○大久保勉君 私は、民主党・新緑風会・国民新・
日本を代表して、政府
提出の
財政運営特例法案に反対、我々野党三党
提出の
財政運営特例及び対策実施制限法案に賛成、与党
提出の
銀行等株式保有制限法改正案に賛成する立場から討論を行います。
米国のサブプライムローン問題に端を発した国際的な
金融危機とその後の景気後退によって、あらゆる経済指標が急速に悪化するなど、我が国経済はこれまで経験したことのない危機に直面しています。民主党は、こうした現下の経済状況に的確に対応するため、昨年、経済・
金融危機対策をいち早く打ち出すとともに、それを実施するための経済対策関連法案をさきの臨時
国会に
提出いたしました。また、本年に入り、国民生活を守る立場から、政府・与党との合意を目指し、定額給付金を補正
予算から削除する修正案を今
国会に
提出いたしました。
しかし、与党は、こうした我々の提案を一顧だにせず、民主党
提出法案の
成立を阻むばかりか、
予算委員会で政府案の採決を強行したのであります。このような状況の中、定額給付金を止めるためには我々の
法律案を
成立させるしかありません。
以下、政府案に反対、野党三党
提出の対案に賛成する理由を申し上げます。
我々が政府案に反対する最大の理由は定額給付金にあります。
第一に、定額給付金の目的が福祉対策であるのか景気対策であるのか、政策の根本理念がいまだあいまいであります。
定額給付金をめぐって麻生
総理の発言には、ぶれにぶれ、迷走に次ぐ迷走を続けてきました。当初は全世帯に支給すると発表していたものを、その後豊かなところに出す必要はないと発言を訂正しました。しかし、今年になって、高額所得者も受け取って盛大に消費してほしいと再び発言を覆しました。
総理の発言がこれだけ変わるようでは国民に政策目的を理解しろという方が無理であります。
第二に、定額給付金は景気対策としての効果も見込めません。
政府は、昨年十月の経済対策の発表直後、GDPの押し上げ効果を〇・一%と説明していましたが、十二月には〇・二%にかさ上げし、今年一月には〇・一五%と再度訂正しています。政府が幾ら小手先の数字合わせをしたところで、景気対策として効果がないことは多くのエコノミストが指摘しているとおりであります。しかも、定額給付金を支給する一方で、三年後に
消費税を増税するのでは景気対策として矛盾しております。
第三に、根拠法を制定することなく、すべての自治体に丸投げしていることです。
定額給付金の支給に当たっては明確な根拠法がなく、単に
予算措置のみをもってあとはすべて自治体に丸投げするのでは、年度末を控えて多忙な時期に自治体が混乱するだけです。また、
予算案や
法律案が
成立する以前の自治体の諸
準備に補助金を交付するのでは法的根拠を欠く
財政負担であり、断じて容認できません。さらに、こうした自治体の
事務経費になぜ八百二十五億円もの巨費が必要であるか、積算根拠も不明確なままであります。
我々野党三党は、このような定額給付金に二兆円もの貴重な国費を投入するのではなく、これを例えば、遅れている学校の耐震化や、潜在的需要の大きな医療や介護等の
職員の増員、待遇改善、将来の成長につながる環境エネルギー対策、各自治体が率先して行っている雇用対策など、国民が求めるより有効な政策分野に活用すべきと主張してまいりました。
今からでも遅くはありません。政府・与党は、二兆円もの財源を無用なばらまきに使うことを撤回し、有効な使い道について与野党間で改めて協議すべきであります。
なお、
銀行等株式保有制限法改正案については、世界的な
金融資本市場の混乱が続く中、我が国
金融システムの安定性を確保するために基本的に賛成でありますが、政府及び
銀行等保有株式取得機構に対しては、買取り資産の拡大について必要な検討と迅速かつ的確な対応を強く求めます。
以上、政府
提出の
財政運営特例法案に反対、野党三党
提出の
財政運営特例及び対策実施制限法に賛成する理由を申し述べました。
良識ある
議員各位におかれまして、我々野党三党の
法律案の趣旨を御理解いただき、何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げまして、私の討論を終わります。