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政府参考人(
吉田岳志君) 農林水産省の
技術総括審議官の
吉田でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、
資料に基づきまして
説明させていただきます。
一ページをお開けください。
農林水産省では、平成十九年六月に策定をいたしました農林水産省の
地球温暖化対策総合戦略、これに基づきまして施策を実施しております。
この戦略は、
地球温暖化防止策、
地球温暖化適応策、そして農林水産
分野の
国際協力という三本柱から成っておりますが、昨年七月二十九日に
閣議決定されました低炭素社会づくりの行動計画、これを踏まえて改定をいたしました。
地球温暖化防止策、左下の下から三つでございますが、農地土壌の
温室効果ガスの吸収源としての機能の活用、低炭素社会実現に向けた農林水産
分野の貢献、農林水産
分野における省
CO2効果の表示の推進、この三つを強化したところでございます。
続きまして、二ページから
地球温暖化対策の中で重要な地位を占めております森林吸収源でございます。
左上の図でございますが、二〇〇七年度の
温室効果ガス排出量速報値によりますと、
我が国の六%の
削減目標達成のためには全体で一四・七%の
削減が必要な
状況にあります。このうち、森林吸収源は三・八%と非常に重要な地位を占めておるということでございます。
それでは、
京都議定書で森林吸収源の対象と認められる森林は何かということでございますが、下に、新規植林、再植林、森林経営とございますが、
日本の場合には、植林の余地がほとんどございませんので、この森林経営で稼ぐということになってございます。
右の方にその対象と認められる森林がございます。これは、
各国が森林経営の
現状等を踏まえて定義することとされておりまして、
我が国では、育成林につきましては一九九〇年以降に間伐などの森林施業が行われて適切な状態にある森林、天然生林につきましては保安林など法令等に基づく伐採・転用規制等の保護・保全措置が講じられている森林というふうに定めております。
次のページお願いいたします。三ページでございます。
左側中ほどにございますが、前ページの考え方を基にこれまでの水準で森林整備が推移するものとして試算した結果では、
目標達成のためには、二〇〇七年度から六年間にわたりまして毎年二十万ヘクタールの追加的な間伐等の森林整備を実施することが必要というふうになってございます。このため、二〇〇七年度から六年間で三百三十万ヘクタールの間伐の実施などを
目標とします美しい森林づくり推進国民運動、これを幅広い国民の理解と協力の下に展開をしているところでございます。
なお、予算措置でございます。平成二十一年度に係る予算措置につきましては、二十年度の一次補正予算、二十一年度当初予算合わせまして二十万ヘクタールを超す追加整備に必要な額を確保しているところでございます。
次、四ページでございます。
これは、
各国の森林吸収量の算入上限値でございますが、この表は
我が国がいかに特例的に大きな上限値として認められておるかということを示してございます。当然のことながら、他の
締約国から厳しいチェックを受けることになりますので、透明かつ科学的な方法で算定、
報告をしていく必要があるということでございます。
五ページをお願いいたします。
農林水産
分野における省
CO2効果の表示の指針ということでございます。昨年七月から審議会で検討を行いまして、十二月にこの指針の中間取りまとめを行ったところでございます。中間取りまとめの概要を右側に出してございますが、見える化の基本的な考え方、表示の在り方を示しますとともに、今後の
課題をまとめてございます。この中間取りまとめは現在パブリックコメント中でございます。国民の皆様から幅広く御意見をちょうだいいたしまして、三月を目途に最終取りまとめを行うということにしてございます。
六ページをお願いいたします。
農林水産
分野における見える化でございますが、これ、
資料左側に掲げておりますような、農林水
産業関係者の
排出削減の
努力を分かりやすく伝えまして、
消費者の皆様の
商品選択に資するとともに、生産、消費の両サイドでの
排出削減につなげていくことが重要というふうに考えてございます。その際、農林水産物につきましては、気象、地域特性によって
温室効果ガスの
排出量が大きく変動いたします。また、木材製品の場合には炭素を貯蔵し続けるといった特性がございます。こういった工業製品とは異なる特徴がございますので、
資料右側に示したような複数のアプローチを
提案をしたというところでございます。
続きまして、七ページをお願いいたします。
七ページは、
国内排出量取引の
国内統合市場の試行的実施でございます。仕組みについてはもう申し上げるまでもございませんが、先ほ
ども経済産業省の中で御紹介がございました。
八ページをお願いいたします。
農林水産
分野におきましても、
資料右側の
企業などから
排出削減に係ります資金や
技術の提供を受けまして
資料左側のような
取組、例えばハウスのボイラーを
転換するといったようなことなどによりまして試行
排出量取引に参加可能であると。これによりまして、
企業と連携をいたしました農山漁村の活性化に資する
取組として推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
そして、九ページでございますが、先ほどの経産省の
資料にもありましたが、先日、バラ農園におきましてヒートポンプ
導入によります
CO2削減事業、これが農林水産
分野での第一号
案件として申請をされたところでございます。今後とも、こういった
取組を支援してまいりたいというふうに考えてございます。
続きまして、十ページをお願いいたします。
昨年十二月にポーランドで開催されました
COP14でございます。ここにおきましては二つのことが議題になってございます。
一つは、次期枠組みにおけます土地利用・土地利用変化及び林業
部門の取扱い、それから二つ目が、森林減少・劣化に由来する
排出の
削減、REDDといっていますが、これにつきましてそれぞれ
我が国の立場を主張したところでございます。
特に土地利用の部分につきましては、森林経営以外の議定書三条四項活動、これは農地
管理等によって
CO2の
削減あるいは貯留といったことが認められる活動でございますが、これについて
議論を早急に開始すること、それから、国や地域によって手法が異なるので多様な手法を考慮することといったことを主張してまいりました。
今年十二月のデンマークで予定されています
COP15に向けまして、引き続き、森林、農地などの吸収源を次期枠組みにおいても最大限に活用できるよう主張してまいりたいというふうに考えてございます。
十一ページでございます。
ここからはバイオマス
関係でございます。バイオマスは、カーボンニュートラルということで、石油資源に代えて利用することによって
地球温暖化の防止につながるということでございますが、農山漁村地域には様々なバイオマスが広く薄く存在してございます。それらのバイオマスを効果的に利用するためには、
原料調達から利用までが効率的なプロセスで結ばれました総合的な利活用システム、これが構築されることが重要だということで、市町村が中心となって、広く
関係者の連携の下、バイオマスタウン構想を策定をして、主に市町村が中心となってその実現に取り組んでいるところでございます。
バイオマス・ニッポン総合戦略では、このバイオマスタウン、平成二十二年度までに三百地区構築することを
目標としてございまして、十二ページにございますが、一月末現在で、こうしたバイオマスタウンが百六十三市町村で策定されます。さらに、これの加速を図るため、
委員会を設立をいたしましてその戦略の検討を進めておるところでございます。
十三ページでございますが、農林漁業バイオ燃料法、昨年成立させていただきました。この内容については省きますが、これにつきましては、昨年十月に施行いたしまして、昨年の十二月に本法に基づきます第一号の認定が行われたところでございます。
十四ページをお願いいたします。
このバイオ燃料の事業実施地区を簡単に図示をしております。特にバイオエタノールでございます。白い四角と青い四角で二種類ございますが、白い四角は、余剰てん菜ですとか非食用米、いわゆるでん粉あるいはでん粉系を原料としてバイオ燃料の実証を行っているところでございます。青い四角は、稲わらあるいは麦わらといった食料供給とも両立するソフトセルロース、これからバイオ燃料を製造する
技術の確立を図るための
技術実証を行っておるところでございます。
十五ページでございますが、こういったバイオ燃料に関する
国際的な
取組といたしまして、
資料左下のGBEPというものがあります。このGBEPの作業につきましては
洞爺湖サミットでも支持をされていまして、農林水産省としてこれらの
国際的な基準、指標策定の動きに対応しようということで、昨年九月に
国際バイオ燃料基準検討会議というものを設置をいたしました。ここで基準、指標の在り方について概念整理を行ったところでございまして、この検討結果を踏まえながら、今後とも
国際的議論の場で
我が国の立場を発信してまいりたいというふうに考えてございます。
以上でございます。