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政府参考人(
高橋博君) お尋ねの国有
農地でございますけれ
ども、これは御承知のとおり、戦後行われました
農地改革、旧の地主から小作地を強制的に国が買収をいたしまして、当時の小作農に売渡しを行い、自作農創設をしてきたというところにまず当初の発端がございます。
今
委員御
指摘のこの国有
農地の貸付けでございますけれ
ども、これは当時、国が買収をいたしまして、これを小作農に売り渡そうとしたわけでございますけれ
ども、当該小作農の方から、これを買う
意思が示されなかった、買いたくはございませんというもの。それからもう
一つは、非常に零細でございまして、自作農の創設といっても、これを売り渡してもその
農業を続けることがなかなか難しい、したがって、これを売り渡さないままに、当時から貸付けが行われているのがこの国有
農地の貸付けでございます。したがいまして、その後、新たにこのような小作地を国との
関係で結んだというものではまずございません。これがまず第一点でございます。
このように、国有
農地、先ほど
委員から御
指摘がございましたけれ
ども、
基本的には国が買収をいたしまして小作農に売り渡す予定でございますので、当然、将来の所有権者である小作農に国が中間的に持っている段階から固定資産税を払うということがあったわけでございますけれ
ども、御承知のとおり、市街化区域につきましては、ここの国有
農地について、既に市街地を形成している、あるいはおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域であるということから、小作地の所有制限、これは
農地法の中にもう
一つございますが、小作地というのは所有制限が掛かっております。不在村の場合の地主の場合には、小作地については原則国が買収をするというような規定がございます。このような国の買収あるいは強制買収、あるいは小作地の所有制限自体もこのような市街化区域の土地には掛かっておりません。要は、ここの
農地を小作で持っていてもこれは買収されないというようなこともございます。
それから、さらにもう一点、実はこのような
農地については転用を行う際に許可が不要になっております。届出さえすれば許可を取ることは必要ないというようなことでございまして、結論といたしまして、国が売渡しを行った場合、直後にこれを転用することもこれは認められているというような土地でございます。
したがいまして、自作農の創設あるいは土地の
農業上の利用の増進に目さないということから、原則は確かに
委員御
指摘のとおり小作の方々に売り渡すものになっておりますけれ
ども、旧の、強制買収をされた地主さんとのいわゆる公平ということを参酌いたしまして、この市街化区域の土地については、国が買収する前の所有者又は一般承継人に売り払うということになっているわけでございます。ただし、このような旧所有者が買受けを希望しない場合には、一般競争入札でこれを売り払うことも可能でございまして、その際には小作農も当然のことながら参加することはできるということになっております。
さらにもう一点、実はこのような六十数年前に買収をした後から続いております小作
関係でございますけれ
ども、
農地法の、現行
農地法の三条二項によりまして、小作地の所有権を移転する、だれかに貸している小作地を所有権移転する場合には、当然に小作農、当該小作農の同意が必要になっております。その方が同意をしなければ売買ができないということになっております。また、小作の方々が同意をした場合でありましても、登記をしていなくてもこれは所有者に対抗ができる、いわゆる地位の保全が行われているというようなこともございます。
さらに、実はこれは六十数年前から続いているわけでございますけれ
ども、国がこの小作地についての貸付契約は一年で行っておりましたけれ
ども、これは毎年、
農地法の十九条で法定更新がなされておりまして、これは将来にわたっても法定更新が続くということになっております。さらに、小作地を解約しようとする場合には都道府県知事の許可が必要でございますし、
合意解約もこういった許可がなければできないということになっております。このように、小作農の賃借権については相当程度
保護されておりまして、
農地として使っている限りにおいてはこれはもう解約することができないということになります。
さらに、もう
一つございまして、この農耕貸付けにおけます賃借権は、民法の八百九十六条によりまして、当該小作農の相続人に包括承継されるというようなことになっています。
そういうことで、小作農の
農業上の利用については十全の
保護がなされておりまして、農耕貸付けについて小作農が自ら解約の申出を行わない限りは、
基本的に将来に向かって永続的に継続をいたします。確実に
農業として使う
部分については利用が確保されていると、これが
前提でございます。