○
参考人(
藻谷浩介君) では、冒頭に、今日はお呼びいただきまして、ありがとうございます。
藻谷でございます。
座らせていただきます。
通常、ここでお話をする最初の
立場の方は
学者の方が多いと思うんですが、今日は一
地域振興研究家といいますか、
支援者という
立場で呼んでいただいたと了解しております。
手前どもの、肩書の方は
株式会社日本政策投資銀行地域振興部参事役(課長)ということなんですが、私が
仕事内外で各地の
地域振興のお手伝いをずっとしております。
今朝も朝一便で
高知から戻ってきたんですが、昨日は
高知で
高知県の
産業振興会議というのがございまして、その取りまとめの会だったんですが、まさに今日のテーマと同じなんですけれども、もう全県、これ、
過疎コミュニティーと言ってもいい
高知県で、若い知事さん以下、どうやって
活性化をするのかということについて、今までと違うやり方をしなくては無理だろうということを検討する会でございました。そして、その
行動計画には、具体的な
地区ごとにこの産品をこう伸ばすという
ようなことが盛り込まれる
計画になります。そういう現場に身を置きながら、日々勉強させていただいておる者です。
それでは、もう前座ということで、この話はやはり
具体例が一番重要なんでございますが、私の時間では
具体例ではなくて、なぜこういうことが、
全国でまとめるとどういうことが起きているのかと、そして、なぜそれがうまくいったりいかなかったりするのかということを御紹介します。(
資料映写)
ちょっと
大変画面が小さくてお手元の紙を
御覧になる方も多いと思うんです。できれば、恐縮なんでございますが、
画面を
御覧いただくと話が早うございます。
さて、ちなみに私のプレゼンは動いたり写真が出たりしますので、
是非御覧ください。このとおりいろいろと動いていってお見せするという
ようなことが多々ございまして、
是非前を見ていただくと話が早いです。
さて、今
日本で起きていることというのは、今ここにお見せしたかと思うんですが、
人間が年を取るということでございます。
景気の波ということが
大変話題になっておりまして、物事がすべて
景気で決まるんだと言わんばかりの
議論がありますが、実はそうではございません。
景気の波とは全く別の
人口の波というものがございまして、これが大変大きく世の中を律しています。
これは、今から三十年前の
日本に住んでいる人の
年齢は何歳の人が多いでしょうかという
グラフです。
今から三十年前というか、
日本が一
四半期だけ
マイナス成長になった
石油ショックの
昭和五十年、
日本で一番数の多い人は二十五歳から二十九歳でございました。だれあろう
団塊の
世代でございます。
昭和二十年代
前半生まれですね。この
方々が二十代でした。
そして、
団塊の
世代だけじゃなくて、戦時中
生まれの方、二十年代後半
生まれの方も
大変数が多うございまして、その
方々のお子様が大量に
生まれていたわけです。この
団塊ジュニア、当時ゼロ歳—四歳、今
日本を代表する人が大量にいたわけです。松井、
イチロー、
高橋尚子、
伊達公子、
谷亮子、そこら辺の
方々、あるいは
SMAP、TOKIO、みんなこの
団塊ジュニアでございます。
当時、お
年寄りがほとんどいない国でございました。明治以降、
日本は毎年
生まれる子供が
昭和二十四年まで増え続けた。三年間の例外を除いてずっと増えてきたので、その結果として、当時は七十を超える人が非常に少ない。古来まれなり。そして、二十代と赤ちゃんが物すごく多い国だった。
ここに
石油ショックが襲ったわけです。たったの一
四半期でリカバリーした
理由は大変簡単です。当時、まだほとんどの人はクーラーもない、
団塊に関してはマイカーも持っていない人がほとんどでした。この
人たちが、何とかしていい暮らしをしたい、物を手に入れたいと頑張ったわけであります。
御覧ください。動きます。
五年、十年とたつうちに、
団塊世代が三十代、四十代と年を取っていく間に、彼らがすべてを手にしていきます。そして、非常に数の多い
団塊ジュニアが大学生になるころに
スキーが大変はやります。当時の
地域振興といえば、
スキーと
テニス合宿でありました。学生が大変多かったからです。
ところが、今このとおり若い人が三割減ってしまいました。すると、大変面白いものでございまして、例えば
スキーマーケットも大幅に縮小しましたけれども、ゲームの
マーケットも三割縮小しています。修学旅行も三割
マーケットが縮小しております。
皆さんは、そういうものは
景気で動くんだと
経済学者の方はおっしゃるのをよくお聞きになると思います。何でも自分のところに入れるのを我田引水と申します。
景気とは
関係なく、やっぱり
人間の頭数で決まっているものが多々あるわけでございます。
そして、逆に
中高年の方が大変増えてまいりました。
皆さんの
お気付きにならない間にお
年寄りの方が、例えば特に八十代の方ですね。何歳以上をお
年寄りと言うのかというのは人によって
意見違って、私の
意見では六十五歳をお
年寄りと言うのは失礼だと思いますが、八十代がお
年寄りであるということに対する異存はないと思います。八十代は三十年間で十倍に増えております。
それで、このとおりになってまいりまして、今と書いていますが、実はちょっと前でして、来年がこの
状態でございます。実は、
世界同時不況にならずとも、
日本が大きな曲がり角を迎える三年間でございました。
団塊の
世代が六十歳を超えてしまうからです。一回
退職して
退職金もらうんですが、給料ががたっと下がる人が大量に発生しているわけです。当然物が売れなくなってくるわけであります。たまたまそれに
世界同時不況が重なってしまったわけでありますが、それがなくても、
国内で物が売れないという、逆に前向きに申し上げますと、この
方々に物を売るのに成功する
会社はもうかるという事態が進展してまいったわけであります。
もう一度申し上げます。今の六十代や五十代が喜んで買ってくれる
ような商品、サービスを提供している
会社は、実は今年
史上最高決算をする
会社が結構あります。実は
世界同時不況に
関係がないんです。
その一方で、今そろそろ、
SMAPなんかを見ても分かりますが、若いアイドルだったはずが、大分いいおじさんになって、みんな子持ちになってまいるわけであります。引き続きいい男ですけどね。いい女はいい女なんですけど、年取ってまいるわけであります。
スポーツ選手では、その下に松坂だとか、大ちゃんとか遼君とか育っているわけですが、
日本人の若い人はどんどん減っています。
そして、
御覧ください。
六年後、十一年後、十六年後、二十一年後、二十六年後でございます。もちろん私の
意見ではございません。
国立社会保障・
人口問題研究所の
中位推計をそのまま私が
グラフにしたものです。最近ネットの時代ですので、すごい簡単です。
御覧のとおり、今いる
団塊の
世代が八十五歳を超えるころ、
日本で一番数が多いのは八十五歳以上になります。ちなみに、その数が一千万人を超えまして、ちょうど
団塊の
世代と同
人数、これを私は新
団塊の
世代と言っているんですが、になります。そのころに
イチローが六十を超えておりまして、どこかの監督をやっていると思います。WBCかもしれません。そのころに
日本にいらっしゃる二十歳から五十九歳の人が三割減というのが国の正規の
予測でございます。
ただ、
予測と申しましても、
外れようがないんです。なぜならば、この棒から右はもう
生まれているからです。
あと、いつお亡くなりになるのかということは十分予想できるので、というか、ほとんどだれも亡くならないですよ。
団塊の
世代見ても分かると思いますが、
日本人は本当に長寿でございまして、亡くなる人なんていやしないんであります。半分以上の方が八十を超えます。
ですから、その中で
現役が減っていくという、こういう大きな流れの中に我々はおりまして、そして
不況と
関係なく、前回の
最大の
不況と言われた
石油ショックから、九六年、
平成八年まで
日本の
小売販売額は一回も減っておりません。
そして、この次の年、
平成八年を
最後にどんどん
日本の
現役が減っていく中で、十二年
連続で
日本の
小売販売額は減っています。この十二年間に二回
好景気があり、二回不
景気があったんですが、いわゆる
景気とは
関係なく、
日本のお店の
売上げは十二年間
連続で減っています。
国民の総
カロリーという指標があるそうです。
国民が年間食べている
消費カロリーの計算をしているんですが、十二年
連続で減っています。当たり前のことなんです。みんなが年を取ると、そんなに
カロリーを使わなくなるわけです。これと
世界同時不況は実は違う。
実は、
地域振興、
コミュニティーの問題というのは、一には、このとおり若い人がどんどん減っていってお
年寄りがどんどん増えていくというのをどう解決するかという問題であります。そして、
皆さん、これは田舎のことだとお
考えになっているかもしれませんが、大きな勘違いでございまして、
東京は
日本の
団塊の
世代が一番たくさん住んでいる
地域です。
首都圏には
日本人の四人に一人が住んでいますが、
団塊の
世代に関しては三人に一人が
首都圏に住んでいます。
首都圏で今
御存じのとおり、物すごい勢いでお
年寄りが増えているわけです。
しかし逆に、栄ですとか
小川で起きていることというのは、それが二十年、三十年早く起きております。しかも、両手ぶらりでぼうっとしていたんではございませんで、お
年寄りが大変増えていくことに対して彼らをいかにして元気に楽しく暮らしていただくかと。
人間、やっぱり楽しく暮らすにはいつまでも生涯
現役と。やっぱり
お金も稼げれば稼ぐ、
社会貢献もするぞということの意識の高い方が非常に特に
地方には多いわけですが、その
方々がどうやって
社会参加をしているのかという
先行モデルが先に高齢化した町、村にあるわけです。
そして、そのことを今真剣に学ばないと、
高齢者の激増する
東京では
対処策が打てない。いや、
東京は若いやつが入ってくるから大丈夫だと。若いやつがいないんです、若い人がどんどん減っているわけなんで。幾ら入ってきても、これちょっと
考えたらお分かりだと思うんですが、
団塊の
世代の方が圧倒的に数が多いんで、最近の若い人が相当たくさん
東京に入ってきても
団塊の
世代の
退職は補えません。それどころか、
団塊の
世代の方がはるかに
東京に来た比率が高いので、
長男長女が少なかったですが、今の若い人は
長男長女が多いですから、そんな来ないんです。実は大変に
コミュニティーが狂ってくるわけです。
これが、今の
地方の
再生事例に学ぶべき
最大のポイントでございます。
つまり、先んじて高齢化したところで、これからの
日本をどうやって生かすかという
取組が既に二十年、三十年行われているわけです。そのことを勉強することによって、
日本はどうしていくかということが分かる。
もう一つあります。この増え続けていくお
年寄りというか
退職された
方々が実はみんな元気で、そして少なからず
お金を持っていらっしゃるということです。
どうしても
政治の場面にいますと、
お金のない方ばかりをどうするかということが
議論になります。そのとおりでありまして、
政治は弱者を救うのが
政治なんですが、ところで、
政治に頼らずとも生涯
貯金で何とかなる
中高年が劇的に増えています。そういう
方々がどうやって
お金を使ってくださるかということが
地域において非常に大きな課題になっているわけです。
先んじて高齢化した
地方には、この
中高年の
貯金を
消費に回してもらう
ようないろんな
取組があります。思わぬ
成功例があるんです。それを勉強していくと、
日本の
大手メーカーが行き詰まってできていないことを実は
地方の三セクができているというケースがあるんですね。それをちょっと、恐らくこれから
調査会で御勉強されると思うんですが、実際には
日本国全体はそのことに成功していません。
ちょっと成功していないというところを申し上げますが、
御覧ください。これは
資料どおりに御説明していなくて申し訳ありません、前に時計がありますので、
あと五分、六分と思いながら。
これは、
日本人の
所得がどう推移していて、それに対して
日本のお店の
売上げがどうなっているかという
グラフです。
恐らく、これを
御覧になったことがある方は一人もいないと思います。
学者は作りません。
学者は、このとおり全く性格の違うものを並べて一つの
グラフにすると学界を追放されますのでできないわけですが、私は
学者でございませんのでやります。なぜならば、どっちも金額ですし、どっちも
日本円でございます。比較して何が悪いということで同列に比較すると、
御覧いただけますでしょうか。
バブルのころ、
日本人の
所得がすごく増えた。これは実は
所得と
販売額が二年ずれるんです、
統計の性質上。だから、ちょっと本当は
個人所得をこっちへずらして
考えていただくといいんですが、そのころお店の
売上げもすごく増えた。そして、失われた十年、
バブル崩壊後の失われた十年ってみんな言うんですが、私、これを言っている人は一切信用しないですね。
経済成長率も
小売販売額も
個人所得も見てないんです。
バブル崩壊しても増えてたんです、
個人所得もお店の
売上げも。
何分、これは
税務署の
数字と通産省が全部の店に聞いている
商業統計でございます。どっちも全員に聞いている
数字なのでとても確かです。特にこの
税務署の
所得というのは、ありもしない
所得を申告する人は絶対いませんので、あっても隠す人はいるかもしれませんが。実際、
バブルが崩壊しても、一年
所得下がっただけで、
日本人の
所得どんどん増えていったわけです。そのころお店の
売上げも増えていました。
問題は、
平成八年を
ピークに
日本のお店の
売上げがどんどん減るわけです。このころ戦後最長の
好景気は二回あるんですが、
平成十八年までずっと
日本のお店の
売上げが減り続けているんです。なぜか。先ほどお見せしたとおりです。六十を超えて物を買わなくなる人がどんどん増えているのに、新しく成人して物を買う人が年々減っているんです。
日本人の
現役が減り始めて、十二年間
連続でお店の
売上げは下がっています。
ところで、今般、
好景気がございました。
日本の
輸出が激増したために、
日本人の
個人所得にいわゆる
トリクルダウンエフェクトが起きたのであります。実は私、いつまでたっても
輸出が増えても
個人所得が下がる一方なんで、
トリクルダウンエフェクトがないじゃないかと、
マクロ経済学者の
うそつきと思っておったのですが、さすがに
平成十七、十八、十九年の三年間、
税務署まで把握できるところまで
日本人の
個人所得増えてまいりました。そして、とうとう
バブルの
最盛期を上回ったのでございますが、一向に
実感がありませんでした。
なぜか。全く
日本の
国内のお店の
売上げは増えなかったからです。なぜでしょう。それは、
輸出が増えたことによる
所得の増加が主として
高齢富裕層に起きていて、つまり株を持っている
人たちですね、彼らは実は買いたいものがございませんで、何も買わずに
貯金してしまったわけです。そのことにより
消費に回らなかったということがどうもこの
数字から見て取れます。
もっとすごいのが
東京なんでございます。同じ
グラフを
首都圏一都三県だけ取り出したものですが、
首都圏一都三県は
バブルの
最盛期以降長らく低迷するわけでございますが、まさに失われた十年というのは
首都圏に関しては当てはまるんですね。
バブル以降一回もその
数字を上回っていない。
地方はむしろ
バブルの後に繁栄しているんですが、
首都圏は
バブル以降一回も上回っていない。
ところが、今回の
好景気で
首都圏の住民の
所得が劇的に増えたのでございます。一部
学者さんは、これをもって
地域間格差の拡大と言っているわけです。私は、それはちょっと
考えが足りないんじゃないかということを申し上げたい。
地域間格差が拡大しているのなら、どうして伊勢丹と三越が経営統合しなきゃいけないのか、どうして
東京で百貨店がたくさん閉まるんでしょう。答えは、
東京の人は、確かに
所得が一部の人は増えたんです、一部の人はですよ。合計しても増えていますが、
東京のお店の
売上げは全く増えていないんです。
ちょっと増えたじゃないかという、一兆円だけ増えたじゃないかという御指摘があるかもしれませんが、これは
通信販売の
売上げが入っているもので、
全国どこに行こうと
通信販売の
売上げは増えていますので、それを入れてこれだけしか
売上げは増えなかったんです。
首都圏の人の
所得が約七兆円増えたときに、お店の
売上げは一兆円しか増えていません。
つまり、
所得を見ていると
地域間格差ということになるんですが、実際の商売をやっている人の
売上げからいうと、
首都圏は全く商売成り立たないという
状態が続いておったんです。この二〇〇七年、
平成十九年、そして二〇〇六年、
平成十八年、
好景気の一番の
ピークでございます。全く
実感のある
好景気ができていないんです。
そういう中で、物によっては
売上げを増したものもあるわけです。例えばこういうことが起きるわけなんですが、時間もないんですが、ちょっとセンセーショナルなんですが、
不況の元凶の
アメリカよりも
日本の方が
株価下落が激しくなる
理由というのがありまして、それは一体なぜなのか。
日本人がどんどん年を取っていくことで
生産年齢人口、
現役の人が減っているわけですね。
企業がそれに対処する、
つまり人減らしをする。要するに、
退職者を補い
ようがないんで機械に替えていくわけです。そうすると、どんどん
生産性が良くなりまして
企業の収益が良くなって、
数字上
景気が良くなるんですね。ということが実はずっと続いていたんです。
先生、申し訳ございません、紙、
是非御覧いただかないでいただきたいんですが、紙でいうと
最後から三番目でございます。
ちなみに、二〇〇一年から二〇〇七年に
日本の
輸出が八割、
貿易黒字が五割増えたということが起きました。ちなみに、だれも知らないんですけれども。ですが、同じ十年間に
日本の
上場メーカーの
従業員数は二割減でございます。どんどん
退職するんですね。
退職するのを補っていないんじゃなくて、自然体で新しく来る人を新卒採用しているんですが、
新卒者が少ないので選んで採っていると自動的に二割
従業員が減ってしまったわけです。
人件費が一四%下がりました。
言っている意味は、一人
当たり人件費は増えているんですね。賃上げしているんです。していますけれども、幾ら賃上げしても
従業員が二割減ればやっぱり
人件費は減るわけです。ということは、どういうことかと。
人件費がどんどん減っているということは、お店の
売上げが下がるということなんです、
消費者が減っているわけですから。
日本の
小売販売額が十二年
連続で減少する。
そして、
現役しか買わないものがいっぱいあるんです。例えば何でしょう。
戸建て住宅、
ファミリーカー、オフィス、
通勤定期、
職場旅行、ちゃんちゃんの、
観光旅館、結婚式。基本的に六十五歳過ぎてから
消費しないものの
売上げが自動的に下がるわけです。
車が今大変だと言っていますけれども、
日本車の
日本における
国内の車の
販売は昨日今日減り始めたわけではございません。二〇〇一年から減っています。まるで、去年から急に車が売れないみたいな報道をしていますけど、全くのでたらめでございます。
国内の
メーカー、
自動車ディーラーにお
知り合いがいらっしゃる
皆さん、全員分かっているはずです。新聞やテレビは
知り合いがいないんでしょうけれども、
皆様であれば
御存じだと思います。なぜ減るのかと。要するに、
現役がどんどん減っているからなんです、
人数がですね、車を買う人が。
個人所得が幾ら増えても、六十五歳過ぎてから
お金稼いでも車を買わないんですね。つまり、
資産効果がなかったんです。すると、外国しか物を買ってくれないので、
輸出だけ頼みで食ってきたわけです。つまり、
資産富裕層の方、ためた
お金を
米国債に回して、
アメリカに金を貸すことによって
アメリカの
消費によって売るという、すごい迂遠なことをしていたわけです。本当は
国内の
お金持ちが買ってくれる、そのまま直接
国内で買ってくれればいいんですが、何も買わないので、その結果、
世界同時不況で、もうそもそも
内需が年々
人口減少で減っていくときに外の人が買わなくなりますので、
内需がない分、
アメリカ以上の低い評価を受けてしまうという大変心外な、極めて不本意なことが起きてしまったわけであります。
実は、逆に申し上げますと、このわなから逃れている
会社があるわけです。つまり、
日本の
お金を持っている人が買ってくれる商品を作っている
会社は
関係ないわけなんです。
皆さん、今年史上空前の増収増益になっている
会社、いっぱいあるのを
御存じでしょうか。
例えば、八年間
連続で
売上げが下がっていたのに今年度から増えた典型がコンビニなんです。コンビニはずっと下がっていたんですけど、増えるわけです。それで、そのおかげでセブン&アイも増収するんですが、タスポ関連のたばこ
売上げ増加というだけじゃなくて、お
年寄りなど、遠くまで車で買いに行くの面倒だなという人がついでにいろんなものを買ってくれるというやり方をすることによって、例えばセブンイレブンの場合、
売上げの二割は既にお
年寄り相手だという新聞記事がありましたが、そういうことで実はもうけていると。
あるいは、ユニクロ、任天堂、
東京ディズニーランド、いずれもヒートテック、Wii、ディズニーシー、これが
高齢者に受けている商品なんです。孫を連れて遊びに行く場所、お
年寄りが健康のために遊ぶゲーム。今のカジュアルなお
年寄りが、それこそおしゃれで暖かい、冷え症のところに着れる洋服、こういうのを売っている
会社がいずれも史上最高の利益を出しているわけです。
御存じでしょうか。去年の十一月に発売された日産フェアレディZ、予定の二倍売れています。そして、これは世界的にそうなんですが、フェラーリ、年間世界で六千五百台ぐらいしか造っていない車ですが、フェラーリの
売上げが世界で二五%増、
国内でも一五%増です。聞いた話では、ロールスロイスも
売上げ増だそうです。なぜか。
退職した人が
退職金つぎ込んで青春の記念に買うからなんです。
何でこんな
地域コミュニティーに
関係ない話をしてきたのかと。
関係あるんです。
地域にもまさにこれと同じ
ような商売ができている
地域がたくさんありまして、そういうところはうまくいっているんです。
皆さんが、むしろ
輸出産業中心で食っているところが田舎にはありませんので、
国内相手にしっぽりと商売できているところというのはどんどん
人口が流れ込んでいます。
もうこの辺りで
最後にしますが、これをちょっと
御覧ください。
これは、細かい字で恐縮なんですが、
日本の
地域の成績表でございます。この縦線から右側に行けば行くほど、縦線から右側に行けば行くほど、引っ越して入ってくる人が出ていく人より多いと。
人口が流れ込んでいる
地域ほど右側に行きます。この縦線の左側に行けば行くほど、引っ越して出ていく人が入ってくる人より多いと。
人口が流れ出している
地域です。元々国勢
調査をベースに作りましたので、住んでいる人の数でございますので、観光客の数ではございません。
住んでいる人が増えるか減るかということはいろんな
理由があります。気候がいい、教育がいい、安心、安全、病院がある、はたまた、もちろん仕事がある、引退してから住みたい、何でもいいんですが、いろんな
理由から人が流れ込んできて住む人が増えている
地域が右に来るわけです。これを私は足による投票とも言っていますし、
地域の総合指標成績表とも言っております。
結局、いろんな人が、やれ工場が来て出荷額が増えた、税収がといろんなことをおっしゃいますけど、最終的には住んでいる人が増えているか減るかということが
最大の評価基準ではないでしょうか。
この時期、
輸出企業が非常に多かったので、トヨタ周辺の豊田、刈谷、安城といったところが大変な
人口流入でございました。ですが、
御存じのとおり、この多くが期間工の不安定雇用によるものでした。
そして、
御覧ください。その豊田と並んで石垣と書いてあります。これは沖縄の石垣島です。石垣島に物すごい
人口流入が起きていた。あるいは、ここに
東京があるわけですが、
東京と石垣に同レベルの
人口流入が起きている。そして、伊東温泉に大量に
人口が流れ込んでおる。本当ですかと。九州の黒川温泉に流れ込んでいる。暖かいところばっかりですねと。違います。軽井沢に物すごい
人口流入が起きている。
あるいは、今日は来ていらっしゃいませんが、
小川と栄と並んで
地域振興の世界で大変有名な隠岐島の、海の士と書いてアマと読みますが、海士町。大変有名なところですが、こういう
ようなところに
人口がどんどん流れ込むという、隠岐島です、もう本当にここは不便なところです。流れ込むという現象が実は起きているわけです。
屋久島、世界遺産に
人口が流れ込んでいます。
東京近くの温泉地でも、伊東だけじゃなくて湯河原ですとか、はたまた
日本で一番高齢化率の高い山口県の周防大島、
高知県の地の果て中土佐町、同じく
首都圏で一番不便な温泉とも言える草津、こういうところに流れ込んでいる。
じゃ、リゾート、なぜこの辺りに
人口が流れ込んだのか。いずれも
中高年の
消費がされている場所なんです。
中高年の人が好んでやってきて
お金を使っている。それが必ず地元に若者の雇用を生みます。若者の雇用を生んで初めて
人口が流入するわけです。
中高年が遊びに来るだけでは
人口流入になりません。現実に
中高年が使っている
お金が若者の雇用を生むところまでに至ったところが結構あるんです。
他方で、同じ条件のはずなのに全然そうなっていないところが無数にあるわけです。軽井沢が
日本の新幹線沿線で一番
人口の流れ込み率が高いんですが、では一番低いところはどこか。一番流れ出しているところ、越後湯沢でございます。軽井沢と越後湯沢は一体何が違うのかと。いや、そっくり同じ条件なんですが、やり方の方針が違いました。都市
計画をやらずにリゾートマンションを激増させた越後湯沢と、四階建てまでしか建てさせなかった軽井沢にこんなに差が付くとは。
石垣島と宮古島。宮古島は
地域振興に熱心です。トライアスロンも最初にやりました。プロ野球キャンプも最初に誘致しました、沖縄で。非常に熱心にやっているんですが、なぜか、不熱心とは言いませんが、余り何もしていない石垣、竹富にたくさん人が流れ込んで、いろんな既存メニューを駆使している宮古からどんどん人が流れ出すと。実際は海は宮古の方がきれいでございますが。
伊東温泉にどんどん人が流れ込んでいるのに、下田や、ずっと手前の箱根から壊滅的に人が流れ出しているわけです。はるかに交通が便利な箱根からどんどん人が流れ出して、何で伊東に人が流れ込むのか。どうして湯河原に人が流れ込んで、箱根から流れ出すのでしょう。
同じ世界遺産でも、屋久島にどんどん人が流れ込んでいるのに、大阪からすぐ行ける吉野山、高野山からどんどん人が流れ出している。交通が大変不便な草津温泉に人が流れ込んでいるときに、鬼怒川温泉からどんどん人が流れ出している。
もうちょっとで終わりますが、この辺りの評価をどうするかということですが、合併しないと言って頑張っている矢祭、何の名所もございません。寒いです。はっきり言って、行く用事はございませんが、
人口は流れ出しているじゃないかと
考えるべきか。いや、私の
意見では、矢祭が日光や箱根に比べてはるかに右側に来ていると。
長野新幹線の来ている
長野と同じぐらいの
人口流出にとどまっていること自体が奇跡に近い。更に言いますと、ダイハツの本拠地、大拠点、竜王町のある近江八幡と矢祭が、
輸出経済の真っ盛りに近江八幡の
人口動態と矢祭の流出が同じということ自体がすごいことでございます。これは、実はほっとけば、はるか左にいるのが大幅に右に来ていると
考えるべきであります。
同じく、徳島の山奥で葉っぱを集めているので有名な上勝ですね。これも、当時、お
年寄りの雇用中心なのでまだここまで来ていませんが、私の推測では、次の国勢
調査で右側に来ると思います。上勝では、お
年寄りが入っていた寮からみんなが元気になって出てしまって空いてしまったところを、若者向けの、Iターン向けの町営住宅に変えたという現象が起きております。これがごく最近の話でございます。恐らく、この上勝は右側に来ると思います。
同じく
高知の山奥でユズを一生懸命作っている馬路村。
人口流出しているのは、若い人がたくさんIターンしてきたので子供が
生まれまして、高校がないので高校以降は出ていっちゃうもので逆に流出になったんですが、若い人が出ていくというぐらい
生まれているということでございます。
これは、一つ申し上げると、率で見ているので実数では大したことはないんです。数十人レベルの話が大きく出るのでありますが、そうはいっても、学歴のいい
人たちがどんどん出ていっているにもかかわらず、それを補って流入があるということ自体がすごいことなんです。
こういう流れというのは一体なぜ起きているか。
御覧のとおり雇用が増えていて、そして、その結果、
人口が流れ込む。どうして雇用が増えるのか。
もう終わりますが、それは、実はこの
日本で劇的に増えている一部富裕層や、多くの
高齢者、中流の
高齢者の、実は使ってもいいけれども特に必要がないから使われていない
お金を、集客交流及び地産地消、それが発展して地産外消と申しますが、御当地で食べているすばらしいいいものを、よその人も通販ややってきて買う
ようになるということが現実に
お金の流れを生んで、一部
地域において、その
地域から見ると劇的な、その
地域においては劇的な雇用の増加をもたらしていて、劇的な雇用の増加が
人口増加に逆転で結び付いているんです。
ごくごく例外的な話で、
全国の一%もございません。過疎地がみんなこうだったらいいんですが、これはあくまでも、元気な病気のないお
年寄りがいますよという話と同じで、ごく一部にすぎない。
ただ、そういう人が現に来ているんだと。ちょっと前までそういうことはあり得なかった。リゾート法のころまではなかったことなんです。
ようやく二十一世紀に入ってこういう現象が起きているんだということを御報告申し上げまして、大幅オーバーして申し訳ありませんが、私の前振りを終わらせていただきます。
ありがとうございました。