○
政府参考人(
古谷一之君) 主税局
審議官の
古谷でございます。よろしくお願いをいたします。
私の方からは、
NGOに対する税制上の
支援措置の
現状について御
報告を申し上げます。
「
資料 財務省」というのをお開きをいただきたいと思います。
寄附優遇
法人制度の概要ということで掲げさせていただいておりますが、
NGOを含めまして、
民間により設立された非営利の
活動を行う
法人を対象といたしまして、税制上の
支援措置として、そういった
法人に個人や
法人企業が寄附をした場合に一定の範囲で寄附を優遇するという
制度を税制上設けてございます。
大きく分けて
二つの枠組みがございます。
一つは、認定
NPO法人に対する
寄附金ということで、左の方でございますが、先ほど
内閣府の方から
説明ございました、
NPO法人のうち一定の要件を満たすものとして国税庁長官の認定を受けたものに対する
寄附金について優遇するものでございます。
もう
一つが、右の方でございますが、
特定公益増進
法人に対する
寄附金ということで、公益
法人等のうちで公益の増進に著しく寄与するものとして主務官庁等の認定を受けたものが対象ということで、一番上の丸に公益社団・財団
法人というのがございますが、これは、今回の公益
法人改革に伴いまして
民法の公益社団・財団がこちらに移行することになっております。今まで
民法法人であったところで、経済
協力や
国際交流のために主たる
活動をやっておられるということでこの
特定公益増進
法人になっておられるところがございます。
それぞれにつきまして、所得税の場合には、寄附をした人に
寄附金額から五千円を控除したところを
寄附金控除の対象にするという仕組みがございます。この
寄附金につきまして、総所得の四〇%相当額を上限とするということにしてございます。
それから、
法人税につきましては、その
企業の資本金の額の〇・二五%とその期の所得の金額の五%を平均をしまして、それを
限度として
寄附金額を損金算入をするという仕組みになってございます。
お
手元に
資料がなくて口頭で恐縮でございますが、現在、認定
NPO法人、先ほどの
NPO法人が三万六千三百ということでしたが、国税庁長官の認定を受けて寄附の優遇の対象となっておる
法人が現時点で九十三
法人ございますが、このうち
国際協力の
活動をやっているというふうに言っておられるところが五十
法人でございます。
右の方で、
特定公益増進
法人全体として二万一千ほどございますけれ
ども、このうち一番丸の公益社団・財団
法人に移行が予定されております旧
民法法人が八百六十二ございまして、そのうち経済
協力が主たる目的のものが四十九というふうに承知をしております。
二
ページに進んでいただきまして、最近、税制上も、
民間による公益の促進という観点から、寄附優遇税制につきましては累年拡充をしてございます。
平成十七年、十八年、十九年と、個人の所得控除につきまして、
限度額を三〇から四〇というふうに引き上げてきております。さらに、適用下限額ということで、小さな
寄附金につきましては足切りをしておるわけですが、そこの下限を一万円から五千円に引き下げるといった拡充措置を講じてございます。
それから、
平成二十年度の
改正におきましては、
法人税の方で、先ほどの損金算入
限度額につきまして、所得の金額の上限枠を、それまで二・五%でしたものを五%に引き上げるといった枠の拡大をしてきてございます。
さらに、その他のところに書いてございますが、公益
法人制度改革に伴いまして、第三者
委員会の関与の下で公益認定を受けた
法人であれば、自動的にすべて
特定公益増進
法人として寄附優遇の対象とするというふうに対象の拡大も予定をしてございます。
三
ページをお願いをいたします。
認定
NPO法人制度の概要でございますけれ
ども、先ほど見ていただきましたように、所轄庁の
認証により設立された
NPO法人のうちで、一定の要件の下で国税庁長官の認定を受けますと認定
NPO法人となりまして寄附優遇の対象になるわけですけれ
ども、その際の認定基準が、右の方にございますが、広く一般から一定以上の
寄附金や助成金を受け入れていること、いわゆるパブリックサポートテストによりまして一種の公益性の認定を国税庁長官が行っております。そのほか、広く一般の方を対象とした
活動を行っていること、あるいは運営
組織や
事業内容の適正性、それから情報公開が適切に行われているといったことを認定の際にチェックをする仕組みになってございます。
この認定要件につきましては、四
ページにございますが、これまでも、NPO
関係者の御
意見ですとか
内閣府や
外務省からの御要求も踏まえまして、累次にわたりまして認定要件の緩和措置あるいは申請手続の負担軽減等の見直しを行ってきているところでございます。詳細は、恐縮ですが、省略をさせていただきます。
それから、五
ページがもう
一つの公益社団、公益財団でございますけれ
ども、公益
法人制度改革によりまして、一般社団
法人、一般財団
法人で第三者機関の認定を受けますと公益社団、公益財団になるわけでございますが、公益目的
事業を行うことを主たる目的とする等の公益認定の基準を満たすと、こういうふうに認定を受けるということになっております。
これにつきましては、六
ページにございますように、新しい公益社団・財団
法人認定法によりまして公益目的
事業が列挙されておりますけれ
ども、別表の十五、十六のところに、十五で、
国際相互理解の促進及び
開発途上にある
海外の地域に対する経済
協力を目的とする
事業、それから、地球
環境の保全又は自然
環境の
保護及び整備を目的とする
事業と書いてございまして、
外務省関係の
NGOも、恐らく認定を受けられればこういった公益社団、公益財団になられて、認定の結果、自動的に
特定公益増進
法人になられるという仕組みになってございます。
それから、最後の
ページでございますけれ
ども、主要諸外国の
寄附金税制の概要を付けさせていただきました。どの国でも税制上、公益
団体に対する寄附優遇を行っておるわけでございますが、その仕組みや程度はちょっとずつ違っております。
アメリカの場合には、そこにございますように、特に公益性の強い
団体に対する寄附の場合には所得の五〇%を
限度に所得控除、その他の一定の公益
団体の場合には三〇%を
限度というふうになっております。
日本が所得の四〇%
限度ということですので、公益性の強い
団体の場合には
アメリカの方が所得税上の扱いがより促進的になっていると言えようかと思います。それから、
法人企業が寄附をいたしますと、所得の一〇%を
限度に損金算入ということでございます。
それから、イギリスの場合にも、チャリティーに対する
寄附金ということで、
寄附金の八十分の二十二に相当する額が税務当局からチャリティーに給付されるというギフトエードという仕組みがあるようでございまして、大変恐縮ですが、昨日あらかじめ配付させていただいた
資料でここが七十八分の二十二というふうになっている
資料をお持ちの先生がおられましたら、正確には八十分の二十二ですので、御訂正をお願いしたいと思います。
ここは、納税者が税金を払っていることを前提に納税者に寄附控除を認めるのではなくて、寄附を受けたチャリティー側が
寄附金に係る一定の税率相当額まで自ら税務当局から税金の還付を受けることができるという仕組みのようでございます。それから、こうしたチャリティーに対する
寄附金について、
法人税の方は
寄附金の全額を損金算入するということだそうです。
それから、ドイツの場合にも、やはり公益目的を持つ
団体に対する寄附については、個人、
法人ともに、そこにございますような
限度額の下で所得控除が認められているということでございます。
それから、フランスの場合には、今度は所得控除ではありませんで、税額そのものから控除をする税額控除という仕組みを取っておりまして、個人の場合には、課税所得の二〇%を
限度といたしますけれ
ども、
寄附金額の六六%を税額控除するということだそうです。それから、
法人税の場合には、
寄附金額の六〇%につき税額控除。これは、売上高の〇・五%という上限は付いておりますけれ
ども、所得税、
法人税共にフランスの場合には税額控除という仕組みだということでございます。
以上でございます。