○
峰崎直樹君 それじゃ、その一番最初の元に戻ります。どんな社会保障を組み立てていくのかと。
そのときに、お手元にちょっと資料を差し上げました。これは慶応大学の権丈先生という年金問題では我が党に大変厳しい批判をなさっておられる方ですが、非常に社会保障の問題について分かりやすい
議論を展開してくださっております。
予算委員会の方はこの間
参考人のときに出したやつです。
図表四は、国の規模は、現代国家はどうなるのかということで、何が書いてあるかといいますと、
政府による消費と投資というのは基本部分であって、社会保障給付がどれだけあるかによって国の大きさは変わってくると、こういう理屈なんです。
次のページを開けていただきますと、その大前提が図表六であります。
日本、アメリカ、
イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンをずっと見ても、十四番目、いわゆる十二引く十三というところで、財政
支出のうち社会保障
支出を除いたものはアメリカも
日本も、二〇・五、二〇・四、二四・一、一九・六、二五・三、二六・六、それほど大きな差はない。まあ五、六%ある。例えばこれは、公務員の比率が高い、例えば女性が非常に就業率が高くてみんな公務員になっているスウェーデンのような例もある。ところが、社会保障給付だけ見てみると、これ御覧になっていただくと分かるんですが、
日本は一七・七、アメリカ一六・二、ずっと行って、十三番ですけれども、スウェーデンは三〇・〇と。要するに、国の大きさは何によって決まるかというと、社会保障の
在り方で決まるんです。
そして、その社会保障の
在り方の中の医療を見てください。図表五です。所得と医療サービスの
支出の日米比較。御覧になっていただいたら分かるんですが、
日本の所得は高かろうが安かろうが医療費の
支出というのはほぼ横ばいです。アメリカの場合は、所得が低いと非常に低い医療しかできない、所得が高いと非常にいい、高い医療費が、受けられる。これは皆
保険制度がないからですね。どっちがいいか。いや、これは
日本の方がいいですよ、優れていますよと。
〔理事大塚耕平君退席、
委員長着席〕
社会保障というのは、私は、この権丈さんも書かれているんですけれども、普通の人の所得というのはその企業に対する貢献度、それによって所得が配分されている。当然格差が出てくる。しかし、国民にとって必要とされるものは何かというと、それは必要原則で実はこれは設置しなきゃいけない。医療もそうですよ。介護もそうです。子育てもそうです。あるいは雇用もそうかもしれない。教育もそうかもしれない。
日本の教育は、今これはアメリカの医療と同じです、これ。所得が高い人ほど高い教育費を
支出し、所得が低いほどこれは下がっているんです。なぜ医療はここで保っているかというと、これは医療
保険制度というものに入っているから、半分は入っているから、半分か四分の一か二分の一か、
保険という
制度が財政の負担を伴いながら実はこれが皆
保険を辛うじて支えている。教育は、教育
保険というのを我々は掛けていないんです。ただし、教育というのは税で賄われているわけですよね。だから、そういう意味で、教育の
在り方は本当は将来の
日本を決める大変重要な問題なわけですよね。
そうすると、私は先ほどちょっと
質問しなかったんですが、年金というのが出てきた。年金というのは今三分の一から二分の一に国民年金、基礎年金を上げようとしているけれども、これの優先順位ってそんなに高いんですか。つまり、税制を上げなきゃいけない、負担を上げなきゃいかぬというときに、今医療もこれ崩れかかっています、それから介護も崩れかかっている。もう崩れかかっているだらけのところがたくさんある中で、
日本の社会保障でまあまともに世界で見られるというのは、高齢者に対する医療や高齢者に対する年金というのは社会保障のいわゆる所得再配分が割と効いているところなんです。それ以外の分野の子育てだとか保育、まあ一緒ですわね、子育て、教育、こういったところの所得再配分機能というのはほとんど効いていないんです。母子家庭に至ったら、子供の貧困というところを見たらびっくりするのは、高額所得者の方が逆進性でよりいい所得をもらっていらっしゃるというか、いわゆる母子、子供の、いわゆる所得に対して、社会保障
支出が高額所得者の方が多くなっちゃったりしている、逆転現象を起こしているところがあるんです。
そういうことを考えてきたときに、社会保障、一遍に何十兆も上げられないとしたら何から社会保障は手を着けていくべきなのか。そうすると、三分の一から二分の一へ無理して、安定財源が見付からないから埋蔵金引っ張り出してきたわけです。そうまでして二兆六千億円という
お金を年金に掛けるというのは優先度として高いんですかと、私はそれを言っているんです。
我々の
考え方からすれば、いやいや、その所得比例年金は、最低保障年金というのは実は税でやってもいいけれども、それは低所得者を中心に最低保障年金でいいんだということを言って高額所得者までわざわざこんなに税を高くしてその二兆六千億円を負担をすることないでしょうと。専業主婦の方を抱いた年収一千万円以上、二千万円以上の方々の、専業主婦の方だったら三号被
保険者になっちゃって、実は年間八十万円ぐらい自動的に税金が専業主婦の皆さん方に行くんですよ。
そういうことを見て、これに二兆六千億円の、いわゆる年金の基礎年金、財源を投入することがいいのか。それとも、ぼろぼろになってずたずたになって今みんながあえいでいる医療、特に小児科あるいは産婦人科。あるいは介護
保険で介護従事労働者がとんでもない生活をしているわけじゃないですか。もうみんな辞めていっている、寿退職といって。そういうところにどこから入れるべきなのかということも考えていったときに、私は今の与党の皆さん方が考えておられるこの附則百四条の前提になっている
考え方がはっきりしないと、この案というのはなかなか理解しにくいなというふうに思うんですが、
大臣、いかがでしょうか。