○一川保夫君 この
海賊対処法案の審議も終盤を迎えようとしているわけでございますけれ
ども、私
たち民主党としましては、この法律に基づいて自衛隊を海外に
派遣するという内容を含んでいるこの法案の扱いというのは大変重要なものがあるというふうに思っておりますし、これまでの
質疑の中でもいろんな問題点がだんだん収束されつつあるという感じは持っておりますけれ
ども、全体の議員の皆さん方の意向だとかあるいは国民の総意を受けて、この法案の問題点、欠陥があるとすればそれを修正していくという姿勢が
政府・与党のサイドに余り見受けられないというのは、非常に私は残念なんです。
特に、衆議院段階でも我々民主党はそういう修正の提示をし、協議をしましたけれ
ども、それが決裂をして原案のままこの参議院に来ているわけでございますけれ
ども、私
たち民主党の考え方をもう一度閣僚の皆さん方あるいは与党の皆さん方に
お話をして是非理解をしていただきたいという観点で、
冒頭お話をさせていただきたいと思っております。
私
たち民主党は、国連海洋法条約は、旗国主義のそういった例外としてすべての国に
海賊取締りの権限を与えており、
各国が主権の枠組みを超えて連携して対策を講ずる必要があるというふうに認識いたしております。国連海洋法条約に基づく
国内法の整備の必要性を以前から我々民主党も
指摘してまいりました。また、貿易立国である
我が国にとって、
船舶の主要な航路帯における海上輸送等の安全を確保することの重要性はもちろん理解しておりますし、テロ根絶法案においても、
政府に先駆けて、公海における航行の自由の確保のため、国際社会の取組に積極的かつ主導的に寄与することを規定したところであります。
我々民主党は、
海賊対策は
一義的には、先ほど来の
質疑のように、
海上保安庁の責務であるというふうに考えております。そのためにも、
海上保安庁がしかるべく対応すべきであると、またその体制をしっかりと整える必要があるというふうに考えております。
海上保安庁のみでは対応が困難な場合には、シビリアンコントロールを徹底するという見地から、国会がしっかりと関与するその仕組みを整えた上で、
海賊発生海域に自衛隊を
派遣するということもやむを得ないだろうというふうな判断に立っております。
また、
武器使用基準の拡大については、海上における警察
活動であることから、警察官職務執行法に認められた
武器使用に加えて、
海賊行為を未然に防ぐための
武器使用ということもやむを得ない事態があるだろうというふうにも考えております。
しかしながら、今回、この
政府の
海賊対処法案では、
海賊対策は
海上保安庁が
一義的であるということを言っておきながら、
防衛大臣が特別の必要がある場合を判断をして、閣議を経て自衛隊を出すことが可能となっております。判断の主体が
海上保安庁でないというところに我々は問題があるというふうに思っております。また、法案提出前に既成事実をつくるがごとく、もう自衛隊を
現地に
派遣をしているということについても、我々としては極めて問題があるというふうにも考えております。
そこで、我々民主党としましては、
我が国の
周辺を超えて遠方の海域での
海賊対処に当たっては、国際協力の観点からも
海賊対処のための本部を設置をして、
我が国が持つ
海賊対策のノウハウを一元的に集約するということが重要であるというふうに思っております。オールジャパンの体制の中で機動的に
活動を行うことが必要であるというふうに考えております。
また、対応困難な場合の判断は
基本的には
海上保安庁が行うべきであると。
国土交通大臣が
海賊対策本部の設置を
内閣総理
大臣に要請する仕組みを整えることが必要でないかと。その上で、
海上保安庁にしっかりとした
説明責任を果たさせると。そして、自衛隊という実動部隊を遠洋にも
派遣するということからしましても、国会の関与もしっかりと対応してまいりたいというふうにも考えております。
そういう観点で、私
たちは衆議院の段階でも、また
現時点でも、各党の皆さん方にも幾つかの修正のポイントを提示させていただいておりますけれ
ども、主な点をちょっと挙げますと、
一つは、やはり
国土交通大臣の役割、
国土交通大臣がしっかりと主導、主体的に物事に取り組むという規定を設けるべきであるというふうに思っております。
海賊対処は
海上保安庁が主体的に取り組むということは、この
質疑の中で従来からいろいろと話題に出ていることでございますし、
海上保安庁のみでは対応が困難な場合には、
国土交通大臣の要請を受けて本部を設置をして、それが対応するというような規定を整備したらどうかということも提案をさせていただいております。それからまた、本部の設置がされれば、これは
内閣総理
大臣が本部長を務めるわけでございますけれ
ども、必要ならば、
海賊対処のために自衛官を本部員として身分を併有させて
活動させるというような対応にしたらいかがかというようなことも考えております。
また一方、三点目には、国会の関与ということももっとしっかりとした位置付けにすべきであると。自衛隊による
海賊対処の実施に当たっては、
事前に国会の承認を義務付けるということを明記すべきであるということを我々は強く関心を持っております。
それからまた、国際協力の推進という点で、こういう海上警察行為というものについて、国際間におけるいろんな連携というのが非常に大事ですから、そういったものをしっかりと促進させる、あるいはまた、
関係諸外国との海上警察の
能力向上のための支援策というものをもっと強化していく。そのほかにも中長期的な国際協力のやり方は幾つかあると思いますけれ
ども、そういった国際協力の推進というようなことも、こういった法案の中でもうちょっと明確にすべきであるというふうな考え方を持っております。
それから、五つ目として、
海上保安庁の体制の整備ということについても、こういった新しい法案を作る以上はもっと明確にした方がよろしいんではないかと。それは、先ほど来のいろんな
船舶等々のハード的な整備はもちろんでございますけれ
ども、すべてのこういう
海賊対処にかかわるそういう体制の整備というものについてこの機会にしっかりと整えていくということについて、もっと問題意識を持って条文の中にもそういう趣旨をうたったらどうかというようなことを提案をさせていただいております。
私は、今
お話ししましたのは、我々民主党として、この法案の中身をより国民に幅広く理解をしていただいて、多くの国会議員の皆さん方の賛成する中で法案をしっかりと作り上げるという努力をすべきであるというふうに思っております。そういう観点で、我々民主党が修正するポイントとして幾つかある中の、その中でも主なものだけを今
お話をさせていただいたわけでございますけれ
ども、この問題についてこれから、随時、絞って各
大臣に
お話をお聞きしたいというふうに思いますけれ
ども、これまで、衆議院段階それから参議院のこれまでの
質疑を通じて、三人の
大臣のそれぞれのこの法案に対する
基本的な考え方をもう一度確認したいというふうに思います。
特に、この
質疑の段階でいろんな問題点が提起されていると思いますけれ
ども、この法案の修正問題については
大臣が直接余り言及されないかもしれませんけれ
ども、そういったことについての
質疑の感想も含めて、それぞれ三人の
大臣から所見を述べていただきたいと、そのように思います。