、アフラトキシンについては減ることはないですよね。最初は分からなくても、やはり増殖することだってあるわけですね。だから、それを廃棄すると言いますけれども、その廃棄を一体だれがどこで責任を持ってやるのか、それは変形加工業者がやるのか、どなたがやるのか、流通している段階でもそのカビの心配あるわけですね。そこはどういうふうに管理するということなんですかと言ったら、枝元計画課長が、アフラトキシンについては、今御指摘のあったとおりいろいろな意味で化学上というのか、増殖の可能性を含めてカビだと認識していますと、少なくともアフラトキシンについては政府が、まず海外から来たときにそれが分かったら、これはもうシップバックをするか、廃棄というのはいわゆる焼却でございますと、これは国が焼却するということです、国自らがですね。それで、あと倉庫の段階で仮にMA米なり国産米においてアフラトキシンが確認されたということについては、それについても要は政府が焼却するということでございます。委託変形加工という、要は加工工場に売ってもいいよという米についていわゆる主食への横流れを防止するために割るということで、少なくともアフラトキシンが出たものについては委託変形加工という工程に入るわけではなく、それはもう焼却という形で廃棄をするということをこれからやるということを決めたということを言っているわけですよね。  ですから、これ二つ、今紹介したとおり、食用も飼料用も区別なく廃棄というふうに言っていたわけですよ。それを、飼料用は基準値以下なら販売するというのは、これは明らかに約束違反じゃないですか、大臣
  100. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 事実関係もございますので、私から補足をさせていただきたいと存じます。  今、大臣談話、また検討会の議事録を紹介いただきまして、それはそのとおりでございます。  経緯でございますが、昨年の十月に販売した後にアフラトキシンB1が検出されたという事例がございました。販売直前にこうした事態をもう極力防ぐということで、この二月十九日から販売直前にこのカビ毒の検査をするということにしたわけでございます。  その際に、食用と飼料用という販売用途に応じて、それぞれの規制法に基づいてチェックをするということにいたしたところでございます。この結果、アフラトキシンB1につきましては、大臣からお話しいただきましたように、食品と飼料用と規制が異なるということで若干取扱いが異なったということでございます。  しかしながら、これも大臣から御答弁いただきましたが、食品衛生法のクリアをしていないものが飼料安全法の規制をクリアして流通するということについて消費者の不安もあるだろうということで、こういった不安を払拭するということで、今後、食品衛生法の規制のクリアをできていないものは飼料としても販売しないということでございます。  よろしくお願いいたします。
  101. 紙智子

    ○紙智子君 大臣がお答えになったことと同じ答えじゃないですか。  あのですね、このやり取りの場面にいろんな方が参加していたわけですけど、このやり取りをしたわけですよね。それで皆さん、そうかというふうに思ったわけですけれども、ここに参加されている阿南さんや全農の方だとか大学の先生だとか、そういう方々に対して説明されたんですか、変えますということで。されていますか。
  102. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 米流通システム検討会を開いて御説明をしたということはないというふうに思っております。ちょっと詳細の事実については私今すぐここで答えられませんが、流通システム検討会の場で説明をしたということはないというふうに承知しています。
  103. 紙智子

    ○紙智子君 問題じゃないですか。だれも知らないですよ、それじゃ。このときに話したことのとおりに進めているんだろうと思っていたら、勝手にどこかで方針が手のひらを変えてしまったと。  この阿南さんという方に私の秘書が電話を掛けたんですよ。お聞きになりましたかと言ったら、びっくりしているわけですよね、全く聞いていないと。こんなことでいいんですか。
  104. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) この件につきましては二月十九日にプレスリリースをいたしまして、この考え方を公表をさせていただきました。  ただ、それだけで十分であったかといった御指摘については真摯に受け止めて、これから皆さん、委員の皆さんだけでなく、消費者国民の皆様に分かりやすい情報提供に更に努めてまいりたいというふうに考えております。
  105. 紙智子

    ○紙智子君 そういうやり方自身が問題だということですよ。全く説明なしに勝手に変えて、それでこれでやりますというプレスリリース出して事済むことではないと思うんですよ。  そして、これ、飼料用にはその基準値以下でも食用にはアフラトキシンが残留しているものというのは、これは食品衛生法上は流通が禁止されているわけですよね、アフラトキシンが、食用でいえば。食品衛生法上はアフラトキシンというのは絶対口に入れちゃいけないわけだから、これは禁止されているわけですよ。アフラトキシンの汚染米が飼料用に販売された場合、そういう形で基準値より低い場合、飼料の場合はオーケーということで販売された場合、それが食用に、主食用に転用されることだってあり得るわけですよね。それをどうやって防ぐんですか、回した場合。
  106. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) まさに今回、先般の事故米問題を踏まえまして立入検査マニュアル等を作りまして、特にこのえさ用のものについても厳重なチェックをするということにいたしました。  例えば、配合飼料になる場合にはずっと立ち会ってずっとやっているとか、そういうことはあるわけでございますが、まさに、それはそれとしてやるわけでございますが、さっき言ったような、あってはいけないことですが、またえさ用のものが主食用に行くのではないかと、そういう御不安もあるということは私ども認識しておりまして、そういった不安を払拭するということで、ただいま説明をさせていただいたように、食品衛生法上の規制をチェックできないものはもう今後飼料としては売らないということにいたしたところでございます。
  107. 紙智子

    ○紙智子君 それでは防げないし、消費者は安心できないですよ。だって、今説明されたことというのは三笠フーズの繰り返しじゃないですか。立入検査してずっと見ていると言うんだけど、結局あのときだって、九十何回ですか、繰り返し行ったけれども発見できなくてこういう事態になったわけですから、そういうことで安心、とてもできることではないんですよ。もし悪意を持っている人がいたとしたら、そういう業者の方がいたとしたら幾らでもごまかせると。  本当にこれで防げるというふうに思うんですか。
  108. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 配合飼料の製造工程という話を少し具体的にさせていただきたいと思うんですが、米を飼料用に販売する場合、米がトウモロコシですとか大豆かすですとか魚粉などと混合されるわけでございます。いったん、これ、混合されて配合飼料になってしまえば転用されるということはありません。したがいまして、配合飼料工場の原料の切り込み口、切り込み口というか原料を入れるところでございますが、そこの投入を確認すれば、製造工程が、製品になるまで、全く外界と遮断されております。横流れの可能性は極めて小さいというふうに考えているところでございます。  こうしたことに加えまして、先ほど申しました、昨年十月に新たに策定したこの検査マニュアルに基づきまして、地方農政局の職員が全加工期間にわたりまして全工程に原則立ち会って確認をするということで、厳重な横流れ防止対策を講じているということでございます。
  109. 紙智子

    ○紙智子君 マニュアルさえ作ればいいということではないですよ。  それで、やっぱり三笠フーズの事件の教訓なわけですけれども、このアフラトキシンの汚染米というのは決して食用には回してはならないと。だから、焼却するのが最も食の安全、安心の上からはベストの対応なんですよ。  同じ問題は、カドミ汚染米、このときには色を付けたわけですよね、横流れしないように。カドミ汚染米については工業用で、しかも着色をすると。しかし、アフラトキシンの汚染米は着色処理もしないと。こんな危険な処理でよしとすることにはいかないと思うんですよ。昨年の反省があるわけで、その反省に立てば、当然ここのところは、せめて着色だってしなきゃいけないことだと思うんですけれども、これ、なさらないんでしょうかね。
  110. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 繰り返しになりますが、今後は、飼料用に販売する際には、食品衛生法上の規制をチェックできないものはもう販売いたしませんので、そういった着色等の必要性はないというふうに考えております。
  111. 紙智子

    ○紙智子君 だから、その横流れすることはないという根拠が大体はっきりしないじゃないですか。  それで、カドミ米についてはどうして着色したんですか。
  112. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) カドミ米につきましては、まさに横流れ防止ということでやったわけでございます。  私、繰り返しになって、説明不十分かもしれませんが、このアフラトキシンが検出された、食品衛生法上の公定法によって検出されたものについてはもう売らないということでございます。ちなみに、カドミ米についても、原則今はすべて廃棄処分にしているところでございます。
  113. 紙智子

    ○紙智子君 だから、変なんですよ。売らないと言うけれども、基準値以下のものは飼料用に回すというわけでしょう。それがだから横流れする可能性がある中で、大臣、なぜ着色して分けるという防止策を取らないのか。
  114. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 別に私は煙に巻こうなぞというよこしまなことを考えておるわけでは全くございませんで、委員、何か誤解があるのではないかと思いますが、売らないんです。売らないものは横流れのしようがないのでありまして、売らないということしかお答えはございませんです。
  115. 紙智子

    ○紙智子君 飼料用に販売……
  116. 石破茂

    国務大臣石破茂君) 売りません、いや、売りませんです。つまり、食品衛生法上クリアできないものは売らないということになっておるわけですから、それもえさの方にも行かないわけでございますね。  カドミ米の場合には、これは着色して工業用になるというものでございました。ですから着色ということをやっておったわけでございますが、今局長からお答え申し上げましたように、これも焼却するのだということになっておるわけでございます。  マニュアルさえ作ればいいというもんじゃないだろうがという御指摘なんでありますが、今まではマニュアルそのものもなかったと。九十六回行って何をしておったんですか、それはただ見ておっただけではないですかというようなことになっておったわけでございまして、それはもうチェックも厳重にいたしますと、食品衛生法上クリアできないものは、それはもうえさ用だろうと何だろうと売りませんということになるわけでございまして、御懸念のような事態は生じないというふうに私は申し上げておるところでございます。
  117. 紙智子

    ○紙智子君 ちょっとよく分からないんですけれども、分からないんですけれども、売らないと言うんですけれども、食品衛生上違反だというものについては売らないと、もちろん売らない、流さないと。だけれども、飼料安全法に基づいてということでいえば、これは飼料用に回すという話でしょう。飼料安全法に基づいて、基準値についてクリアしたものについては流すわけでしょう。
  118. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) 二点、大臣の御答弁を補足させていただきたいと思います。  一点は、売らないということは廃棄・焼却処分にするということでございます。その際に、飼料としてのものも食品衛生法上のチェックをして、そこで検出されないという規制をクリアできなきゃもう売らない、廃棄処分するということでございますので、飼料用に回るということはない、もうその時点ですべて廃棄、焼却の処分をするということでございます。
  119. 紙智子

    ○紙智子君 じゃ、売らないと、もうとにかく、ということですね。焼却廃棄ということですね。
  120. 町田勝弘

    政府参考人(町田勝弘君) はい。
  121. 紙智子

    ○紙智子君 はい、分かりました。(発言する者あり)煙に巻かれていない。  最後、そしたら、ちょっと時間になりましたけれども、農水省の、大臣は去年からずっとこの食の、汚染米の問題をめぐっては、農林水産省の職員一人一人が消費者のことを真剣に考えて、食の安全を守ると強い意思を持って政策、業務の改善充実に邁進できるようになるまで全力を挙げるというふうに言ってきたわけですよ。ですから、やっぱりその立場に立って、今回の問題についても、疑問を残すところの余地なくその問題を改めていただきたいということと、それから、さっき途中で指摘しましたように、要するにこの議論というか、米流通システムのこの会議の場において全くの説明なしにいきなりこの方針を転換するということは、これはもう今後ないように、そして当事者たちにもきちんと説明していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
  122. 平野達男

    委員長平野達男君) 以上をもちまして、平成二十一年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 平野達男

    委員長平野達男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十六分散会