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参考人(
佐渡友雄基君)
皆さん、こんにちは。アースティーの佐渡友と申します。この度は、こんな貴重な時間をいただいて本当にありがとうございます。
最初に呼ばれたときに、僕は果たして何を話せばいいんだろうとちょっと戸惑った経緯がありまして、幸いにして、ちょっと会が遅れたりしたおかげで実は僕はゆっくり考えることができて大変有り難かったんですけど。
前に話された三人の方、
皆さん本当に大事なことをやっていらっしゃるなと思います。
アフリカに
自分が初めて行ったのは二年前で、そのときは、
アフリカがすごく大変な思いをしているということは知っていたんだけど、それ以上に
自分が何ができるのかというのが分からなかったんですね。実際、僕はマラウイに行って、それで、
自分で目で見ながら何をやっていけばいいのかというのを今考えながらちょうど会社を運営して走っているところです。
アフリカで何ができるのか。やらないといけないことっていっぱいあるんですよ。本当に多過ぎて何から手を付けていいのか分からないぐらいだと思います。僕はお茶の商売人なので、お茶からやるというように
自分で決めて今やっているんですけど、ここの場で僕が何を話さなければいけないかというのを考えて、多分僕が見てきたマラウイの
現状を伝えること、
あと、
日本として何ができるのか、
自分は
日本人として何が
アフリカでできるのかということを常に問い続けながら仕事を今している段階です。
実は僕は中国茶の仕事をやっていたので、
アフリカに行くなんて思いもしなくて、偶然の出会いが重なってこんな仕事をさせていただくことになっています。お茶の仕事をやっていると、一期一会という言葉を多分
皆さん聞かれていると思うんですけれ
ども、この一期一会のつながりの中で僕は
アフリカに行けるようになったと本当に感謝しています。僕は、マラウイとともに、
アフリカとともにどんな仕事をして、どうやってこれから生きていけるのかということを仕事を通じてやっていきたいと思っています。
ちょっとマラウイの
写真を御紹介します。(
資料映写)
広いです。この茶畑の
写真を僕は見て心を奪われてしまいました。
最初にマラウイの
写真を見て、この
写真を見ただけでマラウイに行きたいと心から思ったんです。中国茶の仕事をやったり、静岡の出身なので静岡も見ているんですけど、全く見たことのない
写真で、この
写真一枚から実は僕は物すごい情報をもらいました。異常なほどに広い茶畑、なのに機械を全く使っていないであろうこの茶畑の形、広がっている草原みたいな茶畑で、もう後ろも左右も奥もきっと同じような光景が広がっている。じゃ、こんなところで何を作っているのかといったら、紅茶なんですよね。
僕
たちも実はいつの間にか飲んでいて、リプトンの紅茶だったりとか、ああいう中に
ケニアの紅茶が入ったり、マラウイの紅茶が入ったりしているんですけど、僕らが知らない
現実の中で実はこういうところが
アフリカにあったということを
写真で知って、仕事で本当にこれで商売になるのかどうか、僕は飯を食っていけるのかどうか分からない、でも取りあえず行きたい、行ってから考えようと、そうやってマラウイに僕は行くことになりました。
僕の会社の紹介ですが、ティー・フォー・
ワールド・ハピネス、お茶で
世界を幸せにしたいという、そういう思いがあります。もっと近いところでいうなら、家族同士でおいしくお茶を飲むだけで全然いいんですけど、家族が広がって、友達が広がって、仲間が増えて、そういう中から
一つ一つ仕事になっていけばいいんじゃないかなと思っています。
マラウイはこんなところです。とっても小さい国です。
日本よりもずっと小さいんですが、九州と北海道を合わせたぐらいの面積しかないです。ただし、お茶の生産量は実は
アフリカの大陸の中で第二位の生産をしております。年間、大体四万トンぐらいの生産ですね。
日本のお茶がおおよそ十万トンぐらいですので、国土の面積から考えると
日本よりも実はマラウイの方がお茶の生産量の効率は高いということになります。ということは、こんな内陸の国でなぜそんな大量に作れているのかということがやっぱりお茶のビジネスの中で非常に大事なポイントになっています。
これが茶畑の
様子ですね。これは茶摘みをしています。はさみでかたかたかたとお茶を摘み取ったのがちょうど白いケースに入って、背負っているかごにばさっと入れるという、そういう
写真ですね。
マラウイになぜ僕が行くことになったのかというと、実は二年前なんですけど、フーデックスという幕張で行われている食品の展示会があります。外国の方なんかもいらっしゃるし、
日本の食品の展示もやる。そういうところで偶然、ジェトロのバックアップでマラウイからお茶の人が来ていました。その方に偶然知り合って話をしていたところ、すごく面白いお茶、緑茶とかウーロン茶とかを試作していたんですね。マラウイはメーンはすべて紅茶なんですけ
ども、そのお茶じゃない緑茶とかいろんなお茶を試作していて、面白いことをやっていますね、実は僕、お茶の研究をしていて中国茶が
専門なんですけど、プーアール茶ってね、調べてみたら分かったんだけど、あなたのところでも作れるんですよ、実はという話をして、その話をしたらジェトロの方が横で聞いていてくれて、あなたのその話は面白い、是非今度ジェトロのプロジェクトがあるからこれでやってみないかと声を掛けてくれて、やりますというような話になって僕はマラウイに行くことになりました。それで、この会社を二年前につくりまして、今ちょうどいろいろマラウイのプーアール茶の販売に力を入れている段階です。
事業を通して目指したもの、いろいろあるんですけど、プーアール茶を作るというのが一番のポイントで、この中で、どうでしょう、
皆さん、飲まれている方いらっしゃるかどうか分からないんですが、プーアール茶というのはマーケットで健康茶として有名で、ダイエットにいいよとか、
あと血圧が下がっていいよとか、そんなようなお茶としてよく飲まれているお茶なんですが、生産はほぼ一〇〇%中国です。
中国の生産のものがバッシングされていた時期がよくあったと思うんですけれ
ども、ホウレンソウから始まり、肉まんであったりギョーザであったりとか、ああいった
影響をもろに
自分が働いていた中国茶の会社でも受けまして、肌で恐怖を感じていた
部分が正直あります。中国のものが安全だったとしても、いろんな
社会の流れの中で
影響を大きく受ける。売上げも物すごく
影響を受けてしまうし、もちろん、
現地の方に作ってもらったとしても、
自分の手ではどうしようもないことでそのお茶が売れなくなったりするという
現実があったので、そういうところで恐怖を覚えていて、中国産が悪いかどうかじゃなくて、でも中国じゃないところでも作れるお茶なんだから中国以外のところで作りたいと思っていた。それを
アフリカでやりましたというようなことですね。
実はこれ、
日本の黒こうじを使って発酵させているので、
日本の技術もバックアップとして入っているということはマラウイプーアール茶の特徴になると思います。
これがパートナーですね。この
写真の右から三人目の方、アレクサンダーという方なんですが、僕はこの方と二年前に出会ってマラウイに行けるようになった。この方と僕が出会わなかったら、多分僕はマラウイに行くことはなかったでしょうね。第一、
アフリカに行くことすらなかったかもしれないです、僕は元々中国茶の人間なので。
もう
一つの会社です。マカンディという会社なんですが、ここの一番左の
写真のインド人なんですけど、カムランという、僕は彼とすごく仲が良くて、なかなか
最初のうちは英語できなかったんですけど、だんだんできるようになってきてメールでやり取りをしていて、かなりお互い熱いメールを今やり取りしていて、すごくいい友人でもありビジネスパートナーでもある方ですね。
今後の
アフリカのビジネスのために何ができるのかということを僕はやっぱりお伝えしたい。そして、何が本当に
アフリカのためになるのかということですね。
一番目の輸送コストとか、こういった
問題点はあるんですけど、これはもうなかなか手が付けられない。僕は、
二つ目のビジネスマナーと商道徳についての
教育というものについて改めて
日本人として考えていくべきじゃないかと思っております。
日本には、明治の時代から慶応大学であったり早稲田であったり、ああいった有名な大学が、私学でありながらビジネスそれから法律も含めて国づくりということを考えていく
教育施設がありました。
アフリカには残念ながらほとんどございません。
マラウイに行っていて正直感じること。僕はマラウイの人と商売やりたいんですけど、マラウイ人が経営している会社とはビジネスを正直なところ余りしたいと思えない。なぜかというと、彼らが元々商道徳であったりビジネスマナーというものをほとんど持っていない場合がほとんどなので。会話をすると分かるんですよ、レストランで
食事したりとかいろんな会話の中で、ああ、全然ビジネス的なそういう発想の
教育を受けてない
人たちだって。使う単語で分かります。商道徳という言葉じゃなくて、ほかの言い方で全然分かるんですよ。例えば、みんなでもうけようねと言うだけでよかったりとか、お互いちゃんとフェアーで正直にいこうねとか、そういう言葉でもいいんですけど、そういうことすら会話が出てこないときがほとんどなんですよ。
ということは、多分、逆に言うと何かが起きてもおかしくない。
自分がだまされることもそうなんだけど、その場合って
自分の商品を買ってくださったお客様をだますことにもなってしまうので、それだけは絶対できない。だから、リスク
管理として僕はなかなか付き合い切れない状態になってしまうんですね、ビジネスとして。それは非常に残念。できれば、やはりマラウイの方にもっともっとビジネスに
参加していただきたい、でも
参加できない、そういう
現状が今あります。
マラウイでは、お茶であったりたばこであったり砂糖であったり、こういうものはすべてエステートと言われるようなプランテーション
農業型のビジネスのスタイルを取っています。そうすると、何が起きるかというと、白人であったり、イギリス資本、スコットランド、まあほかにもありますけど、欧米諸国の資本が基本的にその経営を統治しますので、ビジネスのそのトップクラスの
人たちはみんないわゆる白人なわけです、はっきり言ってしまえば。さっきの
写真もそうでしたけど、白人がトップにいます。
エステートのそういったところですと、マラウイの
現地の人は労働者であって決して経営者にはなれないんですよ。トップには行けないし、トップにならないまでもトップ下のナンバーワン、ナンバーツーになれればいいんですけど、それすらほとんどない状態が起きる。そういうところですと、要するに仕事をしていてもマラウイの
人たちはそこにチャンスであったり希望をほとんど感じなくなるはずなんですよね、もし僕がそうだったらそうなると思うし。だから、もっとチャンスを与えられないと多分彼らもやる気を出さない。
でも、ビジネスをやっていこうと思ったら、チャンスも必要だし、その前にマナーがないと通用しないわけですよ、この
世界では、
社会に出てしまったら。だから、企業の中で
教育を行わなければいけないし、
日本はそうやって今まで経済的に伸びてきたんだけど、
アフリカではそれが、
現地の人には
教育が施されないという
現実がビジネスの
世界でも起きているということをまずお伝えしないといけない。
お金を与えるということは簡単にできることなんだけど、それは中学生や
小学校の
子供にお金をあげて、これで好きなもの買いなさいというのと全く同じで、余りまともな
教育にはならないと思うんですよね。じゃなくて、お金を与えるんじゃなくてチャンスを与える。ビジネスのそのマナーであったりとか、チャンスを手に入れるための勉強をできる
場所を与えることの方が多分ずっとずっと大事。時間は掛かるかもしれないけど、きっとそれができれば
一つ一つ変わっていく。
マラウイから
日本に呼んじゃ駄目なんですよ、多分。そうすると、
日本のこの温かくておいしいものが食べれて、きれいな
生活ができてという、ここに慣れてしまって、やっぱりここがいいって思うと思うんです。
自分だってそうだし、やっぱりいい
生活したい。じゃなくて、マラウイ
現地でその学びを得て本当に会社をつくれるような若い人が生まれたらきっとマラウイは変わると思う。これはマラウイだけじゃなくて
アフリカ全土がそうだと思います。
日本は欧米諸国に統治をされずに経済的に伸びてきた歴史があります。その中には、
教育システムであったりとか、ビジネスの企業の
成長するために持っているノウハウがたくさんあるはずです。このたくさんあるノウハウを
アフリカにどうやって伝えるのかということを是非
日本として考えていかなければいけないと。僕はマラウイからやりたいと思っています、やりたいことあるので。
ちょっと今日はもうお時間がないので、お伝えすることができないんですけれ
ども、
最後に一言だけ。
人事を尽くして天命を待つ、こういう言葉がありますよね。
アフリカではいっぱいやらないといけないことがあるんですよ。全然人事尽くされていないんですよ。
一つ一つ人事尽くしていくしかないと思うんですよね。それを僕は
自分で、まずはお茶の仕事からマラウイでやろう、そう思っています。ビジネスこそが
日本と
アフリカの懸け橋だと思っています。
御清聴ありがとうございました。