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阿部(知)
分科員 社会民主党の
阿部知子です。
私も、ただいまの
川内委員の御質疑に引き続いて、
自衛隊という組織のあり方ということについて、主に
浜田防衛大臣と、そして特に人事
教育にかかわられる担当部署にお伺いを申し上げます。
自衛隊という組織が、一九五〇年に
警察予備隊という形で
日本に、前身、そうした形で発足し、さらに一九五四年、
自衛隊という名前になり、今日に至っております。
防衛大臣も御
承知おきのように、この間、任務も拡大の一途でありますし、その分、国民から見て風通しのよいというか、どういう組織であるのかということが、この段、格別に問われていると私は思います。
そうした中で、
大臣が御就任になってからも、
二つ、大きな事案と私は思いますが、起こっております。
一つは、今
川内委員の御質疑にありました田母神問題、そしてもう
一つ、九月九日の江田島での訓練中の死亡
事故でございますね。
こうした
事態があると、例えば、
自衛隊という組織の中がどうなっているのか、
教育から訓練に至るまで、やはり国民としてはきちんと知っておきたいし、その上で任務をきちんとこれからも果たしていただきたい。いわゆる国民が望む形での
自衛隊のあり方と国際貢献ということが最も肝要になると思います。
私は、かつても
予算委員会で少し取り上げた事案ですが、この前段に、
大臣のお手元にもし資料として届いておればお目通しいただきたいのですが、ここには、自衛官のいじめによる自殺などの人権侵害裁判というタイトルで、これは御遺族が、
うちの息子は隊でのいじめが原因で自殺したのではないかという形で裁判に訴えている事案であります。
もちろん、個別の事案は係争中であるということで深い言及はできないという前提はもう存じておりますので、私がここでぜひ
大臣に知っていただきたいのは、例えば「さわぎり」という一例目の事案は、これは二十一歳の三等海曹となっておりますが、奥さんもあってお子さんもあって、人生のこれからというやさきに自殺をされた事案で、そして福岡高裁判決がもう確定しております。
これは、当時の指導に当たる上司の、ある
意味で指導の域を超えた言動が、この方の思い詰め、自殺をされるところに結びついたんだということで、隊での指導のあり方ということを、
自衛隊の側も確定ということで認めておられますし、並びに、安全配慮義務違反といって、そうした
事態に及ばないように安全配慮をしなければいけないという非常に教訓的な事案だと私は思います。
次の「たちかぜ」と申しますのも、実は私は神奈川でございまして、これは横須賀の事案で、ボイラー室等々で、ある上司がこの亡くなった方をエアガンでおどしたり、あるいはカードを取り上げて、サラ金等々に、本人のあずかり知らぬところでお金を使わせたという事案で、これも係争中でありますが、この事案の場合は、まだ判決は出ておりませんけれども、そうしたエアガンでのおどし等々は認められておる。ただ、それが自殺ということまで至ったかどうかがただいま係争中。
三例目の浜松裁判は、二十九歳。この方は
自衛隊にお入りになって十年以上で、実はこの方はイラクにも行っておられる方なのです。
私は、こうした裁判は、できる限り傍聴もいたし、御両親とも会っておりますが、実は、
個人的なことを申せば、この浜松の事案の御両親はもともと
自衛隊員であられて、そしてお子さんにも期待されて、
自衛隊に入った、十年頑張ってきたと。つらいということもおっしゃったこともあるけれども、頑張れとむしろ励ましたことがこうした結果になったのではないかと大変悩んでおられますし、しかし、この方も御
家族がありますし、どうしてこうなったのかということで、今浜松で係争中であるということです。
私が一番案じますのは、やはりこれから本当に、人格的にも、それから素養の面においても優秀な方が
自衛隊を担っていただかないと、この難局の時代を乗り切れないだろうと。
ちなみに私は医者で、今、医療崩壊が叫ばれておりますが、私にしてみれば、この現状というのは、医療の担い手の崩壊ということもすごくあるように思うのです。それは私が身を置いた場だからそう思いますし、
自衛隊の場合もさまざまな面で、人的な崩壊と申しますか、そういうことが進んでいるのではないか。これは、任務が多忙になる、さまざまな要請がなされる、その中で自分の位置が見えなくなる、そして組織はひずむ。どこでもあることだと思うのですが、しかし、これが国防を預かる非常に重要な部署であるということで、
浜田大臣にはぜひ、私は、ちょっと前ぶれが長くて恐縮ですが、どうした事案がどういうふうに係争されているかという背景をお話しさせていただきました。
そういう前提に立って、これまで、いじめと申しますと、小中学校等々では現状、いじめから自殺される子供さんが多くなったので、いじめということがあるんだというまず
認識と、それを
認識した上で対策をする。これはどこでもそうなんだと思うんですが、さて、
自衛隊にあっては、そうした
認識、本当に
自衛隊だからいじめがないというふうに思われると、いじめという概念が幅広いということもありますが、先ほど申しました上司の、ある域を過ぎた、指導に名をかりた、ある
意味での精神的なプレッシャーをかけた、これをも称していじめということがあろうかと私は思うのです。
そうした現状
認識について、これは、私の望みは、ないというのではなくて、そうしたことも含めて、
自衛隊としての組織のあり方を再度本当にこの段お考えいただきたいと思うのですが、まず
大臣にはどのような御
認識であるか、お願いいたします。
〔
主査退席、岸田
主査代理着席〕