○西島英利君 どうぞよろしくお願いいたします。
もう
一つは、レセプト完全電子化のことについて御
質問させていただきます。
私は、この義務化云々の話を今日ここでするつもりは毛頭ございません。そもそも、医療のITの問題につきまして、どういうような歴史的な流れがあったのかというお話をさせていただいて、そして
皆さん方の御理解を得たいというふうに思うんですが、
平成十三年の十一月に、私が担当しておりましたけれども、日医IT化
宣言というのをやっております。それはどういう
内容かといいますと、医療現場のIT化を進めるため土台となるネットワークづくりを行うことを
宣言し、まず各医療現場に標準化されたオンライン診療レセプトシステムを導入して互換性のある医療情報をやり取りできるようにする計画、つまりオンラインレセプトコンピューターアドバンテージという、これを推進しますということで、このIT化
宣言をしたところでございます。
そして、いろいろ調べていきますと、実は互換性が全くない。つまり、メーカー間の情報のやり取りができないと。それから、違うメーカーの機械を買いますと今ある機械の中に入っているデータの移行ができない。ですから、競争のない世界の中で実は医療のIT化はずっと進んでいたということが分かってまいりました。さらには、医療の情報の標準化がなされていないということがこれも分かってまいりました。そこで、こういうことをきちんとするということ、それからセキュリティーは当然でございますけれども、そういうふうなことを
厚生労働省といろいろとやり取りをしてきたところでもございました。
ところが、今回、レセプトのオンライン請求の中で標準化はなされましたという言い方をされていますが、あれは、医療情報をやり取りするための標準化は実はなされていないんですね。このレセプトのオンライン請求のための標準化はなされたんです。
だから、実際にこの医療IT化の一番の
目的は、それぞれの医療
機関や様々なデータを収集し分析をして、それを医療の質の向上に充てるというのが本来の
目的であったはずでございます。ですから、本来の医療の情報の標準化というのはなされなきゃいけないわけでございますが、残念ながらそれがまだできていない。レセプト上のやつは、これは単なる必要な名称に対してコード番号を振ってあるだけ。ですから、この標準化というのはそれはできているわけでございますけれども、本来必要なやり取りするための情報の標準化はできていないということでございます。
さらには、じゃレセプトオンラインで、これはもう義務なんだからちゃんとやれということでございますけれども、これも実はできていないんですね。
それは、何ができていないのかといいますと、実は、診療報酬を請求する中で地方単独医療費助成
事業というのがございます。これは、それぞれの
都道府県が独自の実は補助金を出してやっているやつでございます。地方単独医療費助成
事業、これいつですかね、二〇〇七年の重点計画の中では、地方単独医療費助成
事業のオンライン請求に向けた請求書類の標準化に係る
検討を二〇〇七
年度までに行って、オンライン提出の利便性の向上に向けた取組を進めると、こういうふうに書き込まれているんです。できていない。
となると、じゃどういうふうにして請求するのかというと、これは全部紙ベースで請求しておるんですね。ですから、幾らオンライン化ができても、例えば小児科の場合にはほとんどが実は公費の
対象になるんです。となりますと、請求はほとんどこれ紙ベースでしなきゃいけない。
こういうことが、本来早くしなければいけないことがほとんどなされていない中で義務化だけが独り歩きをして、先日のマスコミを見ますと、何か医療関係者がこれに対して抵抗してやっているというようなことが書かれているわけでございますけれども、そうじゃないんだということをまず
大臣にも御理解をしていただきたいというふうに思います。
そして、もう
一つの問題は、実はこれはまさしくセキュリティーの問題でございますが、セキュリティーは機械的なセキュリティーもありますし、人がセキュリティーに侵入してきていろんな悪さをするというセキュリティーもございます。
そこで、個人情報の保護に関する法律が作られたときに
附帯決議がなされました。それは、医療、金融・信用、情報通信等、
国民から高いレベルでの個人情報の保護が求められている分野について、特に適正な取扱いの厳格な
実施を確保する必要がある個人情報を保護するための個別法を早急に
検討することと、これは
平成十五年でございます。
つまり、オンライン化する中で一番やっぱり重要なのは実はこの辺であり、また、医療の個人情報というのは、これはその人の家系まですべて駄目になってしまう情報でございます。非常にセキュリティーという視点からも慎重にならなければいけないんですが、残念ながら、ガイドラインレベルでまだ終わってしまう。ですから、義務化をやるんであれば、こういうような環境
整備をきちんとして初めて義務化というのは私はできるんであろうというふうに思っているところでもございます。
また、一方では、韓国のことがよく言われているんですけれども、韓国はもうちゃんとやっているじゃないかということなんですが、韓国は、オンライン請求システムをよく見ますと、振り付けられているコードの数が非常に少ないんですね。傷病名、診療
行為、薬剤、材料等で約二万七千件のコードで実は運用がなされております。日本の場合はどうなのかといいますと、三十万件のコード数で実はなされているんです。それだけ実は複雑な
内容の中でやられているということでございます。ですから、韓国ができたのはそれだけシンプルな
内容の中で実はこのオンライン化ができたと。しかし、今まさにセキュリティーに問題が出てきているということで、セキュリティーの実は
検討が韓国でも今行われているというのが現状でございます。
最終的な
目的は、その医療情報をお互いに共有し、そしてそれが
国民にフィードバックしていく、これが本来の
目的であるはずでございます。そういう意味で、きちんとした環境
整備を早急に進めていただきたいと思います。何か
お金の問題等々だけでこのレセプトオンライン請求のことが言われておりますので、私はあえてこの問題を今日は取上げをさせていただきました。なかなか環境
整備がまだ進んでいないということの理解だけは是非していただきたいというふうに思いますが、
大臣、何かコメントありましたらいただきたいと思います。