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参考人(
小峰隆夫君) 法政大学の
小峰でございます。
本日は、当
委員会におきまして
意見を申し述べる
機会を与えていただきまして、誠にありがとうございました。
委員長から忌憚のない
意見をということでしたので、忌憚のない
意見を申し上げさせていただきます。
ふだん講義等で立ったまま話をすることが多いので、最初の三十分は立ってお話をさせていただきます。(
資料映写)
それで、私が日ごろ考えておりますのは、私は
経済を専門としているんですけれども、今日、私のお話も
経済が中心なんですけれども、
経済というのは何のためにあるのかというと、これはまさしく
国民を幸せにするためにあるということですので、当
委員会が
幸福度ということを中心に掲げて検討されるということは大変時宜を得たすばらしいことだというふうに考えております。
人口という点から見てこれをどう考えるかということを少し考えてみたいと思います。
まず
経済から考えますと、
経済と
国民の幸せというのを考えたときに、基本的には、やはり一番重要なのは
所得だろうというふうに思います。一人
当たり所得が基本的に重要だということで、これは
所得さえ高ければ、じゃ幸せかというと、今、
池本さんもお話しになっておりましたが、決してそうではないということですが、
所得が低いままで幸せになれるかというと、これはかなり難しいということだと思います。
例えば、これは為替レートの
影響を排除するために購買力平価というのを使って、
経済規模と一人
当たり所得の順番を並べて、国際比較をして並べたものです。左側が
経済規模です。
購買力平価で見ますと、実は、アメリカに次いでもう既に中国が世界第二の
経済大国になっております。
日本を相当上回っているということなんですが、
日本は第三の
経済大国、続いてインド、ドイツ、ロシアというふうに続くんですが。
右側に一人
当たり所得、一人
当たり所得が高い順番に国を並べているんですが、
ノルウェー、ルクセンブルク、スイス、
デンマーク、アイスランド、
スウェーデン、こういった国が出てくるということですが、今の
池本さんのお話にもありましたけれども、
幸福度の高い代表的な国として、
スウェーデンですとか、それから
デンマークですとか、そういった国が出てまいりましたが、これはいずれも一人
当たり所得の高い国です。いずれも左側には出てきません。
経済規模は大きくないんです。ということは明らかなことで、一人一人が幸せであるかどうかということと左側の
経済規模というのは
関係がないということですね。逆に、右側の一人
当たり所得と幸せであるかどうかというのはどうもかなり
関係がありそうだということになると思います。
ちなみに
日本は十七位ですので、余り高くないということですね。よく
日本の
議論をしますと、
日本は世界第二の、本当は第三位なんですけれども、第二位の
経済大国なのに、余りどうも
国民の
幸福度というのは高くないように見える、北欧の国の方がどうも幸せそうだという
議論をするんですが、これは
当たり前の話でして、我々は一人
当たり所得は余り高くないんですが、
人口が多いので
経済規模が大きいだけの話なんです。
じゃ、
経済規模が大きいから幸せかというと、そういうことはないんですね。先ほど、
経済というのは
国民の幸せのために
経済があるという発想が非常に重要だというふうに言いましたけれども、
人口も全く同じです。よく、
人口が減るのが困る、
人口が減るのが困るので
少子化対策をやるということが言われますけれども、じゃ
人口が増えると
国民は幸せになるのか、
人口が減ると
国民は不幸せになるのかという問いを発すると、これは結構答えるのが難しいと思います。
人口が増えると当然
経済規模が増えるんですけれども、
人口が増えて
経済規模が増えると我々は幸せになるでしょうかということですね。もちろん、
経済規模は大きい方が多分いいだろうということは分かります。例えば、国際的なバーゲニングパワーですとか
影響力が強いと、当然国連等での発言力も高いということになりますから、これは大きい方がいいということは分かりますけれども、それでは、国際的なバーゲニングパワーを高めるために我々は
少子化対策をやるんですか、我々はもっと
子供をつくらなければいけないんですかというと、それは明らかにおかしいというふうに思います。
それからもう
一つ、将来性ということなんですけれども、よく、我々が幸せかどうかというのは将来に対する希望があるかどうかということと非常に
関係があるという
議論がありますが、もし一人
当たり所得というのが幸せであるかどうかと非常に
関係があるというふうに考えますと、
所得がこれから伸びていく希望があるのかどうか、これからどうも先行き暗いんじゃないか、どちらが幸せかというと、これは明らかに希望がある方、これから
経済はますます元気になりそうだ、いいことがありそうだという状態の方が明らかに幸せになりやすいだろうというふうに思います。
こういうふうに考えてきますと、ここに結論が書いてありますけれども、
人口の大きさが
経済の
規模に
影響するということですね。一人
当たり所得が
国民の幸福を決める、これはちょっと言い過ぎなんですけれども、決めるとまではちょっと言ったのは言い過ぎかもしれませんが、幸せを決める大変重要な要素であるというふうに思います。そうすると、幸せであるかどうかというのは一人
当たり所得によって決まるんですから、
人口の大きさとは無縁であるということになるというのが私の考え方です。さっき言ったように、
人口が減るから
国民が不幸になるわけではないということです。
結論は、要するに、一人
当たり所得が増えていけば我々は幸せになりやすい
環境になっていくということですから、
人口が増えても減ってもどちらでも、一人
当たり所得が増えていくということが重要だというふうに考えた方がいいというのが私の考えです。
それでは、一人
当たり所得というのはどうやって決まるのかということが大変問題になりますが、ここで実は
人口問題が非常に
関係してくるんですが、この一人
当たり所得というのは何によって決まるかというと、普通、一人
当たり所得というのは一人
当たりでどれだけ稼ぐかということによって決まるはずだと。そうすると、これは生産性ですから付加価値生産性ということになるんですが、一人
当たりでどれだけの付加価値を生み出す力を持っているかと。これは、
教育水準ですとか国全体の技術ですとか、いろんなものが
影響するんですけれども、それが高いほど一人
当たり所得も高くなるでしょうということなんですが、実はもう
一つ大変重要な要素があるんです。
というのは、
労働参加率、つまり
人口の中で働いている人の割合がどれぐらいいるかということが大変重要です。ですから、簡単に言えば、平均
国民一人
当たりの
所得というのは、
人口の中で働いている人の割合が高ければ高いほど、高くなる。
これは分かりやすいと思うんですけれども、例えば、五人家族で今までお父さん一人しか働いていなかった。しかし、
子供が成人して
子供も働くようになって、二人、三人と働くようになった、これは家族の中で働く人の割合が増えていくということですね。そうすると、家族全体の平均
所得は上がっていくということになりますから、国でも同じことです。国全体の中で働く人の割合が高ければ高いほど一人
当たり所得は高くなる。それからもう
一つは、働いている人が一人でどれだけの価値を生み出すかということによって決まる。この
二つによって決まるというのが基本です。
これをちょっと式に直すとこういうふうになるんですが、一人
当たりGDPというのは全体の付加価値を
人口で割ったものであって、これは、
人口の中で
労働力
人口はどれぐらいいるかということと
労働力
人口が平均どれだけの付加価値を生み出すかということによって決まるということになります。
これを簡単に国際比較をしてみますと、
日本は比較的高齢者の方も働いたりしますので、
労働参加率は国際比較をしてみると比較的高いという国に入るんですが、肝心の働いている人が一人でどれだけの付加価値を生み出すかということを見ると、先進国の中ではむしろ低い方になってしまうということですね。先ほど出てきた国々は、こういう一人
当たりの
所得、付加価値生産性が高いということになります。
それで、そうしますと、
人口減少社会ということがよく言われますけれども、それでは、
人口が減るということの本当の問題点は何かということなんですが、先ほど申し上げたように、
人口が増えても減っても、要は一人
当たり所得が増えればいいんだから
人口が増えても減ってもどっちでもいいじゃないかというのが一時的な結論だったんですけれども、実はそうではないということになります。
というのは、
人口が減るというときに、各年齢層が全部減るということはあり得ないわけですね。必ずお年寄りから順番に減っていくということになりますから、
人口が減るということはどういうことかというと、若い人が減っていってお年寄りが増えていって、その増えていったお年寄りが亡くなる数が新しく生まれる数よりも多くなるから
人口が減っていくということですね。
そうすると、
人口が減るということは、
人口総数が減ることだけではなくて、必ず
人口構成が変わるということをもたらすということです。つまり、
人口の割合が変わってくる。こちらの方が重要だと。
人口総数が増えたり減ったりすることは、これは簡単に言えばどうでもいいというふうに言ってもいいんですが、
人口の中身が変わってくるということの方が重要だということになります。
そうすると、これが標準的な
人口推計を見たものですけれども、老年
人口、六十五歳以上の
人口はこれから増えていって、どんどん増えるわけじゃないんですが、減らないと。若い人の数は
少子化でどんどん減っていくということになりますと、若い人がどんどん減っていくことが、生産年齢
人口、働く人の
人口に新しく入ってくる人がどんどん減ってくる中で高齢化が進みますから、生産年齢から抜けていく人がどんどん増えていくということになりますので、生産年齢
人口、働く年齢層の
人たちというのが物すごい勢いで減っていくということになるというわけです。
そうすると、さっき一人
当たり所得を決める
一つの重要な要因は
人口の中で働く人がどれぐらいの割合を占めるかということだということなんですが、これから
少子化、
人口減少が進む中で、働く人の割合がどんどん減っていくということなんです。これはさっきの逆を考えればいいわけで、今まで五人家族で三人働いていたと。ところが、お父さんが引退して辞めてしまった。
子供も一人働かなくなってしまって一人しか働く人がいなくなったという状態を考えれば分かるんですけれども、これは一家の平均
所得はどんどん下がっていくということになる。こちらの方が大問題だということです。ですから、
人口減少が問題なのではなくて、
人口の中で
労働力
人口の割合が減っていくことが問題だということです。
そうすると、やはり
人口が減っていくときには働く人の数が相対的に大きく減りますので、ほっておくと一人
当たり所得が減ってしまうという結論になって、結論はもう一回戻ってきて、
人口減少はやっぱり問題だということになります。
人口減少は一人
当たり所得を減らすので問題だという結論が出てくるということです。ですから、もう一回元に戻ると、
人口減少がやっぱり困るというのは、実はそういうふうに考えてくるとやっぱり困るということになるというのが私の理解です。
大変申し訳ないんですが、当
委員会の、
人口が減れば一人
当たり所得は増えるんじゃないかという
仮説は、これは私は怪しいというふうに思います。
というのは、さっきの式でいいますと、この付加価値というのはGDPなんですが、GDPを
人口で割ったものが一人
当たりGDPなんですが、
人口が減ると分母が小さくなるので一人
当たりGDPが増えそうな
感じがするんですが、これはそうはいかない。というのは、
人口が減れば当然GDPも減ってしまいますので、一人
当たり所得は増えるということはないんですね。
人口が減ってもGDPは変わらないという
前提を置けば、それは
人口が減ればそれだけ一人
当たり所得は増えるんですけれども、そうはうまくはいきませんということではないかと思います。
そうすると、我々が考えなければいけないのは、
人口が減る中でも一人
当たり所得を維持する、又は高めていくということが重要だと。我々は世界の先進国に比べれば一人
当たり所得はまだ低い方ですので、もっと高くしてもよいというふうに考えられますので、もっと高くしたいと。そうすると、
労働参加率を引き上げる、つまりもっとたくさんの人に働いてもらうようにするか、働いている人の付加価値生産性を上げるか、どちらかしかないということになります。
この問題は、
人口オーナス問題ということだというふうに一言で言えば理解できるということですので、この点をちょっと御説明したいと思うんですが、
人口オーナスというのは何かというと、これは
人口ボーナスという考え方がありまして、それの逆だということなんですが、じゃ
人口ボーナスとは何かということなんですが、この
グラフがそれを見たものです。
これは、従属
人口指数というのがあるんですが、従属
人口指数というのは、下に式がありますが、十五歳から六十四歳
人口、これが働いている
人口だというふうに考えると、働いている
人口に対して働いていない
人口がどれぐらいいるかという比率ですね。ですから、これが上がっていくということは働いている人に対して働かない人がより相対的に増えていくということです。下がっていくということは働いている人が相対的に増えていくということです。それは、働いている人に対して
子供が何人ぐらいいるかということと働いている人に対してお年寄りが何人ぐらいいるかということの合計だということなんですが、こういう
二つに分かれて、こちらが年少従属
人口指数、こちらが高齢
人口指数なんですが、これから働いている人に対して高齢者の割合がどんどん増えていきますので、
人口全体に対しても働かない人の割合がどんどん増えていくということになります。
今までは、九〇年ぐらいまではこれは全く逆でして、働く人の割合が増えていたということなんです。特に、これ急激に下がっている、これは高度成長期なんですけれども、高度成長期というのは、私なんかがそうなんですけれども、団塊の
世代が、たくさん生まれた
人たちが次々に
労働力
人口に入っていくということですので、しかもまだお年寄りはそんなに多くないということですので、
人口の中で働く人の割合がどんどんどんどん増えていったということですね。これはさっきの五人家族で働く人が二人、三人と増えていったという
状況でしたので、高度成長期のときには、つまり
人口構成の変化というのが
経済をプッシュした、追い風であったということです。
ところが、
少子化が進んでいきますとさっきのメカニズムが働いて、新しく
労働力
人口に入ってくる人が減っていって、お年寄りがどんどん抜けていきますから、今度は従属
人口指数が上がっていく、働いている一人に対して働いていない人の割合がどんどん高まっていくということが起きるということになります。
実は、これが我々が今直面している
人口問題の象徴的な姿を表している。つまり、
人口構成の変化を表しているわけで、働いている人に対して働かない人、つまりお年寄りの割合が増えていくということが年金、
医療、介護問題の基本的な問題であるということですし、それから、今はちょっと景気が悪いので
労働力が余ってきていますけれども、長期的に見れば
労働力が足りなくなるということはこの中で従属
人口指数が上がっていくということを表しているということですので、この従属
人口指数がこれから上がっていくという
人口構成の変化の中で、ほっておくと一人
当たり所得が減ってしまう、これにどう
対応したらいいのかというのが
人口問題に対する
対応としては大変重要だと。それがまさしく
国民一人一人が幸せになるためにどうしたらいいのかということであるというふうに思います。
しかも、これは
労働力率、さっき
人口の中で働く人の割合がどれぐらい変化していくかということが重要だということを申し上げたんですが、
労働力率の将来展望というのを見ると、これは二〇二〇年までのプロジェクションをしてみますと、先進国の中で
日本が一番働く人の割合が減る率が高いということなんです。これは高齢化がどんどん進むからなんですけれども。
それから更にもっと幅広く見て、国際ランキングを作ってみると、二〇〇五年の
段階では従属
人口指数は
日本はまだそんなに高くないという状態なんですが、二〇五〇年、これ国連の
人口推計を使って推計しますと、二〇五〇年になると
日本が世界で一番従属
人口指数が高くなる。九五・九ですから、これは要するに働いている人一人に対して働かない人が一人いるという状態になるということですね。ですから、この
人口オーナス問題というのは実は世界の中で
日本が一番深刻だということなんです。ですから、世界の中で
日本が一番真剣に考えなければいけないという問題だということで、私自身はこれを非常に深刻に受け止めているわけです。
では、こういう
人口オーナスの中で一人
当たり所得を高めていくというためにはどうしたらいいのかということですが、さっきのところに出てきましたが、基本的には
人口の中で働く人が増えてもらうというのが
一つの非常に有力な手段なんですが、これは
女性とか高齢者に働いていただくということが非常に重要だということなんですが、これちょっと計算してみると、これは
労働力
人口で見た従属
人口指数なんですが、さっきのように、これは高度成長期ですね、高度成長期に下がって、もう一回上がって、その後ずっと下がって、九五年ぐらいからどんどん上がっていくんですけれども、仮に、
日本の
女性の
労働力率が
スウェーデン並みに上がっていくというふうに考えると、この従属
人口指数はここまで下がる。それからさらに、高齢者の雇用を促進するということで、これ非常に乱暴なんですが、五歳若返ると。今の六十五歳の人は六十歳ぐらいのつもりで働いてもらうと、七十の人は六十五のつもりで働いてもらうというような
前提を置くとここまで下がる。この
二つを両方満たせばここまで下がりますので、今と余り変わらないということになるということで、そういう高齢者とか
女性が働きやすい
環境をつくるということが大変重要だということになります。
ただし、その中で、ただ、今のまま
女性がもっと働いてくれということで働け働けというのでは、恐らくますます
少子化が進んでしまうということになりますので、これは働き方を変えながらこれを進めていかなければいけないということで、これはワーク・ライフ・バランスですとか、同一
労働同一賃金ですとか、そういったことが重要になってくる。
それから、もう
一つ大変重要なのは、学歴別に見た
女性の
労働力率というのをこれは見たものなんですが、簡単に学歴で
女性を分けていいのかというのは
一つの問題ですが、非常に大ざっぱに言えば、学歴の高い方が高度な、質的に良い
労働力であるというふうに簡単に考えると、これは年齢と
労働力率の対比を見たものですが、これを足すとM字型のカーブになるんですけれども、この太いラインが大卒の
女性、点線がそれ以外ということですので恐らく高卒
女性ということなんですが、ある年齢を過ぎると、二十代後半から三十代になると
結婚とか出産のために辞めていくわけですけれども、これは学歴と余り
関係なく辞めていくということなんですが、その後もう一回、
子育てが一段落して入ってくるときには、大卒の
女性は余り帰ってこないということになる、高卒の
女性が中心に帰ってくるということなんですが、これは恐らく、いったん退職した
女性がもう一回働きに出るというときに、高学歴の人にふさわしい就業の
機会が非常に限られているということが原因ではないかというふうに思います。これは非常にもったいないことなんですね。せっかく高い
教育を受けて、質的に高い
レベルにある
女性が
家庭にこもったままになってきて
社会に出てこないということは、この
人口オーナスの中で大変無駄をしているということですので、こういった
人たちにもっと出てきてもらうということが大変重要で、もしそういった
人たちが出てくれば、これは質の高い
労働力が出てくるということですので、生産性を上げるということにも大変効果があるということで、一石二鳥だというふうに思います。
その中の、じゃ何がキーになるかという点でも、ちょっと私のところで
調査をしたことがあるんですけれども、要するに基本は
少子化と
女性の就業というのは両立するようにしなければいけないということですが、そのときにちょっとたくさんアンケートをして、何が一番効くのかというのを調べたということなんですが、これは
育児休業をもっと取りやすくするとか、
育児休業中の賃金をもっと上げるとか、短時間勤務をしやすくするとか、育児費をもっと支給するとか、いろんなオプションをやって、どれを動かせば
子供を持つ数が一番増えやすいかというのをやってみると、一番効果があるのはこの短時間勤務、正規雇用のまま短時間勤務を選択できるというオプションが増えると非常に
女性も安心して
子育てと就業が両立しやすいということが出てくるということで、これはさっきの高学歴
女性がとどまりやすくなるような
環境ともつながると思うんですけれども、こういったことが必要だというふうに思います。
それから、
人口構成が変われば
マーケットの構成も当然変わるということになりますので、当然
日本では高齢者向けの需要というのが新しく出てくると。これはいわゆるシルバー
マーケットという部分ですけれども、そういった部分が世界に先駆けて
日本でまず最初に出てくるということですので、そういったところで重要な技術革新なり産業の発展
分野というのが現れれば、それは世界の中でこれから伸びる
分野を
日本が先取りするということにつながるはずだということですので、そういった
人口構成の変化というのを
一つのチャンスだというふうに考えて産業を伸ばしていくということも必要だろうというふうに思います。
以上が私の考え方なんですけれども、若干結論を申し上げれば、今回は
人口を中心にお話をさせていただきましたけれども、決して世の中の
経済というのは
人口だけで決まるわけではないということですので、
人口はたくさんある要素の中の
一つにすぎないというふうに考えた方がいいかと思います。ただし、その中で、条件が今のままでいったら、やはり
少子化、
人口減少がこのまま進むということは
日本にとって相当問題を引き起こすのではないかということになりますが、これは今のままいったらという条件付ですので、今の条件を変えなければ問題が起きますということですので、その条件をいかに変えるかというのが我々がいかに
対応するかという問題ですので、そこを考えるべきだというふうに思います。
最後に、忌憚のない
意見をということですので、忌憚のないところを申し上げさせていただければ、
人口が減っても、
人口が減ればその分豊かになるんじゃないかという発想は、私から見ると今のままでもいいという発想につながりやすいということです。しかし、そうではなくて、今のままいったらいろんな問題が出てきて危機的だというふうに考えて、そうしないためにどうしたらいいかという発想をした方がいいのではないかというのが私の
意見でございます。
どうもありがとうございました。