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浜田昌良君 日米安保対話であれ日中外相会談であれ、いろんな場を通じて是非相互理解を深めていただきたいと思うんですね。まだまだ
日本のいわゆるBMDの配備に対して中国側の理解が十分に得られた状況でもないと思います。
また一方で、
日本は非核三原則と宣言をしておりますけれ
ども、また中国は中国で無条件の核の先制不使用という宣言もしていますが、そういう核という面含めても、もう少し一段高めた相互信頼の議論を是非進めていただきたいと思います。
それでは、
投資協定の話に入る前に、ミクロの
投資じゃなくて世界の
投資がどうなっているのかと、お手元に資料を配らせていただきました。世界的な
投資マネーの拡大と問題点というのを経済産業省の通商白書やエネルギー白書のデータからちょっと調べさせてもらったんですが、いわゆる昨年のリーマン・ショック等の背景にやっぱりこういう大きな問題があるんじゃないかと私は理解をしております。
図の一を見ていただくと、二〇〇二年に世界の
投資資金というのは約五十八・五兆ドルだったものが二〇〇七年に約倍増して百十一兆ドルになっているんですね。何が増えているかというと、この深い緑のところの年金、保険及び
投資信託というのが当時の三十六兆ドルから倍増して七十四兆ドルになっていると。これどこの国が持っているんだというんで、右の表を見ていただくと、約半分、これ七十四・三のうちの約半分の三十五・五兆ドルが
アメリカが持っているんですね。それ以外の国が半分持っていると。
アメリカが何を持っているかというと、年金が圧倒的に多いわけですよ。十七兆ドルあるわけですよね。
日本もその次にありますけど、年金が結構増えてきていると。
こう見てみると、今後、先進国で高齢化が進めば進むほど世界の
投資資金というのは膨れ上がってくるんだなと。これをどう有効な
投資に向けていくのかと。これだけ金が、
アメリカの金があるんだから、
アメリカの金が世界に流れているんだと思うとそうじゃなくて、右側、
アメリカ国内の国債、機関債、社債の外国人の
投資保有比率を見ると、二〇〇六年
時点では、ブルーの線がこれは国債ですけど、二〇〇二年ころは四〇%あったものが二〇〇六年ごろには四七・七と上がっていますし、社債についても二〇ぐらいから二四・六、機関債についても一〇ぐらいから倍増の二一・三と。むしろ、これだけ
アメリカで金が余っているものが逆に、世界からも金が逆に
アメリカに集中しちゃったと。それがいわゆるサブプライムローンというものに引き付けられていってしまったのが要因なわけですね。
一方、それが一部、そういうサブプライムローンだけじゃなくて商品相場にも行ってしまったというのが図の四でありまして、これはニューヨークの原油先物市場の出来高の推移を見ますと、今言った二〇〇二年のころぐらいまではいわゆる年間の出来高は四百億バレルぐらいだったものが、二〇〇八年には約一千四百億バレル、一千億バレルぐらい増えているんですよ。単純計算すると、一千億バレルに百ドル掛けると十兆ドルと、約一千兆円がどっと膨れ上がったということなんですね、これ。さっき言った百十兆ドルという金の一割ぐらいがここに流れ込んじゃったということなんですよ。
じゃ、だれがこういうところへ
投資をしたのかと見てみると、図の五になるんですが、これが、当業者というところでずっとブルーで伸びているのがいわゆるスワップディーラーという人たちなんですよ。スワップディーラーって何かというと、小さい字で申し訳ありませんが、左の下にありますけれ
ども、スワップディーラーと呼ばれる金融機関、
投資銀行で油槽所とか備蓄設備を持っていると、いわゆるゴールドマン・サックスとかそういうところが石油タンクを持っているから当業者という、その業をやっている者として当業者になると建て玉という毎日の
投資の枠を制限を受けないんですよ。そういうことでどんどんこれが増やした。一部ヘッジファンドなんかも下で、深い緑で増えていますけれ
ども、これはヘッジファンドの方は非当業者ですから建て玉の規制はあると。こういうもので膨れ上がったわけですよ。
さらに、この右端に、図の六にありますが、株価とWTIの表を書きましたですけれ
ども、株価の方はブルーの方、ダウのデータを書いているんですが、これは二〇〇七年の八月にパリバ・ショックってあったんですね。これ、フランスの大手銀行が傘下の
投資銀行を三つ凍結しちゃったというので、金融的に株価が、ブルーが二〇〇七年の七月ぐらいから下がり始めるんですよ。そこの下がった金がどこに行ったかというと、その金がこの赤いところのWTIの方へ上がって、商品相場がばっと上がったという。
こういう金の動きがもう世界で起きちゃっていて、しかもその背景に高齢化を背景とした年金資金があるとすると、こういう金をいかに途上国の発展に向けていくのか、中進国の発展に向けていくのかということが非常に重要だと思うんですね。
前回、これ実はIMFとIBRDの
関係で
質問しようと思ったんですが、そういう国際的な機関がいろいろやるときに、こういう世界で約百兆ドルもあるこの資金をいかにこういう、単なるマネーゲームじゃなくて、また相場じゃなくて、世界の発展のために
投資を向けていく、こういう努力を是非
日本がサミット等の場を通じて提言していただきたいと思いますが、
外務大臣の御
見解をお聞きしたいと思います。