○下田敦子君 それでは、座ったまま御無礼申し上げます。
まずもって、本
調査会の
少子高齢化ということからまず考え始めてみたいと思いますが、これは
少子高齢化が取れてしまいまして、現在、少子
高齢社会になってしまいました。
高齢化のパーセンテージは消えてしまうほどの大変さであります。
実は、この現象に対する
日本と根本的な違いがある欧米との比較なんでありますが、まずフランス、それからノルウェー、スウェーデン、このことに対してある程度の成功を見ている、特にフランスは大変な成功を見ているということの内容は何なんだろうかということをいろいろ
調査をさせていただきました。
中には、また逆に、イタリアの出生率の低さ、これはもう大変深刻なようでございまして、この
意味も調べてみますと、第二次世界大戦の中にファシストの考え方があって、国による
人口政策とか
家族政策が現在もなおかつタブー視されているものがあるということでございますので、余り積極的に国が少子化対策を取れないということもあるし、これらに対するアレルギー反応もあるやに聞いております。
大変恐縮ですが、私の生まれました青森県は、若年労働者並びに
人口が際立って減っている年は年間約四万人でございます。ですから、ただならない
人口減少があるわけなんですけれども、そういう中で、かつて国はエンゼルプラン、それから平成十二年度には新エンゼルプランを出しました。
若者の
自立、働き方の見直し等々あるわけでございますけれども、この中で、
社会全体あるいは
企業、団体、そういうことでもって少子化に対する行動計画を策定していくことが必要だろうと思います。必ずしも国、
地方公共団体等々に頼ることだけでなくて、そういう
意味で当
調査会において進められたことは大変的確であったなと思っております。
児童手当の支給対象年齢の
拡大とかあるいは育児休業の取得者の増加あるいは
企業における
仕事と子育ての両立
支援、これらに対しても非常に進んできたとは思いますけれども、際立って、先ほど申し上げた欧米諸国の内容とはまた少しく追い付いていないものもかなりあるように思います。ですから、少子化の流れというものをしっかりと変えていくということが私は大事だろうと思います。
フランスにおきましては、まず国際的に見ても手厚いと言われているのが
家族政策。いわゆる
人口減少の
子供政策ということではなくて、
家族政策を
展開しているということです。
報酬の五・四%に相当する
企業からの拠出金、それからあとは、相当規模の財源が
確保されていることではありますけれども、第二子以降、二十歳未満までの児童を対象にした
家族手当制度の給付、あるいは集団託児所や認定保育ママの
充実した保育サービスなどなどいっぱいあります。時間の関係上省きますけれども、
在宅でいわゆるベビーシッターに対する手当もあると。週三十五時間の労働制など、
女性にとっては大変有意義な制度だろうと思います。
それから、スウェーデンのケースでありますが、七〇%に及ぶ高い
国民負担率に支えられまして、児童の健全
育成、男女
雇用機会均等の
観点から、
子供が一歳六か月になるまで全日休暇あるいは八歳までの部分休暇が取得できるように両親共有の休暇制度があるということであります。必ずしも
女性だけではない。最高四百八十日まで受給可能な親保険による両親給付というものがあるということも、私どもにはちょっとまだ理解できないような大変きめの細かい制度があるということであります。
たくさんいろんな情報を国でもキャッチしているということが分かりましたのは、去る十九年の二月の十五日、厚生労働
委員会におきまして、副大臣の武見敬三さんが答弁していた内容が以上申し上げた内容でありますけれども、なぜ
日本がこういう情報をたくさん得ていながら、それを取り入れられないのかということを非常に不思議に思いまして
調査してみますと、専門家に言わせますと、
我が国の少子化対策は一貫性がない、
継続性がない。これが二点指摘されまして、しかもこれは海外からも指摘されているという点であります。
ですから、こういうことを考えたときに、私はとても重要なことをこの
調査会では
意見の具申として続けていかなければならないのではないかと感じております。
これは特に言われることですが、
高齢者関係給付費が全体の七〇・四%ですが、児童・
家族関係給付費が当時で三・八%です。非常に格差があるということ。お金だけがすべての
政策ではないと思いますけれども、これを比較してみますと、やはりイギリスで九・九、フランスで九・八、スウェーデンで九・八。
それからあとは、
我が国との開きで非常にあるという
意味はワーク・ライフ・バランスの点でもありますし、それから、何としても挙げなきゃならないのは税制です。予算の持ち方の次に税制が非常に格差があるということであります。
今、ちょっと申し上げようと思いましたが、時間がありませんということでしたので、まとめは後でまたいずれの機会に譲らせていただきます。
フランスでは、このように
人口は力なりということを唱えておりますけれども、やはりその辺の
認識がまだまだ
日本には少ないのではないかなという気がして心配でございます。
相続税も、これもやはり変えていかなければならない。
何としてもきめ細かいことだなと思ったのは、大
家族カードというのがフランスにはあるそうでありまして、国鉄の七五%の割引、動物園、美術館、プール、それから公共施設はすべて無料、それからデパート、ホテル、レンタカー会社の割引もあって、これらに対しての国のお金の使い方があるということであります。
最後に
一つ申し上げて終わらせていただきます。
これは
介護保険
財政から見た経済効果ということでありますが、御案内のとおり二〇〇〇年に
介護保険がスタートいたしました。そのときに、新ゴールドプランベースというものを
介護サービスサイドから分析をしたものがございます。これは京都大学が
中心になり、また自治総研の池田さんが作成されたものを参考にしてまとめたものです。
例えば、一中学校学区に
在宅サービス、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群、これは昔の、前の言葉で言わせていただいておりますが、これらのものがすべてあった場合、例えば、
一つの老人施設において百ベッドが備えられていると、その百ベッドにそれぞれ出入りする
医療器具屋さん、それから薬屋さん、食料品あるいはクリーニング屋さん等々、すべて出入りする業者さん、それから、何よりもそこで働く
介護職員始め
医療職の方々、百人おられると百人の職員が必要でございます。
ですから、そういう方々がすべて所得を得て、その
地域に定着、定住していくわけですので、家を建てたり、子育てをしたり、買物をして経済波及、消費
拡大をしていくわけですが、そのことを公共
事業と比較した場合、一次波及、二次波及、三次波及において全く大差がないということです。ですから、
医療、
福祉の経済は、やはり公共
事業の経済と波及においては全く大差がない。
ただし、公共
事業においては、これは建てて造っている間は確かに
雇用の
促進を見ますけれども、できてしまうとその公共
事業はそれで終わって、経済波及効果はストップということでございます。
ですから、こういうことを考えたときに、いま
一つ私どもがもうじっくりと考えていかなきゃならないことは、やはり
医療、
福祉のソーシャルビジネスというものを、これは金もうけをしてはなりませんが、そういう哲学が必要ですけれども、
地域のために、
地方のためにこういうことは開発をしていく必要が大いにあるのではないかと思っております。
以上です。