○風間
直樹君 ここで念のため申し上げておきたいんですが、代表
質問でも明らかにしましたように、私の立場は
海賊対処の
法案は必要だと、こういう立場であります。なぜ今日こういう
質問をさせていただいているかといいますと、やはり隊員が
対処されるに当たって、その活動の合法的な基盤をしっかり整備することが我々国会の役割だろうと思いますので、そういう観点から
質問させていただいております。
もう一点は、後ほど触れますが、やはり国会の関与規定をどのようなものにすべきかと、その観点から今るる
質問させていただいております。
そこで、国会の関与の話に入っていきたいと思うんですけれども、お手元に今日、資料を配付しております。これは衆議院の審議で使われたものと同じ
配付資料なんですが、自衛隊運用にかかわる国会の関与というふうに題してありまして、
防衛出動、治安出動、国連PKO、周辺
事態対処、旧テロ特措法、PKF活動、武力
攻撃事態、イラク特措法、新テロ特措法、
海賊対処法案と、これらを二つの基準で見た場合に国会の関与をどう規定しているかというものを一覧にしたものです。二つの基準というのが、武力行使の
可能性、そして国民の権利義務を制約する
可能性、この二つであります。
これに明らかなように、赤いものほど武力行使の
可能性あるいは国民の権利義務を制約する
可能性が高い、ピンクはそれが
可能性が低いと、こういうことなんですが、一覧してお分かりのように、赤いものはやはり国会関与が厳格に規定をされているわけであります。事前承認ということですね、厳格な規定ということの意味は。
今回の
海賊対処法なんですが、私の判断では、この表の中のPKF活動に非常に近い形態だというふうに
考えております。つまり、海外における武力行使の
可能性は極めて高い、今も
質疑のやり取りさせていただきましたが。一方で、国民の権利義務を制約する
可能性というのはほとんどないと。そうしますと、やはりPKF活動がそうであるように、国会の事前承認が妥当なのではないかと、こういう判断をいたしまして、代表
質問でもその旨
指摘をさせていただきました。
それに対する御答弁が、これは総理の答弁だったんですが、「
海賊行為への
対処は警察活動であるため、海上警備
行動と同様に国会の事前承認に関する規定を設けなかったものであります。」と。つまり、警察活動だから海上警備
行動と同様、国会の事前承認は必要ないと判断しましたよと、こういうことなんです。
私は、代表
質問が終わりましてから、寝ずにいろいろ
考えました。まじめに
考えました。そこで、どうもちょっと腑に落ちないなと思う点が浮上いたしましたので、これから
お尋ねをしたいと思うんですが、海上警備
行動における警察権の行使というものの実態と今回の
海賊対処法における警察権の行使の実態というのは、これ中身が同じかというと、私はどうもそこに違いがあるように思うんですね。
防衛大臣、笑みを浮かべて聞いていらっしゃいますけれども、私の
指摘に共感をしていただけているのかどうか分かりませんが。
それで、一言で言いますと、今回の
海賊対処法で許されることになる武器
使用基準、これは従来の海警
行動等におけるいわゆる消極的な自己
防衛、例えば正当
防衛ですとか、そういった枠を超えて、言ってみれば任務遂行型というふうに言えるのかなと私は
考えているんです。これらを警察権の
範囲としてとらえることはどうなんだろうかと思うんですけれども、警察官職務執行法、今手元に
法律があります。ちょっとそれに基づいて
お尋ねをしたいと思うんですが、警職法の第七条にこうあるんですね。
警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する
防衛又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その
事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を
使用することができると。ただしとして、制約が課せられるわけなんですが、刑法第三十六条、これは正当
防衛です、若しくは刑法第三十七条、これは緊急避難ですね、これに該当する場合又は左の各号の一つに該当する場合を除いては人に危害を与えてはならないと、こういうふうに続いております。
この左の各号の一つというのが、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる凶悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる十分な理由にある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするときと、こういうふうに書いてあります。
つまり、これを読みますと、まず一つは正当
防衛ですから、もう今まさに撃ってこようとしていると、このときに警察官が何らかの反応、
対応をすることが許される。あるいはもう一つの緊急避難ですね、緊急避難の条文を読んでみますと、自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした
行為は、これによって生じた害が避けようとした罪の程度を超えなかった場合に限り罰しないと、こういう、抜粋ですが、ことになっております。もう一つ、最後ですが、要するに現に相当の重罪を犯している者が向かってこようとする場合と、この三つの条件を課した上で警職法では武器の
使用を許していると、こういうことなんです。
それでは、今回の
海賊対処行動ではこれらの基準がどのようになっているのかなと。準用するということですので、当然当てはめなければならないんですけれども、先ほどの法制局の御答弁を踏まえますと、まず
海賊船ではないかと、これは立入検査をする必要があるなと
考えた場合には停船をさせる必要がある。そこで、こちらから警告射撃をするわけですね、向こうからまだ撃ってこない段階で。同時に、停船に応じない場合には立入検査をして認定する必要があるわけですから、船体射撃をする必要も生じてくると、これは
防衛大臣のお
言葉を借りれば、その
可能性ができるだけ低くなるように様々な
対応を事前にしますよということですけれども、
可能性としてゼロではないわけです。
そうしますと、やはり警職法と明らかに相違する点は、やはりあくまで受け身で
対応するのか、海自の艦船が、あるいは逃走する
一般商船を猛スピードで追いかける、この
海賊船とおぼしき船を止めて、そして立入検査を実施して認定するためにこちらから能動的な
行為を行うのか、ここが明確な違いだと私は
考えています。
そうしますと、やはり警察権というこれまで我々が
考えてきたものの
範囲を多少なりとも超えると
考えるのが妥当だと思うんですが、まあ後ろの方で
政府委員の皆さんが首を横に振っていらっしゃいますので、この点につきまして、警察権の
範囲ととらえる根拠を明確にお示しいただけますでしょうか。