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仁比聡平君 ただいまの長官の
答弁にもうかがわれますとおり、元々、
我が国の
火山観測は、大学や研究機関の観測網とそこから得られる知見が果たしてきた役割が極めて大きいわけでございます。そうした観測研究体制が歴史的に形成されてきたというふうに言っていいかと思うんですね。
その国立大学の観測網における重点観測
対象火山につきまして、これまでの三十四
火山を今年、〇九年から十六
火山に大幅に減少させると、八
火山からは撤退すると。これ文科省は重点化、高度化というふうに表現をしておられるわけですが、この
方針が報道におきましても大変衝撃的に受け止められております。
委員長御地元の秋田県でいいますと、
火山防災の強化に逆行する動きだという不信感が述べられているんですね。
そこで、国立大学の観測体制についての
認識を山内文科副
大臣にお尋ねしたいと思うんです。
もう一方の
専門家の論文を紹介いたしますと、
防災科学技術研究所という重要な機関がございます。ここで
火山防災研究部の副部長をお務めの藤田英輔研究官が今年の一月号の雑誌の論文で、今後の
課題についてこう述べられていらっしゃいます。「観測体制が脆弱で、予報の責任機関である
気象庁の観測網だけでは信頼性の高い活動把握ができず、またこれまで協力を得てきた大学の観測維持が危機に瀕している。」という大きな問題点を
指摘されているわけです。
なぜ危機に瀕しているかというこの原因は、
平成十六年の国立大学の法人化なんですね。この藤田研究官は、国立大学では、「法人化に伴い研究予算および職員が削減され、老朽化した
火山観測機器の
更新や
火山観測
施設の維持が出来ない
状況となっているところがある。」というふうにおっしゃっておりまして、今
年度から始まる「
地震及び
火山噴火予知のための観測研究計画」という新しい計画では、「
火山噴火予知の基礎となる観測の
重要性を謳っているものの、現実には観測体制を縮小せざるを得ないというジレンマに陥っている。」というふうに述べられています。
現場の
専門家、権威が学術論文でこうした
現状の
指摘に及ぶというのは、これはよほどのことだと思うわけですね。昨年七月に科学技術・学術
審議会の建議がなされておりまして、私も読ませていただきましたけれども、ここにも同様の危機感が表れているかと思います。
こうした
専門家の
認識について山内副
大臣がどのように受け止めておられるか、お尋ねしたいと思います。