○
衛藤晟一君 契約書に明記されているわけですから、この管理をめぐって大きな問題が起こった場合は、是非、やっぱり
財務省としてもその所有者としての
責任があるんだということをはっきりしておかなければいけないと思いますので、どうぞよろしく
お願いします。
といいますのは、先ほど申し上げましたけれども、残念ながら、無償貸与された
地方自治体の中には、
予算を組んでしっかりと管理している
地方自治体もあれば、軍人墓地としての尊厳を保つという発想もなくて日常的な管理も放棄しているところもございます。
現に、民間の財団法人偕行社が
全国に残っているこの墓地の管理
状況について
調査したところ、その多くは民間のボランティアによって草取りや清掃といった管理が行われており、全く管理されず荒廃した墓地も数か所あったということでございます。
しかし、先ほども申し上げましたように、このボランティアをしてくださっている方の多くはもう高齢化してきておりまして、もう限界であろうかという具合に思います。この数年、やっぱりこの際、国のために亡くなった戦没者の墓地なのだから国でしっかりと管理してほしいという声を私もよく各地で聞きますので、よろしく
お願いしたいと思います。
しかし、そうはいうものの、確かに、
全国の軍人墓地の管理が
地方自治体に任された戦後の歴史を振り返れば、多額の経費が必要とされる石碑の修繕などというものは、
地方自治体だけに任せっきりでいいのかという気も私もいたしております。国のために亡くなった戦没者の御遺骨を納めた軍人墓地の管理を
現状のまま
地方自治体にゆだね続けてもいいのかなということは、私はよくよく
考えますと、こういう問題が起こるというのは、本来でしたら、やっぱり
日本が主権を取り戻した昭和二十七年四月二十八日に
整理すべきではなかったのかなという感じがいたします。
日本がさきの大戦で敗北しまして、
全国の軍人墓地を管理している陸軍省、海軍省が解体されるということになりました。それで、昭和二十年十月二十五日に陸軍省副官は「陸軍墓地ノ移管、忠霊塔ノ処理、及ビ
日本忠霊顕彰会ノ監督ニ関スル件」という通牒を出しまして、その通牒におきまして、陸軍墓地は厚生省軍事保護院に移管するという具合に指示を一度しているようであります。厚生省軍事保護院とは、明治三十九年に傷痍軍人への医療や職業訓練のために設置された厚生省の一部局だそうでございます。軍事保護院という名前になったのは、昭和十四年になっています。
ですから、昭和二十年の十月二十五日付けでは、厚生省に
全国の軍人墓地を管理せよという具合に指示が出たわけでありますけれども、ところが、それからすぐして、一か月半もしない間に今度は陸海軍省が解体されまして、昭和二十年十二月二日に解体されて、同時に厚生省の軍事保護院も解体されて、そして旧陸海軍病院を管理する保護院と医療局という具合に改組されてしまいました。そして、このときに傷痍軍人を特別扱いしてはならないという連合軍、GHQの指示により、そういう
状況の中で一緒にこの軍人墓地を管理する予定であった厚生省軍事保護院はなくなってしまった。それで、結局当時の大蔵省に一般財産として所管替えをされたというのが実情のようでございます。私も若干調べてみたんですが、そういう歴史が出てきました。
当時のGHQも、とにかく
日本軍を全面否定するんだということでやっていましたので、
全国の軍人墓地をたとえ厚生省が所管するかというところになったときに、やっぱり中央官庁が管理することを大変嫌がったようでございまして、それで
日本政府も一般財産として大蔵省、そして大蔵省も即そのまま
地方に管理を委任という具合にしたのが歴史だったようでございます。
ですから、同じように、陸海軍病院もいったんは厚生省の軍事保護院に所管を移すということを決定したけれども、軍事保護院がなくなって、同じように、
全国の陸海軍病院も軍人墓地と同じような経路をたどるわけでありますけれども、しかしこの医療施設というのは当時でも大変な問題でございましたから、
日本政府はGHQとも交渉して、これらの施設において行う入院医療は傷痍軍人及びその家族に限定しないということを条件にして厚生省への移管を認めるということをGHQはやったようでございます。
その結果、今国立病院そして独法として至っているわけでございますけれども、このような経過を踏まえましても、やっぱり軍人墓地の管理を厚生省に移管しようとしながらも、GHQの指示の下で大蔵省所管のまま
地方自治体に管理を任せざるを得なかったというのがどうも事の真相のようでございます。
ですから、そういう
状況の中で、私も国
会議事録を調べてみましたら、占領下の昭和二十三年の五月二十七日に、後に厚生
大臣になった草葉隆圓さんという衆議院議員が、陸軍墓地の所管を厚生省に移すべきではないかという具合に問題提起をされております。ですから、どこで本当にどうすべきなのかということについて、私は改めて、やはり
厚生労働省また
財務省は一回検討しなければいけないのではないのかという具合に思っている次第でございます。
戦後のいろんな歴史的な経過もあるでしょうけれども、
厚生労働大臣はそこのところを是非考慮していただいて、将来どうすべきかということも入れて検討いただきたいというように思います。
大臣にこのことだけはお聞きしたいと思うんですが、どうでしょうか。