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参考人(
市川正子君) 訴える場をいただいてありがとうございます。
事故から三年です。息子は十六歳でした。子を持つ親として、子供が先に逝ってしまう、この悲しみは一生終わることなく、時間がたてばたつほど私の中では重みが大きくなっています。
〔
委員長退席、理事岩城光英君着席〕
被害者家族としてこの三年間、ずっと
赤とんぼの会の方に支えられ、訴えてきました。本当にこの支えがなかったら、私ここで訴えていられたかどうか、ちょっと自信がありません。なぜなら、私たち家族が置かれた立場は本当に厳しいものであり、また今も厳しい
状態です。
まず
一つは、先ほどもお伝えしましたように、製造元のシンドラー社から、あれだけの不具合が続く中での説明、謝罪、それから利用者の全体の命を
考えた上での協力をするという言葉がいまだにもらえません。
メーカーにも聞きました。これだけの、港区でシンドラー社の不具合は、港区発表では四十三件も出ている、この不具合に対してどう思いますか、教えてくださいと行きました。でも、メーカー側は警察に協力しているから言えない、もちろんシンドラー社も警察に協力しているから言えない。エレベーターの技術の方に聞こうとしました。しかし、エレベーター業界の中のしがらみがあるからといって何も聞くことができませんし、やはり警察に協力しているから言えない。独立系の方にも聞きましたが、やはり警察に協力しているために言えない。
〔理事岩城光英君退席、
委員長着席〕
私たち家族は、先ほどもお伝えしましたように、息子があの日からいない、この事実だけを耐えるのみで、あとはずっと聞くことができない。国土交通省は、あのシティハイツ竹芝のあれだけの不具合の中でワーキングチームをつくって対策をしていただいた。しかし、事故原因究明をせずして、対策のみ。議員の
先生方からの御指摘がなかったら、一度も事故機を見ずしてワーキングチームが解散してしまうと。そのような
状態を聞いたときに、正直言ってもう愕然といたしました。息子の命は何て軽いんだろうと。
行政にとって一人の人間の命は何でこんなに軽いのか。
息子は学校が大好きで、野球が大好きで、レギュラーになって、あの日、あの事故のときに、朝六時半に、授業の前の朝の練習のために、野球の練習のために出かけていきました。そして、いつものように帰宅。エレベーターに乗り、十二階で止まり、扉が開いて降りただけなんです、降りようとしただけなんです。なぜ扉が開いたまま上がったのでしょうか。なぜ三年も事故の原因究明がされないんでしょうか。教えていただきたいんです。
一人の命だけでないです。もちろん、親としては息子を返せ、息子の命を返せと気が狂うほど訴えたいんですが、それだけではないと
赤とんぼの会の皆さんとともに、エレベーターはみんなが使うものであり、だれにでも起こり得る事故だと、私の中でもそういうふうに思っています。ですからこそ、何としても徹底的に原因究明をして、エレベーターの扉が開いたまま上がったり下がったりと安全基準で義務付けられているこの戸開走行、二度と起きない再発防止の
一つとなるように調査していただきたいんです。
どうしても、悔しいという思いは、やはりこの事故は防げたと何度も何度も思ってしまいます。それは、先ほどもお伝えしましたように、エレベーターの不具合が四十三件と出たときに、住民アンケートを取りました。そのときに、事故の隣の同型機が七月から十一月まで二十一件、四か月弱で二十一件の不具合が出たんです。もうこれだけでも調べていただけると国土交通省に期待をしましたが、それでも調べていただけなかった。
赤とんぼの会の方と、徹底的な事故の原因究明の調査と、それから独立した中立な事故の調査機関、これを
設置していただきたいと訴え続けています。
今のでいいじゃないかというふうにおっしゃるお友達もいます。しかし、この三年の中で本当にどうしてこんなに進まないのかということを何度も何度も
考えると、やはり様々な各
省庁の影響を受けない、組織から影響を受けない、そういうところできちんと中立な調査機関として調査をしていただきたい。
そして、どうしても防げたというもう
一つの思いは、シンドラー社のエレベーターは海外でも起きていました。二〇〇二年に香港で起きていました。戸開走行です。それは機種が違うとか、あるいは建物に付けた条件が違うとか、いろんなことをおっしゃいます。でも、エレベーターにとってあってはならない事故が起きているわけです。どうして調べていただけないのか。海外ではすぐに二重ブレーキを
設置しました。何で、どうして、
日本の中で早急にそういう対応をしていただけなかったんでしょうか。
それがもしなっていたならば、息子は命を失うことはなかったと思います。事故の前に同じ野球班の同級生のキャプテンから、すべてにおいて信頼できる友達だと言われたと、今でも耳に残っています。とてもうれしそうでした。一生懸命学校行事、そして勉強に、仲間に、人とのかかわりが大好きだった息子、正義感の強かった息子。いまだに何も報告することができないんです。
先ほどもお伝えしましたが、
消費者のための事故の原因究明調査機関をつくっていただきたいんです。エレベーターだけでなくて、あらゆる生活の中で起きる、調査機関でいいのです。
この悲しみは終わることはないですが、事故は少しでも減らすことができます。どうか
先生方、よろしくお願いします。