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加藤修一君 公明党の
加藤修一でございます。
本
法律案について、少し長くなりますが、この際に本
法律案の制定に至る問題意識などについて
確認の
意味を込めて申し上げておきたいと思います。
水俣病問題においては公健法及び
平成七年の
政治解決等に基づき対策が講じられていたところでありますが、
平成十六年十月の
関西訴訟最高裁判決は、規制権限の不行使により
水俣病の被害の拡大を防止できなかった国及び熊本県の不作為責任を認定しました。その後、
最高裁判決を機に公健法への新たな認定申請者が急増し、
最高裁判決後の認定申請者が約六千五百名と多数に上っているところですが、鹿児島県認定審査会については依然再開できない状態が続いており、損害賠償を求める新たな訴訟も提起されているところであります。
政府は、
平成十七年四月、この
最高裁判決を受け、新保健手帳の
支給再開を含む総合対策医療事業の拡充や今後の取組をまとめた、いわゆる今後の
水俣病対策についてを発表し
実施してきたところでありますが、新保健手帳の
対象者は本年五月末現在で二万二千百九十名に上るところで、一方で認定申請者は六千四百五十二名に達し、依然閉塞した状況が続いており、このような閉塞した状態が続けば
被害者救済が遅れ、
地域が再び混乱するという危機的な状況に陥ることが懸念されているところだと思います。
水俣病問題の深刻さは、半世紀たっても病気を完治する
手段がなく、
被害者の病気との格闘が続いていることと、いわゆる偏見や差別の中で埋もれた
被害者が数多くいることであります。
最高裁判決を受けて今政治や行政がなすべきことは、これらの
水俣病を取り巻く閉塞状況を打開し、すべての
被害者の
早期救済と
地域の安定を図ることであります。
このような観点から、公明党は、
平成十八年四月でありますが、今後の
水俣病対策の在り方について提言を行った後、同年の五月から自民党とともに与党
水俣病問題に関するプロジェクトチームを現在に至るまでの約三年の間、十六回にわたって開き、
被害者の実態の把握を行うとともに、
園田座長を中心に
政府や熊本県を始めとする関係県、
被害者団体、原因企業の
協議を重ね、新たな
救済策の検討を行ってきたところでございます。
本年三月に与党から
法案を提出した後、
民主党から四月になって
法案が提出されたことを受け、与党と
民主党との間において担当レベルで六回、さらに国対
委員長、政調会長レベルで三回の計九回の
協議を行い、合意に至ったものであります。
本
法律案で特筆されるべき点としては、まず第一点は、
水俣病問題にめぐっては、先ほど申し上げましたように、半世紀の歴史の中で様々な対策が講じられてきたことでありますが、
水俣病被害者救済のための
法律が制定されるのは初めてのことであり、これはまさに重要な意義を持っているものととらえているところでございます。
第二に、本
法律案では、これは
水俣病問題を
解決する際の
原則として次の点を明確にしているように私は考えてございます。
第一点は、
救済を求める方をできるだけ広く救うことであると。第二は、その
負担を行う原因企業の間で
補償協定を締結し、認定
患者の
方々に対する
補償を確保しなければならない。あるいはさらに、
汚染者負担の
原則に基づき、
チッソなどの原因企業が費用
負担についての責任を全うすることである、同時に、水俣・芦北
地域経済への貢献を確保することであると、このように考えております。
水俣病問題では、これまで様々な
解決策が講じられてきた経緯や歴史がある中で、関係者の様々な思いや利害が錯綜しており、問題
解決の
原則が明確に位置付けられたことは、これから
水俣病問題の
解決を具体化していく際の指針として非常に重要なことではないかと考えております。
第三に、
救済策の
内容でありますが、その具体化は今後の交渉にゆだねられる部分もあるわけでありますが、
救済を必要とする
方々に対して広く
救済を図るものと考えられます。
法案では、これまで
地域における住民の福祉対策として行われてきました保健手帳をお持ちの
方々についても、
水俣病被害者手帳として
救済策に位置付けており、事実上の全員
救済となるものであります。老後の不安を少しでも和らげる上で重要な医療費を
支給することは大いに意義のあるものと考えております。
また、
救済を求める
方々の中には、
自分たちも
患者や
被害者として
チッソや
政府、県からきちんと認められたいという
方々のお気持ちを大切に受け止める必要があります。本
法律案では、問題の発生から数十年を経過し、
メチル水銀の影響の有無を
判断することは困難であるところがございますが、
救済を求めるに至ることは無理からぬ理由が当然ございます。
水俣病被害者として
救済することとしております。この点は、公明党から主張を行い、
法案の中にもしっかりと位置付けされておるところでございます。
以上は問題意識等について申し上げましたが、そこで
質問になるわけでありますが、本
法律案の立案に精力的に最大限の取組をされてまいりました
園田、江田両議員等の
提案者に申し上げたいわけでありますが、江田議員には特に次の点について
質問をさせていただきたいと思います。
本
法律案の意義、あるいは本
法律案の提出に当たっての思いというものが当然あると思います。熊本県出身であり、そこに在住しているという
意味では特に思うことがあると思いますので、そういった点を含めて御
答弁をお願いしたいと思います。