運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

2009-06-11 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年六月十一日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  六月十日     辞任         補欠選任         石井  一君     米長 晴信君      谷岡 郁子君     相原久美子君      佐藤 信秋君     佐藤 正久君  六月十一日     辞任         補欠選任         山口那津男君     加藤 修一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 木村  仁君                 小池 正勝君     委 員                 相原久美子君                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 米長 晴信君                 岸  信夫君                 佐藤 正久君                 山本 一太君                 加藤 修一君                 浜田 昌良君                 井上 哲士君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        国土交通大臣        国務大臣     金子 一義君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    伊藤信太郎君        国土交通大臣  加納 時男君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        国土交通大臣政        務官       岡田 直樹君        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房総合海        洋政策本部事務        局長       大庭 靖雄君        内閣法制局第二        部長       横畠 裕介君        内閣国際平和        協力本部事務局        長        高田 稔久君        外務大臣官房審        議官       中島 明彦君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務大臣官房参        事官       福嶌 教輝君        外務大臣官房参        事官       香川 剛廣君        外務大臣官房参        事官       山田  彰君        国土交通省海事        局長       伊藤  茂君        海上保安庁長官  岩崎 貞二君        防衛大臣官房衛        生監       外山 千也君        防衛省防衛政策        局次長      松本隆太郎君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省人事教育        局長       渡部  厚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する  法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、佐藤信秋君、石井一君及び谷岡郁子君が委員辞任され、その補欠として佐藤正久君、米長晴信君及び相原久美子君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房総合海洋政策本部事務局長大庭靖雄君外十三名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 海賊行為処罰及び海賊行為への対処に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 米長晴信

    米長晴信君 おはようございます。  先週に引き続きまして国土交通委員からこちらに来させていただきまして、二度目の質問の機会をいただきまして、まずは感謝を申し上げます。  まず冒頭金子大臣に、前回金子大臣海賊対処における決意というのを冒頭でお伺いしましたけれども、今日は冒頭一義的には海上保安庁対処すべきところをやむをなしに今回は海自が船を出しているという部分理由について、改めて、繰り返しで結構というよりも、繰り返し答弁をお願いします、主に三つあったと思うんですけれども
  7. 金子一義

    国務大臣金子一義君) ソマリア沖の起こっている事案について、海上保安庁長官から現地状況を随時聞いてまいりましたけれども、大きく三つ。  一つは、やはり今海上保安庁が持っている武器、これは距離もあります。艦艇を派遣して、かつ海賊が持っている装備、ロケットランチャー、重火器、これに被害を受けても業務を継続できるというのが今回の前提でありますけれども、それが今の保安庁の装備では必ずしも十分ではないと。また、各国軍隊現地では発動をされて活動を行っていると。こういう客観的な状況というものを総合的に判断し、第一義的には海の安全ですから海上保安庁が担うべきところでありますが、そういう状況を踏まえ、特別の場合ということで自衛隊に出動していただくという、そういう相談となったわけであります。
  8. 米長晴信

    米長晴信君 主に、遠いということ、対処できる相手武器等、ほかの国は海軍が対応しているというような、主な三つの論点だと思いますけれども、今までの衆議院含めた御答弁聞いていると、本当にこの海上保安庁一義的にやるということを究極まで突き詰めて、それでその結果今の形になったというところがちょっと見えにくいものですから、改めまして、こういう三つ理由で海自を出すというまでに至った過程で、海保が単独でやるならこういうことを考えていたというのを参考人の方にお伺いしたいと思います。
  9. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 私ども、本格的な検討をしましたのはちょうど昨年の四月でございますけれども、あの原油タンカー高山号が襲撃をされまして、それ以来、海上保安庁巡視船派遣することが可能かどうかというのを、公開されている情報、それからいろんな非公開の情報を含めて検討いたしました。相手はどういう武器を持っているか、世界の各国がどんなふうなことをしているか、それから、海上保安庁の、繰り返し大臣答弁いたしましたけれども、持っている巡視船で対応できるのかどうかと、こういうことを検討いたしました。特に、このオペレーションはまたある程度長期にわたるということも想定しながら、私どもの船でできるかどうかというのを検討いたしました。  この委員会でも答弁させていただいていますけれども、私どもしきしま」という船一隻は持っておりますので、「しきしま一隻で対応できるのはどういうのかというのは検討いたしました。短期間で三か月程度派遣ならこれは物理的にもできないわけじゃありませんが、私どものできる限界はその程度だろうということで、安定的、継続的にこのオペレーションをやっていくには海上保安庁では残念ながら力不足なので、海上保安庁では総合的に判断して難しいと、こう判断をしたところでございます。
  10. 米長晴信

    米長晴信君 それでは、一般論で結構なんですけれども防衛省の方にお伺いしたいんですけれども、今、「しきしま一隻なら派遣可能ということでありますけれども、例えば護衛艦一隻ならどの程度護衛ができるのか。今の二隻ですと、例えば今、実績ですと、この前の委員会お話ですと最大七隻ということですけれども、二隻だとどの程度の数の船を守ることができるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  11. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  現在、アデン湾における海賊対処のため、先生御指摘のとおり、護衛艦二隻を派遣しておるところでございます。  一隻護衛できる船の数はどれぐらいかというようなお尋ねではありますけれども、当然のことながら、一隻より二隻の護衛艦によって護衛を行うということによりまして、私どもといたしましては、護衛対象船舶の安全な航行を確保するために、その方が万全を期するという上でより適当であろうということで今回二隻を派遣したわけでございます。  そして、しからば二隻で具体的に何隻の船舶護衛することが可能かといいますと、その場の天候でありますとか海象でありますとか、あるいは護衛対象船舶の速度その他によりますので、一概に何隻というふうになかなかお答えすることは困難なわけでございますけれども、これまでの護衛活動におきましては、最大七隻の護衛対象船舶護衛した実績もございますし、当然それ以上の数の船舶護衛するということは十分可能であると考えているところであります。
  12. 米長晴信

    米長晴信君 ちょっと、本当に質問そのものには全く答えない、非常に抽象的に近いお答えだったんですけれども一隻だと本当に何隻ぐらいまでだったら護衛可能なのか、それだけでも何とか出ないですか。
  13. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 私たちといたしましては、今回アデン湾海賊対策のために日本関係船舶護衛するというのは、これは初めてのオペレーションでもございますし、それから、海賊の場合、例えば母船から小さな船が出てきていろいろな方向から襲撃してくるということもあり得るとか、あるいはいわゆる船団のようなものを組んで護衛をしていくという場合に、ある一つの事象に対処しているときにまた別の方向も警戒しなければいけないというようなこともありますので、少なくとも最初のころは一隻だけでということは、ちょっと我々としてはなかなか想定し難いところでありますけれども、もちろんその状況の全般を監視する能力、これはヘリの能力等も含めてですけれども、そういうところもありますので、なかなかちょっと一概には申し上げるということは非常に困難であろうと考えております。
  14. 米長晴信

    米長晴信君 ただ、それは一隻より二隻の方がより安全に護衛できるというのはもう当たり前の話ですけれども、プルトニウムを積んだ船を一隻でずっと護衛日本までしたこともあるわけですし、要は、例えば同じ二隻出すなら、今最大護衛艦数が七ということでありますと、一隻で二隻、三隻あるいは七隻ぐらいまでカバーできるんであれば、今二隻をA、B往復するオペレーションということですけれども、それだと四日に一度しか日程を合わすことができないと。それを、一隻相当数護衛ができるんだったら、現状の利用する船舶の数が変動がないようでしたら、これはA、Bを一往復ずつ一隻ずつでやれば倍の頻度護衛できるんじゃないか、そういう意味も含めて一隻だとどれぐらいかという質問なんですけれども
  15. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 御指摘のように、今、我々、A地点B地点と言っていますけれども、その間を往復しながら護衛活動をしているわけですけれども、じゃ、そこを、西向きの船は一隻護衛をして東向きの船についてはまたもう一隻の船で護衛をすると、例えばそういうオペレーションが全く考えられないかというと、別にそういうことではそれはないと思うわけでありますけれども、我々といたしましては、先ほど申し上げたとおり、アデン湾のようなところで海賊対策ということのために民間の船を護衛をして、かつそれに万全を期すということで、初めてのオペレーションでもありますので、当初より二隻ということを前提として考えてきておりますので、なかなか現時点で、じゃ一隻だとどうなるかということについては、詳細に分析しているわけでもありませんので、この場においてそういうことについてなかなか申し上げることは困難かと考えておりますが、ただ、今後オペレーションを続けていって現場でより慣れてくるとか、あるいは現場状況の変化ということによってそういうことも、将来的にそういうふうになるということを否定をすることはできませんけれども現時点においてはなかなか、そこまでまだ詳細に分析しておりませんので、お答えすることは困難かと考えております。
  16. 米長晴信

    米長晴信君 それでは、ちょっと質問を変えまして、前回もちょっと触れた部分ですけれども、今回の法律成立すれば、日本関係船舶以外も護衛し得るというところで、その周知方法ですけれども、今は国内対象ということですので、国土交通省の方で取りまとめられて、外務省に行って、それが現場に行くというような説明を受けたと思うんですけれども、今後、国外の船に対して日本が行っている海上警備行動、これに参加するのかしないのかというような周知はどのようにされるのでしょう。するのかしないのかを含めてお答え願えますか。
  17. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今、海上警備行動によりまして護衛対象としておりますのは日本関係船舶ということでございますので、国土交通省さんの方を窓口として、船舶運航業者の方々との間の窓口をしていただいておるわけであります。  それで、これで今後、じゃ、新法に基づいて護衛対象といいますか防護対象が広がって、いわゆる日本関係船舶だけでなくなって、およそありとあらゆる船を守ることが制度的には可能だということになった場合に、どこを窓口としてどうやって連絡をしていくかというようなことにつきましては、今政府の中で、何が一番適切かということについて関係省庁検討中でございます。
  18. 米長晴信

    米長晴信君 まだその部分検討中ですと何とも言えないんですけれども、仮に間口他国の船にも広げるということになると、もしかしたら警護対象船舶の数が増えるかもしれないという可能性もあるんですけれども。  その意味でも、じゃ今度は二隻という話をしますけれども、その間口が仮に広がったときに、どの程度までの利用実績だったら二隻のままでいくのか、あるいはそれ以上ということであると先着定数までという仕組みにするのか、あるいはそれが評判が良ければ三隻目、四隻目を投入してこのオペレーションを拡大する予定なのか、その辺はいかがですか。
  19. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) 今回の法案成立後におきまして、我が国と直接関係を有しない船舶についても防護するということが可能になった場合の防護の具体的な運用の仕方ということではございますけれども、まず第一に、それでは仮に防護対象の船がどんどんどんどん拡大していった場合に、それに応じて我が方の護衛艦なら護衛艦をどんどん増派できるかというと、必ずしもそういうことではございませんで、今ある護衛艦のうちで、当然、ほかの任務、特に我が国における防衛警備災害派遣等も含めてですけれども、そういうような任務でありますとか、あるいは補給支援任務に随伴するものとか、そういうものについても当然考慮していかなければいけませんので、なかなか、これ以上護衛艦の数を増やすということはすぐには困難であろうというふうに考えておるところであります。
  20. 米長晴信

    米長晴信君 じゃ、当面は二隻をベースに、あるいはその補助として哨戒機二機という体制で我が国としては臨むということだろうと思いますけれども。  ちょっと話を変えまして、他国、これもこの前、たまたま一覧表から単独で自分の国の船を守っているという例でマレーシアを出しましたけれども外務省参考人の方に、マレーシア海賊対策、もうちょっと詳しく教えていただけますでしょうか。
  21. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) お答え申し上げます。  マレーシア海賊対策でございますが、マレーシアは、ソマリア沖アデン湾での海賊対策のために、二〇〇八年八月以降現在に至るまで、海軍船舶を継続的に派遣してきていると承知しております。  各艦船は約三か月の任務期間基本といたしまして、これまでに延べ六隻が派遣されております。主としましてマレーシア船籍及びマレーシア関連船舶護衛を行いまして、他国船舶船団には加われますが、他国籍船舶のみのエスコートは行っていないと承知をしております。
  22. 米長晴信

    米長晴信君 一隻一隻なりの活動をしているということですけれども、それだけですか。マレーシア海賊対策はそれぐらいですか、情報は。
  23. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) これ以上の情報で、私たちの持っております情報でございますが、これまでの実績でございますけれども護衛した船数ということで、直近のデータでございますが、本年二月四日から五月十四日の期間中でエスコート回数十二回、この内訳でございますけれども、商船十七隻、タグボート四隻について実施をしたということ。それから、事案対処事例といたしましては、昨年十二月に中国籍船、本年一月にインド籍船海賊から救助したことについてこれは報道がございます。それから、護衛対象船との連絡手段でございますが、エスコート対象船舶は、事前マレーシア海軍から通知を受けた合流地点に示された時間に集合する、マレーシア海軍船舶無線連絡を取って、船団がそろい次第エスコートを開始するというようなことを承知しております。
  24. 米長晴信

    米長晴信君 資料を今お配りしてありますけれども、一番最後のページに船がありますけれども、これはマレーシア船籍の「ブンガ・マス・リマ」という船なんですけれども外務省さん、これ知っていますか。
  25. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  26. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  27. 小原雅博

    政府参考人小原雅博君) 申し訳ございません。現時点で手元に資料がございませんので、承知しておりません。
  28. 米長晴信

    米長晴信君 この船はマレーシア国籍の船なんですけれどもマレーシア軍が、ちょっと契約ベースなのか委託、どういう形なのか、そこまで詳細には調べ切れなかったんですけれども。軍の船という、これ商用船なんですけれども、軍の位置付けで、と国としては位置付けて、この中に武装した方が乗っていらっしゃる、そういう工夫を凝らして海賊対処に当たっていると。  これは私、マレーシア大使館武官から直接伺ったんですけれども、ちょっと陽気な方なので冗談なのか本当なのか分からないような感じだったんだけれども、これを行く行くはグレーに塗って軍艦に見せて運用するみたいなことをおっしゃっていたんですけれども商用船が武装に限界があるという中で、マレーシアではそういう本当に知恵を凝らして対処に当たっていると、そういう事例なんですけれども。  こういうのを調べ切れていないというのは、外務省情報収集能力というのはいかがなものかと。ちょっと外務大臣、何でこういうのを事前資料というか情報としてつかめないんですか。私、ちょっと一日大使館訪問したら、こういう話、自慢げに出てくるんですよ。何で外務省、こういう情報収集できないんですか。不安に思うんですよね。
  29. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) このソマリア沖海賊対策、これにつきましては、防衛省国土交通省とよく連携しながら、また情報も交換しながら外務省としても対応しているわけでありますが、また、各国状況等についても意見交換をしたりまた情報収集を行っておりますが、マレーシア、個々の国のことまで、今委員が御指摘の点などにつきましては、きちっと把握はしていなかったのはこれは事実でございます。  できるだけ、各国状況はどういうものであるかというのは、我が国活動を行うに際しましてもこれは参考になろうかと思いますので、今後そのような情報収集には努力をしていきたいと、そういうふうに思っています。
  30. 米長晴信

    米長晴信君 私は前職は記者でしたから、この調べるということは職業にしていたわけではありますけれども、それでも、私、このマレーシア海賊対策というのはどういうことをやっているのですかということを事務方にお届けしたのは、おとといかその前の日の夕方とか、二、三日前です。その答えを第一報をいただいたのがおとといで、昨日もう一回詰めて、情報は先ほどの答弁を超えなかったものなんですけれども。  普通、そういう情報収集、ましてやマレーシア海賊対策どうなんですかという質問が来たときに、インターネットでも引っかかってくるんです。このマレーシア防衛のホームページには載っている話ですし、国内においては、私がやったように大使館武官に聞けば詳細は教えてくれるし、現地我が国大使館もあるわけですから、そこに照会をして調べるという時間的余裕は十分あったはずだと思うんですけれども。  それら含めてちょっと、本当にこの国の防衛にもかかわる、ある意味部分情報収集が、ちょっと不足というレベルの、程度情報じゃないんですよ。そういう情報が漏れているというのは、ちょっとその情報収集の手法とか方法を本当に考え直していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
  31. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 基本的には、先ほど申し上げましたように、情報収集というのは、これが基本であり、ベースでありますから大切なことであります。  先ほど参考人がこのマレーシア海賊対策、この派遣状況について一部御報告いたしましたけれども、この派遣の時期とか艦船の数とかあるいは頻度とか、これらいろいろな事項については当然のことながら項目としては調査しているわけでありますが、今委員指摘の具体的な船についての、艦船についてのお話にありましたようなことについては、大変、これは収集していなかったということでありまして、全くマレーシア状況について情報がなかったということではないということは御理解いただきたいと、そういうふうに思います。
  32. 米長晴信

    米長晴信君 もうこれ以上責めたらいじめみたいになってしまいますのでね。  要は、各国海賊対処を調べたというような答弁が前段でありましたけれども、そういう答弁をするんだったら、きちんとこういうことも本当に詰めているのかどうかということをちょっと疑問に思ってしまうという印象を持ったということだけでございますので、今後、本当にある情報収集するためにはあらゆる手段人間関係を駆使してきっちり日本国情報を精査していただきたいというお願いを申し上げます。  続きまして、海上保安庁の方に話を戻しますけれども、先ほど長官から、単発で「しきしま」を出すことなら可能ということですけれども、改めて確認ですけれども、常識的な範囲内で、隊員の交代の時期とかも考えて、例えば三か月、四か月、普通の一回の派遣ということで日本を離れた場合に、日本海上警備に穴が空くとか支障、その部分は大丈夫ですか。
  33. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 長期間多くの船を派遣するとなると、日本のいろんな周辺警備、我々は担当させていただいていますので、そこに穴が空くことは考えられますけれども、仮定の議論で、先ほど申しましたように、「しきしま」を短期間、常識的に言えば今の護衛艦派遣されているような三か月ないし四か月程度行って帰ってくるということであれば、それだけで日本周辺の治安の維持について、あるいは海難救助等について物すごく大きな穴が空くと、こういうことではなかろうかと思っております。
  34. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  では、一覧表資料で一枚目なんですけれども、「しきしま」を筆頭に大きめの千トン以上クラスの、千トン扱いの船の一覧でありますけれども、この中で物理的に遠距離という意味アデン湾まで派遣し得る船というのは、これ、何隻ぐらいですか。
  35. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先生のこの提出の船の数、全体で五十一隻でございますけれども、その中で、外国の港に行くには国際航海の資格を持たなきゃいけませんので、それを持っている船が十九隻ございます。したがいまして、航続距離の長いやつは直接行けますが、給油しながらということであれば、この十九隻の船は途中の港で補給しながらソマリア沖に行くということは可能でございます。
  36. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  もう一点、さっき体制を変える云々という話ししましたけれども、海上自衛隊が今考えていらっしゃるのは最大で二隻と、それ以上の派遣は今のところ考えていないということですけれども、例えば、とはいえ需要が増えてきたと。海軍の船二隻だけではなかなか面倒を見るのが大変だけれども、この「しきしま」以外の十九隻ですか、十八になるのかな、「しきしま」を抜かして。そういったものを補助的に一緒に派遣すると、需要が増えたために。そういうことも可能なのか、あるいはそういうことを考えたことがあるのか、想定しているのか、お答えいただけますか。
  37. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 現在のところ、そのようなことを想定をして検討しているわけではございません。
  38. 米長晴信

    米長晴信君 でも、仮にそういう需要ができたらそういう派遣もあり得ると考えてよろしいですか。
  39. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 仮定の話なので答弁しづらいですけれども、そうした事態があった場合、また政府全体で考えるべきことの一つかなと思います。
  40. 米長晴信

    米長晴信君 では、先ほど確認をしましたけれども一隻しかないタイプの船である「しきしま」が日本を離れても短期間であれば大丈夫ということでありますけれども、それでは、じゃこの法律が成立した後の最初の派遣というのは、「しきしま」プラス海上自衛隊の船一隻と、その二隻ということは可能なんでしょうか、あるいはそういうことは考えていないんでしょうか。
  41. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 先ほどの答弁、ちょっと修正させていただきますと、十九隻のうち、残りの船はダメージコントロールを持っておりませんので、そうした船をやるということはやはり検討対象にはなかなかならないと思います。  先生の今おっしゃった「しきしま」と自衛隊の船でペアで行くと、こういうことでございますけれども、現在、別にそれを検討しているわけではございません。やはり、一つのコオペレーションですので、これは防衛省の御意見も聞かなきゃいけないとは思いますけれども、一般常識的に言えば、一つオペレーションを複数の船でやる場合、同じ組織の船が一つの指揮命令系統の下にやるということの方がより合理的ではないかと私どもでは考えております。
  42. 米長晴信

    米長晴信君 じゃ、いろんな例えば北朝鮮の船が来るとか何か外的なものがあるとか、日本周辺でも連携はしないということですか。連携して対処するということは不可能なんですか。するべきじゃないんですか。
  43. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 北朝鮮の不審船等については、私どもが手に負えない場合は自衛隊にやってもらうという、過去にも海上警備行動を発令したことがございますが、そのときにも、基本的に、今の我々と自衛隊との取決めでは、考え方では、ある時点のときには海上保安庁が専らやっていく、自衛隊に後方待機をしてもらう、そのとき、海上保安庁の手に負えないということになった場合、自衛隊の方に代わってもらうと、こういう形のやり方が合理的ではないかということで、そういう考え方の下に自衛隊との連携の仕方を話し合っておりますし、そういう取決めをしております。
  44. 米長晴信

    米長晴信君 ちょっと、じゃ話を北朝鮮とか抜きにして、ソマリア沖海上保安庁一隻と自衛隊の船一隻と連携のオペレーションというのは本当にできないんですか。
  45. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 絶対不可能かと言われると、それは絶対不可能ということではないと思います。ただ、海上保安庁の船一隻と自衛隊の船をやることの方がよりいいのか、自衛隊の船二隻でやった方がより的確にオペレーションができるのかということであれば、繰り返しになりますけれども、私どももそれなりに現場で部隊を運用する立場でございますけれども現場で部隊を運用する場合、一つの行動については同じ組織の船がある一つの指揮命令系統の下にやっていくというのがより合理的ではないかと、このように思っております。
  46. 米長晴信

    米長晴信君 でも、それですと、この海賊対処について海保が一義的にやるという部分の本末転倒でありまして、本来は警察活動も併せてできる海上保安庁の船が行くと。本当は海上保安庁の船が二隻出したいんだけれども、二隻目は無理だから海上自衛隊の船が行くと。「しきしま」が帰ってきたときにはその交代要員はいないから、だから自衛隊の船が二隻出ると。この法律に基づいて厳密に言えば、考え方としてはそうじゃないんですか。
  47. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁、この法律でも一義的に海上保安庁対処ということになっておりますし、我々も、これまで衆議院の委員会でも申し上げましたけれども、東南アジアの海賊なんかであれば我々が対処しますし、東南アジアを超えた海賊であっても、「しきしま一隻で対応できる場合でありますとか短期間派遣で済む場合でありますとか、そういうものは積極的に対応するつもりでございますけれども、やはり一つの事態については、どちらがやった方がよりきっちりした業務ができるかというのも重要な視点だと思っておりますので、先ほどの答弁のように、一隻海上保安庁一隻が自衛隊というのは余り合理的ではないと私どもは判断しております。
  48. 米長晴信

    米長晴信君 どちらの方が適切かと、本当は海上保安庁がやった方が適切なわけでしょう、この業務。ちょっと答弁、本当、海上保安庁長官答弁とは思えない発言なんですけれども、まだ締めくくりの総括もございますので、私、何個かあと論点がございますので、取りあえずそれはおいておいて、今日こういう答弁があったというのを議事録で今残りましたから、引き続き後続の方にお願いするとして。  金子大臣が最初に御答弁になった三つ目の理由、ほかの国は軍が船を出しているからと。それは、「しきしま」を出さない、あるいは海上保安庁が船を出さない理由とどうリンクしているんですか。
  49. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) これまでも答弁させていただいていますけれども、我々は、日本からの距離でありますとか、海賊の持っている武器でありますとか、他国が軍を出していることを総合的に勘案して海上保安庁巡視船では難しいと、こう判断させていただいたわけですけれども、軍との関係で申し上げれば、まずやっぱり軍と連携行動というのを、我々、実際的な連携行動をほとんどやったことがございませんし、それからこの委員会でも問題になりましたけれども、通信等々について、一般の航海の通信はできますけれども、それ以上の通信はできないといった欠点がございます。  そうしたことを考慮して、他国が軍を出していることも考慮に入れて、海上保安庁は総合的に巡視船派遣できないと判断させていただきました。
  50. 米長晴信

    米長晴信君 防衛省に二点お伺いしたいんですけれども、まず、これまで三か月弱ですか、の活動の中で、他国の軍と連携して活動を行った実績はあるのかどうかということが一点。  もう一つは、今の長官答弁でいうところの軍用の通信手段、この通信手段他国の軍艦と通信、本当にし得るのか。日米は同盟国ですからある程度の通信は可能かと思うんですけれども、例えば日本周辺で考えますと、中国とかロシアとか、やっぱり海賊対処に船出している国ですけれども、そういうところとツーカーというわけではないと思うんですけれども他国のそういう軍事無線で今本当に交信できるんですか。
  51. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  今、海上警備行動によりまして護衛艦派遣されているわけでありますけれども、やはりこのような海域において海上自衛隊の護衛艦が二隻で日本関係船舶防護するということに当たりましては、どうしてもやはり他国あるいは他の機関との連携というのは非常に重要だと考えておりますので、当然のことながら、各国との間でいろいろな情報交換をして、我が方の日本関係船舶防護に役立てているということはございます。  それから、護衛艦につきましては、国際VHFの無線機材あるいは衛星通信機材などを搭載しておりますので、これらの機材を用いまして他国の艦艇、艦船との間で必要な通信を行える環境というものは整備をされておりまして、米軍以外の他国の船との間でもそのような通信は可能になっております。
  52. 米長晴信

    米長晴信君 全く僕の趣旨と違う答弁だったと思うんですけれども情報交換というのは、現場で船同士で秘匿の情報の交換という意味情報交換なのか、本土間において情報交換なのか、それをはっきりさせていただきたいということと、私の趣旨は、この海域において船同士で海賊に知られないように秘密の通信をする必要があるから、だから軍同士の連携が必要で、だから海保は出せないという今までの答弁はそれは妥当なんですかということを遠回しに聞いたつもりなんですけど。  今、もう単刀直入に言いますけど、海保が現場出たら、軍用無線の世界だから、これは海保の船出せませんという、それ全くちょっと根拠がないんじゃないですか。軍同士の秘匿の通信の話じゃないでしょう、衛星通信というのは。それは、衛星通信というのは、軍同士のスクランブルが掛かったり、何か暗号を持ったり、特殊な機器を必要とする通信なんですか、今の答弁のものは。
  53. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答え申し上げます。  海上自衛隊と他国、他の機関との間の情報交換につきましては、もちろん現場だけでやっておるわけではありませんけれども、というのは、それぞれの連絡官を通じてやっているところもありますけれども、当然のことながら、船同士の間でもそれなりに通信をすることは可能であります。  そして、じゃ、どの国との間でどのような形態の通信かというようなことにつきましては、どの国とどういう秘匿でというようなことにつきましては、これはちょっと今後の運用に支障を及ぼすおそれもありますし、それから相手国との関係もありますので、なかなか具体的にちょっと申し上げるということは困難ではありますけれども、ただ、共通の秘匿通信機能を有していない国との間では、これは国際VHFなどの一般的な通信機材を利用して通信を行うということになっております。
  54. 米長晴信

    米長晴信君 やっぱり、本当に非常に何かはぐらかすような答弁ですけれども、要は、相手が軍艦だから、だから通信ができないから、だから海保の船出さないというのは余り理由にならないんですよ。海自の船だって、その特殊な軍の通信をもってすべての国と交信するということは現実的に困難と、事前のレクではそのようなことを伺っておりまして。  だから、総合すると、先ほど海保が出せない理由というのを三つおっしゃっていましたけれども、距離が長い、これは答弁でも明らかにされたように、いろんなところ寄港すれば十九隻が物理的には可能であると。二つ目、被弾をされたときとかの対処ということですけれども、これもオペレーションが拡大して、海上自衛隊の船二隻プラスアルファで行く分には、海自の二隻の船というのはその間の船を守っているわけですから、その守られている船としての位置付けとしても、三隻目を同時に派遣して、有事には、交戦のような状態ではその海自の船が対応して、いよいよ逮捕とか司法手続とかそういうときにはその海保の巡視艇が行動するとか、いろいろ方法はあると思うんですけれども。  さっき言った二つ目の理由も、海自とセットで行く分には派遣可能だし、相手が軍ということによる通信の困難というのも、別に、元々海自だって必ずしもその方法でほかの軍とやり取りしているわけではないわけですし、あらゆる根拠が結構崩れたわけですから、これもう一度、「しきしま」を一隻出して、それで海上自衛隊の船を補完的に一隻出す、交代要員はやむなく海上自衛隊の船二隻と、そういうことも検討はした方がいいんじゃないですか、いかがですか。
  55. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 繰り返しになりますけれども、今やっぱり自衛隊が二隻船を出されてオペレーションをちゃんとやっておられる、それから、オペレーションというのはやっぱり一つの指揮官の下に、一つの指揮系統の下にやるのが原則だと思っておりますので、先生の御提案のことは当面の問題として考えているわけではございません。
  56. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止
  57. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  58. 米長晴信

    米長晴信君 もうあと私の持ち時間二分程度ですので、今日はまだ浜田大臣に何もお伺いしていないんで、まず一つだけ確認で。  今インド洋にテロ対策ということで給油艦、護衛艦を出していらっしゃいますけれども、この給油艦が例えば今別の任務で出している「さざなみ」、「さみだれ」に給油をするということは、これは可能でしょうか。法解釈上といいますか。
  59. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然それは可能だと思います。
  60. 米長晴信

    米長晴信君 ありがとうございます。  では、ちょっと参考人の方にお伺いしたいんですけれども、これ、何で我が国が給油艦を出しているのにジブチに寄港して給油するんだろうかという部分なんですけれども。恐らく答弁としては、いろいろ人とか、食料、水というような後方支援物資を調達するというような意味合いもあろうかと思うんですけれども、必ずしも給油とそういうものをセットでやる必要もないわけで。  まず燃料なんですけれども、燃料の値段、これを書いてあるのが三枚目なんですけれども、これインド洋で、これもほかの国から買っているものですからそんなに安くはないんですけれども、これ単価と、大体一回当たり平均五百キロリットル入れたとすると、比較すると、一回給油するのに自国の給油艦から給油した方が二百三十二万円安いんですけれども、こういった環境。説明ですと、我が国の給油艦が扱っている燃料の方が質が高いと。質が高いものを二百五十万円ぐらい安く毎回入れれるのに、何でジブチで入れているのかというのをちょっとお答えいただきたいと思います。
  61. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答えいたします。  現在、補給支援特措法に基づきましてインド洋に派遣されております海上自衛隊の補給艦、これは海上自衛隊として五隻しか持っておりませんで、そのうちの一隻なわけですけれども、これはあくまでテロ対策海上阻止活動に従事する諸外国の艦船に対して補給を行うと、こういうことを目的として派遣をされているものであります。  それで、この補給に当たりましては、補給支援についての諸外国からの継続的なニーズにこの補給艦それから護衛艦一隻の最低限の規模によって対応しておりますので、海賊対処に当たる護衛艦、これがその近傍にいるとはいえ、その海賊対処の方の補給のニーズに対して常時こたえるということはなかなか困難な状況があるということについて、まず御理解をいただきたいというふうに思っております。  それに加えまして、今先生御指摘のとおり、隊員の休養でありますとか、それから海賊対処に当たっている護衛艦の整備というようなことがありますので、基本的にはジブチを根拠地としているというものであります。
  62. 米長晴信

    米長晴信君 もうこれで終わりますけれども、ただ、我が国が、自衛隊が戦争以外の活動活動するという間口を広げる中で、そういうしゃくし定規な形で我が国が出している給油艦を我が国が使うということを目的制限をせずに、むしろそういった海外で派遣されている自衛隊同士もそれも是非連携をしていただいて、効率よく世界的な貢献をしていただきたいというお願いを申し上げて、質問を終わります。  ありがとうございました。
  63. 一川保夫

    ○一川保夫君 この海賊対処法案の審議も終盤を迎えようとしているわけでございますけれども、私たち民主党としましては、この法律に基づいて自衛隊を海外に派遣するという内容を含んでいるこの法案の扱いというのは大変重要なものがあるというふうに思っておりますし、これまでの質疑の中でもいろんな問題点がだんだん収束されつつあるという感じは持っておりますけれども、全体の議員の皆さん方の意向だとかあるいは国民の総意を受けて、この法案の問題点、欠陥があるとすればそれを修正していくという姿勢が政府・与党のサイドに余り見受けられないというのは、非常に私は残念なんです。  特に、衆議院段階でも我々民主党はそういう修正の提示をし、協議をしましたけれども、それが決裂をして原案のままこの参議院に来ているわけでございますけれども、私たち民主党の考え方をもう一度閣僚の皆さん方あるいは与党の皆さん方にお話をして是非理解をしていただきたいという観点で、冒頭お話をさせていただきたいと思っております。  私たち民主党は、国連海洋法条約は、旗国主義のそういった例外としてすべての国に海賊取締りの権限を与えており、各国が主権の枠組みを超えて連携して対策を講ずる必要があるというふうに認識いたしております。国連海洋法条約に基づく国内法の整備の必要性を以前から我々民主党も指摘してまいりました。また、貿易立国である我が国にとって、船舶の主要な航路帯における海上輸送等の安全を確保することの重要性はもちろん理解しておりますし、テロ根絶法案においても、政府に先駆けて、公海における航行の自由の確保のため、国際社会の取組に積極的かつ主導的に寄与することを規定したところであります。  我々民主党は、海賊対策一義的には、先ほど来の質疑のように、海上保安庁の責務であるというふうに考えております。そのためにも、海上保安庁がしかるべく対応すべきであると、またその体制をしっかりと整える必要があるというふうに考えております。海上保安庁のみでは対応が困難な場合には、シビリアンコントロールを徹底するという見地から、国会がしっかりと関与するその仕組みを整えた上で、海賊発生海域に自衛隊を派遣するということもやむを得ないだろうというふうな判断に立っております。  また、武器使用基準の拡大については、海上における警察活動であることから、警察官職務執行法に認められた武器使用に加えて、海賊行為を未然に防ぐための武器使用ということもやむを得ない事態があるだろうというふうにも考えております。  しかしながら、今回、この政府海賊対処法案では、海賊対策海上保安庁一義的であるということを言っておきながら、防衛大臣が特別の必要がある場合を判断をして、閣議を経て自衛隊を出すことが可能となっております。判断の主体が海上保安庁でないというところに我々は問題があるというふうに思っております。また、法案提出前に既成事実をつくるがごとく、もう自衛隊を現地派遣をしているということについても、我々としては極めて問題があるというふうにも考えております。  そこで、我々民主党としましては、我が国周辺を超えて遠方の海域での海賊対処に当たっては、国際協力の観点からも海賊対処のための本部を設置をして、我が国が持つ海賊対策のノウハウを一元的に集約するということが重要であるというふうに思っております。オールジャパンの体制の中で機動的に活動を行うことが必要であるというふうに考えております。  また、対応困難な場合の判断は基本的には海上保安庁が行うべきであると。国土交通大臣海賊対策本部の設置を内閣総理大臣に要請する仕組みを整えることが必要でないかと。その上で、海上保安庁にしっかりとした説明責任を果たさせると。そして、自衛隊という実動部隊を遠洋にも派遣するということからしましても、国会の関与もしっかりと対応してまいりたいというふうにも考えております。  そういう観点で、私たちは衆議院の段階でも、また現時点でも、各党の皆さん方にも幾つかの修正のポイントを提示させていただいておりますけれども、主な点をちょっと挙げますと、一つは、やはり国土交通大臣の役割、国土交通大臣がしっかりと主導、主体的に物事に取り組むという規定を設けるべきであるというふうに思っております。  海賊対処海上保安庁が主体的に取り組むということは、この質疑の中で従来からいろいろと話題に出ていることでございますし、海上保安庁のみでは対応が困難な場合には、国土交通大臣の要請を受けて本部を設置をして、それが対応するというような規定を整備したらどうかということも提案をさせていただいております。それからまた、本部の設置がされれば、これは内閣総理大臣が本部長を務めるわけでございますけれども、必要ならば、海賊対処のために自衛官を本部員として身分を併有させて活動させるというような対応にしたらいかがかというようなことも考えております。  また一方、三点目には、国会の関与ということももっとしっかりとした位置付けにすべきであると。自衛隊による海賊対処の実施に当たっては、事前に国会の承認を義務付けるということを明記すべきであるということを我々は強く関心を持っております。  それからまた、国際協力の推進という点で、こういう海上警察行為というものについて、国際間におけるいろんな連携というのが非常に大事ですから、そういったものをしっかりと促進させる、あるいはまた、関係諸外国との海上警察の能力向上のための支援策というものをもっと強化していく。そのほかにも中長期的な国際協力のやり方は幾つかあると思いますけれども、そういった国際協力の推進というようなことも、こういった法案の中でもうちょっと明確にすべきであるというふうな考え方を持っております。  それから、五つ目として、海上保安庁の体制の整備ということについても、こういった新しい法案を作る以上はもっと明確にした方がよろしいんではないかと。それは、先ほど来のいろんな船舶等々のハード的な整備はもちろんでございますけれども、すべてのこういう海賊対処にかかわるそういう体制の整備というものについてこの機会にしっかりと整えていくということについて、もっと問題意識を持って条文の中にもそういう趣旨をうたったらどうかというようなことを提案をさせていただいております。  私は、今お話ししましたのは、我々民主党として、この法案の中身をより国民に幅広く理解をしていただいて、多くの国会議員の皆さん方の賛成する中で法案をしっかりと作り上げるという努力をすべきであるというふうに思っております。そういう観点で、我々民主党が修正するポイントとして幾つかある中の、その中でも主なものだけを今お話をさせていただいたわけでございますけれども、この問題についてこれから、随時、絞って各大臣お話をお聞きしたいというふうに思いますけれども、これまで、衆議院段階それから参議院のこれまでの質疑を通じて、三人の大臣のそれぞれのこの法案に対する基本的な考え方をもう一度確認したいというふうに思います。  特に、この質疑の段階でいろんな問題点が提起されていると思いますけれども、この法案の修正問題については大臣が直接余り言及されないかもしれませんけれども、そういったことについての質疑の感想も含めて、それぞれ三人の大臣から所見を述べていただきたいと、そのように思います。
  64. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 民主党案が案として提示されたことは承知しております。  我々政府としては、与党のプロジェクトチームの御意見を踏まえながら法案を取りまとめさせていただきまして、国会に提出させていただきました。現時点では政府案が最善のものと考えております。  ただ、民主党の修正案に含まれている海賊対処本部の設置あるいは国会における承認の在り方、関与の在り方等々につきましては、本会議も含めて国会における審議において政府側の立場をこれまでも述べてきたところでありまして、早期成立に向けて与野党の御協議が衆議院ではされたんですけれども、まとまらなかったと承知しておりますけれども、参議院におけるそういう修正協議というのが行われるというのであれば、それは見守らさせていただきたいと思っております。
  65. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) この海賊対策は緊急性を要するものだと、そういうふうに思っておりまして、もう委員も十分御承知のとおり、昨年は一昨年の二・五倍の事案が発生しておりますし、今年に入りましても既に六月九日現在で百三十三件というふうに聞いております。また、人質になっている乗員もたくさんいるわけでありますが、そういう意味で、海賊事案、これに対する対応としては、私はやはり効果的に早期にこの対策を行うということが大事で、またそのためには、今お願いしている法案の審議も早期に成立をさせていただきたいというふうに考えております。  今国土交通大臣からお話ありましたけれども、これは民主党さんの案につきましては私も承知しておりますし、今御説明もいただきましたけれども、与党のプロジェクトチームのそういう意見も踏まえながら政府としてこれを決定し、法案を取りまとめたわけでありますので、現時点では、政府の案、今御審議いただいているものが最善のものと、そういうふうに考えているところでございます。
  66. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今両大臣からお話があったとおりであります。  今回の法律的な根拠というのが、そういう意味では警察権にのっとった法律立て、そしてまた特措法ではないということも含めまして、いろいろな観点から考えると、今回のこの法律は、この緊急性等も踏まえると我々とすればベストのものだというふうに思っているところでありますし、民主党の皆さん方の修正案に対しては、それこそいろいろな形での議論を積み重ねた結果、こういう形で修正案を出されたということに対しては大変敬意を表する次第でありますけれども、この議論に関しましては、まさに国会での議論ということでございますので、我々とすれば意見をいただいたということに対しては御礼を申し上げたいというふうに思っているところであります。
  67. 一川保夫

    ○一川保夫君 最後、ちょっと防衛大臣お話を聞いて思い出すわけですけれども大臣は、私は衆議院の議事録をちょっと見させてもらいましたけれども、自衛隊を海外に派遣する場合には自衛隊員の皆さん方が堂々と海外で活動できるような、そういう状況をつくりたいというような趣旨の答弁をされているようなところがあったと思うんですけれども、要は、やはり国民の大多数の皆さん方の理解の下で一つの法案を作り、それを根拠にして自衛隊の皆さん方が海外に派遣するという、そういうスタイルを期待されているんじゃないかというふうに思ったわけですけれども、そこのところはいかがですか。
  68. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 当然、これ一般論として、今回の法律は別といたしまして、いろいろなその場面場面での自衛隊に対するいろんなお考えがあるわけでありますので、その意味では、自衛隊が海外に派遣するということに対してやはり国会が関与するというのは、これは当然の話であって、今回もその意味では、この法律を議論する際にもこの国会でいろんな御議論がなされている。  その中において、やはり国会も、政府だけの判断ではなくて、一般論として申し上げれば、当然国会の承認を得て出ていくのがこれは私としてはベストというふうに思っておりますが、しかし今回の法律に関して言わせていただければ、先ほども申し上げましたように、警察権等々、いろいろな縛りというか、これはもうほとんど先生方が今この修正案の中でもおっしゃっているように、自衛隊が出ることがまず一義ではないというのは、もう既に我々今回の法律でも言っているわけでございますし、そしてまた先生方も、逆に言えば対策本部までつくって自衛隊というもののあれを消して出ろというようなお話もここには書いてあったように、私は今ちょっと見ただけですのでそういうふうに判断をしてしまいましたが、私とすれば、そうではなくて、やっぱり組織は組織として指揮系統をしっかりとした中で対応するのがこれは当たり前のことでもありますし、今回の法律に関して言わせていただければ、今先生が私に対して、自衛隊に対してまず承認が必要だということを衆議院でも言っているということでありますが、私は一貫して、自衛隊が海外へ出るときは、今後、事前承認というか国会の承認を得て出るというのは、これはもう決めた方が分かりやすくていいというふうな思いはあります。  しかし、今回の法案に関してはそういう特措法ではないので、そして警察権にのっとって、海上保安庁法にのっとってということでございますので、その縛りの大きさというのはかなりのものがあると思いますので、事後報告でも問題がないかなというふうに私自身は思っているところであります。
  69. 一川保夫

    ○一川保夫君 そのことに関連して、じゃちょっとお話聞きますけれども、これまで政府は、自衛隊を海外に派遣するような法律は幾つかございました。そういう中で、例えばPKO協力法案なり周辺事態法あるいは武力攻撃事態法といったような法律は、原則事前承認というような規定を設けております。  我々は、自衛隊という部隊を海外に派遣するということについては、私はやはり基本的には、シビリアンコントロールという観点からしましても、その文民統制の主体である国会をしっかりとクリアしていくということが非常に重要ではないかというふうに思うわけですけれども、こういった法律を策定している段階で、事前承認を入れるか入れないかというその基本的な判断、判断といいますか共通的な考え方というのはどういうところにあるんでしょうか。どなたか答弁していただきたいんですけど。
  70. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今回、一番のポイントは、これが海賊行為であるということ、海賊行為に対する対処でありますので警察行動であるということ。これは現行自衛隊法八十二条に既に海上警備行動というのがあります。これも警察行動であります。これについては、総理大臣の承認は要りますけれども、国会の関与というのは掛けておりません。  八十二条、この警察行動という考え方に従って今度はもう一項八十二条に設けまして、こういう海賊対処行動に対しても自衛隊が当たると、特別な場合はというのがもちろん入っておりますけれども、これを法律体系として新たに作ったところであります。  そういう意味で、とはいえ、自衛隊をある意味、場合によっては長期にわたる海外に出動してもらうということになるわけですから、当然、先ほど議論ありました文民統制というのは、これはもとより大変大事な話であります。そういう意味で、国会に、長期にわたる場合であっても、ある一定の期間対処要項、これ防衛大臣のところで作りますけれども対処要項を作ってある一定の期間に国会にその都度報告をするという、それによって国民への説明はきちっと果たしていくという枠組みをつくらせていただいているというところであります。
  71. 一川保夫

    ○一川保夫君 じゃ、この法律の中で一番基本的なところでちょっとあいまいなところがあるわけですけれども、総理大臣答弁されておるように、海賊行為への対処というのは、第一義的には海上の法執行機関である海上保安庁の責務であるというような答弁が何回も答弁されております。  じゃ、そういった趣旨のことがこの条文上どう表れているかというところを見ますと、確かに第五条には海賊対処については海上保安庁であるというような規定はあります。それが、第七条へ行きますと、防衛大臣が特別の必要がある場合には云々という規定がございます。ここで、国土交通大臣の責任と判断でこの手続を開始するというような条文になぜならないのかというところが非常に気になるわけですけれども防衛大臣が特別の必要がある場合という、その判断を第一義的に防衛大臣がするんではないかという感じがするわけですけれども、そこのところはいかがですか。
  72. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 今ほど申し上げました海上警備行動、自衛隊の八十二条でありますけれども、これは同じように、防衛大臣が特別な必要がある場合には海上における海警行動を命ずることができるという既存の法律が一方ではあります。  ただ、今度この法案で、今御指摘いただいた七条で防衛大臣海賊対処行動を命ずることができる、その前に内閣総理大臣の承認が要ります。内閣総理大臣の承認を求めるに当たっては、関係機関の長と相談をする必要があります。関係機関の長、当然、私も海上保安庁長官も入りますけれども、そこで対処要項を作りなさいと。対処要項というのを、幾つかここに、第七条二項に定めてありますけれども、第二項第一では、前項の行動の必要性、つまり言い換えれば、なぜ海上保安庁ではなくて自衛艦が行くのかということについてここで明らかにさせていただく。  そういう意味で、先ほど米長委員のときにも御議論がありましたけれども、私も岩崎長官から、ソマリア沖状況というものがどういう行為が行われているのか、あるいはどういう武器が使われているのかというようなことを伺ってまいっておりました。そういう中で、現有の海上保安庁装備だけでは困難であるという判断をさせていただいたわけでありますが、内閣総理大臣の承認を得る前にそのことを明確にする、そういうことを前提として、内閣総理大臣の承認を得た後、防衛大臣海賊対処行動を発動を命令できるということになっておりますので、そういう意味で、議論として国土交通大臣が要請すべきではないかという御議論があるということは承知しておりますけれども、今私が申し上げた手続で十分そこの意が酌めているんではないかということで提案をさせていただいているところであります。
  73. 一川保夫

    ○一川保夫君 いや、私は、むしろこの第七条は、防衛大臣国土交通大臣の交代した方がいいんではないかというふうにぐらい思います。むしろ国土交通大臣が特別の必要があるということを判断をして、総理大臣に承認を求めて物事をスタートさせるということが、第一義的には海上保安庁が責務であるということを私は条文に明記したことになると思いますけれども、どうも第七条は防衛大臣冒頭に出てくるというところに、やはり何となく皆さんが心配をする面があるんではないかと。  何か、大臣、何かあるんですか。
  74. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 何か、防衛大臣じゃなければもう大丈夫だというお話のようでありますし、もっと言わせていただくと、先生、その下に書いてあるのは、関係行政機関の長と協議をしてと書いてありますね。大臣と相談しろと書いてないんですよ。ということは、基本的に、私は海上保安庁長官と相談をしなければいけないということになっちゃいますからね、各機関の長ですから。ということは、私がその前にここで関係機関の長と調整した後に、大臣が調整して、私が大臣と話合いをした上でというような網掛けがいっぱいになっているわけですよ。  ですから、防衛大臣が突っ走ると言われたら、それは人間性が疑われているみたいなものですからしようがないんですけれども、しかしながら、その組織上のことを言えば、そういった、逆に言うと、私の権限よりも下の方との相談をしてからもう一回上げてきて、総理大臣と調整をしながらやっていけということになりますと、私自身、大臣同士の話合いで決めろと言われた方がまだ分かるんですが、逆に、関係機関の長と相談をしてからやるということの積み重ねを私とすれば防衛大臣の上に網を掛けているのではないかなという、私自身はそういう解釈をしているところであります。
  75. 一川保夫

    ○一川保夫君 この問題はまた我々もしっかりと問題意識を持って対応しますけれども。  それから、先ほどの米長委員とのやり取りを聞いておりましても、海上保安庁は例えばマラッカ海峡等で最近までいろんな実績があると。じゃ、海上保安庁海賊対処のために、この新しい法律ができた後も、どの範囲まで出向いてやるのかというところが非常にあいまいです。  いや、それは距離じゃないよだとかいろんな言い方があると思いますけれども、しかし、基本的にマラッカ海峡、東南アジアの地域でそれだけの実績があるんであれば、だからソマリアの沖合へ行って堂々とやればいいじゃないかという感じはするんだけれども、いや、それは船舶の機能がどうのこうのというようないろんな言い訳をされておりますけれども。  じゃ、海上保安庁は、この法案が成立した後、どの範囲まで出向いて何をどの程度やられるんですか、そこがはっきりしていないと思いますけれども
  76. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 海上保安庁海賊対策について地理的範囲の限定があるわけではないと承知をしております。  したがいまして、東南アジアを超えても海上保安庁対処できるようなものであれば、先ほども申し上げましたけれども短期間で済むようなオペレーションでありますとか、海賊が強力な武器を持っていないでありますとか、そういうことで海上保安庁が出ていく必要性があれば、それはちゃんと対処したいと思います。  もちろん、日本周辺あるいは東南アジア、これはちゃんとやっていこうと思っておりますので、海上保安庁としてもこの方針に基づいてできることはきっちりやっていく所存でございます。
  77. 一川保夫

    ○一川保夫君 これで終わりますけれども、非常にこの法案の中にも大事なところであいまいな点が幾つかあるということ、また、法律に基づいて自衛隊が海外に派遣されるという問題について、我々は引き続きこの法案の修正について努力してまいりたいというふうに思いますので、また政府・与党の皆さん方もひとつよろしく御理解をお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。     ─────────────
  78. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、山口那津男君が委員辞任され、その補欠として加藤修一君が選任されました。     ─────────────
  79. 佐藤正久

    佐藤正久君 自由民主党の佐藤正久です。  まず最初に、北朝鮮関連について御質問をさせていただきます。  五月二十五日の北朝鮮の核実験を受けまして、国連安保理の方ではその決議案が日韓と常任理事国の七か国の間で最終合意ができたという報道がございます。  ついては、早期の採択が望まれると思いますけれども、大事なことは制裁を実行すること、採択後、その制裁内容を早期に実行に移すということが非常に大事だと思います。とりわけ、日本の場合は北朝鮮の脅威をやっぱり受けやすいという観点から、早くこの制裁内容を、決議を採択された後、実行に移していただきたいと私は思います。  外務大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  80. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ニューヨーク時間で十日でありますけれども我が国と常任理事国五か国、いわゆるP5プラス2という形で我が国、韓国が加わりまして、決議案につきまして合意に至りました。それを受けまして、同日、というのは日本時間で今朝の午前零時でありますが、開催されました安保理の非公式協議において、米国からこの決議案が提示をされまして、安保理の理事国間で協議が行われたところでございます。  この協議は非公開でありますので、具体的内容を今申し上げることは差し控えさしていただきますけれども、今委員がおっしゃいましたように、早期採決が非常に重要でありまして、今各国とも努力を続けているところでございます。  決議が採択され次第、政府といたしましては、政府全体として早急に関係省庁間でこの決議というものを十分に精査をし、そして省庁間で緊密に協力をしながらしっかりとした対応をしていきたいと、そういうふうに思っています。
  81. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。是非とも速やかな対応をお願いしたいというふうに思います。  また、報道によりますと、今回の最終合意の中身として、前回の一七一八号の武器の禁輸の内容を強化するとか新たな金融制裁、公海上での船舶検査というものが盛り込まれたというふうになっておりますけれども、大事なことは、やっぱり日本だけではなく関係する主要国、言わば国際社会が一体となって連携をして決議内容を実行するということが大事だと思います。日本も決議をリードした国の一つとして、ほかの国にこの決議の履行というものを働きかけるということが非常に大事だと思います。  外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  82. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) まさに今委員がおっしゃいましたとおり、これ決議作るのが目的というよりか、やっぱり決議をこれを実行に移すということ、そして北朝鮮の非核化を始めとするこのような活動をこれを停止させるということが一番大事なことでありまして、決議が採択された以降、我が国としては、各国とも緊密に協力をしながらこれの実効性が上がるようにやっていきたいと思います。
  83. 佐藤正久

    佐藤正久君 大臣から実効性上がるように対応したいという御答弁をいただきました。ありがとうございます。  報道によりますと、北朝鮮はミサイルの発射もまた準備を継続しているというものがございます。その発射の意思を覆して発射を止めるためには、やはり対話の道は開けておくということと同時に、国際社会がやっぱり協力して決議に基づく強い圧力を掛けるということが極めて重要だと思います。  ただ、日本の場合は、今の事態を周辺事態と認定しない限り、公海上での船舶検査はできません。しっかりしたメッセージを北朝鮮に伝える、他国と連携する、あるいはほかの国をリードするという意味からも、仮に決議の中で公海上の船舶検査というものができた場合、そのための国内法を整備することが必要だというふうに考えますが、外務大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
  84. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 先ほどから申し上げておりますけれども、まだ協議中といいますか、決議が採択はされておりませんけれども、そういうことで確定的なことは申し上げることは差し控えさしていただきたいと思いますが、この決議が採択され次第、政府全体としては関係省庁と協力をして緊密に協議をしながら対応していきたいと思いますが、必要な対応、措置というものについては、これは当然とっていかなければならないと思います。
  85. 佐藤正久

    佐藤正久君 日本の平和を守って、国民の生命、財産を守るという責務は与党も野党も関係ないと思います。北朝鮮の核弾頭の小型化とかあるいはミサイル搭載技術、その確立というのは絶対に阻止しないといけないと思います。よって、もう政府関係の方におかれましては速やかな対応を取っていただいて、与党、野党問わず協力するという用意はあると私は思っていますので、対応をよろしくお願いしたいと思います。  続きまして、海賊関連についてお伺いいたします。  お隣の韓国で九日、十日に開催されましたソマリア沖海賊対策に関するハイレベル会合という、この会議の概要、そしてその成果について外務省の方からお伺いしたいと思います。
  86. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) ソマリア沖海賊対策に関するハイレベル会合、これは六月の九日及び十日、韓国ソウルにおいて、韓国が主催し、我が国及び国際海事機関、IMOの協力の下、ソマリア沖アデン湾の沿岸国の代表を含む三十四か国、十六機関の参加を得て開催され、我が国からは西村外務大臣政務官政府代表として出席いたしました。  本会合においては、海賊行為等の抑止における国際地域機構の役割、海運業界のベストマネジメントプラクティス、また地域の能力構築、また最近の軍事措置の動向について等の議論が行われました。最後に、参加各国、機関がソウル声明に合意できたことは大変大きな成果だと考えております。  我が国は、この同会合において、新たな取組として、沿岸国の海賊対処能力の強化、ソマリアの安定のための支援等を図るなどの経費として合計約三十六億円の支援を行う旨を発表し、参加各国、機関から高い評価を得たところでございます。  さらに、我が国は、アジアの海運業界を国際社会における海賊対策の議論に参画させる必要性を強調するとともに、漁船の海賊対策について、漁船と各国軍隊、他の関係者との間の情報共有体制の整備に関する提案を行い、これも参加各国、機関から賛同を得たところでございます。  九月に予定されている次回のソマリア沖海賊対策に関するコンタクトグループ会合の議長を務める我が国といたしましては、今次会合の成果を踏まえ、我が国が行った提案の具体化を含め、ソマリア沖海賊対策の解決に向けて国際社会による連携強化のために取り組んでいく所存でございます。
  87. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  やはり、海上自衛隊による今の海賊対処だけではなく、やはり長い目で見て、ソマリアの国内の安定化、あるいは周辺国の海賊対策能力の向上、あるいはアジア諸国の情報共有の強化と、非常に大事な分野だと思いますので、今後とも継続的に施策を進めていただき、九月の会議のときにまた更なる成果が出るように頑張っていただきたいと思います。  次に、海賊を仮に逮捕した後の処置についてお伺いしたいと思います。  今、海上保安庁の隊員の方が八名、海上自衛隊の船に乗っているというふうに聞いておりますけれども、その八名の中にアラビア語とかソマリ語というものを話せる方はいらっしゃるんでしょうか。海上保安庁、お願いします。
  88. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 英語を話せる者はおりますけれども、アラビア語とかソマリア語を話せる者はおりません。
  89. 佐藤正久

    佐藤正久君 それでは、逮捕した後に、いろいろこれからの法的手続を行うために、通訳というものを確保するような準備というのはなされているんでしょうか。
  90. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 逮捕した場合に、その人物の特定等必要なことを聞かなきゃいけないということがございます。  私ども、そうした基本的な質問項目をソマリア語に翻訳した質問票を準備しておりますので、こうしたもので対応したいと思っております。  また、通訳につきましては、私どもの調べた範囲内でございますけれども、ソマリア語とフランス語の通訳が関東、東京周辺におられるということが判明しております。電話なんかを使いながら、そうした通訳を使って日本とのやり取りの中でやっていくと、こういう形になろうかと思っております。
  91. 佐藤正久

    佐藤正久君 通訳というのは非常に大事な分野ですので、中には外務省の方もいらっしゃいますし、現地の方にもフランス語とアラビア語を話せる方もいろいろいらっしゃると思いますので、いろんな形でしっかりした対応を取っていただきたいというふうに思います。  次に、我が国の関連船舶護衛中に海賊を逮捕したと。その海賊も、特に重大な犯罪、例えば殺人等そういうものを犯していない、言わば軽微な犯罪を犯した海賊を逮捕した場合、その場合の事後の処置はどのようになるんでしょうか。
  92. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 逮捕した場合に、日本に移送して刑事手続を進める、あるいは被害船舶の旗国にやってもらう、あるいは被害者の国籍国にやってもらう、あるいはソマリアの周辺国に引き継いでもらうと、こういうやり方があろうと考えております。  非常に重大な、日本人に対して重大な犯罪を起こした場合、これは日本に連れて帰ってくるのが基本だと思っていますけれども、軽微な犯罪の場合は、日本に移送して刑事手続を進めることはやっぱりコスト的にもなかなか大変なので、そうしたソマリア周辺国に引き渡すことも含めて、個別で対処したいと思っております。
  93. 佐藤正久

    佐藤正久君 各国状況をお伺いしたいと思います。  じゃ、アメリカ、イギリス、フランスの場合、海賊を逮捕した後の処置はどのようになっているんでしょうか。外務省の方にお伺いします。
  94. 福嶌教輝

    政府参考人福嶌教輝君) 米国及びフランスでございますけれどもソマリア沖に身柄を拘束した海賊につきましては、周辺国への引渡し、裁判のための米国あるいはフランス本国への移送又は釈放のいずれかの措置をとったことがあると承知しております。また、英国でございますが、周辺国への引渡し又は釈放のいずれかの措置をとったことがありますが、英国本国に引き渡したという事例は承知しておりません。
  95. 佐藤正久

    佐藤正久君 それぞれの国ごとに国内法等に基づいて対応しているということだと思います。  それでは、今審議をしています新法成立後は、今度は、日本関連船舶だけではなくほかの国の国籍船舶護衛できるというような形になります。仮に、ほかの国の船から救援要請があり、それの救助に向かった、その際に海賊対処し逮捕したという場合、海上保安庁の隊員はどのような対処を行うんでしょうか。何か現在と変化があるんでしょうか。
  96. 岩崎貞二

    政府参考人岩崎貞二君) 新法が成立した場合、そうしたことも処罰対象になりますけれども、そうした他国の船員が重大な被害を受けたといったときには、やはり被害船舶の旗国でありますとか、その殺害されたあるいは重傷を負った船員の国籍国、こうした意向を尊重するというのがまず基本的なやり方だと思っております。  もちろん、日本に移送して刑事手続を進めるあるいは周辺国に渡すということも否定するわけではございませんけれども、やっぱりそうした場合には被害者の船籍国あるいは国籍国の意向も尊重すべきものと考えております。
  97. 佐藤正久

    佐藤正久君 ありがとうございます。  新法成立した場合は対応の幅がまた広がる、被害を受けた国あるいはその被害を受けた人が所属する国というものの対応まで考えないといけないということだと確認できました。  次に、緊急医療体制についてお伺いします。  海賊対処護衛任務中に、あるいはジブチの空港での勤務中、二パターンがあろうかと思いますけれども、その際に負傷あるいは急病等に隊員の方がなったという場合の患者の後送、治療体制はどのようになっていますか、防衛省の方にお伺いしたいと思います。
  98. 外山千也

    政府参考人(外山千也君) お答えいたします。  海賊対処のために派遣されている隊員に係る医療体制につきましては、傷病が軽症の場合や応急処置を行う場合には、護衛艦に同乗しております医官やジブチ空港に派遣されている医官を始めとする自衛隊の医療スタッフが対応することとしております。  自衛隊で対応できない場合には、必要に応じ、護衛艦からヘリで後送することを含めまして、ジブチに所在する米軍やフランス軍の医療施設におきまして治療することを考慮した体制を整えているところであります。
  99. 佐藤正久

    佐藤正久君 是非とも、緊急患者輸送体制というものはしっかり取っていただきたいと思います。そういう面でも、ヘリコプターの必要性というのは、海賊対処だけではなく隊員の医療体制という関係でも大事だということを確認できました。また、アメリカやフランスの医療施設というところとの連携もしっかりやっていただきたいと思います。  以上で質問を終わります。
  100. 浜田昌良

    浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。  海賊対処法についての質疑でございますが、先週六月四日に民主党から修正案が提出されました。本日はこれにつきまして政府の見解を幾つかお聞きしたいと思っています。  修正案、幾つか内容がありますが、主な点は三点だと理解をしておりまして、一点目は、国土交通大臣の要請というものが必要かどうなのかという点、二点目は、海賊対処本部というものが必要かどうかという点、三点目は、国会の関与で事前承認が必要かどうかと、この三点だと理解をしております。  それで、そういうことから、最初に海洋担当政務官の岡田政務官にお聞きしたいと思いますが、先ほど一川委員からも御質問がございましたが、御懸念の原因は何かというと、海上保安庁はできると思っているのに防衛大臣が一方的に出てしまうというようなことがあるんじゃないかと、これが一点ですね。逆の例もあるかもしれなくて、いや、海上保安庁ができないというときで、また防衛大臣も必要と認めないと、これ一応論理上あるわけですね。こういう二つのケースについて、現行法ではどういうふうに解釈されるのかについて、岡田政務官答弁お願いします。
  101. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) 御下問をいただきました件で、海上保安庁と自衛隊というのは海賊事案に関して平素から情報交換とか共同訓練を通じて緊密に連携協力を図ってまいりますので、海上保安庁のみで海賊行為に適切かつ効果的に対処できるか否か、この判断というのは、我々は海保と防衛省の見解が異なることは基本的にはないと、このように考えております。  また、お尋ねの制度上の問題でございますけれども、この法案においては、防衛大臣が特別の必要ありと、こうお考えになった場合に、先ほど防衛大臣からお話がありましたけれども海上保安庁長官等の関係行政機関の長と協議をして海賊対処行動の必要性等を明記した対処要項を作成、閣議決定を経た上で内閣総理大臣の承認を得ると、こういう手続になっているわけであります。当然、その過程で国交大臣との御協議もございましょうし、万一異なる御意見があっても、これは閣議決定の前提として閣議できっちりと調整をされまして、そして閣議決定、最終的には総理の御承認と、こう幾重にも協議のネットが掛かっておりますので、政府全体として適切な判断がされるものと確信をいたしておりますし、先ほど先生がおっしゃいました二つのケース、これはいずれも同様なんだと思います。  防衛大臣が特別の必要があるとお考えになる場合、またないとお考えになる場合、これはその状況に応じて大臣方適切に御協議いただき、基本的にそうしたそごが生じることはないというふうに考えております。
  102. 浜田昌良

    浜田昌良君 ただいまの御答弁で、まず、防衛大臣が特に必要だと認めても、七条二項によりまして関係行政機関の長と協議をしなきゃいけないというのがビルトインされておりますので、その段階で、いや、海保でできるというときは調整されると、これが一点ですね。もう一点は、両方しないという、基本的には両省の見解に相違はしないと、連絡を密に取っているということですから、両方が出ないということもないというような見解であったと御答弁を理解いたしました。  じゃ、次に、海賊対処本部が必要かどうかという点でありますけれども、これは法制局にお聞きしたいんですが、法制局はいつも答弁が長いので短くお願いしたいんですけれども内閣の本部に自衛隊の部隊が出向すれば、同じ武器使用を行っても憲法上の位置付けは異なるんでしょうか、答弁お願いします。
  103. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 憲法第九条第一項の武力の行使との関係でお答えしたいと思います。  今申し上げた憲法第九条第一項の武力の行使とは、基本的には、我が国の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいうと解しておりますが、ここにいう我が国の物的、人的組織体については、その名称や組織の位置付け等についての限定があるわけではなく、自衛隊であれ警察機関であれ御指摘のような内閣の組織であれ、我が国の物的、人的組織体に当たることに変わりはなく、同じ武器使用であるならば、それをいずれの組織が行ったかによって憲法第九条の禁ずる武力の行使に当たったり当たらなかったりするということはないと考えられます。
  104. 浜田昌良

    浜田昌良君 今答弁に明確にありましたように、いわゆる我が国の管轄権の中で警察行為をするというときは武器を使っても武力の行使ではないと。ただ、その管轄権のない外で武器を使うんであれば、それが自衛隊であれ警察であれまた内閣に出向した人間であれ、それは武力の行使であるということであるわけですから、そういう意味では、わざわざ本部をつくるという理由は、余り意味は大きくないのかなと思っております。  逆の聞き方をいたしますが、防衛大臣にお聞きしたいんですが、四月十九日付け読売新聞の社説で、海賊対処本部は防衛省の屋上屋になりかねない、海自艦船は統合幕僚監部が指揮するのが最も効率的だ、新たな組織は指揮命令系統を混乱させるおそれがあると、こうありましたが、実際の指揮命令上の、もしこの海賊対処本部を置いた場合の問題点はいかがでしょうか。
  105. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) これまで自衛隊は、私による統合幕僚長を通じた指揮監督の下で、日本国民の生命、財産の保護のためにアデン湾における日本関係船舶護衛活動を着実に実施してきたところでありますが、その実績も踏まえれば、自衛隊についてあえて海賊対処本部を設置した上で海賊対処に従事させる合理的な理由は見出せないと考えております。  また、いたずらに指揮命令系統を複雑化し、かつ責任の所在を不明確にするといった問題があるというふうに考えているところであります。
  106. 浜田昌良

    浜田昌良君 一応PKOの場合は内閣に本部を置いたわけですね。  それでは、岡田政務官にもう一度お聞きしますが、PKOの場合の活動の在り方と海賊の在り方の運用上の何か違いがあるのか、その違いによってこの本部の必要性の有無に関係しているのか、答弁いただきたいと思います。
  107. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) お尋ねの国際平和協力法、PKO法でございますが、これは停戦監視であるとか選挙監視であるとか大変多様な国際平和協力業務に関するものでございます。自衛隊だけではなくて幅広く関係行政機関が協力をして、言わば混成チームを組んで取り組むような場合も多いわけで、そのまとめ役、束ね役として国際平和協力本部が設置される旨規定されていると、このように考えております。  一方、今回のような海賊行為への対処というのはこれは警察活動でありまして、繰り返し申しておりますとおり、第一義的には海上保安庁が実施し、特別の必要がある場合には自衛隊に海賊対処行動を命じて対処を行うと。いずれにせよ、これは単一の省庁が指揮命令系統をはっきりさせて適切かつ効果的に対処した方がいいと、このように考えているわけであります。  したがって、自衛隊が警察活動として海賊行為への対処を行うに当たって、あえて別組織を設置する合理的な理由は見出せないと私も考えております。
  108. 浜田昌良

    浜田昌良君 今の御答弁だと、PKOの場合は混成チームである、よって、そういう意味ではまとめる組織が要ったかもしれないと。今回の場合は海自と海保だけであるということから、これはもう本部は要らないと、こういう答弁と理解をしました。  次に、一番重要な点と思っております国会の関与について議論を進めたいと思っています。  法制局にお聞きしますが、これも短めの答弁をお願いしたいと思うんですが、自衛隊の活動に関しまして、海上警備行動、治安活動海賊対処といったいわゆる警察行動ですね、これと、PKO、周辺事態法、インド洋の補給支援等の国際協力、国際紛争に対する行動との法的な位置付けの違いについて答弁願います。
  109. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) まず、御指摘一つ目のグループ、治安出動は、我が国の治安の維持、海上警備行動は、海上における人命、財産の保護又は治安の維持、海賊対処行動は、国内法上の犯罪として規定された海賊行為の抑止、取締りという、いずれも我が国の警察権の行使、すなわち法執行として行われるものであり、自衛隊法上は、同法第三条第一項の「必要に応じ、公共の秩序の維持に当たる」という任務として位置付けられているものと考えております。  他方、二つ目のグループでありますPKO活動等の活動は、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律等の特別の法律の定めに従いまして我が国の統治の及ばない他国の領域等においても行われるものであり、その法的性質は我が国の法執行としての警察活動とは別のものと解されます。自衛隊法上は、同法第三条第二項の任務として位置付けられているところでございます。
  110. 浜田昌良

    浜田昌良君 今の御答弁で、いわゆる今回の海賊対処というのは治安出動等と同じで警察権の行使であると、PKO等、インド洋の補給支援はそうではないと、今法的の位置付けの違いがあったわけですが、具体的な議論に入りますけれども、一九九二年に、PKO法制定時には議院修正で本体業務だけを国会事前承認と、こうしたわけですね。これについて、なぜ本体業務だけ事前承認をしたのか、PKO本部から答弁いただきたいと思います。
  111. 高田稔久

    政府参考人(高田稔久君) 先生御指摘のとおり、自衛隊の部隊等によります停戦監視あるいは武器の搬入、搬出の検査等、いわゆる平和維持隊、PKFと言っておりますけれども、この本体業務の実施につきましては、平成四年のPKO法の審議過程におきます自民党、公明党及び民社党による合意に基づきまして法律案が修正をされ、原則として国会の事前承認を必要とする旨が盛り込まれたものでございます。  政府としては、この国会承認、自衛隊の海外派遣に係る国会のシビリアンコントロールを確保するものとして盛り込まれたと理解をしてございます。  当時の審議の過程で、修正案の提案者であります田渕哲也、民社党の参議院議員でいらっしゃいましたが、特別委員会答弁をされておられますので、部分的に引用をさせていただきます。「本体業務というのは、もちろん戦闘のための武力行使は行いませんけれども、仕事そのものは軍事的業務に属するものである、そういう観点からこのように分けて、」、事前承認を要するものとそうでないものに分けて、「本体の部分のみを国会承認の対象にしたわけであります。」と、こういう答弁をされておられます。
  112. 浜田昌良

    浜田昌良君 PKO法の今の修正の議論というのは非常に重要だと思うんですね。PKO法の修正ですべての行為を事前承認にしたわけじゃないんです。あくまでも軍事的業務とみなせるもの、いわゆる停戦監視であったり、武器の搬入、搬出とか駐留、巡回というものは、これは議院修正で事前承認にしました。ところが、本体業務以外の被災民の救出とか帰還また輸送、こういうものは報告のままなんですね。そういう意味では、何でもかんでもこれは事前承認というわけじゃなかったわけです。  今までの二つの問いを整理しますと、一つは、まずシビリアンコントロールを議論するときのまず第一は何かというと、それが我が国の管轄権を持っている中での警察行為なのかそうでないのかと、それによってやっぱりシビリアンコントロールの仕方が違うわけですね。警察権の行為というのはそんなシビリアンコントロールの問題じゃないと。  次に、例えば武力の行使ということになったとしても、それについてはPKO法の修正があったように、いわゆる軍事的な業務なのかそうでないのかということを立て分けてシビリアンコントロールは議論してきているという中で、今回はあくまで管轄権のある警察行為であり、かつ平和的な行動であるということから、そもそも法理論的からいっても私は報告が十分である、シビリアンコントロールは十分達成できると思っているんですが、実は三点目の論点があるんですね。  三点目の論点は、お手元に資料を配らせていただきました。このグラフを見ていただきたいんですけれども、これは何かというと、自衛隊が自衛隊法以外で海外派遣されたいろんな法案の成立と、どれぐらい送られているのかという人数の延べ人数、累計なんですね。いわゆる九二年に平和協力法がありましたが、我々公明党は、この九二年の平和協力法、九九年周辺事態法、〇一年旧テロ特措法と、野党から与党に変わっておりますけれども、実はこの法案修正には全部前向きでした。前向きに対応しました。結果として、この九二年のときには今言ったように本体業務については国会事前承認とし、九九年の周辺事態法については後方支援業務も国会事前承認すると。〇一年の旧テロ特措法の場合は国会事後承認ということで、措置開始二十日以内に承認をするということにしたんです。  じゃ、なぜこうしたのかというと、当時のこの送られている人数を見ますと、当時の九二年時点はそもそもこういう特別法がありませんでしたのでゼロでした。この九九年の周辺事態法を議論する時点では、当時送られていた人数は約二千名ですね。〇一年の旧テロ特措法の議院修正を議論するころには、やっと三千名の自衛官が延べで送られていたというところだったわけです。  そういう意味では、我が国としては自衛官というのが海外に送り出すときにどう受け取られるんだろうかということについてはより慎重に考えたわけですが、その後、ここにありますように、補給支援法であれイラク特措法であれ、いろんな法律を通じて合計しますと既に三万一千名の自衛官の方々が海外で働いておられる、送られた。これで全くのいろんな事故も起こしていないということなんですね。そういう意味では、国民の中においても、たとえこれが武力の行使であれ管轄権の範囲の外であれ、いろんなことにしたとしても、自衛隊の海外の派遣ということについてかなり国民的信頼ができてきているんじゃないだろうかと。〇一年の旧テロ特措法の議院修正したときの約十倍の人間がもう行ってきたということでありますので。  これを見ていただいて防衛大臣の見解をお聞きしたいんですが、これを見ていただいて、我が国自衛隊の海外派遣に対する国民理解の浸透についてどのように評価されるのか、防衛大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  113. 浜田靖一

    国務大臣浜田靖一君) 今先生お話しのように、自衛隊は、一九九二年のPKO法に基づいてカンボジアへの派遣以来、同法に基づいてゴラン高原、東ティモール、スーダン等の国連PKOに、また国際緊急援助隊法に基づいてインドネシア・スマトラ島沖の地震等への国際的な災害救援活動に参加しております。そのほか、旧テロ対策特措法、補給支援特措法に基づくインド洋における補給支援活動や、イラク特措法に基づく人道復興支援活動を実施してきておるところでございます。  自衛隊の海外の派遣に係る要員数の累計を見ますと、特に旧テロ対策特措法に基づく活動を始めた二〇〇一年以降、大きく増加をしておるところでございます。  御指摘のように、PKO法以来、自衛隊の海外派遣に係る法案について国会で活発に御審議をいただき、また、海外での自衛隊の活動に関しても国会において活発な御議論をいただいてきたところでもあり、自衛隊による様々な国際平和協力活動への取組とも相まって、自衛隊の海外派遣に関する国民の皆様方からの御理解も促進されてきたものと考えているところでございます。
  114. 浜田昌良

    浜田昌良君 今、国民の理解も進んできていると御答弁ありましたが、一方では海外の受け止め方も重要なんですね。いわゆる東南アジアの諸国についても、自衛隊というのがいわゆる侵略目的じゃないのかと、そういう誤解もあったのかもしれません。  これは外務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、自衛隊の派遣というのが国際貢献、公共の秩序の維持という、そういう形で受け取られている現状について御答弁いただきたいと思いますが。
  115. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) 今、自衛隊の海外派遣については防衛大臣から現在の状況等説明がありましたから、私からは申し上げませんけど、これらの自衛隊の活動につきましては、一般的に国際社会から高い評価をいただいております。  今委員お話しになりましたアジア諸国の評価はどうかということになりますが、例えば我が国の東ティモールにおける国際平和協力活動につきましては、東ティモール国民を代表して同国の首相より謝意が表明されております。また、二〇〇六年五月のインドネシア中部における地震災害に際する国際緊急援助隊としての医療支援活動などに対しましては、インドネシア政府及び国民からまた高い評価を得ております。さらに、我が国のインド洋における補給支援活動、これに対しても米国を始め国際社会から評価を得ていますが、アジアという意味でも、パキスタンやフィリピンやシンガポール、タイ、そういう国々からも高い評価を得ているところでございます。  我が国の国益というのは世界の平和と安定なくしてはこれは確保できないという中で、我が国がそういう国際的な平和活動に積極的に参加をして平和と繁栄に向けて取り組んでいるということでございますが、今後もこうした協力というものを積極的に行っていくということによって、今委員お話しされましたような国際貢献、公共の秩序の維持と、そういうような我が国活動というものを各国にも理解をしていただき、また我が国の地位にふさわしい責任ある役割を果たしていきたいと思っています。
  116. 浜田昌良

    浜田昌良君 そういう意味では、国内、国外において自衛隊の海外派遣についての非常に理解というか、そういうのが進んできているという状況なんですが、それで法制局にお聞きしたいと思うんですが、国民の自衛隊への信頼感の深化によりまして、文民統制のための国会の関与の在り方というのは、国民の受け止め方の変化に応じて関与の仕方も変わってくるということで憲法との関係が問題ないのか、矛盾しないのかについて答弁いただきたいと思います。
  117. 横畠裕介

    政府参考人横畠裕介君) 自衛隊に対する文民統制のための国会の関与の重要性につきましては改めて申し上げるまでもございませんが、具体的にどのような国会の関与の規定を設けるか否かは、実力組織を適切にコントロールするという観点からの国会と政府のそれぞれの役割の在り方という大きな課題にかかわるものではございますが、基本的に立法政策に属する問題であると理解しております。したがいまして、御指摘のような変化というものは否定されるものではございません。
  118. 浜田昌良

    浜田昌良君 今御答弁で、いわゆる文民統制のかかわり方については立法政策の問題であるということですから、時々の時代の状況、国民がどうとらえているかということを踏まえて、変わっていっても問題はないという御答弁だったわけですね。  次に、じゃ、報告で不十分か不十分でないのかということに移りたいと思うんですが、この法案では、内閣総理大臣海賊対処行動を承認したときには遅滞なく国会報告だと。遅滞なくというのは役人言葉なんですけど、まあ二日、三日という感じだと思いますよ。それからの通常手続を想定した場合、何日後に、自衛隊が準備をした後、日本を出発し、そのまた何日後ぐらいに現地任務を開始するのか。現在、海上警備行動が発令されていますけど、それが発令されていない前提で考えた場合はどれぐらいの日数が掛かるのか、防衛省から答弁いただきたいと思います。
  119. 徳地秀士

    政府参考人徳地秀士君) お答えを申し上げます。  海賊対処法案に基づいて自衛隊が海賊対処行動のために派遣される場合につきまして、総理の承認、それから国会報告、部隊の出発、それから任務の開始ということについての時間的な間隔の御質問でございますけれども、当然のことながら、そのときの状況、準備状況等も含めて一概にはお答えできない面もございますが、ちなみに、今回の海上警備行動の例で念のために申し上げますと、総理の承認、それから防衛大臣の命令、これが三月十三日でございます。それから、本委員会それから衆議院の安全保障委員会におきまして防衛大臣から報告が実施されたのが三月の十七日でございます。それから、護衛艦につきましては、三月十四日出航をしておりまして、三月の三十日には実際の護衛任務が開始をされております。  なお、哨戒機P3につきましては、五月の十五日に大臣からの命令が発令をされておりまして、先遣隊は五月の十八日、それから飛行機二機を含みます本隊につきましては五月の二十八日に本邦を出発すると、こういうような時程となっておりました。
  120. 浜田昌良

    浜田昌良君 今の答弁の例によりますと、護衛艦の場合は、命令が三月十三日に発令されて、三月三十日に業務を開始したと。二週間強ですね。また、いわゆるP3Cの場合は、五月十五日に命令が出されて、五月二十八日に出発ですから、これも大体二週間程度期間があるわけです。  この二週間なんですが、この二週間の間に内閣総理大臣は、七条二項の内容ですから、今回の必要性、海上の区域、部隊の規模及び構成並びに装備並びに期間、その他重要事項と、こういうものが国会報告されるわけですよ。国会報告されて、仮の話ですが、国会の両院でそのような内容が不適切だということで承認を撤回すべきだと承認撤回決議がなされた場合、総理としてこのような決議にどのように受け止められるのか、承認の撤回も選択肢となるのか、これについて海洋担当大臣からお聞きしたいと思います。
  121. 金子一義

    国務大臣金子一義君) 結論から申し上げれば、私は総理ではありませんが、内閣一員としてその意思は尊重をすべきだと思いますし、また、総理もそういう判断をされると思います。
  122. 浜田昌良

    浜田昌良君 簡潔に御答弁いただきましたが、国会の意思は尊重されるだろうということで、条文上、そういうのが残念ながら衆議院の議論がなくて置かれなかったようでありますけれども、実態上は国会のシビリアンコントロールというのはこのプロセスの中で十分働いていくのかなとは思っております。  次の問題でありますけれども、この報告が、海賊対処行動を承認したときと終わったときと二回しか書いていないじゃないかと。これについては、二回じゃなくて途中がないのかという話になるわけですね。その意味では、この国会報告する内容にはこの期間というのが書いてあるんですね。この期間というのは、今回始まって永続というふうに書くのか、それとも一定のやっぱりインターバルがあって、その期間ごとに、一応任務が終了してまた報告があり、またそれが延長して、またある期間があったら報告があると、そういうふうにある程度の間々で国会報告があるという理解でいいんでしょうか。海洋大臣答弁をいただきたいと思います。
  123. 金子一義

    国務大臣金子一義君) おっしゃるとおりで結構であります。こういうソマリア海賊対処という、少し長めの期間が想定されますので、具体的な一回一回の期間については防衛大臣が設定いたしますけれども、その期間ごとに国会に報告していただいて、その状況説明をさせるという枠組みにしております。
  124. 浜田昌良

    浜田昌良君 今までの御答弁を整理させていただきますと、国会の関与につきましては、まず、今回のこの海賊対処というものが管轄権の範囲内の警察行為なのかそうでないのかと、これは管轄権の範囲内ですね。で、管轄権の範囲外としても、PKOの本体業務だけ事前承認したときの論理を考えれば、田渕議員って民社党の先生ですから多分皆さんの御先輩なのかもしれませんけれども、その方の議論によると、やっぱり軍事的なものは事前承認だけれども、ほかは報告で済ませたと。さらに、国民の受け止めからすると、これだけの実績もあるということを考えれば、報告で私は十分じゃないかと。かつ、報告であったとしても、今の御答弁があったように、国会でそれを承認撤回すべきだという問題があったりとか、中間報告、中間報告の段階でそういう国会の議決があるんであれば、その議決は尊重されるという御答弁もいただきましたので、この法案については十分なシビリアンコントロールを確保していると私は判断させていただきまして、私の質問は終えさせていただきます。
  125. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  アデン湾には既に自衛艦が派遣をされ、各国も軍隊を派遣をしておりますけれども、逆に今年に入ってソマリア沖海賊事件が増加をしております。そして、発生地域もソマリアの東海域に広がっております。  現地派遣されている自衛隊の司令のコメントとして、海賊が軍隊に慣れ、ひるまなくなった、軍艦が通過した後に襲撃したり夜間に獲物をねらうようになっていると、こういうのも出ておりました。  各国派遣後、逆に増えているという状況の評価及び原因についてどのようにお考えでしょうか。
  126. 中曽根弘文

    国務大臣中曽根弘文君) ソマリア沖アデン湾のこの海賊事案は、先ほども申し上げましたけれども、昨年の夏以降急増しておりまして、昨年は百十一件で世界の約四割、一昨年の、これは二〇〇七年の約二・五倍の事案が発生しているわけであります。今年に入りましても、この海賊案件は六月九日現在で既に百三十三件ですから、これは昨年の一二〇%にもう既にこの六月でなっているわけでありますが、また、さらにハイジャックされた船舶が二十九隻、そして十四隻が抑留をされておりまして、二百四名の乗員が人質となっていると、そういうふうになっております。最近では、この海賊事案がソマリア東部沿岸から離れた海域でも発生していると、そういう指摘もございます。  この海賊事案が最近、特に昨年の夏以降急増してきた原因や背景としては次のようなことが考えられますが、一つは、ソマリアにおきまして国土全体を実効的に統治する政府が存在していないということ、そして、そのために法執行、司法機関が全く機能していないということ、それから、犯罪集団の組織化、分業化が進み、身の代金目当てに船舶を襲撃、乗っ取る、そういう行為がビジネス化しているということがあると、そういうふうに認識をしております。  また、海賊発生地点の分散傾向とそれから各国の対策との関係につきましては、今の段階では必ずしも明確でありませんけれども海賊各国の対策を受けてこの海賊行為を行う海域を変化させていると、そういう可能性もあると思います。
  127. 井上哲士

    ○井上哲士君 アメリカの国防総省の報道官が、世界中の艦船をすべてソマリアに集めても問題は解決しないという発言をしておりますが、やはり軍隊で問題は解決しない、周辺諸国の海上警備能力の向上やソマリアの貧困、陸の問題の解決なしにこの問題の解決はないということがますます示されていると思います。  同時に、先日の審議の際も、自衛隊が護衛したのはアデン湾を通過した日本船舶のうち四分の一程度だということも明らかにされました。スピードの出る船舶などは護衛の申出自体もされていないケースもかなりあるということであるわけですね。そういう現状を見ますと、それぞれの状況に合った対策の中で安全な航路の選択ということも大変重要だと思います。  これは国土交通省にお聞きしますが、二十年度の下半期及び今年の四、五月、それぞれについて、アデン湾を通航した日本関係船舶及び喜望峰を通過した船舶の数について答弁いただきたいと思います。
  128. 伊藤茂

    政府参考人伊藤茂君) お答えを申し上げます。  まず、調査の主体でございますけれども我が国日本船主協会に調査を依頼をいたしました。傘下の団体に限っての数字という前提お話を申し上げたいと思います。  まず、アデン湾を通過した船舶でございますが、平成二十年度下半期で日本関係船舶の隻数九百三十隻でございます。それから、本年度に入りまして、四月、五月でございますけれども、この期間でのアデン湾通過隻数は二百八十二隻でございます。それから、同様に、喜望峰を通過した船舶でございますが、平成二十年度下半期では百九十一隻、本年度に入りまして、四月、五月の二か月で八十七隻となっております。
  129. 井上哲士

    ○井上哲士君 様々な経済条件も加わっていると思いますが、アデン湾通航に対する喜望峰通過の割合は二割程度から三割ぐらいに増えております。契約の段階でやはり危険なところはやめておこうというようなことで回避をしているという例もかなりあるとお聞きしているわけですね。  アメリカの上院の軍事委員会の公聴会の議論を見ておりますと、これはミシェル・フルールノア国防次官の発言でありますが、最も効果的な短期的対策とは、民間船舶会社と協力してこの地域の船舶が適切な安全対策を取らせることになると。その中で、保安当局との適切な通信の維持、ルートの変更、リスクの高い海域の回避、こういうことも挙げているわけですが、こういう指摘についてどのようにお考えでしょうか。
  130. 岡田直樹

    大臣政務官(岡田直樹君) 安全な航路の選択という御指摘でありますけれども、最初に申し上げておきたいことは、海賊というのは言わば人類共通の脅威であって、いずれの国も許すことができない犯罪行為であると。それゆえ、国連海洋法条約においてすべての国が最大限に可能な範囲で海賊行為の抑止に協力する、また、一連の安保理決議で海賊対処のための軍艦の派遣などを要請しているということであります。  とりわけ、外国貿易の重要度が高い我が国の経済社会及び国民生活にとってこの海上輸送の安全確保は極めて重要でありまして、航行の自由、公海の自由というのは我が国にとって死活的な問題であります。  もし、御指摘が例えば喜望峰を回ってはどうかという、そういうことであったとした場合に、アデン湾、スエズ運河経由と比べて約六千五百キロ遠く、また航海日数も六日から十日増加をするということが船主協会の試算であります。犯罪行為であるという海賊行為に対して、罪のない民間船舶に、大きな負担をして航路を変えよ、負担を背負って大回りせよという、こういう考え方は取るべきではないと。  我が国としては、まず、いろんな手を打つとしても、海上輸送の安全確保を図ることが第一であると、このように考えている次第であります。
  131. 井上哲士

    ○井上哲士君 安全な航路をやはり選択するということも船主としての考え方であるし、そういう選択をしているものもかなりあるということなわけですね。  今も日本が輸入に依存をしているという話がありました。日本は資源の大部分を依存しているということも繰り返されるわけでありますが、今年度の四、五月の間にこのアデン湾を通航した船舶の中で、日本発着、アジア発着、中東発着、それぞれの内訳はどのようになっているでしょうか。
  132. 伊藤茂

    政府参考人伊藤茂君) お答え申し上げます。  これも日本船主協会の調査を依頼いたしました結果でございますが、二十一年度四月及び五月の二か月間でございますが、アデン湾を通過した日本関係船舶、合計で二百八十二隻ございます。そのうち、日本を発地点あるいは着地点にした船舶がそのうち七十九隻ございます。それから、アジア発着の船舶が合計で百四十二隻ございます。また、中東の発着が六十一隻という数字になってございます。
  133. 井上哲士

    ○井上哲士君 日本発着は三割弱なんですね。もちろんハブ港経由というのもあるでしょうが、日本への資源等の出入りに直接かかわっていることでは必ずしもないということが今ありました。中東発着便でいいますと、中東—欧州間三十九、中東—中東間十五、中東—アフリカ間三、中東—北米間四と、こういうふうになっておりまして、だから日本関係船舶といっても非常に国際化をしているわけですね。  それぞれの安全をそれこそ自衛艦を出して守るということになりますと、際限のない海外派遣になっていくと。やはり周辺国の海上警備行動基本に、国際的な協力でこの海洋交通の安全を確保するということが私は必要だと思います。  そういうまさに国際協力ということになりますと、私は、やっぱり憲法九条を持つ国として、そしてアジアの海賊対策で大きな貴重な経験を持つ国としての役割の発揮というものが求められていると思います。  そこでお聞きしますけれども、マラッカ海峡における海賊対策の取組というのは非常に強調されてまいりました。あの対策の枠組みに参加した欧米諸国というのはあったんでしょうか。
  134. 中島明彦

    政府参考人(中島明彦君) お答え申し上げます。  今委員が御指摘になられました海賊対策の枠組みは、アジア海賊対策地域協力協定、通常ReCAAPと呼んでおりますが、このことだと存じております。現在、我が国を含みますアジア諸国十四か国を締約国としておりまして、また、この協定におきましては、アジア諸国以外の加入のために開放されているところでございます。  現在、このような加入によりまして締約国となった国はありませんけれども、この協定の発効後、二〇〇八年、昨年の五月にオランダ、また本年三月にノルウェーがそれぞれ本協定に加入するという意思を正式に寄託者でありますシンガポールに通報したものというふうに承知をしているところでございます。ただし、両国とも協定で定められております加入書の受託者への寄託というものをまだ行っておりませんので、まだ加入は実現していないものというように承知しております。
  135. 井上哲士

    ○井上哲士君 世界的に評価されているマラッカでの対策には、やっぱり海軍主体の欧米というのは関与をしていません。だからこそノウハウに欠ける面もありますし、日本へのソマリア周辺国からの期待も高いんだと思うんですね。やはりそういう点で、日本が何よりも強めるべきは、こういう経験を生かした周辺国の海上警備能力の向上への財政的、技術的支援やソマリアの貧困克服等への支援だと思います。  一月にジブチ会合で情報センターや訓練センターの設置は勧告されていますが、この進行はどうなっているのか。それから、日本はどういう貢献を具体的にするんでしょうか。
  136. 山田彰

    政府参考人(山田彰君) 議員御指摘のとおり、ジブチ会合においては、イエメン、ケニア、タンザニアの三か国に海賊情報の共有センター、またジブチに訓練センターを設置することが決定されました。  この海賊情報共有センター及び訓練センターについては、現在IMOと沿岸諸国との間で立ち上げのための検討が行われているものと承知しています。イエメンにおける海賊情報共有センターについては、九月の開設に向けて作業を進めているとの情報を得ております。また、そのほかの海賊情報共有センター及び訓練センターの立ち上げの時期については、現時点において未定であるというふうに承知しております。  我が国としては、これまで東南アジアにおいて海賊対策に関する支援を行ってきた経験を生かし、ソマリア沖海賊の根絶に向け、IMOと協力して、周辺沿岸国の海上取締り能力の向上、地域協力等の取組を一層進めていきたいというふうに考えております。そのため、政府としては、平成二十一年度、本年度の補正予算で海賊情報共有センターや訓練センターの設立等を支援するために、IMOに対する約十億円の拠出を計上しております。
  137. 井上哲士

    ○井上哲士君 外務省はこの間、周辺国のイエメンとジブチへの支援の検討のために現地調査にも入っていらっしゃると思いますが、その結果と検討状況、特に、昨年来日されているイエメンの沿岸警備隊の局長が高速巡視艇の供与と港湾の整備を求めていると思いますが、この点についての検討状況も併せて御答弁いただきたいと思います。
  138. 山田彰

    政府参考人(山田彰君) ソマリア沖アデン湾海賊問題に関連して、特に周辺国であるイエメン、ジブチに対するODAによる経済協力の可能性について検討するため、政府関係者及びJICA等で構成する調査団をそれぞれ派遣いたしました。  イエメンについては、四月十八日から五月八日の日程で調査を行いまして、イエメンがアデン湾に面した地理的に重要な位置にあることを踏まえて、イエメンの海上保安能力の向上及び関連する経済社会開発のために日本として今後いかなる協力が適切かつ可能であるか、幅広く調査を行いました。  また、ジブチについては、四月十九日から二十三日の日程で調査を行い、ジブチがソマリア周辺地域の安定に果たす役割や我が国海上自衛隊が同国を拠点として海賊対処のための活動を開始していることを踏まえ、同国の経済社会開発及び海上保安能力の向上のために、我が国として今後いかなる協力が適切、可能であるか、幅広く調査をいたしました。現在、こうした調査結果を踏まえ、どのような協力が適切かつ可能であるか、検討しております。  また、イエメンの海上巡視艇についての御質問でございますが、イエメン政府から巡視艇供与を含むイエメン沿岸警備隊の能力向上に関する要請がございました。イエメンについては、先ほど申し上げたような、アデン湾に面した地理的にも重要な位置にあることを踏まえて、この巡視艇供与に関する可能性も含めて調査団は調査を行いました。現在、この調査団の調査結果も踏まえて、どのような協力が適切かどうか、幅広く検討しているところでございます。
  139. 井上哲士

    ○井上哲士君 ここの分野での支援を一層強めるべきだと思います。  時間ですので、終わります。
  140. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後零時二十五分散会