○衛藤晟一君 実は、この法案を読んでみますと、いわゆる帰責
事由の有無をなかなか
判断しづらい。そのときに結局、そうなりますと、
事業主本人もそのことが証明されなければ全部免責されるということになってしまうから、それでは、今想定していないということでございますけれ
ども、私も、そのとおりの
認識をされているというんであれば、ただこの法案ではそういう結果になりますよということだけ指摘をさせていただきたいと思います。
それから、この法案の改正
趣旨について、言わば
第三者委員会の
あっせん状況を
改善するようにということを目的としておるということでございましたけれ
ども、
事業主が具体的に事実
確認に
協力するか否かを問わず、国の責めに帰すべき
事由があるおそれがないと認められる場合には
納付勧奨、公表をしないという整理にしておられます。
ですから、今申し上げましたように、悪質な
事業主ほど、
社会保険事務所からの指導を受けたなどと
現時点では
確認することが困難な
主張をして責任逃れをするのではないかというふうに思うんですね。非常に善意の
事業主にとってみたら、全部
お話ししてくれるかもしれない。しかし、悪質な方ほど、逆に、
社会保険庁からこういうような指導を受けて我々は改ざんやったんだよとか、それからそういうことに関与していたんだよということを言って自らの責任を逃れる可能性が出てくるという具合に思われますので。ですから、そういうところにつきまして、このような
仕組みでは、
事業主の
協力が結果的には進まないことになってくる。そして、今まで言われていましたように、悪質な
事業主についてはやっぱりおかしいんではないのかということを
主張されていたと思うんでありますけど、そのことによって、逆に、
第三者委員会での
あっせん率の
改善にはつながらないんじゃないかという具合に思うんですね。
さらに今度は、前国会において、
皆様御承知のとおり一年半前この厚年
特例法が
与野党共同修正をいたしました。そして、最終的に国が
事業主に国庫負担分を代位請求する規定が盛り込まれたわけですから、ですから単に言わば
勧奨はしないよ、
納付勧奨をしないよと言ってもこの部分は全部生きているわけですから、結局のところは本当に善意のこのような
事業主が
協力するというような形にはなかなかならない。言わば、
納付勧奨や公表、免責したような
ケースについても、結局は国は
事業主に請求権を行使できるということが残っていますので、この代位請求については一切触れていませんので、逆にそれをやれるんであれば同じだということになって、
協力を積極的にしなければいけないというような動機付けにはならないようなシステムになっているんですね。ちょっと言葉の表現は、まあ津田先生は分かるようでございますね。
だから、そういうような
仕組みを作っても、これが天引き等の事実
確認に関する調査に積極的に
協力してくれるという動機付けにはならないということは、代位請求が残っていたのでは結局はならないと。ほかにいろいろ簡単にできますよ、免責されますよと言っても、悪徳の人も一緒に免責されるんでは困るし、かつ善意でもって何とか頑張ろうという人にとって見ても、それができない場合には結局は代位請求という項目が残っていますから、やっぱり国から、一回国が払ったものを代位請求されるというような結果になるんで積極的に
協力するインセンティブになるのかというと、これまた難しいというのが実情でありますので、このことについて多分余り
認識をされていなかったんじゃないかという感じがするんですけど、どうですか。