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2009-04-23 第171回国会 参議院 外交防衛委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成二十一年四月二十三日(木曜日)    午前十時二十二分開会     ─────────────    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任         水戸 将史君     藤田 幸久君      橋本 聖子君     島尻安伊子君  四月二十三日     辞任         補欠選任         佐藤 正久君     義家 弘介君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         榛葉賀津也君     理 事                 浅尾慶一郎君                 一川 保夫君                 白  眞勲君                 浅野 勝人君                 木村  仁君     委 員                 石井  一君                 犬塚 直史君                 風間 直樹君                 谷岡 郁子君                 広中和歌子君                 藤田 幸久君                 岸  信夫君                 小池 正勝君                 島尻安伊子君                 山本 一太君                 義家 弘介君                 浜田 昌良君                 山口那津男君                 井上 哲士君                 山内 徳信君    国務大臣        外務大臣     中曽根弘文君        防衛大臣     浜田 靖一君    副大臣        外務大臣    伊藤信太郎君        財務副大臣    竹下  亘君        防衛大臣    北村 誠吾君    大臣政務官        防衛大臣政務官  岸  信夫君    事務局側        常任委員会専門        員        堀田 光明君    政府参考人        内閣官房内閣参        事官       武藤 義哉君        内閣府政策統括        官        原田 正司君        外務大臣官房審        議官       北野  充君        外務大臣官房参        事官       石井 正文君        外務大臣官房参        事官       小原 雅博君        外務省北米局長  梅本 和義君        外務省国際法局        長        鶴岡 公二君        国土交通省自動        車交通局技術安        全部長      内藤 政彦君        防衛大臣官房技        術監       秋山 義孝君        防衛省防衛政策        局長       高見澤將林君        防衛省運用企画        局長       徳地 秀士君        防衛省経理装備        局長       長岡 憲宗君        防衛省地方協力        局長       井上 源三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○第三海兵機動展開部隊要員及びその家族の沖  縄からグアムへの移転実施に関する日本国政  府とアメリカ合衆国政府との間の協定締結に  ついて承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送  付) ○派遣委員の報告     ─────────────
  2. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、水戸将史君及び橋本聖子君が委員辞任され、その補欠として藤田幸久君及び島尻安伊子君が選任されました。     ─────────────
  3. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に当面の重要な外交問題に関し、関係国政府等交渉するための日本政府代表谷内正太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  4. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 多数と認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房内閣参事官武藤義哉君外十二名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  6. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 山本一太

    山本一太君 自由民主党山本一太でございます。  グアム協定については、衆議院の外交委員会で二十時間近く議論をし、また、今この外交防衛委員会で様々な論点について議論をしているわけですけれども、昨日ずっと委員会議事録を読んだんですが、相当幅広い問題がもう既にやり取りをされているということで、なかなか重ならないように質問するのが難しいという状況でもありますし、また、このグアム協定については私の同僚議員である島尻安伊子委員の方からかなり詳しく突っ込んだ質問をされるということなので、私の方は少し全体的なことについて一、二問、内閣府にお尋ねをしたいと思います。  いろんな議論がなされてきたんですが、余り出ていない観点一つありまして、私はこれは結構気になっているんですが、この協定が成立をして嘉手納以南基地が戻ってくると、ここは、御存じのとおり、地図で見ても沖縄県の中南部地域ということで相当人口も多いと、跡地の問題なんかもいろいろ出てくると思うんですが、この返還を受けて沖縄振興にどのぐらいの経済効果が見込まれるのか。なかなか数値で出すのは難しいと思いますが、そこら辺について、政府としてどういうふうに見ているのかをまずお聞きしたいと思います。
  8. 原田正司

    政府参考人原田正司君) お答えいたします。  嘉手納以南米軍基地の大規模返還に伴う跡地利用につきましては、先生御指摘のとおり、沖縄振興にとりまして大変重要な課題であると認識いたしております。  現在、沖縄県におきまして沖縄二十一世紀ビジョン等策定を進めておるわけでございますが、その基本的な考え方がまとまっておりまして、その中で、嘉手納以南跡地沖縄の発展に寄与する貴重な空間として活用し、計画的な都市づくりや新たな経済活動拠点づくりを目指す必要があるというふうに位置付けておるところでございます。  嘉手納以南基地返還に伴う経済効果についてでございますが、これにつきましては平成十八年度に沖縄県が調査いたしておりますが、跡地整備が実現した段階での試算でございますが、年間で約八千七百億円の直接経済効果を生ずるとの推計が示されたところでございます。  こうした数字はあくまでも一定仮定の下での推計ではございますが、米軍基地の大規模返還に伴う跡地利用によりまして沖縄社会経済にとって大きな効果をもたらすことが期待されるということは事実でございまして、国としても、今後とも地元の主体的な取組支援してまいりたいと考えておるところでございます。
  9. 山本一太

    山本一太君 あくまでも一定仮定の下での推計ということですが、この年間八千七百億円の直接経済効果、この中身についてもうちょっと具体的に分かれば教えていただけますか。
  10. 原田正司

    政府参考人原田正司君) この推計手法、県が行いました推計手法でございますけれども、沖縄県で跡地の活用が既に那覇新都心などで先行をしておりますので、その那覇新都心の実例を参考にしながら、普天間などの今後返還される跡地那覇新都心と同様の経済的な整備が進められるというふうに仮定いたしまして推計をしておるところでございます。  そうした中で、年間、直接経済効果で八千七百億円、そして税収効果では千二百五十億円と、これはあくまでも、先ほど申しましたように、跡地利用が成熟した、つまりその計画されたことが実現した段階での推計値でございます。
  11. 山本一太

    山本一太君 今の問題に直接関連するんですけれども、跡地利用返還された跡地利用の問題については、これはどういう形でこれを活用していくのかというビジョンをつくんなきゃいけないと思うんですね。これは返還後ではとても間に合わないんで、当然地元自治体協議を始めておられると思うんですが、今の状況がどうなっているのか、教えていただけますか。
  12. 原田正司

    政府参考人原田正司君) 跡地利用ビジョンにつきましてお尋ねがございましたが、現在、沖縄県におきましては、中南部都市圏の広域的な観点から跡地利用ビジョン策定する取組が進められておるところでございます。また、これを踏まえまして、地元の関係する市町村におきましても、二〇一四年以降の返還を見据えながら、既に普天間飛行場等、それぞれの跡地に係る利用計画策定に向け取り組んでいるところでございます。  この跡地利用計画策定につきましては、どのような土地利用を目指すのかということに関しましては、やはり地元の主体的な取組が重要であるというふうに認識しておりますけれども、国としては、これらの地元取組に対しまして、現在、計画策定やあるいは地権者合意形成などの取組に対しまして財政的な支援を行っております。  また、当然、大規模跡地利用ということでございますので、こうした跡地利用が円滑に進むための方策につきまして、現在、内閣府と県あるいは関係市町村あるいは有識者にも入っていただきながら検討会を設けまして、そうした跡地利用が円滑に進むための方策について検討を開始をいたしております。  今後とも、返還前に対応すべき事柄につきましてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  13. 山本一太

    山本一太君 返還前にしっかり取り組むということでよろしいでしょうか。ちょっとそこを確認取りたいんですけれども。
  14. 原田正司

    政府参考人原田正司君) 当然、市町村利用計画策定をするということは、これは返還前に計画策定し、そして返還に備えできるだけ早く事業着手ができるように準備を進めていくということが大変重要であるというふうに考えておりまして、そうした取組を国としても支援してまいりたいというふうに考えております。
  15. 山本一太

    山本一太君 分かりました。  グアム協定については島尻委員の方にお任せをして、次の質問に行きたいと思います。  北朝鮮問題について、もうこの問題も外交防衛委員会で何度も議論をされておりますが、改めて少し気になる点について確認をさせていただきたいと思います。  まず、伊藤大臣安保理協議の場所に行かれたということで、大変御苦労さまでした。  大体どんな日程で、どんな中身のスケジュールをこなされたのか、特に質問通告しておりませんが、覚えておられる範囲で少し御説明いただければと思います。
  16. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 北朝鮮ミサイル発射は四月五日でございますが、私は四月の九日から十三日の夜にかけてニューヨークに滞在し、米国韓国を始めとして、中国ロシア、そして安全保障理事会のすべての非常任理事国大使等と直接会談あるいは話合いの機会を持って、日本考え立場主張というものを強く訴えるとともに、相手側主張考えも聞いて、そして日本主張考えが通るように、そしてまた日本の国益、地域の平和と安全保障が守られるために、国連安全保障理事会が今何をなすべきかということを日本立場として推進してきたところでございます。
  17. 山本一太

    山本一太君 今、伊藤大臣のお話を聞きながら思い出しましたが、考えたら私も昨年の九月まで外務大臣をやっておりまして、伊藤大臣とチームを組んで、私はアジア、アフリカ担当で、伊藤大臣北米、南米、それから国連担当ということで、特に国連については大変知識をお持ちで、今回、伊藤大臣安保理協議の場に政治家として行かれたということについては私は大変良かったんではないかと思っています。  その上でお聞きしますが、今回は北朝鮮ミサイル発射に対して安保理決議ではなくて議長声明で決着をしたと、これは伊藤大臣の目から見て日本外交的勝利でしょうか。
  18. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 今回、北朝鮮ミサイル発射、直ちに日本政府として議長国であるメキシコに要請し、安保理理事国の、何というんですか、緊急会合というものを開いていただいたわけですけれども、日本としては、国際社会が一致して強いメッセージを出すべく、私を含めあらゆる外交手段を使って努力を続けてきたところでございます。  いろいろな交渉結果、大変率直な意見交換、緊迫するやり取りがございましたけれども、特に中国との間で、私ともありましたし、またタイのパタヤにおいて麻生総理また中曽根外務大臣から中韓の首脳、外相と強くこのことに関しても協議をするなどしたわけでありますが、最終的にニューヨークにおいて主要関係国間の調整が行われた結果、十四日、委員指摘のとおり、安保理議長声明発出になったわけであります。  結果として決議にならなかったこと、当初日本が求めていた決議にならなかったことは大変残念ですけれども、この安保理議長声明において我が国が主張してきた内容が十分反映され、また強い内容になったと考えております。そしてまた、議長声明というのはコンセンサス、要するに安保理常任、非常任の十五か国全員のコンセンサスが得られなければ発出できませんので、そういう意味では国際社会世論といいますか、一致したユニティーというものを見せられたと思います。  以上、総括いたしますれば、今回の北朝鮮ミサイル発射に対して、これが国連決議違反である、そしてそのことをもって北朝鮮を非難するということも含め、その後の具体的な制裁の在り方のロードマップも示したという意味において、強くまた具体的なメッセージが出せたものというふうに認識しております。
  19. 山本一太

    山本一太君 今回の安保理議論、マスコミ等々を通じて流れてくる情報以外にはなかなか分からない部分も多かったと思うんですけれども、かなり早い段階で当然中国ロシア安保理決議に対して慎重だという姿勢を表明をしておりました。加えて、アメリカ安保理決議にこだわらないというようなことを意外と早く表明したやに聞いていますけれども、日本政府としては最初から最後まで一貫して安保理決議で行くべきだと、こういう姿勢は崩さないでいったと、こういうことでよろしいでしょうか。
  20. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 最後までというのは日時として明確ではありませんけれども、私としては、私の交渉では最後まで決議ということで強く主張したものでございます。
  21. 山本一太

    山本一太君 自由民主党部会総合政策局参事官が来てこのやり取りをできる範囲内でいろいろと明かしてくれたわけですけれども、麻生総理が相当奮闘されたということはお聞きをいたしましたが、私がやや不満だったのは、メディア報道、この件について外に出てくるメディア報道が、外務省の高官は異例議長声明に胸を張ったとか、これは日本のあたかも外交的勝利であるかのような報道があって、それはちょっと違うでしょうと。  確かに、日本の粘り強い交渉議長声明でも異例の強い中身になったということは評価できると思うんですけれども、これは外交的勝利ではないのではないかという話をしたら、自民党の部会外務省が、いや、これは勝利ではないと、これは解決に向けた一歩を踏み出したという意味ととらえているという回答をいただいたんですけれども、伊藤大臣もそういうとらえ方でこの問題を見ておられますか。
  22. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 委員御存じのように、外交交渉というのは、まさに局面が時々動する連立の複次方程式のようなもので、結果を一概に勝利とか敗北とかというふうに評価すること自体、私は適当ではないんだろうと思います。  今回の交渉あるいはその議長声明に至る過程においては、まさに総理から外務大臣、そして私、副大臣、また大使、あらゆる事務レベル、まさに日本外交力考えられる手段のすべてを動員してやった結果が今回の結果だと思いますし、そしてまた、外交交渉ですから、しかも多国間の交渉ですので、そのことが日本政府が当初主張していたことが一〇〇%実現できないということも、これも国際場裏における現実であろうと思います。  したがいまして、直接の答えになっていないと思いますけれども、私は今回の結果は、日本の持っている国力なり外交力と今の国際場裏における現実、その結果としてこのような議長声明発出に至ったというふうに考えております。
  23. 山本一太

    山本一太君 私も、日本政府はかなり努力をしてこれだけ強い議長声明に持っていったということは評価したいと思いますが、伊藤大臣は非常に語学が堪能でいらっしゃるし、そこにいる浅尾慶一郎さんもすごく上手なんですが、ちょっと余り英語ができないので教えていただきたいんですけど、今回の議長声明の中で評価すべき点として、二〇〇六年の安保理決議違反だという点が入ったということと、それともう一つ、このミサイル発射を非難すると、批判すると、こういう文言が入ったということなんですが、違反って、英語でバイオレーションですよね。何かコントラベンションという言葉が出てきて、英語できないのでよく分からないんですけれども、このコントラベンションというのはどういう意味なんでしょうか。
  24. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 私は英語学者ではありませんが、私の理解しているところは、コントラベンションというのは法律用語であり、法律違反という意味だと認識しております。
  25. 山本一太

    山本一太君 そうすると、アメリカ主張していたというノットイン・コンフォーミティーという言葉がありますが、このノットイン・コンフォーミティーというのはどういう意味になるんでしょうか。
  26. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 英語学者じゃない私が訳について解釈するのは甚だ僣越ですけれども、これは、従わないとかそぐわないとか、そこから意味を持ってくれば、反するという意味にも訳されるというふうに私は理解しております。
  27. 山本一太

    山本一太君 これ以上は英語の授業はお願いしないつもりですけれども、今、伊藤大臣がおっしゃったように、今回の安保理での議長声明は、日本としてはあらゆる外交手段を使って努力をし、ある程度の成果といいますか、一定成果を得たということだと思いますが、私が一番恐れているシナリオは、安保理決議にはならずに議長声明になったと。議長声明ではあるんですけれども、当然二〇〇六年の安保理決議できちっと各国がやるはずだった経済制裁、これをちゃんとやってくださいよというふうに求める中身になったということはいいと思うんですけれども、結果としては、二〇〇六年よりも弱い安保理議長声明になったと。  こんな中で、今北朝鮮は寧辺の核施設からIAEAの査察官を国外退去させたりしていますけれども、しばらくたって何となく六か国協議が始まると。六か国協議が始まる中でアメリカとそれから北朝鮮が接近すると。米朝の二国間協議が始まると。米朝の二国間協議が始まると、韓国李明博政権、大体、米朝が近づくと韓国世論融和政策に振れていきますし、とにかく朝鮮半島の命運というものをやはり第三者に決めさせてはいけないという心理が働きますから、どちらかというと、李明博政権も恐らく北寄り北寄りといいますか、融和政策の方に動いていくと。  そういう中で、実は六か国協議における日本立場が弱くなって、ミサイルの問題、核の問題、そして日本にとって非常に重要な拉致の問題、こういうことについて対北朝鮮交渉能力が落ちると、こういうシナリオを私は大変懸念をしておりますが、これについて副大臣はどう思われているのか、このシナリオを回避するために日本政府としていかなる取組をされていくおつもりなのか、お聞かせください。
  28. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 今回、北朝鮮ミサイル発射を受けて、十四日に国連安保理議長声明発出したわけであります。今御指摘のように、それに対して北朝鮮外務省は、北朝鮮は六者会合には参加しないとか、使用済燃料棒を再処理するといった立場を表明しているわけです。  日本政府としては、この北朝鮮をめぐる諸懸案の解決には、六者会合がやはり最も現実的な、また効果的な枠組みであるという考えであります。それは変わりません。北朝鮮が、今回の議長声明、これは議長声明そのものにも書いてあるわけですけれども、重く受け止めて、六者会合に復帰することを強く求めてまいりたいと思っております。  具体的にどのような形で六者会合を再開するかについては、今後、米国韓国、そして議長国である中国を始めとする関係国と綿密にというか緊密に連携して、これも一つ多国間交渉でありますが、取り組んでいくという必要があると思っております。その過程で、今委員が御指摘のように、日本がその交渉から取り残される、あるいは日本の相対的な発言力が低下するというような事態がないようにしなければならないことは言うまでもありません。  十四日の安保理議長声明は、日、米、中、韓、ロ、五か国が支持したことが明らかになったとおり、北朝鮮が六者会合に復帰し、六者会合共同声明完全実施に向けて前向きな対応を取るべきことについて、この五者、北朝鮮を除く五者の立場は完全に一致しているわけです。政府としては、六者会合に復帰することが北朝鮮自身の究極的な利益になること、五者が一致して北朝鮮に働きかけていく、このことが重要だと考えているわけであります。  今後、特にアメリカとの連携、これが非常にキーといいますか、かぎになるわけですけれども、この点、クリントン国務長官もまず日本を含む同盟国等協議した上で北朝鮮とも協議をする可能性を言及しておりまして、引き続きアメリカを始めとする関係国と緊密に連携して対応を進めてまいりたいと考えております。
  29. 山本一太

    山本一太君 副大臣、私が米朝接近の話をすると、日本政府の方は必ずこう言うんですね。米朝協議を始めることは実は悪いことではないと、要は、アメリカとそれから北朝鮮が二国間の協議をやる前に、日本韓国にちゃんと事前に相談をしてやってくれればいいと、そうすれば実は日本にとっても不利益はないと言うんですけれども、私は果たしてそうかなと思うんですね。  副大臣はもうアメリカも担当しておられてオバマ政権のこともよく御存じなんですが、オバマ政権北朝鮮政策、大丈夫でしょうか。
  30. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 他国の外交政策について日本政府立場としてコメントする立場にはありませんけれども、私は国連安保理で、向こうの時間で発出された翌日、ちょうどワシントンでハイチ支援国会合というのがありまして、これも私が日本を代表してスピーチを行ってまいりましたけれども、その場においてクリントン国務長官、そしてまた、偶然ですけれども、夫であるクリントン米国大統領とも会談いたしまして、北朝鮮問題に関しても率直な意見交換、そしてまた、前日行われた議長声明についての確認も行ったわけです。  私が、そのような接触の中から受けている、まあオバマではありませんけれども、クリントン大統領は、印象では、私はアメリカ北朝鮮政策は議員が心配するような方向には行かないというような印象を受けております。
  31. 山本一太

    山本一太君 北朝鮮問題を解決していく上で、六か国協議における日米韓の連携、特に日米の協力が最も重要だということはもうこれは言をまたないことだと思うんですけれども、私は、その米朝協議が先に進んでも日本政府にさえ話をしてくれればいいというスタンスにはとても危うさを感じるんですね。やはり、まだオバマ政権北朝鮮政策というのは十分固まっていないということもありますし、過去のブッシュ政権のあの失敗、結局北朝鮮の核開発を阻止できなかったというレッスンから、オバマ大統領はもう大統領選挙のときから北朝鮮との二国間協議について言及をされているわけなので、そこは副大臣、是非、外務省としても政府としても、日米の連携というものについては、もう十分過ぎるぐらい注意を払ってやっていただければと思います。  つまらないことなんですが、ちょっと印象だけお聞かせいただきたいんですけど、この間、先般北朝鮮が寧辺のあの核施設からIAEAの査察官を退去させました。これはもう明らかにいろいろな約束違反ですよね。安保理の約束も破っているし、その前の様々な約束もほごにしたわけですよね。それについて、クリントン国務長官のコメントは、不必要な対応だと、アンネセサリーという言葉を使っていたんですが、これ相当遠慮したといいますか、かなり弱い表現だというふうに副大臣は個人的に感じられませんでしたでしょうか。もう短く印象だけお聞きできればと思うんですけれども。
  32. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 他国の国務長官の発言について日本政府として公式的に評価する立場にはありませんけれども、私が理解するところでは、四月十四日のクリントン長官の記者会見での発言は、北朝鮮によるIAEAの査察官の国外退去通告に関して国連安全保障理事会議長声明に対する不必要な反応だというふうに言ったと理解しております。したがって、北朝鮮の行動全体について、全体に対して不必要だと言ったものではないというふうに私は理解しております。
  33. 山本一太

    山本一太君 二〇〇六年に北朝鮮からミサイルが発射されました。その後、北朝鮮が核実験に踏み切ったと。そのときも、与党内でも政府内でも、北朝鮮の脅威が一段レベルアップしたんだから、それに見合う抑止力というものを日本政府として考えなければいけないという議論が巻き起こったんですね。もう御存じだと思います。今と同じような議論がありました。  そのときに出た議論、策源地攻撃能力を保有するべきではないかと、いわゆる日米同盟の盾と矛の関係について見直すべきじゃないかというのが出ましたし、日本独自で偵察衛星とかアーリーウオーニングの仕組みを持たなきゃいけないというのも出ました。  伊藤大臣御存じのとおり、日米安保条約を再確認しようということで、当時、2プラス2だったと思いますけれども、ライス国務長官から、いざというときには、フルレンジサポートという言葉だったと思いますが、あらゆる手段を講じて日米同盟の義務を履行するという確認まで取ったわけなんですが。  そこで、伊藤大臣にずっと聞いているともう防衛大臣に聞いている暇がないので、それに関連してちょっと防衛大臣にもお聞きをしたいと思いますが、今回もその抑止力を高めるためにいろんな議論が出ておりますけれども、一つは、これはミサイル防衛システムを強化していくという選択肢は当然ながら一つ現実可能性として考えていかなければいけないと思っております。副大臣御存じのとおり、今、アメリカ日本の間で、今のSM3じゃなくて一段階世代の進んだ新しいSMS、ちょっと呼び名は忘れましたけれども、この迎撃ミサイルの研究をやっていると。この新しい迎撃ミサイルの性能について、簡単で結構ですから御説明いただきたいと思います。
  34. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えします。  平成十八年度から日米共同開発に着手している、今おっしゃられた次世代型の迎撃ミサイルについて、現在システム設計の段階でございます。また、個別的、具体的な状況を踏まえる必要があるため、どのような対応ができるかについてはお答えをすることは困難でございます。  この共同開発は、現在配備中の迎撃ミサイルと比較すると、現存の弾道ミサイル脅威に対しては、例えば現在イージス艦二隻で防護しているところを一隻で防護できる、また防護範囲の拡大や撃破能力を向上させるという意図を持つものであります。また、近い将来出現が予想される脅威への対処能力の確保も目的といたしておるというものであります。
  35. 山本一太

    山本一太君 私が聞いているところでは、現在のSM3、これ十三・五インチ、この十三・五インチの、これはロケットモーターですか、単位、十三・五インチのロケットモーターを二十一インチ型に改良すると。これがうまくいくと、例えば、この間、北朝鮮がテポドン二号の改良型を日本に向けてというか日本の上空を通過させて太平洋まで飛ばしたわけですけれども、例えば、かなり高度が上がった弾道ミサイルもこの二十一インチだと撃ち落とせると。すなわち、追いかけていって、今までのSM3では届かなかったところまでこの新型の迎撃弾道ミサイルは追いかけていって追い付いて、ミッドコースでもこれを破壊できるというふうに伺っていますけれども、それで間違いないんでしょうか。
  36. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  現在、日米共同開発をしておりますその能力向上型迎撃ミサイルにつきましてはシステム設計の段階にございまして、個別具体的な状況を踏まえる必要がございますので、どの程度対応できるかということをお答えすることは困難でございますけれども、二十一インチになりますので推力が増しますので、いわゆる発射のスピードというのも増えますし、あるいはスピードが非常に遅いとなかなか追い付けないような場合でも追い付ける場合もあるというようなことで全般的に能力が向上するということは間違いございませんけれども、具体的な点については今の御答弁でお許しをいただきたいと思います。
  37. 山本一太

    山本一太君 私は、この新しいSMS、最大五年掛かると言われている技術開発に、やはり弾道ミサイルの開発にもっと力を入れていくべきだと思っていまして、この新型のミサイルが配備されることによって北朝鮮に対する抑止力を高める一助になる、手段になるというふうに考えています。  いろいろお聞きしたいんですけれども、もう時間がなくなってきたのでもう一つだけ。  F22ラプターの購入問題についてお聞きしたいと思います。  今日の産経新聞に「野口裕之の安全保障読本」というコーナーがあって、そこに「F22は日米同盟のカスガイ」というタイトルの記事が掲載をされています。御存じのとおり、F22ラプター、これは日本の自衛隊も随分長い間、次期主力戦闘機として注目をしていた大変性能の高い戦闘機だということで、アメリカはこれは一切輸出をしていないと、機密が漏れることを非常に心配しているということもあるんですけれども。  これ、御存じのとおり、最近ゲーツ国防長官が、四月の六日か七日か忘れましたが記者会見して、これはもうF22は造らないと、こういう提案をオバマ大統領にするんだというようなことを言って今米国内でも結構波紋を呼んでいるんですが、このF22ラプター、なかなか難しいと思いますけれども、このF22ラプターを輸入するあるいは装備をするということができれば、これは日本の抑止力を極めて高めるのではないかというふうに思います。  策源地攻撃能力というといかにも先制攻撃みたいですが、当然先制攻撃なんかできるはずがないんであって、まさに明らかに北朝鮮日本を攻撃しようとしていることが総合的に判断された場合に、例えば敵基地を攻撃する、あるいは、ノドンが飛んできて反撃をするときに日本独自で策源地攻撃能力を、反撃をする能力を保有するという意味でこの策源地攻撃能力の議論が今党内でも盛んになっているわけなんですが、このF22ラプター、これを政府として、今までいろんな方法を模索してきたんだと思いますが、アメリカから輸入をする、こういうF22を装備をすると、そういうことを現段階でどこまで検討しているのか、お答えいただきたいと思います。
  38. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  現在の中期防におきましては、F4後継機FXの整備を行うということになっております。ただ、この間、いろいろな調査対象機種についての情報を集めてまいりましたけれども、いろんな諸般の情勢で、現中期防期間中にFXの装備を行うということはできなかったわけでございますけれども、現在も情報収集等を行っているところでございます。その中で、F22はFXの一つの候補として、いろいろ情報収集の対象ということでやってまいりましたけれども、現時点でFXの機種について決定はしておりません。  ただ、いずれにいたしましても、FXの選定というものは非常に大きな事業になりますので、周辺諸国の動向を注視しながら、戦闘機に関する技術革新の成果も踏まえまして、我が国の領空の防空等の任務に適切に対応できるものにしていきたいというふうに考えております。  ただ、先ほど先生御指摘になりました、アメリカ時間では四月六日でございますけれども、ゲーツ国防長官の記者会見の中では、F22のプログラムは終了させるということで、現計画では百八十三機ということでございますけれども、これに四機を加えた百八十七機でF22戦闘機の生産を終了するということになってございます。  それから、御案内のとおり、F22についてはいわゆるオービー条項というのがございまして、情報も含めてほかの国には開示しないという状況でございますので、そういういろんな状況があるわけでございますので、そういったことも踏まえつつ、またそのFXの重要性あるいはF22の性能というものも含めまして、これからいろいろベストな選択を行うように努力をしていく必要があるというふうに考えております。
  39. 山本一太

    山本一太君 時間ですから、終わります。
  40. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 自民党、島尻安伊子でございます。本日、外交防衛委員会、初めてこの場で質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  まずは、この度のグアム協定は、御存じのとおり沖縄基地政策に直接かかわりがあるというものでありまして、無論、地元の関心といいますか、沖縄県民も注目をしている案件でございます。  今年の二月の初旬だったと思うんですけれども、この協定について具体的な文言が明らかになる前から、地元の新聞は、沖縄県の選出国会議員に対しましてアンケート調査というものを行っておりまして、かなり大きく報道されていたなというのを思い出しながら今質問に入らせていただいているんですけれども。その協定内容について全く明らかになっていないのに、賛成かとか反対かとか、正直申し上げまして大変困惑したというのを覚えているところであります。  そのときに懸念されたことがございまして、それが今まさに注目をされております沖合移動への修正の問題ということと、もう一つは、知事の公有水面埋立ての許認可権ということでございました。以前、私も自民党の外交部会等々で外務省にはお聞きをしてまいりましたけれども、ここで改めてその確認ということをさせていただきたいというふうに思います。  まず、沖合の移動について、この協定承認されることによって、現在、沖縄県の知事が強く申入れをしている沖合移動への影響はないということをまず確認をしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  41. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 度々御答弁申し上げておりますとおり、本協定はあくまでも米軍再編のうち在沖縄海兵隊のグアム移転事業、さらにその真水の事業に係る資金の拠出等にかかわる協定でございます。したがいまして、この普天間飛行場の代替施設建設については、協定第三条第二文にありますとおり、日本国政府の意図を表明はしておりますけれども、何ら新しい内容を規定するものでも、新たな法的義務を課すものでもございません。したがいまして、沖合移設の是非に関する議論とは関係をするものではないということでございます。  なお、この沖合移設の関係、普天間代替施設に関する現在の政府案についての政府立場はもちろん、累次御説明しているとおり、生活環境や自然環境、実行可能性についてバランスが保たれているものであり、合理的な理由なくして変更することは困難であるということで、これは政府立場でございますが、あくまでこの協定との関係で申し上げれば、この協定は沖合移設の是非に関する議論とは関係するものではないと、こういうことでございます。
  42. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 それではもう一つの、知事の公有水面埋立許認可権に対する懸念でございますけれども、この点に関しましても、この協定承認されるということで知事の許認可権を妨げるというものではないという御確認をさせていただきたいと思います。
  43. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 先ほど申し上げましたような本協定の性格から、本協定は、環境影響評価法、公有水面埋立法等の日本の国内法の個々具体的な規定に直接触れるようなものではございません。したがって、環境影響評価法や公有水面埋立法等の手続は、本協定にかかわらず、各々の法令に従って取り進められると、こういうことでございます。  したがって、知事の許認可権限も何ら影響を受けないということでございます。
  44. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 ありがとうございます。  この二つについてはかなり様々なところで懸念として大きく取り上げられたことでございまして、今この二つに関してはその影響はないという確認をいただきましたので、また次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。  普天間飛行場の移設についての御質問に移らせていただきたいと思います。  この再編実施のための日米のロードマップの中に、「普天間飛行場代替施設への移転普天間飛行場の返還及びグアムへの第三海兵機動展開部隊要員移転に続いて、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となる」という記述がございます。これがいわゆるパッケージであろうというふうに思いますけれども、このことで、沖縄県としては、普天間基地返還、つまり危険除去ということと、広大な土地の返還が実現するわけであります。  御存じのとおり、ここに来るまでには長い長い道のりを経てきたわけでございます。多くの関係者がもうそれぞれに苦心惨たんをして、やっと何かしら見えてきたという状況だと私は認識をしているところでございます。この先も一歩一歩着実に進めていかなければならないというふうに思っておりますが、その着実に進めるという意味におきまして、この施設の統合と土地の返還に関して、ロードマップの中で、日米の双方は、そのための計画について、二〇〇七年の三月までに詳細な計画を作成しなければならないというふうに書かれているわけでございますけれども、もうこの計画が作成されたのかどうか、御答弁いただきたいと思います。
  45. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えいたします。  平成十八年五月のロードマップにおきまして、嘉手納飛行場以南に所在するキャンプ桑江ほか六施設につきましては、普天間飛行場代替施設への移転普天間飛行場の返還及びグアムへの第三海兵機動展開部隊要員移転に続きまして、沖縄に残る施設・区域が統合され、嘉手納飛行場以南の相当規模の土地の返還が可能となるとされております。その統合のための詳細な計画は、先ほど御質問の中にもありましたとおり、平成十九年三月までに作成するとされております。  他方、沖縄に残す機能、能力あるいは移転先等に関し、グアム移転等に係る具体的な計画検討状況を踏まえて、更に日米間で調整をしていく必要がございます。現在、統合のための詳細な計画は完成いたしておりません。  いずれにいたしましても、沖縄県の人口の約八〇%が県の中南部に集中いたしております。沖縄経済活動の基盤として利用度も高いということから、沖縄の負担軽減を図るため、嘉手納飛行場以南の土地の返還の実現に向けまして、引き続きアメリカ側と協議を続けてまいります。  以上でございます。
  46. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 つまりは、その計画はまだ作成されていないということでございまして、なぜ遅れているのか、加えてその見通しについて御答弁いただけますでしょうか。
  47. 井上源三

    政府参考人井上源三君) お答えを申し上げます。  今お尋ね嘉手納以南の統合計画でございますけれども、ロードマップにおきましては十九年三月までに作成をするということになっているわけでございます。ただ、現在におきまして、沖縄に残す機能、そして能力、そして移転先などにつきまして、その細部について現在日米間で調整をしております。また、それに当たりましては、グアム移転等にかかわります具体的な計画検討を更に詰めていくということが必要となっておりまして、そういう関係上、現時点において調整中でございますので、計画策定に至っていないということでございます。  私ども、できるだけ早い段階でこういう作業を進めていきたいというふうに考えているわけでございますけれども、現時点において、じゃ、いつ具体的に完成をするのかお答えをすることは困難であるわけでございますけれども、米側と協議を行いまして早期にこうした計画を作成をし、地元に対してその内容につきまして御説明をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 この点に関して、土地の返還ということが懸かってきているわけでありまして、先ほど山本一太委員からもありました、その返還後の跡地利用ということでは大変に機微にかかわるといいますか、ここ、重要なポイントだというふうに思いますので、引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。  米軍基地の問題は本当に一筋縄ではいかないというふうにいいますか、米軍との駆け引きもあるでしょうし、先ほどは伊藤大臣の方から連立複次方程式のようだという表現がありましたように、大変に一言で言って難しい問題だというふうには認識しております。それについて我々も考慮をして、時には見守るということも必要なのかなというふうには思いますけれども、その一方、政府にはそれこそ県民の機微といいますか、センシティブにならざるを得ないところがあるということを十分に御理解をいただきまして、誠意のあるまた対応をお願いしたいのでございます。  この点について、是非、北村副大臣、いかがでしょうか。一言お願いをしたいというふうに思うんですが。
  49. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) 委員がおっしゃられる考え方、また地元の皆様方の考え方というものをしっかりと、今局長も答弁いたしましたように、酌み止めながら、そして随時説明のできるところはきちんと説明の準備をして、できるだけ早く御理解がいただけるような十分な説明努力というものを、アメリカ協議を重ねながら、また事業の精査を続けながら、一方でできるだけ早くという目標の年月というものがあったわけですから、それを過ぎておりますので、そのことについては十分胸に刻みながら仕事を進めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
  50. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 引き続きよろしくお願いしたいというふうに思います。  それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。  先日の二十一日、移転先の、代替施設の地元であります名護の市議、そして市職員に対しての環境影響評価の準備書の説明会が行われたとお聞きをいたしました。今後、名護市内三か所での説明会も開かれるということでございまして、その場でも様々な意見等発言があるだろうというふうに思います。政府の関係者には大変なことというふうに思いますが、むしろこういったところでしっかりと汗をかいていただきたいというふうに思うところでございます。  先ほども、地元の機微といいますか、そこに対して地元の理解を得ていただきたいというお願いをいたしましたけれども、今後外務省としても、こういった説明会等県民の理解を得るためのアプローチというものを計画をなさっているのではないかというふうに思いますけれども、この点御答弁いただけますでしょうか。
  51. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) この協定につきましては、大臣の方からも累次御答弁を申し上げているとおり、沖縄県、仲井眞知事に対しては事前にも御説明をしてきたところでございます。  今委員から御示唆をいただきましたけれども、私どもも、今後とも、本協定あるいは米軍再編全体について沖縄の皆さん、特に地元の皆さんの声によく耳を傾け、また地元の御理解、協力を得られるように、例えばそういう説明会なんかのときに私どもの方から人を出すとか、沖縄にも事務所もございますし、いろいろそういうところは従来以上に努力をしていきたいというふうに思っております。
  52. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 人を出すとか、当然のことながら、そういったことも含めてということで、私ももう先ほどから機微という言葉を使わせていただいているんですが、是非その辺、原点に立ち返りといいますか、お願いしたいというふうに思うわけでございます。大事なのはやはりその積み上げでありまして、それこそもうこれは交渉でございますし、人と人との交渉でありますから、そういう意味で申し上げているのであって、是非この点よろしくお願いしたいと思います。  もちろん、今回のグアム協定の署名の際には、中曽根外務大臣も足をお運びいただいて沖縄県にいらしていただく中で、県民へのアプローチをしていただいたということは十分に認識をしているわけでありますけれども、その点十分にお分かりいただけるだろうというふうに思いますので、今後是非御努力を引き続きお願いしたいというふうに思います。  関連しまして、この普天間の代替施設の沖合移動ということでの質問、関連なんですけれども、先日、町村前官房長官の発言がございました。その件に関しましての政府の御認識ということでの御質問なんですが、四月の十六日、地元紙のインタビューでこういう発言がございました。仲井眞知事の意向はできるだけ尊重しなければならない、五十メートルや数十メートルの微修正は日本国の国家主権の判断の範疇で、アセスをやり直さなくてもよい範囲内だと、こんなところに米国最後までこだわるとは今でも思っていないという発言がございました。そして、官房長官として書いた引継ぎ書で、数十項あるうちの一番目の項目は普天間だったという、町村前官房長官の思いというものがひしひしと伝わってくる発言だというふうに思います。  何といいますか、テクニカルなことはまた別として、ここから前官房長官のその思いといいますか、この意といいますか、意思といいますか、こういうものが伝わってくるわけでございまして、私、県選出国会議員といたしましては、大変にその思いには敬服をするというか、敬意を表したいというふうに思うわけでございますけれども、この町村前官房長官の意思というものを内閣官房としてどう御認識をしているのかということの御答弁をいただければというふうに思います。
  53. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 御指摘報道ございまして、これそのものに関しましては政府立場からコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、いずれにせよ、政府としましては、普天間飛行場の移設・返還沖縄県民の負担を軽減させるためにも是非実現しなければならないと考えておりまして、今後とも、地元の声に耳を傾けつつ、日米合意に従い、普天間飛行場の移設・返還を着実に進めてまいりたいと思っております。  なお、四月八日に第九回普天間移設協議会を開催したところでございますけれども、この協議会において、官房長官より、政府としては、環境影響評価を進めていく中で、位置の移動等を含め、知事意見が提起された場合は、地元の意向を念頭に置くとともに、代替施設の建設は二〇一四年までの完成が目標とされていることに留意しつつ、誠実に対応するとの発言があったところでございます。
  54. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 なかなか御答弁というか、はいただけないということは十分、重々承知の上で発言させていただきましたけれども、この意思といいますか、この思いというのは是非引き継いで内閣官房としても頑張っていただきたいというふうに思います。  続きまして、JBICによる出融資についての御質問に移らせていただきます。  政府は、今回のロードマップにおいて米海兵隊のグアム移転後の家族住宅及びインフラ整備を民活事業として行うこととしております。しかしながら、再編特措法が成立いたしまして既に二年がたっているということでございますが、いまだその具体的な事業スキームなどが示されていません。このような状況の中で、今回の審議の中で、家族住宅が豪華過ぎるとか、広過ぎるとか、又は高過ぎるといった極めて抽象的な批判が国会内でも上がっているということでございます。  しかしながら、今回のロードマップの合意の肝といたしましては、私は、我が国が民活事業を将来回収可能な出融資によって措置することによって、可能な限り我が国の負担を軽減するんだというところにあるというふうに固く信じているところでございます。住宅が豪華だ、あるいは高いといった議論は、もちろん国民感情としては十分に理解するところでありますけれども、我が国が提供する出融資をきちんと回収可能なものにすべく、今後、合理的な民活事業のスキームを組めるかどうかというところが極めて重要なポイントだというふうに考えております。  この認識の下で質問をしたいということでございますけれども、政府において、まだ詳細については検討中だというふうには思いますけれども、民活事業のスキームの検討内容について、可能な限り詳細に御説明をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  55. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) 御質問グアム移転に係る家族住宅、それからインフラの民活事業の内容についての御質問と受け止めてお答えをさせていただいてよろしいですか。  在沖縄米海兵隊のグアム移転に係る家族住宅及びインフラにつきましては、アメリカ側が支払う家賃や使用料によりまして将来的に資金回収は可能であるということから、民活事業により整備をすることと、御質問にもございましたとおりであります。  その資金は、出資や融資等によって措置するということにいたしております。具体的には、在沖米海兵隊のグアムへの移転を促進するために必要な家族住宅やインフラ、すなわち電力、上下水道及び廃棄物の処理などを指すインフラでありますけれども、その整備及び管理に関する事業について、民間の事業主体、すなわちSPEが日本政策金融公庫を通じた出資や融資等を活用いたしまして実施するということになります。  なお、これらの民活事業につきましては、事業主体であるSPEを選定するための具体的な手続や日米両政府の関与の在り方などについても、現在も日米間において引き続き協議を行っているというところでございます。  防衛省といたしましては、日米間での協議を含め、ロードマップで合意をいたしました二〇一四年の移転完了に向けまして、引き続き努力をしてまいるというところでございます。
  56. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 家族住宅を民活事業で行う以上、今御答弁にもあったこのSPEというものが提供する住宅というものは、グアム移転する海兵隊員にとってむしろ魅力的なものとなる必要があると私は思っております。そういった感覚なしに設計して、結果、入居者がいないというような事態になっては、本来の意義でありますこのSPEのビジネスというものは私は成功しないのではないかというふうにも思うわけであります。  この点、政府はどのような観点を重視して家族住宅の質というものを決定するおつもりなのか、お聞きしたいというふうに思います。
  57. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  本事業で整備されることとなる家族住宅の具体的な仕様等につきましては、今先生御指摘になりましたような点を十分に考える必要があるというふうに考えておりまして、我々の基本的な考え方を申し上げれば、まず日米間の生活形態や生活習慣の違いというのを考慮した上で、やはり海兵隊の隊員が安心して任務に専念するのに必要な生活環境を確保するということが重要だというふうに考えております。  その上で、家族住宅につきましては民活事業として整備されるわけでございますので、民間事業者の自主性と創意工夫を尊重すると、それから、その事業を効率的かつ効果的に実施するように努力していただくと。そのためには、民間事業者が事業の安定性及び収益性を確保するということが重要でございまして、こうした民間事業のメリットを生かして、まさに適切な質を保った住宅というものを整備して提供するということも十分に尊重されるべきものだというふうに考えております。  こういったことを念頭に置きながら、できるだけ速やかに具体的な事業のスキーム、また仕様をどういったものにするかというようなことを精力的に詰めていきたいというふうに考えております。
  58. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 先ほども申し上げましたけれども、この今回の民活事業というアイデアは私はもう大変に画期的なものだというふうに思っています。このスキームを着実に実行に移すことがある意味グアム移転を成功させるかぎだというふうにも思っております。  政府は出融資を回収可能とするためにどのような決意でこの民活事業の検討を行っていくつもりなのか、改めてお聞かせいただきたいと思います。
  59. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えいたします。  家族住宅やインフラに係る民活事業に関する経費につきましては、ロードマップ合意時におきまして、応分の負担は行いつつも、日本側負担に係る我が国の財政支出はできる限り少なくするとの考えの下で、日米間で協議した結果、直接的な財政支出ではなく、米軍人が支払う家賃や米軍が支払うインフラの使用料などによって回収される出資や融資などによるとしたものでございます。  この日本側が分担する民活事業につきましては、現在もその具体的な事業あるいは在り方等について日米間で引き続き協議を行っておりますし、日本の分担に係る出融資等が償還されるよう、防衛省としてしかるべく精査を行った上で、所要の経費の予算要求を行い、国会での御審議を賜りたいと考えておるところでございます。
  60. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 今回のこのスキームを着実に進めるという中で、また今後その協定の要否というものが検討されるというふうなことでございますけれども、この辺も御答弁願えますでしょうか。
  61. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  今、まさに協定としてお願いしておりますのは二十八億ドルの真水の部分でございます。一方、今先生御質問になっておりますのは家族住宅の関係でございますので、まさにこういったものについても、日米間で最も適切な体制をどうするか、そのためにどういった取決めなり協議をしていくことが適切かということも十分検討した上で、当然予算につきましてはいろいろな承認をいただくことになりますし、またその辺のいろんなほかの手続につきましても十分協議をした上で、必要な手続があればいろいろ国会等にもお諮りをする、あるいはきちっとした政府の中での体制をつくるというふうなことが必要になるというふうに考えております。
  62. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 引き続き、このスキームの推進といいますか、着実に実行に移せるように頑張っていただきたいというふうに思います。  次の質問に移らさせていただきます。  先日、第九回の普天間飛行場移設協議会が開催をされました。今回の開催まで、前回の協議会から今回の開催されるまで九か月が経過をいたしました。先ほども触れましたけれども、町村前官房長官の引継ぎ書では第一優先での引継ぎとされていたはずでありまして、うがった見方をすれば、現政権は米軍再編若しくは沖縄基地問題に向き合っていないのではないかというような見方もされる、取られるおそれがあるということで、むしろあえて御質問いたしますけれども、なぜ半年以上開催されなかったのか、御答弁いただけますでしょうか。
  63. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) お答えいたします。  昨年七月十八日に開催されました第八回普天間移設協議会におきまして、今後の協議の進め方に関する基本的な考え方というものを確認をいたしました。また、その第八回の協議会における合意に基づきまして、普天間飛行場の危険性の除去、騒音の軽減等について検討するため及び建設計画、環境影響評価を円滑に進めるために二つのワーキングチームを設置をいたしまして、これまで危険性の除去のワーキングチームについては三回、それから建設計画、環境影響評価については四回のワーキングチームを開催をしてきたところでございます。  第九回協議会の開催時期等につきましては、前回の第八回協議会において官房長官から、環境アセスの進捗状況なども見ながら今後調整してまいるという旨の発言があったところでございます。そして、その環境影響評価につきましては、防衛省において準備書を作成し、本年四月一日に沖縄県知事等に準備書が送付されたところでございます。このような環境アセスの進捗状況なども見ながら、この四月八日に第九回協議会を開催したと、そういうことでございます。
  64. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 その理由があるということでございますけれども、やはり、半年以上開催されないというのは、県民感情としてもどうなっているのかなと疑問に思うというのは当然のことなのかなというふうに思います。環境アセスの件、その準備書も今縦覧されているわけでございまして、今後はまた随時行われていくことを希望するところでございます。  関連いたしまして、今回の協議会の中で県知事とそれから移設先の名護市長から、デモフライトについてのその合理性の検証を検討すべきだという発言があったとお聞きをしております。そして、この件に関しまして、その場で防衛大臣から検討するという発言があったということでございますけれども、その事実関係についてお聞きできますでしょうか。
  65. 井上源三

    政府参考人井上源三君) デモフライトの件でございますけれども、今委員指摘のとおり、四月八日の協議会におきまして、沖縄県知事そして名護市長からデモフライトの実施についての要請があったところでございます。これに対しまして、防衛大臣からは、これまでの経緯もあるけれども、知事や市長の発言を踏まえ、今後検討してまいりたいという発言をいたしたところでございます。  環境影響評価準備書作成に当たりましては、航空機の騒音の予測評価を行うために必要な客観的なデータを防衛省といたしまして保持をいたしておりまして、これらに基づきまして騒音の影響について予測評価を行ったところでございまして、デモフライトの実施につきましては、騒音の予測評価を行うために必ずしも必要ではないというふうには考えているところでございますけれども、今申し上げましたとおり、知事や名護市長の御要望ございまして、先ほど申し上げましたとおり、協議会での大臣の発言がございましたので、それを踏まえて今後検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  66. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 まあ必要がないというか、地元からはやはりエビデンスとしても必要だということでの検討の要請があるわけでございますので、その辺は率直に大臣の発言どおりお願いしたいというふうに思います。  加えて、名護市長からそのヘリパッドの位置に関しても要望というか発言があったというふうにもお聞きしております。その代替施設内に設置されるヘリパッドの位置について、可能な限り沖合への移動というのを住民が主張しているということでございまして、今回出された位置が住民の意向に反するのではないかということでございます。  この件に関しましても、位置の移動を検討するというふうな発言が大臣からあったという報道があるんですけれども、この事実関係について御答弁いただけますでしょうか。
  67. 井上源三

    政府参考人井上源三君) ヘリパッドでございますけれども、今回の準備書におきまして、回転翼機の垂直離着陸訓練用といたしまして四か所のヘリパッドを設置することといたしたところでございます。  今御指摘協議会での名護市長の御発言でございますけれども、四か所のうち、一番住宅地に近い、集落に近い南西の陸側のヘリパッドの位置については、航空機騒音の低減のため、可能な限り沖合への移動を主張してきた住民の意向に反すると、したがって政府において適切に対処してもらう必要があるという発言があったところでございます。  これに対しまして防衛大臣からは直接的なお答えはなかったというふうに記憶をいたしているところでございますけれども、私ども、こうした名護市長の御意見ございますので、そしてまた、現在準備書を縦覧をいたしまして説明会を開催をし、今後住民の方々の御意見等もいただくことといたしておるわけでございますので、このヘリパッドの位置につきましては、そうした御意見などを踏まえまして、必要に応じて米側と調整をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  68. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 大事な、やはりその住民の意向というのを第一に考えていただければというふうに思います。  それでは、次の質問に移りたいと思います。  本年は、米国ではオバマ政権の下で四年ごとの国防計画の見直し、いわゆるQDRというものの策定が予定されております。我が国でも防衛計画大綱の見直しですか、を予定をしているというふうに認識をしております。両国の国防政策の基本となる文書が同じ年に策定されるということから、今後、日米同盟の在り方等について、両国で十分協議をして、それぞれの文書に反映されるような、そういった取組も必要ではないかというふうに思うところでございますが、副大臣の御所見をお聞かせいただければと思います。
  69. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 委員指摘のように、オバマ政権の下でQDRの策定が予定されておりますし、我が国でも防衛計画の大綱の見直しが予定されているということであります。それと、明年が日米安全保障条約署名、発効五十周年にも当たります。といういろいろな状況の中で、日米の同盟関係を一層強固にする、そしてまた、時代の変化、状況の変化に対応するものにするという観点から、いろいろな方から、またいろいろな組織からもいろいろな御意見やアイデアがあるということは十分に認識しております。  政府として現時点で具体的に何か特定のものを念頭に置いて新たな宣言なり策定ということを検討したり進めているということではありませんけれども、政府としては、不断の努力として、そういうような御意見、アイデア、また状況の変化というものをよく踏まえて、日米同盟が今後とも的確にその目的を果たせるように運営できるように対応してまいりたいという考えでございます。
  70. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 むしろ今のは防衛大臣の方にお聞きすべきことだったかなと思いまして、ちょっと時間がなくて申し訳ありません、次に移らせていただきたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、米軍再編は着実に進めていかなければいけないということでございまして、率直に私は政府にお願いをしたいということがございます。それは、米軍再編担当の総理補佐官を御任命いただきたいというふうに思いまして、これは本来であれば麻生総理にお聞きいただきたい、若しくはお願いをすべきことだというふうには思っておりますけれども、いろいろなこれまでの流れを見ておりますと、大変にやはり集中して、これは短期に集中してやらなければいけない仕事だというふうに思っておりまして、必要なポストではないかというふうに思うわけでありますけれども、この辺、御答弁というより率直な御感想をいただきたいのですが、これは内閣官房になるのでしょうか、お願いしたいと思います。
  71. 武藤義哉

    政府参考人武藤義哉君) 委員の貴重な御意見をお伺いいたしましたけれども、米軍再編に関しましては、例えば普天間移設協議会に関しまして、政府が一体となって誠意を持って地元の方々と協議していくために有益と考えて、一昨年十一月に開催された第四回協議会から、主宰を政府部内の総合調整を行う役割を担う官房長官に変更したというような経緯もございますけれども、このように、今後とも政府が一体となって米軍再編の問題に取り組んでまいるという所存でございます。
  72. 島尻安伊子

    島尻安伊子君 是非よろしくお願いしたいと思います。  最後に、一つだけ伊藤大臣に御質問をして終わりにしたいというふうに思うんですが、今回、このグアム協定に関して、衆議院の議論において、一番私は大事なのは明確な国としてのビジョンだというふうに思うんですね。今回、抑止力の維持ということと沖縄の負担軽減、そして危険除去というものに対してのビジョンが必要だというふうに思っておりまして、残念ながら、こう言ったらあれなんですけれども、民主党の委員から具体的なそのビジョンというのが明確に見えないということが大変残念なところでございますが、この問題に、日本安全保障の根幹であるということがございまして、是非よろしくお願いしたいんですが、このビジョンについて副大臣にお伺いをして、質問を終わりたいというふうに思います。よろしくお願いします。
  73. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 時間が過ぎておりますので、簡潔に御答弁願います。
  74. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 委員指摘のように、沖縄の負担を一日も早くより多く減らす、その強い意思の下、そしてまた抑止力というものをしっかり維持していくということを両方成り立たせるというその観点から、この普天間飛行場の移設・返還については、まずは沖縄の負担軽減の要望を念頭に置いて、そして今申し上げたように、抑止力の維持ということで、ここのところ大変日米間で精力的に協議を行ってきたわけであります。その過程で、二〇〇五年十月の2プラス2の文書に書かれておりますように、日米両政府沖縄県民の方々の希望を念頭に置いて普天間飛行場代替施設の県外移設の検討をした経緯もございます。  しかし、その検討の結果、日米両政府は、在沖縄海兵隊のプレゼンスが提供する緊急事態への迅速な対応能力の維持が必要であること、そしてその対応能力の維持のためには定期的な訓練や演習及び作戦における部隊の相互連携が必要であり続けること等の理由から、現在普天間飛行場に駐留する回転翼機が日常的に活動を共にする他の組織の近くに存在できるように、普天間飛行場の代替施設は沖縄県内に設けなければならないとの結論に至りまして、辺野古に代替施設を建設する旨合意した次第でございます。  これはまさに、いろいろな議論を経てきたわけでございますが、委員指摘沖縄の方々の負担の軽減と抑止力の維持を両立させる観点から行った判断でございます。  政府としては、今後とも、沖縄を始めとする地元の声によく耳を傾けて、ロードマップに従い米軍再編を着実に進めることを通じて、抑止力を維持しつつ沖縄の負担の具体的かつ着実な軽減に全力を挙げ、責任を持って取り組んでまいりたいと存じます。
  75. 山口那津男

    山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。早速質問させていただきます。  まず、基本的なことでありますが、在日米軍の再編に関する日米合意は共和党のブッシュ政権の下で形成されてきたものであります。この度、民主党オバマ政権に交代をして、クリントン国務長官の署名でこの協定が手続をされたわけでありますが、しかしまたこのオバマ政権、今政府高官の承認がすべて行われているわけでもない、また議会との関係がどうなるか、今そのオバマ政権が安定した体制に向けて進展中という状況もあります。  こうした中で、この在日米軍再編が、今後この政策がオバマ政権の下で継承され、進展していくものと思われるかどうか、その点の御認識をまず伺いたいと思います。
  76. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 在沖縄海兵隊のグアム移転を含む米軍再編に関して、オバマ政権発足後の二月の日米首脳会談及び日米外相会談において、抑止力を維持しつつ、沖縄等の地元負担の軽減の観点からロードマップに基づき着実に実施していくことで意見の一致を見ているわけでございます。  特に、クリントン国務長官自身が二月の訪日時に中曽根大臣との間で本協定に署名したことでも明らかなように、オバマ政権は在沖縄海兵隊のグアム移転を含む在日米軍の再編に強くコミットしているわけでございます。  私自身も、先般、ワシントンを訪問した際、四月十四日、ルー国務副長官と会談いたしまして、その場においても私の方から米軍再編をロードマップに基づいて着実に実施することが重要であるということを述べたことに対して、先方からも、日米同盟が直面する課題は山積している中で、この日米協力の重要性について確認するという発言がありました。  オバマ政権の政策については今後具体化されていく部分もあると思いますけれども、以上のようなことを総合すると、在日米軍の再編については、新政権として二〇〇六年五月のロードマップに従い着実に実施していくことになるということは明らかであると考えております。
  77. 山口那津男

    山口那津男君 そういう見方であったとしても、現在は経済的に大変厳しい状況に日米両国は置かれているわけであります。この協定実施に当たっては、財政負担を双方が伴って二〇一四年まで移転を遂げると、こういう目標でこれから進んでいくことになっているわけでありますが、さて、この財政負担を伴う、そしてまた厳しい経済状況の下で順調にこれから進展していくものと見られるかどうか、この点での見通しを伺いたいと思います。
  78. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 日米両政府は、二〇〇六年五月のロードマップにおいて、二〇一四年までに在沖縄海兵隊のグアム移転を実現することに合意しております。今年に入ってからも、首脳を含む様々なレベルでこのロードマップの着実な実施確認してきているところでございます。今、ちょっと繰り返しになりますけれども、二月にクリントン国務長官が来日した際に中曽根大臣との間でグアム協定に署名しましたが、これは本件のグアム移転事業の実施に対する明確なコミットメントであり、アメリカの意思表示でございます。  したがって、我が国政府としては、今後、本件グアム移転事業予算について、厳しい財政事情を踏まえて適切に精査し国会にお諮りしていく考えでございますが、日米両政府とも二〇一四年までにグアム移転を実現すると強い意思を有していることは明らかであると認識しております。
  79. 山口那津男

    山口那津男君 実際にグアム移転を行ってまいりますと、グアム島におきまして大規模なインフラ工事が行われていくことになります。そしてまた、海兵隊員が八千人、そして家族が九千人と、ここだけ見ても大変な大きな人の移動、そしてグアム島における人口増加という結果をもたらすわけであります。これらの点に対して、グアム島に住んでいる一般の島民からは、自分たちの生活あるいは環境等に少なからぬ影響が出るのではないかと、こういう懸念が示されております。  グアム準州の議会議長ウォンパットさんという方が日本に来られまして、私自身もそういった懸念に対する配慮というものを要請されたところでございますが、政府としても可能な限りこういった懸念に配慮しながら、その懸念を払拭するようなそういう行動が望まれると思うわけでありますが、この点についてどうお考えでしょうか。
  80. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 米国政府は、本協定第二条によって、本件グアム移転のために必要な措置をとることとなっております。我が国政府としても、委員指摘のように、本件移転実施する上でグアムの住民の理解を得ることは重要であるというふうに考えております。グアム住民の理解を得ることを含め、米国内の調整に一義的に責任を有する米国政府は、例えば環境影響評価の実施に際し、グアムの住民に対しても既に必要な説明会を実施してきたと承知しております。そしてまた、今後もグアムの歴史、文化的資源、社会経済の影響なども含めて幅広くグアム住民の意見を聴取する予定であるとも承知しております。グアム住民との間の調整について、適切な対応を取るというふうに考えております。  我が国の政府といたしましても、こうした米国政府取組を評価するとともに、引き続き米国政府と協力して、本件のグアム移転事業を着実に実施していくという考えでございます。
  81. 山口那津男

    山口那津男君 新政権の下で、アメリカの駐日大使にジョセフ・ナイ氏が決まった、あるいは内定したという報道もなされているわけでありますが、ここは政府としては確認をされておりますでしょうか。
  82. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 確かに、駐日大使の人事についてはいろいろな報道があるということは承知をしておりますけれども、駐日米国大使についてはいまだ指名をされていないというふうに承知をしております。
  83. 山口那津男

    山口那津男君 それはそれとして、ジョセフ・ナイ氏は、学識経験も豊かで、かつ前のクリントン政権の下で次官補という重要な立場でそれなりの実績を持たれていると思います。この点、ジョセフ・ナイ氏の学識あるいは政治的な実績等について今のところどのような評価をお持ちでしょうか。副大臣
  84. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 偶然なんですけれども、私がハーバードの大学院に留学中、ジョセフ・ナイ氏の講義を聞いたこともありますし、また先日、ミュンヘンで行われた安全保障会議において、ジョセフ・ナイ氏とも小一時間ですか、諸般の国際情勢についての意見も行いました。私が大学者を評価するというのもおかしいんですけれども、やっぱりジョセフ・ナイ氏は、今ある意味では外交の中で非常にキーワードになっているスマートパワーという概念を提唱された御本人でありますし、また知日派の学者でもあります。  今議員御指摘のように、クリントン政権時代に国防次官補としても日米関係にかかわるなど、政府内でもそしてまた国際政治学界といいますかアカデミックな世界でも大変評価の高い学者、研究者だというふうに私は考えております。
  85. 山口那津男

    山口那津男君 今のお話のように、ナイ氏はソフトパワーあるいはスマートパワーを提唱された方でもあります。これらを活用したといいますか重視した外交というものはこれからの日本にとっても大いに参考になると思っておるわけですが、このソフトパワー、スマートパワーに対する政策上の有用性といいますか、これに対する評価、御認識を伺いたいと思います。
  86. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) この有用性はやっぱり時代とともに非常に増大しているというのが、まず私の基本認識です。  クリントン国務長官は、上院における指名公聴会において、ソフトパワーとハードパワーを効果的に組み合わせて用いるスマートパワーという用語を用いて、経済、文化、軍事力といった様々な力を立体的にといいますか総合的に組み合わせて、外交において大きな目的を達するための力といいますか概念とするという外交の基本原則を述べられたところであります。  我が国としては、元々日本は非常にソフトパワーの豊かな国だと思いますし、国際社会が直面する諸課題の状況に応じて、我が国の得意分野を生かしながら、経済や文化を始め我が国が有する外交上の資源をバランスよく立体的かつ戦略的に組み合わせて対処してまいりたいという考えでございます。
  87. 山口那津男

    山口那津男君 在日米軍再編そのものはハードパワーの側面を持った政策だと思いますが、しかし、これが更に効果的に生かされていくためにはソフトパワーと組み合わせたスマートパワーの発揮ということも考えられると思うわけであります。  例えば、先ほどのグアムの島民の懸念を考えたときに、日本の有する環境技術あるいは自然保護その他の実績を生かすということも考えられるでありましょうし、また、再編全般からすれば、このグアム島を軸にしましてアジア太平洋地域とほぼ等距離の重要な位置にあるということを考えれば、それらの位置にある国々に対してもこのスマートパワーを発揮していくということを配慮すべきだろうと思うわけでありますが、この点について何かお考えがあれば承りたいと思います。
  88. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 議員の指摘はまさに示唆に富む大変貴重な御意見だと思います。政府といたしましても、議員の指摘をよく踏まえて、様々な政策の検討を行う上で十分に参考にさせていただきたいと思います。  少し具体的にこの件に関して申し上げれば、ソフトパワー面での在日米軍との取組として申し上げれば、政府は在日米軍との様々な面での交流の強化に努めてきております。  これまでも在日米軍の多くが日本の滞在経験というものを通じて良好な対日感情をはぐくんで帰国していると認識しておりますけれども、これは日米同盟にとって大きな資産の一つであるというふうに考えております。こうした日本滞在経験を有する米軍人との連携を含め、在日米軍との協力も、このソフトパワーの面を十分に勘案して引き続き努力、模索してまいりたいと思います。  ほかにも外務省は、例えば在日米軍との良好な協力関係を構築し、在日米軍の個々の兵士の我が国に対する理解を促進するためのいわゆるオリエンテーションプログラムというものも行っております。  また、在日米軍側も、施設・区域が所在する地元との交流を強化するための各種取組、具体的には地元の各種教育機関における英語教師派遣や地元の公園等の清掃活動等のボランティア活動を積極的に行うなど、地元との交流強化の取組を常日ごろ実施していると承知しております。また、委員指摘の環境面そして幅広い文化面での協力、共同関係も非常に重要だと考えます。  政府としては、御指摘も踏まえて、日米同盟強化のためにソフトパワーあるいはスマートパワーというものを十分に活用して、未来に向けてしっかりとした取組をしてまいりたいというふうに考えております。
  89. 山口那津男

    山口那津男君 この米軍基地再編に当たっては、負担を軽くする、特に沖縄の場合はその点の配慮が重要だと思っておりますが、また一方で、国内各地にこの負担が少し重くなると、こういう面もございます。  これらに配慮して再編交付金という新しい制度をつくったわけでありますが、これは幾つかの特徴を持っていると、こう聞いております。例えば、従来のその他の交付金では、いわゆるハード面の整備、箱物の整備というところに重心があったわけでありますが、この新たな交付金はソフト事業にも使えるとか、あるいは年度をまたいで基金を活用して使用できる、少し中期的な視野の下で政策を推進できると、こういう特徴があると伺っておりますが、これらの特徴を御指摘いただいて、その上でその特徴を生かした実際の活用例があれば御指摘いただきたいと思います。
  90. 井上源三

    政府参考人井上源三君) 御指摘のとおり、米軍再編交付金でございますけれども、これまで防衛省が行ってまいりました基地の周辺対策事業、公共施設の整備の事業、いわゆるハード事業に限定をしておりましたけれども、この再編交付金につきましては、いわゆるソフト事業も対応することが可能といたしました。また、継続的にソフト事業を実施することができるために、基金に充当することも可能といたしているものでございます。    〔委員長退席、理事一川保夫君着席〕  具体的に活用例を挙げよという御指摘でございますので申し上げさせていただきますけれども、例えば青森県のつがる市がございますけれども、ここは再編交付金を活用いたしまして、四十歳以上の胃がん、大腸がん、肺がんの検診、五十歳以上の前立腺がんの検診、三十歳から三十九歳、四十歳以上は偶数年齢の乳がん、二十歳以上の偶数年齢の子宮がん、これはすべて検診無料化をいたしております。  それから、山口県の和木町ございますけれども、ゼロ歳から十二歳の医療費はすべて無料化を、この再編交付金を活用していたしました。  それから、神奈川県の横須賀市でございますけれども、市の消防局に救急隊十一隊ございますけれども、そこにすべて自動心臓マッサージ器を、救急車に搭載をするためにそのマッサージ器を購入をいたしました。  それから、東京都の福生市でございますけれども、高齢者の方々を市内の公共施設に送迎をいたしますために、二十九人乗りの小型バスと二十三人乗りのリフト付きバスを二台、この交付金を活用して運行いたしております。  それから、茨城県の鉾田市、防犯灯を七か年掛けまして約一千基地域に設置をいたしまして、その電気代、器具交換等、この再編交付金を活用して対応するというようなことでございまして、まさに住民の方々の福祉の向上、そして地域振興などなどに様々な活用をいただいておるところでございますけれども、更にこの交付金が有効に活用していただけますよう、関係市町村と綿密に調整を行いながら対応していきたいというふうに考えているところでございます。    〔理事一川保夫君退席、委員長着席〕
  91. 山口那津男

    山口那津男君 今お伺いしたところでは、従来の地方財政計画に基づいて地方交付税が措置されるような自治体で、交付税ではなかなかできなかったような施策をこれを生かしているとか、あるいは不交付団体にも行きますので、そういった面で独自の施策をやるとか、いろいろ知恵を出し合っているようであります。  こういった交付金というのはこれからの一つのモデルの先駆となるものでありまして、この半年余り、例えば平成二十年度予算の二次補正の中で六千億の地域活性化交付金を措置し、そしてまた、来週提出を予定しております新たな補正予算におきましても各種の交付金を予定しているところであります。  こういったものは、この再編交付金と似たような使い方もできる部分がありまして、これからのその地域振興あるいは福祉の向上等に大いに役立てる、それらの活用例をお互いに情報を交換しながら、今後行われる施策が有効に進展するように御配慮いただきたいと思います。  さて、次の質問に移りますが、今回、北朝鮮ミサイル発射を行いました。この発射によりまして、アメリカ合衆国の領土あるいは領域で射程内に入るのは具体的にどういうところが出てくるのかというところをまず御指摘いただきたいと思います。
  92. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えいたします。  今般の北朝鮮によるミサイル発射事案につきましては、引き続き総合的、専門的な分析を行わせていただいているところでありますけれども、これに一層の時間を要するということとなっておりますが、着実に分析を進めてまいります。  その上で申し上げさせていただきますと、北朝鮮はこれまで弾道ミサイルの開発を着実に進めてきており、開発中のテポドン2は射程約六千キロメートルと見られています。この場合、アメリカのアラスカの一部やグアムが射程に入るものと考えられております。  なお、北朝鮮が今般の発射によりまして長射程のミサイル開発のために必要な多段階推進装置の分離に関する技術、姿勢制御、推力制御、これらに関する技術等を検証できた場合には、北朝鮮の弾道ミサイル開発は急速に進展する可能性があると申さなければいけないと思います。
  93. 山口那津男

    山口那津男君 今分析できているところと、テポドン2の計画といいますか構想といいますか、これを組み合わせると、今御指摘のあったようなアリューシャン列島の一部とかグアム島も射程内に入ってくる可能性があるということであります。  そうしますと、今回のグアム移転計画して今後推進していくわけでありますが、ここが射程内に入ってくるとすると、この再編後の拠点となるグアム移転事業に何らかの影響が及んでくるのかどうか、あるいはアジア太平洋地域を中心とする米軍再編の全体に何らかの影響を及ぼしていくのかどうか、この点に対する御認識を伺いたいと思います。
  94. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  この周辺地域情勢の推移というのを見てみますと、北朝鮮の弾道ミサイルの開発というのは従来からかなり積極的にその重点を置いて進められたというところであるというふうに認識をしております。  いずれにいたしましても、常に、米軍の再編の問題にいたしましても、私どもの防衛整備にしましても、一定の見通しを持って着実に進めているということでございまして、その先を見通しながら再編をしているということでございますので、適切にむしろそういった状況対応できるような努力を更に進めていくと。大きなこれまでの議論の枠組みというものを変更するということよりは、むしろ抑止力の維持というものと負担の軽減というものを同時に進めながら、より情勢に適切に対応していくということができるのではないかというふうに考えております。
  95. 山口那津男

    山口那津男君 伊藤大臣に伺いますが、先ほども質問がありましたが、この北朝鮮ミサイル発射を非難する安保理議長声明発出のプロセスにかかわられたということでありますが、当初は決議を目指して交渉されたということでありました。この決議をやろうとする場合に、声明と同じような内容決議が成立することに反対をするといいますか否定すると、そういう状況があったのでしょうか。
  96. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 交渉の個々の部分といいますか、やり取りや、あるいは特定の国を挙げてつまびらかに言及することは、今後の交渉にいろいろな意味の影響を与える可能性があるので、少しその辺は考えて発言しなければなりませんけれども、私が交渉主張した論点は以下のとおりです。  四月五日の北朝鮮による発射は、北朝鮮が弾頭に付いているものが何であろうと、言おうと、その運搬手段、デリバリーシステムは、これはテポドン2の改良型とも言われていますし、名前は何であれ、これはミサイル、あるいはミサイル関連技術を使わないでこの運搬手段を製造したり運用することは科学的に考えて全く不可能なことであります。そして、二〇〇六年に北朝鮮ミサイルを発射した際にできた決議一六九五、そして核実験をした後に作られた決議の両方に、北朝鮮が弾道ミサイル計画に関連するすべての、すべての活動を停止するということが決定され、要求されているわけです。  その点から考えまして、どのような点を見ても、先生は法律の専門家ですけれども、これは法律違反であると、違反であるということは明確であるということをまず申し上げました。そして、国連安保理決議というものがこのように違反される状況においてもし国連安保理が何もしないということであれば、決議の重み、また決議効果というものに対して疑義が生じる危険性が非常に高い、また、もっと言えば安保理の存在理由に対するいろいろな意見というものも出てくると、このことをまず強く主張したわけです。そして、日本としては、決議が破られたということであれば、これは決議でこのことに対して対処するのが最も適当であるということを強く主張しました。それぞれの国からそれぞれのいろいろな意見が述べられたことも事実であります。  そして、でき上がったといいますか、議長声明二〇〇九/七を見ますと、二つ目のパラグラフに北朝鮮決議一七一八の下での義務を完全に遵守しなきゃならないことを述べる前の、一番大事なところでこれが決議違反だということが法律用語でしっかり述べられたところであります。さらに、三つ目のパラグラフで、いかなる、これから更なる発射、これ人工衛星ともロケットともミサイルとも書いてありません、発射を行わないように要求しているわけであります。  そういうことから考えてみますと、今回、いろいろな経緯を経て、国際社会のこの件に対する最大の権威を持つ国連安全保障理事会が一致した強いメッセージを出せたのではないかなというふうに私は考えております。
  97. 山口那津男

    山口那津男君 今のお話ですと、やはりこの議長声明の核心は、決議の一七一八に違反するというところ、この認識を共有するというところだろうと思います。これがしっかりなされれば、当然今後の発射もすべきではないというところにつながっていくんだろうと思うんですね。  そうしますと、この決議違反の認識を共有すると、こういう目標に対しまして、決議である、安保理決議、そして声明を比べた場合に、いわゆる拘束力があるかないかで比較されることが多いわけでありますが、しかし、この認識を共有するという目標からすれば、決議で示そうと議長声明で示そうと、私はそれほどの大きな違いはないんではないかという感じを持ちます。  だとすれば、これは全会一致で各国の安保理加盟国のコンセンサスでやるということの方がむしろ重要であって、決議にこだわって刃こぼれが生じる、意見が割れるとかあるいは拒否権が使用されるということよりもコンセンサス議長声明を作ったということの方が私は実質的な効果があったと、こう思っているわけでありますが、この点について、副大臣はどうお考えでしょうか。
  98. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 先ほど山本委員の御質問に答えた中で申し上げたように、このような多国間の外交交渉はまさに局面が移動する中での連立複次方程式であります。その中で、まずは日本の国益を守る、そして地域の、もっと言えば世界の平和と安定を守るということの究極目標を最終的に保つ、最大発揮するためにどのような解決方法が望ましいかということに対してはいろいろな国でいろんな意見があるわけです。  しかしながら、今回、私自身は最後まで決議ということで主張し続けましたけれども、先ほど申し上げたように、日本主張国際社会現実の中で今回の議長声明発出になったということでありますし、それから今委員が御指摘になりましたように、一七一八号は決議であって、しかもこれは国連の七章の下に行動するということも明記されてあって、そこには十分な具体的な制裁というものも明記されているわけです。  そして、その明記されていることが、北朝鮮を始め、必ずしも国連加盟国の中で遵守されてこなかったということが今回の四月五日の発射にもつながっているという意味においては、今回、北朝鮮に対してはもちろんでありますけれども、国連加盟国に対して、国連決議一七一八号をコンプライするといいますか、遵守する、しかも一定の年限あるいは日時も明記した形で具体的な手段というものを明記したということは、一定効果が、具体的な効果があるというふうに私は考えております。
  99. 山口那津男

    山口那津男君 そこで、この声明にある一七一八の主文八により課された措置を調整することに合意をした上で、この対北朝鮮制裁委員会に対して、四月二十四日までにその実施した任務の結果を報告すると、こういう指示がなされたとあるわけですね。もうあしたまでのことでありますが、この点、今、進捗状況、実際の動きというのはどうなっておりますでしょうか。
  100. 小原雅博

    政府参考人(小原雅博君) お答え申し上げます。  ただいまお話のございました北朝鮮制裁委員会議論でございますが、大量破壊兵器関連品目あるいは資産凍結対象団体につきまして議論を行っているところでございます。まさに二十四日という期限を設けて、安保理としてこれをしっかり議論していくということで行われているわけでございますが、詳細につきましては、これ現在議論が行われているところでもございますので詳しいことは差し控えたいと思いますが、資産凍結対象の団体に関しましては、日本は既に十五団体を指定しております。そうしたことも踏まえつつ、現在、制裁委員会における議論に積極的に参画しているところでございます。  そうした議論の中で、安保理決議の第一七一八号、これを厳格に実施すると、そういったことにつながるような結論、これを早期に得られるように日本としても引き続き最後まで努力を傾注するというのが現在の状況でございます。
  101. 山口那津男

    山口那津男君 さて、オバマ大統領はプラハにおいて、先日、核軍縮について演説をされました。その中で、兵器用核分裂性物質生産禁止条約、いわゆるFMCT、この条約交渉を追求すると、こういう言及をなされたと言われているわけでありますが、北朝鮮がこの核抑止力を持つために核開発を再開すると、この種の声明を出しているようでありますが、この点とこのオバマ大統領のFMCTに対する言及はどういう関係にあるのか、伺いたいと思います。
  102. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 委員指摘のように、プラハにおいて、オバマ大統領は兵器用核分裂性物質生産禁止のための条約交渉を追求することを言及しておりまして、我が国としてはこれに完全に賛同するものであります。この兵器用核分裂性物質生産禁止条約、いわゆるFMCTはジュネーブの軍縮会議においてまだ交渉が開始されておりません。我が国は、この条約交渉の早期開始に向けた取組を引き続き積極的に行っていく考えです。  そして、今、北朝鮮との関係ということでございますが、この条約が北朝鮮の核開発にどのような影響を与えるかについては現時点で具体的に述べることはちょっとできませんけれども、いずれにいたしましても、我が国としては、四月十四日の国連安保理議長声明に明記されているとおり、北朝鮮が完全な核放棄の実現を含め、安保理決議一七一八の下での義務を完全に遵守することを強く求めてまいりたいと思います。
  103. 山口那津男

    山口那津男君 オバマ政権が核軍縮に積極的に取り組む姿勢を示したとすれば、それ以外の兵器についても同様の姿勢を持ってしかるべきだと思っております。  特に、クラスター爆弾の規制、これをやるべしと。これは砲弾も含めてクラスター弾と言った方がいいと思いますが、昨年プラハでの別なプロセスでの条約ができ上がったところでありますけれども、しかし大事なことは、このクラスター弾を大量に製造し保有している、あるいはこれまで輸出をしてきた、こういう国々を法的に規制していくということの方が実質的には重要な面もあると思っております。  その点での交渉がCCWにおけるプロセスでありまして、ここが今ちょっと足踏みしているというふうにも言われているわけでありますが、ここでそのオバマ大統領の軍縮に対する決意を生かして、このCCWにおいてもクラスター弾の規制に対してアメリカの積極的な意欲を引き出し、日本が何らかの規制の合意をつくり出す、ここに大きな力を注ぐべきであると、こう思いますけれども、副大臣はどう御認識でしょうか。
  104. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) おっしゃられたように、昨年五月にクラスター弾に関する条約、いわゆるオスロ条約が作成されまして、日本政府として同条約には、クラスター弾がもたらす人道上の懸念の対応に向けた国際的な協力の枠組みを構築するとの見地から有意義なものであると考えて、十二月三日にオスロで行われた署名式には中曽根外務大臣出席して署名を行い、その締結について承認を得るべく、今次国会でその条約を提出したところでございます。  そして、委員指摘のように、他方、このオスロ条約に関しては一部の有志国の主導により作成プロセスが開始されたという経緯もございまして、ロシア中国米国を含むいわゆるクラスター弾の主要な生産国、保有国が署名していないという現実があります。この点、CCWの枠組みにおいては、現在もこれらの国々も参加してクラスター弾の規制に関する新たな国際約束の作成のための交渉が行われているところでございます。先週もジュネーブで一週間にわたり真剣な交渉が行われ、八月に次回の会合を開催することが予定されております。  政府といたしましては、従来からこのCCWの枠組みにおける交渉にも積極的に貢献したところでございますが、委員指摘をよく踏まえて、今後とも、このCCWの枠組みにおいて、クラスター弾の主要な生産国及び保有国ともよく協力しながら、実効的な国際約束が作成され、クラスター弾のまさに人道上の大きな被害というものがこれ以上及ばないように、できれば廃絶につながるように引き続き努力して、積極的に交渉してまいりたいというふうに考えております。
  105. 山口那津男

    山口那津男君 終わります。  ありがとうございました。
  106. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩します。    午後零時二十三分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  107. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) ただいまから外交防衛委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、佐藤正久君が委員辞任され、その補欠として義家弘介君が選任をされました。     ─────────────
  108. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 休憩前に引き続き、第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  109. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 まず、グアム協定の前に、少し北朝鮮問題を伺いたいと思いますが、先般、この委員会で犬塚議員も質疑をされておられましたけれども、北朝鮮のノドンミサイル等の軍事力をどういうふうに把握しているかということをまず伺わせていただきたいと思いますが。  これは確定的な数は分からないということでありますけれども、先般のこの委員会の高見澤政府参考人の答弁で、多方面に対して発射されるとか、あるいは集中的に発射された場合に、我が国が持っておりますSM3とPAC3の数だけではどうなのかというようなこともあろうと思いますが、仮にこのミリタリーバランスの九十発、あるいはベル在韓米軍司令官の米上院軍事委員会に書面の資料で言うところの二百発ということになりますと、今の日本のMDの体制で大丈夫なのかどうかということも含めて、政府としてどういうふうに考えておられるかということを伺いたいと思います。
  110. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 先生御指摘北朝鮮のノドンミサイル等々の軍事力をどのように把握しているのかというお話がありまして、数は今先生がお述べになったように、我々の局長の方から御報告したとおりでありますけれども、北朝鮮は深刻な経済困難に直面しているにもかかわらず軍事面に資源を重点的に配分し、核を始めとする大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発や配備に努めるとともに、大規模な特殊部隊を保有するなど、いわゆる非対称的な軍事能力を維持強化していると考えられます。特に、北朝鮮は我が国のほぼ全域が射程内に入る可能性があるノドンの配備を進めております。その射程は約千三百キロに達すると考えております。  このような北朝鮮の軍事的な動きは、朝鮮半島の緊張を高めており、我が国を含む東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因となっているというふうに我々としては考えておるところでございます。  そしてまた、先生の御指摘ミサイルのいわゆるノドンを多数保持していて、それで我々のそのミサイル防衛システムで対処できるのかという御指摘がございました。我々とすれば、前々から御説明しておりますけれども、イージス艦によるSM3搭載ですけれども、これの上層防衛と、そしてまたペトリオット、PAC3による下層防衛から成る多層防衛考えてやっておるところでございます。  当然、これは我々、千キロメートル級の弾道ミサイルの対処については、技術的に信頼性が高いというふうに前々から申し上げているとおりでございます。複数の弾道ミサイルが我が国に発射された場合には我々のこのシステムで対処可能というふうに考えておるところでございますけれども、いずれにしても、方法論として、我々、我が国の生命、財産を守るという任務からいっても、今後、技術的な信頼性の向上を含めて、BMDシステムの着実な整備に努めていきたいというふうに考えているところであります。
  111. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 もう少し具体的に伺った方が、で、具体的に答えられる範囲は答えていただいた方がいいと思いますが、仮に二百発あるとして、それに対して護衛艦搭載のSM3の数は二百発もないわけでありまして、全部飛んできたらそもそも打ち落とせないと。PAC3を足しても多分ないんではないかと思いますし、PAC3の射程半径を考えればそこはなかなか難しいんじゃないかなということになろうかと思いますが、そういう点についてはどういうふうに考えておられますか。
  112. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 基本的に、何発の弾道ミサイルに対処できるかというところは、我々とすると余り、これは当然手のうちに当たるわけでございますのでお答えを控えさせていただかねばならないと思いますが、先生の御指摘、向こうが二百発一斉に打ち上げる能力があるかどうかというのもまだよくこれは把握できませんし、そういった意味においては、今後、そういった先生の御指摘の、大丈夫なのかという部分も含めて、しっかりと今後整備していくことが重要だというふうに思っておるところであります。
  113. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 手のうちということで言えば、護衛艦に搭載できる数は大体類推できますし、それからPAC3の、何個連隊というんですか、からすればそこも大体分かるわけでありますが、もう少し申し上げると、一斉に発射できないにしても、二、三日のうちに発射できるということであるとすると、二、三日のうちに弾を充てんできるかというとこれまた違う話になってくるでしょうから、そうなってくると、いろんな可能性防衛という観点から考えないといけないんではないか、考えているということをある程度、どういうふうに申し上げましょう、見せるということがいろんな抑止力につながるんではないかなというふうに思いますので、是非そういう検討をしていただきたいということでございます。
  114. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 当然、これはPAC3の、我々とすれば、数も、予算のいろんなことがございますけれども、随時、計画的に増やしていくということも考えておりますし、当然、いろいろな外交、そしてまた米軍との関係等々、いろいろな形で、我々とすれば、念頭というか、しっかりと頭に入れながら今後ともそれに対処できるように、先生の御指摘のような形が取れるように努力してまいりたいというふうに思うところであります。
  115. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 申し上げたかったのは、PAC3というのは御案内のとおり半径がすごく狭いわけでありまして、日本全土をもし論理的にPAC3だけで守ろうとすると、その狭い範囲の半径のPAC3を相当数、なおかつ、二百発が集中的にその地域に来たことを含めてやるとするとめちゃくちゃな金額になるだろうということでありますので、そういう可能性を否定するわけではありませんけれども、本当にそれが現実的なのかどうかということも含めて、じゃほかにどういうことがあるのかということも含めて政府の中で検討していただきたいという趣旨でございます。
  116. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 先生の御指摘、大変よく分かりますし、御示唆の点も私も大変よく分かりますので、それを、そのようになれるように、あらゆる態勢で対応できるようにしていきたいというふうに思っておるところであります。
  117. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 では、次の質問に移らせていただきたいと思いますが、一昨日の委員会で、国交正常化ということについて中曽根外務大臣から御答弁をいただきました。どうもこれなかなか、日朝平壌宣言に基づいて国交正常化までというのは今の状況では相当難しいんではないかなというふうに思いますが、どういう戦略を描いておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  118. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) もう委員に改めて申し上げるまでもありませんけれども、私どもは、日朝平壌宣言にもありますように、核と、それから拉致とミサイル、これを包括的に解決をして、そして不幸な過去を清算して国交正常化を図ると、これが日本政府の基本的な原則であります。  今回のミサイルの発射が日朝平壌宣言に違反することはさきの委員会で述べたところでございますけれども、この国交正常化というものを目指して、今後もまた諸懸案の解決を目指して我々としては努力をしていかなければならないと思っていますが、どういうふうにやるかとおっしゃいましたけれども、我々としては基本的には対話と圧力、これのバランスでやはり働きかけをしていくべきであると、そういうふうに思っております。  拉致、核、ミサイル、この諸懸案をめぐる北朝鮮対応を総合的に勘案しまして、今年の四月の十日、御案内のとおりすべての北朝鮮籍の入港禁止の措置と、それから北朝鮮からの輸入禁止措置を一年間延長するための所要の手続を取りました。同時に、これは圧力の部分になりますが、新たに北朝鮮への資金の流れにつきまして、よりきめ細かく実態を把握するための措置を発表したところでございます。こうした措置は、諸懸案の解決に向けて北朝鮮から具体的な行動を引き出すために行っているということは言うまでもございません。  また、国際連携が非常に重要であると、そういう考え方にも基づきまして、六者会合の場を含めまして、米国韓国、さらにはこれは北朝鮮と関係の深い中国とかロシアの協力も得ながら、この解決に向けた努力を続けていきたいと思っております。
  119. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、グアム協定に絡んで、初めに在日米軍基地の話を伺ってまいりたいと思いますが、沖縄に次いで米軍基地が多いのは神奈川県ということでありますけれども、この神奈川県の池子というところに池子住宅というものが建設をされました。その建設に当たって、逗子市としては追加の池子地域におけるいかなる建設も反対であるということを表明しておりますが、今般、米軍池子住宅地区の中に本設の小学校を追加建設をしたいというようなことを政府の側が逗子の方に申入れしているということだと思いますが、それはどういう経緯で逗子と協議をされておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  120. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 池子住宅地区に居住している児童の安全性や利便性の観点から、米側の要望に基づきまして、同地区内に小学校を整備することとしており、平成十年度に当時の逗子市長の理解を得まして必要な手続を開始したところであります。その後、池子住宅地区の米軍家族住宅の建設が日米間で協議されたことを受け、逗子市は当該住宅の建設に反対するとともに、本設小学校の建設にも反対の姿勢を示されているところであります。  当省としては、池子住宅地区の米軍家族住宅の建設や本設小学校の建設については逗子市の理解と協力を得て手続を進めることが重要であると考えており、かかる考え方を本年四月九日及び十五日には南関東防衛局長が逗子市長を訪問し、逗子市の理解と協力を求めたところであります。南関東防衛局長の申入れに対して、逗子市長からは池子住宅地区の米軍家族住宅等の建設に反対する意向が示されましたけれども、本件の解決に向け、今後とも話合いを続けていくことが確認されたところであります。  当省としては、逗子市の意向を踏まえ、本件の解決に向け努力をする考えであり、引き続き逗子市との話合いを続けてまいりたいというふうに思っておるところであります。
  121. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今御答弁にありましたように、理解と協力を得てということでありますので、逗子市が同意しない中での無理やりの着工はしないということをお約束いただきたいと思います。
  122. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 当然これは、我々とすれば、そういった今先生がおっしゃったような形を取りたいというふうに思っておりますので、常にこれも逗子市の方といろいろな形での協議ということが極めて重要と考えておりますので、そういうことでやらせていただきたいというふうに思っておるところであります。
  123. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちなみに、この池子地域は大変広いところでありまして、一部緑地公園として返還をするというようなことも市側としては求めているということでありますけれども、逗子市の今話がありました小学校の建設と関係なく、是非この緑地公園の返還もしていただきたいと。これは、米側は別にその緑地公園の返還と小学校とは必ずしもリンクしているというふうに言っていないというふうに承知しておりますし、防衛省の担当課の御説明でもこれは前提ではないということなので、それぞれ別々に交渉していただきたいということで、御確認だけいただきたいと思います。
  124. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) ええ、我々もそのような形で進めさせていただきたいと思っております。  いずれにしても、これはしっかりとした話合いをしながら進めてまいりたいというふうに思っておるところであります。
  125. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 是非、逗子市の理解、あるいは沖縄も同じことだと思いますけれども、地元の負担軽減ということを円満な形でやっていただきたいと思いますので、その決意だけお伺いをします。
  126. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 当然、こういった形の交渉事というのは、先生のおっしゃったように、極めて機微たるところがありますので、そこは円満な形で物事が進むように努力してまいりたいというふうに考えておるところであります。
  127. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それでは、グアム移転協定の方に移らさせていただきたいと思いますが、先般、国会承認条約とするということでなかなか明快な御答弁をいただいていないのでありますが、今日またぐるぐる回りのことになってもいけませんので、先の質問に移らさせていただきたいと思いますけれども、まず、この協定の財政事項というのは何になりますか。
  128. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) これは、二十八億ドルを上限とする海兵隊の移転に伴う我が国の拠出金でございます。
  129. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 二十八億ドルだけということでよろしいですね。
  130. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) そのとおりでございます。
  131. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 次に、本協定米国は二〇一四年までに海兵隊を沖縄からグアム移転する義務を負うというふうに先般御答弁いただいておりますけれども、二〇一四年までという期限について、ロードマップによるのか、それとも二〇一四年という明確な期日があるのか、その点について確認の答弁をお願いしたいと思います。
  132. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) この協定上は、米国政府は二〇一四年の期限までに在沖縄海兵隊のグアムへの移転を行うとの法的な義務は負っていません。しかし、日米の両政府におきましては、このロードマップにおきまして二〇一四年までに在沖縄海兵隊グアム移転を実現することに合意をしているわけでございまして、その後、首脳を含む様々なレベルでロードマップの着実な実施確認をしてきているところでございます。  御案内のとおり、クリントン国務長官が来日いたしましたときに、私との間で協定に署名をいたしましたけれども、これはグアム移転事業の実施に対する明確なコミットメントの表れであると思っております。したがいまして、二〇一四年までにグアム移転を実現するという、そういう米国政府の意思は、これは、まあ政治的な意思でありますが、明らかであると考えております。
  133. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、大事な御答弁をいただいて、政治的な意思であって法的な義務ではないと。一方で、日本側のこの二十八億ドルを上限というのは、これは法的な義務ということになるわけですよね。その確認です。
  134. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) そのとおりでございます。
  135. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 米側は政治的な意思で日本側は法的というのは、果たして協定を結ぶに当たって対等なのかどうか、どういうふうに考えておられますか。
  136. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 我が国が資金を提供することとなりますこのグアムにおきます海兵隊用の施設、家族用も含みますが、そして基盤につきましては、これは二〇一四年以降も存続するわけでありまして、例えば本協定の第八条にあります米国が施設及び基盤に重大な影響を与えるおそれのあるそういう変更を検討する場合の米国政府日本政府に対する協議の義務等も、これは二〇一四年以降も米国が引き続き負うと、そういうことになっておりまして、したがいまして、これは米国が特段本協定におきましては二〇一四年を期限として定めてはいないものでございます。
  137. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 質問の趣旨は、さっき大臣が御答弁されましたように、政治的な意思ということと法的な義務というのはこれは明確に違うわけでありまして、日本側は法的な義務を負っている協定であり、米側は政治的な意思だということになると、果たしてその協定を結ぶに当たって日本だけが法的な義務を負った協定でいいのかどうかという素朴な疑問に対して大臣はどういうふうに考えておられるかということです。端的にお答えいただきたいと思います。
  138. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 失礼しました。  米国政府は、この協定にありますけれども、第二条でございますが、在沖縄海兵隊の要員約八千人及びその家族約九千人の沖縄からグアムへの移転実施するために必要なすべての措置をとる、米国政府もそういう義務を負うこととなるわけでありまして、具体的には、御案内のとおり、グアムにおける施設と基盤を整備するために米国政府実施する事業への資金の拠出、それから、要員及びその家族沖縄からグアムへの実際の移転、さらに、我が国が提供いたしました資金の適正使用及び管理、こういう点が含まれているわけであります。  したがいまして、この協定によって、米国沖縄の負担軽減につながる本件のグアム移転に係る措置を実施することについての法的な義務は負っているわけでございます。ということでございます。
  139. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 法的な措置を負っているのは、米側は、今おっしゃったのはその八千人を移転するための米国内における様々な基地を造るということで、それ以外の法的な措置はないわけですよね。
  140. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 先ほど申し上げました日本側が法的な義務があってということは、これは二十八億ドルの拠出に主に関することでございまして、これにつきましては米国政府につきましてのそういう法的義務ではないという意味で私は申し上げたのであります。米国の部分ではないという意味で申し上げたんです。
  141. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今のちょっと御答弁、もう一度、もしあれでしたら、速記を止めて整理していただいて答えた方がいいと思いますね。
  142. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) よろしいですか、委員長。  先ほども申し上げましたので、アメリカの法的義務についてもう一度申し上げますと、これは、この協定の第二条に従いまして在沖縄の海兵隊の要員約八千人及びその家族約九千人の沖縄からグアムへの移転実施するために必要なすべての措置をとる義務を負うということになっているわけでありまして、先ほど三点ほど申し上げましたけれども、その措置には、グアムにおける施設及び基盤を整備するために米国政府実施する事業への支出の拠出と、それから、要員及びその家族沖縄からグアムへの実際の移転、さらに、我が国が提供した資金の適正使用及び管理、これらの措置が米国の義務ということになります。
  143. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 それは、沖縄からグアム移転する八千人の人がグアムで使用するための施設を造るというのが法的な義務だということだと思いますが、この協定の基になっています例えばロードマップは、二〇〇七年三月までに嘉手納以南の土地の返還を可能にする基地統合計画を作成するとロードマップに書いてありますけれども、この計画はどうなっていますか。
  144. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 先生の今御指摘になりました嘉手納以南の土地の返還については、これはロードマップの中で書かれておるわけでございまして、そしてまたその計画につきましては、今沖縄に残す機能、能力あるいは移設先等に関して、グアム移転等に係る具体的な計画検討状況を踏まえて更に日米間で調整していく必要があります。現在、統合のための詳細な計画はいまだ完成しておりません。  いずれにしても、沖縄県の人口の八〇%が県の中南部に集中しており、沖縄経済活動の基盤として利用度も高いことから、沖縄の負担軽減を図るため、嘉手納飛行場以南の土地の返還の実現に向けて引き続き米側と協議をしてまいりたいというふうに思っているところであります。
  145. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 私の質問は、ロードマップで二〇〇七年三月までに詳細な計画、統合のための詳細な計画を作成すると定められておりますが、詳細な計画は今の御答弁で作成していないということですね。
  146. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 済みません。先ほどの繰り返しになりますけれども、今検討しておる状況でございますので、まだ、そしてまた調整しなければならないところがあるということでございますので、今の現時点ではできていないということでございます。
  147. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 つまり、ロードマップで定められた詳細な、返還のための詳細な計画を作成する、返還するということではなくて、そのための基地統合等の詳細な計画を作成して、そして返還するという流れだと思いますので、その期日までに詳細な計画ができていないということは、米側が詳細な計画を作成するということでしょうから、ロードマップが守られていないということになるんではないかなというふうに思いますが、その点についてどういう認識を持っておられるか。
  148. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) いずれにしても、先生の御指摘の部分というのは、当然これは米側ともいろいろな協議の中でやっておることでございますので、いずれにいたしましても、我々とすれば、そういったいろいろな今のグアムの進展状況等も踏まえながら今後更に議論を深めていくということでございます。
  149. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 期日が守られていない、詳細な計画が作られていないということはロードマップが一部守られていないということだと思いますので、そういう中で二十八億ドル日本側が負担するということについて私は少し違和感を、両方が守っているということであれば別の話になってくると思いますが、片っ方は守られていないということになると違和感を感じるわけでありますけれども。  加えて、これは別の質問になりますけれども、麻生総理は、この種の交渉をやるときに、八千人というのはこれは定員ということでありますけれども、定員数でやりますというふうに衆議院で答弁をされております。国際約束の締結に当たって、実数ではなくて定員を規定したものはほかにあるんでしょうか。
  150. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 我が国がこれまで締結した国際約束においては、本件グアム移転協定のように特定の組織の具体的な定員数についてまで明記した例は調査した限りでは存在しておりません。いいですか。
  151. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 はい、結構です。  要するに定員数でやるのがさも当たり前のように答弁されているわけですけれども、ほかに例がないということですから、当たり前ではないんだろうというふうに思います。  加えて、この定員八千人と家族九千人というのは米側が提示した数字ということでありますので、なぜその数字をそのまま受け入れたのか伺いたいと思います。
  152. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) その麻生総理の答弁ですけれども、各国との間の特定な組織の人数について交渉を行う際には、実員数というのはまさに常に変動するものであると、そういう理由から実員ではなく定員に基づいて交渉が行われることがあるとの趣旨を述べた、そういう考えだと思います。  そして、このような交渉を行った例として、先ほど我が国でないと申し上げましたけれども、特定の国の外交使節団の職員の定数について二国間で交渉の上決定したことはあります。
  153. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 協定一条の二の別途の取極について、米側の提供資金額とか個別事業についても取り決めないとすると、日本側の資金提供はグアム移転のための費用の一部であることを担保できないということになるんではないかなと思います。  つまり、日本側の二十八億ドルというのは決まっていますけれども、米側の提供資金額が明らかにならないと、費用の一部ということをどう担保されるんですか。
  154. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 委員指摘の本協定第一条二で言うところの別途の取極は、第一条一において、我が国政府が本件グアム移転事業のために上限二十八億ドルを提供することを規定していることを踏まえて、その実施を会計年度ごとに具体化するに当たって、我が国の一会計年度において我が国政府提供資金の総額や個別の事業名及び個別の事業ごとの資金額を明確にし、使途を限定しておくとの観点から締結するものでございます。したがって、これはそもそもアメリカの資金拠出や個別事業についての規定をするものではございません。  他方、本件グアム移転事業においては、米側が行うこととなっておる軍事施設建設事業はあくまで米側の国内事業として米国自身が責任を持って米国議会の承認を得て予算措置を講じて実施していくものでございます。こうした米国における本件事業の位置付けは、他国における事業に対して資金を提供するという本件グアム移転事業の我が国にとっての位置付けとはおのずから性格の異なるものでございます。したがって、我が国政府としては、米側の資金拠出額や個別事業について、本件グアム移転協定において規定していないことが本件グアム移転事業の実施において特段問題になるとは考えておりません。  いずれにいたしましても、本協定第二条によって、米国政府は本件グアム移転事業への資金拠出を含む必要な措置をとることとなっておりまして、我が国政府提供資金がグアム移転のための費用の一部であることを担保できないとの御指摘は当たらないと考えております。
  155. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 米側の資金がどういう形で出てくるかというのはやはり見ておかないといけないのではないかということを申し上げておきたいと思います。  その上で、この別途の取極は、今年度予算に関してはいつ締結されるんでしょうか。
  156. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 今御指摘の第一条二で言うところの別途の取極とは、具体的に申し上げれば、例えば平成二十一年会計年度といった我が国の一会計年度において、我が国政府米国政府に提供する資金の総額や個別の事業名及び個別の事業ごとの資金額を規定する交換公文を想定しておりまして、そして、本件交換公文は、我が国政府米国政府に対して提出することとなる資金を含む当該会計年度に係る予算について国会の御承認が得られた後締結することを想定しておりまして、その締結に当たって国会の承認を要しない行政取決めとして締結することが可能であるというふうに考えております。
  157. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 今、次の質問とも絡む、これは財務副大臣にお答えいただくことだと思いますが、この別途の取極には今年度の移転事業費や事業内容が規定されているわけですね。本来は、予算が提出されたときにこの別途の取極を国会に示すべきだと思います。そうしないと財務省は、この別途の取極が予算が通ってから取り決められるとするとすれば、何を根拠に予算を付けたのかということになりますが、財務副大臣は何を根拠に予算を付けられたんですか。
  158. 竹下亘

    ○副大臣(竹下亘君) 御承知のとおり、このグアム移転に関する費用については概算要求の段階では数字が出てきておりませんでした。私どもが防衛省から要求を受けましたのは十二月十九日に予算要求を受けまして、それまでの間、現実には外務省防衛省でアメリカ側と、米軍側と交渉していただくと。もちろん、バックヤードで外務省防衛省と財務省の間で様々な事前の詰め、事前の打合せは積み重ねてきたという前提はございますが、そういう中で要求を受けて査定をさせていただき、三百四十六億円を予算計上させていただいたという経緯でございます。
  159. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 これは、ここで多分時間の関係で最後質問になってしまうかもしれませんが、毎年これから予算編成が行われて、このグアム移転のための費用が予算の中で計上されると。しかし、予算が通った後、別途の取極でその中身が規定されるという、言わば予算関連法案のない予算が毎年通っていく。要するに、予算関連法案は法律と同時に予算が通るわけでありますが、予算関連法案のない予算が毎年通って、その後に、何か予算が通ったから別途の取極が結ばれるというのは順序としてはおかしいと思いますので、もしやられるのであれば、別途の取極を予算編成に先立って締結されるべきだと思いますが、その点について、これは外務省なのか財務省なのか、もしお答えいただければと思います。
  160. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) それでは、外務省範囲内でまず私の方から行いたいと思いますけれども、我が国が提供する資金を含む当該会計年度の予算については、国会にお諮りし、その御承認を得た上で、当該の交換公文においては、国会で御承認が既に得られた当該予算についてその範囲内で実施されることとなる事業についてのみ規定されるということになります。また、政府予算案の形で国会にお諮りした内容以上を当該交換公文に規定することも考えておりません。したがって、今委員指摘のような、各会計年度の予算編成に先立って本件交換公文を締結することは適当ではないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、我が国が毎年度提供する資金の額や個別の事業の内容等については、本年度予算と同様、各会計年度の国会での予算審議の中で御説明を申し上げる考えでございます。
  161. 浅尾慶一郎

    浅尾慶一郎君 ちょっと時間が来ているので端的に財務副大臣にお答えいただきたいと思いますが、概算要求のときになくて、年度末にぎりぎりになって入ってくるということでしょうけれども、少なくとも予算の積算とかそういうものが必要になろうかと思いますので、事前に別途の取極でもってその数字がないと予算編成そのものも困るんじゃないかなというふうに思いますが、今後、財務省としてどういう考えを持たれるか、その点について伺って、私の質問を終えたいと思います。
  162. 竹下亘

    ○副大臣(竹下亘君) 現実には、どういう事業をやる、そしてそのためにはどれぐらいの予算が必要であるというのは、事前の外務省防衛省とアメリカ側との交渉の中で現実には出てきているんです。ただ、それを交換公文にするか、あるいはそういうものにしていくかという部分が時間が掛かるという部分はありますので、そうした実質的に、外務省防衛省と財務省は国内でいろんな話をさせていただきながら厳密に査定をさせていただいておるというのが実態でございます。
  163. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党の白眞勲でございます。  まず、先日の北朝鮮ミサイル発射についてお聞きいたします。防衛大臣にお聞きいたします。  例の日本海に沈んでいる一段目の落下物の回収の検討状況について、その後の状況についてどうなっているんだろうかとちょっと気になっているんですけれども、政府全体で検討するとおっしゃっていましたけれども、現在の進捗状況についてはいかがでございますか。
  164. 北村誠吾

    ○副大臣(北村誠吾君) お答えいたします。  今回の発射につきましては、総合的、専門的な分析を行っているところでございます。御指摘の落下物については、現段階ではその落下地点が特定されておらず、回収の技術的困難性などについて見通すことができない状況でございます。また、海上に落ちた落下物につきましては、一般にその回収が困難であることもあり、回収作業の法的性格をめぐる確立した国際法上の解釈もございません。実際の回収に当たっては、法的側面も考慮する必要があるものと考えております。  いずれにいたしましても、御指摘の落下物の回収につきましては、今後、法的側面も含め、このような前提となる諸条件が明らかになったところで、構造の解析等を行うことの有用性、費用対効果等も勘案いたし、政府全体として判断すべきものと考えております。  防衛省としては、かかる政府全体としての判断に資するよう、内閣官房を始めとする関係府省と連携しつつ所要の検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  165. 白眞勲

    ○白眞勲君 この前の御答弁ですと、いわゆるEEZ内に入っているものについては拾うことには法的な問題はないという御回答をいただいているわけですよね。にもかかわらず、いまだもってその法的側面について検討中と。これいつまで検討するんですか、四月の五日ですよ、これ発射したのが。もう二週間以上たっているという中で、いまだもってその法的な検討をしていると。まして、場所も何だかよくまだ分かりませんなんというんでは、ちょっとこれおかしいじゃないかなというふうに思うんですけれども、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  166. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 先生、これ全体像、こうやって今一つずつ否定しておられましたけれども、そうではなくて、我々とすればつかんでいるところはつかんでいるわけですけれども、しかしながら、やはり本当に引揚げが可能という状態にするまで、やはり断片的に出すのがなかなか難しいというのもありますので、我々とすればその費用対効果、特にやっぱり予算面が一番大きいと思いますし、そういった意味では政府全体として対応しなければとてもではないけれどもこの引揚げというのはなかなか難しいのかなというところもありますので、先生のおっしゃった法的部分のところというのは、確かにもうそのようにお答えをしておりますので、総合的にこれは判断してやらせていただきたいというふうに思いますので、お時間いただければなというふうに思っておるところであります。
  167. 白眞勲

    ○白眞勲君 確かに、その予算というのは何でも付くものですし、相当深いところに入っているものを引き揚げるということになりますと、探し出して引き揚げるということになれば、それ相当の、防衛省の予算ではとてもじゃないけれどもできそうもないんだろうという中で、私も前に、前回もオールジャパンでやったらどうですかというふうに申し上げたのは、やはりこれを引き揚げることによる、北朝鮮がこの前防衛大臣が御答弁をされたことに対して相当激しく反発をしているということも聞いておりますので、やはり逆に言えば、これは彼らにとり、北朝鮮ミサイル発射における抑止力になるんであるのならば、これはその辺りも十分に検討して、費用対効果という考えれば、まあもちろん金額がめちゃくちゃ高くなっちゃって日本の国家予算よりも多くなっちゃうなんということになるんだったら別だけれども、まあその辺は中曽根大臣も引き揚げた経験があることを考えると大体の金額というのは分かると思いますから、その辺を踏まえて検討していただきたいと思いますが、御答弁をお願いします。
  168. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) もう先生の御意向、大変私どももよく理解できますので、できることをしっかりやりたいというふうに思います。
  169. 白眞勲

    ○白眞勲君 まだほかにもいっぱい北朝鮮のことを聞きたいんですけれども、一回これグアムへ行かないと、ずっと北朝鮮聞いていないといけなくなっちゃうといけないんで、ここで一回取りあえずグアムの方に行きたいと思います。  まず、今回の海兵隊のグアムへの移転についてちょっとお聞きしたいんですけれども、グアムにおけるその施設とか及び基盤の整備、これは日本の協力によって例えば建てられるという住宅とかその他インフラなんかもあるんですけれども、やはり私、これ私の感じとしちゃ、やっぱりこれ日本によって建てられたんだということをきちっと証明する必要があるんじゃないかなと思うんですね。  もちろん、いわゆるアメリカの司令官とかそういう人たちは、いや、日本のおかげで建ててもらって有り難いなというのは覚えているでしょうけれども、いずれ去る、彼らも引退するというようなことになると、やっぱり一般のそういういわゆる将兵というんでしょうかね、隊員の皆さんが入るようなそこにも、この住宅というのは日本が造ったんだということをどこか看板とか何かに付けておいてもいいんじゃないかなというふうに私は思うんですね。  これ、ちょっと質問の、たしか前もって話していなかったような気がしたんですけれども、まあ答えられると思いますけれども、防衛大臣いかがでございますか、この感覚について。
  170. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 当然、我々とすればそういうものも、先生のおっしゃるように我々が造ったというのを、それは残った方がいいと思いますので、またそれは、方法論に関してはまた考えさせていただきたいなというふうに思います。
  171. 白眞勲

    ○白眞勲君 本当そうでして、例えばこれはグアムも、このいわゆる日本のこれからの防衛の抑止力ということも考えて今回そういう八千人の移転というものを考えているんならば、日本を助けに来てくれた海兵隊員が、ああ、おれ、そういえば日本の人たちの造った家に住んでいたなというふうに感じるか感じないかによってもこれはやっぱり違ってくると思うんですね。  ですから、これ、やっぱり目立った位置にちゃんとプレートか何かを入れるなりしていく必要があるんじゃないかなというふうに思いますが、どうでしょうか、防衛大臣
  172. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) その場所についてはまたいろいろと検討させていただきますが、そういったものがいいのか、それこそほかに何かあれば、また有効なものがあればそれも考えるべきかなとは思います。  我々とすれば、これはそういう意味では、いろんな意味アメリカとの関係、そしてまた、今回我々が、そういった予算の出し方というのがあるわけでありますので、それもやはり我々とすればしっかり念頭に置いて重く受け止めて、そういうものが残るようにしたいなというふうには思います。
  173. 白眞勲

    ○白眞勲君 本当にそうでして、ODAなんかで視察に行きますと、日本のいわゆるプレゼンスを示せというと、何か非常に正直にやってくれる人がいて、何ですか、従業員のロッカー一つ一つに全部日本の国旗を張っているような、あそこまでやる必要はないなと私は思っているんですね。  ただ、やはりある意味どこかに、各住戸に一か所ぐらいやはり置いておくのもいいんじゃないか。そういうのも、プレートを張っておくとかいうことで、これは日本アメリカの協力によって建てられた家であるとか何かというのは必要ではないのかなと。冷蔵庫の置場の後ろに置くような話じゃなくて、ちゃんと目立つ位置に置く必要があるというふうに思います。  外務大臣も何か話したそうな顔をしていらっしゃるので、ちょっと、もしよろしければ。
  174. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 一つのお考えだと思いますし、国民の税金を使ってのそういう建設でございますから、防衛大臣によく検討してもらおうと思います。
  175. 白眞勲

    ○白眞勲君 ありがとうございます。  今、浅尾委員からも、沖縄の海兵隊の八千人の、グアムに移動する際のこの八千人というのが、定員であって実数ではないんだということですが、もう一度確認です。これ、そうですね。
  176. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 累次御説明しているとおり、これは定員数ということでございます。
  177. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、今の第三海兵機動展開部隊の一万八千人の定員の中の八千人が減って、残りは一万人であるわけであって、実際に今アメリカの海兵隊は沖縄に一万二千人いるわけで、そこから八千人減って四千人になるという担保はどこにもないということでよろしゅうございますね。
  178. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これも御説明を前にもしていると思いますけれども、実際にどのユニットがグアムに移っていくのか、それぞれのユニットが今定員をどのぐらい充足しているのかということによって変わってき得るということでございます。
  179. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、その担保はないということですね。
  180. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) したがって、二〇一四年に、その時点で物理的に八千人ちょうど移っていくという保証はございません。
  181. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、非常に誤解を招くような言い方はやめていただきたいんで、八千人ちょうどなんて私は言っていませんよ、これ約八千人なんですから。その定数といったって、実際は一万八千人の定数に実数一万二千人しかいないわけですよね。まあ、しかかどうか知りませんけれども。  そうしますと、これは今もう一回ちょっとお答えいただきたいと思うんですけれども、要するに、この四千人は残るとかいう担保は全然ないということでよろしゅうございますね。
  182. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 四千人が残るということの担保はございません。
  183. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、残り一万人が定員ベースでいるという可能性はあるわけでしょうから、これどこが負担の軽減になるんですか。
  184. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは累次御説明しておりますとおり、たまたまここ数年、アメリカの世界中の軍の展開ということで沖縄における海兵隊の定員が充足されていないということから定員と実員に乖離が生じているということでございます。しかし、これが平準化されればこれはいずれまた定員が充足される、そういうことで一万八千人の定員というものが基盤としてございます。  また、沖縄にございます施設・区域もやはり一万八千人の定員の規模の部隊があるということを前提にできているということでございますので、これが一万八千から一万になれば実員数も相当減るであろうし、またそれに必要な施設・区域も相当不要なものが出てくる、それをまとめればまた相当規模の土地の返還というものが可能になると、そういう意味で負担の軽減につながるということでございます。
  185. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、人数が減ることによって使う施設が減るから負担の軽減になるんですという言い方だと思うんですけれども、今も梅本さんがたまたまとおっしゃっているわけですよね。このたまたまというのは、増えるときもあれば減るときもあるわけなんですよ。  それと、今仮定議論を私はしていらっしゃるわけで、今まで政府側は私たちが何か聞いても、仮定議論にはお答えできませんというふうに、ずっとそれで逃げているわけじゃないですか。そういう観点からしますと、今回、いわゆる仮定議論を我々この国会でやっても、これ意味ないんじゃないですか。
  186. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 仮定議論ということよりは、これは私どもやはり一種の機構というか、インスティテューションとして押さえているわけでございます。麻生総理が言われたのも、まさに定員でということはそういうことでございまして、時々刻々変わっていく、いろんな事情によって変わっていく実数ではなく、あくまでも定員というものを押さえて、そこの一万八千の定員を一万にする、八千を移すということで、考え方でやっているわけでございまして、仮定のということでは必ずしもないというふうに思います。
  187. 白眞勲

    ○白眞勲君 今一万八千人のうちの一万人を落とすということだというおっしゃり方をしましたけれども、その定員だって変わるわけですよね。それは梅本さんが、御自身が認めていたわけじゃないですか、つまり外務省としてね。梅本さんが認めたって、まあ結局外務省が認めたんですけれども。その外務省が認めているということは、定員も変わるということはあり得るわけでして、そうすると、やはりそこは、ちょっと言い方は悪いかもしれないけれども、砂上の楼閣みたいな議論をずっとしているんじゃないのかなというふうな私は懸念をすごく感じるんですね。  前の議論でも、オバマ・バイデン・アジェンダで二万七千人という話をしましたね。そのときにも、梅本さんは、外務省としては増えるということを言われているのは知っておると。ところが、その二万七千人がどこに展開されるのかがまだはっきりしない中で、アメリカ側にも聞いているんだかいないんだかよく分からないような答え方をされているということでは、この議論、全く負担の軽減という議論においては成り立たないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  188. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) オバマ・バイデン・アジェンダと本件グアム移転との関係でございますが、これについては米側からの説明を次のとおり受けておるところでございます。  オバマ・バイデン・アジェンダに示されております海兵隊二万七千人の増員は、グローバルな増員の話であり、その主たる焦点は欠員がある部隊の充足である。したがって、この増員の結果は在沖縄海兵隊の定員そのものの増員にはつながらないと、こういうことでございます。
  189. 白眞勲

    ○白眞勲君 趣旨説明で、お手元の資料をお配りしましたけれども、この後ろから四行目ですね、ちょっと皆さんも御覧になっていただきたいと思うんですけれども、ちょっと読みますと、この協定締結は、第三海兵機動展開部隊要員約八千人及びその家族九千人の沖縄からグアムへの移転実施を確実なものとし、沖縄県の負担の軽減に資するものと考えられますと書いてあるんですね。何で考えられるという言葉を使ったんですか。資するものでありますと何で言えなかったんですか。これどういう、何でこれ考えられちゃうんですか。
  190. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) この協定締結グアムへの海兵隊の移転を確実なものとするわけでございます。そうすることによって、まずその人数が移っていくということもございます。またさらに、このグアムへの移転実施されていければ、これは嘉手納以南の施設・区域の返還にもつながります。また、ロードマップ全体が動いていくであろうということを総合して、判断として、沖縄県の負担の軽減に資するものというふうに考えられるという政府の判断を述べているということでございます。
  191. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、この政府の判断を考えたから考えられるということになって、こんな自信のない文章で、これでどうやって、これ確証が得られないから政府考え方を言ったということでしょう。お答えください。
  192. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 自信がないから考えられるというふうに言ったことではなく、政府の判断であるということでそういう表現を使ったということでございます。
  193. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、政府の判断であるならば、それは負担の軽減に資するものでありますと書けばいいわけであって、政府の判断が自信がないから考えられますというふうに言ったんじゃないんですかと聞いているんですよ、私は。
  194. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 繰り返しになりますが、自信がないからこういう表現にしたということではなくて、これはあくまで政府としてそういう判断をしているんだということにふさわしい表現としてこういう表現を使ったというものでございまして、私どもは、累次これは大臣以下御説明をしているとおり、このグアム移転実施をしていく、ロードマップを全体として実施していくことが沖縄県の負担軽減に確実につながっていくものだというふうに確信をしているわけでございます。
  195. 白眞勲

    ○白眞勲君 ですから、今人数が減るかどうかが定員ベースで議論しているから分からないわけじゃないですか。だから、それは外務省さんお分かりになっているわけです、政府の方では。人数が何人になるかが、沖縄に一体何人、実際減るのかというのが分からないから考えられますというふうにしか書けないんじゃないんですかということなんですよ。  沖縄の負担の軽減というのは何なのかといえば、それは普天間基地の移設というのもあるかもしれないけれども、やはり一番ポイントは人数が減るということでしょう。それがはっきりしてないというところが、そこに考えられますということで話したんじゃないかというふうに私は思うんですよ。  簡単に言えば金額負担、アメリカに対しての二十八億ドルの金額負担は確約しました、でも沖縄の負担の軽減は多分ねという感じなんですよ。これじゃ国民納得しないんじゃないですか。外務大臣お答えください。
  196. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) これは、全体でグアムへの海兵隊の機動展開部隊、これの移転が行われるということによって、もう委員が十分御承知のとおり、ロードマップに記されたこの日米合意事項というもの、これも実施されると。それによって、先ほどからお話ありますけれども、嘉手納以南返還とか普天間返還移転等行われるわけでありますから、ですから、ここで文章にありますように、沖縄県の負担の軽減にこれは資するというふうに考えるということで、私は、考えられますという言葉が悪いということであれば、これはもう将来のことだから考えられますという表現になっているんだと思いますが、負担の軽減になると確信しているというふうに御判断いただいてもいいと思いますが。
  197. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、なぜロードマップに書かれている八千人が減って、何というか、一万人になる、ロードマップはただ八千人移動させると書いてあるわけですけれども、これ、今回の協定に何でこの人数入れなかったんですか。
  198. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) この協定は、累次御説明しておりますように、ロードマップの中のグアム移転事業、その中の真水部分、特にその真水部分についての資金の拠出を中心にして、そこについての具体的な権利義務関係を設定するということで協定を結んでいるわけでございます。  したがって、それ以外の再編部分については特段この協定は定めておりませんけれども、まず一つには、前文においてこのロードマップというものをもう一回確認をしております。ですから、グアムについて八千人を減らすんだというロードマップを引用して、まさにそのロードマップにあることを実施するんだという日米両政府の意思を改めて前文で確認をした上で規定をしているということでございます。
  199. 白眞勲

    ○白眞勲君 前文で確認しているといっても、ロードマップ自体が書かれていることを確認しというふうに言っているといったって、結局、この協定はお金だけ入れているわけじゃないですか、それをまさに今外務省の方でも認めたように。これ、お金を書くための協定なんだということでよろしゅうございますね。
  200. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 今申し上げましたように、グアム移転事業の真水部分に係る事業の実施についての日米双方がとるべき措置、そこについて具体的権利義務関係を設定したものでございます。それ以外の部分についても、日米両政府、それを実施していくんだという意思は、これは最高首脳レベルを含めて政治的コミットメントでございますけれども、累次にわたって確認をされているところでございます。
  201. 白眞勲

    ○白眞勲君 意思はあるんだったら、別に二十八億ドルだって、うちは意思はあるじゃないですか。これだけは書いて、ほかは意思がないような言い方というのは余り良くないんじゃないですか。意思はみんなあるでしょう。意思はあるから、二十八億ドルだってロードマップに書かれているんじゃないんでしょうか。  だから、それをそういうふうにおっしゃっているというのは、私は、ちょっとおかしいんじゃないんでしょうか。その御答弁は変ですよ。
  202. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私が御答弁したのは、この協定の権利義務関係に係る部分は日米の両政府について政治的意思がなくて、それ以外のところについては権利義務関係はないけれども政治的意思があるということを申し上げたわけではなくて、米軍再編全体、グアム移転事業もそうでございますが、これを進めていくということについては、日米両政府の最高首脳レベルを含めた強い意思があるわけでございます。  じゃ、その意思を体して具体的に事業を進めていくというときに、それぞれの事業についてそれぞれの事業の特性に応じた進め方があるわけでございますが、このグアム移転事業というのは、日本が資金を拠出して米国内に軍事施設を造っていくというほかの事業とはかなり性格を異にする部分があります。  したがって、そこについては、この資金の適正な利用等々、より厳密に具体的な権利義務関係として設定することが適当であろうということでこの協定になっているということでございます。
  203. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、今お金だけ入れたんだというのは、権利義務関係があるからお金だけ入れたんですよということであるならば、何で普天間代替施設の具体的な進展という言葉をそこに入れたんでしょうか。
  204. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) もちろん、今申し上げましたように、このグアム移転事業というのはこれだけが単独にあるものではございません。まさにロードマップ全体の中でこれを進めていくわけでございまして、そこの関係を確認する、改めて再確認するという意味で、このロードマップにおいて普天間移転事業、それから普天間移設・返還、それからグアム移転、さらには嘉手納の以南の返還というものが関連付けられているんだということを確認しているということでございます。
  205. 白眞勲

    ○白眞勲君 一番重要な確認は、日本にとって一番重要なのは八千人の移転じゃないですか。その八千人の移転は何で書いていないんですか、じゃ。
  206. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 度々申し上げておりますけれども、その八千人を移転を実現するためにこの協定というものがあるわけでございます。そして、アメリカは、この第二条におきまして、「グアムにおける施設及び基盤を整備する同政府の事業への資金の拠出を含む移転のために必要な措置をとる。」という約束をしているわけでございます。  この移転とは何かというと、まさに再編で日米双方がコミットメントを明確にしております海兵隊の、定員ベースではございますが、八千人の移転ということでございまして、そういう意味で、アメリカ側はきちんとこの協定でこの移転について法的なコミットメントをしているということでございます。
  207. 白眞勲

    ○白眞勲君 八千人の移転ということをコミットメントしているといって余り胸を張れるものじゃ私はないと思うんですね。  人数が何人に減りますよと、沖縄では。いいですよ、定員ベースでもいいですよ。定員ベースでもいいですけど、人数が何人減って、沖縄の負担がこれだけ減るでしょうと。沖縄の負担ということも書いていませんよ、ここには。何にも書いていませんよ、協定上。負担の軽減という言葉も書いていない。  じゃ、いいですよ、それがなじまなきゃそれでも結構。しかし、協定というのは、約束事であるならば、人数が減って、その分について私たちはそのお引っ越し代を負担するんですという、このプラス、マイナスのこの部分があってしかるべきであるというふうに思うんですね。それを、具体的な、その定員が減るということも書いていない。減るということが書いていないところがポイントなんですよ、私は。何人が移動するということではないんだと私は思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。
  208. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 繰り返しになりますけれども、これは、あくまでも米軍再編という数々の事業がたくさんある、その中のグアム移転について、そのさらに真水の部分、主としてですね、についての規定でございます。したがって、その再編にかかわるものがすべて具体的な権利義務関係として設定されているわけではありません。  ただ、さはさりながら、協定の第一条、第二条を御覧いただければ、例えば八千という数字もこれは第一条には書いているわけでございまして、この再編でいうところのグアム移転、すなわち八千人を動かしていくということについての、そのことの事業についての協定だということは明確になっているわけでございます。  それから、この協定の前文においても、「沖縄県を含む地域社会の負担を軽減し、」云々という、これはロードマップの書かれていることを改めて確認しているわけでございますので、そういう意味で、私ども、この協定ロードマップ実施していくということについて適切な権利義務関係が設定されておるというふうに考えております。
  209. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の聞いていることにちゃんと答えていないですね。延々と長々しゃべられれば、私が何か質問したことを忘れちゃうんじゃないかと思っているんじゃないかと思うんですけれども。そういうときもあるんですけれども、でも、これ忘れられないですよ。  私が聞いているのは、一万人に減っているんですよということが何で書いていないんですかということですよ。端的に答えてくださいよ。
  210. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) そこは、日米安保体制、地位協定の下に、在日米軍というものが安保条約の目的達成のために日本に駐留をしているわけでございます。  この駐留米軍の数を法的権利義務関係で設定するということはしておりません。これは、米国は世界各国ともいろいろな米軍の駐留をしておりますが、そういうのはない。それは、一つは、軍のプレゼンスというのはやはり目的達成のために周辺状況等あるいは部隊の運用状況等を見ながら変動していくということが前提になっているわけでございまして、軍の規模というものを協定で書くということがなかなかその性格上なじまないということでございます。  さらには、まさにロードマップで、本件については、そういう性格も踏まえながら、しかし沖縄については一万八千の定員を一万に減らすんだということを明確にしているわけでございますので、その辺のバランスを取りながらこの協定ができているということでございます。
  211. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、性格上、その定員数を書くのがなじまないというふうにおっしゃるんですけれども、それだったら、過去に協定上、引っ越し代を負担するなんという協定なんかやったことないですよ、これ。つまり、なじまないことをやったんじゃないですか、この協定で。この協定、なじまないことをやっていて、人数、そちらの方は、都合のいいところはなじまないと言って、都合が悪くなるとこれはなじむみたいな、これは矛盾していませんか。
  212. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) この協定については、新しい安全保障環境の下で日米同盟をどういうふうに運営するのかということで何年かにわたり閣僚レベルを含む議論が行われた結果、ロードマップというものができたわけでございます。それに従ってこのグアム移転というものも行っていくわけでございまして、そういう意味で、その中で特に具体的に資金の適正な管理という観点、そういうところを中心にこの権利義務関係を設定しているわけでございますので、そういう協定の性格上、このような規定ぶりになっているというふうに御理解いただければと思います。
  213. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは外務大臣にお聞きしますけれども、普通、協定というか、普通の契約でもいいです、これだけ人数が減るからお金を負担しましょうというのが私はまともな協定だと思いますけれども、大臣、どうですか。
  214. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 今、参考人からるる答弁いたしましたけれども、この協定グアムへの移転、何人移転しますということを取決めしているものではなくて、これはもう申し上げるまでもありませんが、それに伴う日本政府の拠出、あるいは米国の行わなければならない義務等について書いているものでありまして、私は、こういう協定があるということは別におかしいとは思っておりません。
  215. 白眞勲

    ○白眞勲君 今まで人数の増減というのは合意する必要がなかったということですよね、今までの政府の答弁というのは。でも、今回は沖縄の負担の軽減という大前提から出発している。だったら、それを担保するのが私は当たり前だと思うんですね。今までの協定とは全然性格の違うものなんだという中で、国民これ納得しないと思いますよ。せめて沖縄の負担の軽減という言葉だけでもこの協定の中に入れるべきだと思いますけれども、それを大臣、どうお考えですか。
  216. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 沖縄の負担の軽減につきましては、前文のところに「沖縄県を含む地域社会の負担を軽減し、」という文言が入っているわけでありまして、かつ、先ほどから申し上げておりますように、この沖縄県の負担の軽減というのは、これはこの協定によって海兵隊員が沖縄から移転するということだけじゃなくて、全体のロードマップの実現によって軽減もされると、そういう意味もあるわけでございまして、この前文にこういうふうに書いてあるということで私は適切なものであると、そういうふうに思います。
  217. 白眞勲

    ○白眞勲君 先日の外交防衛委員会大臣は、浅尾慶一郎議員の質問のうち、ロードマップに合意されて以降、なぜこの協定が作成されたのか、なぜ最終的に国会承認となったのかという質問に対して、多年度にわたる財政支出を含む国際約束となることから、この二国間の協定として国会にお諮りをし、国会の御承認をいただくことが適切と判断したところでございますとお答えされていまます。  そうすると、これODAも多年度にわたる財政支出を含む国際約束ですけれども、これ、行政府限りの交換公文ですよね。この違いは何ですか。
  218. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) ただいま委員指摘のODA関係の国際約束は、ODAの性格によって幾つか種類がございます。  例えば、私どもが一般無償協力と申し上げている無償協力に関する交換公文は、単年度予算の下で、予算の御承認をいただいた範囲内でその単年度中に執行されるものでございまして、複数年度にわたるものではございません。
  219. 白眞勲

    ○白眞勲君 あれ、複数年度もありますよね。複数年度にわたってもたしか交換公文でやっていませんか。
  220. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 複数年度にわたる無償資金協力というのはございませんが、今御指摘のありましたのは、例えば円借款の協力形態でございますけれども、円借款は、今JICAに統合されましたけれども、JBICが実施をするものでございまして、政府が行っておりますのは、毎年国会で御承認をいただいた予算をJBICに対して支出をして、その支出によってJBICが相手方に対する資金を供与することでございます。  政府交換公文において相手方との関係で約束をしておりますのは、そのために必要な措置をとるということを約束をしているのでございまして、資金的な負担を直接相手方に対して行うことは約束しておりません。
  221. 白眞勲

    ○白眞勲君 ただ、これは平成十九年五月十日の浅野副大臣の御答弁なんですけれども、「単年度予算主義の例外として、国庫債務負担行為として国会の議決を経た予算の範囲内で複数年度の支出を行うことも認められておりますので、」と、こうおっしゃっているんですよね。今のと矛盾しませんか。
  222. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 御指摘のとおり、国庫債務負担行為という方式が財政法上認められておるわけでございますが、例えば二十八億ドルを国庫債務負担行為の案件として多年度にわたる負担という形で行う場合に、問題は、相手方の政府との間でどのような約束を行うかということでございます。国といたしまして多年度にわたって一定の事業を実施することを決定することはございます。これが国庫債務負担行為という案件になるわけですけれども、相手と何を約束するかということで国際約束の性格が異なってくるということでございます。
  223. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは近藤昭一議員が衆議院外務委員会の四月の十日のときに聞いている中で、アメリカにおいて国際約束を議会承認条約とする基準について聞いているんですね。これについては、アメリカ側から回答があり次第その結果につきましてはしかるべく御報告させていただきたいと言っているんですけれども、報告ないようなんですが、これはどうなっているんですか。
  224. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) 御報告は衆議院外務委員会に対して行うということで手はずを整えているところでございますが、ただいませっかくの御質問でございますので、この場でただいま米側照会の結果が出ておりますので御報告を申し上げたいと思います。  まず、米側に照会いたしましたところ、米国締結、少し長いんですけれどもよろしいですか。
  225. 白眞勲

    ○白眞勲君 じゃ、いいです。それでは、それは文書で後で委員会に出していただきたいと思います。  外務大臣にお聞きいたします。  辺野古の場合、滑走路の長さは千六百メートルということですけれども、これ、延長される可能性というのはあるんでしょうか。
  226. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 二〇〇六年の五月のロードマップにおきまして、普天間飛行場の代替施設を辺野古岬とこれに隣接するこれは大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置して、そしてV字形に設置される二本の滑走路はそれぞれ千六百メートルの長さを有し、二つの百メートルのオーバーランを有するものとする旨日米間で合意に至ったところでございます。  政府といたしましては、このロードマップに基づきまして米軍再編を着実に実施していく考えでありまして、滑走路の長さの変更を行うことは考えておりません。
  227. 白眞勲

    ○白眞勲君 永遠にということでいいですね。
  228. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) ロードマップに基づいて現在のところはこの計画で行うということでございますので、現在そういう変更を行うということは考えておりません。
  229. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、今現在は考えていないということでよろしゅうございますね。
  230. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 現在の計画は、ロードマップに基づいてこの計画があるわけでございます。したがいまして、このロードマップに基づいて行っているというところから、変更を行うことは考えておりません。
  231. 白眞勲

    ○白眞勲君 いや、私の聞いているのは、今現在は変更をしないということは聞きましたけれども、将来にわたって変更する可能性があるのかどうかを聞いているんです。お答えください。
  232. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 将来にわたっても、今のロードマップに基づいてこれを実施していくということであれば、これは変更ということはないということになります。
  233. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の質問主意書によりますと、グアムの設計費として十六億円の消防署など四か所の設計費が計上されておりますけれども、この四か所各々の経費は幾らでしょうか。
  234. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  設計事業費の経費の内訳につきましては、個々の設計費の内訳の公表により予定価格の概算が事前に明らかになるということがございます。今後、米側において各設計事業の契約手続を行っていくことになるわけですが、その際、応募業者との契約交渉が不利な状況になるおそれがあります。このため、米側にも確認をいたしましたけれども、競争を通じた適正な価格による契約を確保する観点から、個々の設計費の内訳に係る公表は差し控えたいというふうに考えております。
  235. 白眞勲

    ○白眞勲君 この四か所の規模というのは二万四千百平米で、消防署の規模が千五百平米ですから、約十六億円のうちの十六分の一がこの消防署の規模なんですね。そうすると、単純に計算をすると、設計費って、この十六億円のうちの一億円が消防署の設計費になっちゃうんですよ、一億円が。つまり、これ千五百平米、つまり四百五十坪に一億円もの設計費を掛けるというのは余りにも高過ぎないかと。  私、調べたんですよ、これ、東京都の消防局に。大体、消防署一つの設計費って幾らなんですかって。そうしたら約五千万円ですよ。島だと高いのかと思って大島の役場にも聞いてみた。そうしたら千二百万円で、何だかちょっと規模はちっちゃいんだけど、千二百万円だったと思います。これ、倍ですよね。  今、入札とおっしゃいましたよね。これ、大島の消防本部ですね、大島の消防本部で、これは四百六十五平米ですね。ですから、大体三分の一ぐらいの規模だけど、千三百十二万円と。これ、設計監理費ですよね、工事設計監理費で千三百十二万。やっぱりこれ考えると、四千万円から五千万円。これ一億。これ、ちょっと余りにも高過ぎませんか。
  236. 高見澤將林

    政府参考人(高見澤將林君) お答えいたします。  平成二十一年度予算に計上いたしました設計のための経費、約十六億円ございますけれども、これは消防の関係に限らず、建設設計、設備設計などの対象施設本体の設計作業のみならず、測量調査あるいは土壌調査なども含めた対象施設の設計に係るすべての作業に必要となる経費ということでございます。  そういった点で、今先生の御指摘のように、単純に比較しますと非常に高いというような感じはあるかもしれませんが、私どもとしては、米側とも十分議論をいたしまして精査をした結果この価格ということで予算に計上しているものでございます。
  237. 白眞勲

    ○白眞勲君 済みません、最後質問になります。  この今回の協定の、確認したいんですけれども、第七条の(b)の部分。つまり、これは何かというと、二十八億ドルがもし余った場合に、これは、アメリカ政府日本と話合いを、合意さえすれば残りの分についてもお金使うことができるというふうに書いてありますけれども、要するにそういうことですね。確認です。
  238. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 第七条は、まさにこの規定にありますとおり、仮に当該資金から生じた利子について、あるいは使われなかったものについては、当該年度にそのほかに日本が提供した資金で進めるべき事業について不足が仮に生じていることがあれば、日本政府の事前の同意があれば、それを使ってもいいというようなことでございまして、あくまでそれは日本の資金をもって行われる事業に充当されるということでございますので、すべて二十八億ドルの上限のうちで、しかも日本がお金を出してやる事業の中で行われる可能性があるということを言っているにすぎないわけでございます。
  239. 白眞勲

    ○白眞勲君 終わります。
  240. 風間直樹

    ○風間直樹君 この協定の審議、随分続いているわけでありますが、率直に申しまして非常にストレスのたまる審議であります。委員が求めている答弁内容政府からほとんど出てこない、一体何のためにこの協定締結するのか、その真意が見えてこないというのがこれまでの審議を見ておりましての私の感想です。  私、この参議院の外交防衛委員会の審議だけでなくて、衆議院の関連委員会での審議も録画で見ました。衆参の質疑を通しまして、外務省は一貫して、移転部隊の詳細は調整中であり不明だと、このように答弁をされています。  しかし、この協定で少なくとも真水として日本政府が二十八億ドルの負担をすると。この負担をするからには、政府協定の中でうたっている沖縄の負担軽減、そして抑止力の維持強化、これが確かに行われるかどうかを国会における審議で担保しなければいけないと私は思っています。しかし、移転部隊の詳細が分からない限り、沖縄に残る部隊名とその機能、そして沖縄における使用施設、さらに現在利用している土地、これが特定されません。同時に、負担が軽減されるか否かは判断できないわけです。また、移転部隊名とその機能が判明しない限り、従来の沖縄駐留時と同様にグアムにおいても抑止力が維持強化されるかも分かりません。  そこで、中曽根外務大臣にお伺いしたいと思います。私は、何のためにこの協定の審議を国会でやっているのだろうかという問題意識をこの間持っています。外務大臣御存じと思いますが、憲法六十一条でこの条約の批准を国会に要請しているわけです。それでは、憲法が条約の批准に当たって国会での審議に何を期待しているとお考えでしょうか。外務大臣のお考えをお述べください。一般論で結構です。
  241. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 憲法がこの条約の承認に何を期待しているかという、そういう御質問でございますが、これは大変、憲法ということですから、幅が広いものでありますので、お答えが大変、委員の御希望どおりになるか分かりませんけれども、いわゆる国民のいろいろな幸せとか、そういうものという観点から見ますと沖縄の負担の軽減、あるいは安全保障という観点から見ますと、国益を守るという観点から見ますと抑止力の維持とか、そういうものがあろうかと思います。  そういう意味におきまして、この協定実施するということによって、今申し上げました沖縄の負担の軽減にも資するものでありますし、また抑止力は維持をできると、そういうことではないかと思います。
  242. 風間直樹

    ○風間直樹君 私自身は、今大臣おっしゃいましたように、まず一点は国益の維持だろうと思います。もう一点は、やはり条約の、協定の批准の審議に当たっては、国税の支出に値する内容かどうかということが厳しく審議をされるべきだろうと思っています。  この国益の維持という観点からは、私はこの協定を結ぶことはそれに資するだろうと思います。ところが、一方で、真水で二十八億ドルの支出を日本の国税からすることが果たして国民の御理解をいただけるのかということには、私は甚だ不安を感じています。どの部隊が移るかという詳細が不明、さらにグアムにおけるインフラ整備の内訳が未決定と、こういう状況で二十八億ドルの支出を協定に盛り込むことについては、私自身は国会議員として大変な良心の呵責を感じます。  ちなみに、大臣、この二十八億ドル、円にして約三千億円ということになりますが、ちょっと大きな金額なものですから、なかなか一般国民にはこの規模がぴんとこないと思うんですね。私、大体、我々の身近にある施設でどういったものの規模に相当するのかなと思いまして、ちょっと調べてみました。何年か前のワールドカップのサッカーの大会を日本で開催しましたときに、全国各地にサッカースタジアムができました。あれが大体一つ三百億円であります。つまり、この二十八億ドルというのはサッカースタジアム十個分と、おおむねそういった数字ではないかと私は考えています。大変大きな金額です。  そこで、今日は、国会議員としての責務として、まず政府移転部隊の詳細を、それでもなお、お尋ねしなければなりません。お伺いします。グアム協定によって二〇一四年までに沖縄からグアム移転する海兵隊の内訳を具体的かつ詳細にお答えください。
  243. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 沖縄からグアムに移す部隊でございますが、ロードマップにございますように、この移転する部隊というのは、第三海兵機動展開部隊の指揮部隊、第三海兵師団司令部、第三海兵後方群司令部、現在は戦務支援群という名前からこういう名前に改称されております。第一海兵航空団司令部及び第一二海兵連隊司令部を含むということでございます。  それではこれらの部隊の中のさらにどのユニットからどれだけという具体的な詳細については、現在もなお米側において検討中でございまして、現時点では決定はされていないということでございます。
  244. 風間直樹

    ○風間直樹君 先日、おととい、大阪の橋下知事が衆議院の総務委員会で、出席をされまして、参考人としてですね、国の直轄事業の地方負担金について廃止を求められました。手元にそのときの新聞記事があるんですが、こんなふうな話をされています。僕みたいに中小企業のおやじ感覚からすれば、あんな請求書で何百億円というお金を払うのは信じられない、国と地方は奴隷関係、奴隷は御主人に文句は言えない、非常に刺激的な話をされております。  私は、今回の協定内容につきましてここまで申し上げるつもりはありませんが、やはりこの協定に盛り込まれた内容で二千八百億なり三千億円というお金を払うのは、私自身の感覚としては納得できない、信じられないものがあります。  そこで、お尋ねをしますが、今、梅本局長は、移転をする部隊名はある程度分かっていると、こうおっしゃいました。しかし、そのユニットについては、今なお米軍内部で調整中で判明していないということでありますが、これが判明しませんと、真水で二十八億ドルを拠出すべきかどうか、我々は判断のしようがありません。  そこで、なぜこのユニットが分かってから、つまり詳細が分かってからこの協定締結しなかったのか、あるいは国会に対してこの協定の批准を求めなかったのか、その理由をお尋ねします。
  245. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) これは、ロードマップにおいて再編の事業というものが、日米双方こういうものをやっていこうということが決まっているわけでございます。このグアムの事業は、大変大規模な、かつ複雑な事業でございます。確かに、これは全部細部まで詰まってから物事を進めるというのが、それは理想的な状況かもしれません。  ただ、やはり私どもとしては、このグアム移転というものをできるだけ早く進めたい、これをできるだけ早く実施をしたいということで、大きな大枠、全体像をまず決め、その中で日米双方が協議をしながら、協力をしながら細部を詰めていく。その細部を詰めていくと同時に、日米双方がとるべき措置をとっていく。これがやはり現状においては一番早くこれを実現する道ではないかということで、大枠をまず決める、その上でその大枠に従って日米が共同の作業でこれから細部を詰めていくというアプローチを取ったわけでございます。
  246. 風間直樹

    ○風間直樹君 それでは、大枠が決まって、その後細部が決まる都度、日本政府が負担すべき、拠出すべき真水の金額を決めても差し支えないんじゃないですか。
  247. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) この協定におきましても、各年度に、これは当該会計年度にどういう事業について具体的に幾ら出すのかということは、毎年毎年アメリカ側と協議をして決め、それを国会に予算としてお諮りをし、その上で、予算が認められたところで、先ほどの別途の取極でアメリカ側とそれをまた更に取決めを行うというふうにやっていくわけでございます。  したがって、そういうプロセスの中でそういうものと並行してどの部隊というようなこともこれから詰めてまいりますし、具体的にどういう施設が必要になるのかということも詰めていくというプロセスで進んでいくということを想定しているわけでございます。
  248. 風間直樹

    ○風間直樹君 政府のお立場では、衆議院で今与党が三分の二を持っている、参議院では与野党が逆転している、しかし条約、協定の批准に限っては、これ逆転していても衆議院さえ通過すればその後所定の日数を経過した上で成立すると、こういうことですから、国会に対して今私が答弁を求めたような内容のデータを出す必要はないとお考えになっているのかもしれません。しかし、それは私は大変な国会軽視だというふうに考えています。  私は、少し大きな話になりますが、戦後の国会の運営の仕方というのは、いささか国民に情報を開示して税金の負担を求めるという観点からすると足りない部分があったのではないかと思います。そして、今回の協定の審議におきましては、その足りない部分が象徴的に表れているのではないかというふうに感じます。  参考までにお尋ねをいたしますが、昨年、二〇〇八年九月の十五日、米海軍長官がアメリカの下院の軍事委員会委員長あてにグアム移転計画されている部隊の詳細を報告いたしました。この情報は把握されていらっしゃいますでしょうか。
  249. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 昨年九月十五日付けで、米海軍省から米議会国防省関連委員会等に対して、グアムのための国防省による計画策定作業に係る報告書が提出されたということについては米側からも説明を受けております。
  250. 風間直樹

    ○風間直樹君 今日、お手元の配付資料にその訳を付けました。配付資料の三枚目からですが、これは、先般私どもこの委員会委員沖縄県の米軍基地を視察した際に宜野湾市役所から提供されたもののコピーであります。この資料の一番後ろに部隊名が載った図が掲載されています。こちらを御覧いただきますと、先ほど私の質問に対して梅本局長沖縄からグアム移転する部隊名をおっしゃいましたけれども、局長の答弁内容とこの資料に記載されている移転予定の部隊とは一致をしておりますでしょうか、していないでしょうか。
  251. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 先ほど申し上げましたように、グアム移転する在沖縄海兵隊部隊の詳細は現在米側で検討中と承知をしております。米側からは、この報告書に記載されている部隊、員数等はあくまでも概念的なものであり、今後変更があり得るものであるという説明を受けているわけでございます。
  252. 風間直樹

    ○風間直樹君 アメリカの海軍はアメリカの下院の軍事委員会にこの図を含む詳細なデータを提供したと。その理由はなぜかというと、提供を求める関連法令があるからでありますが、突き詰めて言うと、やはり米国民の税金の拠出を伴うからであります。一方、日本政府日本の国会に対して詳細な移転するユニットの内訳を明示せずに真水で二十八億ドルという拠出のみ求める、これはなぜなんでしょうか。
  253. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、ロードマップを着実に実施していく、そのためにロードマップの中のグアム移転事業について大枠を定め、更に具体的な権利義務関係を設定するということでこの協定を出しているわけでございます。  アメリカにつきまして、これはアメリカの中でどの部隊を、ユニットを動かすかということは依然として検討しているということでございますので、ここについては私どももできるだけ早くこの詰めを行ってそれを決めていきたい、それを決めて公表できるような形にしていきたいというふうには思っておりますが、現時点ではまだ米側も検討中ということでございますし、米側の説明によれば、この報告書にあります一連の数字も、あくまでもそういう検討過程の中の、まだプロセスの中の数字であるという説明を受けておるところでございます。
  254. 風間直樹

    ○風間直樹君 この真水二十八億ドルの拠出に関しては毎年度予算に計上すると、こういう先ほどの御説明でありましたけれども、そうは言いながらも二十八億ドルの拠出という大枠は今回の協定の批准によって決まると、この点についてはやはり腑に落ちないものを感じるわけであります。  さて、この宜野湾市の市役所の関係者の皆様がグアムを訪問された際、グアム政府から入手された資料があります。この資料は、政府側には先ほど急ぎお渡しをさせていただいたかと思いますのでお手元にあるかと存じますが、宜野湾市の判断によりますと、このグアム政府提出の資料、並びに私が今配付資料として皆様のお手元に配らせていただきましたものを踏まえると──ございますか、大丈夫でしょうか。今国内で問題になっております普天間基地のヘリ部隊、これが将来的にどうなるか、つまりどこに移設されるかということについていささか不透明な部分が出てくるとお感じになっているようであります。  そこで確認をいたしますが、外務省は、普天間飛行場のヘリ部隊は将来ともグアム移転をするものではなく沖縄に残るものと考えているかどうか、御答弁をお願いいたします。
  255. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 私ども、現在普天間飛行場に駐留をしておりますヘリ部隊というものは、基本的にその必要性にかんがみ、新たな施設、代替施設に移るものだというふうに考えております。  他方、この報告書に掲げられておりますグアム移転する海兵中隊ヘリ部隊というのが付いているということで、そういう宜野湾市、あるいはそういうことをお考えになる方もおられるようでございますが、米側からは、協議過程を通じまして、この報告書に掲げられておりますところの海兵中型ヘリ中隊というのは、現在岩国飛行場に駐留するCH53D部隊のことを想定している旨、説明を受けております。この現在岩国におりますCH53Dのヘリコプターの部隊がグアム移転をするということは、このロードマップの中にも入っているわけでございます。
  256. 風間直樹

    ○風間直樹君 政府側にお配りしてあります宜野湾市の基地渉外課作成の資料、グアム駐留米軍強化の可能性と打たれた資料でありますが、この中に、今我々、恐らく政府もそうだろうと思いますが、日本に残るだろうと想定をしております第三一海兵遠征部隊、海兵隊員約二千名、この部隊が将来的に、英文そのまま読みますと、ポテンシャル・インクリーズ・イン・ミリタリー・プレゼンスと、グアムにおけるという意味ですが、グアムに移行してくる可能性グアム政府は視野に入れていると、このような資料になっております。  この情報を政府は把握していらっしゃるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  257. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) これですか。
  258. 風間直樹

    ○風間直樹君 そうです。
  259. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 我々にはその資料ないのかな。
  260. 風間直樹

    ○風間直樹君 政府側だけです。ちょっと急だったものですから。これです。
  261. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  262. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  263. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) お答え申し上げます。  この第三一海兵遠征部隊、マリン・エクスペディショナリー・ユニット、これは海兵隊の部隊の中でも最も初動対応のために即応力の高い部隊でございます。そして、これは米軍再編の協議の中でも、この第三海兵機動部隊を師団規模から旅団規模に縮小するということでこの八千人の移転ということを考えているわけでございますが、これは、この海兵遠征部隊についてはその抑止力の観点から沖縄に残るというふうに私ども聞いております。したがって、先ほど御説明をいたしましたグアムに移っていく部隊の中にはこの部隊は入っていないというのが私どもの理解でございます。
  264. 風間直樹

    ○風間直樹君 資料の配付につきまして手違いがありまして、大変失礼いたしました。  その上で、この三一海兵遠征部隊のグアム政府内部における位置付けについて簡単に御説明をいたしますと、今、梅本局長から御答弁ありましたように、この三一海兵遠征部隊は、基本的には、東アジアで有事が発生した場合、当該地域に居住する在留米人の救出を目的として現在沖縄に駐留、配置をされている部隊だと、こういうことになっております。したがって、これがグアム移転をすることによって、いったん緩急の際、その有事が起きた地域に投入される日数が沖縄駐留の場合に比べると二日から三日掛かってしまう、こういうことでこの部隊は恐らく沖縄に残るだろうと、こういうふうに想定をされているわけでありますが、グアム政府の資料によりますと将来この部隊がグアムに移設される可能性を視野に入れていると、こういうことであります。  それでは、次の質問に移らせていただきます。  協定並びに政府は、今回のこの協定がこの地域による、つまり東アジア地域における抑止力を強化するものだということをうたっています。ただ、私の認識ですと、海兵隊という部隊の機能というものは抑止よりもむしろ有事なり紛争が起きた場合にそこに橋頭堡を築くためにまずは進出する第一線の部隊だと、こういうふうに理解をしております。  なぜこの海兵隊がグアム移転をすることによってこの地域の抑止力が維持強化されるのか、その点、お尋ねいたします。
  265. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) この海兵隊の部隊がグアム沖縄から八千人、定員ベースでございますが、移っていく、そこだけを単独で見て抑止力が強化をされるという判断をしているわけではございません。  この米軍再編のロードマップの中で、日本におきまして、日本それから沖縄グアム、あるいはアメリカの国内ではハワイ、そういうところを含めてこの海兵隊あるいは米軍部隊を再配置をする、再調整をするわけでございます。またさらに、グアムに対しては海軍、空軍のプレゼンスも強化をしていく。また、これも二〇〇五年十一月の2プラス2にございますけれども、日米はいろいろな面で、情報の面あるいは弾道ミサイル、こういうところで防衛協力を進めていくということがあるわけでございます。そういうものをすべて含めて総体として見たときに、そういうことを行う中でこのグアム移転が行われますので、したがって、全体としての抑止力というものが維持される、強化されるという判断をしているということでございます。
  266. 風間直樹

    ○風間直樹君 続きまして、協定内容の解釈についてお尋ねをしたいと思います。この点は通告をしてありませんので、ちょっとゆっくりお尋ねをさせていただきますが、協定の八条であります。  協定の第八条、このように書かれています。「アメリカ合衆国政府は、同政府日本国の提供した資金が拠出された施設及び基盤に重大な影響を与えるおそれのある変更を検討する場合には、日本国政府協議を行い、かつ、日本国の懸念を十分に考慮に入れて適切な措置をとる。」と、こういった文章でありますが、この部分は協定内容の変更が可能だということを意味するのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  267. 鶴岡公二

    政府参考人(鶴岡公二君) ただいま御指摘の条項は協定案文の変更を可能とするとの趣旨を定めたものではございません。
  268. 風間直樹

    ○風間直樹君 つまり、あくまでも資金の拠出の結果造られた施設あるいはインフラストラクチャー、これに変更が生じる場合にということでよろしいですね。
  269. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 第八条に言う「重大な影響を与えるおそれのある変更」というのは、例えばグアムにおける米軍基地の縮小、閉鎖等、これも、安全保障環境が非常に予見しないような形で大きく変わったということによって、例えばグアムにおける米軍基地が縮小される、閉鎖されるというようなこと、あるいは、我が国が提供した資金によって建設された施設及び基盤に重大な影響を与えるというようなことを想定しております。したがって、施設の一部改修や補修等の施設及び基盤に係る軽微な変更は含まないということでございます。  いずれにしても、我が国政府としては、現時点で米国政府が重大な影響を与えるおそれのある変更を検討するような事態が生ずるとは考えておりませんけれども、本規定は、将来全く予期しないような事態が起こった場合に備えて、万が一の場合のために、日米双方がそういう場合にどうするかということを決めた規定でございます。
  270. 風間直樹

    ○風間直樹君 続いて、普天間基地のクリアゾーンについてお尋ねをしたいと思います。  先般、この委員会米軍基地の視察をしました折に、普天間基地も視察を行ってまいりました。私ども委員はバスに乗りまして、この普天間基地の滑走路を囲む外縁部分の道路を一周いたしました。そのときに、小学校あるいは中学校、さらに児童センター、こういった子供たちが学ぶ施設が集中しているすぐ近くをこの飛行場の滑走路が通っているという事実を目の当たりにしたわけであります。見た瞬間、率直に危ないなと思いました。  米軍は、滑走路の両端を、離発着の折に墜落等の危険があるということでクリアゾーンという呼称で設定をいたしまして、この圏内にはあらゆる民間施設の建設を禁じております。これはアメリカの国内法であります。この法律はすべての米軍の施設に適用されるということになっております。  昨年の六月二十六日、当時の町村官房長官が、このクリアゾーンをめぐって米国交渉することを表明されましたけれども、その交渉の結果はどのようなものになりましたでしょうか。お尋ねします。
  271. 井上源三

    政府参考人井上源三君) 今御指摘の町村官房長官の昨年の六月の記者会見によりましてのお話だというふうに考えておりますけれども、私ども調べさせていただきましたけれども、官房長官は記者会見におきまして、クリアゾーンという表現ではなかったのではないかというふうに思いますけれども、危険性除去対策ということについて、日本政府としても誠実に受け止めてアメリカ側と交渉するなど、できるだけ沖縄の県民の皆様方の御負担を軽減するように努力していきたいと。さらに、記者からのお尋ねに答えまして、ただ、今特にこの対策を講ずるためにアメリカとこういう交渉をしているとか、そういう状態に今あるわけではございませんというようなお答えがされたという趣旨のお話だろうというふうに理解をいたしております。  いずれ、私ども、この普天間飛行場、今委員お話しのとおり、市街地の、ある意味では極めて近接したところにこの米軍の飛行場の基地があるわけでございます。騒音の問題等、様々な問題があることは私ども十分に認識をいたしているところでございまして、そして、だからゆえ、この普天間飛行場の代替施設を早急に整備をいたしまして移転をし、廃止をするということが必要であるというふうに考えているところでございます。  この普天間飛行場の移設につきましての政府、これは内閣官房長官、防衛大臣外務大臣等をメンバーとし、また沖縄県知事、名護市長等をメンバーとする協議会があるわけでございますけれども、これまで八回にわたりまして地元自治体意見交換を行ってきているところでございます。また、この協議会の下に危険性除去に関するワーキングチームを設置をいたしまして、政府沖縄県との間で密接に意見交換をしつつ検討を行っているというところでございます。さらに、十九年の八月に日米合同委員会で、この普天間飛行場に係りますまさに危険性除去に関する報告書を日米間で取りまとめをいたしておりまして、普天間飛行場の危険性の除去に向けた様々な施策を発表いたしまして、それを着実に実施をいたしているというところでございます。  いずれにいたしましても、この普天間飛行場の危険性の除去につきまして、先ほど申し上げましたような協議会、そしてワーキングチーム等の場において密接に協議をしているという状況にあるものでございます。
  272. 風間直樹

    ○風間直樹君 今いろいろ御答弁いただいたんですが、結果としては事態は改善されていないと思うんですね。  委員の皆さんのお手元に配付資料でこの普天間飛行場のちょっと地図をお配りしております。これ御覧いただきますと、赤丸が公共施設、それから黄色が幼児保育施設、さらに赤の塗りつぶしの丸が各自治会の事務所というふうになっておりまして、滑走路の両端にこの黄色のマーク、幼児保育施設が非常に多いことが見て取れると思います。私、これ非常に違和感を覚えまして、沖縄でちょうだいした資料等をいろいろと読んでみたんですが、アメリカにおきましてはやはり同様の問題が過去起きたと。つまり、アメリカの空軍施設のほとんどは一九四〇年代後半から五〇年代初めに都市部から約十六キロから二十四キロ離れた場所に建設されたと。しかし、その後、基地周辺に人口が増えて、やはり騒音等の様々なトラブルが起きるようになったと。  そこで、米軍としてどのような措置を講じたらいいかを検討した結果、あるプログラムが創設をされるわけであります。AICUZと呼ばれていますが、AICUZプログラムであります。このプログラムは七三年に米空軍が行った航空機事故可能性についての調査に基づいているということです。すなわち、一九六八年から一九七二年まで空軍基地の滑走路から十海里、十八・五キロメートル以内で起きた大事故三百六十九件について分析を行った結果、七五%の事故が滑走路上若しくは滑走路周辺で発生。そこで、この七五%の事故が集中しているエリアを三つに区分したのが、まず一つはクリアゾーン、そして事故可能性ゾーン、APZと呼ばれていますが、APZの1、そして2と、この三つのエリアに区分をされたということであります。  こちらの配付資料にもありますけれども、地図のこのカラーの二枚目を御覧いただきますと、この二枚目の右ページの方にクリアゾーンとAPZの1、2がこの普天間の飛行場の上で示されております。一目瞭然でありますが、滑走路の両端、まず一番滑走路に近い部分が赤塗りのクリアゾーン、そしてその次がAPZの1、さらにその先がAPZの2ということであります。普天間の場合、問題はこの赤枠のクリアゾーンの中に先ほどのように多数の幼児保育施設が集中している、あるいは公共施設が集中していると、こういうことであります。  沖縄地元自治体も米軍といろいろ交渉しているようですが、私の見る限りでは、米軍はこの件については端的に言って言を左右にしてなかなか言質を与えない。この普天間飛行場の運用に関しては、微調整をした結果、米国内法にはちゃんと合致しているんだと、こういう回答をしているようであります。ただ、当然私ども日本人としてはそれは認められるところではないというのが私の考えです。  そこで、政府お尋ねをいたしますが、この普天間基地のクリアゾーン圏内、あるいはAPZ1、APZ2圏内に居住する日本人の安全を確保する視点から、日本政府普天間における飛行場運用をどう評価しているか、お尋ねをいたします。
  273. 井上源三

    政府参考人井上源三君) 先ほども申し上げましたけれども、現在の普天間飛行場、市街地に極めて近接をしておるわけでございますので、騒音、危険性等の問題があるというのは私どもも認識をしておりますので、だからこそ、先ほども申し上げましたけれども、代替施設整備が必要と考えているところでございます。  その上で、今委員の方からAICUZのお話がございました。一応そのAICUZの制度はアメリカの制度でございまして、私ども基本的にそれをコメントする立場にないわけでございますけれども、米側に確認をいたしておりますけれども、これはアメリカ国内の自治体のためのものであって、海外の航空施設には適用されないものであるというふうに聞いております。  また、このAICUZ、軍の、ある意味では米軍内における騒音、安全等の観点から、飛行場周辺の土地利用のガイドラインを自治体に対しても示すものであるということになるわけでございますけれども、それを自治体がどのように適用するかというのは自治体の判断であって、自治体が異なる決定をすることを妨げるものではないというようなものであるというふうに聞いているものでございます。  今お尋ねの、それではこの普天間飛行場においての、ある意味では極めて近接したところにある公共施設等の問題についてどのような認識をしているかということになるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、十九年の八月に普天間飛行場の安全対策、危険性除去の対策につきまして日米間で議論をいたしまして、エンジントラブルの際に場周経路から安全に帰還するための施策でございますとか、夜間に滑走路を見えやすくするための施設の改善でございますとか、目視から自動への管制システムの改善とか、住宅高密集度区域を極力避ける等の離着陸経路の改善などの施策を取りまとめをいたしまして、これまでそれは着実に実施をさせていただいておるところでございます。  また、騒音等の住民の方々の御負担の軽減を図るために、航空機騒音規制措置を日米間で合意をしておりまして、それに基づいて運航を求めているというような施策を講じているところでございます。
  274. 風間直樹

    ○風間直樹君 外務大臣、今このやり取りをお聞きになっていかがですか。外務大臣の率直な印象をお聞かせください。
  275. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 答弁と直接ではないかもしれませんが、私もここ視察をいたしまして、これはもう相当住民の皆さんに騒音を始め、あるいは事故の危険等で日ごろから大変な御負担と不安をお掛けしていると、そういうふうに実感をいたしました。クリアゾーンの今お話がありましたけれども、今説明があったとおりでありますけれども、そういうところからもやっぱり早く移転をしなければならないと、そういうふうに感じているところでございます。
  276. 風間直樹

    ○風間直樹君 浜田防衛大臣日本の航空自衛隊の基地で、国内の、こういう状況基地というのはありますでしょうか。
  277. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) ここまでというか、沖縄ほど込み合っているという感じはしているところは、厚木などは近いものがあるかなという気はいたしますが、やはり極めてこの沖縄に関しては大変隣接しているなという思いは持っておるところであります。
  278. 風間直樹

    ○風間直樹君 外務大臣、私この普天間を視察しまして端的に思いましたのは、もしここでもう一度航空機事故が起きた場合、先年、沖縄国際大学にヘリが墜落する事故が起きましたけれども、ああいった事故がこのクリアゾーンないしAPZの中で起きた場合、これは大変なことになるなというふうに感じました。恐らく、そのときは日米安保体制というものは吹っ飛ぶんじゃないでしょうか。沖縄県民の猛反発を受けて私は吹っ飛ぶ可能性が非常に高いと思います。それだけ今、この特に普天間基地周辺の住民の皆さんのストレスのレベルは異常な高まりです。ですから、何とかしてこの普天間の移設については一日も早くしなければいけない、私はそう思います。  この普天間基地の視察後に辺野古にも参りました。キャンプ・シュワブ沖の移設予定地も見てまいりました。さらに、関係する市町村長さんにもお会いしまして、率直な思いを承ってまいりました。  その上で私は、今日はここで最後に、与野党の枠を超えてちょっと申し上げたいと思うんですが、政府立場でもこの普天間基地の移設、移転に関しては非常に御苦労されていらっしゃると思います。その御苦労というのは多分、まずはアメリカとの調整、交渉、これも相当大変でしょう。一方で、沖縄県内における市町村に対する説得、これも相当大変だと思います。そこの優先順位の判断というものを日々外務大臣防衛大臣は迫られていらっしゃるんだろうと。その御苦労に大変敬意を表し、共感するわけであります。  その上で、私自身の思いを申しますと、やはり普天間飛行場の移設、移転というものは、いろんな御意見があることは承知していますが、それらを踏まえてもやはり最優先すべきではないんでしょうか。いろんな自治体の御意見があるのは分かります。米軍にも様々な事情があるのも分かります。しかし、邦人の生命の保護という観点から、これは何にも増して優先しなければならない課題だと私は感じて帰ってまいりました。  これに対して、外務大臣防衛大臣からそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  279. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたけれども、私も委員と同様に、普天間基地、また辺野古地区を視察させていただいて、また、知事さん始め市町村の首長さんたちとも意見交換させていただきました。  何よりもこの普天間の場合、私は、たしか嘉数高台公園からだったと思いますけれども、この状況を見まして、先ほど申し上げたとおり、本当に一日も早くこれを移転して、この地域の皆さんにそういう御不安がないようにしなければいけないと、そういうふうに感じてきたところでございます。  長い歴史があって、いろいろな議論が行われた結果、もちろん県外へというのが県民の皆さんの一番のそれは御希望だとは思いますけれども、いろんな事情の結果、辺野古地区ということになったわけでありまして、また、そちらの地区にはそちらの地区でまたいろいろなある意味では御迷惑とかいろいろな問題も発生するとは思いますが、この普天間のことを考えますと、地域の住民の皆さんのことを考えますと、委員と同じように、これを早く移転させるということ、そして先ほど、次にもし事故があったらというお話ありましたけど、これはもう当然あってはならないことで、米軍にも強く申入れしておりますが、そういうことも考えますと、これは早く移転を実現しなければと思っております。
  280. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) この状況を見れば、だれが見てもこれは早くというのは当然のことであろうと思います。  ただ、我々とすれば大変大きな問題を抱えているわけでありまして、まさに米軍そして我々自衛隊というものの存在というものの内容というか位置付けというものがそこにあるということもございます。ですから、もう一刻も早くこれをやりたいという思いはあるわけでありますが、いずれにしても、我々どこかで、今先生がおっしゃったように、与野党の壁を越えてというお話がありましたが、それをどのように我々としては使ってやっていくのかということが大変大きな議論になるのではないかなというふうに思っておるところであります。  ですから、口先だけで早くした方がいいと言うのは、もうこれは私でも今言えるのでありますが、しかし、実際にこれを動かすということになれば、これはそれなりの我々の腹のくくりというのがなければならないというふうに思いますので、そこは軽々に私も物事を言えない立場でありますが、ただ、先生のおっしゃるということは私どもも十二分によく分かっておりますが、はい、じゃここは少し右に移しますということにはなっていないというところに、これまでの時間の掛かっていることがあると思います。  ですから、沖縄の皆さん方の思いというのを我々常にいつも重く感じておるところでございますし、山内先生はいつも私に対して大臣らしくないということをおっしゃるわけでありますけれども、それは私なりに日々ずしっと重みを感じながら、この問題どうしたらいいのかというのを考えておるところでございますし、また、先生のおっしゃったように、やはり大きな議論を是非していただければなというふうに思っておるところであります。
  281. 風間直樹

    ○風間直樹君 ありがとうございました。  終わります。
  282. 藤田幸久

    藤田幸久君 民主党の藤田幸久でございます。  時間がずれた関係で、通告をしておりました重立って三つの項目がございますが、順番を入れ替えさせていただきまして、最初にスリランカ、続いて北方領土、そして最後に日米同盟ということで、浜田大臣、出番は後の方になりますので、前半はリラックスということでお願いをしたいと思います。  まず、スリランカの件でございますが、一昨日、私、質問をさせていただきましたが、それに対して中曽根外務大臣の方から、非常にこれは一般住民の大きな被害にもかんがみ、非常に危険性があるので、関係国に働きかけると答弁していただきましたが、この四十八時間の間にもいろんな動きがございます。  そこで、具体的にどのような対応を取られたのか、とりわけスリランカ政府への働きかけ、どういう働きかけを行ってこられたのかについてお答えいただきたいと思います。
  283. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) もう委員は十分御承知のとおり、スリランカにおきましては、四月の二十日以降、スリランカの政府軍がLTTE支配地域からの脱出ルートを設けましたことによりまして、少なくとも九万五千人を超える一般市民が政府側支配地域に脱出したと、そういうふうに承知をしております。  我が国は、スリランカ北部の一般市民の安全を確保するためには、スリランカ政府が一時的な停戦を実施するのみならず、やはりLTTE側が一般市民の解放に応じることが不可欠であると、そういうふうに考えているところでございます。  このような考えに基づきまして、二十一日及び昨日、二十二日に四共同議長国間で協議を行いまして、スリランカ政府及びLTTEに対しまして一般市民の安全確保、それから国際人道法の尊重を働きかける、そういう内容の共同議長声明を速やかに発出すべく、現在調整を進めているところでございます。また、このような趣旨の内容外務報道官談話を今朝、午前中に発出をいたしまして、我が国独自の働きかけを行ったところでございます。
  284. 藤田幸久

    藤田幸久君 たまたまここに風間さんがお配りした普天間の写真がございますが、これ実は九万人でございます。ここにこれだけの施設ということで、私、たまたま今イメージでスリランカのことを思っておりますが、大体九万人、それだけの一般住民が両方の勢力の間に結局閉じ込められてこういう状況にあるんだと、一般の市民が。かつ、こういう市民に対して重火器を使っていると。重火器を使っているということは、これ戦争犯罪だと。重火器を使っているという映像がアメリカの国務省から関係諸国に送られていると。で、少なくとも英国政府はそのアメリカの国務省が送った衛星写真を受け取ったという話をたまたま知っておりますが、日本政府はそのアメリカ政府からの衛星写真を受け取っておられますでしょうか。
  285. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  286. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
  287. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 衛星画像を受け取ったかどうか、私自身、大変申し訳ございませんが今承知しておりませんので、参考人もおりませんので、調べてまた御報告させていただきたいと思いますが。
  288. 藤田幸久

    藤田幸久君 それは問い詰めるつもりじゃございませんで、常に今回いろんな人権団体、国際赤十字、アメリカ政府等々からもうリアルタイムで二十四時間情報が来ていると思いますので、私どもでもすぐアクセスができる、そういう被害状況が出てきておりますので、積極的にそうした情報を取りながら対応していただきたいということを申しておきたいと思います。  続きまして、北方領土問題、谷内政府代表の問題に移りたいと思いますけれども、質問通告をしておいた内容はほとんど谷内さんに聞きたいと思っておりましたが、その谷内さんが逃げられてしまいまして、大臣にお伺いしますので、いわゆる質問通告以外の質問が出ると思いますけれども、その大きな意味での質問通告の範囲内でございますから、大臣の方で柔軟に率直にお答えをいただきたいと思います。  まず、谷内政府代表でございますが、ここに今日の参考人のリストがございます。済みません、資料がたくさんあるんで埋もれているかもしれませんが。要するに、たくさん並んでいる政府参考人の中の谷内さんのところが真ん中より下の方に出ておりますが、その肩書は「当面の重要な外交問題に関し、関係国政府等交渉するための日本政府代表」と書いてあるんですね。そういう立場の谷内代表でございます。日本政府代表。  そして、おとついの中曽根さんの答弁で、この谷内日本政府代表というのは自分の指揮監督下にあると。で、政府参考人として当然出るべき人でありますから、おとつい出なかったわけですから、これは事務レベルではなくて指揮監督、つまり事務次官も経験された人以上の人というのは中曽根大臣しかいないと思いますから、大臣から直接指揮をして、これは今日の委員会に出るようにという指示があってしかりだったと思いますが、大臣の方から指示は出さなかったんでしょうか。
  289. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 国会からの委員会への出席の御要求があるということは承知をしておりまして、私も事務方に、谷内政府代表にその旨を伝えるようにと指示をして、事務方から伝えたところでございます。
  290. 藤田幸久

    藤田幸久君 そうすると、大臣の意思だということは谷内さんに伝わったと理解してよろしゅうございますね。
  291. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 結構でございます。
  292. 藤田幸久

    藤田幸久君 では、政府代表として政府参考人である谷内さんが、国会出席以上の理由があって今日は国会に出頭していないと。ということは、そういう理由があるということを結果的に大臣もお認めになったということですね。
  293. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 私が承知しておりますのは、谷内代表から、たしかおととい帰国でございますが、昨日の今日のことでございますが、米国帰国後に伺った急な話でありますが、今日のこの二十三日は、前からの予定しておりますある会社の取締役会に出席をするために地方出張しなければならない、そういう要件が米国に行く前からあったということで、帰国翌々日ということで調整といいますか都合が付かないと、そういうように返事があったと私は聞いておるところでございます。
  294. 藤田幸久

    藤田幸久君 急な話は我々も同じでございまして、政府参考人、常に急に国会に出ると。我々も国会、委員会に出ると。  要は、そういう個人的な理由が、政府代表として閣議で決定された人が、国会にそういうことで政府参考人として出るべきところ以上の理由があったということを大臣が認めない限りは、国会に、この場に座っているんじゃないでしょうか。大臣が認めたということをお認めになりませんか。
  295. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 谷内政府代表は、もちろん大変重要なポストであり、重要な仕事をやってもらうということで就任をしてもらっているわけでありますが、これは非常勤で無報酬の政府代表ということで、他の職業も兼務していいということになっておりますが、そういうことで他の仕事もやっていると。そういうことを前提として政府代表には就いてもらっているわけでございますが、外務省といたしましても、そういう訪米前からの日程ということを聞きまして、今日の国会出席は困難であるという、そういう事情、私自身は理解をいたしました。
  296. 藤田幸久

    藤田幸久君 したがって、今後は政府代表という肩書がある方であっても、非常勤であれば、ほかの個人的な理由があって事前の日程があれば国会に出なくてもいいという既成事実が確定したというふうに認識をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  一昨日、日本に帰られたということですけれども、当然のことながら、私の理解では、十七日に欧州局長が電話をされ、二十日に中曽根大臣が電話をされて、おとつい聞いた限りでは十分事情を聞いておられなかった。おとつい帰ってこられたわけですから、昨日直接、詳細にわたって事情聴取をするべきだったと思いますが、されましたんでしょうか。
  297. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 私、衆議院の委員会、二十日でございますけれども、衆議院の決算行政委員会で、委員の方から谷内政府代表と一日も早く、一刻も早く話をすべきだと、そういうような御意見もございました。私は、帰国直後、いわゆるおとといの夕刻になるんでしょうか、帰国直後にお会いをして話を聞こうと思っておりましたけれども、そのような衆議院で、委員会での御意見もあったものですから、その日のお昼前に、午前中の委員会でしたけれども、委員会休憩になって直ちに私は電話をしてこの事情を聞いたところでございます。
  298. 藤田幸久

    藤田幸久君 質問に答えてください。  電話で話されたけれども十分じゃないという答弁を私にされているんです、その衆議院の委員会の翌日、おとつい。したがって、その後、谷内さんはおとついの夜帰られたわけですから、昨日一日日本にいるわけで、東京にいらっしゃったわけですから、外務省として当然詳しく事情を聞くべきだったのではないですかと聞いているわけです。
  299. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 一番大事なのは、谷内政府代表の発言の内容が本当にそういう発言だったかどうかということでございますが、この点につきましては、私から既にそういう電話で話も聞いているわけでありまして、さらに、本人に会ってもう一度聞く、そのような必要はないとそのときは判断したところでございます。
  300. 藤田幸久

    藤田幸久君 必要がないのであれば詳細にお答えをいただきたいと思いますけれども、御本人も認められているようですが、毎日新聞の、今日もお配りしていますけれども、おとついも配りましたが、新聞の記事は、テープを取ったインタビュー記事であります。谷内さんはテープを持っていないということであります。ということは、テープを基に毎日新聞が言っていること以上に谷内さんの方が正確であるという裏付けはどこにあるんでしょうか。
  301. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) それは、裏付けといいますか、私は毎日新聞の方からこの記事を取り寄せ、記事といいますかテープなりを聞いたわけでもありませんし、それから、谷内政府代表から話は聞きましたけれども、私からすれば、谷内政府代表がそのような発言はしていないと、そういうことでありましたので、それ以上、一言一句発言を彼から聞くということは行いませんでした。
  302. 藤田幸久

    藤田幸久君 これ、政府代表が日本の新聞の一面に書いたことでありまして、谷内さん自身の方も誤解だ誤解だとおっしゃっている。少なくとも、ある新聞に関しては、この記事は捏造だとも言っていらっしゃる。そのことについて一字一句聞かずに、片っ方はテープを取っているのに対して、谷内さんが言っていることが正しいという裏付けなく、それをうのみにして、じゃ、大臣はここで答弁をされているんでしょうか。
  303. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 谷内政府代表自身は、三・五島返還でもいいのではないかと考えていると、そういうふうには言っていないと、そういうふうに述べているわけでありまして、また全体の発言の中で誤解を与えるそういう発言があったかもしれないと、そういうふうに述べているわけでありまして、この記事の方が誤報であるとか、あるいは彼が間違った記憶といいますか、ということとかということではなくて、私自身は、政府の基本的な考えというものがありますから、彼自身はそれから外れているということではなくて、言っていないということでございましたので、例えば新聞社に対しても私どもの方から抗議をするということなどは行わずに、このインタビューに関する谷内政府代表の説明ぶりとともに政府立場をお伝えをしたということでございます。
  304. 藤田幸久

    藤田幸久君 前回も、おとつい申し上げましたが、ロシアのかなり有力な新聞に谷内さんがそういうお話をされたということが報道されたということをお伝えをいたしました。  それから、今日お配りした毎日新聞以外に二つ新聞がございますけれども、一つは、これ産経新聞の二〇〇七年の三月二十二日、これ、谷内さんが外務事務次官のときですけれども、要するに谷内さんの発言もあって、四島返還要求を公式に放棄する意向を固めたものととらえていると、アンダーラインを引いてあります。  それからもう一つ、これは朝日新聞の今年の二月十九日のものですけれども、これも麻生総理が今年の首脳会議で、結局、この毎日新聞で谷内さんが言っている同じようなことを既におっしゃっておられて、これに当時の外務事務次官で麻生発言の振り付け役との見方もある谷内政府代表が同行したというふうに書いておられます。  これ以外にも、今まで谷内さんと麻生さんがおっしゃっていることとほぼ同じことがこの毎日新聞の記事に出ています。この毎日新聞の記事の下の方にちょっと手書きのものが出ていますけれども、これ麻生さんが〇六年に衆議院の委員会で答弁したこととか、今年の二月のサハリンでの日ロ首脳会談でおっしゃったこと、ほぼコピーのようにおっしゃっているんですね。  ですから、これたくさんほかにも記事ありますけれども、今まで谷内さん、麻生さんがおっしゃっていたことをほぼ同じくおっしゃっているのがこの四月十七日の毎日新聞でありますけれども、にもかかわらず、テープも取っているのにもかかわらず、それ以上に谷内さんが言っている方が正確で、毎日新聞がこれ誤解だと言っているやっぱり根拠を示さないと、これどんどんどんどん発信されているんですよ。  これ止めないと、私は外務大臣としての監督指揮が機能しないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。これ止めないで、そのまま続けさせるんでしょうか。
  305. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 今ロシアの新聞のことですか、委員からお述べになられましたけれども、この記事の内容ロシア国内で報じられているということは私も承知をしておりますが、北方領土問題に関する我が国の立場につきましてはロシア側には明確に伝えてきておりまして、ロシア側が誤解をするということはないと、そういうふうに思います。総理も私も官房長官も、谷内氏のこの新聞記事が出ました以降、日本政府の従来からの立場というものをまた明確に発言をしているということでございます。  それから、総理の御発言と同じような発言であるというようなお話でございますが、政府といたしましては、とにかく北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結すると、そういう基本方針の下に北方四島の返還を実現していくということで今働きかけをやっているわけでありますが、そういう中で北方四島の我が国への帰属、これが確認されれば実際の返還の時期やその対応については柔軟に対応するという考えでありまして、麻生総理の発言は従来の日本側の立場を述べたものと私は理解をしているところでございます。
  306. 藤田幸久

    藤田幸久君 今総理の話が出てまいりましたが、政府代表で外務大臣の直接指揮監督下ということをおっしゃっていますが、実際に谷内政府代表の執務室は総理官邸の四階ですか、にございますですね。その事務所で、谷内政府代表の部屋の大体事務官は何人ぐらいで、どの省庁からその事務官、官邸の中に来ていらっしゃるんでしょうか。
  307. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 秘書が一人いるということでございます。
  308. 藤田幸久

    藤田幸久君 それから、麻生総理から直接谷内政府代表に、当然官邸の中に事務所があるということは、かなり直接しばしば指示があるということでしょうか。
  309. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 委員もう十分御承知のとおり……
  310. 藤田幸久

    藤田幸久君 いや、十分知りません。
  311. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 政府代表は、外務公務員法、これにおきまして、これは国家公務員法の規定が準用されて、上司の命令には服すべしと、そういう義務があるわけでありますが、この政府代表は、それに加えまして、日本国政府を代表して特定の目的を持って外国政府交渉し、また国際会議若しくは国際機関に参加をして、また若しくはこれにおいて行動すると、そういうふうになっておりまして、外務大臣の所掌に属する任務を行うものであるということなどから、基本的には外務大臣である私の指揮監督下で職務を行うということになっているところでございます。
  312. 藤田幸久

    藤田幸久君 イエスかノーかでお答えください。  麻生総理からの直接指示はあるのかないのか、お答えください。
  313. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 私の指揮監督下にありますけれども、他方、この政府代表は外務大臣の申出によってこれは内閣によって任命されると、そういうポストでございます。そういうことや……
  314. 藤田幸久

    藤田幸久君 それは存じています。答えてください。
  315. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) それから、その任務の内容にかんがみまして、個別の事案については内閣総理大臣の直接の指示を受けるということも十分あり得ることだと、そういうふうに考えています。
  316. 藤田幸久

    藤田幸久君 その総理大臣からの指示が、外務大臣が知らないところでの指示も今までございましたか。
  317. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 私の知らないところでの指示を私が知っているかというのも、ちょっとよく分からない。
  318. 藤田幸久

    藤田幸久君 いや、結果的に分かったことは、例えば今回のことも後で分かったんじゃないでしょうか。  つまり、谷内さんがこういう発言をし、かつ安倍前総理アメリカに行っていらっしゃり、かつ今プーチン首相が来日をする直前であり、今外務省局長がモスクワに行っているという時期にこういう動きをされているということは、結果的に後で分かったんじゃないでしょうか。
  319. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) この毎日新聞の取材というものを見て、私もそれでマスコミからの話もあって知ったわけでありまして、今委員がおっしゃいましたようないろいろな環境、そういうものとは、偶然のことではないかなと、私はそういうふうに思います。
  320. 藤田幸久

    藤田幸久君 領土の話、さっき大臣が触れられましたが、いわゆるこの面積等分案というものの利点はどんなところにありますでしょうか。
  321. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) まず、政府として、そういう面積等分案のようなものを、考え方というものを検討している、そういう事実はまずないということをはっきり申し上げておきたいと思います。  先ほどから申し上げておりますように、まず我が国固有の領土である北方四島の帰属、これの問題を解決して、繰り返しになりますが、ロシアとの間で平和条約を締結しようと、そういう基本方針でございまして、面積等分案について検討したり、あるいはそういうことを考えているということではございません。
  322. 藤田幸久

    藤田幸久君 検討云々じゃなくて、少なくとも言及されたのは、麻生総理日本総理として初めてでしょうか。これは前回も質問したんですが。
  323. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 麻生総理は、面積等分による問題の解決策に言及したことはないということでございます。  今朝のこれは、衆議院の方のこれは……
  324. 藤田幸久

    藤田幸久君 長島昭久さん。
  325. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) ソマリアの海賊対策の委員会総理がお述べになられました。
  326. 藤田幸久

    藤田幸久君 じゃ、ちょっと違った観点ですけれども、国家にとっての三要件とありますが、三つ、何でございますでしょうか。
  327. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 領土とそれから国民とそれから統治機構、統治組織ですか、であると思います。
  328. 藤田幸久

    藤田幸久君 おっしゃるとおり、領土が一番先に出てまいります、国際法で。かつ、国際法の定義を見てみますと、領土に関しては面積の大小を本質的要件としないということでございまして、ですから、いわゆる何%という話じゃないというのが多分国際法上で言うところの領土の本質的な問題だろうと思いますけれども、麻生総理も谷内さんも随分今までこの等分論について実際にこの毎日新聞を含めておっしゃっているわけですけれども、仮に、検討しているしていないということをおっしゃっていないと仮に見た場合であっても、もし四島返還ではなくて、この面積等分案でいきますと、結局その半分の面積を返還を求めることを永久に求めたということに結果的になるんじゃないでしょうか。
  329. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 総理もそれから私どもも政府もそのような考え方は持っておりませんから、これは先ほどからの繰り返しになりますけれども、四島の、我が国の固有の領土である四島の帰属の問題をまず確定して、その後柔軟に返還の時期とかやり方とか決めるということで、これは一貫しておるところでございます。
  330. 藤田幸久

    藤田幸久君 ただ、実際に麻生総理は面積を折半すると三島プラス択捉で二五%というふうなことは何回も、これ委員会でも、参議院でも高野博師議員の質問とか答えているんですね。  これがいいか悪いかは別にしまして、これでいきますと、例えば竹島とか尖閣列島の問題にも影響を与えてしまうし、結局四島返還、北方領土に関していえば、の道を閉ざすということに理論的になりませんか。
  331. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 今朝ほども麻生総理が衆議院の委員会でお述べになられておりましたけれども、貴党の前原委員から、これはもう二〇〇六年の委員会のときのやり取りのようでございますが、前原委員が半分は二島じゃないんですということで半分という言葉を持ち出され、それに対して麻生、当時は外務大臣ですか、その面積についての解説をされたということでございまして、一貫して総理は、このような面積等分による解決策、こういうものに言及はされていないということでございます。
  332. 藤田幸久

    藤田幸久君 今日お配りしていますこの朝日新聞、今年の二月十九日の右側に、麻生首相の北方領土をめぐる発言というので幾つか事例が出ていますけれども、それを採用するかどうかということは別にして、この比率になるという話は、前原委員質問にも、高野博師委員質問にも、それから二月六日の記者会見でもおっしゃっていますよね。ですから、採用するかどうかは別にして、その理論というものはこういうものだということはおっしゃっているんですよね。  ちょっと時間がないので。したがって、多分、こういったことをおっしゃったということに関しては麻生総理が歴代の総理で初めてでございますね。イエスかノーかでお答えください。
  333. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 事実関係について述べられたということで、先ほどからの繰り返しになりますが、これが解決策ということで言及されたということではないということでございます。
  334. 藤田幸久

    藤田幸久君 その事実関係が、したがって、先ほど申しておりますような竹島や尖閣列島問題、その理論でいけばつながってしまうということをまず確認をさせていただきまして、数分しかないので次の質問に移りますが、先ほど来外務大臣は帰属ということをおっしゃっていますけれども、帰属ということはそもそも北方四島が我が国固有の領土であるということを認めていないということになってしまうと思うんですね。  これは、一九九三年東京宣言ですか、エリツィン大統領が来日をされて細川首相とお会いになったときの東京宣言で、この北方四島を歴史的、法的事実に立脚し、両国間で合意の上作成された諸文書、法と正義の原則を基礎として解決し平和条約を締結する。これは帰属以上に我が国固有の領土だということなんですけど、帰属というふうになっちゃうとこれから後退してしまうんですけど、よろしいんでしょうか。
  335. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) この東京宣言、一九九三年の、これは択捉島、国後島、色丹島及び歯舞諸島の北方四島の島名を列挙して、そして北方領土問題をこれらの諸島の帰属に関する問題であると、そういうふうに位置付けるとともに、この問題を歴史的、法的事実に立脚し、そして両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決するという、そういう明確な交渉指針を示した文書でございますが、政府といたしましては、この東京宣言を含めましてこれまでに達成されました諸合意それから諸文書に基づいて、また、これまでの交渉も踏まえまして北方領土問題の最終的解決に向けて今後も交渉を進めていくと、そういう考えでありまして、我が国といたしましてはこれはもう固有の領土という、そういうもう当然のこういう前提でございます。
  336. 藤田幸久

    藤田幸久君 私がこういうことを申し上げておりますのは、実際にかなりロシアに最近は、言葉は悪いですが、やられっ放しといいますか譲りっ放しということが多いと思いますが、今朝の新聞に出ていますけれども、二十三日から札幌市で開催の二〇〇九年北方四島交流代表者会議に北方四島の出席者が三名、日本政府がビザを発給して、おとついですか、成田空港に到着をしたと。  そうすると、北方領土は日本の固有の領土と今おっしゃいましたけれども、日本からしますと不法占拠をして実効支配しているロシア人に入国ビザを与えたんですね。これは数年前からのビザなし交流があって、日本から行く場合には去年の十月も拒否をされているんですね、出入国カードを提出を要求されて。にもかかわらず、今度は入れてしまったということは、向こうから入ってくるのは両方で入れて、こちらからは一つのやり方でしか入れないという、これはダブルスタンダードじゃないですか。
  337. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) これは四島交流代表者間協議ですか、これが行われたわけでありますけれども、この協議に参加をしております四島側代表の訪問に際しては、これは御案内のとおり気候条件等の理由から四島交流の枠組みを用いて船舶によって北方四島から北海道本島を訪問することが不可能であると、そういうことが判明しました。そして、そのためにこの四島交流を円滑に実施するための例外的な措置としてこれはサハリン経由で来訪する、そういう本件協議への参加者に限りビザを発給するということにしたわけでありまして、四島からでなくてサハリンを経由してきたということでビザを発行したということでございます。
  338. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 藤田幸久君、時間が来ておりますので、おまとめください。
  339. 藤田幸久

    藤田幸久君 最後に二つ要請をして質問を終わらせていただきたいと思いますが、一つはこのままでほうっておきますと、谷内さんと毎日新聞の間、続けば国益に反すると思います。したがって、しっかり調査をしていただいて、決別をはっきり付けていただきたいと思います。  それから、次に国会で要請があった場合には当然のことながら出席ということを直接の、直接管理者であるところの大臣から確約をしていただきたい。  二つお願いをしたいと思います。で、質問を終わりたいと思います。  お答えがあれば。
  340. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 中曽根外務大臣、答弁はいいですか。
  341. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) この件につきましては、委員また委員会からの御要望も承りながら今後検討していきたいと思いますが、しかし、先ほど申し上げましたけれども、外務公務員でありますので私の指揮監督下にありますけれども、やはり非常勤、それからまあ無報酬は別としましても、非常勤でありますし、兼職が前提となっておりますので、そちらの部分につきましては日程等また難しいところもあろうかと思いますが、委員の今のそういう御意見というものは本人にも伝えていきたいと思います。
  342. 藤田幸久

    藤田幸久君 是非、であるならば罷免をしていただきたい、そういう方では務まらないということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  343. 井上哲士

    井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  最初に、一年前にも取り上げましたアメリカ兵の私有車両、いわゆるYナンバー車の車庫証明について聞きます。    〔委員長退席、理事浅尾慶一郎君着席〕  自動車登録に当たっては車庫法に基づいて車庫証明が添付が必要です。政府は一九九八年に米兵といっても法律適用の除外は認められないとして基地の内外を問わずYナンバー車の登録については車庫証明の添付がなければ認めない旨の通達を発出をしております。その後も法律に反する状況が見られまして、二〇〇四年の七月二十日の日米合同委員会で保管場所が基地の外にある車両については車庫証明を添付するということが日米間で合意をされております。  ところが、この合意が守られてないということを一年前にも指摘をいたしました。  まず、国土交通省にお聞きいたしますけれども、全国のYナンバー車の保有数、それから今年の一月から三月の間にYナンバー車の登録台数及びそのうち車庫証明が付いている台数について全国それから沖縄、それぞれ答弁いただきたいと思います。
  344. 内藤政彦

    政府参考人(内藤政彦君) お答えいたします。  まず、Yナンバー車両の保有車両数、アメリカ合衆国の軍隊の構成員若しくは軍属又はそれらの家族の私有車両でございますが、平成二十年度末現在十一都県で登録がなされ、その総数は五万五千九百九台でございます。  それから、本年一月から三月の登録申請時に保管場所証明書が添付されているYナンバー車両の台数でございますが、まず全国の方から、本年一月につきましては、総登録台数二千百五十台中二百四十六台、二月が総登録台数二千六十三台中二百三十三台、三月が総登録台数二千四百九十七台中三百三台でございます。また、沖縄県陸運事務所の管轄区域におきましては、本年一月が総登録台数一千四十台中五台、二月が総登録台数一千五十四台中四台、三月が総登録台数一千百九十九台中十台でございます。
  345. 井上哲士

    井上哲士君 全国で足しますと、六千七百十台のうち添付されているのが七百八十二台ということになります。  米兵の基地外居住というのは全国的に三割なのに、車庫証明は一割程度しかないというこの傾向は一年前とほぼ基本的に一緒ですね。しかも、沖縄の場合は、昨年は三千三十九台の登録に対して車庫証明添付はわずか四件でした。今回は三千二百九十三台の登録中十九台と、極めて少ないということもこれまた変わっておりません。  外務省にお聞きしますけれども、この一年前に質問した際に、この沖縄の少なさについては米側に事実関係を照会しているという答弁がありました。にもかかわらず、こういう変化が起きていないということはどういうことなのか。かつ、基地内の車の取扱いについては、二週間に一回協議することになっている日米合同委員会の特別分科会が二〇〇四年の八月以降開かれていないということも明らかになりましたけれども、その後、この協議がどう行われて進展しているのか、お答えください。
  346. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 平成十六年七月に、車両の保管場所が米軍施設・区域外にある場合について、米軍関係者が私有車両を登録する際、自動車保管場所証明書、いわゆる車庫証明書を取得することで日米間で合意をいたしました。  その際、車両の保管場所が施設・区域内にある場合の取扱いについては引き続き協議を行うことといたしましたが、日米間に意見の隔たりがあるというようなことから集中的な協議が困難となり、平成十六年八月三十一日以降、日米合同委員会合意の下での本件に関する特別分科委員会そのものは開催をされておらないということでございます。  他方、本件につきましては、昨年以降も様々な非公式の場において協議を行ってまいりました。さらに、特別分科委員会での正式な協議を再開すべく、合同委員会本体においても米側に対して申入れを行ってきております。  政府としては、関係法令に沿った対応が実現するよう引き続き米側との協議を行っていく考えでございます。
  347. 井上哲士

    井上哲士君 沖縄が極めて少ないという点について米側に事実関係を照会していると一年前に言われましたけれども、その後どうでしょうか。
  348. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 沖縄におきまして、登録台数全体に対して施設・区域外にある保管場所の登録件数が少ないという点については、こちらからの照会に対し、米側は、平成十六年の日米合同委員会合意に基づいて必要な登録を行っているというふうにしておりますけれども、政府としては米側に対し更なる事実関係の照会を行っているところでございます。  いずれにしても、外務省としては、関係省庁と連携の上、引き続き協議をし、この平成十六年の合意が確実に実施されるように対応していきたいというふうに考えております。
  349. 井上哲士

    井上哲士君 沖縄でも基地外居住が増えているということは去年も質問いたしましたけれども、にもかかわらず、三千台の登録がありながら十九台しか車庫証明が付いていない。どう考えてもおかしいんですね。  去年私が質問した直後に、この問題で沖縄県知事が記者会見をされておりまして、合同委員会で決めても余り実行されないような決め方をしているのかフォローしたいと、強烈に不公平感が募ると、ここまで言われているんですね。  当時の高村大臣も合意が守られているか疑問だと認められて、これが守られるように努力をしてまいりたいという答弁をされたにもかかわらず一年間何も変わっていないということでありますけれども、なぜこういう事態なのか、これでいいのか、外務大臣、いかがでしょうか。
  350. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 今御答弁、参考人の方からいたしましたように、政府としては米側に対して更なる事実関係の照会を行っているところでございますが、いずれにいたしましても、外務省としては、関係省庁とやはり連携をしながら引き続いて米側と協議をしていきたいと、そして平成十六年の日米合同委員会の合意が確実に実施されるように適切に対応していきたいと、そういうふうに思っています。
  351. 井上哲士

    井上哲士君 結局、一年間何も変わっていないわけです。基地外にあるにもかかわらず基地内にあるかのようにして登録しているとすれば、これはもう虚偽であるわけで、つまり日本の法律も、そして日米間の合意すら守られていないと、こういうことが起きている下で沖縄でのいろんな問題があるわけですね。  様々な重大な基地被害がもたらされてきたわけですが、その一つに環境の問題があります。危険物や有害物質の投棄、油の流出など、基地外で発生して分かる場合もあるわけですが、基地内で発生しますと外からなかなか分からないという実態があります。米軍から跡地返還をされたと思ったら、土壌が汚染されて使い物にならないという事態も数々発生しておりまして、周辺の住民の健康被害の不安もありますし、仮に返還をされてもその処理を余儀なくされる、耐え難い被害です。  例えば平成八年に発覚した恩納通信所跡地の事件では、汚泥からPCB、カドミウム、鉛、砒素、これが検出をされ、基準値を超えるものも含まれておりました。    〔理事浅尾慶一郎君退席、委員長着席〕  外務大臣にお聞きしますけれども、こうした過去の数々の事例を見ますと、日本には環境基準があるにもかかわらず米軍の駐留の下でそれがないがしろにされて、我が国、特に沖縄の環境が汚染をされてきたということでありますが、このことについての大臣の率直な所見をお聞きしたいと思います。
  352. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 環境保全の対応については、在日米軍は、我が国の国内法上の基準と米国の国内法上の基準のうちより厳格なものを選択するとの基本的な考え方の下に、環境管理基準、いわゆるJEGSを作成いたしまして、これに基づき厳格な環境管理行動を取っているとは承知しております。  また、二〇〇〇年九月に開催された2プラス2の機会に発表された環境原則に関する共同発表において、「米国政府は、在日米軍を原因とし、人の健康への明らかになっている、差し迫った、実質的脅威となる汚染については、いかなるものでも浄化に直ちに取り組むとの政策を再確認する。」こと等を確認しております。これは当然のことながら、米軍はこうした方針に基づき環境汚染を招かぬような行動を行っていると承知しています。  そうした中で、委員指摘のいろいろな事件、油漏れ等の事案が生じた場合には、それは誠に遺憾なことであると考えておりまして、そのような際には必要に応じて政府として施設・区域への立入調査を行うとともに、原因究明、再発防止を強く申し入れてきております。  いずれにいたしましても、環境汚染はあってはならないことでございますので、政府としては引き続き、日米合同委員会の下に設置された環境分科委員会の場で環境汚染を招かぬようにアメリカ側にしっかり要請し、また協議を続けていく考えでございます。
  353. 井上哲士

    井上哲士君 在日米国海兵隊のホームページを見ますと、ジルマー司令官の名前と写真入りで環境方針という文書が載っております。その中に、今言われた、日本環境管理基準を遵守しますというふうに確かに書かれているんです。  ところが、実際はどうなっているか。先日、委員会沖縄に行った際も、宜野湾市からいただいた資料にも載っておりますけれども、つい先日、今月の初めにアスベストが捨てられていたという事件すら起きているわけですね。つまり、幾らこういう基準を持っていても、こんなアスベストを使って投棄をしているということになると、こんな内規があっても環境を守るということは難しいということになるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  354. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) アスベストについては報道等で承知をしているわけでございますが、現在、米側に対して情報収集を行っているところでございます。引き続き、米側、関係省庁と連携しつつ、適切に対応していきたいというふうに考えております。
  355. 井上哲士

    井上哲士君 そういう中で幾つも事件が起きているんです。しかも、基地内の有害物質漏れなどの汚染が明るみに出るというのは、基本的にはアメリカ軍が公表したものだけなわけですね。  まず聞きますけれども、日米合同委員会では、この基地の中の汚染事故についての公表のルールはどのように定めているでしょうか。
  356. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 平成九年三月の日米合同委員会の合意では、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合、米側は事件、事故発生情報を得た後、できる限り速やかに日本側、東京では外務省、現地では防衛局に通報することになっております。  また、米側から通報のあった事案につきましては、関係省庁との間で情報共有を行うとともに、防衛局から県及び関係市町村に対して情報提供を行うということになっております。  今後とも、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合には、ただいまの合意に基づきまして適切に対処していきたいというふうに考えております。
  357. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、これを公表するかどうかという判断は米側がすると、こういうことでよろしいですか。
  358. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) まさに、この施設区域内で公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事件、事故が発生した場合というのは、通常米側が先にそれを知ることとなるわけでございますので、一義的には米側が判断をして私どもに通報してくるということになっております。
  359. 井上哲士

    井上哲士君 ですから、結局、公表の基準というのはアメリカの判断次第だということなんです。その下でどうなっているのかと。  普天間基地に関してお聞きしますけれども、一九九九年以降、普天間基地で発生した汚染物質の漏出事故、アメリカ軍から外務省及び自治体への通報ベースでは何件あるでしょうか。
  360. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 外務省として承知をしておりますのは、この平成九年三月の合同委員会の合意以降、普天間飛行場における燃料漏出に関係する事案として、平成十四年四月十七日に発生した燃料タンク落下事案、同年七月二十六日に発生した燃料漏出事案及び本年三月三日に発生した燃料漏出事案の三件を承知をしているところでございます。
  361. 井上哲士

    井上哲士君 岩波の専門誌の「環境と公害」という本の二〇〇八年の冬号に、大妻女子大の林先生という方の論文が掲載されております。  この中で、米軍に情報公開請求を掛けた結果、普天間基地の汚染物質の漏出事故の実績が記述されておりますけれども、そこで出ているだけでも九九年から二〇〇六年までに十八件発生しているんですね。ところが、今ありましたように、外務省には今三件しか来ておりません。宜野湾市に聞きますと、一件も通報はないという話なんですよ。同じようなことが横田基地でも起きているということを国会でも取り上げておりますが、つまりアメリカが判断をするということですから、これは必要ないといえば通報していないわけです。  つまり、現状では日本が知り得ない事故がたくさんあるということになっているわけで、私はこれは放置すべきでないと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
  362. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 今の委員が御説明になられました九九年から二〇〇六年までですか、私どももこの報道については、報道といいますか、これについては承知しております。多少件数が違うところがございますけれども。  米側から日本側へのこの通報につきましては、実質的な汚染が生ずる相当な蓋然性がある危険物、それから有害物の流出、漏出等が発生した場合には、平成九年三月の日米合同委員会の合意に従いまして、この事故の発生情報を得た後できる限り速やかに日本側に通報されると、そういうことになっているわけでありますが、この報道の件につきましては、今現在、念のため米側に確認をしておるところでございますが、この合意に基づく通報の対象となる事件それから事故に該当しない事案であったことから日本側に通報がなかったものと、そういうふうに認識をしておるところでございます。
  363. 井上哲士

    井上哲士君 つまり、住民に対して明らかにするという姿勢に欠けているし、そしてこの下で原因の究明であるとか再発という姿勢がどうなのかということが問われているわけですね。そもそも通報がないと。しかも、通報があっても国や自治体の立入調査は厳しく制限をされております。  これも、先日の委員会の派遣の際に県議会からの要望書にもありましたし宜野湾市からの要望からもあったわけですが、今年の三月に普天間基地で燃料漏れ事故が発生をして、三月の十三日に国と県と市が立入調査をしております。ところが、その際にアメリカ側は、写真撮影も禁止、それから土壌のサンプル採取も認めなかったわけですね。  日本の国土の中で起きている、そういう事故があって、それを当然、自治体や国が調査に行ったときに写真撮影も認めない、土壌のサンプル採取も認めないと、これは私は、なぜこんなことが認められるのかと思いますけれども、どこの国の話かということになりますが、大臣、いかがですか。
  364. 伊藤信太郎

    ○副大臣伊藤信太郎君) 今議員御指摘のように、三月三日、普天間飛行場において燃料が流出した事案については、米側から通報があったのに対して、外務省から翌四日、遺憾の意を表明し、原因の究明及び再発防止の徹底の申入れをいたしました。  そして、本件については、三月十二日に普天間飛行場内の油漏れ現場において、沖縄県及び沖縄防衛局が現場を確認するために米軍が事故概要、今後の処理等について説明を行ったと承知しております。  今委員がおっしゃられた詳細について、私も今初めてお聞きしましたけれども、今後とも、それも踏まえて米軍施設・区域における環境保全について米側としっかり協議してまいりたいと考えております。
  365. 井上哲士

    井上哲士君 そもそも、この地位協定上、例えば米軍基地返還された場合に、原状回復をするという義務がアメリカにはもうないわけですね。その下で、これまでにもこの返還後に発覚した汚染というのは大きな問題になってきました。  先ほどの恩納通信所のこともありますし、それから、二〇〇二年、北谷町の米軍基地跡地から、工事中に地中からタール状の物質の入ったドラム缶が実に二百十五本発見をされて大問題になったわけですね。漏れ出した油は二万三千六百グラム、日本政府により約八千四百万円が支払われて処理をしました。  それから、〇三年に返還されたキャンプ桑江の北側地区の土壌からは環境基準の二十倍もの鉛を始め、砒素や六価クロム、PCBが検出をされています。  これによって非常に跡地利用が妨げられましたし、これからの基地返還後も重大な困難が予想されるわけですね。これは通常の使用で汚れたものじゃないんですよ。地中にドラム缶を二百本以上も埋めるなんというのは明らかに違法な処理をしているわけですね。これは、どう考えても原状回復の義務がないからといって責任を免れるものではないと思うんですね。  こういうのはちゃんと米側に責任を持って原状回復をせよと迫るべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  366. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 日米地位協定第四条は、米側に日本に施設・区域を返還するに当たり当該施設・区域を提供されたときの状態に回復し、又はその回復の代わりに日本に対し補償する義務を負わない旨規定をしております。同時に、米側は、二〇〇〇年九月に発表された環境原則に関する共同発表におきまして、在日米軍を原因とし、人の健康への明らかになっている差し迫った実質的脅威となる汚染についてはいかなるものでも浄化に直ちに取り組むという政策を再確認をしているところでございます。  施設・区域として提供された土地が返還された後の原状回復については、国と土地所有者との方の契約において国の責任を明確にしておりまして、土地の引渡しの際に所有者からの原状回復の請求があれば、これに要する費用の補償等の措置を国がとっているところでございます。
  367. 井上哲士

    井上哲士君 その差し迫った問題というのも、これはまた結局米軍の判断になるわけですね。しかも、これまで長い使用の間に、先ほど述べたようなドラム缶が地中に埋められているとかいうようなことがあります。これは基地内で働いている従業員の方の証言などもたくさんあるわけですね。  ですから、こういう過去のいろんな問題も含めてきちっと処理をするということが必要でありますし、そのためには、一体どうなっているのか、現状がということをつかむということが非常に大事だと思うんですね。このままで行きますと、嘉手納以南返還ということも言われておりますけれども、返還後に汚染が見付かって、この基地利用ビジョンとか今日も議論になっていますけど、それこそ絵にかいたもちになりかねないということになるわけですね。  ですから、返還の前に基地内に立入りして検査をする、そして基地の土地の利用とか汚染物質の処理状況などがどういうふうになっているか、そういう汚染履歴をしっかりつかんで、さらには基地従業員とか周辺住民からも聞き取り調査をして、どうなっているかということを早い段階から解明をする必要があると思います。  そういう返還前の立入調査、それに基づく対策を行うという点で、これは是非大臣、リーダーシップを発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  368. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 二〇〇〇年の九月に日米両国で発表いたしました環境原則に関する共同発表におきまして、環境問題に関して在日米軍の施設とか区域への適切なアクセスの提供等についても合意がされているわけでありまして、今後とも、日米合同委員会の合意に基づく手続に従って、必要に応じて米軍の施設それから区域内への立入りなどについて米側と協議をしていきたいと思います。
  369. 井上哲士

    井上哲士君 最初のYナンバーでも申し上げましたように、合意をしても守られていないという実態がたくさんある中で様々な問題が起きているわけでありますから、強い態度でこの問題の解決に迫っていただきたいと思います。  以上、終わります。
  370. 山内徳信

    ○山内徳信君 社民党・護憲連合の山内徳信でございます。  私は、最初に外務大臣にお伺いいたします。それは何かといいますと、前高村外務大臣は、オスプレーの沖縄への配備、いわゆる新しい基地への配備の可能性については、可能性があると、こういう明快な答弁をされました。現在の中曽根外務大臣は、このオスプレーの配備について外務大臣としてどのように認識していらっしゃるかをお伺いしたいと思います。
  371. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 米国の海兵隊が全世界に保有をしておりますCH46及びCH53ヘリコプターが、これがオスプレーに代替更新されていくという、そういう一般的な予定というものがあるということは私も承知をしておりまして、このような文脈において将来オスプレーが、将来ですけれども、沖縄に配備される可能性があるということは認識をいたしております。  一方、沖縄へのオスプレー配備につきましては、累次米側にも照会をしておりますけれども、米側から、現時点では具体的には決まっていないと、そういう説明を受けているところでございます。
  372. 山内徳信

    ○山内徳信君 二十一日、一昨日のオスプレーをめぐる質疑を通しても、アメリカから配備しますよと言うのを日本政府外務省防衛省は待っておるような、どうしてこのようなオスプレーの配備について日本国民の立場に立って、日本政府ならばなぜやはりそのことを明らかにさせないんですか。向こうから来ない、照会しておるが来ないなんてずっとおっしゃっておりますが、これは外交姿勢としてはいかがなものかと思います。  いずれにしろ、中曽根外務大臣も、いずれオスプレーは沖縄に配備される、これがアメリカの今の動きであると、こういうふうに認めていらっしゃいます。  さて次は、防衛省は、北村誠吾防衛大臣は既にこのオスプレーについての可能性は認めて答弁をされていらっしゃいます。そこで、その上司に当たる防衛大臣、明確なオスプレー配備についての答弁を求めます。
  373. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) オスプレーにつきましては、前から申し上げているとおり、私とすれば、今正式にこのオスプレーを配備するという話は聞いておりません。ただ、海兵隊等の将来的な計画の中に載っているというのは承知をしておりますけれども、我々とすると、今現在でこのオスプレーの配備ということの具体的なものを聞いてはおらないということでございます。
  374. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は時間がもったいないから深入りはしたくないんですが、これね、二十一日の、これはあなたの部下が書いた、ワーキングチームが書いた文章だよ。  もう一度読みましょうね。SBFは、これは海上施設、ヘリコプター及びMV22オスプレー部隊の基地として使用できるよう支援する設計となる。  これは、やはり皆さん方の関係者がこういう素案の中に、明確にあの当時からオスプレーの配備について、設計すると、こう言っていて、大臣ね、そんなに逃げなくていいですよ。秘密にしたり逃げたら、それは国会と行政府とかみ合わせていって初めて国益にも結び付くでしょう。  私は、皆さんの発言聞いていてむなしさ感じますよ。遺憾に思うとか、適切に対応するとか、何だ、こういうふうなのは。少なくとも、私たちは誠心誠意質問をして答弁を求めたいと思います。何事も包み隠さず真実を述べるという宣誓をして法廷ではお互いにやるじゃないですか。ここは一つの法廷ですよ。そうでしょう。国民代表の法廷ですよ。  もう一度、浜田大臣。少なくとも、高村前大臣、中曽根現大臣、そしてあなたの部下の北村副大臣ね、可能性があるとおっしゃっておるの。あなたは分からぬと言ってとぼけたらいかぬですよ。もう一度求めます。
  375. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) とぼけているわけではなくて、可能性として議論があったのはこれは事実でありますし、今先生のおっしゃるように、私が先ほどから申し上げているのは、私自身が、今米国政府からこれはもうオスプレー入れますよというのを私自身が聞いていないということをお話をしているところでありますので、可能性については先ほど来うちの副大臣が言っておるわけですから、その件に関しては私としては認めているわけでありますが、しかし、じゃ、いついつ、いつそれを入れるのかということに関しては私は聞いていないと言っているので、これは全くの事実でありますので、それは先生、私が何かとぼけているというふうな言い方をされますけれども、決してそうではないということだけは御理解いただければと思います。
  376. 山内徳信

    ○山内徳信君 いや、よく理解できぬのです。  今、何でしつこくこんなに私がオスプレーにこだわっておるかといったら、環境省は沖縄のアセスメントにおいて、今沖縄局が予測している、防衛省が予測しておる以上の爆音、そういうのも想定をしてアセスをしなければいかぬというのが日本のアセス学会のやはり元会長の意見なんですよ。想定されるものはやはりアセスの中でちゃんと検証していかぬといかぬから、このオスプレーについてこういうように繰り返し聞いておるんであります。  次に進めていきます。  外務省にお伺いしたいんですが、これは、高見澤さんがアメリカ軍関係者に持っていったと言われておるこのQアンドAですか、これも含めて、こういうことがあったというのは、外務大臣、あるいは政府参考人外務省は知っていたかどうか、お伺いします。
  377. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) SACO最終報告に係る米側との協議におきましては、防衛省のみならず外務省からも当時参加をしておりましたけれども、その協議内容については、これはまさに外交交渉でございますので、明らかにすることはできないということでございます。
  378. 山内徳信

    ○山内徳信君 外交交渉だから明らかにできない。その被害を受けるのは、オスプレーの、国民、県民じゃないですか。そういうふうにもうコンクリートになっておる外務省の頭、だから新鮮味も発展もないんですよ。大臣、こういうことではいかぬですよ。今までの質問、どなたの質問を聞いていても、沖縄基地がもたらしておる深刻な問題の提起がされておるじゃないですか。冗談じゃない。  これは外務省北米局長に聞きますが、これは削ろうやと、今こんなのを出したらこれは大問題になる、削ろうやといったその話合いにあなたも参加していたんじゃないですか、外務省も。答えてください。
  379. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 梅本北米局長。  その前に、傍聴人の方々に申し上げます。傍聴席からの発言は、御注意ください。
  380. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) まず、御指摘の文書につきましては、その性質等について承知しておりませんので、政府としてコメントする立場にはございません。  また、SACO最終報告に至る日米交渉には外務省も参加しておりました。また、私自身も当時担当部局におりましたので参加をしておりましたが、オスプレーの沖縄への配備については、米側より従来から一貫して、現時点で何ら具体的に決まっていないという説明を受けているところでございます。
  381. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、二十一日の最後アメリカのペンタゴン関係者はこう言っていたと抽象的に申し上げてあるんですよ。どっちの立場も配慮して、固有名詞出さなかったですよ。日本北米局長がそういう話は今までないなんて、これじゃ外務省防衛省も、こんな普天間の代替施設を造る、そしてその方針はヘリコプターとオスプレー用の基地を設計するとあなた方は言っておるじゃないか。それでもなおとぼけるのか、北米局長。冗談じゃない。
  382. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) SACOの最終報告に至る協議につきましては、先ほど御説明をしたとおりでございます。また、オスプレーの配備についても、これは累次大臣あるいは私どもから御説明をしているとおりでございます。  私ども、もちろん、長い期間を見れば米軍の装備というのはどの装備においてもいずれは新しい装備に更新をされていくわけでございます。ただ、それはそういうことでございますが、オスプレーについても、そういう意味でいずれ更新されていくことはあるだろうということは従来から御答弁をしているわけでございますが、私どもはあくまでもその時点で明らかになっている、具体的になっているものを中心に考えていくということで御答弁をしているところでございます。
  383. 山内徳信

    ○山内徳信君 中曽根大臣確認をしておきたい。  今、北米局長は、いずれ今の機種からオスプレーに替わると、こういうふうな答弁でございますが、いずれ替わるというのは、やはり新しい基地にはオスプレーが配備されるということなんですね。そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  384. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) 繰り返しになるところもありますけれども、アメリカの海兵隊が全世界に保有している現在のヘリコプターがオスプレーに代替更新されていくという、そういう一般的な予定があるということは委員も御承知だと思いますし、また、将来そういうところからオスプレーが沖縄に配備される可能性があるということも、私たちとしては認識しているということも先ほどから申し上げているとおりです。  四月二十二日現在、委員は二十一日の時点のお話をされましたけれども、私どもが確認をしたところ、現時点では具体的には決まっていないという返事を得ているところでございますし、米側からは一貫して、今申し上げましたように、何ら具体的に決まっていない、またSACO最終報告はオスプレーの沖縄への配備をまた前提としたものではないということでございます。
  385. 山内徳信

    ○山内徳信君 二十二日現在で問い合わせをされたとおっしゃっていますが、それはどこですか。
  386. 中曽根弘文

    ○国務大臣中曽根弘文君) これは、日米地位協定室長から在京のアメリカ大使館の担当の課長にでございます。
  387. 山内徳信

    ○山内徳信君 私は、大体、いずれオスプレーの配備はあるという、そういう抽象的な答弁になっておりますから、前に進めていきますが。  これは大臣でなくても結構です。アメリカ海兵隊がイラクに実戦配備しておるMV22オスプレーが、回転翼ボルト紛失などが起こりまして、すべてのオスプレー、全機飛行停止されるというそういう事態が発生しましたが、北米局長はそれ掌握していますか。全機というのは何機かも含めて答弁してください。
  388. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 三月二十六日付けの星条旗新聞でございますが、そこにすべてのオスプレーに対し暫定飛行停止措置がとられたということが書かれております。これは、三月二十五日時点で海兵隊所属オスプレー八十四機のうち七十六機を点検し、そのうち四機からボルトの緩みが判明をしたと。残りの八機についても点検を完了する予定であるということでございまして、私ども、運用のその詳細までは必ずしもよく分かりませんけれども、こういう問題が生じた、そのために問題解決のための取組が行われ、そして安全性が確認をされた後にまた飛行が再開されたというふうに認識をしております。
  389. 山内徳信

    ○山内徳信君 それは何機になりますか、何機。
  390. 梅本和義

    政府参考人(梅本和義君) 海兵隊と海軍と両方あるわけでございますが、これはあくまでも星条旗新聞ということでございますが、海兵隊所属オスプレー八十四機のうちの七十六機を点検した、それは、その前の三月二十一日にイラクに派遣されたオスプレーのうち一機からボルトの緩みが発見されたことを受けて、そのほかの所属オスプレーについても点検をしたということでございますが、そのうち四機から緩みが判明をしたというふうに報道されているというふうに承知をしております。
  391. 山内徳信

    ○山内徳信君 実に八十四機、これは恐ろしい数ですね。  そこで、質問を進めていきますが、アメリカ本国におけるオスプレーの事故、事件、いわゆる九一年、九二年、そして二〇〇〇年に墜落事故を起こして、総数としては二十三人の死亡が記録をされております。したがいまして、オスプレーというのはこういうふうな飛行機なんです。そして、走行距離も今のヘリコプターよりはその二倍もあると言われています。そして、戦争の攻撃能力もはるかに高いわけですね。そういうのがやはり沖縄の新しい辺野古の基地に配備されるということは、沖縄の人々はもう戦々恐々としておるから、こういうことをずっとただしておるわけでございます。  さて、外務省のこのオスプレーについてのおよその認識といいますか、それは分かりました。したがいまして、今日はあと二分ぐらい、あと少しありますから、続けてまいりたいと思います。  それから、次は防衛省にお尋ねいたします。  私はこの間、キャンプ・シュワブに調査団の、視察団の一人として参りました。そこで、那覇の真部沖縄局長質問もしたんですが、この集落からこの辺野古の基地の間の距離を聞いておいたんです。私が見る限り、やはり近いと。これは再び普天間飛行場の爆音被害と嘉手納飛行場の爆音被害の二の舞になりますよ、局長と、こういう指摘を申し上げておきました。  そして、その近くにヘリパッド四つのうち一つが集落に近いわけですね。これは何でも、今アセスの方法書の説明の真っ最中でございますが、一つは動かしていきたいと、こういうふうな新聞報道が出ております。  そこで、あの計画を見ますと、辺野古集落と一番近いところは六百メートルぐらい。この前見たのはやはり千五百メートルぐらいの距離かなと、あるいは千メートルぐらいの距離だと思いました。私はそれを少し専門家の見解を求めておるんでありますが、ある専門家の意見によりますと、関西空港、成田空港、中部空港など、騒音を調査したところ、飛行場から騒音問題を解決するには住宅地から二キロ、二キロです、二キロ以上離すことが必要であるというふうな専門家の意見でございます。  したがいまして、現在政府が進めている辺野古新基地と辺野古の集落、あるいは周辺の集落はかなり近いところにありますから、この問題を真剣に考えていただかないと、これまた、宜野座村長と名護市長がこの前の視察団に訴えていましたのはこの爆音の問題でした。大臣、いやいや大臣、爆音問題、真剣に受け止めると、住民に迷惑掛けないとおっしゃってください。
  392. 浜田靖一

    ○国務大臣浜田靖一君) 常に我々とすれば、この問題に関しましては重大な関心を持ってやっておりますので、その点はしっかりとやらせていただきたいと思います。
  393. 山内徳信

    ○山内徳信君 終わります。
  394. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  395. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 次に、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員の報告を聴取いたします。白眞勲君。
  396. 白眞勲

    ○白眞勲君 委員派遣について御報告を申し上げます。  本委員会の榛葉委員長、木村理事、風間委員、広中委員、佐藤委員、木庭委員井上委員、山内委員及び私、白の九名は、去る四月二十日の一日間、第三海兵機動展開部隊要員及びその家族沖縄からグアムへの移転実施に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査に資するため、沖縄県に派遣され、海兵隊の普天間飛行場及びキャンプ・シュワブの視察を行ったほか、那覇市において沖縄県知事、宜野湾市長、名護市長及び宜野座村長との意見交換を行うとともに、沖縄県議会議長から意見を聴取しました。  以下に概要を御報告いたします。  まず、海兵隊の普天間飛行場においては、メア米国沖縄総領事が同席される中で、スミス普天間航空基地司令官から同飛行場の役割、任務、所属部隊等について概要説明を聴取した後、派遣委員より、キャンプ・シュワブへの移転に伴う通勤時間増等の海兵隊員の負担とその軽減措置、オバマ政権の海兵隊増員計画沖縄への影響等について質問が行われました。その後、同飛行場施設の視察を行いました。  次に、普天間飛行場代替施設の建設予定地であるキャンプ・シュワブにおきましては、建設予定地である辺野古崎の視察を行い、防衛沖縄防衛局から建設予定地の概況、騒音の影響を受ける地域、工程の概略、工事に伴う環境への影響等について概要説明を聴取した後、派遣委員より、埋立土砂の量とその供給先、騒音調査の結果とその評価、移転後の人員規模等について質問が行われました。  次に、沖縄県知事との意見交換におきましては、仲井眞知事から、「在日米軍の再編において、日米間で合意された在沖海兵隊のグアムへの移転及び嘉手納飛行場以南の施設・区域の返還については、将来の沖縄基地の在り方に大きな影響を与えるとともに、沖縄振興発展の将来を左右する大きな転機になることから、確実な実施がなされる必要がある。代替施設の可能な限りの沖合移設、普天間飛行場の危険性の除去と騒音の軽減、日米地位協定の抜本的な見直し等を国等に求めている。本協定により、在沖海兵隊のグアム移転が着実に実施され、沖縄県の基地負担の軽減につながると考えている。同移転を確実に実施するとともに、嘉手納以南の施設・区域の返還については、地元の意向を踏まえつつ、統合のための詳細な計画を早期に作成・公表し計画的な返還実施すべきである。」との趣旨の意見が述べられました。  次に、高嶺沖縄県議会議長から、「日米地位協定の抜本的な見直しや基地の整理縮小を求める。名護市辺野古沿岸域への新基地建設は新たな基地の固定化と環境汚染・環境破壊につながることから早急に断念すべきである。本協定は県民生活に大きな影響を与える重大な事案であるにもかかわらず県民の頭越しに署名されたことから締結すべきでない。金武町伊芸区流弾事故の真相究明と調査期間中の実弾射撃訓練の中止を求める。普天間飛行場燃料流出事故の原因究明と再発防止を求める。」との趣旨の意見が述べられました。  次に、宜野湾市長、名護市長及び宜野座村長との意見交換におきましては、まず、伊波宜野湾市長から、「普天間飛行場の運用については、日本環境管理基準、JEGSの遵守や共同環境調査等の実施、航空機騒音規制措置などの日米合同委員会合意が守られておらず、政府はその実態について無関心である。普天間飛行場の早期閉鎖・返還のため、米軍再編の流れの中で海兵隊を沖縄から撤退させるべきと主張してきた。本協定では、沖縄県の基地負担軽減に結び付くとは思えない。普天間基地については、辺野古への代替施設建設を条件とするパッケージではなく、早期閉鎖・返還を求めるべきである。」との趣旨の意見が述べられました。  島袋名護市長からは、「普天間飛行場代替施設建設に当たっては、地元住民生活への影響を最小限に抑えることが必要であることから、建設計画について、可能な限り沖合への移動を求めている。環境影響評価に当たっても、地元意見が確実に反映される必要がある。さらに、地元の意向を踏まえ、地域の産業活動が継続的に発展できるよう適切に対応するとともに、北部振興策の継続が必要である。」との趣旨の意見が述べられました。  東宜野座村長からは、「普天間飛行場代替施設の建設に当たっては、宜野座村及び周辺地域の上空を飛行しない観点から、二本の滑走路を設置することとしたものであるが、運用に係る使用協定については宜野座村との合意内容どおりにしてほしい。」との趣旨の意見が述べられました。  これらの意見に対し、派遣委員から、在日米軍の再編による在沖海兵隊の実際の削減数に関する認識、普天間飛行場返還後の跡地利用計画普天間飛行場代替施設建設に当たっての環境保護の必要性、同代替施設建設に対する地域住民の受け止め方等について質問がなされるなど熱心な議論が行われました。  なお、沖縄県知事から、嘉手納飛行場以南の施設・区域の返還普天間飛行場の移設等に関する要望書が、また、沖縄県議会議長から、本協定締結に反対する旨等の要望書がそれぞれ出されました。これらの要望書につきましては本日の会議録の末尾に掲載されますよう、お取り計らいをお願いいたします。  以上が今回の派遣の概要であります。
  397. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。  なお、ただいまの報告の中で要請のございました沖縄県及び沖縄県議会からの要望書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  398. 榛葉賀津也

    委員長榛葉賀津也君) 異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十八分散会