○前原
委員 言葉じりをとらえて恐縮なんですが、有事のときでなくて、有事に備えて、特にこういった装備なんというのは、選定をしてからつくるまでに何年もかかるわけですから、そういう
意味では、将来を見越した上で政治的な判断を下すということが極めて大事であります。
先ほどシナリオベースで三つ申し上げましたけれども、
ミサイル防衛、これも
ミサイル防衛システムで
アメリカ。そして、高高度の静止衛星も、
アメリカの情報に頼らなければ
ミサイル防衛そのものが機能しない。そして、
ミサイル防衛にかからなかったものが着弾をした場合、それをいわゆるやり返す能力は
アメリカに頼らざるを得ない。情報もかなり
アメリカに頼っているし、今話をした装備についても、結局は、
日本が今までやってきたというのは、F15、ライセンス国産、F2もライセンス国産ですね。
つまりは、後で時間があれば議論したいと思いますけれども、とにかく、
日本が想定される危機というものを乗り越えていくためには、来年が安保条約締結五十年でありますけれども、私はやはり、一番初めに申し上げたように、
日本の想定される危機を
考えたときには、余りにも
アメリカに過度に依存し過ぎていると思います。それが
日本の
外交の選択肢をまた狭めることになるというふうに私は思います。
そこで、資料におつけしておりますが、
総理のおじいさんの本、これを皆さん方に少し読ませていただきたいと思います。著者、
吉田茂、「
世界と
日本」。これは
総理、読まれたことはありますか。(
麻生内閣総理大臣「大分前だと思うよ」と呼ぶ)ええ、初版が一九六三年ですから、私が生まれた翌年ですから、相当前だと思います。これを抜粋だけ読ませていただきます。
「
自衛隊に対する私の期待」。
吉田ドクトリン、つまりは軽武装、経済中心をやられた
吉田元
総理が晩年に書かれたものであります。
「再軍備の問題については、私の
内閣在職中一度も
考えたことがない」。中略します。第二パラグラフ、「しかし、それは私の
内閣在職時代のことであった。その後の事態にかんがみるに連れて、私は
日本防衛の現状に対して、多くの疑問を抱くようになった。」また少し飛ばします。第二パラグラフの最後、「
防衛の面においていつまでも他国の力に頼る段階は、もう過ぎようとしているのではないか。私はそう思うようになったのである。」そして、第四段落の中ほどから、「立派な独立国、しかも経済的にも、技術的にも、はたまた学問的にも、
世界の一流に伍するに至った独立国
日本が、自己
防衛の面において、いつまでも他国依存の改まらないことは、いわば国家として未熟の状態にあるといってよい。国際
外交の面においても、決して尊重される所以ではないのである。」
こういうことをおっしゃっているんですね。これは、初版は一九六三年です、先ほど申し上げたように。ですから、もう四十五年ほど前になります。
日米関係はこれから大事、日中
関係も大事、しかし、さまざまな動きがある中で、私はやはりこの
日米同盟の
中身そのものも見直していかなくてはいけない時期が来ているのではないかというふうに思います。
そこで、どういったところから手をつけられるのかということであります。もちろん、
防衛という問題については、例えば装備の問題についても、このごろいわゆる共同開発というのが、特に戦闘機やあるいは輸送機においては主流になってきているんですね。ユーロファイターというのも共同開発ですし、あるいはF35、ジョイント・ストライク・ファイターというのも共同開発でやっている。つまり、他国が
協力していろいろな技術を出し合って、そして開発費用を抑えながら、みんなが同じものを持てて、いいものを持てて、そして共同開発していくということが言われているわけであります。
これは、
日本はできないんですよ、武器輸出
三原則があるから。武器輸出
三原則を見直すということになると何か、死の商人に逆戻りするのか、こういうような議論がありますが、私は決してそう思っていません。
ここからは私見になります。
武器輸出
三原則というのは、これは確認でありますけれども、共産圏、それから紛争当事国、それから国連決議で出してはいけない国、この三つについては武器を輸出してはいけないということが初めのスタートであったわけでありますけれども、三木
内閣のときにほぼすべての武器というものが輸出できないような形になってしまった。PKOを初めて出すときも、それを持っていくのも輸出じゃないかということで
中身を変えたというのは、これは
総理、御存じのとおりであります。物すごくストリクト、厳しいものに変えていった。
しかし、平和を愛するからこそ、あるいは何かに備えるからこそ装備を持っているわけであって、それは非武装中立の方々もおられるかもしれない。私は、そういった方々を別に排除するつもりはないし、そういった方々は
考え方の
一つであると思う。しかし、私は、自分の国を守り、そして
外交をうまくやりながら平和な国を守っていくためには、ある程度の装備や
防衛力が必要だと思います。そのときに、いかにコストを下げていくかということになれば、また
日本の
防衛基盤、生産基盤というものを保とうとすれば、やはりこれからこの武器輸出
三原則の見直しということは私は不可避だと思います。
総理、いかがですか。