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参考人(
中上英俊君) ありがとうございます。
住環境計画研究所の
中上でございます。
何回かお邪魔しておりますけれども、今日は
飯田さんがすごくマクロなお話をなさいましたのでやりにくいんですが、私は各論で、
国民運動としての
CO2削減努力ということでお話をせよという御下命でございましたので、極めて具体的なお話をしていきたいと思います。
今日、私がお話しする内容は、皆様のお手元にある絵と多少違っているのがあるかもしれませんが、これは版権の問題がありまして、写真等が入っていますので、そちらにはなくてこちらにはあるのがあるかもしれませんから、御容赦願いたいと思います。
まず最初に、
家庭部門の私たちの暮らしで使っている
エネルギー消費がどう過去移ってきたかということを御紹介し、一部、
国際比較をしてみます。これは先進国と
途上国、併せて
比較してみますので非常におもしろいお話になると思います。それから、それを受けまして、じゃ
家庭部門でどんな省
エネルギーが私たちにできるだろうかというお話。それから、
家庭部門でできる新
エネルギーというのはどういうものがあるだろうか、どこまで期待すればいいだろうかというお話。それからさらに、
国際的なというお話がありましたので、時間があれば、我々はやはりアジアの
途上国に対して
日本がやるべき
課題はもっとあるんではないかと私、常々思っておりますので、そういうお話も御紹介してみたいと思います。
家庭部門の
エネルギー消費が増えた、増えたと言われるわけですが、この絵は、塗りつぶしてある部分が
家庭で使われる我が国の総
エネルギー消費量でありまして、確かに一直線で伸びているわけでありますが、これは
二つの要因がございまして、直線的に伸びているのが世帯数であります。途中からほぼフラット状態になって、九〇年から九五年ぐらいはやや右肩上がりで伸びておりましたが、九五年以降はほぼ横ばい傾向で推移している。これが一世帯当たりの
エネルギー消費であります。ですから、分解して考えるべきだと私はいつも申し上げるわけでありまして、世帯数が増えていくとどうしてもおふろも増えますし、冷蔵庫も増えるわけですから、世帯員数は減ってもやはり世帯の
エネルギー消費量というのは増えてしまうわけですね、
家庭用の
エネルギー消費は。
これでいきますと、二〇一〇年まで概算をしますと、九〇年ベースで約三割ぐらい世帯数は増える見込みでございます。世帯数が実際に減ってくるのはそれから更に六、七年遅れてと言われておりますので、人口は減り始めているんですが、まだ二〇一〇年、すなわち
京都議定書の
目標期間のうちには世帯数が減るという状態には残念ながらならない。
一世帯当たりの
エネルギー消費は、このように横ばいになっておりますが、九〇年ベースから見ますと既にやはり十数%は増えておりますので、二〇一〇年でこの総量がどのぐらいになるかとこの塗りつぶした部分を一〇年まで伸ばしていきますと、恐らく一・五倍ぐらいに増えると。これをもって
家庭用が増えたから悪いと言われるわけでありますが、いかなる
政治家であっても世帯数を減らせという、そういう
政策は取れないわけでありますから、本当は核家族化じゃなくて三世代が同居するような世帯に移ればいいんですが、なかなかそれは簡単じゃありませんので、そうしますと、
家庭用で減らすとなると、この一世帯当たりの
エネルギー消費を減らさなきゃいけないと。
御案内かもしれませんが、
家庭部門で期待された
京都議定書では、減らすのではなくて六%ぐらい増えてもいいというふうな多少甘い見通しだというふうに取られておりましたけれども、例えば六%増に九〇年時点で止めるということになりますと約五割ぐらい増えてしまうわけでありますから、世帯数は減らせないので、結果として、一世帯当たりの
エネルギー消費を減らすとなりますと、世帯当たりの
エネルギー消費は一九七〇年以前の水準にならなきゃいかぬということになるわけであります。一九七〇年以前といいますと、カラーテレビがやっと出始めたかどうかという時代でありますし、エアコンなんかはほとんど家にないという時代であります。推して知るべしでありまして、大変まだ貧しい状態でございました。そのぐらいやはり
京都議定書で課せられた目的というのは、事、
家庭部門が甘い見通しであってもかなりきつかったというふうに見えるわけであります。
これが最近の動向を少し詳しく見たものでありまして、用途別に見ておりますけれども、黄色い矢印で添え書きしてあるのが、これが一直線に伸びております。これが照明とか家電製品等であります。ほかの
エネルギー用途はほぼ横ばいに転じかかっているわけです。
これは何を表しているか。横ばいに転じかかっているということは、例えば一番上の三角形、少し薄い折れ線グラフです。これは給湯用であります。給湯というとメーンはおふろですから、これから見てほぼ横ばいないし減少傾向ということは、恐らくおふろに使う、あるいはその他のところで使う給湯の
エネルギー消費は十分充足水準に達していると。充足水準に達すれば、後は横ばいになるわけであります。暖房もしかり。一番下の冷房もやや減少傾向でありますし、ほとんどのものがほぼ充足傾向に達したかに見られますが、家電製品・照明だけが一貫して伸び続けていると。
したがって、
家庭で減らせといったときにどこに着目するかというと、往々にして給湯、暖房といったところに着目しがちでありますが、敵は本能寺でありまして、この家電製品等をどういうふうにして減らしていくか、これは大変大きな
目標になるのではないかと思います。先ごろの新聞に
省エネ家電製品を取り替えるのに対して補助を出そうという話がありましたが、そういう
意味では時宜を得たテーマかと思っております。
これは、申すまでもなく、七〇年から二〇〇〇年にかけていかに多くの家電製品が増えてきたかという例であります。事細かに説明する時間がございませんので、相当いろんなものが増えてきた、ある
意味では豊かになったというふうに言い換えてもいいと思います。
現在の用途別のシェアを見ますと、一番多いのは給湯用であります。おふろに使っているもの、これが三四%。それから次いで、実は十年ぐらい前までは暖房だったんですが、それを追い抜きまして照明・家電製品等が三一%になって、暖房は二四%であります。よく
住宅の保温構造化を強化する、いわゆる
省エネ住宅を造るというお話がありますが、その場合にターゲットとされるのがこの暖房の二四%部門でありますから、本来、順番からいけば、まず給湯を何とかして、それから家電製品を何とかして、同時に暖房と、こういうふうな形でいかないと、暖房にだけ着目しても全体はなかなか減ってくれないと、こういうわけであります。
これが
国際比較の例でありまして、これはやや違った表現の仕方をしておりますが、九〇年を一〇〇として、赤いのが
日本でございます。そのほかは
アメリカ、ヨーロッパの先進諸国でありますが、御覧いただいて分かりますように、ほぼどの国も横ばい傾向か若干減少に転じていると。すなわち、どの先進国も、欧米先進国は充足状態にあって、変動があるとするならば、その年の気候が暑かったか寒かったか、あるいは最近に至れば、
省エネがかなり進んできてこうなるわけでありますが、
日本の場合には一貫して右肩上がりだったわけであります。
京都議定書が決められたときの
データはまだこの九五年以前の
データしかございませんでしたので、私はこのまま
家庭用が伸びていったらどこまで行くだろうと非常に肝を冷やしたことがございますけれども、幸いに今横ばいに転じておりますけれども、増えているのは
日本だけというわけであります。
ただ、これは相対的な
比較でありまして、絶対量で
比較すると、これはちょっとやや古いんですが、二〇〇〇年前後の
データでありますけれども、真ん中、囲ってあるのが
日本でございまして、上半分が先進国、下が
途上国であります。
まず、先進国から御覧になっていただきますと、
日本は一としますと、大体、ヨーロッパ諸国は二倍
程度、
アメリカが二・五倍
程度使っているわけであります。どこに差があるかというと、圧倒的に差があるのは赤い部分でありまして、これは暖房であります。なぜこんな差が出るかというと、欧米先進国はほとんどすべて全館セントラル暖房、これ、冬中そういう暖房状態が保たれていると、こういう条件であります。
日本もこの条件でシミュレーションしてみますと、その下の韓国と同じぐらいの暖房
エネルギー消費が必要になります。したがって、今の
日本の暖房状態を、ちょうど
エネルギー消費は伸びは止まっているわけでありますけれども、これで充足したと見るか見ないか、さらに若い世代がもっと豊かな快適な生活をということになれば、これはなかなかこのままで止まらないと、まだ増える可能性はあるわけであります。
いずれにしましても、相対的には
日本の位置は、一世帯当たりはこんなものでありますが、その下の
途上国をついでに説明しておきます。
なぜ韓国はこんなに多いか。御案内のように、韓国にはオンドルという、古くから床下にかまどを切って煙突を床下に全部はわせまして、空気式の床暖房ですね、これが標準装備だったわけですが、それが今や完全に温水式の床暖房が標準装備になっておりまして、寒い冬中はほとんどそれがつけられているという
状況でありますから、さっきお話ししましたように、
日本の三倍ぐらいの
エネルギー消費があると、これで韓国の方が
日本より多くなっているわけであります。
その下の中国をちょっと着目していただきたいんですが、都市と農村とあります。普通は都市部の方が生活水準が高いので
エネルギー消費は多くなるわけでありますが、中国の場合は農村部の方が多くなっております。なぜこんな逆転現象が起きるかというと、農村部の、これは用途別に書いてありますが、ほとんどの主燃料はまきとか農業廃棄物、稲わらとか、トウモロコシの茎であったり、いわゆる今様に言うとバイオマスであり、再生可能
エネルギーでありますが、そういった
エネルギーがメーンに煮炊きに使われる、あるいはお湯を沸かすのに使われるわけであります。こういったものの燃焼器具の効率というのは効率という以前の問題でありまして、極めて無駄な使い方をしておりまして、ほとんどは大気を暖めて外へ逃がしてしまっている。恐らく、後で写真が出てきますけれども、煮炊きをするときに九割以上の熱は外へ逃げて一割ぐらいだけしか使っていないんじゃないかと。こういう効率の悪いことになっておるものですから、見かけ上、非常に
エネルギー消費が多くなっている。
だから、
途上国にまず支援するならば、そういった厨房器具あるいは調理器具といったものを効率のいいものに替えるだけで恐らくこの消費は半分以下にすぐ減ると思います。
これがヨーロッパの、例えばドイツの例でありまして、全館冬中こんな温度条件が保たれているから彼らはあれだけ
エネルギー消費が多いわけであります。
これがベトナムの農村部であります。これ、御覧になって分かりますように、もうほとんどの熱は外に行って逃げているわけですから、インプットした
エネルギーに対してアウトプットして有効に使われているのは一割いっていないかもしれない。九割の熱は外を暖めている。こういう状態ですから、見かけ上すごく
エネルギー消費が多くなっているわけであります。
これで閑話休題ですが、後、
藤野さんがやりにくくなるかもしれませんが、私は低
炭素社会という言葉はやめるべきだといつも言っておるわけでありまして、低
炭素社会というのはどうなのかと。地球温暖化防止から低
炭素社会という表現が盛んに使われますけれども、低炭素イコール温暖化防止かと。確かに、先進国へのメッセージとしては私は非常にいいキャッチフレーズだと思います。私は金持ち社会の標語というふうに言っておりまして、
途上国への確かなメッセージたり得るかと。今お見せしましたように、
途上国は過半をまだバイオマス燃料、再生可能
エネルギーに頼っている地域がいっぱいあるわけですね。したがって、地球温暖化問題がやはり
エネルギー資源問題であるということをきちっとわきまえて対処していくべきではないかというのが私の持論であります。
これはベトナムの例でありまして、左が一次
エネルギー消費の実績、二〇〇〇年の実績値でありますが、一番多い、三分の二ほどですね、三分の二ぐらいは何かというと、バイオマスと書いてあります。いわゆる先ほど申しました稲わらとか、しばとか、まきといったたぐいであります。ですから、こういった国々は今十分に低
炭素社会であるわけでありまして、彼らはむしろ
炭素社会になりたいというふうに思っているんじゃないかと私には思えます。
したがいまして、低
炭素社会という言葉は先進国には非常にいい私はキャッチフレーズだけれども、
途上国には本当にいいのかなと。こういう話をすると
藤野さんの上司の西岡さんがいつも困っておられまして、何かいい言葉をつくってくれと言われて今、考えているところであります。
省
エネルギーについて少し御紹介しておきます。
これは
省エネの概念図でありまして、横軸に
エネルギー消費量を取って、縦軸に快適性、利便性で、
エネルギーを使うことが目的ではなくて、快適性、利便性を上げるために使っているわけでありますから、
エネルギー消費量が増えれば快適性、利便性が上がるわけですが、ある水準を超えると
エネルギー消費量が増えても快適性も利便性も上がらないと、これは充足した水準ですね。それ以上に
エネルギーを使うということは無駄な
エネルギーになるわけです。
二回のオイルショックのときにやりました省
エネルギーというのは節約、我慢でありまして、このオレンジのラインになるわけでありますが、本当の省
エネルギーはこの黒いラインから青いラインに変えると。快適性、利便性は同じ水準を保っても
エネルギー使用量は減らすと、これが本来の
省エネだと思います。ですから、
省エネには幾つかのフェーズがあり、幾つかの考え方があるというこれは概念図であります。
無駄の最たるものはこの待機時消費
電力。御承知だと思いますが、一九九七年にこの実測結果を公表しましたら大変大きな反響がございまして、今、
日本の待機時消費
電力は
世界でもトップクラスに減ってきております。もうこれは詳しく御説明いたしません。大体、最近でこそ七%ぐらいになりましたけれども、当時は一
家庭で年間一万円ぐらい待機時消費
電力に使っていたというような
状況でございました。減ってはおりますが、まだこれだけございます。いろんな減らし方がありますねということであります。
これはエアコンの例でありまして、上が古いタイプのエアコン、いわゆるオン、オフでしか制御できない。下のエアコンは、今ほとんどの皆さんがお使いのインバーター付きのエアコンでありまして、これは何が言いたかったかというと、使い方が消費者にきちっと伝わっていないという例でこれを持ってきたわけであります。
これは、たまたま三菱電機からいただいた
データでありますが、昔のエアコンは、付けると出る量は一かゼロと。今のエアコンは、付ければ必ずフルモードで運転してくれるようにできているわけです。にもかかわらず、大抵の
方々は、部屋が寒ければ設定温度を上げる、夏であれば設定温度を下げるという使い方をするわけですが、そんなことをしなくても自動的に室温が従来の設定温度より高ければ、夏であればフル回転するようにできているんですね。にもかかわらず、更に設定温度を下げてもっと冷やそうとすると、無理な状態で運転することになりますから、かえってエアコンの性能が落ちるわけですね。エアコン側できちっと対応するにもかかわらず、ユーザーの方が正しい
情報を知らないために使い方を誤って
エネルギーが多消費になっているという例で今日は持ってきたんですが、これも
余り時間がありませんから御
参考までにということであります。
これもエアコンの例ですが、ここで
二つポイントがあるんですが、
一つは下のオレンジ色、上の赤いのと
二つ書いてありますが、オレンジ色の方は大型です。広い部屋に使うタイプのエアコン。赤い方が狭い部屋。例えば、二十畳用と六畳というふうに考えていただければいいんですが、今の
日本のエアコンの効率は小さいものほど効率がいいんです。大きいものを選ぶとどうしても効率が悪くなってしまう。ですから、本来ならば、大きいのを一台選ぶよりも小さいのを二台選んだ方がずっと効率がいいわけですけれども、やっぱり一台で済ませてしまうということになりますと効率は非常に悪いという例であります。
これは高効率給湯器で、いろんな効率のいい給湯器がガス会社、
電力会社問わず発売されておりますが、この場合も、自分たちのお湯の使い方、家族の生活モードに合わせて給湯器を選ばないと必ずしも
省エネ性が保てないという例もありますから、そういったことを含めて、これもユーザーに対してきめの細かい
情報を付けて機器販売をしないといけないという例の
一つだと思います。
それから、買換えの効果。これは、つい最近、東京都内のロータリークラブの
方々とボランタリーにやったスキームでございますが、御案内のように、
トップランナーという
制度がありまして、これも非常に
世界でも
評価されておりまして、私、これを海外で出たすぐに
国際会議で発表しましたら、
中上、
トップランナーというのは、それは英語間違っているぞと、フロントランナーの間違いだと言われまして、いや先頭ランナーだから
トップランナーだと言ったら、いや先頭ランナーのことはフロントランナーと言うんだと。私、大恥をかいて帰ってきましたら、今や
トップランナーというと
世界中で
日本の最高の
省エネ基準と通るようになりましたので、けがの功名だったと思っておりますけれども、それは随分前の話であります。
これを買い換えるとどのぐらい
省エネになるかという例でありますが、右も左もエアコンですが、どんなふうに効率が変わってきたか。これは、効率が大きくなるほど性能が良くなる、
省エネ性が高いという例でありますが、一九九七年に
トップランナーを決めましたら、うなぎ登りに
省エネ性が高まって効率が従来の倍ぐらいに上がったという例であります。それまでは、徐々に上がってはいましたが、あるところで上げ止まりしていたんですけれども、やはり規制というのは非常によく効くという例の
一つだと思います。
右は、十年前の製品を今のに取り替えるとどのぐらい
省エネになるかという、これはあくまでカタログ値で
比較したものでありますが、実際に買い換えたらどうなるかというプロジェクトをやってみました。これは冷蔵庫の例であります。確かに減るわけでありますが、テレビの例、今の家電製品を十年前のものと買い換えると、
家庭全体の
電力消費の大体二〇%ぐらい
省エネになるというわけですから結構大きな量になる。二割
省エネするというのは大変なことです。
これは、ある家電量販店とロータリークラブと我々とで組んでやった例でありますけれども、ロータリークラブの
方々に買い換えていただいて、買換え前を測っていただいて、買い換えた後を測っていただいて、どのぐらい
省エネになったかということを検証したわけであります。こんな計測器を使いました。今いろんな計測器があるわけでありますけれども、これはみんな高いんですね。
これから、
一つのキー
ポイントは、こうやってきちっと実測して、計測して実証するということを、そういう手続を踏まないと
評価できなくなる時代が来るわけです。これまでは、これを使ったらこうなるはずだと、あらゆる
議論がそれで進んでいるわけでありますが、
京都議定書のこれからの
評価というのは、すなわち実績で
評価されるわけでありますから、計測して
評価するということを当たり前のことにしていかなきゃいけない。
残念ながら、そのためには計測器が手軽なものがないんですね、今のところ。これをもっと安く手軽に入る計測器を普及させれば、そういった行動と連動して大きな
省エネの効果が現れてくると思いますが、高いものですからなかなか普及しない。今回は、こういう先ほどの安い機器を皆さんにお貸しして測っていただいたわけです。
これがテレビの買換え前で、今使っている三十二型のブラウン管のものを測っていただきますと、左側の図でありますが、それと同じサイズぐらいのを買い換えると、これはメーカー
二つ書いてありますが、この
程度減りますよという
情報を付けてお返ししたわけです。
これは冷蔵庫の例でありまして、二本、線がありますが、左側が買換え前の製品で、測っていただいたのが右のちょっとブルーの線で、その更に左はカタログ値と書いてありますが、同じ製品でも、カタログ値ではこんなになっているんですが、実績はこのぐらい違うんです。車の燃費を思い浮かべていただければ分かると思いますが、リッター何キロ走るといっても、実際に運転してみるとなかなかそのとおりにはいかなくて、大体二、三割燃費悪くなるわけでありますが、ここでもやはりカタログ値と実測値ではこのぐらい差があるわけです。
それに対して右側、実際に買い換えていただきました。そうしますと、カタログ値と実績値では、実績値の方が一割ぐらい
エネルギー使用が多くなっていますが、絶対値、九百七十二から四百四まで減っているわけですから半分以下に減ったというわけでありまして、非常に大きな
省エネになったというわけであります。
計測の結果が幾つか書いてありますが、この図は、上はテレビの例で下がエアコンなんですが、テレビの場合には残念ながらみんな増エネになっちゃったわけです。同じサイズのものを買い換えていただけると
省エネになるんですが、皆さん全部サイズが大きくなっちゃった。平均画面サイズを見ていただきますと、ブラウン管型は平均しますと二十六型だったんですが、液晶型で三十一インチ、プラズマで四十二インチというふうに非常に大きくなってしまったがために、一インチ当たりは確かに非常に
省エネが進んでいるんですが、大型化したために増えてしまったという例であります。
あとは
住宅の保温構造化の例でありますし、
住宅の保温構造化をするということは
省エネにもなりますけれども、快適性が上がるという
情報がなかなか伝わっていないようでありまして、これはノンエナジーベネフィットという言い方をしますけれども、
エネルギーの効果だけではなくて、快適性が上がるという効果もありますよというふうな
情報を付けてみんなにこういう活動を推進していただくことが重要じゃないかと思っております。
それから、新エネであります。
新エネは、これは、左が給湯で一番右が太陽電池でありますが、給湯の太陽熱温水器を付けると約半分ぐらい
省エネになりますし、太陽電池の場合には、その家の電気の使い方によって違いますので、我々が実測した例では八割ぐらいカットできております。
これも我々が実測した例でありまして、何を表しているかというと、二千九百四十五って書いてあるのが、これが三キロワットの太陽電池で一年間、東京、神奈川地域で発電した量であります。右側に千五百九十五って書いてあるのが、これが昼間使わない余剰
電力として東京
電力に売っているわけですね。一千三百五十は自家消費しているわけです。それでは足りませんから、四千七百五十一買って、六千百キロワットアワーぐらいの
電力消費をしている。太陽電池をお付けのおうちは大体規模が大きいおうちが多いものですから普通の平均よりはずっと
電力消費が多くなっているんですが、我々が百三十件実測した結果、こんな結果が出ました。
これは、それを用いて今回の固定
価格買取り
制度によってどのぐらい効果があるかということをちょっと違った図で表したわけでありますが、これは
投資回収率と書いてあります。
太陽光発電ですと、三キロワットを付けると今、大体二百十万円から、ちょっと二百万円超えるぐらいしますけれども、年間大体七万五千円ぐらい発電してくれますので、それでやりますと大体三・六%ですが、そのうち余剰
電力が約半分ぐらいございましたので、それを倍の
価格でその分買っていただけるということはもう五割増しになるわけでありますから、大体五・四%ぐらいの金利では回ることになると。それで、五・四%の金利で回るということは、百で割り返していただくと二十年弱ぐらい
投資回収に掛かるわけでありますから、まだこれでも
投資回収を十五年以下にしようとするには届かないと。それに対して、太陽熱温水器は今の
状況でも七%ぐらいの金利で回りますので、ですから、太陽熱温水器の方が私は非常に経済性が高いと言うんですが、なかなかこちらに着目しないで皆さん、みんな
太陽光発電の方に行ってしまうと。是非、太陽熱温水器にもう一度光を当てていただきたいと思います。
それから、
最後でございますけれども、
省エネ意識が大事だということでありまして、これは、意識によってこんなに
エネルギー消費に差が出てくる。平均に対して、
余り意識しない人は三割ぐらい
エネルギー消費が多い、
省エネ意識が高い家は二割強ぐらい
エネルギー消費が少ないというわけでありますが、やはり一人一人の心掛けといいますか、
省エネ教育というのは非常に重要だということを改めて私たち、こういう
調査から実感いたしました。
どうやって分けたかというのはここに書いてあります。多分お手元にもあると思います。
それから、サマータイムであります。これも、川口先生始め何回かお話しさせていただきましたけれども、この話が出ては消え、出ては消えしておりまして、これは決して少ない量ではないんですね。私どもが計算してみますと、大体九十万キロリッターぐらいの原油換算の
省エネ効果は現時点で見込めそうであります。
九十万キロリッターでCO2換算で百五十万トンCO2というとどのぐらいかというと、
太陽光発電に直すと三百四十万キロワット相当ぐらいになります。三百四十万キロワットと今の七十万円と掛けていただきますと、二兆数千億掛けて太陽電池を付けてやっとこのサマータイムと同じぐらいの効果でありますから、サマータイムに二、三千億、その準備費用が掛かると言いますけれども、もうはるかにコストベネフィットもいいですし、是非ともやるべきではないかと思うんでありますが、話が出ては消え、出ては消えしておりまして、まだあきらめてはおりませんので、是非応援していただきたいと思います。どのぐらいかというと、和歌山県から長崎県ぐらいの
家庭で出している
エネルギー消費量に匹敵するぐらいのCO2になりますよという話であります。
ちょっとベトナムの話ができませんでしたが、また後ほど、
途上国に対する私の考えは御質問のところでお話をさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。