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2009-04-23 第171回国会 参議院 厚生労働委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年四月二十三日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      川崎  稔君     森田  高君      島尻安伊子君     橋本 聖子君  四月二十三日     辞任         補欠選任      下田 敦子君     佐藤 公治君      橋本 聖子君     中山 恭子君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         辻  泰弘君     理 事                 中村 哲治君                 柳田  稔君                 蓮   舫君                 衛藤 晟一君                 山本 博司君     委 員                 足立 信也君                 家西  悟君                 梅村  聡君                 川合 孝典君                 小林 正夫君                 佐藤 公治君                 谷  博之君                 森田  高君                 石井 準一君                 岸  宏一君                 坂本由紀子君                 中山 恭子君                 西島 英利君                 南野知惠子君                 古川 俊治君                 渡辺 孝男君                 小池  晃君                 福島みずほ君        発議者      蓮   舫君    委員以外の議員        発議者      津田弥太郎君        発議者      加賀谷 健君        発議者      行田 邦子君    衆議院議員        厚生労働委員長  田村 憲久君    国務大臣        厚生労働大臣   舛添 要一君    事務局側        常任委員会専門        員        松田 茂敬君    政府参考人        総務省行政評価        局長       関  有一君        厚生労働省医政        局長       外口  崇君        厚生労働省年金        局長       渡邉 芳樹君        社会保険庁総務        部長       薄井 康紀君        社会保険庁運営        部長       石井 博史君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○厚生年金保険保険給付及び保険料納付の特  例等に関する法律の一部を改正する法律案(津  田弥太郎君外八名発議) ○社会保険保険料等に係る延滞金を軽減するた  めの厚生年金保険法等の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○厚生年金保険保険給付及び国民年金給付の  支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案  (衆議院提出)     ─────────────
  2. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、島尻安伊子君及び川崎稔君が委員辞任され、その補欠として橋本聖子君及び森田高君が選任されました。     ─────────────
  3. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  厚生年金保険保険給付及び保険料納付特例等に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長渡邉芳樹君外四名の政府参考人出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 厚生年金保険保険給付及び保険料納付特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  発議者津田弥太郎君から趣旨説明を聴取いたします。津田弥太郎君。
  6. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) ただいま議題となりました厚生年金保険保険給付及び保険料納付特例等に関する法律の一部を改正する法律案通称年金記録回復促進法案につきまして、民主党新緑風会国民新日本及び社会民主党護憲連合を代表し、その提案趣旨及び主な内容を御説明いたします。  冒頭、皆様に問いかけをしたいと思います。  実際に保険料を納めていたにもかかわらず、不幸にも消えた年金、消された年金被害に遭ってしまった方々が最後の望みを託して年金記録確認第三者委員会申立てを行った場合、間違いなく全員が救済されているとお考えでしょうか。恐らく、自信を持ってイエスと答えられる方は皆無だと思います。  第三者委員会が二〇〇七年度に申立てを受け付けました事案におけるあっせん比率がわずか三五%であることを指摘するまでもなく、あっせんと認められるためのハードルは極めて高く、申立人がいかに理を尽くして説明しても容易に認められないのが現状であります。  しかし、そもそも第三者委員会は、御本人立場に立って申立てを十分に酌み取り公正な判断を示すとの安倍総理大臣の発言によって設置されたものであり、その後、総務大臣が定めた基本方針においても、判断基準は、申立て内容が、社会通念に照らし、明らかに不合理ではなく、一応確からしいこととするとされているのであります。  本法律案は、第三者委員会がまさにそうした設置原点に立ち返って判断を行うべきことを条文に明記するとともに、あわせて、あっせんに向けた事業主協力が得られにくい現状を踏まえ、打開のための工夫などを盛り込んだものであります。  これにより、保険料を納めていたにもかかわらず、非あっせんとなってしまう事態の発生を相当程度防ぐことができると確信をいたしております。  次に、本法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、年金記録確認第三者委員会は、厚生年金保険制度及び国民年金制度により生活の安定が図られる国民立場に立って、事業主厚生年金保険の被保険者の負担すべき保険料を控除した事実がある者が不利益を被ることがないようにする観点から、当該事実があるかどうかを判断するに当たっては、当該事実がある者であることを申し立てた者の当該申立てを十分しんしゃくするとともに、当該事実があることを直接に明らかにする資料がない事案においては、速やかに雇用保険給付に関する記録その他の官公署が有する記録であって当該事実があることを推測させるものをできる限り収集するほか、必要があると認めるときは、官公署が有する記録以外の資料又は情報をできる限り収集した上で、当該申立て社会通念上明らかに不合理であるとは言えないと認める場合においては、当該事実がある旨の判断を行うものとしております。  第二に、社会保険庁長官対象事業主に対して特例納付保険料納付勧奨しなければならない場合について、特例対象者に係る厚生年金保険法保険料納付する義務が履行されなかったことが明らかであると認め、かつ、当該義務が履行されなかったことについて国の責めに帰すべき事由として厚生労働省令で定める事由があるおそれがないと認める場合に限ることとしております。また、このようなおそれがないとは認められないため対象事業主に対して特例納付保険料納付勧奨を行わない場合を、国が特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額の総額を負担する場合に加えることとしております。このほか、厚生年金基金による未納掛金等納付勧奨等及び企業年金連合会による特例掛金納付勧奨等についても、同様の措置を講ずることとしております。  第三に、年金記録確認第三者委員会は、国民年金保険料納付する義務を負う者が当該義務を履行した事実があるかどうかその他の厚生年金保険法又は国民年金法による給付に影響を与える事実があるかどうかについて、厚生年金保険保険料を控除した事実に係る判断の例により、判断を行うものとしております。  なお、この法律は、一部を除き、公布の日から施行することとしております。  以上が、本法律案提案趣旨及び主な内容でございます。  議員各位におかれましては、一人でも多くの被害者の失われた年金記録を迅速に回復するため、速やかに御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     ─────────────
  8. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、下田敦子君が委員辞任され、その補欠として佐藤公治君が選任されました。     ─────────────
  9. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 川合孝典

    川合孝典君 おはようございます。  民主党新緑風会国民新日本川合孝典でございます。  この消えた年金、宙に浮いた年金の問題、この問題を国民皆様の多くが知るところとなってから足掛け三年が既に経過いたしました。しかしながら、現在でも年金記録回復状況は多くの国民皆様の期待には程遠い状況となっている、このことについては、皆様認識は一緒だというふうに思っております。  また、年金記録特例法に基づく年金記録確認第三者委員会、いわゆる第三者委員会が発足してからこれもほぼ二年が既に経過したわけでございますけれども、先ほどの趣旨説明にもございましたとおり、審査基準の問題、また審査に要する時間が掛かり過ぎるといった問題など、こうしたことによりまして、思うように年金記録回復が進んでいないのが現状でございます。特に、昨年秋以降、急激な景気悪化によりまして日本の環境は激変いたしました。国民皆様生活の不安や将来の不安が非常に高まってきております。こうした中、遅々として進まない年金記録問題、これに国民皆様の怒りや不満が急速に高まっている、私このように感じております。  こうした国民皆様の将来不安を取り除く、このためには、信頼できる年金制度を再構築しなければならない、この点については与野党を問わず共通認識だというふうに思っておりますが、そのためには、この消えた年金、消された年金の問題を可能な限り速やかに解消しなければならないわけでございます。  今回、民主党新緑風会国民新日本並び社会民主党護憲連合が共同提案するいわゆる年金記録回復促進法案は、こうした消えた年金、消された年金の問題で救済を求める多くの皆様の声にこたえることができる、そのことを可能にする法律案であるというふうに確信いたしております。したがいまして、この厚生労働委員会において審議入りを取り計らっていただきました委員長並びに与野党理事皆様には心よりの感謝を申し上げまして質問を始めさせていただきたいと、このように思います。  まず、それでは質問を始めます前に、今の状況につきまして共通認識を持つために、現状年金記録回復状況につきまして総務省にお伺いいたしたいと思います。  既に第三者委員会が発足いたしまして二年が経過しているわけでございますが、現時点での第三者委員会における年金記録解明現状について御説明を願います。
  11. 関有一

    政府参考人関有一君) 年金記録確認第三者委員会におけます現在の処理状況でございますが、社会保険事務所等で受け付けた申立て件数は約十万四百件となっております。これらにつきまして、第三者委員会において年金記録訂正が必要であるとのあっせん結論を出したものが二万三千六百四件ございます。年金記録訂正が不要であるとの決定を行ったものは三万五千三百八十五件でございます。これらのほかに申立ての取下げがあったもの、それから社会保険庁段階処理されたもの、それぞれ二千件から三千件程度ございますけれども、それらを合わせますと、約六万四千件につきまして処理を終えたというところでございます。  年金記録確認第三者委員会に対しまして十九年度に申し立てられた事案、昨年の三月末までに申し立てられた事案、約五万件ございましたけれども、これについてはおおむね一年を目途処理を終えるという政府目標が立てられていたわけでございますけれども、私ども昨年の三月末あるいは四月の初めころ、五万件に対して五千件ぐらいしか処理が進んでおらなかったものですから、関係方々から一体何年掛かるんだというような御指摘も受けたりいたしましたけれども、昨年の一月以降、体制も強化し、それから事務局職員も徐々に仕事事務処理に習熟をしてまいりまして大分ペースが上がってまいりまして、実は非常に高いハードルだと思っておりましたけれども、今年の三月末にこの政府目標を何とか達成したというところでございます。その旨、三月三十一日に年金記録に関する関係閣僚会議におきまして総務大臣から御報告をいただいたということでございます。  それから、二十年四月以降に申し立てられた事案でございますけれども、今順次処理を進めておりますけれども、やはり急いで解決しなければいけないのは御高齢方々年金を受給しておられる方、あるいは、もう御高齢になられたんですけれども、無年金者というお立場方々、こういう方たちを優先的に、こういう方たち申立てを優先的に処理をしていこうということでございまして、先ほど申しました三月三十一日の閣僚会議において、新たな私ども目標として、二十年度に年金受給者から申し立てられたものについては、遅くとも二十一年中、つまり今年の十二月末までということでございますけれども、二十一年中を目途処理を終えることとするということが了承されたところでございます。  今後、この政府目標を達成すべく、引き続き公正、迅速な処理に努めてまいりたいと考えているところでございます。
  12. 川合孝典

    川合孝典君 丁寧な御説明、ありがとうございました。  要するに、現時点年金記録確認について結論を得たもの、このうち年金記録訂正する必要があるということであっせんを決定したものが全体の四〇%ということなわけですね。ということは、つまりは六〇%はあっせんに至らず却下されておる、これが今の現状であると、こういうことでございます。この六〇%というのをどう見るのかということについては種々議論あるわけでございますけれども、当然、却下された中には勘違いをしておられた方ですとか虚偽の申告をしているというケースも完全に否定できるものではない、このことは十分理解しているわけであります。  しかしながら、一般的な国民皆様に考えていただきたいのは、好きこのんで役所に足を運ぶのかということなわけであります。  そういう国民皆様の心情を考えましたときに、ほとんどの方々は、この年金記録自分がおかしいと思っていた年金記録回復させるために、一縷の望みを抱いて意を決して役所に足を運んでおられるということは容易に想像できるわけでありますが、にもかかわらず六〇%という方々が却下されてしまっているというこの現状、こういうことを考えますと、また、この年金記録回復のための第三者委員会のために多くの社会保険労務士の皆さんも全力で取り組んでいただいているという、こういう現状もあるわけなんですね。こういうことを考えますと、このシステム、制度自体に問題があるのではないかと、正直言って言わざるを得ない状況だと思っております。  そもそもの話で、今後の議論に重要なことになってまいりますのでお伺いしますが、そもそもこの第三者委員会役割というのが何なのかということを改めて総務省にお伺いをしたいと思います。
  13. 関有一

    政府参考人関有一君) 第三者委員会につきましては、平成十九年六月十一日に、当時の安倍総理から、社会保険庁記録がなく、領収書等証拠もないという方の年金記録確認について、御本人申立て内容を十分酌み取って、様々な関連資料を検討し、訂正に関して公正な判断を示すことを任務とするということで総務省設置するよう指示を受けまして、同月二十二日に設置されたものでございます。  第三者委員会におきましては、社会保険庁記録がなく、御本人も直接の証拠がない事案につきまして、国民立場に立って一件ごとに申立人の御主張を十分酌み取ることを基本といたしまして、様々な関連資料あるいは周辺事情を検討して記録訂正に関し公正な判断を示していくと、これが使命であると思っております。  それから、記録確認のための機関、これを総務省設置することとしたのは、社会保険庁厚生労働省、これ年金行政に携わっている機関でございますけれども、それとは離れた立場仕事をするということ、それから、総務省行政評価局では、総務省設置法に基づきまして、各行政機関業務に関しまして国民から苦情とか要望がありましたときに、それを受け付けて関係省庁改善を促すという行政相談業務というのをやっておりまして、その中で、あっせんという仕組みで各省庁改善を促すと、こういう仕組みがあったものですから、その仕組みを使って簡易に中立的な立場から判断を下せるのではないかということで総務省設置をされたと、こういうふうに理解をしておるところでございます。
  14. 川合孝典

    川合孝典君 趣旨はそういうことだということですけれども、結果から見ますと、必ずしもそれが有効に機能していないというふうに残念ながら言わざるを得ないというふうに思っております。  ちなみに、提案者にもお伺いしておきたいんですけれども提案者は、この第三者委員会役割というものをどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  15. 行田邦子

    委員以外の議員行田邦子君) 第三者委員会役割につきましては、先ほど総務省から御答弁があったとおりでありますけれども、まずその使命とするところは、国民の不安の解消を図り、年金制度に対する信頼を回復すること、これを使命としております。そして、先ほど総務省からも御答弁がありましたとおり、国民立場に立って対応し、申立てを十分に酌み取り、収集された関連資料を検討し、記録訂正に関し公正な判断を示すこと、これが第三者委員会役割というふうに存じております。また、総務大臣が定めているあっせんに当たっての基本方針においても、判断基準として、申立て内容社会通念に照らし明らかに不合理ではなく、一応確からしいとするとされております。  しかしながら、現状におきましては、大変残念ながら、あっせんと認められるための実際のハードルは非常に高くなっております。先ほどの御答弁にもありましたけれどもあっせん比率、今四割弱にとどまっているという状況です。申立人が理を尽くして説明をしても、関係者証言が得られないなどの理由によって容易にあっせんが認められないという現状になっております。  本法律案は、そうした現状を踏まえまして、第三者委員会が本来の使命を果たせるように、設置原点に立ち返って判断を行うべきことを条文にしっかりと明記するとともに、あっせんに向けた事業主協力が得られにくい状況を打開するための工夫などを盛り込んだものとなっております。
  16. 川合孝典

    川合孝典君 総務省にお伺いいたします。  この問題の本質にかかわる部分なんですけれどもあっせんが思うに任せない、なかなか進まない、この理由総務省ではどのように分析していらっしゃるでしょうか。その点をお聞かせください。
  17. 関有一

    政府参考人関有一君) 私どもといたしましては、申立人からいろいろな資料提出をされまして、その資料を読み、更に申立人に御連絡をしてお話もお伺いし、そういう資料なりお話をまとめまして、これを第三者委員会委員、大体四名くらいで部会を構成しておりますけれども、そこに御説明をして判断を仰いでいるわけでございます。  合議制議論をしていただくということでありまして、その中では、もっとこういう資料が出てこないかなとか、もう少しこういう点も聞いてみてくれないかなという委員会からの指示を受けまして、また事務局の方で申立人とコンタクトを取ると。そういうことで、資料を整え、証言等を整えて、最終的には委員皆様合議一つ一つ結論を出していただいておるということで、その積み重ねとして、先生先ほどおっしゃいました、全体の中で四割をちょっと切るぐらいでしょうか、そのくらいのあっせん率になっておるということでございます。  六割が却下されているじゃないかというお話でございますけれども、やはり一つ一つ慎重に検討した結果ということだというふうに思っておりまして、中には、特に厚生年金で私ども感じますのは、私は勤務していたんだという御主張をされる方は基本的にたくさんおるわけです。それは当たり前のことだと思います。しかしながら、お話を聞いていきますと、非常に短期間の御勤務であって、厚生年金保険保険料を納めていたということが確認できないといいますか、納めていなかったというふうに判断せざるを得ない方もおられますし、それから国民年金の方で申し上げますと、国民年金の方は自分が支払ったという経験があればそのことをきちんと、いろいろなその事情説明できるわけですけれども、親が払っていたはずだというような方もおられまして、そういうケースですとなかなかすぐにそれで記録訂正というふうに結び付いていかない、そういうケースも結構あるということを御承知おき願えればと思っております。
  18. 川合孝典

    川合孝典君 個別な話についてはさておきまして、要するに、一生懸命やった結果としての数字であるということなわけですよね。この問題につきましては判断基準のあいまいさということがしきりと指摘されているわけであります。今与えられているツール、法律でもって判断しようと思うと、要はこれしかないんだということをおっしゃっているんだというふうに私は理解しておるわけでありますけれども。  そもそも、社会保険事務所に問い合わせに行って、そこから第三者委員会に対して送られてくるわけですね。いったんそこで調べる必要があるんだということで、いったんフィルターが掛かっているものなわけでありますから、その点についてもう少し慎重に検討する必要があるんだろうなというふうに思いますと同時に、そもそも、あいまいな記憶であっても何とか年金記録回復してさしあげるんだという当時の安倍総理、首相の思いがあってやったわけですね。要は、大切なことは、疑わしきは被害者立場に立ってという、ここなわけであります。したがいまして、正直申しまして、お立場はあるんでしょうけれども、今の御説明では私はもう極めて不十分な御説明にしかなっていないというふうに思っております。  ちなみにこれ、提案者にこの問題についてお伺いしたいと思いますけれども提案者は、第三者委員会においてあっせんの率が四〇%にとどまっているというこの状況をなぜだというふうにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  19. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答え申し上げます。  平成二十一年四月十三日に行われました年金記録確認中央第三者委員会地方第三者委員会委員長合同会議におきまして提出された資料によりますと、特例法に係る厚生年金事案あっせん理由の中で最も多いのは関係者証言、これが三千百六十九件、二番目が給与明細等関連資料が存在、これが二千六百九十一件というふうになっておりまして、この両者で全体の件数、八千五百六十三件の六八%を占めているわけでございます。逆に言うと、この両者のいずれもない場合はあっせんに結び付くことが大変困難になってくるということになっているのが実情ではないかというふうに思います。  このことも踏まえ、あっせんが低率になっている理由を私どもなりに分析をしますと、三点ぐらいあるかなと。  一点は、この申立てに当たって、被害者である申立人自身に高いハードルが課せられている、これが一番。二番目、当該事実を推測させる各種資料申立人自身が収集しなければならない場合が多く、申立人の多くが高齢者であることを踏まえるならばこれは大変な作業になっているという、これが二番目。三番目、現行の厚生年金特例法によって、申立人保険料を控除された事実が認められた場合はすべてのケースにおいて事業主納付勧奨が行われるわけですが、その結果、事業主申立て協力的な姿勢を示さない事例も多く、また、第三者委員会事業主に対して抗弁できるだけの確たる証拠がない限りあっせんに二の足を踏んでいる。この三つが低率になっている理由ではないかというふうに思っております。
  20. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  次に具体的なお話、事例についてちょっと確認したいんですが、今三点ポイントを述べられましたけれども提案者の方で、今申されたような点について何らかの事例というもの、具体的事例というものを把握しておられますでしょうか。
  21. 蓮舫

    ○蓮舫君 二年前に五千万件の消えた年金記録問題が発覚して以降、もちろん、こちらの参議院の厚生労働委員会、国会では、与野党を超えて何とかこの問題を解決しようという取組は行ってきたところでございます。私ども民主党としましても、週に一回会議を開いて、もう既に百回を超える会議を開いてこの問題を何とか解決しようという取組を行ってまいりました。  その中で、この期間、多くの受給者の方々からお手紙とかお電話とかいただきまして、年金記録問題に対する御意見のみならず、実際に御自身も被害を受けた者だという相談を多く寄せられました。  その中の一例を御紹介をいたしますと、この方は徳島の方で七十四歳の男性の方です。実際、私たちの部門会議にお越しいただいて御自身の実例というのを御証言を賜りました。この方は、お申出をされた期間、この会社で働いていたんだという期間の記録社会保険事務所の名簿を見ると氏名がない、つまりお名前がないということで第三者委員会申立てをされました。御本人が所有していた会社に勤めていたころの集合写真を見ると、確かに御本人はおられる。そこに同僚の方も写っておられる。この写真を見る限りでは申立て期間に当該会社に勤務をしていたことは認められました。また、この会社勤務が終えた後、失業保険もこれは受給をされています。国民年金の期間もすべて納めておられます。  ところが、この申立て期間に関しましては保険料控除を証明する関連資料がなくて、同僚の方の証言でもこの保険料の控除を確認することができないとして、第三者委員会に申し立てた申立ては却下をされました。この証言をしていた同僚の方は、当該期間には申立人と同じ課に勤めていて年金にも加入しております。ただ、第三者委員会は、この同僚とは業務形態が違うので、両者が同じように厚生年金に加入していたとは言い切れないと言われました。申立人は内勤も外勤もしているんですけれども、同僚の方は内勤だけだというのがこの理由でございます。  ただ、こうした場合、保険料が控除されていたかどうか、なかなかこれをどなたも証言することができないということになってくるんだと思います。ただ、この申立人は、御自身で相当様々なところに出歩いて、同僚の方も訪ねて証拠も集めるという御努力をされたにもかかわらず、保険料控除の事実が確認できないからといって却下されるというのは、私どもはこれは本来の救済措置の目的とは違うのではないか、そういう思いで、本当に納めていたにもかかわらず、ただ御本人証言しかなくて、保険料の控除の事実がなかなか認められなくて却下されている方たちを何とか救済する措置はないのかという思いで、今回の法案の提出に至ったわけでございます。
  22. 川合孝典

    川合孝典君 通告しておりませんけれども総務省にお伺いします。  今の提案者の発言の内容につきましてどのようにお感じになられましたでしょうか。
  23. 関有一

    政府参考人関有一君) 厚生年金関係では、私ども第三者委員会、十九年の六月に発足いたしましたときに、会社にお勤めになっていて保険料が天引きをされていることまでは確認できると、ただその保険料社会保険庁に納められていたかが確認できない、こういうケースは現行の厚生年金保険法では記録訂正に結び付かないということでございます。そういう案件が非常にたくさんございました。  それで、これは、御本人にとってみれば、もう天引きをされているわけですから何とか年金記録回復ができないかということでございましたので、第三者委員会として基本方針を作りましたときに、これは制度的な措置が必要なのではないかということを言いまして、それを踏まえて政府部内でも議論をいたしましたし、それから国会でも御議論をいただいて、十九年の十二月に現在の厚生年金特例法ができたわけでございます。  その厚生年金特例法の第一条でございますけれども事業主が、被保険者の負担すべき保険料を控除した事実があるにもかかわらず、保険料納付する義務を履行したことが明らかでない場合に年金記録訂正に結び付けるということでございまして、保険料を控除した事実があるということを第三者委員会として確認できないと、この特例法の一条をきちんと遂行したことにならないわけでございますので、そこのところは、保険料納付していたということが、何らかの周辺事情とかあるいは同僚の証言とか、そういうことで何とかそのことは、保険料は納められていたんだなと、そういう心証を第三者委員会委員方々が持ってくださるところまでやはり行かないと難しい、そういう面があるのではないかと思っております。
  24. 川合孝典

    川合孝典君 結局のところは、第三者委員会の皆さんの判断にゆだねられているわけなんですよね。いろいろ対策を講じようというふうになさっていることについては理解いたしましたけれども、今の提案者お話にもありましたように、まあ若い方なら話は別なんですが、御高齢の方が御自身の責任で証拠を集めてということの作業の大変さですよね。今と違って昔は、当然様々な制度も整備されていなかったわけでありますし、書類も手書きということになっておるわけですので、そういう意味でいくと、今とは比較にならないぐらい過去のデータというのは集めるのが大変だということは皆さん十分お分かりだというふうに思います。思いを持ってやっていらっしゃっても、結局のところは、提案者の話にあったような事例が出てきてしまう。  また、この問題に関しては、最近よく言われておりますけれども、都道府県別の第三者委員会という、いわゆる地域の格差の問題というのも指摘されているんですね。あっせん率の高いところと低いところで三倍ぐらい差が出てしまっているなんという話もマスコミに、新聞に出てきておりますけれども、そういう事実を見ましても、明らかにこの認定基準の在り方自体に問題があるんじゃないかというふうに私は思っております。  そこで、ようやく法の中身についてちょっと提案者の方に御質問したいと思うんですけれども、今回の御提案になられた年金記録回復促進のための法律案、これを制定することによって年金記録回復に対してどの程度の効果があるというふうに提案者はお考えでしょうか、御説明ください。
  25. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答えを申し上げます。  先ほど川合委員御指摘がありましたように、年金記録第三者委員会によるあっせんが低率になっている理由について三点ほど指摘をさせていただきました。本法案はその三点について対応を図るものでございます。  具体的には、まず一番目。第三者委員会判断基準について、安倍元首相の発言に立ち返り、第三者委員会被害者立場判断を行うべきこと、さらには、総務大臣が定めた第三者委員会基本方針内容についても、法律上の義務として位置付けることであっせんの割合が高まることが予想されます。  二番目。第三者委員会雇用保険記録、所得税、住民税などの記録、労災保険の記録など官公署が有する記録をできる限り収集することを義務付けることであっせん可能性を高めるとともに、申立人の負担軽減をも図っております。さらに、こうした負担軽減を行うことで、これまでは第三者委員会申立てすること自体を断念をしていた高齢者などが今後は申立てを行えることになるなどの副次的な効果も有しております。  三つ目。本法案では、納付勧奨は国に責任がないことが明らかな場合に限るとしたことで、事業主の積極的な年金記録回復への協力が期待をされるわけであります。したがって、第三者委員会も、あっせん、非あっせんの境目の事案に対して、これグレーゾーンとか、ちょっとそういう表現がいいかどうか分かりませんが、本当にどっちに判断していいか迷う事案というのは相当数あるというふうに聞いております。これらがあっせんの方になるということが容易になるのではないかということを考えております。
  26. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  要するに、疑わしきは被害者の利益にという、こういう考え方なわけでございますね。  続きまして、もう一点、提案者に対して、今度は第三者委員会による事実認定の判断基準、これに関してお伺いしたいと思いますけれども、この事実認定の判断基準は、先ほど御説明にもありましたように、法律に規定をするということになりますが、法に規定することによって具体的にどのような効果が発現するというふうに見込んでおられますでしょうか、御説明をお願いします。
  27. 加賀谷健

    委員以外の議員(加賀谷健君) 今も話に出ておりましたけれども、この年金記録に係る申立てに対するあっせんに当たっての基本方針というのが総務大臣の決定ということで文書として出ているんですけれども、この中の判断基準として、申立て内容社会通念に照らし明らかに不合理でなく一応確からしいということにしているわけでございますけれども、しかし、地方の第三者委員会あっせん状況を見たところ、地方第三者委員会ごとのあっせんの割合が大きく異なっているようであります。これは、基本方針が必ずしも徹底されていないのではないかというふうに考えておりまして、また全体で見ても、先ほどの答弁にもありましたように、あっせん率が多く見積もっても四割程度という状況にとどまっているわけでありまして、このため、法律において、第三者委員会判断基準について、基本方針で示されている事項を基にしつつ、年金記録回復の促進のため、よりふさわしい内容として規定する必要があると考えたところでございます。  四月二十二日の日本経済新聞に「年金記録進まぬ回復」という記事がございますけれども、この中でもそういうことが指摘をされているということでございます。  以上です。
  28. 川合孝典

    川合孝典君 この一応確からしいという、これがかえって審査基準を厳しくしてしまっているのではないかというこういう指摘、確かにあるわけでございます。  不確実なというか明確でない情況証拠も含めて、証拠を集めることによって何とか記録回復させようということになるわけでありますので、本当にここは一〇〇%の確証がない限り回復させないという話じゃなくて、どこで線を引くのかという、本当にもうこれさじ加減の非常に難しい問題なわけでありますので、そういう意味では、この一応確からしいというような表現が逆にブレーキに働くようなこと、本来の立法の趣旨に反してブレーキに働くようなことがあってはいけないわけでございますので、そういう意味では今の提案者説明に関しては大変よく分かりました。  続きまして、提案者にさらに記録の収集にかかわる問題についてお伺いしたいと思います。  この法律案では、記録の収集について、できる限り収集させるというふうに規定されているわけですけれども、このできる限りの内容について御説明をいただきたいということと同時に、もう一点、このできる限り収集をさせるということをやる上で、第三者委員会の体制、この体制は今のままで大丈夫なんでしょうか。この二点についてお伺いしたいと思います。
  29. 行田邦子

    委員以外の議員行田邦子君) 今回の法律案には、記録資料の収集は第三者委員会が行うものというふうに法律に明記をいたしております。今回の改正によりまして、被保険者の負担すべき保険料を控除した事実を推測させる記録等が現状よりも収集されることとなり、今までの第三者委員会の運用よりも更に年金記録回復が促進するものと考えております。  第一に、今現在行われている、あっせんに当たっての基本方針を基に行われている第三者委員会の運用ですけれども、これでは現状では基本方針に明記されているようなとおりの資料の収集が行っているとは言えないような実情があります。ですから、これを解消するために、今回法律案にしっかりと第三者委員会ができる限りそして速やかに資料を収集することを明記したものであります。これによりまして、第三者委員会が行うべき資料の収集が促進されるものと考えております。  そしてさらに、今回法律の中に、第三者委員会が収集するものとされる資料といたしまして、雇用保険又は労働者災害補償保険の加入又は給付記録や所得税又は住民税の課税記録といったことを具体的に例示をしております。これによりまして、これまであいまいであった第三者委員会判断基準がより明確化される、何を資料として集めなければいけないのかということがより明確化される。そのことによりまして、今現在あります地方ごとのばらつきも解消されるのではないかというふうに考えております。  また、今回の法律案の中で、第一条の二第二項を新たに設けまして、ここで官公署が有する資料の収集について官公署協力するものとすることを定めることによりまして、より一層資料収集の実効性が上がるものというふうに考えております。
  30. 川合孝典

    川合孝典君 体制の問題について、今の第三者委員会の体制、このままの体制で、当然、第三者委員会の負担がかなり高まることになるわけですので、その点についての実効性について確認をしておきたいと思いますので、再度お願いします。
  31. 行田邦子

    委員以外の議員行田邦子君) 分かりました。  今回の法律が成立することによりまして、第三者委員会がより円滑に、そして速やかに収集するべき資料を収集するために第三者委員会の今の体制を更に人員増強などする必要があるという場合には、政府におきましてしっかりと対応していただけるものと考えております。また、法案提出者であります私ども野党にとりましても、この点についてはしっかりと協力をしていきたいと考えております。
  32. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。  恐らく、法案が成立することになりますと、これまであきらめてしまっていた方、却下されてしまっていたような方々も含めて、また窓口に再度足を運ばれるケースというのも多く出てくるでしょうし、そうなりますと、当然、作業の手数というものも更に必要になってくるという話になりますので、この点についてはこれから具体的に是非とも検討、審議を進めていただきたいなというのが私の思いであります。  質問を変えさせていただきたいと思います。  納付勧奨の取扱いの関係に関してちょっと提案者の方に御質問したいと思います。  多くの方々からも御指摘実はいただいている点で、民主党としては余り聞いてほしくない問題なのかもしれませんけれども、はっきりさせておいた方がいいと思いますのでちょっと御質問したいと思うんですが、今回の納付勧奨の取扱いについて、以前の主張との整合性の問題、これをちょっと確認をしたいと思います。  二〇〇七年の年金特例法の法案審議の際に、民主党の方の主張を踏まえて、事業主の逃げ得という問題、これを許さないということを主張して修正を行ったという経緯がございましたですよね。ところが、今回の改正案では、事業主等に対する特例納付保険料納付勧奨を限定することに結局なるわけでございます。そうすると、これは以前の民主党主張と矛盾するのではないかというふうな実は御指摘をちょうだいいたしておるわけでありますが、この点について分かりやすくちょっと御説明をお願いしたいと思います。
  33. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答えを申し上げます。  本法案は大きく分けて二つの柱から成っております。第一の柱は、厚生年金保険料の天引きされた事実等の判断にかかわるものであります。これについては、一昨年の党首討論における小沢代表の、申立人の言い分を最大限尊重するという発言以来、同様の主張を続けており、今回の法案もこれを具体化することにあります。政府は、社会通念に照らし明らかに不合理ではなく、一応確からしいことを判断基準としてきました。この判断基準の真意は申立人の言い分を最大限尊重するということだというふうに思われます。しかし、実際にはかなり厳しい証拠主義で運営をされております。これは先ほども総務省の方から、そういうお答えがございました。今回の法案は、政府が定めた判断基準を法定化することにより、申立人の言い分を最大限尊重するを改めて徹底するということになるというふうに考えております。  第二の柱が、今、川合議員御指摘の事業主等に対する特例納付保険料納付勧奨等に関するものでございます。これについては認識を変えておるわけでございます。  今回改正の対象となっている厚生年金特例法は、一昨年の秋に民主党提案し、各党の皆様がこれに御理解をいただき、結果として与野党協力して成立をさせた法律であります。民主党として、この法律の作成過程に当たって、事業主保険料納付を行わないままに保険給付を受けることを懸念し、給付に応じた負担を求める観点から、納付勧奨及び勧奨に応じない者の公表制度をこの法律に盛り込んだわけでございます。  この時点では、社会保険庁厚生年金保険料納付記録の改ざんに関与しているとの認識は極めて薄かったわけでございます。同時に、この納付勧奨や公表制度により、従業員等、真に補償が必要な方たちに対する補償を遅らせることも想定できませんでした。  その後、様々な被害者の方たち事情を聞く中で、保険料納付記録の改ざんに社会保険庁が関与している可能性が高まりました。特に、都内事業主の話は極めて具体的であり、関与した社保庁職員の固有名詞も明らかになったわけでございます。  このような事例を基に社会保険庁に事実の確認を求めたところ、社会保険庁自身の調査によっても改ざんに関与する事実が確認をされました。保険料納付の事実に社会保険庁の関与があるとすれば、事業主に一方的に経済的な負担を負わせるということは適当ではないというふうに考えたわけでございます。  また、従業員等の厚生年金記録に誤りがある場合、その事実の確認に当たっては、事業主の発言は極めて重要であります。しかし、当該従業員を雇用していた事業主事情を聞いても、事業主本人に金銭負担や公表の可能性があることによって事業主から事情説明を受けられないケースがあるわけでございます。  これは厚生年金特例法保険料を天引きされた者が不利益を被らないようにするという基本的な観点を失わせるものでありまして、適切な対応がこれはどうしても必要ではないかというふうに考えたわけでありまして、この厚生年金保険納付記録の改ざんに対する社保庁の関与、それから納付勧奨及び公表制度が被害者補償のハードルとなるという、この厚年特例法の制定時点では想定できなかった点を踏まえて、今回その反省を込めて改善を行いたいというふうに考えたわけでございます。
  34. 川合孝典

    川合孝典君 要するに、前回の審議のときとは前提条件が変わったからということですね。社会保険庁記録の改ざんの問題、確かに大変大きな社会問題になりましたが、よく理解できました。  もう一点、勧奨の要件、これに関して提案者にお伺いしたいことがあります。  今回の法律案では、国の帰責事由が明確でない事案まで勧奨の対象外とし、事業主などの責任を免除することになるのではないかという、こういった指摘が実はあるわけでありますが、この点についてはどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。
  35. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答えを申し上げます。  事業主厚生年金保険保険料を控除した事実があるかどうかについての年金記録確認第三者委員会判断が円滑に行われ、年金記録回復が促進されるようにするためには、事業主により第三者委員会の行う調査への協力が得られることが極めて重要でございます。しかしながら、現行の第二条第二項では、社会保険庁長官は、特例対象者に係る年金記録確認等を行った場合は、そのすべての場合に、事業主に対し未納保険料相当額に加算された特例納付保険料納付勧奨しなければならないというふうにされております。このため、事業主特例納付保険料納付勧奨を受けることを恐れて第三者委員会の調査に対して事業主協力が得られにくい状況になっているものと思われるわけでございます。  そこで、社会保険庁長官事業主に対し特例納付保険料納付勧奨しなければならない場合を限定することが必要ではないかというふうに考えたわけでございます。社保庁長官がこの特例納付保険料納付勧奨するのはまず特例対象者に係る保険料納付する義務が履行されなかったことが明らかであると認める場合に限るということとしているわけであります。  次に、事業主保険料納付義務が履行されなかったことが明らかである事案の中には、社会保険庁職員も関与している例が少なからずあることも分かってきておりますが、保険料納付義務の不履行について社会保険庁側の関与があるにもかかわらず、社会保険庁長官事業主特例納付保険料納付勧奨を行うことは、これは適当ではないだろう。また、事業主による調査への協力を妨げるこれも要因になっているというふうに考えられるわけであります。  このため、第二条第二項では、特例納付保険料納付勧奨しなければならない場合について、保険料納付する義務が履行されなかったことが明らかであると認め、かつ当該義務が履行されなかったことについて国の責めに帰すべき事由として厚生労働省令で定める事由があるおそれがないと認める場合に限るということとしたわけでございます。  また、二条四項で、社会保険庁長官が、法人である事業主の役員であった者に対しては特例納付保険料納付勧奨しなければならない場合について定めておりますが、これについても同様の限定を行うことといたします。
  36. 川合孝典

    川合孝典君 ありがとうございます。よく分かりました。  もう一点、提案者にこれも御質問申し上げたいと思いますが、よく指摘される問題として、この法律が成立することによりまして国庫の負担の問題が生じてくるわけでありますが、特例納付保険料相当額を国庫から負担する、この支出というのは一体どの程度見込まれておられるのでしょうか。この点について確認をしておきたいと思います。
  37. 蓮舫

    ○蓮舫君 今御指摘あったように、この法律案によって必要となる経費は、厚生年金特例法に基づいて記録訂正が行われた後に事業主から保険料納付が行われなかった場合に国が負担する額でございます。  本法案では現状より多くのあっせんが行われることを目的としておりますが、四月十四日現在、第三者委員会における厚生年金記録申立て事案は、申立て件数に対してあっせんされた比率が一八・六%です。これをせめて五〇%程度にまで高めることを私たちは目指しております。その際、一件当たりの保険料額は、今あっせんされた場合、約十万円ぐらい支出されております。そうすると、さらに一万五千件程度の記録訂正が行われるんではないかと私どもは考えておりますので、一万五千件掛ける十万円、大体十五億円ぐらいではないかと試算しております。
  38. 川合孝典

    川合孝典君 新聞の報道等では、何千万というような年金記録回復されたというような特殊な例というものがよく取り上げられているわけですけれども、実態としてはお一人当たり回復される金額は十万円前後ぐらいの規模であると、こういう認識をすればよろしいわけですね。はい、分かりました。  ちょっと順番変えて、お待たせ申し上げましたが、ちょっと一点だけ確認させていただきたいことがありますので、厚生労働大臣にお伺いしたいと思います。  社会保険庁日本年金機構に移行するということが既に決まっておりますけれども、様々なところでよく指摘されますし、皆さんの御懸念がありますのが、日本年金機構に移行することによって宙に浮いた年金記録問題、この責任の所在がうやむやになってしまうのではないかと、問題がやみに葬られてしまうのではないかということを懸念する声が、危惧する声が大変多いわけであります。  私が申し上げるまでもなく、この年金記録問題によって国の信頼というものが失墜してしまったわけでありまして、この失墜した信頼を取り戻すためには絶対そういうことはあってはいけないというふうに思っておるわけでありますが、この点について、大臣から、是非ともこの際御決意をちょうだいしておきたいと思います。
  39. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 一生懸命この年金記録問題の解決に取り組んでいますが、いかんせん何十年にもわたる不祥事の山で、こつこつこつこつとやってきておりますが、まだ残念ながらすべてが解決しておりません。  したがいまして、二十二年一月に日本年金機構が発足いたしますけれども、引き続き責任を持ってこの記録問題の解決に取り組むと、これは明言しておきたいというふうに思います。それは、先般の三月三十一日の年金関係閣僚会議においてもこれは確認したところであります。  それから、具体的に社会保険庁、これは政府機関である、そこではいいんだけど、今度、日本年金機構になったらもう勝手に判断して、例えば記録問題について放棄するんじゃないかというような御懸念がもしあるとするなら、それは厚生労働大臣の指揮監督の下にきちんと行いますから、厚生労働省が責任を持って、通常の業務ももちろん引き続きやりますけれども、この記録問題についても責任を持って取り組んでいくということですから、是非その点は御安心いただいて、そしてまた今の点を確認したいと思っております。
  40. 川合孝典

    川合孝典君 往々にして、この問題は昔の話だからとか社会保険庁の時代のことなんでよく分かりませんみたいな話が往々にして出てくる懸念があるわけなんですね。したがいまして、大臣としてのその思いというものは受け止めさせていただきますし、大変有り難いことだと思うんですけれども、すべての記録、様々な証拠も含めてすべての記録が散逸することがないように、この問題がきちんと解決するまでの間は一〇〇%そのことをきちんと守っていただけるように御指示を是非ともお願いしておきたいというふうに思います。  最後になりますが、様々御質問させていただきましたが、結局、この問題というのは認定基準勧奨要件、様々な問題含めて政治判断にかかわっている問題だということは、これはもうはっきりしておるわけであります。そのことについて、この場で質問を通して御確認をさせていただきました。  最後になりますけれども、この法律案の成立に向けて提案者の決意、思いのたけというものをお伺いしておきたいと思います。よろしくお願いします。
  41. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) ありがとうございます。  私たち民主党は、これまで、先ほど蓮舫議員が言いましたように、毎週火曜日、社会保険庁皆様は修羅場の朝の八時というふうに言っているらしいですが、実に百七回の厚生労働・総務部門の合同会議を開催をし、この年金記録問題に本当に足かけ五年半、精力的に取り組んでまいりました。この会議には川合議員も熱心に参加をされておりましたので御案内のとおりでありますが、実際の消えた年金被害者の方などにも御出席をいただいたわけであります。それは先ほど蓮舫議員もおっしゃいました。事実関係確認し、かつ現在の第三者委員会あっせん比率が高まらない原因などについても分析を行ってまいりました。その結果が今回の法案へと結び付いたわけであります。  提案理由説明の際にも申し上げましたように、現状あっせん比率三五%というのは、これはやっぱりどう考えても低い、余りにも低い。本当は申立て事実どおりの保険料を支払っていたにもかかわらず、証拠事業主証言がなかったばかりに非あっせんというふうになった事例が間違いなく存在しているに違いない、そのような認識に私どもは立っているわけであります。また、恐らく与党の先生方のお耳にも第三者委員会結論には納得できないというような支持者の方の声なども届いているんではないのかな、そんなふうに思うわけでございます。  そもそも、消えた年金、消された年金、更には宙に浮いた年金の責任の所在はどこにあるのでしょうか。その多くは社会保険庁、つまり国に責任があるわけでございます。そのことを踏まえるならば、本法案を早期に成立させ、被害者救済を進めていくことは、与野党の区別なく政治に課せられた重大な使命なのだというふうに私は確信をいたしております。  この後、与党の先生方の質問が行われるわけでありますが、是非、本法案の趣旨を御理解をいただき、与野党協力して本法案の成立を図っていきたい、そのように強く思っているところでございます。
  42. 川合孝典

    川合孝典君 私も、本法律案の成立を通じて、お一方でも、お一人でも多くの方々が救われる、迅速に救われる、そういう状況を実現する、そのことを通じて失われた国の制度への信頼を回復させる、このことを実現することを切に願いまして、私からの質問は終了させていただきます。  ありがとうございました。
  43. 西島英利

    ○西島英利君 自由民主党の西島でございます。  本日、民主党提出をされております年金記録の問題について御質問をさせていただきます。  その前に、これは御要望でございますけれども答弁に関しましては、こちらが質問したことに関しましてできるだけ簡潔に御答弁をいただければというふうに思います。これは民主党さんが政府に関していつも言われておることでございますので、限られた時間の中での御質問でございますから、特に今、津田先生がうなずいておられますけれども、是非是非お願いを申し上げたいと思います。  それから、これは委員長に対しての御要望でもございますけれども、もう途中で私手挙げましたら、是非こちらの方へ振っていただきたいと思います。限られた時間の中での御質問でございますので、是非よろしくお願いをいたしたいと思います。  それでは、もう早速、時間の関係上、具体的な質問に入らせていただきたいと思いますが、まず総務省に御質問いたしますけれども、事実関係について、平成十九年の七月以来の第三者委員会におけるあっせん処理状況についてお教えください。
  44. 関有一

    政府参考人関有一君) 申立て件数につきましては、十万件を超えまして、約十万四百件となっております。これらにつきまして、年金記録訂正が必要であるというあっせんを行いましたものが二万三千件余り、それから、年金記録訂正が不要であるという決定をいたしましたものが三万五千件余りございます。これらに加えまして、申立ての取下げがあったもの、これが約二千八百件ございます。それから、社会保険庁段階処理をされましたもの、これが二千二百件ほどございます。合わせまして、六万四千件の処理を終えている、六四%まで処理が進んだというところでございます。
  45. 西島英利

    ○西島英利君 次は、厚年の特例法に基づきます保険料納付勧奨の実績、そして実際に保険料納付された実績がどのような状況になっているのか、これも社会保険庁にお伺いいたします。
  46. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  厚生年金特例法に基づきまして、私ども事業主特例納付保険料納付状況等を、半年に一回、国会に報告させていただくことになってございます。本年一月十六日に第二回目の報告をさせていただいておりますが、その概要を申し上げれば、昨年九月末までに第三者委員会においてこの法律による救済の対象となるものとしてあっせんされた件数が三千五百七件でございまして、事業主納付勧奨することとなる保険料の総額は三億八百万円ということになります。その後、事業主に対しまして保険料納付勧奨した件数は二千七百三十七件、このうち事業主から保険料納付する旨の申入れがあった件数が二千五百六件でございます。実際に事業主から保険料納付が行われた件数でございますけれども、二千二百七十四件、金額で一億九千四百万円、こういう状況でございます。
  47. 西島英利

    ○西島英利君 もう一つ数字をお教えいただきたいんですが、厚生年金の加入義務があるにもかかわらず加入をしていない事業者、そして平成十九年度で保険料を滞納した事業者の数、これをお教えいただきたいと思います。
  48. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  私ども、未適用事業所という形になりますけれども、これをできるだけ多く把握して勧奨するということで取組を、平成十六年度から特に実質的にもいろいろ手を打って高めて取り組んでいるところでございますけれども平成二十年三月末時点におきますそういう形での未適用事業所の数でございますが、十万四百七十事業所、これは個別具体的に把握している件数でございます。  それから、厚生年金保険料の滞納事業所の数でございますけれども、二十年五月末時点におきまして十二万三千六百五十五事業所、こういうような数字になってございます。
  49. 西島英利

    ○西島英利君 という事実があるわけでございますね。ですから、本当は加入義務があるにもかかわらず加入をしていない。つまり、これは、この方々保険料を払ってないわけですね。こういうような数があるということを前提にして今日の質問を進めさせていただきたいというふうに思います。  まず、第三者委員会役割についてどうお考えになっているかということでございますが、第三者委員会に申し立てられている事案というのは、社会保険庁記録がない、そして申立人も多くの場合は保険料を納めたり控除されたことについての具体的な証拠をお持ちにならない場合がほとんどというふうに聞いております。第三者委員会というのは、その申立人申立てを十分に酌み取り、そして様々な関連資料周辺事情を収集して、一件一件の事案について国民立場に立って公正な判断を示してきていただいたというふうに私自身は考えております。その結果が三十数%であったというのをどうこれを判断をするのかというのは、これはまた別の問題であろうというふうに思っております。  これまでに約六万件の事案処理してきたというふうに今の御報告の中でもあったところでございますが、この合議制機関である第三者委員会委員方々のやはりしっかりとしたその公平な判断の積み重ねがそういうようなあっせんを生み出してきたんだろうというふうに思いますが、提案者にお聞きをいたしますけれども、そもそも現在の第三者委員会の在り方の何に問題があると考えてこの法案を起草されたのか、お教えいただきたいと思います。
  50. 行田邦子

    委員以外の議員行田邦子君) お答え申し上げます。  第三者委員会役割といいますのは、先ほど委員がおっしゃられたとおりだと思いますけれども第三者委員会は、国民立場に立って対応し、申立てを十分に酌み取り、収集された関連資料を検討し、記録訂正に関し公正な判断を示すこととなっております。  しかしながら、今現在、第三者委員会の運用ルールといたしましては、法律ではなく総務大臣が定めた基本方針、これにのっとって行われております。この中に判断基準として、申立て内容が、社会通念に照らし明らかに不合理ではなく、一応確からしいとするというふうにされております。この文言の解釈が、それぞれの各地方委員会によって、あるいは委員によってばらつきが生じてしまっているということが一点問題として認識をしております。  ですから、私どもは、こういった各地方でのその基本方針に書かれている文言の解釈のばらつきをできる限り解消するためにも、今回のこの法改正によりまして法律にしっかりと明記をすることによって地方のばらつきをなくす、今第三者委員会が抱えている問題を少しでも解消していきたいと考えております。
  51. 西島英利

    ○西島英利君 今ばらつきというお話しされました。ですから、このガイドライン的なものが、基本方針が徹底していないんじゃないかと、だから法律でやるんだということなんですが、その前に徹底させるということが重要なんじゃないですか。いかがでございましょう。
  52. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 西島委員の方から、第三者委員会に何が問題があるのかと。それから、様々な今、これまで取り組んだ結果として、行田委員が言いましたように、地方によってばらつきがあること、あるいは三五%ということについては、これは努力した結果であって、それをどういうふうに変えようとしているのかということについてのお話がございました。  実際の問題として、端的に申し上げるとすれば、グレーゾーンなんですよ、グレーゾーン。ここが問題なんです。結局のところ、これまでの第三者委員会の御判断では、これはやっぱり非あっせんに回っている。そこを何とかあっせんに少しでも回していけないかというのが、今回第三者委員会に最もお願いをしたいところなわけでございます。  これは地方の第三者委員会委員方々に話を聞いていただければ分かるわけですが、申立ての中に、自信を持ってあっせん、それから反対に、自信を持って非あっせん、これあるんですね。これ自信持って多分そういうふうに答えられると思います。この二つだけならいいんですが、あっせんとも非あっせんとも取れるケース、つまり境目のグレーゾーン、これが必ず存在しているわけであります。  しかし、先ほども言いましたように、これが現在のこの特例法に基づいて行う第三者委員会としては、これはどうしてもあっせんの方に回らないということでございますので、私としては、何としてもこのグレーゾーンはあっせんにすべきだということを法律が求める、今回の改正はまさにそこになっているわけでありまして、第三者委員会にそのことをお願いをしていきたいという内容になっております。
  53. 西島英利

    ○西島英利君 この判断基準というのは総務大臣が定めるということになっております。そして、グレーゾーンをどうするかという今お話でございました。  そもそもこの厚年特例法を作ったときには、そういう方々をできるだけ救済しようということでこの法案ができたはずでございます。ですから、グレーゾーンをどうするかというときに、この一応確からしいという、非常にアバウトな言葉ですよね、これは。アバウトな言葉を使って、できるだけ、グレーでよく分からないけれども、じゃそれは救済をしようというような考え方でこの一応確からしいという言葉を入れたと、当時の議論の中では私は認識をしておりますが、しかし今回、この一応確からしいというこの言葉を判断基準から削除されて法制化されたというその趣旨は何でしょうか。
  54. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 総務省総務大臣が決定をした平成十九年七月十日の判断基準、これ今、西島先生がおっしゃったところになるわけでございます。  判断基準の一番に、「申立て内容が、社会通念に照らし「明らかに不合理ではなく、一応確からしいこと」とする。」というふうに一番にこれは総務大臣の方針としてこうなっているわけであります。これを具体的に第三者委員会の作業に、基準に当てはめていきますと、この社会通念に照らし明らかに不合理ではないという部分は今回も同じでございます。  そこから先にこの一応確からしいということが入ることによって、本人申立てだけではなくて更にプラスアルファの証拠が求められている。この一応確からしいことということが加わることによって、申立て以上にもう一つ何かを出さなきゃいけないよという、こういう部分がこの意味合いの中に含まれているのではないかというふうに私どもは考えているわけで、これを取ることによって、社会通念に照らし明らかに不合理ではないというものはあっせんしてくださいという形にしたいということでございます。
  55. 西島英利

    ○西島英利君 それでは、この法案でいいます明らかに不合理であるというのは具体的にどのような場合をお考えになっているのか、お教えいただきたいと思います。
  56. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) どなたがお答えになりますか。時間が掛かるようでしたら止めましょうか。  速記を止めてください。    〔速記中止〕
  57. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 速記を始めてください。
  58. 蓮舫

    ○蓮舫君 失礼いたしました。  具体的な不合理に当たる事案という問いでよろしいでしょうか。  私どもの本法案でもすべての申立て事項をあっせんしていこうというものではなくて、当然、第三者委員会審査をして調査をしている結果、これはあっせんには当たらないとする事案も当然出てくるというのは想定をしております。  すべてをここで申し上げることはなかなかできないと思いますが、例えば時効等により申立て時期の保険料納付がこれはもう絶対できない、不可能であった事案ですとか、あとは制度上被保険者となれない期間の保険料納付事案であるですとか、あるいは申立ての事業所が年金関連記録のみならずほかの記録をどう調査しても確認できないですとか、また申立て内容自体にこれは矛盾がありまして、どう考えてもこれは社会通念上不合理であると第三者委員会が御判断されたものは、私どもあっせんできないと考えております。
  59. 西島英利

    ○西島英利君 それでも、断定できない部分というのはいっぱいあるんですね。ですから、断定できない部分があるから一応確からしいと、この言葉を当時は挿入したんだと私自身は思っております。私もこの法案の作成にもかかわった人間でもございますから。ですから、今回これを外されるということになりますと、ごくごくもう限られた部分でしかこれが適用できないという形になって、非常に難しいことになるのではないかなというふうに思っています。  そこで、例えば事業所の人事上の記録から勤務していたということはこれは認められる、しかし本人社会保険記録が存在をしない、当時の同じ勤務形態の同僚の記録も存在しない、同僚や上司ももういないと、そういう場合に、証言を得られない場合には記録訂正をこれで認めるということなんでしょうかということをどうお考えになるんでしょうか。
  60. 蓮舫

    ○蓮舫君 今、西島委員の御懸念の部分、私どももこの法案を作る段階で同じような議論をさしていただきました。  ただ、やはり相当御高齢で受給者の方で記録がなくて無年金で御相談を受けた事例とか様々なケースを私どもは勘案さしていただいたときに、もうどう調査をしても書類がない、物証を示すものがない、同僚も亡くなっている、事業主もお亡くなりになっている場合に、例えば御本人が持っている、先ほど川合委員のときにもお答えをさしていただきましたけれども、集合写真があって、そのときに勤務をしていたんだという思いがあって申立てをされた方たち、やはりそれは、その方全員を一律的に物証がないからといって申立てを却下するということが、本来この第三者委員会を立ち上げたときの国民の側に立って、被害を受けた側の立場に立って救済するという考え方に照らすと適当かどうかという部分は、私どもは考えさせていただいているところでございます。
  61. 西島英利

    ○西島英利君 ですから、この厚年特例法のまず基本的な考え方は、そういう方々をできるだけ救済しようということなんです。ですから、今おっしゃったように、同僚と一緒の写真があるということであれば、それは一応確からしいというこの範疇に入ってくるはずなんですね。ですから、できるだけ救済の方向でというのがその特例法趣旨だったはずでございます。しかし、一方では、民主党の方からもっと厳しくやれという話でございましたので、その辺りの考え方が少しねじれてしまったところもあるのかもしれません。  ところで、この法案の文言から考えますと、保険料の控除がされていたはずだ、納めていたはずだと申立人主張さえすれば、当時の制度上納付できなかったというような明らかに不合理であるという事情が見当たらない場合には救済をされることになるというふうに今回のお出しになっています法案では、要するにごくごく限られた部分でございますから、そういうふうに考えられますけれども、こういう状況になりますと、実際に保険料を納めていなかった人々まで広くこれを認めざるを得なくなるということに結び付くんではないかなと。その結果として、一種のよく言われますモラルハザードというような事態を引き起こしかねないのではないかなというふうに思うんですが。  実は、裁判の一つの判例が出ますと、うわっと申立てが増えるんですよ。これは年金だけのことじゃありません。何でもそうです。  それから、私はある地域で診療をしていた時期があるんですが、その地域は大きな公害病の地域でございました。そうしますと、みんなこの公害病の申請してくるんですね。公害病の申請をして却下されるまでは医療費がただなんです。だから、いやいや、あなた、どう考えたってこれ無理だよと言っても、いや、とにかく申請だけはしますと。そうすると、この数年間は医療費無料なんですよ。どこの地域とは言いません。でも、そういうことがいろんなところで実は今まで起きている可能性はあるわけでございますので、そういうふうな状況になっていくのではないかなという懸念を物すごく私は持っているわけでございますが、このことについて何かございませんか。
  62. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 大変厳しい御質問でございます。  今回出させていただいた法案が成立した後でも、単に申立人保険料を払いましたということで申立てがすべてあっせんにつながるなどということは全く考えておりません。いつ、どこで、どのようにということで、社会通念上の不合理性が問われることになるわけであります。  ただし、総務大臣基本方針においても、関連資料や周辺情報がない場合でもあっせんがあり得ることを明記をしているわけであります。総務省の、総務大臣の、明記をされているわけでありますが、今回の法案ではそのことを明確にしたということであります。  誤解をないようにしていただきたいんですが、その第三者委員会審査の過程での社会保険庁役割というのは、刑事事件における検察庁の役割とは明確に異なるわけであります。基本方針の中にも、「年金記録確認問題は、年金記録を管理・運営する社会保険庁関係行政機関の管理に起因する問題であり、保険料を納めてきた国民の側に不利益を及ぼしてはならない。」というふうに明確に記載をされているわけであります。  政府は、こうした事件が発生してしまった責任を謙虚にこれはやっぱり受け止めていかなきゃいかぬわけであります。そして、自ら管理している記録に絶対の信頼を置いて申立人証言に対する反証を血眼になって探すんではなくて、むしろ申立人と一緒になってあっせんに結び付く証拠証言を集めていただく、そのような姿勢が私は求められている、今回、というふうに考えるわけであります。  もちろん、これをやっていくと、中にはこの非あっせんに結び付く証拠が見付かる場合も当然あるわけでありまして、それは否定するものでもありません。特に、そういうケースが発生する可能性があるわけで、第三者委員会委員が神様でない以上、現在でもそうしたケースが一部で発生している可能性さえあるわけであります。  しかし、そのこと以上に問題なのは、実際には保険料を支払っていたにもかかわらず非あっせんとなってしまうこと、ここであります。現状はそうした事例の発生が少なくないものというふうに私どもは考えているわけでありまして、実際に保険料を支払っていなかった人のあっせんを防止するためにハードルを高くして、保険料を支払っていた人まで非あっせん、これは非常に悩ましいところなわけでございます。  もう率直に申し上げれば、百人のうち一人二人を排除するために九十八人を犠牲にしていいんだろうか。これが、今回改正案を提出をさせていただきました最も、何といいますか悩ましい点でもあり、そこを何とかしたいという思いを込めて提案させていただいた点でありまして、西島委員が御指摘なさっていることを私は否定するものではないんですが、そこを何とか話合いをさせていただきながら詰めさせていただけないかなと、そんなお願いをさせていただきたいと思います。
  63. 西島英利

    ○西島英利君 これは、まだまだ皆さん方の御記憶にも新しいんだろうと思いますが、未納三兄弟という言葉を使われた方がいらっしゃいました。この方は、自分は支払っていたと思っておられたわけでございますが実際には自分も未納だったということで、党首を辞められた方でございます。こういうことはいっぱいあるんだろうというふうに思うんですね。  私も立候補のときにこれが問題になりました。私は未納だというふうに実は申告をいたしました。それはなぜかといいますと、二十歳から学生の間、だれが払っていたのか分からない、親が払ってくれていたのかどうか分からない、しかもこれは古い記録でございますから親も分からないという、だから私は未納として申告したんですよ。新聞にも書かれました。あのときはたしか立候補者は全部新聞に書かれたんだろうというふうに思っています。そういう事例というのはいっぱい私はあるんだろうというふうに思うんですね。  そこで、これはちょっと横においておきまして、もう一つの事例は、先ほど津田発議者がおっしゃいましたけれども、山井委員が衆議院でこの議論を、特例法議論をしているときに幾つかの厳しい条件をおっしゃいました。その厳しい条件について、この方針が変わったのではないかということを先ほど御質問をされました。それに対して改ざんのお話をされました。  そこで、これは総務省にお聞きしたいんですけれども、現在年金記録改ざんについて第三者委員会においてどのようなあっせんが図られているか、お教えいただきたいと思います。
  64. 関有一

    政府参考人関有一君) お尋ねの事例につきましては、申立て者が勤務していた事業所が倒産等によりまして厚生年金保険の適用事業所でなくなった日のその後になりまして、申立て者の標準報酬月額を一定期間にわたり引き下げるというもの、あるいは申立て者の被保険者資格を一定期間にわたり取り消すというものでございまして、記録訂正処理が遡及して行われたというものでございます。  年金記録確認第三者委員会におきましては、社会保険事務所がこうした記録訂正を行う合理的理由が見当たらないということから、これらの社会保険庁において訂正された記録が有効なものとは認められないといたしまして、現行の厚生年金保険法によりまして記録訂正が必要であるという判断を示しているところでございます。  平成二十一年四月十四日現在でございますけれども、これまでそうした事案が百七十三件積み重なってきておるところでございます。
  65. 西島英利

    ○西島英利君 これ、もう一つ御質問させていただきたいと思うんですけれども、これは、改ざんについての訂正等も含め、これは厚年特例法の中で処理されているんですか。それとも、今のお話のように、これは厚生年金保険法で今やっているというお話でございましたが、その辺りをお聞かせいただきたいと思います。
  66. 関有一

    政府参考人関有一君) この俗に言う改ざん事案といいますか、社会保険庁においての処理が合理的なものでなくて不適切であったと判断されるというものでございますけれども、それは逆に言えば、本来正しい届出が社会保険庁になされていた、それが後日、訂正すべき事由がないにもかかわらず訂正をされたということでございますので、元々の届出が適正であって、それに沿って判断をすべきであるということでございますので、現行の厚生年金保険法でこれまであっせんが行われてきておるところでございます。
  67. 西島英利

    ○西島英利君 もう一度お聞かせいただきたいんですが、厚生年金の、厚年の特例法で……
  68. 関有一

    政府参考人関有一君) 特例法ではございませんで……
  69. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 指名してからにしてください。よろしいですか。
  70. 関有一

    政府参考人関有一君) はい。  厚生年金特例法ではございません。現行の厚生年金保険法によりまして、その規定に基づきまして、記録訂正の措置が必要だということであっせんをやってきております。
  71. 西島英利

    ○西島英利君 ということは、津田発議者の先ほどの御答弁とちょっと違うような今の政府答弁でございましたが、この件について何かありましたら、どうぞ。
  72. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 確かに今総務省でお答えになられたように、明らかになったものについては、改ざんが、厚生年金法で対処している。しかし、問題は、改ざんをされた可能性があるのかどうか分からない、明確ではない事例をどう判断するか。これはこの特例法で考えていかなければならないのではないかと思うわけですが、西島議員とそこを一致できないでしょうか。
  73. 西島英利

    ○西島英利君 先ほどから津田発議者法律に明記しなければ駄目だということを何回もおっしゃっております。ですから、今回もっと具体的な内容法律に書いたんだということをおっしゃっておりました。もし今の答弁の違いがあるんであれば、厚生年金法を改正してより具体的な内容にしていくのが本来の筋ではないかなと私自身は思うんですね。あくまでも今回お出しになりましたのは厚年特例法に関しての改正案でございますから、そこが私と津田発議者とはやっぱり法律的な考え方は一致はできないというふうに考えておりますが、いかがでございますでしょうか。
  74. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 御指摘の点は私どもも十分これから検討させていただきたいというふうに思います。あくまでも改ざんということが、事実、舛添大臣もお認めになったわけでありまして、これが一体どの程度、今回提案しております特例法の改正案の中で実際あるのか、これは分からない、だれも分からないわけでございまして、その点をどう対応していったらいいかについては西島委員の御指摘も含めて検討してまいりたいと思います。
  75. 西島英利

    ○西島英利君 もう一つの問題は、社会通念上明らかに不合理であるということと同時に、これ実は「かつ、」という言葉が入っておりまして、国に責任があると言えない、国の責めに帰すべき事由があるおそれがないと認められない場合には、事業主保険料相当額納付勧奨を行うことなくとなっておるんですね。これは一番難しい実は証明だと思うんですよ。国には責任がないということを国に証明しろということでございますから、この「かつ、」というこの言葉をあえて入れられたことによって、もう申立てをする人のすべてを認めろという、そういう状況になっていくのではないかなと私自身は感じているわけでございます。  そこで、この件についても後ほど御答弁いただきたいと思うんですが、もう一つは、今回お出しになられたこの内容を見ていきますと、これは総務大臣基本方針、これをもう一度精査をして変えていくことによってかなりの部分が解決する内容ではないかなと、この法案を読ませていただいてそう思いました。  と同時に、先ほどから何回も出ておりますけれども、地方であっせんの格差があると。そうするとこの基本方針が徹底してないのではないかということもおっしゃいました。基本方針が徹底してないんであれば、それは基本方針を徹底させるということをしっかりと我々政治家が言うべきなんであって、法律を作れば何でもかんでも解決するという問題ではないと私自身は考えているんですが、いかがでございますでしょうか。
  76. 蓮舫

    ○蓮舫君 これもう西島委員の方が御案内だと思いますけれども、地方の第三者委員会あっせん訂正不要と御判断をした表がございまして、それを見ていきますと、例えば東京では厚生年金あっせんされた件数六百三十八件、訂正が不要と判断された件数が千百五十七件、じゃ、これ大阪で見てみるとどうかといいますと、大阪で見ると、あっせんされた件数が二千三百十八件、それに対して非あっせんが八百十三件、大都市二つをおいてもあっせんと非あっせんがやっぱり相当違う。やはりこれは、西島委員先ほど来御指摘いただいているように、基本方針が徹底されていない側面もあるのではないか。もちろん第三者委員会のメンバー、大変な御努力で、御尽力を尽くしているということは否定はできませんけれども。そう考えますと、やはり基本方針というのは、私どもの考えではこれはある種の内規でございますから、内規をどんなに徹底させてもそこは人の判断によってばらつきが出てくると私どもは考えました。その意味で、法律条文化をすることによってもっと一層徹底することができる、法的拘束力を持たせることができると考えております。
  77. 西島英利

    ○西島英利君 それは私はやっぱり考え方がちょっと一致しないんですが、法律というのは非常に窮屈なものです。ですから、いろんな事例が出てくる中で、これは早く変えなければいけないというときには、政省令等々はこれはかなり速やかに変えることができるんですね。例えば、ここでこういう形で質疑応答します。そこに厚生労働大臣がおられるのであれば、こういう問題があるじゃないですかと。もし政省令段階であれば、その考え方はもうはっきり言ったら翌日でも変えられる。それが法律ということになると、今度はこれは国会で審議をしなきゃいけない。かなり大きな時間が必要になってくる。ですから、そういう意味で私は先ほどから申し上げているわけでございます。  そういう意味で、どうしてこういう堅苦しいといいますか、厳しい法律をお出しになったのかなという疑問がありましたので、今日こういうような質問をさせていただきました。何かございましたらどうぞ。
  78. 蓮舫

    ○蓮舫君 西島委員御指摘のとおり、確かに政省令で定めた方が迅速な対応措置を講じることはできるというのも私ども認識はしておりますけれども、やはりこの消えた年金、消された年金問題、特に第三者委員会立場の重さを見ますと、これまでのあっせん率が相当低いということを考えたときに、国家の意思、立法府の意思としてこれは前に進めるべきとして、法律を改正をすることによって多くの国民皆様方に年金制度、公的年金制度への信頼を回復することにもつながっていくんだと私どもは今回法案提出に至って思っているところでございます。
  79. 西島英利

    ○西島英利君 私は一番最初に──何かございますか。どうぞ。
  80. 関有一

    政府参考人関有一君) ちょっと事実につきまして答弁をさせていただきたいと思いますけれども。  先ほど地方の委員会ごとに大きなばらつきがあるということで、東京と大阪の件数を挙げられました。その数字は、私今ここに持っておりませんけれども、そのとおりだと思います。しかし、よく注書きで私どもも書いておるんですが、一括申立てというのがございまして、一つの事業所が大勢の方々について間違った処理をしておったというケースがございます。具体的には、平成十五年以降だと思いますけれども、ボーナスについて社会保険料を徴収すると、それを社会保険庁納付するという仕組みができたわけですが、大阪のある会社が、その制度ができた一番最初のときに、保険料は徴収した、ボーナス分を徴収していたわけですが、それを社会保険庁に納めるのを忘れておったと。その一件の申立て関係者が千人を超えるという案件も含まれておりまして、そのことはちょっとコメントをさせていただきたいと思います。
  81. 西島英利

    ○西島英利君 今の点は非常に重要なことだと思いますが、私が一番最初に政府に御質問した中で、未適用事業者、これが十万か所以上、これだけあるんですよ。加入義務があるにもかかわらず入っていない未適用事業者がそれだけたくさんある。さらには、平成十九年で保険料を滞納した事業者、十二万以上あるわけですね。ですから、確かに性善説に立てば、もうすべて、本当は張ってあるのは全部やればいいんですよ、性善説に立てば。だけれども、こういう事実があるということを私は今日指摘して、私の御質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  82. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 自民党の衛藤晟一でございます。  引き続き質問させていただきたいと思います。  一番最初に、やはりこの基準第三者委員会の認定判断基準が今総務大臣決定で入っています。申立て内容社会通念に照らし明らかに不合理ではなく一応確からしいというのを法律に変えなければいけないということ、それから、明らかに不合理であるとは言えないという具合に変えるというようなことでございました。そしてさらに、事業主についての扱いを変えるということでございました。  ですから、そういうような中身に照らしましていわゆる提案者は何を本当に意図したのかということを改めて、簡単で結構でございますから、ポイントが分かるだけで結構ですから、御説明いただきたいと思います。
  83. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答え申し上げます。  基本方針では、判断基準として、申立て内容が、社会通念に照らし明らかに不合理ではなく、一応確からしいこととしておるわけでございます。しかし、地方第三者委員会あっせん状況を見たところ、地方第三者委員会ごとのあっせんの割合が、先ほどもありましたように、大きく異なっているようでもありますし、基本方針が必ずしも徹底されていないのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。また、全体で見ても、昨年のあっせんの割合が三割台にとどまっておる。このため、法律において、第三者委員会判断基準について、基本方針で示されている事項を基にして、年金記録回復の促進のため、よりふさわしい内容として規定する必要があるというふうに考えたところでございます。  先ほど西島委員も申されましたけれども、政省令があるではないかというお話でございます。ただ、この特例法議員立法でございます。議員立法の場合には政省令をできるだけ少なくして法律の中にあらゆることをしっかり明記をしていくという、そういう流れでこの特例法はそもそもできてきておるわけでございます。したがって、今回、私どもが指摘させていただいているような問題点があるとするならば、それを解決するために法律に明記をさせる、総務大臣の決定ということではなくて、法律条文の中に明記をするということによって、よりあっせんの比率が高まる可能性が高くなる、そういうふうに私どもは見ておるわけでございます。  すなわち、基本方針では、社会通念に照らし明らかに不合理ではないというだけではなく、一応確からしいということも判断基準としているわけでございますが、保険料控除の事実がある旨の判断をするためには申立てについて何らかの裏付けとなる証拠が必要となるとの運用がなされている、これは先ほどももう何回も申し上げておりますが、ここに掛かってくる。申立てがいかに筋が通っていても、それだけじゃ駄目よと、一応確からしいという何か持ってきなさい、これがどうしても入ってきてしまう。  そこで、賢明な第三者委員会もなかなかこのグレーの部分について判断をなかなか持っていっていただけない、そういう状況ではないかというふうに私どもは推測をさせていただいておるわけでありまして、この何らかの裏付けとなる証拠がない場合であっても、真に保険料を控除されたにもかかわらず保険給付を受けられない人の年金記録回復が可能となるよう、この法律案では、この一応確からしいという文言は用いず、第三者委員会申立て社会通念上明らかに不合理であるとは言えないと認める場合には保険料を控除した事実がある旨の判断を行うというふうにしておるわけでございます。
  84. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 趣旨のうち相当部分について私は実は賛成であります。ただ、その言われている趣旨が必ずしもこの法案にそのまま反映されてないんではないのか、逆に極めて骨格を崩すようなことにも入り込んだんではないのかという感じがしますので、そこのところをちょっと質問させていただきたいと思うんですね。  今お話ありましたように、やはり申立てにとってのハードルは極めて高いものになっていると。それから、そういう意味では第三者委員会が本来の機能を果たすために法律化することが必要であるということ。それから、むしろ保険料納付を行わない場合に企業名の公表を行うなどして事業主を萎縮させる効果を持っているから、それによってデータがちゃんと出てこないではないのかと、だからもっとデータを出てくるようにしたらどうだということが、そして結果的にあっせん率がもうちょっと高まらないかということだと思いますので、その趣旨に沿ってまた私も質問をさせていただきたいなという具合に思います。  ここで、明らかに不合理であるとは言えないという具合にいきなりぽんと来ました。一応確からしいという、今の現行基準総務大臣決定ということでありまして、これを法制化した方がいいということでありますけれども、この中身だけで、手続はちょっと別にしまして中身だけでいきますと、明らかに不合理であるとは言えないと認める場合、いわゆる一応確からしいという文言を削除するというのでございますけれども、こうしますと大変難しい問題が現実的に起こってきます。  実は私も未納三兄弟の後、当時衆議院の厚生労働委員長で、未納問題が起こりまして大変でした。国民年金納めているというのは私は信じていました。過去自民党の中でも年金改正について中心的に二度ほど取り組まさせていただきましたから、そんなことは絶対にないと私は思っていましたから……(発言する者あり)いえいえ、済みません、どうも。それで家内にも、財政権は我が家では家内にしかありませんので、家内にもよく聞きました、絶対間違いありませんと。事務所の人にも聞きました、間違いありません。本当にだからそう信じていましたけれども、残念ながらそうではありませんでした。  それで、そうなりますと、例えば私ぐらいの者が、私は二十歳ぐらいのときにうちの近所のそういう自治会のお世話もしておりましたから、当然私の分も親が払っていると思っていましたし、親も子供の分もちゃんとしているよということを生前は言っていましたので、かつ家内もその後ちゃんとしているということでしたから、そう思っていました。しかし、そういうときに、もし私がずっと必ず入っているはずだといったときには、これがそうでないということを立証するということは極めて難しいと思うんですね。こういうときに、いわゆる私はそのあっせんに乗れるんですかね、どうなるんですか。
  85. 蓮舫

    ○蓮舫君 未納三兄弟が大きく報道されたのは二〇〇四年の私の選挙のときでもありました。ちなみに、先ほど我が党の当時の代表が年金未納だったというようなお話、御指摘ありましたけれども、あれは行政側の手続ミスで未納ではなかったということは言わせていただきたい。  衛藤議員の場合はどのように救われるのかというのは是非適切にお話合いをしていただきたいと思うんですが、国会議員議員年金を公的年金だと信じて、それが通算的に自分年金、公的年金制度の納入期間に加算されるのかどうなのかという御相談をいただいた場合でも、申立人年金保険料納付場所ですとか納付時期ですとかあるいはその納付金額あるいはその手段、丁寧に経験豊かな第三者委員会委員皆様方がお聞きをした場合、お互い、それはじゃ公的年金制度ではなかった、あるいは公的年金制度だったということは明らかになってくるものと私たちは思っております。
  86. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 ちょっと私の場合で適切でなかったかもしれません。しかし、実は今言ったように、資料提供を求められますね。それはどこかで確からしいというようなことを立証しようとする意思があるときにそれをやれるわけですね、そういう資料請求できるわけですね。私が最初から最後までいやそんなことはない、親もそう言っていた、家内もそう言っている、それから周りの者もずっとそう言っていた、絶対にそうですといってずっとした場合に、そうでないということを立証するのは実は第三者委員会に起こってくる可能性極めて強いわけですね。そうせざるを得ないと思うんですね。こういうケースが往々に出てくると思うんです。  先ほどからお話ございましたように、先ほど西島委員からも御指摘ありました未適用事業所は十万五千、昔はもっと多かったことは御承知のとおりです。それから、厚生年金の滞納だけでも十二万三千六百五十五事業所という具合ですね。いろんな事情の中でそういうことが起こっています。  また、国民年金についても、言わば私が入っていないということを立証できるのは、入っている期間を今のところ社保庁の資料によって確認することでしかできないと。あとは私の思い込みとか思っていることとか、それからそうでないという。そうであるためには、一生懸命払ったという何かあればいいですよ。それもない、何もないんだと。しかし、私は払っているんですといったときに、立証責任が逆に言えば相手方に出てしまうということになりますと、私は適正な資料がまずこれは集まらなくなると思いますね。私はそうですよということは必要じゃないんですから、私が違うということを社保庁なり第三者委員会が立証するしかないわけですから。そうすると、立証するときの資料は、原則的には自分のところにある記録を基にしてしかやれないということになります。  あと、どうしてもということになれば、例えば事業所の中で、給料を払ってきたけれども、これは天引きされていませんよというようなものが出てくれば別ですよ。しかし、そういうものは、いろんな資料が出れば出るほど自分にとってマイナスになるんだから、全く言わなくて、ここに置いていて、そして、そうです、要らぬこと言わない方がいいんですから。そして、相手に私は納めていないということを立証させればいいわけですからね。  しかし、それができないように資料をじゃんじゃんじゃんじゃんカットしていけばいいという結果が生じてくるというのは、私は実は、今言われている、本来そういう趣旨じゃないんですね、皆様方に何度もお聞きしても。そうじゃなくて、本当に大変な人を何とか救うことはできないかと言われているんですが、何か紙の裏と表みたいな違いしか見えないようでもあるんだけれども、この確からしいという言葉を省いてしまうと、結局何か、いや、私本当は払っていたんですよということを申し立てる必要も何もないから、私払っていないということを相手方に立証させるだけだから、そうすると要らぬ資料を出さない方がいい、要らぬことも言わない方がいいと。私は払っていたんだと言い続けた方がいいという結果になるというのが、恐らくこの今の結果的に起こってくる問題点じゃないのかなという感じがしますが、どうですか。
  87. 蓮舫

    ○蓮舫君 衛藤委員がまさか御自身の主張だけをされて、ほかの関係者証言を黙らせて、様々な証書を押さえるとはとても思えないんではございますが、今回、私どもの法案の中には、同時に、一応、確かなことというのは確かに条文には書いてはございませんが、同時に併せて、関係書類、これまで例示で出されてきた関係書類の中でも特に雇用保険納付記録ですとか、様々な公的書類を官公署に対して要求することを義務付けておりますので、この部分は第三者委員会が同時に行って、その上で様々な方々に調査をして事情を聞いて、そして社会通念上という立場から御判断がされるものと考えております。
  88. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 そうですね。ただ、先ほどからお話ございましたように、この世の中ですから、みんなが善意であるとも限らないし、みんなが悪意でもあるとも限らない。そういう中で、どういう具合にやっぱり調整していくのか。  先ほどお話ございましたように、まさにグレーゾーンというか、そういうところを扱おうとする場合には、共にそれが入り交じった社会であるということを承知しながら進めていって、そして、少しでも多くの方がどうしたら救えるかということを我々としては考えざるを得ないというのが原点だと思いますので、まずはこの基準について、先ほどはもう西島委員から詳しくお話がございましたので、私の方はそういうことだけは申し上げてみたいなと。  だから、そんな意味では、法制化についてもいろいろ問題があるかもしれませんけれども、その趣旨をちゃんと本当にするんであれば、やっぱりどこかで少しでも確からしいよという感触か何かないと、だから、それをうんと緩めているわけですから、これを私は逆に言えば、法律でちゃんと書けというのであれば、先ほどそれは非常にこんな言葉なんてないよということの難しさはあるでしょうけれども、ただ、基準を明らかに不合理であるということだけにしてしまうと、これを立証する責任を周りの者が負っていく。だから、自分が本当に納めたということを努力しなくなる。幾ら法的に事業主に対して要求しても、例えば国民年金で、あなたはしないでしょうけれどもと言いますけれども、しかし、もし、すればしたでそのことを拒否できないようなシステムになってしまうというのはやっぱり一緒に考えなければいけない問題ではないのかなという感じがするということだけ申し上げておきたいと思います。  でないと、やっぱり恐らく第三者委員会なりに明らかに不合理であるといって、真っ黒じゃないかといって切る場合というのは、これはおかしいという場合もあると思うんですね。それはやはり、まあ勤務実態がなかったとか、あるいは給与明細はあったけれども保険料は全然引かれていなかったとか、そういうケースがぱっと出てくればいいですけれども、なかなか全部はそういかない。だから、そのグレーゾーンのところをどうするか。  かつ、今言ったような資料がやっぱり何とかといって出てくれば分かるわけですね。それを立証しようと思うから、どこかで、いや、こういうところに私はあのとき勤めていたはずですよとか、勤めていたと思うとか、勤めていましたとか、それからそのときにはちゃんと行われていたと思うとか、それから周りにはこんな人がいたと思うというようなことの申立てがあるからこそ初めて第三者委員会で一つの判断ができるんじゃないのかということだけはこれ申し添えて、次の問題に。  あとは、納付勧奨等に関する問題、事業主に対する公表等の問題について行きたいと思うんですね。  今まで、改めてですけれども、先ほど西島委員確認されましたけれども、この年金記録の改ざんのケースは厚年特例法ではよっていないと、それから、改ざんのケースでサラリーマンの救済等に関しては厚生年金保険法でやっているということ、これは総務省、間違いないですね。確認させてください。
  89. 関有一

    政府参考人関有一君) 先ほど西島議員答弁したとおりでございます。間違いございません。
  90. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 そうですね。元々、厚生年金保険法の中における倒産したときだとか災害とかと同じような扱いの中で、これは本来はっきり納められているのに、サラリーマンとしてはちゃんと納めているのに、あるいは納めているようになっているのに、事業主がおかしなことをしていたというのがこの改ざんの事実ですから、この改ざんに当たるところは全部厚生年金保険法で対応しているということになりますと、先ほどからお話ありましたように、趣旨の中にこれがやっぱりごちゃごちゃになっているのではないのかということだけはまず指摘をさせていただきたいと思うんですね。  それから、そうしますと、いわゆる厚年特例法で扱おうとしたものは、言わばこの実態をまたお聞きすれば分かると思うんですけれどもあっせんがどうされたかというのはお聞きすれば分かると思うんですが、そのあっせんの実態もちょっと教えていただきたいし、それから、基本的にはそこは、うっかり届出漏れとかあるいは猫ばばとかでしょう、事業主はもらっているけれども納めていないというようなところなんでしょう、結局。これが特例法なんでしょう。どうです、これ。
  91. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 関局長、簡潔にお願いします。
  92. 関有一

    政府参考人関有一君) はい。  事業主が天引きをしていたという事実があっても、その集めたお金が社会保険庁に納められたかどうかが分からないと、その場合には現行法の厚生年金保険法では救済できない。そこが出発点でございまして、天引きをされていた事実が明らかであると、で、そのお金が社会保険庁に納められていたかどうかが分からない事案について記録訂正に結び付ける必要があるのではないかということで国会でも御審議をいただいて、議員立法として十九年の十二月に成立をいただいて、私ども、その法律に沿って、現行厚生年金保険法よりもはるかに多い件数あっせんをこの特例法でやってきております。
  93. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 そうですね。ですから、特にサラリーマンの場合は、事業主自身は自分がやっているというケースがありますから、ちょっとこれはまず除きますけれども、サラリーマンの場合は、勤められている方の方は、勝手に改ざんをやられたというケース厚生年金保険法でちゃんと対応ができると。それから、特例法での対応は、言わば引かれているんだけれどもうっかりして届出をしていなかったケースだとか、あるいは猫ばばとか、そういうようなものになるという具合になるわけでありますけれども、そうしますと、やっぱり今回の事業主との関係において言われているところはちょっと筋違いになっているのじゃないのかなという感じがします。  かつ、そういう状況の中で、言わば国の責めに帰すべき事由があるおそれがないと認められた場合と、国の責めに帰すべき事由があるおそれがないと認める場合という具合になっています。大変この線引きが難しいなと。しかも、この線引きについて政令で定めると。国の責任があるというのを、これは厚生労働省の省令で定めるという具合にたしかなっていると思うんですが、ここについてはどうでしょうか。この線引きについてどういう具合に考えられるのか。
  94. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 改ざんを社会保険事務所で行っていた中身、六万九千件というふうに言われておりまして、そのうち二万件について特に調査をされてきておるわけでございます。本当にこの改ざんの中身が、先ほどおっしゃいましたように、総務省厚生年金法で対応できる部分と、それから、そうじゃなくて、特例法によらなければならない部分の実態がどのような状況にあるのかということについて、私どもはさんざん社会保険庁に中身について聞きたいということでずっともう数十回やってきておるんですが、中身がいまだに明らかになっておりません。  そういう点で、衛藤委員が御指摘をされるように、線引きをどの辺に置くのかということについて、私どもも今、明確に答えられる材料を必ずしも持ち合わせているわけではないということも正直に申し上げます。事実でございます。与党の委員皆様にも御協力をいただいて、明確な線引きができるように是非していきたいなと、そんなふうに思っているところでございます。
  95. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 済みません。じゃ、あとちょっと続けさせていただいた後、改めまして。  私はやっぱりそういうことじゃないかなと思います。これを判断するのは極めて難しい。かつ、今これを政令でということですけれども、国に責任があるかどうかということを厚生労働省自身が決められるはずがないという具合にまでちょっと思っていますので、この後の質問はまた午後の部にさせていただきたいと思います。  大変ありがとうございました。
  96. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  97. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、厚生年金保険保険給付及び保険料納付特例等に関する法律の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  98. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 引き続き、質疑をさせていただきたいと思います。  先ほどお話し申し上げました国の帰責事由の有無というものを適切に判断することは極めて難しい、そしてまたその認定を当事者であるところの社会保険庁長官が行う、政令ということになっておりますので、やっぱりちょっとこれは矛盾があるということ。それからさらに、言うならば、この法案によってそのような事業主本人が免責の対象ということになると、やっぱりちょっとこれは国民の理解が得られないんじゃないかという具合に思いますので、そこのところについてはどう思われますか。今のところ、事業主本人も納めていないと、あるいはやっているときに自分自身もこの法案では免責対象になっちゃうんですね。そこのところだけ指摘しておきましょうかね。  いいですか、私の言っている意味が、事業主本人が逆に今度免責対象になっちゃう。そうすると、やっぱりこの人たち勧奨が続いたりとかいかないと、この人たちも全部免責されて、勧奨もない、それから公表もない、それから代位請求もないと、全部なくなりますよということではちょっと、私は、これをどう制限するかということについてはこのままで全部いいとは思いませんけれども、全部なくなるということは、免責されるということについてはやっぱり問題であろうかと思いますけれども、これについてどう思われますか。
  99. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答え申し上げます。  そもそも、記録の改ざんに事業主も関与していたということであれば、これはもう論外の話になるわけであります。そこは押さえておかないと、それこそ本当にモラルハザードという先ほど西島委員の御指摘もありますけれども、そのとおりであるというふうに思っております。
  100. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 実は、この法案を読んでみますと、いわゆる帰責事由の有無をなかなか判断しづらい。そのときに結局、そうなりますと、事業主本人もそのことが証明されなければ全部免責されるということになってしまうから、それでは、今想定していないということでございますけれども、私も、そのとおりの認識をされているというんであれば、ただこの法案ではそういう結果になりますよということだけ指摘をさせていただきたいと思います。  それから、この法案の改正趣旨について、言わば第三者委員会あっせん状況改善するようにということを目的としておるということでございましたけれども事業主が具体的に事実確認協力するか否かを問わず、国の責めに帰すべき事由があるおそれがないと認められる場合には納付勧奨、公表をしないという整理にしておられます。  ですから、今申し上げましたように、悪質な事業主ほど、社会保険事務所からの指導を受けたなどと現時点では確認することが困難な主張をして責任逃れをするのではないかというふうに思うんですね。非常に善意の事業主にとってみたら、全部お話ししてくれるかもしれない。しかし、悪質な方ほど、逆に、社会保険庁からこういうような指導を受けて我々は改ざんやったんだよとか、それからそういうことに関与していたんだよということを言って自らの責任を逃れる可能性が出てくるという具合に思われますので。ですから、そういうところにつきまして、このような仕組みでは、事業主協力が結果的には進まないことになってくる。そして、今まで言われていましたように、悪質な事業主についてはやっぱりおかしいんではないのかということを主張されていたと思うんでありますけど、そのことによって、逆に、第三者委員会でのあっせん率改善にはつながらないんじゃないかという具合に思うんですね。  さらに今度は、前国会において、皆様御承知のとおり一年半前この厚年特例法与野党共同修正をいたしました。そして、最終的に国が事業主に国庫負担分を代位請求する規定が盛り込まれたわけですから、ですから単に言わば勧奨はしないよ、納付勧奨をしないよと言ってもこの部分は全部生きているわけですから、結局のところは本当に善意のこのような事業主協力するというような形にはなかなかならない。言わば、納付勧奨や公表、免責したようなケースについても、結局は国は事業主に請求権を行使できるということが残っていますので、この代位請求については一切触れていませんので、逆にそれをやれるんであれば同じだということになって、協力を積極的にしなければいけないというような動機付けにはならないようなシステムになっているんですね。ちょっと言葉の表現は、まあ津田先生は分かるようでございますね。  だから、そういうような仕組みを作っても、これが天引き等の事実確認に関する調査に積極的に協力してくれるという動機付けにはならないということは、代位請求が残っていたのでは結局はならないと。ほかにいろいろ簡単にできますよ、免責されますよと言っても、悪徳の人も一緒に免責されるんでは困るし、かつ善意でもって何とか頑張ろうという人にとって見ても、それができない場合には結局は代位請求という項目が残っていますから、やっぱり国から、一回国が払ったものを代位請求されるというような結果になるんで積極的に協力するインセンティブになるのかというと、これまた難しいというのが実情でありますので、このことについて多分余り認識をされていなかったんじゃないかという感じがするんですけど、どうですか。
  101. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) この悪徳事業主がむしろ社会保険庁が悪いんだと、まあそれはそういう人も中にはいるかもしれないというのは分かるんですが、ただ、私どものこの趣旨というのも衛藤先生御理解いただけると思うんですが、我が国では、事業主というのはコンプライアンスをしっかり守っていただける事業主が多いというふうにやっぱり見ないとなかなか難しいのかなという気はします。  ただし、後半お尋ねになりました、このいわゆる事業主に対する請求権、これが、国が保険料相当額を負担をした後に発生する請求権の問題に衛藤先生お触れになったわけでございます。この部分、今回の改正案に盛り込まれておりません。これは率直に申し上げまして、これは検討しなきゃいかぬことではないかなというふうに思います。この第二条第十三項、国が特例対象者に係る特例納付保険料の額に相当する額を負担したときは、その負担した金額の限度において事業主に対する請求権を取得することとしておるというふうになっております。この規定は、特例納付保険料納付勧奨を受けた事業主があくまでもこの納付の申出を行わなかった場合等に国が税金によって保険料を肩代わりすることになり、事業主の逃げ得を許してしまう点を問題視して、衆議院において与野党合意の修正によって設けられた規定であると、これは衛藤先生御指摘になったとおりでありまして、我が党も積極的にこの点を指摘をした一員であることも事実でございます。  この規定の是非について、これが与野党の合意に基づくものでありますので、必要がある場合には、これは当然与野党の協議の中でどう対応していくか検討を是非させていただきたいと思います。
  102. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 そのとおりだと思います。  結局、今この改正案は、国の責めに期すべき事由があるおそれがないと認められない場合は納付勧奨もしません、公表もしません、あとは国庫で負担します。しかしながら、御承知のとおり代位請求は残っているというのが今の法案ですから、これはやっぱり一貫性がないと。そして、また国の責めに帰すべき事由があるおそれがないと認める場合には納付勧奨をしますよ、公表しますよ、そして国庫負担もしますよ、代位請求は残りますよということになっておりますので。ただ、先ほどから申し上げますように、それであれば代位請求についてもどこか手を着けなければいけないはずだと。一貫性がなくなってしまう。  それからさらには、先ほどから申し上げましたように、この境目を、国の責めに帰すべき事由、これを肝心の厚生労働省社会保険庁に決めてもらうという政令でやるということもちょっと矛盾だし、それからこの境目を見付け出すということは極めて難しい事例ですし、さらに、言わばこういうようなことでやりますと、国の責めに帰すべき事由があるかないかということを立証できるかできないかによって言わば免れる人、免れない人、この中にはいわゆる悪徳な人もそのまま入ってしまう、あるいは自らのケースも入ってしまう、事業主自らのケースも入ってしまうというようなことが起こってしまいますから、私は、この枠組みづくりがちょっとやっぱり問題ではなかったのかなと、本来の趣旨と、問題ではなかったのかなという感じがします。  というのは、一番最初に趣旨というか、この目的についてお話がありましたように、事業主にできるだけやっぱり協力をしてもらいたいんだということでございまして、それであればもっとストレートに、協力した事業主にはこうですよ、もう公表しませんよとか、あるいはもうそのときには代位請求もしないでいいですよとか、まあ勧奨までやめるというのかどうかちょっといろいろ議論があると思いますけれども、そういうようなシステムにしなければ、その法律を作ったという趣旨に合わないんではないのかというふうに思うんですね。  ですから、この最終的なところによく書いていますように、事業主の積極的な年金記録回復への協力が期待されることになる、このことによってもあっせん率の割合が高まるものと予想される、これを目標にしたということですから、これではやっぱり事業主協力を得ようという枠組みとしてはいささかちょっと問題が、その目的を達成し得ないんではないのかという、もっとストレートに、本当に協力してくれたらどうですよというような形でやらない限り極めて難しいんじゃないかと思いますが、それについてはどうですか。
  103. 蓮舫

    ○蓮舫君 衛藤委員の御指摘、もっともなところも多うございます。それで、今事業主に着眼した御指摘をいただいたんですが、他方で私どもこの法案を作成してお出しさせていただいた理由には、この厚年特例法与野党で修正協議を経て作ったときには想定していなかった社会保険庁職員の改ざんへの関与というのを、これをやはり大変重く見ております。事業主で、悪徳事業主にどういうふうに対応するのかと同時に、社会保険庁の職員から改ざんを促されて、あるいはほかの選択肢を選べない形にさせられて仕方なく従業員の標準報酬月額を引き下げたですとか、あるいは納付期間を短く改ざんしてしまった事業主もおるわけですから、やはりこれは社会保険庁の関与、国の帰責事由という部分についてももう少し踏み込んでお話をさせていただければと思っております。
  104. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 確かに二年間の中で事情の変更があったと思います。しかしながら、先ほど申し上げましたように、西島委員も言いましたように、この改ざんの部分について、その改ざんされたであろうサラリーマンの部分の回復は、これは厚生年金保険法による回復措置をとっているんですね。そして、そういう中でもちろん第三者委員会でも扱うわけでありますけれども、この回復については、我々は罰することが目的じゃないですから、この回復については、そういう事例があったら即回復できるようなシステムにもうその法の中で運用しているわけですね。  ですから、今度は特例法でやろうとするのは、いわゆるうっかり届出漏れとか猫ばばの部分ですね。特例の方はそうなんですね、やろうとしているのは。だから、ここのところのちょっと混線状態を整理しないといけないですねということを言っている。どうぞ。
  105. 蓮舫

    ○蓮舫君 厚生年金法では、給与から年金保険料が天引きされた実態がある、けれどもその保険料事業主社会保険庁に届け出た事実がない場合、この場合を、納付がどうなったのか不明な場合には規定をされていない部分を厚生年金特例法において補う形でそこで記録訂正するという判断が行われたら、厚年法にのっとって記録訂正が行われて時効も撤廃されるという部分なんですが、今回、私たち特例法では、この記録訂正のするところをもう少しあっせん率を高めてさしあげて、基本的に国民立場に立って被害を幅広く救済したいと考えているところでございます。
  106. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 この枠組みのところは先ほどから申し上げているとおりでございますので、その趣旨は理解しましたと、ただ、その趣旨がちゃんと表現されていない体系になっているんではないでしょうかということを申し上げておりますので。  現に、例えばこのときにもちょうど、改めて一年半前の衆議院での議論も先ほどから思い出すわけでありまして、このときには特に山井委員が相当激しい発言もされているわけであります。あえて読んでもいいのかもしれませんけれども、これについては、事業主が払っていないんだったら事業主に払ってもらうのが筋であって、救済をしたからといって安易に調査も不十分なままうやむやにすることではない、駄目だと、国民の税金や保険料を使うわけですから、これは理解を得られないという具合に言っているわけですね。今回これがごちゃごちゃになっているんですよ、実は。せっかくこういうことを言いながら。  国の責めに帰すかどうかということによって、逆に言えば、そういう人たちも救われたりとか、はっきり証明しなければ救われたりというようなことになるわけでありますので、これは先ほど津田先生も、やっぱり問題ですねと、やっぱりちゃんと整理する必要があるということを言われましたので、そのことを私どもも指摘しながら、ちゃんとやらせていただければいいなというように思っております。  それから、さらには今、代位請求の話もしましたけれども、そういうケースがあったときに、やっぱり全部許して国庫では入れるということになってくると、これもやっぱりちょっと国民の理解を得られるんだろうかと。いわゆる社会保険庁が不適正な訂正手続を行ったかどうか不明であるというケースもひっくるめて納付勧奨や公表の手続を経られて、そしてそのまま国庫に投入するということも、これもやっぱり国民の理解を得られるかどうかということになってきますんで、今回のこの事業主の問題について、やっぱり幾つかの問題が端っこの方でずっと起こってきているということだけは恐らく御認識いただけるんじゃないかと思うんですけれども、津田先生、ここのところ、どうですかね。
  107. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 納付勧奨あるいは氏名の公表という、これ、この法律を制定するときの議論と今日と、二年間の間に大きく情勢が変わった。これも私ども認識も衛藤先生の認識共通しているものだというふうに思います。  それに伴って、どういう形でこの納付勧奨やあるいは氏名公表についてどういう事例の場合行うのかということについては、もう一度しっかり検討をしなければならない。一つの切り口として私ども提案をさせていただいたのが、社会保険庁の改ざんに関与した者というケースが一つあるだろうと。しかし、それだけではなくて、もっときめ細かにやらないと、事業主協力が得られなくなったんでは元も子もないわけでございまして、御指摘の点について今後検討してまいりたいというふうに思います。
  108. 衛藤晟一

    ○衛藤晟一君 ありがとうございました。大変率直な御意見をいただきまして、ありがとうございます。私どももそう思います。  ですから、先ほど申し上げましたように、意図したところは何とか事業主協力を得られることであったけれども、これでは、このままでは悪徳の事業主は野放しにされるケースが相当出てくる。それから、そういうことでございますから、やっぱりこれは、このフレームのつくり方にも再検討が要るんではないのかというように思います。  やっぱり、本当に真相究明のために努力し、それがまた、努力したあるいはそれがあっせんにつながったというようなことであれば、いろんなもう罰則が減っていくとか、そういう形でもって、もうこれは公表しませんよとか、もう勧奨もしませんよとか、あるいはこの方に関しては代位請求もしませんよとか、そういうような措置を講じていきながらちゃんと真相究明につなげていくと。それをまた法律で、ここに書かれておりますけれども、更にそのことを明確にしていくという必要があると思いますので、そのことだけ指摘して質問を終わらさせていただきます。  ありがとうございました。
  109. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 自由民主党坂本由紀子でございます。  まず、提案者に伺います。  本法案によって必要となるすべての経費の所要額を、その積算の根拠も含めて教えていただきたいと思います。
  110. 蓮舫

    ○蓮舫君 記録がこれまで訂正された事案一件当たりの保険料額ですが、平成二十一年一月、国会に報告されました厚生年金特例法の施行状況報告によりますと、厚生年金特例法あっせん事案三千五百七件について保険料額は三億七百五十九万円でございます。これを一件当たりで計算しますと保険料額は約十万円。新たにあっせんされる件数なんですが、四月十四日現在、第三者委員会における厚生年金記録申立て事案は、申立て件数四万九千七百四件に対しまして、あっせんされたのはその一八・六%に当たる九千二百三十六件でございます。  私ども、この本法案によりできるだけこのあっせん率を高めていきたいと考えているところではございますが、あっせん割合が五〇%まで高めるとして計算をしますと更に一万五千件程度のあっせんが見込めるのではないかと考えております。そうしますと、一件当たりが大体十万円の保険料になりますので、一万五千件掛ける十万ということで十五億円程度の保険料額を見込んでいるところでございます。
  111. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 今、あっせん率五〇%くらいまでに高められるのではないかというお話でしたが、この五〇%というのは望ましいあっせん率ということでお考えになっていらっしゃる率なんでしょうか。
  112. 蓮舫

    ○蓮舫君 望ましいあっせん率というと、これ国民立場に立ちますと、やはり自分が納得できないものはほぼすべて認めてもらいたいという思いはおありでしょうけれども、やはりここは第三者的な立場に入って、この方の思い違いではないか、あるいはもしかしたら良からぬ思い、不適正な申請ではないか、様々なこともあるんでしょうが、私ども立場としましては、一人でも多くの、本当に保険料をお支払いしたにもかかわらず残念ながら物証がなくてあっせんが認められていない方たちが多く発生しているのではないかという思いで、できれば五〇%程度までは引き上げていくことが望ましいと考えております。
  113. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 現在、年金記録回復を求めて救済を申し立てていらっしゃる方のうち半分ほどはこの今回の法案によっても救われないケースであると。つまり、一応確からしいだけではなくて、社会通念上明らかに不合理なものだというふうにお考えというふうに解していいんでしょうか。
  114. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) ちょっと質問の意味がよく分からないんで、もう一度お願いします。
  115. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 今回提出されている法案というのは、これまでの基本方針で示しているところの判断基準を変えていらっしゃるわけですね。明らかに不合理ではなく一応確からしいということが今現在の第三者委員会判断基準になっているわけです。この判断基準と今回の法律との違いがどこにあるかといえば、私がこれまで読んでいるところでは一応確からしいというところが取り除かれているわけですね。それで、明らかに不合理ではないということは求められているわけですけれども年金記録自分記録はおかしいよと、だから何とか、自分の記憶では確かに払っている、事業主が場合によってはおかしなことをしているんじゃないかというような思いでいらしている方がほとんどだと思うのですね。だけれども、今、先ほど蓮舫議員がおっしゃった、あっせん率五〇%とおっしゃったのは、つまり、残りの五〇%は明らかに不合理だという要件に該当してしまうという理解でいらっしゃるということですね。
  116. 蓮舫

    ○蓮舫君 財源が大体どれぐらい掛かるのかという質問レクをいただいておりましたので、五〇%という形で置かしていただいて今お話はさせていただいておりますけれども、この五〇%は、確定だという部分で今お話をさせていただいておりません。高まるのか低くなるのか、実際に法改正をお認めをいただいた上で、運用が動き出して、第三者委員会が新たな判断基準によってあっせんをしていく際にはどのようになるのかは、これは実際に動かしてみないと分からない。その部分では、坂本委員が今御指摘いただいたように、非あっせんとされたものが社会通念に照らして明らかに不合理だと限定できるかどうかは、この場ではお答えにくいと申します。
  117. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 私が所要額として教えていただきたいと申し上げたのは、今回の法案によってどのくらい現行と差が出てくるのか、それによって必要となる予算額は幾らですかということでお伺いしたわけです。  それで、現在二〇%程度の率が五〇まで上がると、そこで必要になる額ですよとおっしゃったわけですね。そうすると、残りの五〇については、これは非あっせんということではなくて、まだ救われるという理解なんですか。つまり、所要額としてはもっと増える可能性もあるという意味ですか。
  118. 蓮舫

    ○蓮舫君 失礼しました。  その御指摘でございましたら、所要額はもっと増える可能性はあると考えております。
  119. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 そうすると、所要額としてはまだ積算がしっかりできていないという理解になってしまうんでしょうか。
  120. 蓮舫

    ○蓮舫君 何度も繰り返し御答弁させていただきますけれども、実際に法改正をお認めをいただきまして、新たな判断基準法律に基づいた判断基準によって第三者委員会が動いてくる、あるいは、これまで非あっせんとされた方でももう一度第三者委員会に申告をされるという方もおられると思います。この分母の数字が果たしてどこまで大きくなるのかは、残念ながら私ども今数字は持ち合わせておりません。
  121. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 それでは、ちょっと話題を変えまして、現在の総務大臣が決定をしている年金記録に係る申立てに対するあっせんに当たっての基本方針、この基本方針は、読むと、かなり国民立場に配慮をされて書かれていると思うのですね。例えば、年金記録確認問題が国民生活に直結する切実かつ深刻な問題であるので、国民立場に立って年金記録訂正に関する公正な判断を示すと、そして、国民の正当な権利を実現して、国民の不安の解消を図り、年金制度の信頼を回復するということで、この考え方については多分本日の発議者も御異論はないんだろうと思うんですね。  私たちはそういう視点に立って、年金保険料を誠実に納められているにもかかわらず本来もらえるべき年金がもらえていない、そういう事態は解消しなくてはいけないということで、これは与野党を超えてやってきたことだと思うのです。そういう基本的な考え方に立って作られている基本方針の具体的なところを見ると、第三者委員会国民立場に立って対応する、あるいは直接的な証拠を持たない方々のために第三者委員会は誠実に責任を果たしていく、あるいは第三者委員会申立人申立てを十分に酌み取って記録訂正に公正な判断を示すということを示しているわけです。ここも恐らく御異論はないんだろうと思うのです。  そうすると、この基本方針については、そういう今申し上げたようなところについては恐らく御異論ないかと思うのですが、具体的に、そうはいっても、この基本方針の何が問題だというふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。
  122. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 御指摘のとおり、この総務大臣が定めました基本方針、私も坂本委員と同じようにすばらしい文章だというふうに思っております。私が冒頭に、今回の改正案の提案理由説明でも、実は先ほど引用をさせていただきました。それ以外につきましても、大変私どもの思いを形にした記述があるわけであります。  例えば、「第三者委員会は、事案に即した柔軟な判断を行うことが求められるとともに、誠実に保険料納付した方々の権利の実現を目的とするものであることを銘記すべきである。」というふうに書かれております。さらには、「年金記録確認問題は、年金記録を管理・運営する社会保険庁関係行政機関の管理に起因する問題であり、保険料を納めてきた国民の側に不利益を及ぼしてはならない。」というふうになってあります。済みません、まだまだあります。「第三者委員会は、社会保険庁側に記録がなく、直接的な証拠」、例えば領収書等でありますが、これを「持たない方々のために、誠実に責任を果たして行く。」、これもそうでございます。私は、本当にすばらしい書き方だなというふうに思うわけであります。とどめとして、「こうした関連資料及び周辺事情がない場合においても、申立人の申立内容等に基づき、総合的に判断する。」、つまり直接的な証拠書類がなくても、申立人申立てが筋が通ってあれば、それは認めなさい、こうなっているわけでございます。  しかし、現実に第三者委員会の具体的な判断をするに当たって、じゃこのとおりになっているんだろうか、ここに実は違いが生じているんではないのかなと。実は、先ほども申し上げましたが、間違いなくこれはあっせんというものと、間違いなくこれは非あっせんというものの間に、どっちにしていいか非常に迷う。実は、地方第三者委員会委員が四名で構成をされております。この四名が全員一致のケースですべて判断されているんでありましょうか。三対一とか二対二で意見が分かれるケースがあるわけでございます。  しからば、この意見が分かれたケースは果たしてどちらになったでしょうか。あっせんになったのか非あっせんになったのか。これは、第三者委員会はそういう個別具体的なことには答えられないというふうに多分聞けばおっしゃるんではないのかなというふうに思うんですが、そのぐらい委員の間でも、これはあっせんじゃないか、いやいや、これはちょっと無理があるんじゃないかって四人の中で分かれるような事案、これまさにグレーゾーンの一つの典型的な事例ではないのかなというふうに思うわけでございます。  これは、できればあっせんにしてくださいよと思うんですが、坂本委員、いかがでしょうか。
  123. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 個別の第三者委員会の現場が、どのような議論が行われているかということについては私も承知をしておりませんので、今日は総務省においでいただいておりますので、そのように意見が大きく分かれて、けんけんがくがく、どちらに行くかで、まあ言ってみれば天国と地獄というわけではないんですけれど、回復できるかできないかですけれど、この総務大臣決定の基本方針によれば、そういう微妙な案件について言えば、それはやはり国民立場に立って十分判断をするということじゃないかと思いますけれど、その辺はいかがですか。
  124. 関有一

    政府参考人関有一君) 地方の第三者委員会は、基本的には部会という形で運営をされているケースがほとんどだと思います。その部会の人数につきましては、大体四人ぐらいのところが多いのではないかと思いますけれども、五人とかあるいはひょっとしたら三人というところもあるかもしれません。  それで、基本的には部会長の運営によってなるべく委員の間の考え方が一致をするようにということで運営をされているんだと思いますけれども、そういうことで、更に資料を調べたりあるいは御本人事情ももう少し聞いたりということをやった上で更にお諮りしても、もう新たな話は出てこないと。それで、いよいよ決めなければいけないというときに、どうしても決着が付かなければいつまでもということは事案の迅速な処理ということにも反しますので、最終的には多数決で決めざるを得ないということもあるように伺っております。  しかし、基本的には、部会長の運営でなるべく委員方々の意見が一致して、これはまああっせんの方向ですねとか、やっぱりこういうところがどうもちょっと矛盾しているような気がするのでこれは非あっせんの方向ですねとか、そういう心構えで部会長には運営をしていただいているというふうに思っております。
  125. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 この判断基準の非常に特徴的なのは、普通行政の決定ではあり得ないような一応確からしいなどという言葉を使っているわけです。一応というのは取りあえずというような、確定的でなくても、まあ一応ならいい。あるいは、らしいですね。確かというふうに断定しなくても確かっぽければいいということで、普通行政がこういうあいまいな、どちらかなといったときに、行政というのはかなり正確性ですとかあるいは公平を重んじてやるので、そういうところは厳格にやっているにもかかわらず、この年金記録回復について言えば、行政が問題を起こしたという原点に立ってその救済を申し出ている方たちに不利益が生じないということを重きを置いているので、私はこの一応確からしいという言い方になっているんだと思うのですね。それにもかかわらず、今回の法案ではこの一応確からしいというのは取るべきだと、で、取ってしまっていらっしゃるんですが。  この一応確からしいという条件があることによって、社会通念に照らして明らかに不合理ではないということは言えるけれども、一応確からしいというものが付くことによって救われないケースというのは一体どういうケースがあるんでしょうか。私の中では具体的にそういうイメージがわかないのですが、具体的な事例として教えていただけたらと思います。
  126. 蓮舫

    ○蓮舫君 具体的な事例は、今私ども、詳細な質問レクをいただいておらなかったものですから持ってはおりません。  ただ、今、坂本委員、その前段で御指摘になられた部分なんですけれども、一応確からしいで国民の利益を第一義的に考えると、これは、あっせんは当初は私どもも進むとは思っておりましたが、先週、鳩山大臣がもっと温かくあっせんをというようなことを御答弁しているように、やはり総務大臣自身もあっせんが想定以上に進んでいないと私どもは考えております。  ですから、これ、一応確からしいで、確からしいで認めるのか認めないのかという部分で、私たちは、認められていない、本当の被害が救済されていない方たちが多いのではないかという思いで今回法案を出させていただいております。
  127. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 一応質問通告の三番目に今申し上げたことはちゃんと申し上げてありました。社会通念に照らして一応確からしいという条件があることによって救われないケースというのは何ですかというふうに伺っていたはずですので、決して通告なしではないのですが、お答えいただけます。
  128. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 坂本委員に逆らうわけではございません。救われないケースということで、具体的というこの三文字入っておりませんでした。済みません。それによって随分対応が違うもので、申し訳ございません。  それで、総務大臣の定めた基本方針で、社会通念に照らし明らかに不合理ではないというだけでなく、今、坂本委員がおっしゃいました一応確からしいということも判断基準にしているわけでございます。そのために、保険料控除の事実がある旨の判断をするためには、申立てについて何らかの裏付けとなる証拠が必要になるとの運用がなされているのではないかと私どもは考えております。これは是非総務省にお聞きをいただきたいというふうに思います。私ども総務省第三者委員会の事務方に確認したところでは、やはりどうしても何らかの証拠が求められているという立場で対応をしているというコメントをいただいているわけでございます。  一方で、もちろんこの法案においても、第三者委員会は、保険料控除の事実があることを直接に明らかにする資料がない事案においては、速やかに、雇用保険給付記録等の官公署が有する記録をできる限り収集するほか、必要があると認めるときは、これ以外の資料又は情報をできる限り収集することとしているわけであります。  しかし、問題は、このような記録等を収集しようとしたが結果として何も収集することができなかった場合、そうした事例の中には、証拠となるものが何もないこと自体が保険料を控除した事実がなかったことを推測させる一つの証拠となり得るような事案もあるのでしょうが、何十年も前のことであるため、証拠となるものが何も残っていないことがやむを得ないような事案も私はあるのではないのかなと。要は、保険料を払ったという事実はその両面で見ることができるのではないのかなと。このような場合であっても、何らかの裏付けとなる証拠がなければ保険料を控除した旨の判断がなされないということでは、真に保険料を控除されたにもかかわらず保険給付を受けられない人の年金記録回復がされない、救済をすることが難しくなるわけであります。  この点について、基本方針においても、判断基準として、こうした関係資料及び周辺事情がない場合においても、申立人申立て内容等に基づき、総合的に判断するというすばらしい文章が入っているわけで、明記をされているわけでありまして、言わば証拠等が全くない場合でもあっせんがあり得ることは現行でも是認をしているところであります。  このため、法律案では、一応確からしいといった文言は用いないで、第三者委員会は、申立て社会通念上明らかに不合理であるとはいえないと認める場合には、保険料を控除した事実がある旨の判断を行うものというふうにしたわけでございます。
  129. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 明らかに不合理ではないということだけを条件にする場合とそこに加えて一応確からしいを付ける場合とは、私は明らかに違ってくると思うのです。  それで、今、津田委員がおっしゃったように、現行の総務大臣の決定によっても、証拠がなくても、そういうことが類推されればそれは総合的に判断をするということになっているわけで、もしそれがなされていないとすれば、運用に問題があるので改善をしてもらわなきゃいけないということだと思うのですね。それがあるから、この一応確からしいというところを取って法律を作るということとは違うと思うんですね。法律の中で一応確からしいということはもう要求しません、明らかに不合理ではないということだけでいいですということになると、一応確からしいということは求めない、明らかに不合理だというケースだけが排除されるということになるんだと思います。  明らかに不合理なケースだけが排除されるといった場合に、明らかに不合理なケースというのは一体何なんだろうと考えたときに、やっぱり客観的にどう見てもおかしい、例えば、納付したと、この期間働いていたといっていた期間に病院に入院していたとか、そういう事実関係が全く矛盾しているというようなケース。あるいは、これが厚生年金の場合には事業所がかんでいるので比較的その矛盾点が出しやすいんですが、この法律は十五条の二で、国民年金についてもこの基準に従ってやるようにということになっているんですね。国民年金の場合ですと、個人が保険料を納めたということだけなので、納めたか納めないかというのは、極端なことを言えば水掛け論になってしまうかもしれない。そうなったときに、明らかに不合理ではないというのは、保険料の未納付の期間があって、その期間について私は払っているはずですといったら、これは明らかに不合理ではないんです、払っている払っていないにかかわらず。  そうなってくると、お申出のことについては一〇〇%認めるということになるのではないか。最初にこの法律によってどのくらいの経費が掛かるのでしょうかというふうに質問をさせていただいたのは、私は、この条文からいけば、申立てに来られた方については一〇〇%認めることにほぼなるのではないかと。  救済すべき方を一〇〇%救済するというのは、私は当然のことだと思うのです。それはそれとして、一方で世の中にはいろいろな方がいます。例えば、おれおれ詐欺をやるとか、そういう組織犯罪を行っている集団もいるわけです。もし、仮にそういう組織犯罪がこれを悪用しようと思ったときに果たして歯止めができるだろうか。この法律が、組織犯罪の集団が国民年金というようななかなか反論のしにくいような手だてを使ってやろうと思ったらおかしなことをやりかねないのではないかというような懸念があるのですが、そのような不正を排除できるような手だてというのはこの法律の中で何かお考えくださっているんでしょうか。
  130. 加賀谷健

    委員以外の議員(加賀谷健君) お答えいたします。  この中では特に書いてはいませんけれども第三者委員会に対する不正な申請等により保険給付が行われることを防止するための措置としては、次のようなことが考えられる。  これは、法に定められてありますけれども厚生年金保険法第四十条の二には、偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者について、その不正に得た利益を徴収することができることが定められている。また、不正な申請が行われた場合についても、当該規定に基づき、適切な対応がなされるものと考えております。また、これに加えて、不正な申請等が文書の偽造等による悪質なものであり、刑法の公文書偽造罪、私文書偽造罪、詐欺罪等に該当し得る場合には、刑事手続における対応もなされるものと考えられます。  以上です。
  131. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 それは既存の一般的な不正の排除の方策だと思うのですが、今回の法案は、そういう意味で一歩踏み込んで、一応確からしいという要件を削除することによってそういうことを誘発しないかということを私は心配をしているので、そういう意味では、きちっとした、そういうおかしなことに利用されない手だてというのを併せてやっておかないととんでもないことになるのではないかということを心配いたします。  現在でも、年金記録回復の申請の件数については、直ちにそれが、事案審査が開始され、解消されているわけではなくて、かなり期間が掛かって結論が出ているわけですね。これは、できるだけ早くお申し越しの案件については結論を出して、被害者の方については救済をしなきゃいけないと思うのですが、この点について、総務省は今後早期に未処理事案が解消できるようにどう取り組んでいくおつもりなんでしょうか。
  132. 関有一

    政府参考人関有一君) 午前中にもお答えいたしましたけれども、これまで第三者委員会申立てがなされましたのは約十万件でございます。そのうち六万三千件につきまして結論を出したということで、残りが三万七千件ほどございます。毎週、社会保険事務所で受け付けていただいたものを一週間単位で私どもの方に送っていただいてその集計をしておりますが、今、毎週千件ぐらい新たな申立てがなされております。  私どもの毎週の処理件数といいますと、千件、三月末から四月に人事異動等もございましてペースが若干落ちたんですけれども、三月の始め辺り、大体毎週千二百件から千三百件ぐらいこなすということで、徐々に未処理の在庫の件数は減ってきております。  現在、在庫が三万七千件ということですけれども、この間の三月三十一日の関係閣僚会議におきまして、新たな第三者委員会処理目標といたしまして、二十年度中に受け付けました、昨年の四月から今年の三月まで受け付けた件数のうち、特に御高齢者を優先してやらなければいけないだろうということで、年金受給者それから無年金者の方を優先的に処理をするということで、そういう方々につきましては今年の十二月末までに処理を終えることとするということで取り組んでいきたいと思っております。  昨年の春と比べましてはるかに体制も整いました。当時は、昨年ですと百チームぐらいしかできていなかったと思いますけれども、今二百を超える部会、チームでやっておりますし、スタッフも増やしてまいりました。徐々に習熟もしてまいりましたので、昨年よりも更にペースは上がるものと考えております。なるべく早くに申立てがありました方、余りお待たせしないように結論を出していきたいと考えておるところでございます。
  133. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 是非早くに解決できるように頑張っていただきたいと思うのですが、早く解決するためには、今おっしゃったように、体制を拡充しなきゃいけない。体制を拡充することによってできるだけ多くの案件が処理できるようになるわけです。  この法案が仮にこのまま成立するということになれば、恐らく申請は、先ほど西島委員が午前中質問されたのにも関連しますが、かなり増えてくるんじゃないか。そうなると、今の体制では更にまた未処理が増えてしまうので、もっと体制を増やさなきゃいけないということになるのではないか。  そもそも、このように法律内容を変えることになった場合に、第三者委員会って何を期待されているのかといえば、第三者委員会が期待されているのは矛盾の指摘だとか反証だとか、そういうことになってしまうんじゃないか。明らかに不合理ではないということだけを第三者委員会はチェックをするということになると、何か申し立ててきた方が不合理でないかどうかということをチェックするということは、本来、第三者委員会というのは、被害者の方を救済するために普通にしゃくし定規にやったんでは片付かないことを第三者委員会というところで救おうと言っていたのに、今回のような基準の明らかに不合理ではないということだけになると、そこだけをチェックすることになりますから、そうすると明らかに不合理ではないかどうかということは、言っていることに矛盾がないかとか、あるいは別のそれを否定するような反証がないかどうかということだけをやる。果たしてそんな第三者委員会というのは必要なんでしょうか。  そうであれば、第三者委員会なんてなくて、もうそのまま社会保険庁で、来たものはすべて認めますと、矛盾していない限りは全部認めますとやった方がよっぽどすっきりするんじゃないかと思いますけれども、この辺はどうなんでしょう。
  134. 蓮舫

    ○蓮舫君 今回の私ども提出させていただいた改正案では、御相談で第三者委員会に相談された方たちの案件を明らかに不合理かどうかだけで判断するものではなくて、併せて官公署に向かってしっかりと様々な雇用保険資料であるとか公的資料を集めるよう義務付けも課しておりますので、そこは第三者委員会が、まさに今、坂本委員が御指摘したように、第三者の立場に立って、社会保険庁の側ではなくて国民の側に立って、この方のこの相談案件は本当に救済してさしあげた方がいいのかどうなのかという判断をすることになると考えております。
  135. 坂本由紀子

    坂本由紀子君 資料の収集自体は法律に書かなくても第三者委員会がきちっと現状でも手だてできるところであると考えますので、私はこの法律にそのように書かなければできないということではないのではないかというふうに思います。  それで、要は、この問題を考えるときに、被害者を救済するという非常に大切なことと、それに関連して不正が起きないだろうかと、ここをどう排除するかということとのバランスを考えなきゃいけない。  それで、今は最大限に被害者を救済しようということでかなり配慮された基本方針になっていると思うのですね。今回出されている法案は、こういう不正の排除はもうとにかく目をつぶって、こちらだけに専念しようというふうに読めるんです。そうなってくると、ここの不正に伴うところの負担はだれがするかといえば、これは国民の血税であり、先ほど衛藤委員が指摘されたところの部分ですが、事業主から本来払うべき保険料事業主が払わなかった、それを税金で国がカバーしましょうということになると、国民が汗水流して働いた血税を、そういうけしからぬ事業主が払うべき保険料を代わりに払ってやるって、本当に国民はそれで納得するだろうか。あるいは、私たち一人一人が払っている保険料、それを安易に、ろくに検証もしないでよく分からないところに払うことに、本当に保険料を払っている、今だって給料、もう本当に景気が悪い中で、残業代も減って生活も苦しくなっているって国民が言っているときに、そういう中で貴重な保険料を払ってくださっている方たちからすれば、私たちが払った保険料はあだや一文もおかしなことに使わないでください、本当に保険をもらうべき人たちに払ってくださいという思いだと思うのですね。そこのところは私は大事にしなきゃいけないと思うのです。  だから、そこのところのバランスを、私はそこの部分についての配慮がこの法律の中に足りないのではないか。だから、そこのところをしっかりとやらないと、安易に、安易にあたかも被害者を救済してとてもすばらしいというメッセージだけを出しているように思えますが、実はそうじゃないところを解決しなければ、私は真に国民のための年金記録回復にはならない。  大事なことは、むしろ今の第三者委員会がしっかりとこの基本方針に定めた考え方に沿って救済を申し立てている方々に真摯に向かい合って、そしてできるだけ早くいい結論を出していただく。社会保険庁においても、社会保険庁の現場においてきちっとした取組をしていただくということではないかと思いますので、そういうところをしっかりやっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
  136. 山本博司

    ○山本博司君 公明党の山本博司でございます。  本日は、民主党、社民党、国民新党から提出されております厚生年金保険保険給付及び保険料納付特例等に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる年金記録回復促進法案と呼ばれている法案につきまして、提案者及び政府に対して質問をさせていただきたいと思います。  この法律は、平成十九年十二月に施行され、厚生年金保険料が給与から天引きされていたにもかかわらず、事業主から保険料納付や資格などの届出がされていなかったために年金記録がない人に対して、年金記録確認第三者委員会において認定された場合に年金を支払うことができるようにするための法律であり、年金記録回復に重要な役割を果たしていると思います。  今回の改正案では、国民立場に立ち、保険料を天引きされた者が不利益を被らないようにするとの観点から様々な改正を提案されておりますけれども、不明な点が多くこのままでは効果が期待できないのではないかとの疑念を抱いております。そこで、本日は幾つかの課題また疑問点についてお伺いをしたいと思います。  最初に、総務省の方から現状に関して確認をさせていただきたいと思います。  第三者委員会審議状況について、地域の事情も含めて説明をまずしていただきたいと思います。
  137. 関有一

    政府参考人関有一君) これまでも何回か御答弁申し上げましたけれども、これまで第三者委員会で受け付けました件数、十万件をせんだって超えました。このうち六万三千件から四千件につきまして処理を終えたということでございます。残り三万六、七千件ございます。それから、毎週千件ほど新たな申立てがございます。  こういう中で、できるだけ早く公正、迅速な処理をし、年金記録回復を図るということで取り組んでまいりたいと思っております。
  138. 山本博司

    ○山本博司君 ありがとうございます。  具体的に午前中もいろいろ議論がございました。この第三者委員会、特に地方におきましてばらつきがあるのではないか、また審査基準が地域によって違いがあるんじゃないか、そういったことが指摘をされておりますけれども、こうした点に関しましていかがでしょうか。
  139. 関有一

    政府参考人関有一君) 第三者委員会におきましては、社会保険庁記録がなく御本人も直接の証拠をお持ちでないという事案につきまして、申立人の御主張を十分に酌み取るとの基本的な方針の下に、様々な関連資料周辺事情を検討して記録訂正に関し公正な判断を示してきているというふうに考えております。あっせん訂正不要の件数もそれぞれ個々の事案についての判断の結果の積み重ねであるというふうに考えておるところでございます。  地方委員会ごとにばらつきがあるのではないかということでこれまでも御議論がありましたけれども、実は私ども、そういう御批判も受けまして、昨年の七月にあっせん、非あっせん比率の地域格差の分析ということをやってみました。そこでは、これだという決め手はないわけですけれども、例えば国民年金につきましては、未納期間が非常に短期の事案が比較的多い県があったり少ない県があったりいたしました。それからまた、厚生年金の方につきましては、倒産ケースのような当時の資料証言確認できないような事案が多いところもあれば少ないところもあったということでございます。  今申し上げましたように、国民年金の方で未納期間が短期間の事案が多いということですと、これはあっせんに結び付きやすいわけですし、それから倒産ケースのような当時の資料証言確認できない事案が多いということですとなかなかあっせんに結び付きにくいということが言えるのではないかと思います。そういうことでございまして、地域によりまして実際に申し立てられている事案も全く均一ではないということではなかろうかと思っております。  それから、基本的には、事業所が非常に多い県もございます。それから、そういうことですと厚生年金事案が非常に多くなるだろうと。それからまた、高齢者が多いというようなところですと、厚生年金国民年金取りましたときに国民年金申立て件数が多いということで、各地域の人口構成でありますとか、あるいはその事業所の数でありますとか、県ごとにやっぱり事情も異なりますし、それから、これはなかなか申し上げにくいところですけれども、この前、社会保険庁厚生労働省の方でお調べになって、改ざんと思われる件数六万九千件というふうなお話がございましたけれども、そのデータを見せていただきますと、社会保険事務所によって非常にそういう不適切な処理が多かったところもあれば少なかったところもあると。そういうもろもろの状況が作用して地域ごとのばらつきというものも出てきているのではないかというふうに考えているところでございます。
  140. 山本博司

    ○山本博司君 もう一点、総務省確認をしたいと思います。  第三者委員会、いろんな経緯がありまして今の判断基準が作られたと思います。まず、社会通念に照らして明らかに不合理でなく、一応確からしい、これ何度も今日議論をされている部分でございますけれども、そうした基準がいろんな経緯によって策定されたと、こういうことがあるわけでございますけれども、この判断基準内容、考え方、このことに関して確認をしたいと思います。
  141. 関有一

    政府参考人関有一君) まず、社会通念に照らしてということでございますが、これは社会一般で受け入れられている常識、良識で判断するということでございます。  次に、明らかに不合理ではなく、一応確からしいということにつきましては、明らかに不合理ではないということは、例えば当時の納付制度あるいは金額等に照らして矛盾しないと、こういうような意味でございます。で、判断にあたりましてマイナスの要素にならないということでございます。  それから、一応確からしいといいますのは、民事訴訟法上の証明よりも軽い疎明程度の確からしさということでございまして、判断をするに当たりまして、プラス要素、積極的事情に該当するということでございます。  ですから、マイナスの要素がなくプラス要素があると、それが第三者委員会判断基準になっているということでございます。
  142. 山本博司

    ○山本博司君 それで、提案者にお聞きしたいと思います。  今回、改正案で、一応確からしいと、この文言を削除した理由、このことに関して明快にお答えいただきたいと思います。
  143. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答えを申し上げます。  この基本方針では、社会通念に照らし明らかに不合理ではないというだけでなく、一応確からしいことも判断基準としているため、保険料控除の事実がある旨の判断をするためには申立てについて何らかの裏付けとなる証拠が必要になる。先ほど関局長は疎明という言い方をされました。同じ意味として理解していただいて結構だというふうに思います。  この証拠が必要となるとの運用がなされている。これ、もちろん法律では、第三者委員会は、保険料控除の事実があることを直接に明らかにする資料がない事案においては、速やかに雇用保険給付記録等の官公署が有する記録をできる限り収集するほか、必要があると認めるときはこれ以外の資料又は情報をできる限り収集することとしております。  しかし、問題は、このような記録等を収集しようとした結果として何も収集することができなかった場合であります。  そうした事例の中には、証拠となるものが何もないこと自体が保険料を控除した事実がなかったことを推測させる一つの証拠になり得るような事案もあるでしょうし、何十年も前のことであるため、証拠となるものが何も残っていないことがやむを得ないような事案もあるというふうに考えるわけです。これは両方あるだろう。  このような場合であっても、何らかの裏付けとなる証拠がなければ保険料を控除した旨の判断がされないということでは、真に保険料を控除されたにもかかわらず保険給付を受けられない人の年金記録回復されず、救済することが難しくなってしまうわけであります。  先ほどの関局長がおっしゃった疎明、これはどうしても必要だと。これが一応確からしいということになりますと、それがなければあっせんにはつながっていかない。その疎明がなくても、あらゆる事情を見て、その人は保険料を支払った可能性が非常に高いというふうに思われる事例もあるだろうと。それが先ほど私がちょっと申し上げました、四人の委員の中で意見が分かれるようなケース、それというのはまさにそういうケースになるだろう、例えば。そういう事例についても何としても救済をする方向に持っていくためにはこの文言についての削除をした方がいいんではないかという判断をしたわけでございます。
  144. 山本博司

    ○山本博司君 今現在、非あっせんが一万五千件と言われておりますけれども、この判断基準を変更することによって、第三者委員会判断がどのように変更されて、結果として具体的にどのような事案が、非あっせんとされていたものがあっせんになっていくのか。この辺の点に関して、午前中も議論あったかも分かりませんけれども、お示しをいただきたいと思います。
  145. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 納付勧奨の見直しの問題でございます。  事業主厚生年金保険保険料を控除した事実があるかどうかについての年金記録確認第三者委員会判断が円滑に行われ、年金記録回復が促進されるようにするためには、事業主により第三者委員会の行う調査への協力が得られることが大変重要でございます。これは、既に第三者委員会の報告書の中にもこの部分が非常に大きな要素を占めているというこれまでの報告が出されているわけであります。  しかしながら、現行の第二条二項では、社会保険庁長官は、特例対象者に係る年金記録確認等を行った場合は、そのすべての場合に、事業主に対し、未納保険料相当額に加算された特例納付保険料納付勧奨しなければならないというふうにされているわけでございます。このため、事業主特例納付保険料納付勧奨を受けることを恐れて、第三者委員会の調査に対して事業主協力が得られにくい状況になっているものと私どもは思っているわけでございます。  そこで、社会保険庁長官事業主に対し特例納付保険料納付勧奨しなければならない場合を限定する、そういうことが必要ではないかというふうに考えて、この納付勧奨の見直しを提案させていただいております。
  146. 山本博司

    ○山本博司君 ちょっと趣旨が違うんですけれども、この判断基準が変更されることで、それではあっせん率の上昇にどのように結び付くのか、この点はいかがでしょうか。
  147. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 現在の第三者委員会におけるあっせん比率はおよそ三〇%台。これは動きますので、二〇〇七年度の場合は三五%、今現在はもう少し上がってトータルで三八%程度ですか、そのぐらいになっているわけであります。言い換えれば、残りの六〇%台の方々について非あっせんということになっているわけであります。  保険料納付したかどうかの真実というのは、これは大変難しいことだというふうに思います。ただ、私どもは百七回の部門会議をやって、そのやり取りをした経験を踏まえたときに、現在のあっせん比率に関してはやっぱり低いな、グレーゾーンの多くを非あっせんに回しているのではないか。本来はそうしたグレーゾーンについては被害者救済の立場からはあっせん判断を行うべきではないのか、そのような思いを強くしているわけであります。  現在、申立て件数ベースでは、厚生年金におけるあっせん比率は一九%にすぎません。これは第三者委員会における審議の遅れとあっせん判断が非常に厳しいことを物語る数字であります。私どもはこの一九%を五〇%にしていくことを目指し、先ほど蓮舫議員からもそのように申し述べましたが、トータルのあっせん比率を三〇%台後半と非あっせん比率六〇%台前半を逆転させていく、つまり、あっせんが六〇%台、非あっせんが三〇%台という、そういう状況にしていければ大変望ましいというふうに考えているわけでございます。  もちろん、本法案が成立した場合においても、実際の判断第三者委員会にゆだねるわけでございます。この目標数値は、これは強制力を持つたぐいのものでもありませんし、その意味であくまでも目標、願いです、はっきり言えば。この成立の暁にはそういうあっせんの比率になるということを願っております。
  148. 山本博司

    ○山本博司君 分かりました。別にこれは法律がなくてもできる部分だと思いますけれども。  今、この一応確からしいという部分でのこの文言の在り方で、先ほどもずっと議論が出ているように、申し立てれば立証の部分がなかなかないためにほとんど認められるんじゃないか、非あっせん件数も一万五千件がすべて認められるんじゃないか、そういう議論があるわけでございますけれども、例えば脱退手当金という、累計六百五十万人が受給しているこの脱退手当金でございますけれども記録上、これは社会保険庁が支払ったものを受給していない事案でございますけれども、もしこの一応確からしいというこの文言がなくなった場合には、このほとんどのケースが申し立てをされるという危険性があるわけでございます。こういったことに対してはどう対応されるんでしょうか。
  149. 蓮舫

    ○蓮舫君 脱退手当金に関しても、これまで我が党の部門会議では、多くの、いただいていないのに脱退手当金を受け取ったことになって、その先の年金がもらえない、社会保険庁に御相談をしてももうこれは何の対応もしてくれないという相談者の方、何人かお越しになられて、社会保険庁とも厚生労働省とも一緒になって、どういう解決策があるのかを具体的にこれまで何度かやってまいりました。  過去、昭和三十年代ぐらいでしょうか、やはり脱退手当金扱いになって、退職をするときに受け取ったという形で退職金に上乗せをされて、事業主からはもう支払をしたという思い、でも労働者は退職金だと思っていて、脱退手当金は受け取っていないというこの意思疎通がうまくいっていないがために、考え方が違うと御相談された事案もありますが。他方で、本当にもらえていない、脱退手当金扱いとされてしまっている。それは、事業主側が行ったのか、社会保険事務所側で行われたのか、あるいは基礎自治体で行われたのかが分からないケースも多数ございます。  ここもやはり私どもは、今回法改正をしていただくことで、官公署が保有しているすべての記録を集めることによって、本当にこの方は脱退手当金をもらったのかどうなのかも第三者委員会で中立的に判断をして、なるべく前向きに、もらえていない方がいて本当に被害を受けている方がおられるんであれば救済をしていきたいと考えているところでございます。
  150. 山本博司

    ○山本博司君 我々大変心配しますのは、法律上の文言から一応確からしいというこの文章が落ちることによって、今まではこれがありましたから、裏付け的なものを第三者委員会に求めないとすれば、保険料の控除、これもされていたはずでございますけれども、これをもう申立人の方が納めていたはずだと、このように主張されると、もう当時の制度上の反証はできないというような形が見当たらない場合というのはほとんどもうオーケーになってしまうという形になるわけでございまして、ですから、そういう意味では結果として一種の申立て勝ちというモラルハザードになると思うんです。こういった点、危惧あるわけですけれども、この点に関してどうお考えになるのか、お聞きしたいと思います。
  151. 蓮舫

    ○蓮舫君 申し立てた方の証言を一〇〇%信じるための法改正を私ども提案しているんではなくて、これまでのいわゆる内部規定によって判断基準に一応確かであるという文言が入っているがために、第三者委員会の中で調査、協議をした結果、一応確かに当たる物証がなかったから、我々の心証としては、この方は恐らく保険料を納めていたにもかかわらず、その記録がなくなっていることによって被害を被っている方だと判断をしたいんだけれども、一応確かだという物証がないがために非あっせんとなった事案も多数あるということを私たちはまず大前提で思っている、ここが山本委員と私ども、考え方が違うところかもしれません。  私たちは、この部分を外すことによって、内部規定を法律に規定をすることによって、もっと法的拘束力を高めて、そして様々な証拠証言を集めて、これまで非あっせんで救済されなかった国民方々あっせんされるべき人は救済していきたいと考えています。
  152. 山本博司

    ○山本博司君 おっしゃることは本当によく分かるんです、救済をどこまでするかというのは大事な点ですから。それとやはり不正を排除するという、この両面を見ていかないといけないわけですね。  坂本委員も、国民保険もありましたけれども、こうした本当に不正を排除する方策をどう考えるか、大事でございますけれども、この点もう一回、一般的なお話ではなくて、どうするかというお話を。
  153. 加賀谷健

    委員以外の議員(加賀谷健君) 先ほども答弁いたしましたけれども年金法の規定あるいは刑法のそういう罰則というのは当たり前のことでありますけれども、私はやっぱり、今申されているように一〇〇%排除するということは、まさにそれは不可能だろうと思います。しかし、第三者委員会審査を徹底的に行うという中でいろんな問題をチェックすることができるわけですから、これは私は、本当に不正な申請をしていれば不合理性というのは洗い出すことは不可能ではない、そういう審査をしていかなければならないのではないかなと、こんなふうに思っています。  一つの例ですけれども、公共料金等々を取る事業体は、なかなか、今でいう不正な人、払わないで居座るような人たちを排除するというか、何とか整理するために警察官のOBを雇用をしてお手伝いをいただく。彼らはそういうことに関してはプロでございますので、私は、ある意味では、この第三者委員会の構成員の中にそういう経験を持つ人たちも加えていって審査をするということも一つの方法ではないかなと、こんなふうに思います。
  154. 山本博司

    ○山本博司君 この不正をどうするかということと救済、本当に重い問題だと思いますけれども、今回の改正の部分といいますか、資料収集が求められているわけでございます。  この第三者委員会資料収集の義務法律で課した、この趣旨に関してまずお聞かせいただきたいと思います。
  155. 行田邦子

    委員以外の議員行田邦子君) 今回の私ども提案しております法律案では、第三者委員会があくまでも資料記録等を収集するということを義務付けております。今現在も総務大臣が決定している基本方針の中には証拠の収集、記録の収集ということも盛り込まれていますけれども、ただ残念ながら、このとおり、基本方針に定められているとおり実行されていないという実情があります。こういった事実を踏まえまして、私どもとしましては、基本方針ではなく、より法律と、法律の中に明文化することによって厳格に第三者委員会に守っていただきたいと、こういう思いで法律に盛り込ませていただきました。  以上です。
  156. 山本博司

    ○山本博司君 これは、法律で明記したということは、法案ではできる限り収集すると、このようになっているわけでございますけれども、できる限りという範囲、これは不明確でありますし、第三者委員会はどこまでもこれは資料を収集せざるを得なくなるという、そういうことの、先ほど坂本委員からも第三者委員会役割が何なのかということにもなるわけでございまして、そうなりますと、年金記録回復を促進しないといけないというこういうこと自体、全体の審議が遅れるのではないかという、こういう点をどうお答えになるでしょうか。
  157. 行田邦子

    委員以外の議員行田邦子君) 法律案に明記されていますこのできる限りという意味ですけれども、これはお言葉どおり取っていただいて結構かと思うんですが、あらゆるすべての資料を収集しなければいけないという意味ではありません。あくまでも可能な限り、できる限り第三者委員会は収集をしなければいけないということを明記しております。  また、今、山本委員が御指摘のこと、私ども議論の中でございました。今回できる限りというふうに明記したと同時に、このことによって、第三者委員会資料記録を収集をすることを義務付けることによって逆にこれが足かせになってしまう、申立てあっせんが遅れてしまうことがあってはいけないと思いまして、この同じ第一条二項には速やかにということも併せて併記をさせていただいております。
  158. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 蓮舫君、よろしいですか。
  159. 蓮舫

    ○蓮舫君 山本委員、これは私ども、どうして法律事項にしたかといいますと、今現段階で基本方針判断基準の中で関連書類はなるべく集めることと例示も規定をされているんですけれども、実際に非あっせんとされた方々で御相談された方たちお話をすると、第三者委員会が関連書類を集めているんではなくて、相談をした申告者本人が様々なところに行って自分雇用保険の証書を取ったり、あるいは同業者を探したり、あるいは元々の雇主である方を探したり、その方がお亡くなりになっているというような公的証書を集めたり、自分が汗をかいて実費を払って、そして第三者委員会にお渡しをしているという事例も少なくございません。その部分では、やはり結構御高齢者の方たちが自ら汗をかくというのは、もう私たちは限界があると思っておりますので、そこは第三者委員会の責任でやっていただきたいという思いは、これは御共有していただけるのではないでしょうか。
  160. 山本博司

    ○山本博司君 例えば、あの中に、所得税等に関する税のことがございますね。これは通常、保存期間七年ですから、今申立てされている方は昭和の方々、当然記録はないわけでございます。また、労災保険、これも事業所単位ですから一人一人の個人の情報ない、こういうほとんど意味のないような内容のものがあるのではないかと思っていまして、こういうことも含めてどうなんですかね。
  161. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) 山本委員御案内のとおり、もう既に処分したと言われている紙台帳があちこちで発見されているわけですね。これをたどっていって記録回復した事例もあるわけでございます。  おっしゃるように、資料の保存期限というのはそれぞれ定められておりますが、実は市町村、様々な自治体によっては保存期限以上に長く保存している事例が実は数多くある。これによって救済された事例が多々あるわけでございます。そういう点で、決して保存期限が過ぎたらみんなもう処分してしまっているという前提ではなくて、もしかしたらあるかもしれない、可能性があるんだということを私たちはこれまでの経験では追求していける、そういうふうに思っているわけでございます。
  162. 山本博司

    ○山本博司君 第三者委員会役割が、このあいまいな判断ですとどこまでやったらいいかということで、基本的にはやっぱり追っかけてしまうということが、危険性があるということでございますので、この点は結構でございます。  次に、財源とかの問題に移りたいんですけれども、先ほど改善目標あっせん率五〇%にという、今三十何%ということで、要はその母体が、目標母体が非あっせんあっせんを基にしたトータルした形での母数なのか。それとも、先ほど一八%というお話がありました、二つのパーセンテージが出ているわけですけれども、一体、当初から説明趣旨と三八%とかということを言っておりますけれども、そこから五〇%というふうに超えるのか、それとも一八%ということの、よく分からないんです。この辺はいかがですか。
  163. 蓮舫

    ○蓮舫君 三八%という数字、これ先ほど総務省からも御説明ありましたが、これはもう厚生年金国民年金合わせたすべてのあっせん相談があった中であっせんされた割合でございます。  先ほど財源についてお話をさせていただいたのは、あくまで国庫負担という考え方に立っておりますから、本法律案で必要となる国庫負担は、厚生年金特例法に基づいて記録訂正が行われた後、事業主から保険料納付が行われなかった場合に国が負担する特例納付保険料相当額で、本法案の、先ほど十五億と試算をさせていただいたのは、これは現状より多くあっせんした事案についてすべて事業主による保険料納付がないものとして、その際五〇%まで引き上げたと考えて試算をした数字でございます。
  164. 山本博司

    ○山本博司君 そうしますと、先ほど一番最初から言っているあっせん、非あっせんのトータルを含めた三八%は最終的に何%になるんでしょうか。
  165. 蓮舫

    ○蓮舫君 できるだけ正しいと思われる被害を求めておられて、正しく納付されたと思われる方たちあっせんさせていただきたいと考えています。
  166. 山本博司

    ○山本博司君 やはりこれ国庫で負担をする税金でございますので、やはり今後のことも含め大事な部分でございます。  厚労省にお聞きしますけれども、現行法での国庫負担を設けた理由、このことに関して説明をお願いしたいと思います。
  167. 渡邉芳樹

    政府参考人渡邉芳樹君) 議員立法として制定されました現行の厚年特例法厚生年金特例法につきまして国庫負担制度についての理由というお尋ねでございます。  現行制度の意味とか制度の中身の具体的な在り方について御説明することでお答えに代えさせていただきたいと思いますが、本件厚年特例法の立法時には、この法律の規定によって支給される給付について、負担なくして給付なしの社会保険の拠出制の原則というものに照らして、事業主保険料納付義務を果たさせることが基本であろうという御判断から、このために時効消滅した保険料徴収権を復活させることは、これは社会生活の安定性を損なう問題もあるので法制的に困難であり、任意であるが特例納付保険料を納める制度とした上で、複数回にわたる納付勧奨の実施や納付をしない場合の事業名の公表など、ぎりぎりまで保険料納付を求めることを前提に置いた国庫負担であると理解しております。  したがいまして、事業主保険料納付する義務を履行しなかったことが明らかとなった場合につきまして、推察いたしますに、こうした、場合によっては悪質とも取られる事例については救済の要なしと判断をする判断の仕方も出てこようが、その点をどう考えるかという点を踏まえて、納付されなかった保険料相当額を国庫が負担することとし、国が肩代わりまでするのだからというメルクマールを設けて対応されているのではないかというふうに考えます。あくまで拠出制の原則に立ちつつも、救済優先の考え方を導入されたのではないかと思っております。  なお、この厚年特例法におきましては、今申し述べたようなケースだけではなく、事業主保険料納付義務の不履行が明らかでないケースについては、可能性としては社会保険庁に実は納付していたということも否定できないのではないかという位置付けに立って、納付勧奨の対象とはなるものの、事業主名の公表や保険料肩代わりの国庫負担までは求めずに、年金給付が同法に基づくものとして行われ救済が行われる、こういう仕組みを取っているものと考えております。
  168. 山本博司

    ○山本博司君 それで、国庫負担をしていくということで、今回、国の責めに帰すべき事由、こういうことを主張していけば、猫ばばしている事業主であったとしても、社会保険庁がそれを反証することなかなか難しいですので、結果的に安易な国庫の納入という形でのそういう国民に対する負担があるのではないかという疑念がございますが、この点に関していかがでしょうか。
  169. 蓮舫

    ○蓮舫君 決して国民に疑念を持たれてはいけないという御指摘は、全くそのとおりだと思います。  ただ、私どもは安易に、国の責任があるものに対してはその事業主には還付の、納付勧奨を行わないで税金ですぐ支払っていいとは考えておりません。その際には、一体どういう社会保険事務所の関与があって、この事業主との間で改ざん等が行われたのかという、その責任をしっかり取ってもらうということは考えております。
  170. 山本博司

    ○山本博司君 この中で、今後、今ありましたけれども、非あっせんも含めて救済される方たちが増えてくるということが当然あるわけでございまして、先ほども、非あっせんが一万五千件ぐらいありました。また、今様々な形で記録問題等もやっておりますけれども、そうした今現状の十五億円というのは今年度のその現状の部分だけだと思いますけれども、そうした今後増えてくるその増加に対してどう考えていくかということに関して、もう一点お願いしたいと思います。
  171. 蓮舫

    ○蓮舫君 当然、これは被害が救済される方が増えることを私どもは目指しているわけでございますので、五〇%厚生年金の方の記録回復されて保険料分が、あっせん分が上がった場合に十五億ですが、これが六〇、七〇になってくると、やはりもう少し財源というのは広がってくると考えております。  ただ、平成二十一年度の社会保険庁業務運営費というのが全体で見ると四千三百十七億円、この十五億円というのはその部分の〇・三%分でございます。これは、二年前に消えた年金記録等の問題が起きてから、社会保険庁は既定経費の節減で、何とか税金ではなくて自分たちが汗をかいてこの部分は補てんをしていきたいということをおっしゃっていました。その姿勢は私たちも踏襲したいと思います。  なお、二年前に第三者委員会設置を決めて、八か月で五千万件の消えた記録をゼロ件にすると言われていた安倍元総理は、当時、自分が自ら汗をかくという部分で、安倍総理と当時の柳澤厚生労働大臣と村瀬社会保険庁長官とすべての社会保険庁の職員が夏のボーナスの一部を返上して十五億円が国庫に戻ってきて、これが消えた年金の整理に充てられています。その考えを私どもも踏襲していきたいと考えています。
  172. 山本博司

    ○山本博司君 最後に、やはり年金回復ということを考えたときに、年金記録問題のやっぱり第三者委員会のこの体制の強化、また、今後の取組という意味では大変大事であると思います。  総務省に対してお聞きしたいと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。しっかりお願いをしたいと思いますけれども
  173. 関有一

    政府参考人関有一君) 私ども第三者委員会の体制につきましては、委員も大幅に増やしましたし、それからそれを支える事務局職員も大幅に増やしてまいりました。  ただ、最近の傾向を見ますと、やはり十九年度に受け付けた事案それから二十年度に受け付けた事案を比較してみますと、トータルで受け付けた事案は、十九年度分が約五万件それから二十年度に受け付けた分が四万七千件程度ということで大きな変わりはないわけですけれども、二十年度受付分はもう圧倒的に大都市を抱えるところでございます。特に、東京は一・五倍ぐらいになっております。それから、大阪、神奈川、千葉、埼玉、そこが非常に件数が多い状況でございます。一方、比較的地方になりますと、その県で受け付けられております件数というのは、十九年度分と比べて二十年度分、大分減っております。  私ども、今考えておりますのは、東京を始めとする大都市にいかにこのマンパワーをうまく振り向けて迅速な処理をしていくかということでございまして、なかなかこれはだれかを雇えばすぐに処理ができるというようなことではなくて、やはり二か月、三か月掛けて徐々に習熟をしていくということで、更に人数をどんどん増やすということではなくて、既にある程度のスキルを持っておられる方、それをうまく再配置をしながら、二十年度以降に受け付けた分につきまして迅速な処理をしていきたいと考えておるところでございます。
  174. 山本博司

    ○山本博司君 最後に、大臣にこの年金記録回復促進に向けての決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  175. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) これまで二つの車輪を回してきました。一つはねんきん特別便、今定期便が行っています。国民の皆さん一人一人の御協力で、自分の経歴を見ながらこの年金記録を見ていただく。それから、もう一つはデータ、これを解析していく。大変手間暇の掛かる仕事ですけれども、粘り強くやっていきたいと思います。そして、国民皆様の御協力のおかげで、一億枚以上出したこの特別便、約六千五百万人の方々について記録確認が終わっております。  さらに、改ざん問題含めて、まだ細々とした問題も含めたくさん問題がありますので、先般の三月末の関係閣僚会議におきまして、今後、記録解明について一万人を超える規模の体制で対応するということでおりますので、引き続き粘り強く一人でも多くの記録を一刻も早く回復すると、そういう思いで努力を続けたいと思っております。
  176. 山本博司

    ○山本博司君 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  177. 小池晃

    ○小池晃君 日本共産党の小池晃です。  議論聞いていると、何かこれが通るともう不正がまかり通ってとんでもないことになるというような感じなんですけど、私は日本国民にもっと希望と信頼を持っていいんじゃないかなというように思いますし、とんでもないことやったのは、年金保険料を流用したり記録とか給付で大きな穴空けた歴代政権じゃないですか。そこの反省を忘れちゃいけないと、それが原点だというふうに私はまず言います。  だからこそ、安倍晋三首相はこの問題の対応のときに何て言ったかというと、国民の側に立って対応すると、社会保険庁ではなくて第三者委員会をつくって、領収書等証拠がなくても申し立てた方のお気持ちに立ちながら公正に判断すると答弁したわけで、これがまさに私は原点だと。これにどうこたえるかというのが今立法府に問われているんだろうというふうに思うんです。  現実に今何が起こっているかということで、総務省にお聞きしますが、実際却下されてしまった東京の厚生年金事案二百六十九、今日資料をお配りしましたけど、ちょっとかいつまんで説明してください。
  178. 関有一

    政府参考人関有一君) 本事案は、申立人が株式会社Aにおいて継続勤務していた期間のうち、途中の期間が厚生年金保険の被保険者期間として確認できないことに対する申立てでございます。この案件につきまして、平成二十年六月二十四日に記録訂正は不要である旨の決定を行っております。  この記録訂正が不要であると判断した理由でございますけれども厚生年金保険料が事業主により控除されていたことを確認できる資料や推認できる周辺事情が見当たらなかった、さらにヒアリング、御本人からお伺いしましたけれども、新たな事情も認められなかったものであるというものでございます。
  179. 小池晃

    ○小池晃君 でも、これ見ていただければ分かるんですが、認定されているわけですよ、適用事業所で消えた期間も働いていたことは。しかも、消えている期間の前後はその事業所での加入期間がこれはあるわけで。もちろん、本人保険料納付されていたとはっきり主張されているわけで、こういう事案でなぜ却下なのかと、私は大変疑問なんですね。  しかも、今、何か新しい材料がなかったとおっしゃるけれども、例えばこの事業所では、この時期に社長ともう一人の人を除いてすべての労働者の年金資格が喪失しているという事実がある。総務省はこれは退職されたんじゃないかと言うんだけれども、これは働いていた写真まで本人は提示をしているわけですよ、皆さんの。  しかも、この申請者は、資格喪失していたはずの期間に病気になった、どこの病院に入院したかも覚えていると。入院したことによって自分が定時制高校の卒業が遅れるので、夏休みに一生懸命勉強したと、ここまで覚えている。お母さんは、健康保険に入っていて良かったね、だからちゃんと入院できたねと、そういうことを言っている。当時は国民健康保険ありませんから、年金と医療というのは一緒に払っていることが多いわけで。さっき、マイナスがなくてプラス要素があればいいと言ったけれども、こういうプラス要素いろいろあるじゃないですか。  私は、こういう事情を考慮すれば、これは事業主は様々な事情で便宜的に喪失手続を取ったのではないかということが類推される事例で、被害者立場に立ってプラス要素をすくい上げれば、私はこういうのは記録回復されてしかるべきだというふうに思うんですが、保険料を控除されたことが証明できないから駄目だというわけですよ。  これ、結局、こういうことで却下したらば、私は記録回復なんてほとんど不可能じゃないかと思いますが、どうですか。
  180. 関有一

    政府参考人関有一君) 今議員からお話がありましたように、二十九年の九月末といいますか十月の時点で、この会社は八名おられたようでございます。十月の時点で六名の方の資格喪失届が社会保険庁になされております。そのうち四名の方は、この申立人ではございません、残り五人のうちの四名の方は数か月後に別の会社に就職をされているということが確認をできました。もう一人の方については、再就職されたのかどうかということは、よく事情は分かりません。  この御本人は継続して勤務していたんだということなんですけれども、資格喪失届が出ていると。そうすると、この四名の方、お辞めになって別の会社に移られた方と同じような、同じと言ったらいけません、何か事業主にとって、資格喪失届をするということですから、この四名の方と全く同じとは申し上げませんけれども、何か事情があって資格喪失届がなされたのではないかというふうに考えられるわけでございます。  それで、三十年の十二月以降はまた資格を取得しておりまして保険料が徴収されているわけですけれども、二十九年十月から三十年十二月の間について保険料がどうなったかということが分からなかったということでございます。
  181. 小池晃

    ○小池晃君 だから、その四人は別の会社に就職したんだから、それは当然別の事業所に行っているわけで、今のは何の説明にもなっていないんですよ。  この方は働いていたと、ちゃんと。だって、この事案というのを認定しているじゃないですか、第三者委員会で、その期間はずっと働いていたんだと。ところが、なぜか脱退して、また加入していると。おかしいじゃないかというふうに、私はこれを見たら、どう考えたっておかしいなと。それを何か、別の要素で、わざわざ違うんだとマイナス要素をあら探ししているようにしか私には聞こえないですよ。  やっぱりこういう事例は私は今の法律の精神でいったって本当は認定されてしかるべきだというふうに思うんですが、実態としては、今、第三者機関でこういうのは切り捨てられているんですね。  そこで提案者にお伺いしたいんですけれども、立法者の意思としては、こうしたケースについてはこれはやっぱり救済していく方向で進むべきなんだと、今回の法案というのはそういったことにつながっていくものなんだというふうに考えていらっしゃるのかどうか、御答弁願いたい。
  182. 蓮舫

    ○蓮舫君 御指摘の申立人は、私ども会議にも来てくださって、様々なお話をしていただきました。  確かに、保険料を控除した物証はお持ちではないんですけれども、写真も持っているし、五十年前の入院の記憶ですとか、あるいは当時の勤務状況ですとか、大変明確で、しかも同僚の証言もある。しかも、同僚はその当時働いていた方がおられるのに、この方だけが資格喪失されている。第三者委員会は恐らくこの資格喪失されている物証を見て判断をされたと推測されるんですが、ただ、ちょっと私ども立場としましては、今この本改正案を審議している立場なので、個別具体的にどうだとは言えませんが、発議者としてはこうした方たちが今非あっせんとなっていることは非常に痛ましく思っております。是非、こうした方たちを一人でも多く救済するために、本改正案を一日でも早く上げていただきたいな、お認めいただきたいなと思います。
  183. 小池晃

    ○小池晃君 第三者委員会保険料納付の証明にこだわる余りに十分に救済が進んでいないという現状は、本当にこれは党派を超えて解決しなきゃいけない問題だというふうに思いますし、趣旨はいいんだという発言が与党の方からも相次いだわけで、是非これは建設的な方向で議論を進めるべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。  関連して、昨年九月の当委員会で、第三者委員会記録改ざんされた十七事案について、その事業所で同様の処理がされたと思われる同僚についてはどうなっているんだと、調査していただきたいというふうに言いました。結果、どうなっていますか。
  184. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今委員がおっしゃった件数、十七事案というふうにおっしゃったかと思いますけれども、私どもの方でその事務処理を進めておりますのは十六事案あっせんの対象となった十六事案で、それに関する申立人の同僚百七十名について今救済の手続を進めているわけでございます。  二十二日時点での対応状況でございますけれども、住所が御不明であるというようなことで、これは再三にわたって御連絡を取ろうとしているんですが取られないということで、そういう状態にあるものが三十件でございますけれども、そういうものを除いて、御本人又は御家族に対して既に説明を行っているものが百四十件、残りのすべてでございます。  このうち、年金記録にかかわります確認申立書、これを御提出していただいているものが百二十一件というふうになっています。ここから先は少し細かな話になりますが、簡単に申し上げますと、提出をいただいて更に作業を進めまして記録訂正に至ったものが九十六件、それから第三者委員会の方に御送付申し上げたものが十五件、それから送付手続をなお行っているというものが七件、そして最後、確認申立書のお取下げの御要請があったもの、お受けしたものが三件と、これトータルでございます。
  185. 小池晃

    ○小池晃君 かなり回復につながっているわけですね。それで、これは去年取り上げたときにはこの百七十だったわけですが、それ以降もこういう同じ事業所の中で同様のというケースはいっぱい出てきているわけで、これは処理終わっていますか。
  186. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  本年三月末現在において、第三者委員会においてあっせんがなされて、それにかかわる申立人の同僚ということで救済の対象となるべき者、これの言わば割り出しと、それから割り出せた方についてはその連絡を取らせていただいて、そして必要な御案内申し上げつつ事務を進めております。百七十事案、そのうち十六事案、これはそういうことで進めておりますので、それを除いて百五十四事案ですね、これを内容に応じて割り出し作業を進めておるという状況になっております。
  187. 小池晃

    ○小池晃君 大臣、まだ経過途中だというんですけど、これ迅速にやっていただきたいのと、やっぱり期限区切ってきちっとこういう仕事をやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
  188. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) できるだけ迅速にということはそれはやりたいと思います。ただ、もうこれは本当、過去の記録一人一人いろんなデータから確実にしていかないといけないので、若干そこは時間掛かるということをお認めいただいて、御要望のようにできるだけ早くやりたいと思います。
  189. 小池晃

    ○小池晃君 続いて、保険料の徴収の問題についてお聞きしたいんですけれども、経済危機の中で医療や年金保険料の徴収、滞納事業所が今増えております。滞納があってもこれ一律に機械的に対応するんじゃなくて、やっぱり個別の事情を十分に踏まえながら納付をしてもらう、そういう対応が求められると思うんですが、大臣、全国の社会保険事務所にはどのような指導をされていますか。
  190. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) それぞれの事情がありますので、きめ細やかに事情をよく聞いて様々な、例えば分割納付をするとかいろんな手がありますから、そういうことも説明してきめ細やかに対応しろと、こういうことを徴収事務については指示をいたしております。
  191. 小池晃

    ○小池晃君 そうであればいいんですが、現場を見ると実態いろいろあるわけですね。  先日、こういう相談がありました。能登観光自動車という観光タクシーなどやっている石川県穴水町の会社です。能登地震があって、それまでは順調だったんだけれども、それ以降かなり資金繰りが大変になっていると。社会保険料について、指定期限には遅れ気味だけれども、何とか遅れ遅れで払ってきたという会社です。  まず、ちょっと去年の問題なんですが、年度末に当たる二月分の納付を強く迫られて、資金繰りの関係で四月二十日の指定期日に間に合わなかったと。一週間後の四月二十八日に銀行口座を差し押さえられた。足りない分は先日付小切手を差し入れるということで、ゴールデンウイーク明けに払ったと。これ、観光タクシーだからやっぱりゴールデンウイークに実入りがあるわけですね。だから、それがないとなかなか払えないということでこういう事情になったというんですが、事情を把握して踏まえてやると言うけれども、こういう実情の会社でも指定期日を過ぎたらわずか一週間の猶予だけで差押えと、こういうやり方で社会保険庁はやっているんですか、どうですか。
  192. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  保険料納付したくても経営状況が非常に厳しいということで滞納状態が発生している、そういう事業所に対しては、私どもも、今大臣の方から申し上げましたように、滞納が発生したからといって直ちに強制的な処分の手続に入るということではなくて、やはりきちんと御事情を聞いて、そして払える要するにその状況というのがどうなのかというのを踏まえて、いろんな方法を用いていきたいというふうに考えています。  それで、今御紹介のあった事業所の件ですが、私どもも若干調べさせていただきました。
  193. 小池晃

    ○小池晃君 それは去年の。
  194. 石井博史

    政府参考人石井博史君) ええ、去年の状況も調べさせていただいたところ、余り端的に単純化してはいけないんですけれど、十九年度一か年を見ますと、納期内に御納入いただいたのが三月分だけと、あと九か月が、督促状でお願いしたんですが、そこでお示しした納期にも届かないというようなことで、これは御事情もあったんでしょうけれども、再三にわたって、払いましょう、じゃお願いします、しかし直前になって守れません、ごめんなさいというような状態が一年続いたという状況が私どもなりに把握しております。  そういうようなことで一定の配慮してきたんだけれども、昨年の場合は四月になって、その直前になしていた御先方の約束、これ守れないというお申出があったので、やむなく差押えの予告通知を送付して、御来所いただければ相談の余地はあるかもしれませんねということを申し上げましたけれども、それもできなかったというようなことで、一定の配慮をさせていただいた上での措置ではなかったかというふうに思っております。
  195. 小池晃

    ○小池晃君 ところが、一定の措置って、一週間後に差し押さえるって、一定の措置とは言えないですよ。今年も二月分の納付が強く迫られていて、どうしても資金繰り付かないから、二月分の社会保険料四十万円、これを四月末までに半分、ゴールデンウイーク明けに半分、これで払うと申し入れたんだけれども駄目だと。先日付小切手担保に納めるのでお願いしたいと言ったけれども、駄目だと。昨年も差し押さえられているから、二回やられたらもうこれは銀行取引停止になるというふうに相談したら、仕方がないですねと言われたというんですね。  こういうふうに、会社つぶしたらもう大変なことになるということで言っているときに、倒産に追い込んでも構わないんだと、こういう対応でいいんですか。
  196. 石井博史

    政府参考人石井博史君) 今年の状況についても、この事業所について私どもなりに把握させていただきました。それで、やはり厳しい状況が続いていると、それを踏まえて、私ども、一月、二月、それから四月に入っても、丁寧に対応せよという示達をしているわけでございますが、今委員の方からちょっとお話ございましたけれども、このままでは倒産してしまうという御先方のお話に対して、きちっとそれを受け止めるようなちょっと対応ができなかったといううらみがあったやに承知しておりますが、現時点では、お申入れをいただいた分割納付、連休明けでの残り半分のお支払、これでもって対応させていただくということで両者合意ということになっているというふうに承知しております。  以後、気を付けていきたいというふうに思っております。
  197. 小池晃

    ○小池晃君 だって、これだって、私が国会で取り上げるぞ、質問するぞと言ったら、翌日になったら分割納付でいいよと。これ偶然とは思えないんですよ。  こんなことやったら、全部国会で追及していかないとこういうひどい仕打ちがまかり通るということになるんで、大臣、実態こうですから、きちっとここのところは対応させていただきたい。簡単にお願いします。
  198. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) ひどい仕打ちはいけませんが、逆のことを言うと、私も会社経営していましたから、私が経営者なら、従業員に頼んで、給料一割連休後になるけど待ってくれ。それから、取引先ありますね。運輸会社だったら、ガソリンスタンドとやっていますよ、支払ちょっと待ってくれ。こういうことだってやれることなので、私はむしろこの経営者に会って直接、あなたどういう経営やったんですかということを聞きたいぐらい。  というのは、公租公課については、今言ったようなことをやりながら、歯食いしばって、まず税金、まず保険料を払っているところがあるんです。ですから、そういう面も考えて実態をよく見たいと思いますが、ひどい仕打ちは、それ、していることがあればいけません。それは、(発言する者あり)だけど、やっぱり小池さんも、こういう私が言ったような面をおっしゃるとバランスの取れた質問になると思います。
  199. 小池晃

    ○小池晃君 いや、私はこういうことで倒産に追い込んで仕方がないですねという対応は許されないと言っているんですよ。だから、それ、やめるって言ったんだから、素直に認めなさいよ。  最後に、今日四時から臨床研修制度の見直しをめぐって部会が開かれると。これで疑問の声が今、医療界からたくさん上がっているんです。簡単に、パブリックコメント、四月十七日まで募集しましたが、件数は何件か簡単に答えてください。
  200. 外口崇

    政府参考人外口崇君) パブリックコメントの件数は、これは団体の意見や連名で提出された意見は一件と数えて集計しているところでありますが、総数千二百四十一件であります。
  201. 小池晃

    ○小池晃君 これだけ多数の声が寄せられているんです、大臣。そしてしかも、昨日私が厚労省に聞いたら、数は把握してないと言った。こういう状況で、四時からこの省令の改正の結論をたった二時間で出してしまうと。こんなこと、私、許されないと思いますよ。今、医療界を挙げて慎重に検討すべきだという声が上がっているときに、私は、これ今日結論出すべきじゃない、しっかりこのパブリックコメントも踏まえて検討すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。結論出さないでいただきたい。
  202. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 今日で決まるわけじゃないですから、きちんと議論をしていただいて、最終的にどういうふうにするのかということは、検討した上で結論を出したいと思っております。
  203. 小池晃

    ○小池晃君 そもそも、医師不足の解消を研修医の強制的な配置で行うということは許されないし、そこには良い医師を育てるという一番大事な観点が私は欠落していると思います。  臨床研修の見直し、特に都道府県別のこの上限設定は撤回すべきだと、パブリックコメントを通過儀礼にするようなやり方は絶対に許されないということを申し上げて、質問を終わります。
  204. 福島みずほ

    福島みずほ君 社民党の福島みずほです。  社民党もこの法案の共同提案者になっておりますので、この法案を是非早急に成立させた上で、一刻も早く一人でも多く救済ができる人たちを増やしたいというふうに思っております。  どの党もそうでしょうし、どの方もそうでしょうが、多くの皆さんからたくさんのメール、相談、そして解決をしています。社民党にも、例えば七十五歳の方で厚生年金が昭和二十九年に四か月掛けていた年金が漏れていて、昨年の十二月に届出して年間二万円の支給があると言われたが、まだ払われていない。七十四歳、現在入院中の方の場合は、厚生年金を掛けていたが、年金漏れが昨年七月に分かり、届け、年間八万一千円の支給があると言われたと。どうして社会保険庁に届けてから半年、一年もの時間が掛かるのかという質問が私たちに来たり、今、がんで入院をしていて早く年金を支給してもらいたいという、そういう声を聞いております。  ですから、提案者に改めて、この法案がなぜ必要か、一言お願いします。
  205. 津田弥太郎

    委員以外の議員津田弥太郎君) お答えを申し上げたいと思います。  福島委員質問が最後ということもありますので、本当に本日は法案に対する様々な観点からの御質問をいただき、大変勉強になる意見もあったわけでございます。率直に感謝を申し上げたいと思います。  また、本日の質疑を通じて、法案の趣旨そのものについては、多少の違いはあるかもしれませんが、与党の皆さんも決して否定はなさらないということを確認ができたのではないのかなというふうに思うわけでございます。本日御指摘いただいた各論点について、私はぎりぎりのところまで行けば被害者救済を何よりも優先させなければならないというふうに考えております。  不正の排除に力を注ぎ、あっせんハードルを高めることで真に保険料を払っていた人が非あっせんとなるようでは、第三者委員会の存在意義そのものが問われることになるわけでございます。被害者にとって年金記録回復しないことは、まさにその期間の自らの人生そのものを否定されるにほかならないわけでありまして、その尊厳が傷つけられるに等しいわけであります。  年金高齢期の生活の支えであり、極端な例では、年金記録が消えていたために年金受給年齢となっても無年金となって、結果として生活をしていくために八十歳近くまで働かねばならなかった女性の事例もあるわけでございます。さらに、国を信じてまじめに保険料を納めてきた方が非あっせんとなるならば、公的年金制度の信頼が失われるのみならず、政府や政治そのものへの信頼が失われることにつながってまいります。  昨日の日本経済新聞で特集記事がありまして、第三者委員会の梶谷委員長が記者会見で、「六割が却下というのは思ったよりも多い。もっと多く救済すべきだという考えもあるだろうが、それは仕組みをつくる人たちの政治判断」というふうに述べられております。そのことをしっかり実現をしていければというふうに考えております。
  206. 福島みずほ

    福島みずほ君 ありがとうございます。  今日委員会でも出ましたけれども年金記録に係る申立てに対するあっせんに当たっての基本方針平成十九年総務大臣決定で出されました。基本的考え方として、「年金記録を管理・運営する社会保険庁関係行政機関の管理に起因する問題であり、保険料を納めてきた国民の側に不利益を及ぼしてはならない。」というふうにあります。この基本方針の最初に最も重要な方針を示していると思いますが、厚生労働大臣、いかがですか。総務省でも結構です。
  207. 関有一

    政府参考人関有一君) まさにそのとおりだと考えております。
  208. 福島みずほ

    福島みずほ君 では、その方針がありながら、年金記録問題で訂正申立てを受けてから各地の年金記録確認地方第三者委員会に転送するまでに平均八十一・六日掛かっている。また、今日も出ておりますが、政府の専門委員会回復を認めた件数は約三五%であり、保険料納付した事実の立証は極めて難しいことが数字で明らかになっております。  このような申立人の置かれた状況基本方針の重要な方針に明確に反していると考えますが、いかがですか。
  209. 関有一

    政府参考人関有一君) 第三者委員会への申立ては、基本的に社会保険事務所などを通じて行われることになっております。まず、社会保険事務所に申し立てられましたときに、社会保険事務所で持っております申立人の様々な情報を整理をしていただきまして、それから御本人からも事情を聞いていただきまして、資料を整えて第三者委員会の方に送付をしていただいておると。その期間が今先生おっしゃった何十日かということかと思います。  第三者委員会に参りましてからは、また私ども社会保険庁で持っているデータ以外に様々な機関に問い合わせをしたりということで作業をやっておりますけれども基本的に社会保険事務所段階で最低限の基本的な資料を整えてもらう、そのために一定の時間が掛かるということはやむを得ないことなのかなというふうに思っております。
  210. 福島みずほ

    福島みずほ君 救済されなかった人が六五%、この状況について、厚生労働大臣、満足していらっしゃいますか。
  211. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) もうそれは百人いれば百人救済したいと思っています。
  212. 福島みずほ

    福島みずほ君 百人いれば百人救済したいにもかかわらず三五%しか救済されていないわけです。これを改善するべく私たちは法案を出したというふうに考えております。  未統合記録五千万件ですが、未統合記録について見ると、住基ネット調査で五年以内に死亡したものと判明した記録が五十二万人、一%に達しています。これは申立てとはもちろん違いますが、守られるべき国民の利益が守られなかったと社民党は考えております。国民に不利益を生じさせている状況ではないでしょうか。大臣。
  213. 石井博史

    政府参考人石井博史君) ちょっと事実に関する部分もありますんで、その部分、ちょっと交えてお答え申し上げたいと思いますが。  冒頭、今議員から未統合記録五千万件のうち住基ネットとの突合で五年以内の死亡者ということで五十二万件、一%ですけれども、これが正しい年金が支払われることなく亡くなった方と、こう御認識なさっているというお話がございましたが、これは当たらないのではないかと。  なぜならば、この中には現役加入者の亡くなった方の記録、それからあと御在職ということで支給停止が行われた方の記録なんかもここへありますんで、丸々五十二万件というのが正しい年金が支払われたことなく亡くなった方というふうな認識はちょっと違うのではないかというのが私どもの感じでございます。  しかしながら、私どもの方もやはり正しい年金を一日も早くお支払いしていかなければいけないということは、これは当然のことだというふうに思っておりまして、先月末の関係閣僚会議におきましてお示ししました具体的な対応方針では、今年の三月までにねんきん特別便に対して訂正ありということで御回答をいただいた分については今年中に年金記録確認作業を完了する、それからもう一つ課題であります再裁定処理でございますが、これも体制を強化いたしまして、本年夏ごろをめどに業務センターへの進達から三か月程度でお支払という形で具体化できるように目指すということになっております。  こういった点を含めて、何しろ集中的、計画的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
  214. 福島みずほ

    福島みずほ君 死亡の届出が出ている記録平成二十一年三月で四百一万人、七・九%に達しております。八十歳代の方々、病気をしている方々から、給付が余りにも遅い、何とかならないかという声もあります。この状況国民の側に不利益を及ぼしている状況ではないでしょうか。
  215. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  今御指摘いただいたパーセンテージというのは、今年の三月でございますけれども関係閣僚会議の方に御報告したときに添えた資料の中に未統合記録の全体像というのがあって、その中に一応の解明ができたものとして分類しております中に死亡が判明した者の記録というのがあって、ここのところの数字をお述べになったものと、七・九%でございます。  これは様々なものがこの中に入っているというふうに思っておりまして、やはりこれについてすべてが言わば正しいお支払を受けることなく終わったものというふうにとらえるのは正確ではないのではないかというふうに思っております。
  216. 福島みずほ

    福島みずほ君 私が言っているのは、正しいものもあるかもしれませんが、結局死亡の届出が出ているわけですね。この中には、結局自分が十分掛けた保険料年金という形でもらわずに亡くなった人がいるということなわけです。  さっき、津田発議者の方から、年金自分の人生そのものだと、つまり、それをもらわないで亡くなっている人がいると。これは年金は、今相続、もちろんそういうのはそれはあるわけですけれども、生きている間に自分の掛けた年金保険料自分がもらえないというのが国民の側に不利益を及ぼしていると。だからこそ、社民党も発議者として、生きている間にせめて救済を本当に急ぐべきだという観点からこの法案を出しております。  野村修也標準報酬遡及訂正事案等に関する調査委員会委員長の認定方法についての提言についてお聞きをいたします。  社民党も勉強会に来ていただいて話をお聞きしました。二〇〇九年二月四日版の朝日新聞の取材に対して、解決方法として、申請者を信じてどんどん払っていく方法しかない、まじめに保険料を払ったのに証明できず、泣く泣く死んでいく人をたくさん出している、被害者に個別に証明を求めるのは無理だ、中にはうそをついて年金を多くもらう人が出るかもしれないが、保険料を払いながら受給できない被害者を出していいのか、後で不正受給が発覚したら厳罰を科せばいいと発言をしている。  委員会委員長が検討した上で、このような提言を表していることをどうお考えでしょうか。
  217. 関有一

    政府参考人関有一君) 野村教授がおっしゃっていること、なるほどなというふうに思っております。  ただ、教授がおっしゃっておりますのは、第三者委員会の今の運営状況がおかしいというよりも、改ざん問題ということで厚生労働省社会保険庁の方でお調べになった例えば六万九千件について改ざんの疑いが非常に濃いと。そういうものについては一々、今更第三者委員会の手続を経て結論を出すというようなことではなくて、第三者委員会とは別のスキームで迅速な処理をしていくことが重要なんじゃないかということをおっしゃっているのではないかと思います。  それから、その点に関しまして、私どもとそれから社会保険庁お話をいたしまして、記録訂正が必要だと、さかのぼって記録訂正がなされておって、それは合理的な処理でなかったと。それにかかわるような事案については、一定の型に当てはまるものでございますので、それは第三者委員会申立てという入口はありますけれども、わざわざ第三者委員会事務局の方に送付をしていただくのではなくて、社会保険庁段階で職権訂正をしていただく、そういう仕組みも整えたところでございます。
  218. 福島みずほ

    福島みずほ君 社会保険庁の窓口で訂正してもらうのもなかなかしてもらえないので第三者委員会に皆さんがおっしゃっているわけで、両方の場面においてやはり救済をどうしていくかという視点に立ったことが必要だと考えています。それがこの法案を提出した理由の一つでもあります。  野村さんは、不適切事例のうち従業員の記録が改ざんされたものについては、厚生年金特例法の例えば改正によって給与明細等の提示がなくても救済できるようにすべきだとの考えを持っています。これはもちろん厚生年金特例法の改正についてということなのですが、私たちが出している法案と共通の部分、できるだけ立証方法を簡易化して救済をしようという点では共通だと考えております。このことについてはどうでしょうか。また、野村さんは、第三者委員会の認定基準を緩和することについても、不正請求について厳罰に処することを前提に、証言に不合理がない場合、記録訂正すべきとの考えですが、この考えについてもどうお考えでしょうか。
  219. 関有一

    政府参考人関有一君) 今、先生がおっしゃった別のスキーム、恐らく野村先生が言われましたのは、今、社会保険庁の方で、改ざんが疑わしい、改ざんされたのではないかということで調べておりますジャンルが、事業所が倒産等をいたしました直後に標準報酬月額がさかのぼって下げられておると、そういうものについて今お調べになって六万九千人とか、あるいはそのうちの二万人について戸別訪問をしておると、そういう作業をやられておるけれども、それとはまたもう一つ別のジャンルとして、会社が倒産等をいたしました直後に個々の従業員の加入期間についてさかのぼって訂正がなされておる、そちらの方については何もまだやっていないのではないかと、それについても大変大きな問題であるということを御指摘になっているのだと思っております。
  220. 福島みずほ

    福島みずほ君 御本人とレクチャーしてもらっていろいろ勉強会を持ちましたけれども基本的な考えは、データの解明も重要で突合も重要だけれども、エネルギーやお金や時間を被害者救済を優先する立場からやるべきだというある種の哲学に貫かれていて、私は今、高齢者の皆さんが生活も苦しく救済が必要なために被害者救済を急ぐべきだというふうに思っております。だからこそ、今提案されている法案は、そこの立証をどうするかという法案になっているわけです。  発議者、いかがですか。
  221. 蓮舫

    ○蓮舫君 全く同じ考えでございます。
  222. 福島みずほ

    福島みずほ君 大臣にお聞きをいたします。  一月の段階で、委員会、衆参合わせたこの厚生労働委員会の中で促進すべきだという質問が相次いだときに、担当職員を現在の二百八十人から五百人に増やす方針だということをおっしゃっていらっしゃるんですが、それでもなかなか追い付いていないというふうに思うんですね。  現在の体制、十分かどうかということについて答弁をお願いします。
  223. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 再裁定の話ですけれども、今のは、これは先ほど運営部長も申し上げましたように、夏ぐらいをめどに、進達してから三か月程度でやりたいと、その体制を組みたいというふうに思っています。  それから、ねんきん特別便、これ訂正ありと御回答いただいた方のがなかなかこれも進まないんですが、これも本年以内には年金記録確認作業を終えたいというふうに思っています。そして、是非、まだ回答のはがきを出していない国民皆様がおられましたら、またこの場を借りて御協力をお願いしたいと思います。
  224. 福島みずほ

    福島みずほ君 センターが再裁定を受け付けてから本人に本来の年金額が支払われるまで平均約七か月掛かって、一年以上掛かっている例もあります。高齢者の皆さんは、もうあとどうなるんだろうという不安があるわけですね。もう少しスピードアップをすべきではないでしょうか。  社民党が考えていることは、政府がこれまで年金記録をずさんに扱ってきたことの責任を真摯に反省して積極的に取り組むべきだと。社会保険庁の例えば退職者を総動員し、例えば派遣やパート、契約社員や、そういう形では、実は非常に能力、能力というか専門的スキルが要る分野なので、社会保険労務士あるいは退職者をも含めて総動員し、事務処理を速やかにすることを要求したいと思いますが、大臣、いかがですか。
  225. 舛添要一

    ○国務大臣(舛添要一君) 先ほどお答えしましたように、その七か月を三月にするために全力を挙げて皆様方の御協力を、例えば社会保険労務士の皆さん方の御協力もいただいて体制整備をしているところでございます。
  226. 福島みずほ

    福島みずほ君 もう一回、体制について再確認いたしますが、今は五百人でやっているということでよろしいのでしょうか。
  227. 石井博史

    政府参考人石井博史君) お答え申し上げます。  委員の方からございました再裁定の体制二百八十名というのは、昨年十二月末時点のものでございます。今年に入りましてから、更に思い切った拡充をしてございます。例えば、地方から二百五十名というようなことで、一定の高いスキルを持った人間を集めましてそれで集中配置するというようなことで、現時点では四百七十名という、三月末時点ですね、体制になってございますけれども、更にこれの人数の上積みをしたいというふうに思っています。中身的には、そういうスキルのある職員、それから社会保険労務士で一定レベルの方、それからOBの参加も得ているところでございます。
  228. 福島みずほ

    福島みずほ君 一月二十一日の新聞で、担当職員を現在の二百八十人から五百人に増やす方針だということで出ているので、今答弁なったとおりだと思います。  しかし、今日また申し上げたいのは、五百人でも実は少ないんではないか、七か月を三か月に減らすためにもう少し頑張ってほしいと思いますが、いかがですか。
  229. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 石井運営部長、簡潔にお願いします。
  230. 石井博史

    政府参考人石井博史君) はい。  お答え申し上げます。  私ども処理計画、ざっくり申し上げてこういうふうに考えています。  まず、毎月毎月の事務所から業務センターに進達される件数ですが、これは平均的に言って八万から十万、新しいものが上がってくると。他方、四百七十名ないし五百名、この体制で実現する月当たりの処理件数を二十万件、十九万件から二十万件というふうに見立てています。したがって、一定数、例えば昨年十二月末時点ですと八十万件前後の言わば在庫があったわけですが、毎月十万件ずつ減っていくということで、現在、その数が減っております。そういうことを更に強化することで、先ほど大臣の方から申し上げましたけれども、この夏ごろを目途に、従来七か月というものを三か月を目途に縮めていきたいということでございます。
  231. 福島みずほ

    福島みずほ君 刑事裁判は、疑わしきは被告人の利益ですが、この年金の問題に関しては、疑わしきは年金保険者の利益にということでやるべきであると。その観点から、社民党は共同提案をしておりますが、立証の面も、職員のスタッフの充実だけでなく、立証の方法も申立人の利益になるように改正すべきだということを強く申し上げ、私の質問を終わります。
  232. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  233. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、橋本聖子君が委員辞任され、その補欠として中山恭子君が選任されました。     ─────────────
  234. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 社会保険保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案及び厚生年金保険保険給付及び国民年金給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  提出者衆議院厚生労働委員長田村憲久君から趣旨説明を聴取いたします。田村憲久君。
  235. 田村憲久

    衆議院議員(田村憲久君) ただいま議題となりました両案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  まず、社会保険保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  現下の厳しい経済社会情勢の中、社会保険保険料等の期限内の納付が困難になっている事例が多くあると考えられ、このような場合、年一四・六%の割合で課せられる延滞金は、事業主等にとって大変重い負担となっております。  本案は、こうした事業主等の経済的負担の軽減に資するため、国税徴収の例を参考にし、社会保険保険料等に係る延滞金の割合を納付期限から一定期間軽減する措置を講じようとするものであります。  以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。  現行では、年一四・六%の割合で徴収している社会保険保険料等に係る延滞金のうち、広く事業主が負担・納付義務を負っている厚生年金保険料、健康保険料、児童手当拠出金等に係る延滞金については、納付期限の翌日から三月を経過する日までの間、労働保険料等に係る延滞金については、納付期限の翌日から二月を経過する日までの間、それぞれ年七・三%に軽減することとしております。  ただし、当分の間、日本銀行が定める基準割引率に年四%を加算した割合が年七・三%に満たない場合は、その割合とすることとしております。  なお、この法律は、一部を除き、平成二十二年一月一日から施行することとし、延滞金の軽減措置は、施行日以後に納付期限の到来する保険料等に係る延滞金に適用することとしております。  次に、厚生年金保険保険給付及び国民年金給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案について御説明申し上げます。  年金記録問題については、政府において様々な対応が実施されておりますが、問題発覚後二年余りを経過した現在においても、いまだ解決に至っておらず、一刻も早くすべての方の年金記録を正しいものとすることが求められております。  また、年金記録訂正され、訂正後の正しい年金額が支給された場合であっても、本来の支給日から大幅に遅れて支給された方に対しては、特段の措置は講じられておりません。  本案は、こうした年金記録問題の重大性及びこの問題に緊急に対処する必要性にかんがみ、かつ、公的年金制度に対する国民の信頼を速やかに回復するため、年金記録訂正がなされた上で年金給付等を受ける権利に係る裁定が行われた場合において、大幅に遅延して支払われる年金給付等の額について、その現在価値に見合う額となるようにするための特別加算金を支給しようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。  第一に、社会保険庁長官は、厚生年金保険及び国民年金の受給権者等について、年金記録訂正がなされた場合において、年金時効特例法に基づいて支払われる年金給付等の全額を基礎として、本来の支払日から実際の支払日までの間の物価の状況を勘案して政令で定めるところにより算定した特別加算金を支給するものとすること。  第二に、国は、適正な年金記録に基づく年金給付の支給に係る業務が円滑かつ迅速に遂行されるよう、当該業務に従事する人材の確保その他必要な体制の整備を図るものとすること。  なお、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が両案の提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  236. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。──別に質疑、討論もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  社会保険保険料等に係る延滞金を軽減するための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  237. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、厚生年金保険保険給付及び国民年金給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  238. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 辻泰弘

    委員長辻泰弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会