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2009-02-24 第171回国会 衆議院 予算委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十一年二月二十四日(火曜日) 午前九時三十分
開議
出席委員
委員長
衛藤征士郎
君
理事
小島 敏男君
理事
佐田玄一郎
君
理事
鈴木
恒夫君
理事
田野瀬良太郎
君
理事
根本 匠君
理事
山本 拓君
理事
枝野 幸男君
理事
菅 直人君
理事
富田 茂之君
赤池
誠章
君
井上
喜一君
伊藤
公介
君
石田
真敏君 岩永
峯一
君
臼井日出男
君 小野寺五典君 尾身 幸次君
近江屋信広
君 大野
功統
君
木村
隆秀
君 岸田 文雄君
小池百合子
君
斉藤斗志
二君 坂本 剛二君
下村
博文
君
菅原
一秀
君 杉浦 正健君
園田
博之
君 中馬 弘毅君 とか
しきなおみ
君 仲村 正治君
長島
忠美
君
丹羽
秀樹
君
野田
毅君 葉梨 康弘君
広津
素子
君
深谷
隆司
君
福岡
資麿
君
藤井
勇治
君
藤野真紀子
君 三原 朝彦君 盛山 正
仁君
山内
康一
君
吉田
六
左エ門
君
若宮
健嗣
君 渡辺 博道君 大島 敦君 逢坂 誠二君 川内 博史君 筒井 信隆君 中川 正春君
西村智奈美
君
細野
豪志君
馬淵 澄夫君 前原 誠司君
三谷
光男
君 渡部 恒三君 池坊 保子君 江田 康幸君
笠井
亮君
穀田
恵二
君 阿部 知子君 糸川 正晃君 …………………………………
総務大臣
鳩山 邦夫君
外務大臣
中曽根弘文
君
財務大臣
国務大臣
(
金融担当
) (
経済財政政策担当
) 与謝野 馨君
文部科学大臣
塩谷 立君
厚生労働大臣
舛添 要一君
農林水産大臣
石破 茂君
経済産業大臣
二階 俊博君
国土交通大臣
金子
一義君
環境大臣
斉藤
鉄夫君
防衛大臣
浜田 靖一君
国務大臣
(
内閣官房長官
) 河村 建夫君
国務大臣
(
行政改革担当
) 甘利 明君
国務大臣
(
消費者行政推進担当
)
野田
聖子君
外務
副
大臣
伊藤信太郎
君
財務
副
大臣
竹下 亘君
国土交通
副
大臣
金子
恭之君
環境
副
大臣
吉野
正芳
君
防衛
副
大臣
北村
誠吾
君
内閣
府
大臣政務官
並木
正芳
君
農林水産大臣政務官
江藤 拓君
経済産業大臣政務官
松村
祥史
君
国土交通大臣政務官
西銘恒三郎
君
最高裁判所事務総局刑事局長
小川 正持君
政府参考人
(
内閣官房郵政民営化推進室長
) 振角 秀行君
政府参考人
(
国家公務員制度改革推進本部事務局長
) 立花 宏君
政府参考人
(
内閣
府
食品安全委員会事務局長
)
栗本まさ子
君
政府参考人
(
内閣
府
公益認定等委員会事務局長
) 原 正之君
政府参考人
(
内閣
府
官民人材交流センター審議官
) 平山 眞君
政府参考人
(
金融庁総務企画局長
) 内藤 純一君
政府参考人
(
総務省大臣官房長
) 田中 順一君
政府参考人
(
総務省人事
・
恩給局長
) 村木
裕隆
君
政府参考人
(
総務省情報流通行政局郵政行政部長
)
吉良
裕臣
君
政府参考人
(
総務省統計局長
) 川崎 茂君
政府参考人
(
外務省大臣官房審議官
) 羽田 浩二君
政府参考人
(
文部科学省大臣官房長
) 森口 泰孝君
政府参考人
(
文部科学省
生涯
学習政策局長
) 清水 潔君
政府参考人
(
厚生労働省医政局長
)
外口
崇君
政府参考人
(
厚生労働省社会
・
援護局長
)
阿曽沼慎司
君
政府参考人
(
厚生労働省保険局長
) 水田 邦雄君
政府参考人
(
農林水産省総合食料局長
) 町田 勝弘君
政府参考人
(
経済産業省産業技術環境局長
)
鈴木
正徳君
政府参考人
(
経済産業省製造産業局長
)
細野
哲弘君
政府参考人
(
資源エネルギー庁長官
)
石田
徹君
政府参考人
(
中小企業庁長官
)
長谷川榮一
君
政府参考人
(
国土交通省大臣官房技術審議官
) 関 克己君
政府参考人
(
国土交通省総合政策局長
) 大口 清一君
政府参考人
(
国土交通省道路局長
) 金井 道夫君
政府参考人
(
環境省地球環境局長
) 寺田 達志君
政府参考人
(
防衛省地方協力局長
)
井上
源三君
参考人
(
社団法人日本自動車工業会労務委員長
)
川口
均君
参考人
(
弁護士
) (反
貧困ネットワーク代表
) (
年越し派遣
村
名誉村長
)
宇都宮健児
君
参考人
(
日本郵政株式会社専務執行役
) 横山 邦男君
参考人
(
日本郵政株式会社専務執行役
)
佐々木英治
君
参考人
(
日本郵政株式会社常務執行役
) 藤本 栄助君
予算委員会専門員
井上
茂男君
—————————————
委員
の異動 二月二十四日
辞任
補欠選任
石田
真敏君
近江屋信広
君
臼井日出男
君
藤野真紀子
君
木村
隆秀
君 とか
しきなおみ
君
下村
博文
君
丹羽
秀樹
君
菅原
一秀
君
福岡
資麿
君
園田
博之
君
藤井
勇治
君
深谷
隆司
君
若宮
健嗣
君
吉田
六
左エ門
君
長島
忠美
君
仙谷
由人
君
三谷
光男
君
笠井
亮君
穀田
恵二
君 同日
辞任
補欠選任
近江屋信広
君
広津
素子
君 とか
しきなおみ
君
木村
隆秀
君
長島
忠美
君
吉田
六
左エ門
君
丹羽
秀樹
君
赤池
誠章
君
福岡
資麿
君
菅原
一秀
君
藤井
勇治
君
山内
康一
君
藤野真紀子
君 盛山 正
仁君
若宮
健嗣
君
深谷
隆司
君
三谷
光男
君
西村智奈美
君
穀田
恵二
君
笠井
亮君 同日
辞任
補欠選任
赤池
誠章
君
下村
博文
君
広津
素子
君
石田
真敏君 盛山 正
仁君
臼井日出男
君
山内
康一
君
園田
博之
君
西村智奈美
君
仙谷
由人
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
平成
二十一年度
一般会計予算
平成
二十一年度
特別会計予算
平成
二十一年度
政府関係機関予算
————◇—————
衛藤征士郎
1
○
衛藤委員長
これより
会議
を開きます。
平成
二十一年度
一般会計予算
、
平成
二十一年度
特別会計予算
、
平成
二十一年度
政府関係機関予算
、以上三案を一括して議題といたします。 本日は、三
案審査
のため、
参考人
として、
社団法人日本自動車工業会労務委員長川口均
君、
弁護士
・反
貧困ネットワーク代表
・
年越し派遣
村
名誉村長宇都宮健児
君、以上二名の方々に御
出席
をいただいております。 この際、
参考人各位
に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本
委員会
に
出席
いただきまして、まことにありがとうございます。
委員会
を代表して厚く御礼を申し上げます。
参考人各位
には、
平成
二十一年度総
予算
について、それぞれの立場から忌憚のない御
意見
をお述べいただきたいと存じます。 それでは、議事の順序について説明申し上げます。 まず最初に、
参考人各位
から一人十五分
程度
で
意見
をお述べいただき、その後、
委員
の
質疑
にお答えいただきたいと存じます。
委員
の
質疑
時間は限られておりますので、お答えはできるだけ簡潔明瞭にお願いいたします。 なお、念のため申し上げますが、発言の際はその都度
委員長
の許可を受けることになっております。また、
衆議院規則
の
規定
により、
参考人
は
委員
に対して
質疑
することはできないことになっておりますので、あらかじめ御
承知おき
を願いたいと存じます。 それでは、まず
川口均参考人
にお願いいたします。
川口均
2
○
川口参考人
社団法人日本自動車工業会労務委員長
の
川口
でございます。 本日は、現在置かれている
日本
の
自動車産業
の現状と
課題
につきまして、労務問題を中心にお話をさせていただきたいと思います。 さて、
日本
の
自動車産業
は、
製造品出荷額
で見ますと、二輪
自動車
、車体、
部品
などを含めて、二〇〇七年で約五十四兆二千億円に達し、
我が国製造業
全体の一七%を占めております。また、
世界
の中で、
世界
の四輪
自動車生産
は二〇〇七年
年間
で七千三百万台ですが、
日本メーカー
は、二〇〇八年で、
国内
は約千百五十万台、
海外
は約千百万台
程度
と見込まれ、合計約二千二百万台を生産しております。 戦後の
揺籃期
を経て、
我が国自動車産業
がこのように
日本経済
及び
世界経済
の中で重要な一角を占めるに至りましたことは、その過程で
国会
の
先生方
初め
関係省庁
の御
理解
と適切な御指導をいただいたたまものと、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。 御
承知
のように、昨年秋、
米国
の
金融危機
に端を発した
世界経済
の大変動と
景気後退
の影響を、
自動車産業
は真っ先に受けております。例えば、最大の
自動車市場
であります
米国
におきましては、昨年十月以降、前年を三〇%以上下回る
減少
を記録し、ビッグスリーのみならず、
日本メーカー
も軒並み
販売
の大幅な
減少
に見舞われております。
国内
におきましても、さまざまな要因により、
年間
の
販売台数
は二〇〇五年以降四年連続で
減少
してまいりましたが、昨年十月以降は、これまた大幅な
販売
の
減少
に見舞われております。 お
手元
に配付させていただいた
資料
をごらんいただきたいと存じますが、十月には前年同期比六・六%の減、十一月は同じく一八・二%の減、十二月は同じく一六・七%減となり、その結果、昨年の
国内販売台数
は前年比五・一%減の五百八万台となりました。この
台数
は、一九八〇年の五百一万台以来、実に二十八年ぶりの低水準であります。 この
状態
はことしに入っても続いており、というよりむしろ悪化しております。一月の
販売台数
は三十・二万台、前年同月比で一九・一%の減。特に、
登録車
は二七・九%の
大幅減少
となっており、二月につきましても、
販売店
などから聞いておりますところによれば、今までのところ、
登録車
は一月よりもさらに
販売台数
が落ち込んでいると伺っております。まさに、
需要
が蒸発したと言っても過言ではない
危機
的な
状況
になっているわけでございます。
国内生産
も、
国内市場
、
海外市場
での急激な
減少
の結果、
生産調整
を余儀なくされ、お
手元資料
にありますように、昨年十月は前年同月比六・八%減、十一月は同じく二〇・四%減、十二月は同じく二五・二%減を記録するに至っております。 これに追い打ちをかけているのが急激な
円高
で、
国内生産
の約半分を輸出する
自動車メーカー
の収益に大打撃を与えております。ほとんどの
メーカー
が今年度の
業績見込み
は膨大な
赤字
となっており、わずかに
黒字
を見込んでいる
メーカー
も、今年度の下期は大幅な
赤字
であります。今年度は上期の
黒字
がありましたが、それでもこのような
状況
であり、来年度は今年度よりさらに悪化するのではないかと懸念しております。
世界
の
金融危機
の収束と
景気
の
底打ち
がいつになるのか、その
見通し
が全く立たない濃霧とも言うべき
状況
のもとで、
日本
の
自動車メーカー
は危急存亡の
危機
に立たされて、もがき苦しんでいるのが
実情
でございます。こうしたことから、
各社
は
緊急対策
をまとめ、事業の
見直し
、
設備投資
の
見直し
、役員、
管理職
の賞与、報酬、賃金のカット、
会議費
や
出張旅費
の
削減
から
光熱費
の
節約
に至るまで、ありとあらゆる諸経費の
節約
に取り組んでおります。 このような聖域なき
コスト削減
の
努力
にもかかわらず、
需要
の
落ち込み
の速度が想像を超えて激しく、その結果、苦渋の選択として、非
正規従業員
の
雇用調整
を行わざるを得なくなっておりますことにつきましては、御
理解
を賜りますようお願い申し上げます。 ことしに入りましても、先ほど申しましたように、
国内
外での
需要
の
落ち込み
はさらに激しく、
各社
は、積み上がる
在庫調整
のため一層の減産を強いられており、
各社
の
状況
によって異なりますが、
生産ライン
の一時停止を行うほか、
労使合意
のもとでの
休業日
の設定や勤務の一
直化
など、ワークシェアリング的な
取り組み
を含め、
会社存続
と
従業員
の
雇用
の
維持
のため、
努力
を重ねているところでございます。 繰り返しになりますが、どこが底か、先行きの
見通し
が全くつかないという、産業始まって以来の
危機
的な
状況
が続いております。
政府
におかれましては、
各国政府
との協調の上、
世界
の
金融秩序
の安定と
景気回復
のため、ありとあらゆる施策をスピーディーに講じていただきますようお願いしたいと考えます。
雇用対策
としましては、既に各種の
対策
が打ち出されており、その中でも
雇用調整助成金制度
の拡充が図られております。
会員各社
においても、既に申し込みをしたり
申請
の
検討
をしたりしているところもございます。 また、今回の
税制改正法案
におきましては、低
炭素社会実現
と
内需拡大
のため、
環境対応車
に対する
優遇税制
が織り込まれております。これを
予定どおり
四月一日から実施いただきますよう、切にお願い申し上げます。さらに、
部品メーカー
、ディーラーを含め、資金繰りの
円滑化対策
につきましても引き続き御
支援
を賜りますようお願い申し上げます。
自動車業界
としましては、
従業員
の
雇用
の
維持
、
確保
は
企業
の最
重要経営方針
の
一つ
として位置づけ、最大限の
経営努力
を図ってまいりますが、
景気
を一日も早く回復させていただくことが、
企業存続
と
雇用
の
維持
のために不可欠でございます。ぜひともよろしくお願いを申し上げます。 以上、
業界
の
実情
につきまして申し述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
衛藤征士郎
3
○
衛藤委員長
どうもありがとうございました。 次に、
宇都宮健児参考人
にお願いいたします。
宇都宮健児
4
○
宇都宮参考人
おはようございます。こういう
意見
を述べる機会をつくっていただきまして、大変ありがとうございます。感謝申し上げます。 私の
意見陳述
の要旨は
資料
として配付していただいていますので、そちらの方も目を通していただければと思います。 私は、昨年末からことしの初めにかけての
年越し派遣
村の
活動
に参加しております。一応、私、
名誉村長
ということで、大変名誉な役割を果たさせてもらいました。
派遣
村には五百五人の
村民
が入村しましたけれども、
派遣切り
で仕事を失って、
社宅
を追い出されて
野宿
を余儀なくされた
労働者
が多く
派遣
村に入っております。中には、茨城とか静岡から歩いて
派遣
村にたどり着いたというような人もいます。それから、
失業
を苦に
自殺
を図りましたけれども
警察官
に保護されて、それで
警察官同行
で
派遣
村に入ってきた人もいます。中には、さらに、
ネットカフェ
とか
野宿
で体調を壊しまして、
救急車
で搬送された人も出ています。 こういう五百五人の
派遣
村の
村民
に対して、
ボランティア
として参加された方は千六百九十二人になります。
派遣
村
村民
の三倍近くの
ボランティア
が
全国
から参加しておりまして、中には遠くから参加された高校生とか大学生もいましたので、私は、こういう
人たち
の
活動
を見て、
日本
も捨てたものじゃないというふうに感じたところです。それから、
全国
から多くのカンパや
食料
、衣料なんかの
支援物資
も寄せられております。 こういう
ボランティア
の
支援
、人の温かさに触れて、一回は
自殺
を考えましたけれども、もう一回生きてみようというふうに考えた
村民
もたくさんいました。それから、これから
生活
を再建できたら、自分も困った人を助ける
ボランティア活動
に参加したいというような
村民
もたくさんいました。そういう
活動
に参加して、私自身も本当にやりがいを感じましたし、
派遣
村には、
日本
の中で今失われかけている思いやりとか助け合いとか人々の連帯が存在していたと思っております。 それで、御
承知
のように、
派遣
村の
入村者
が予想を超えてふえましたので、一月二日からは
厚労省
の講堂を開放していただきました。それから、一月五日からは都内の
公共施設
の四カ所を利用できるようになりまして、そこで
就労相談
とか
生活保護
の
相談
、それから
緊急小口貸し付け
の
相談
などが行われております。 それで、最終的には、
派遣
村の
村民
三百人近くに対して、
短期間
のうちに
生活保護
の
開始決定
がなされております。この
生活保護
に関しましては、
野宿者
のように
住民票
がない、あるいは六十五歳以下の
稼働年齢
にある人は、
申請
をしても
申請
すらなかなか受け付けてもらえないで追い返される、こういうのを私
たち
は
水際作戦
と呼んでいますけれども、
水際作戦
が行われることが多かったんですけれども、
短期間
のうちに
生活保護
の
開始決定
がなされております。この
開始決定
によりまして、アパートを借りて住まいを
確保
して、今、
ハローワーク等
に通いながら、
生活
の自立への闘いを進めております。 また、
派遣
村の
村民
に対しましては、
社会福祉協議会
から一万円から五万円の
緊急小口資金
の
貸し付け
も行われております。
生活保護申請者
に対しては一万円、それから
生活保護
の
申請
をしていない
村民
に対しては五万円の
貸し付け
が行われたわけですけれども、大体、村に入ってくるときに、
村民
の多くの
手持ち資金
が数百円、数十円、あるいは三日間何も食事をしていないというような方が多かったので、
ハローワーク
に通うにも
交通費
がないわけですね。この一万円から五万円の
貸し付け
というのは大変感謝されております。 ところが、こういう
制度
についても、実は知らなかった方が多いんですね。
生活福祉資金貸し付け
の一部なんですけれども、こういう
セーフティーネット貸し付け
の
制度
については、広く広報して、利用しやすい
制度
にする必要があるかと思います。 それから、こういう
取り組み
ができたのも、国や東京都、それから
関係
諸
機関
、あるいは
国会議員
の
先生方
の働きかけのおかげだと思っております。改めて深く感謝申し上げる次第です。 次に、
派遣
村の
取り組み
からわかってきたことですけれども、やはり、
派遣
村に集まった方は、
派遣切り
をされて、寮とか
社宅
を追い出されて、いきなり
野宿
をせざるを得ない、そういう方がたくさんいました。この
派遣
村の
実態
を見て、
我が国
の
労働者派遣制度
の
問題点
が浮き彫りになったんじゃないかと思います。 もともと、
労働者派遣制度
の
導入
というのは、当初は、多様な働き方を求める
労働者
のニーズにこたえるというような、そういう美名のもとに
導入
された
制度
でありましたけれども、
派遣労働者
の方の
権利
は全く保護されていない。
実態
はどうだったかということは、
企業
の利益の追求のために、
労働コスト
の
削減
と手軽な
雇用調整弁
として簡単に
労働者
を首切る、そういう
制度
であったのではないか、極めて残酷な、冷酷な
制度
であると痛感しております。そして、こういう
派遣切り被害
の
実態
と
派遣労働者
の
権利保護
を考えた場合は、
労働者派遣法
の抜本的な
改正
が今考えられるべきだと考えております。 基本的には、
雇用
というのは直接
雇用
それから期限の定めのない
雇用
を大
原則
とすべきであって、
有期雇用
を含む非
正規雇用
というのは、
合理的理由
のあるごく例外的な場合にのみ許されるべきだと考えております。戦後、
職業安定法
というのは、こういう
人材派遣業
、人材
派遣
してピンはねする、そういう商売を禁止するという
原則
に立った運用がなされておりましたけれども、
労働者派遣法
の
導入
でこの例外が崩れていったわけです。 それで、
労働者派遣法
の内容としては、以下の点を
検討
すべきだろうと考えております。
一つ
は、
派遣対象業種
を専門的なもの、臨時的なもの、一時的なものに限定して、専門的とは言えない
製造業派遣
は禁止する。それから、非人間的な
労働形態
である
日雇い派遣
は直ちに禁止する。それから、常に
失業
の不安を抱え、不安定な
雇用
となる
登録型派遣
を禁止する。
違法派遣
、
期間経過
後の
派遣
、
偽装請負
については、
派遣先
が直接
雇用
したものとみなす、みなし
規定
を設ける。
派遣労働者
と
派遣先労働者
の
均等待遇
の
原則
を法律で
規定
する。
派遣
元
会社
が取得する
マージン率
の
上限規制
を行う。
グループ会社
内での
労働者派遣
、専ら
派遣
を禁止する。
派遣労働者
の組合が
派遣先会社
と
団体交渉
をできる
規定
を設ける。
派遣契約打ち切り
の際の
住宅確保
や
生活保障
、再
就職支援
などについては、
派遣
元
会社
と
派遣先会社
に
共同責任
を負わせる。こういう
規定
が
検討
されるべきだろうというふうに考えております。 それから、
年越し派遣
村は、
派遣切り被害
の
実態
と同時に、
日本
の
社会
にないと思われてきた
貧困
を目に見える形で
日本社会
に突きつけたことで、大きな衝撃を与えたと思っております。どちらかといえば、
日本
の
社会
はこれまで一億総中流で、そういう
社会
が定着したというふうに思われてきたと思いますけれども、我々は、数年前にこの
貧困
の問題に目をつけまして反
貧困ネットワーク
を立ち上げて、
貧困当事者
の
支援
、あるいは
支援グループ
との
ネットワーク
をつくって実践を積み重ねてまいりましたけれども、どんどん
日本
に
貧困
が広がっている。
貧困
というのは、人間らしい
生活
がない
状態
、できない
状態
のことを
貧困
と我々は言っているわけです。これまで
政治
の
世界
ではよく
格差
の問題が
議論
されてきたかと思いますけれども、
格差
の
議論
をしていきますと、どうしても、
格差
はあっていいのか悪いのか、そういう
議論
になりがちだと思います。
日本社会
全体が底上げをする中で、
富裕層
がさらに
富裕
になっていけば
格差
は開くことがありますけれども、そういう場合の
格差
の
拡大
というのはいいのかどうかという
議論
になると思いますけれども、そもそも
貧困
というのはそういう
状態
が
社会
的に是認、容認できない
状態
だと思いますので、この
貧困
の
実態
にもう少し目を向けていただけたらと思います。
欧米先進国
は、
貧困
の
実態調査
を
政府
が行っております。また、政党も、
貧困
をどう克服するかということを大きな
政治課題
にしておりますので、そういう面でもぜひ
国会議員
の
先生方
は、こういう
貧困
問題についての検証、
検討
、それから
貧困
の
削減
をどうすべきかということを
検討
していただけたらと思います。 御
承知
のように、
日本
はもう既に
アメリカ
に次ぐ
貧困大国
になっています。OECDの
調査
によりますと、その国の平均的な
世帯所得
の半分以下でしかない人の比率を示す
相対的貧困率
は、二〇〇六年の七月二十日に発表した
報告書
によりますと、
日本
は、十七カ国
中アメリカ
に次いで二番目に高くなっております。 それで、こういう
貧困
問題を解決するためには、私としては、当面、
ワーキングプア対策
の
強化
と、
生活保護制度
を初めとする
セーフティーネット
の
強化
が求められていると思っております。
ワーキングプア対策
の
強化
としては、最低賃金の大幅引き上げ、それから、非正規
労働者
と正規
労働者
の
均等待遇
、
労働者派遣法
の抜本
改正
、これは先ほどお話ししたとおりです、それから
雇用
保険
制度
の改善、効率的な職業訓練、職業教育
制度
の確立、こういうことが求められているかと思います。 それから、
セーフティーネット
の
強化
、これは
生活保護制度
の充実等が求められていると思います。結局、
派遣切り
された
労働者
で寮とか
社宅
を追い出されて
野宿
を余儀なくされている人を救ったのは何なのか。
生活保護制度
しかないんですね、今、
日本
の国には。この
生活保護制度
がなかなか利用しづらい
制度
になっています。先ほどお話ししました
水際作戦
が行われているわけです。象徴的なのは、二〇〇七年、
福岡
の北九州市で、おにぎりが食べたいと言って餓死した人がいます。こういう餓死者が出るような運用がなされているということですね。したがって、こういう
生活保護制度
をもっと利用しやすく、さらにそこをステップにして自立しやすいような
制度
に変えていく必要があるかと思います。 当然のことですが、この間
政府
が進めてきた
生活保護
に関する老齢加算や母子加算の
削減
、廃止は撤回すべきですし、それから、二〇〇六年の骨太方針で決められている
社会
保障費年二千二百億円の
削減
方針も撤回する必要があると考えております。 それから、
セーフティーネット貸し付け
の充実については、先ほどお話ししましたけれども、
生活福祉資金貸し付け
の中の
緊急小口資金
貸し付け
、これは非常に感謝されております。こういう
制度
を充実していくということが重要かと思っています。 特に、二〇〇六年には貸金業法の
改正
が行われまして、厳しく高利を規制するようになりましたので、
政府
は今、多重債務者
対策
本部をつくって多重債務者の救済をやっていますけれども、そこでも
セーフティーネット貸し付け
の充実ということがうたわれております。 こういう観点から、
社会福祉協議会
が進めている
生活
福祉資金貸付
制度
とか、自治体による母子寡婦福祉貸付金
制度
とか、労働金庫による自治体提携
社会
福祉資金貸付
制度
などを充実する必要があるかと思っております。 それと、こういう
制度
があるんですけれども、実際はほとんど知らないんですね、
派遣切り
された人が。こういう
制度
があることすら知らない人が多かったので、もっと広報を徹底する必要があるかと思っています。 それから、公営低家賃住宅の大量供給が必要かと思っております。特に、住む家がないわけですね。いきなり
野宿
になってしまう。住む家としたら、当初貯金がある間は
ネットカフェ
で寝泊まりするしかない。住宅の
貧困
というのは深刻な
状態
にあるかと思っております。 私は、ほかの事件でも担当していますけれども、最近、低所得者層を食い物にする、敷金、礼金なしをうたい文句にした悪質なゼロゼロ物件業者や、それから、家賃保証
会社
による追い出し屋被害が多発するようになっています。これは、国の住宅政策の
貧困
のあらわれだろうと思っております。だから、ハウジングプア
対策
を
強化
する必要があるかと思っております。 それから、高等教育の無償化が必要だろうと思っています。
貧困
家庭で育つ子供がまた
貧困
になっております。今、
日本
は義務教育までは無償化されていますけれども、中学を卒業して働けるところというのは限られているわけですね。そういう
人たち
が高校とか大学に行こうと思ってもなかなか行けない
状態
になりつつあります。貧しい家庭に育った子供が大学に行きたいと思ったら行けるような
制度
をつくっていかないと、
貧困
が連鎖することになりますね。この辺も十分考えていただけたらと思います。 それから、当面の
派遣切り
対策
の
強化
の問題ですけれども、
労働者派遣法
の抜本
改正
を待っていては、現在進行している
派遣切り
の問題に対応することはできません。
厚労省
が発表したところによりますと、三月末までに十二万四千八百人の非正規
労働者
が職を失う、その三分の二が製造業で働く
派遣労働者
であると言われています。また、
業界
団体の試算では、製造業で働く
派遣
や請負
労働者
の
失業
は、三月末までに四十万人に達すると言われております。こういう
派遣切り
対策
を早急に実施する必要があるかと思っております。 まず、違法、不当な
派遣切り
はやめさせるよう、
政府
は
企業
を強く指導する必要があるかと思います。仮にそういう違法、不当な
派遣切り
が強行された場合は、
派遣
元
企業
だけでなく、
派遣先
企業
にも連帯責任を負わせる、こういうことを含めて
企業
を指導する必要があるかと思います。 それから、
派遣切り
に伴って、
労働者
が居住していた社員寮などの住居から退去させることのないように、
企業
に対して厳しく指導する必要があるかと思っております。 それから、
派遣切り
を行っている
企業
に
社会
的責任を果たさせる必要があるかと思っております。大量の
派遣切り
を進めるトヨタ
自動車
やキヤノンなど
日本
を代表する大手製造業者十六社の二〇〇八年九月末の内部留保合計額は、
景気回復
前の二〇〇二年三月末から倍増し、約三十三兆六千億円に上っているということです。このような
企業
に
社会
的責任を果たさせる必要があるかと思います。 まずは、
派遣切り
を行う前に、
企業
としては
経営努力
をすべきかと思います。役員報酬、給与の額の減額、返上、内部留保の放出、他
企業
への就職あっせんなどを行うことはもちろん、非正規
労働者
生活
・就労
支援
基金を設立すべきだと思っております。 それから、
全国
にシェルターをぜひ増開設していただきたいと思います。そこで、就労とか
生活
、住宅、緊急
貸し付け
、借金の問題等について、責任を持って処理できる諸
機関
が
相談
できるような体制をつくる必要があるかと思っております。 なお、定額給付金に関しましては、
富裕層
も含む
全国
民に給付する方針を改めて、このような
派遣切り
対策
や
生活
困窮者、
貧困
者の
生活
支援
、
セーフティーネット
の
強化
等に重点的に充てるなど、その活用方法の再
検討
をしていただければと思います。 二〇〇六年の骨太方針で、今、毎年二千二百億円の
社会
保障費を
削減
する方針が立てられているわけですけれども、二兆円というのはこの二千二百億円の九年分に当たります。こういうこともぜひ
検討
していただければと思います。 以上です。ありがとうございました。(拍手)
衛藤征士郎
5
○
衛藤委員長
どうもありがとうございました。 以上で
参考人
の
意見
の開陳は終わりました。
—————————————
衛藤征士郎
6
○
衛藤委員長
これより
参考人
に対する
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。根本匠君。
根本匠
7
○根本
委員
自由民主党の根本匠であります。
宇都宮参考人
、
川口参考人
、ただいまは大変貴重な御
意見
を陳述いただきまして、ありがとうございました。 特に
派遣切り
の問題を中心に、この問題を考えていきますと、
日本
のワーキングプア、新たな
貧困
の問題や、あるいは産業競争力の問題、教育の問題、住宅の問題、
社会
的な
制度
、システム問題含めて、極めて広範なテーマが出てまいります。 私は、きょう時間もありませんので、ポイントを絞って御質問をさせていただきたいと思います。 まず、
宇都宮参考人
にお聞かせいただきたいと思います。 この
派遣切り
の問題、ただいま
宇都宮参考人
から、さまざまな多面的な角度からのお話がありました。この
派遣切り
の問題で、要は一番の問題は何か、私は住まいの問題だと思うんですね。切られた途端に家を失う。衣食住、住が一番大事ですから。切られた途端に家を失うということは、今まで余り、こんなに顕在的に問題化しなかったのだろうと思います。
雇用
促進住宅というのはありました。
雇用
促進住宅というのは、
雇用
促進のための政策でしたから、これは各地にありましたが、今回のように切られた途端に家を失うということは、私は余り想定していなかったんだと思うんですね。 私はそう思いますが、今回の問題を通じて一番大きな問題は何か、この感想を含めて、簡潔にお伺いしたいと思います。
宇都宮健児
8
○
宇都宮参考人
お答えします。 私も、先生のおっしゃるとおりだと思います。今の
派遣切り
をされた
労働者
は、寮とか
社宅
を追い出されると、いきなり
野宿
になっちゃうわけです。そうすると、再就職ができないわけです。
住民票
がない、住まいがないと、
ハローワーク
に通ってもなかなか面接までこぎつけられないんですね。まずは安心した住まいを
確保
する、こういうことが極めて重要かと思っております。 また、なぜ
野宿
に行くかというと、余りにも低賃金で働かされている、その後の
生活
、アパートを借りるにもお金がない、
雇用
保険も十分適用されていない、こういう
状況
があるかと思いますので、ぜひ、住まいの問題を解決するということを重点的にお願いできたらと思っております。
根本匠
9
○根本
委員
私も本当にそう思います。住まいの
対策
では、我々は、解雇、雇いどめにより住居を喪失した非正規
労働者
に対する
支援
、これはもう既に幾つかやりました。 対象者に対する
相談
支援
としては、
一つ
は
相談
体制の整備、
全国
の
ハローワーク
百九十カ所。就職安定資金融資、
ハローワーク
を窓口として労働金庫が
貸し付け
をする、これは最大百八十六万円。
雇用
促進住宅への入居、これは十二月十五日からやっております。 さらに、事業主に対する働きかけとしては、住宅の継続使用の要請、これは社員寮への入居継続を可能とするように、事業主に対する要請、あるいは経済団体に対する要請も行いました。そして、住宅の継続貸与事業主への助成、これは第二次補正
予算
により、
派遣労働者
一人につき一カ月当たり上限四万から六万、最長六カ月。これは実は第二次補正
予算
に盛り込んでいますから、私は早くこの第二次補正
予算
を、こんなに厳しい
状況
なんですから、早く成立させて、財源特例法というのが今参議院でいまだに決せられておりませんから、私も早くこれをやってもらいたいと思います。 次に移ります。
川口参考人
にお伺いしたいと思います。これは、
川口参考人
には、
企業
の
社会
的責任の観点からお伺いしたいと思います。 現在、大変経済情勢が厳しい。厳しいので、
企業
が厳しい経営判断を迫られている。これは、ただいまのお話にもありました。私も
理解
をいたしますが、しかし、一方で、
労働者
の
雇用
と
生活
を守る、これも私は
社会
的な責任であると考えます。 今年度末までに
派遣労働者
を含めて十二万五千人の非正規
労働者
が雇いどめされる、これは厚生労働省の
調査
であります。この
派遣切り
の原因、これは、
平成
十五年に
派遣
法
改正
をやりました、製造業への
派遣
が解禁されたことにある、だから製造業への
派遣
を禁止すべき、こういう声もあるんですね。 ただ、あの当時を考えますと、ジョブレスリカバリーと言われました。製造業への
派遣
の解禁は、厳しい
雇用
状況
の中で、
雇用
の場の
確保
を目的として行われたんですね。今、約四十六万人の方が製造
派遣
で働いておられる。私は、これはいろいろな
議論
があると思いますが、
雇用
の
確保
について一定の役割を果たした、こう考えております。 ただ、しかしながら、経営上の苦渋の選択だとは思いますが、余りにも安易に非正規
労働者
を雇いどめしてはいないか、縮み志向になってはいないか。過去を見ても、
企業
がここまでの規模で
労働者
の解雇や雇いどめを行ったことは私はないと思います。 この点で、今までの経営者は、
日本
型経営、
従業員
の
雇用
を守るという意識があったんだと思うんですね。ところが、近年、こういう意識が薄れて、
派遣労働者
を、余りいい言葉ではありませんが、人間としてではなく物のように扱って、
雇用
の調整弁として考えているのではないか。これは私もそう思わざるを得ません。 少なくとも、近年の
我が国
の
自動車産業
の発展を支えてきた、これは、このような
派遣労働者
などの非正規
労働者
だと私は思います。 そこで、
正規雇用
と非
正規雇用
の問題について
川口参考人
にお尋ねをしたいと思います。
派遣労働者
を初めとする非
正規雇用
について、CSR、
企業
の
社会
的責任という観点から、どのように位置づけをされておられるのか。あるいは、非正規社員の正規社員への登用などについてどうお考えか。 私は、
派遣
業の問題を考えるときに、
派遣
業というのはそもそも専門職で
導入
されました。そして、いい面は、多様な働き方をみずからの希望、意思で選択できる、私は、これはいい面だと思うんですね。ただ、正規社員になりたくても非正規社員で
派遣
になっている、これは特に私の地元でもよく聞きます。若い方々が、
派遣
で例えば製造業の現場にいる、将来の希望がない、将来の確実性がない、ですから結婚や子供を産むことについてもちゅうちょする、こんな現象があらわれておりますので、
派遣
社員、非
正規雇用
の位置づけ、そして非正規社員の正規社員への登用などについてどうお考えか、
川口参考人
にお尋ねをしたいと思います。
川口均
10
○
川口参考人
ただいま御質問にございました非
正規雇用
の方の位置づけという観点ですけれども、近年の
日本
の
自動車産業
の発展の中で、特に
日本
での物づくりというのが
世界
全体の中で強い競争力を持ってまいりました。ただ、その生産の
拡大
の中で、やはり非
正規従業員
の方も含めた役割というのは非常に大きかったと認識しております。特に、やはり、
世界
を相手に商売をしていく中で、市場がいろいろ振れてまいります。そうした市場の変動に対してタイムリーに対応していくために、非正規の
従業員
の方というのが生産上の弾力性を保つという観点においても非常に有効な役割を果たしてきたものだと考えます。それが
一つ
。 それから、先生の御質問の二つ目でございますけれども、非
正規従業員
と正規との
関係
。
自動車産業
におきまして、過去五
年間
の中で、約一万人の非正規の方々、これは期間
従業員
の方もいれば
派遣
の方もございますけれども、合わせて一万人を
正規従業員
に登用しております。 これまで平常時に進めてまいりましたのは、こういった非正規の方の中で、もちろん多様な働き方で、どこの
企業
に縛られないでという観点の考え方の方もいるんですけれども、やはり、今働いている職場で長く勤めたいというお考えがあって、かつ、
会社
側の方も優秀だと認めた方について、積極的に登用を図るという観点はございました。ただ、その観点が今、未曾有の
世界経済
の
危機
の中で、緊急事態の中で、一時的な中断を余儀なくされているという事情だとお考えいただければ幸甚です。 以上です。
根本匠
11
○根本
委員
それでは次に、
製造業派遣
の考え方についてお尋ねをしたいと思います。 昨今、
派遣労働者
、期間
従業員
の契約非更改、こういう問題がマスコミで大きく取り上げられております。あるいは、
製造業派遣
をそもそも禁止すべきだ、こういう
意見
もあるんですね。
宇都宮参考人
からも御指摘がありました。
国会
でもさまざまな
議論
が行われております。
自動車産業
の立場から見た
製造業派遣
についてどうお考えか、お尋ねをしたいと思います。
川口均
12
○
川口参考人
製造業派遣
が一律に禁止されますと、生産計画の絞り込みですとか生産の
海外
移管など、むしろ生産体制そのものが縮小傾向に向かう懸念があると考えます。そのことが結果として
企業
の体力を奪いますし、
海外
競合
メーカー
との国際競争力を失うことになると考えております。生産の
海外
移管により
国内
産業の空洞化が進めば、
従業員
の
雇用
への影響は必至であります。 また、
派遣
社員の方々の就労形態の中でも、やはり
短期間
で収入を得ることですとか、さまざまな職場を経験してキャリアアップを図るなど、多様化する
労働者
の就労ニーズというものに対応している部分もあるということから、規制が
派遣
労働を希望する人の就労機会を奪うことにもなります。
派遣
法は、固定的な就業形態では創出できなかった新たな
雇用
を生み出し、
失業
率の改善に貢献した経緯もあり、製造業の
派遣
が制限されれば、
雇用
機会は
減少
し、
失業
率の悪化につながることも考えられます。
派遣労働者
の
雇用
問題を解決するためには、法律で一律に禁止するというよりは、
雇用
保険の加入拡充ですとか、
失業
時の住宅補助それから再就職あっせんなどの、昨今言われます
セーフティーネット
の一層の整備など、
派遣
という就労形態のもとでも安心して働ける
環境
づくりをぜひ
政府
にお願いすることで改善する部分も大きいのではないか、そうした多面的な対応をぜひ御
検討
願いたいと存じます。
根本匠
13
○根本
委員
私は、この問題については、一律に禁止すべきであるという問題ではないと思うんですね。ただいまもいろいろお話がありました。それから、
宇都宮参考人
からもいろいろな御指摘がありました。私は、大事なのは、政策というのは、一体何が問題で、どのような手を打てば問題が解決するのか、総合的、多面的に全体を
検討
して具体的に詰める、これが大事だと思います。 特に、この問題を考えるときに必要なのは、
一つ
は、
派遣労働者
の立場。能力開発をしっかりしてあげる、あるいは住宅を
確保
する、
セーフティーネット
もしっかり
確保
する、しかし、その中で多様な選択もできるようにする、この
派遣労働者
の立場。この立場に立って考える、これが
一つ
。それからもう一点は、長期的な
雇用
の安定をどう考えるか、これも大事な要素だと思います。それから三つ目は、
日本経済
の国際競争力や長期的な経済成長をどう考えるか。こういうことを総合的に、冷静に、真摯に
議論
をしていく必要があると私は思います。 これについては具体的な細かい点で私もいろいろ
議論
をしたい点がありますが、きょうは
参考人
質疑
ということですから、これはこの
程度
でとどめさせていただきたいと思います。 それから最後に、時間があればお答えをいただきたいと思いますが、今、二〇〇九年春闘たけなわですね。今、目の前にある百年に一度の経済
危機
、この経済
危機
に対して、私は、政労使が連帯して、
社会
全体でこれに対応する必要があると思います。
日本
経団連が昨年末に発表した二〇〇九年春闘の経営側方針、これを私は読ませていただきましたが、非常にいいことが書いてあるんですね。ちょっと読みますと、「職場における一体感の醸成を図ることは、
従業員
の職業
生活
の豊かさにつながるだけではなく、チームワークを発揮して質の高い業務を遂行していくためにも重要であり、
会社
を挙げて取り組む
課題
である。」こう書いてあるんですね。要は、非正規
労働者
を含めた職場の一体感の醸成が重要であるという認識を示しておられます。 私は、
日本
的な経営のよさは、労使が問題意識を共有して、チームワークを発揮して一体となって
課題
に取り組む点にあると思います。
企業
は今こそ、安易な解雇、雇いどめや
派遣切り
を行うのではなくて、
雇用
全体を見渡して、人材力、人間力を活用した経営のあり方について考えていくべきではないか、新たな
日本
型経営という形を模索すべきではないかと思いますが、これについてのお考えをお伺いしたいと思います。
川口均
14
○
川口参考人
先ほど申しましたとおり、
派遣
の方で契約を更新できなかったというところにつきましては、各職場で一緒に働いてきた仲間を失っていくという、職場の中の感覚としては非常につらいものがありました。そういうところはありますけれども、この百年に一度の経済
状況
の悪化、その中での経営
危機
の中で、やはり
企業
としては対応せざるを得なかったという面があるかと思います。 先生がおっしゃるとおり、今、春闘たけなわではございますけれども、春闘の中で
議論
されていますのが、やはり同じように、労使が一体となって、できれば
政府
も一緒に入った形で、現在の経済
危機
をどうやって乗り切っていくかということを、まさに
議論
が始まったところであると存じます。 職場の一体感、それから労使協力
関係
、こういったものは
日本
の産業にとって非常に、他国に比べて、ない強さであった面があります。したがいまして、そうした点を十分これからも認識して今の難局を乗り切っていきたいと考える所存であります。 ありがとうございます。
根本匠
15
○根本
委員
私も、最近の問題意識は、経済でダム論という話がありますが、要は、ダムに水がたまっていって、そしてあふれて、経済の隅々までその効果が行き渡る、その側面が、この十年来でいろいろなところで分断されている面があるんじゃないかと最近思っているんですね。 例えば、かつては系列という話がありました。大
企業
と系列の中小
企業
。ですから、発注者、大
企業
がよくなると系列の中小
企業
もよくなる。これは、ある意味で系列のよさだったと私は思うんですね。実は、それが分断されると経済がうまく回らないということがある。 あるいは、
景気回復
して
企業
がよくなって、
従業員
の所得がふえて消費がよくなる、こういうメカニズムが働いた。ところが、これが正規、非正規という形態で、実はそこが断ち切られた部分もあるのではないか。私は、これは
日本
の
社会
システムとして、そういう側面が今出てきているのではないか。 その意味では、今最後に
参考人
がお話しされたように、やはり
日本
の強みというのは協調性であり一体感でありますから、その辺の
日本
の強みというものを生かしながら、私は、やはり
社会
システムに問題があればそれを是正し改革していく、これが必要だと思います。 いずれにしても、今、
世界
同時不況、とにかく大事なのは、我々も責任を持って
内需拡大
そして
景気回復
、経済
対策
に取り組むということなんですね。ですから、私は先ほども申し上げましたが、第二次補正
予算
がいまだに動いていない、これは大問題でありますし、この本年度
予算
も早期に仕上げる、これが何よりもの
日本経済
を復活させるかぎだと思いますので、我々も非正規社員の
雇用
の問題も含めて政策総動員で頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。
衛藤征士郎
16
○
衛藤委員長
これにて根本匠君の
質疑
は終了いたしました。 次に、江田康幸君。
江田康幸
17
○江田(康)
委員
公明党の江田康幸でございます。 本日は、
川口参考人
また
宇都宮参考人
におかれましては、今の
派遣
の問題、またこれからの経済、
雇用
の問題、
貧困
の問題等々、大変貴重な御
意見
をお伺いさせていただきました。この
国会
での
質疑
に反映をさせていきたい、そのような思いで質問をさせていただきます。 まずは
川口参考人
にお話をお聞きさせていただきたいと思いますが、ことしの
自動車業界
の
見通し
というのは大変厳しいと先ほどおっしゃられたわけでございますが、現在のこの
日本経済
の苦境というのは、もともと
アメリカ
の金融不安に端を発したものであるわけでございます。この金融不安のショックをまともに受けた
海外
の経済が一気に冷え込んだ、これで
日本
の
自動車産業
は輸出に大きく依存していたためにショックを受けたことになるわけでございますけれども、このような中で、いわば
派遣切り
と言われる
雇用
問題がクローズアップされてきたのも、輸出産業での
雇用調整
が大きな要因でもあるわけでございます。 そこで、製造業の
派遣
について
参考人
にお伺いしたいと思うんですが、現在、製造業への
派遣
労働が大きな問題となっております。
海外
経済の悪化の影響を受けた
国内
の製造業、
自動車産業
を含めた製造業が
派遣労働者
を
削減
して、多くの
派遣労働者
が
失業
したり住むところを失ったりということで、この
派遣労働者
の問題、大変大きな問題。 この背景には、製造業への
派遣
が解禁となって、
自動車業界
などで多くの
派遣労働者
が使われるようになっていたということがありますけれども、まず、製造業にとって、
自動車業界
にとってでも構いませんが、
派遣労働者
を使う理由がどのような理由であったのか、それについてお答えをいただきたい。 また、
派遣労働者
の
削減
、これを
派遣切り
と呼ぶ人もおるわけでございますけれども、今回職を失った
派遣労働者
が多く出たことで、そもそも製造業への
派遣
を認めたことが誤りで、製造業への
派遣
を禁止すべきだという
意見
も出ているわけでございます。この製造業への
派遣
を禁止すべきという
意見
について、
自動車業界
の考え、その影響をお答えいただきたいと思います。 また、
自動車業界
は製造業への
派遣
を必要と考えているのかもしれませんけれども、いわゆる
派遣切り
が大きな問題となっているのも事実であります。
自動車業界
として、
派遣労働者
問題にどう対応するのか。 この三点についてお伺いをさせていただきます。
川口均
18
○
川口参考人
御質問ありがとうございます。 製造
派遣
の果たしてきた役割というものは大変大きかったと認識しております。
日本
の製造業における
雇用
のあり方の中で、製造
派遣
とかといった非正規労働というのは、もともとが終身
雇用
体系に根差した
日本
の
雇用
のままですと、
雇用
の弾力性という観点は非常に難しい。ところが、我々
自動車
というような最終製品を取り扱う産業ですと、市場というものにどうしても影響を受けてしまう。そして、市場の影響を受けながら、生産を非常にフレキシブルなラインで対応したりとか、生産の平準化といった
努力
は別の形ではやっておりますけれども、それに加えて、やはり大きな変動の中で、こういった非正規労働の持っていた生産全体に弾力性を与えた役割は非常に大きくて、それが
日本
のもともと持っている技術力の高さ、それから物づくりの優秀さ、こういったものをベースに、さらにそこに弾力性を与えるということで、トータルなパッケージとしての役割を果たしていた意味は大変大きかったと認識しております。 これを禁止すべきかということになりますけれども、これを禁止してしまいますと、
日本
の物づくりの中での重要な役割が
一つ
大きくなくなってきまして、柔軟性、弾力性が奪われてくる懸念になります。そうなりますと、
日本
企業
の競争力がなくなっていくか、あるいは、
日本
で物をつくるのをもうやめてしまって
海外
でつくっていくという
日本
空洞化の問題になってきて、結局は
日本経済
にとって何もいいことはなくなっていくという懸念につながると存じます。 したがいまして、先ほどの
議論
にもありましたけれども、単純な禁止ということではなくて、むしろ、製造
派遣
なり非正規労働の意味を再認識しながら、それを
日本
の経済
社会
の中でどういう形でもう一度取り込んでいくか。特に、
政府
も含めた
セーフティーネット
のあり方とか多面的な対応を
検討
しながら、ぜひ継続の方向でお願いしたいと存じます。 また、今回の
派遣切り
と言われた問題ですけれども、契約を残念ながら更新できなかったということは、当然、働く仲間を失う意味で非常に残念に思っております。 自工会傘下でも、多くの
企業
で、そういった非正規の方々で正規の
従業員
であることを望む方に対しては登用の
制度
をつくって迎え入れることを続けていましたし、先ほど申しましたとおり、一時的に、今、
世界
の恐慌の中で緊急避難
状況
にある、それから、
自動車
会社
で
派遣
がとまったからといって、ほかの
会社
あるいはほかの産業に今は行けない
状況
になっている、季節的な問題でもない、この特殊な
状況
ということがあるのが背景になっておりますので、その
状況
が変わって、また今の
危機
、緊急
状況
が戻った折には、もう一度非正規の方を再
雇用
していくという
状況
が来ることを切望しております。 以上です。
江田康幸
19
○江田(康)
委員
日本経済
の中で、
自動車産業
界というのは大きな位置を占めているわけであります。それを支えてきたのもまた、
派遣
業を初めとする
一つ
のそういう皆さん方である。大変に、そこにかかわる人の重要性、この大きな責任を
企業
は担っていると思うわけでありますが、最近では、
雇用
の問題は
派遣労働者
だけではなくて正社員にも及ぶようにもなっているわけで、
企業
が
雇用
を
削減
するとき、安易に切っているのではないか、そういうような声もあるわけであります。 極力
雇用
を
維持
するように努めて、
削減
する人を最小限にとどめることが
企業
の
社会
的責任だと私は思うのでありますが、
世界
的な
企業
である
自動車産業
の皆さん方に、現在の
雇用
問題に関して
自動車業界
が果たすべき
企業
の
社会
的責任についてどのように思われているか、簡潔に御説明をお願いします。
川口均
20
○
川口参考人
企業
にとりまして、まさに
企業
は人なりということでございまして、これまでも、
従業員
の
雇用
の
維持
、
確保
というのは、
企業
としては最重要経営
課題
として取り組んできておるつもりでございます。 そのために、今、正規の
従業員
のところでぜひ
雇用
を継続していけるだけの、
政府
からの、今拡充していただいた
雇用調整
助成金、こういったものを今後も我々としては有効に使わせていただきながら、
政府
と一体になって
雇用
維持
に努めてまいりたいと存じます。 以上です。
江田康幸
21
○江田(康)
委員
それでは、次に
宇都宮参考人
にお伺いをさせていただきます。 先生からは、
労働者派遣法
の抜本
改正
について、また
貧困
問題の解決について、るる御説明がございました。大変貴重な御
意見
だと思っております。
労働者派遣法
の抜本
改正
につきまして幾つか御質問をさせていただきたいんですが、まず、製造業の
派遣
を禁止した場合、現在働いている約四十六万人もの方に影響が出ることは、
一つ
には確実だろうと思うわけです。現下の厳しい
雇用
失業
情勢の中で、たとえ経過措置をとったとしても、これだけの
労働者
を、
参考人
の宇都宮先生が御主張する、直接
雇用
で、かつ期間の定めのない
雇用
につかせるというのは、ある意味ではかなり困難性が伴うと思うわけですね。それで、これらの
派遣労働者
について、
失業
させないための方策についてともに考えていかなければならないと思うんですが、それについてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。 それと、続けて、
登録型派遣
についても、同様に、ここで働く約二百八十万もの
雇用
をどうするかという問題があります。また、
短期間
で、かつ仕事を選べる
派遣
の方が直接
雇用
よりも望ましいと答えられる方が、アンケートといいますか総合
実態調査
でも約五割ほどはいらっしゃる、こういうような
状況
の中で、こうした
労働者
のニーズも無視はできない。そういう中で
派遣
労働という働き方自体をどう考えていくか、このことについて、さらに先生の詳しい御見解をお伺いさせていただきます。 そして最後に、三点まとめてお伺いいたしますが、
派遣労働者
と
派遣先労働者
の
均等待遇
の点でございます。これについて、私もそれができればそれが一番いいと思うわけでございます。しかし、例えば、
我が国
はヨーロッパのように職種別賃金が普及しているわけではありません。これは、
派遣先
ごとに、
派遣先労働者
の賃金が異なっております。このような中で
均等待遇
を一律にやってしまうと、
派遣先
が大
企業
から今度は中小
企業
に移った場合においては、かえって
派遣労働者
の賃金が下がるというようなことがあり、いろいろなケースが生じてしまうのではないかという懸念もございます。 この三点について、
均等待遇
の件について、先生はこういうことに対してもどうお考えになられるか、それを参考としてお伺いさせていただきたい。
宇都宮健児
22
○
宇都宮参考人
まず、当面の製造業
派遣労働者
の
派遣切り
等の対応については、先ほど冒頭で
意見陳述
させてもらいましたけれども、違法な
派遣切り
は、これは違法ですから当然やめさせなきゃいけないですね。 それから、現在の
労働者派遣法
でも、三年続けて
派遣
として働いている場合は正社員の直接
雇用
の義務が発生しますので、そういう点についてもきちっと行政の方は指導すべきかと思います。 それから、
派遣切り
を行う先にまず
企業
の
社会
的責任を果たすべきだ、
経営努力
をすべきだというのは、先ほどお話ししたとおりです。その結果、仮に
派遣切り
、職を失う方が出たとしても、
全国
でシェルターをつくって早く再就職できるような
支援
をやるということは必要かと思います。 それから、
登録型派遣
についてなんですけれども、実は、私は
弁護士
で、私の所属する
日本
弁護士
連合会、日弁連は、昨年の十月に人権大会でこのワーキングプアの問題を取り上げました。それで、
世界
各国の
派遣
、非正規
労働者
の
実態調査
もやりまして、私は
アメリカ
とドイツの
調査
に参加したんですけれども、当然、グローバリズムとか国際競争の問題というのはヨーロッパにも及んでいるわけですね。 それで、ドイツの場合はどうなのか。そういうような
状況
の中で、ドイツは
登録型派遣
は認めていないんです。
登録型派遣
というのは、
派遣先
で仕事があったときに
派遣
会社
と
雇用
契約が発生して、仕事がなくなればもう首を切られるわけで、常に不安定な
状況
で働かされています。ドイツは常用型
派遣
が基本であって、
派遣先
の仕事がなくなったとしても
派遣
会社
から給料が出るわけですね。こういうことが図られている。 ちなみに、EUの方は、EUであってもグローバリズムの中で国際競争にさらされていますから、当然、労働市場の柔軟化、フレキシブルというのは
検討
されているわけですけれども、私が印象に残っているのは、ドイツ等で聞いたのは、フレキシブルだけではだめなんだ、そこのセキュリティー、働く人の安全というのを同時に
政府
は考えていかなきゃいけないんだと。だから、そこでは、セキュリティーとフレキシブルを合わせたフレキシキュリティー、それが合い言葉になって、そういうところでドイツは
登録型派遣
を認めていない。 それから、先ほどお話ししましたけれども、同一労働同一賃金というのが打ち出されているんですが、
日本
の
企業
形態というのは非常に難しいことがあるかと思いますけれども、我々がいろいろ
調査
したら、
派遣労働者
は正社員の半分近くの給料しかもらえていないんですね。現場では全く同じ仕事をしている。しかも、そういう低賃金で昇給もないわけです。全く昇給もない。それで、不必要になったら、もうあんた要らないよと。 我々は、
派遣労働者
のヒアリングをたくさんやったんですけれども、ある五十歳の
派遣労働者
で、この人は大学を卒業しているんですけれども、働いていた
派遣
会社
を首になって、路上
生活
をやるようになって、
支援グループ
に救済されるんです。 この人は、一日十二時間、週に六日間、プライベートな時間も持てないまま身を粉にして八
年間
働いてきましたが、昇給もなく、貯金もできませんでした、私には婚姻歴がありませんけれども、これでは家庭を持つことはできません、
派遣
社員も正社員と同じように
会社
のために働いているのですから、もう少し人間的に扱ってほしいと思います、忍耐や
努力
が報われる
社会
であってほしいと思います、こう述べています。 少なくとも同じ仕事をしているのに給料が半分だというのは、これは許されないです。その是正の仕方は
日本
的な是正の仕方があると思いますけれども、そういう
均等待遇
についても国の方は真剣に考える必要があるかと思っております。
江田康幸
23
○江田(康)
委員
大変参考になりました。 製造業における
派遣
の禁止の件、また
登録型派遣
の禁止の問題、また同一労働同一賃金であるべきだ、この点につきましても、確かに、どのような
改正
また内容としていくべきか、こういうような点においても、
日本
型の点につきましても考慮してまいらなければならないということも考えていきたいと思っております。 これまでも、
政府
・与党としましても、先生が御指摘なされた
貧困
問題の解決の種々の点はございますけれども、例えば、最低賃金
制度
は
生活保護
との整合性に配慮するように、その明確化をすることを内容とする法
改正
も行ってきたところでもございました。 また、訓練期間中の
生活保障
等につきましても、これは我が公明党の方からの強い主張もさせていただいて、一次補正
予算
において訓練期間中の
生活保障
給付
制度
が創設されて、さきの二次補正でこれを拡充しております。
雇用
保険の受給資格がなく、離職を余儀なくされた非正規
労働者
の方々が職業訓練を受講される場合に、月額最大十二万円の
生活
資金を
貸し付け
る、そして、訓練修了後には、就職された方には全額返還免除することも補充させていただいたところでございます。 きょう、
労働者派遣法
の点、また
貧困
問題の解決について、
参考人
の
先生方
からお話をお伺いしました。今後の
国会
の協議に十分に反映をさせていきたい、そのように思います。 以上でございます。ありがとうございました。
衛藤征士郎
24
○
衛藤委員長
これにて江田康幸君の
質疑
は終了いたしました。 次に、逢坂誠二君。
逢坂誠二
25
○逢坂
委員
民主党の逢坂誠二でございます。 きょうは、
川口参考人
、
宇都宮参考人
、本当にありがとうございます。 それでは、私の方から何点かお話を伺わせていただきますが、まず最初に
宇都宮参考人
にお伺いしたいんです。
宇都宮参考人
から、
格差
問題を
議論
するよりもまず
貧困
への対応だという話がございました。私も全く同感でございますけれども、この
貧困
という問題がなぜ
日本
でここまで顕在化するようになったのか、発生するようになったのか。これまでの政策あるいは
日本
の
社会
のあり方に対する考え方で、どういう点が問題でこの
貧困
問題が出てきたのかという点について、御見解をお伺いします。
宇都宮健児
26
○
宇都宮参考人
先ほど、冒頭にちょっと
意見
を述べさせてもらいましたけれども、
日本
の
貧困
を進めてきた大きな要因としては、
一つ
はワーキングプアの発生というのがあります。これは、非正規
労働者
が今三人に一人ぐらいになって、その非正規
労働者
の賃金そのものが正規
労働者
の五割ぐらいになっている。それから、年収二百万未満の方が一千万人を超えていますね。こういう
状況
で、なかなか結婚したくても結婚ができない、子供を産みたくても子供が産めない、こういう
人たち
が大量に生み出されてきているということ。それが
一つ
。 それから、では、そういう
人たち
を支える
セーフティーネット
はどうだったのかということを考えますと、非常に貧弱な
セーフティーネット
。最後の
セーフティーネット
は
生活保護
しかないわけですけれども、本当は
雇用
を失った場合は
雇用
保険とかいろいろな
セーフティーネット
が張りめぐらされているべきなんですけれども、
日本
は途中がないわけです。いきなり
野宿
になっちゃう。そこで、ある
セーフティーネット
としては
生活保護
しかない。ところが、
生活保護
というのが極めて貧弱なんですね。 現在、百万世帯を超えていると思いますけれども、我々の
調査
では、
生活保護
水準以下で
生活
している人が大量にいる。
生活保護
水準以下の方で
生活保護
を受けている人の割合を捕捉率というらしいんですけれども、
日本
の
政府
は
貧困
調査
をやっていませんので、捕捉率をはかっていないんですね。ところが、
生活保護
問題を研究している学者さんの話だと、捕捉率は大体、高く見て二〇%、低く見たら一六%ぐらいらしいですね。ヨーロッパ先進国というのは全部
貧困
調査
をやっていますから、捕捉率は大体七割から八割なんです。そうすると、仮に二割を捕捉しているとしても、あと四百万世帯ぐらいの人が
生活保護
水準以下で
生活
している、だけれども
生活保護
を受けていないわけですね。 こういうような
セーフティーネット
のもろさ。こういうものを実は補足してきたのが、家族とか
企業
福祉あるいは地域共同体の支え合い、こういうところが実は
貧困
な
セーフティーネット
を支えてきたと思いますけれども、家族が崩壊する、地域共同体が崩壊する、
企業
も福利厚生を
削減
していく、こういうことで
貧困
が表面化してきたということが言えるんじゃないかと思っております。
逢坂誠二
27
○逢坂
委員
宇都宮参考人
、ありがとうございます。また時間があれば、最後の方にもう一度お伺いさせていただきたいと思います。 次に、
川口参考人
にお伺いします。 厳しい
業界
の
状況
をるる御説明いただきました。しかも、
需要
が蒸発したという言葉でありますけれども、まさに今の
状況
を端的にあらわす、非常に鋭い言葉だなというふうに受けとめさせていただいたところでございます。 そこで、まず最初に、
宇都宮参考人
から定額給付金について言及があったわけでございますけれども、今の定額給付金は
富裕層
の方にも払われる仕組みになっているわけでございますけれども、この点について
川口参考人
はどう思われますでしょうか。現在のようなこういう厳しい
雇用
の
状況
がある中で
富裕層
にも払われる。困っている方がたくさんいるというような
状況
の中で、これはどう思われますでしょうか。
川口均
28
○
川口参考人
ただいま御質問の定額給付金の効果や是非につきましては、
自動車
工業会労務
委員長
の立場でございます私としましては、格別の知識を有しておりませんので、お答えは控えさせていただきたいと存じます。 ただし、一般論になりますけれども、
政府
におかれましては、この未曾有の経済
危機
から脱却するために、考えられるすべての政策をスピーディーに実行に移していただきたいというのが私どもの要望でございます。
逢坂誠二
29
○逢坂
委員
次に、実は
宇都宮参考人
からも若干指摘があった点でございますけれども、
日本
の大
企業
が、この十年余り、
会社
の内部留保をどんどんふやしている、それから株主配当の割合も高くなってきている、その一方で、
労働者
への賃金は必ずしも高くなっていない、どちらかといえば抑制傾向にある。これが今の大
企業
の現実かというふうに思うわけでございます。 このときに、今のような
雇用
情勢、厳しい
状況
が生まれたというときに、もっと内部留保を崩すべきではないかとか、あるいは、これまでの株主配当のあり方が間違っていたのではないか、要するに、ステークホルダーの三者ですね、経営者と株主と
労働者
、この配分が少し違っていたのではないかという指摘が
日本
の今の
社会
にあるわけですが、この点について
川口参考人
はどう思われますでしょうか。
川口均
30
○
川口参考人
今御質問のあった内部留保の観点ですけれども、
企業
にとりまして内部留保はバランスシートの中で資金の源泉に当たるところでございますから、これまでの利益の剰余金の中でその内部留保が、借入金その他の、ほかの資金の源泉と同様に、バランスシートの借方といいますか、どういう形でそれを使っているか。その使っている項目の中には、固定資産ですとか在庫ですとか、さまざまな形で
企業
活動
の結果としての資産になっていると思います。 したがいまして、もし内部留保を取り崩すということになりますと、現在未曾有の経営
危機
の中で大幅な
赤字
を出している
状況
ですけれども、それをさらに
赤字
にするという形になりますし、そのことは、何らかのほかの資金の源泉がない限り経営全体が立ち行かないという形になります。その中で、今、多くの
企業
、
自動車
工業会傘下の
企業
あるいは
自動車
関連の諸
企業
において大変資金繰りに困窮する
状況
にありまして、内部留保を崩していくことは経営そのものが立ち行かないという形になりますので、そういった面では、現実の中では大変難しい
状況
にあるかと思います。 それから、株主配分につきましては、これは
各社
ごとに株主配分の考え方、配当のあり方等に違いはあるかと思いますけれども、この経営
危機
の中で、多くの
企業
の中で既に減配ですとかあるいは無配を決めている次第で、株主、
従業員
それから経営者そのもの、みんな一体となって、やはり現在のこの
状況
の中で痛みを分けているという
状況
にあるのではないかと存じます。
逢坂誠二
31
○逢坂
委員
今、内部留保それから株主配当について説明がありました。 私も、現時点では
川口参考人
のおっしゃるような
状況
だというふうにもわかるわけでありますけれども、これまでの
会社
経営のあり方ですね、これまで、要するに、ステークホルダー三者が本当に均等にいわゆる利益を共有できていたのかという点についてはいかがでしょうか。現時点の認識というのは
理解
をするところがあるんですが、これまでの
会社
経営の方針としてはどうお考えになられますでしょうか。
川口均
32
○
川口参考人
これまでも、これからもでありますけれども、
企業
にとって、先ほど先生がおっしゃられたように、株主とともに
従業員
というのも重要なステークホルダーでありまして、
従業員
の
雇用
を
確保
していくということは、
企業
にとっての
社会
的責任の観点からも非常に重要なテーマであります。 そのことに関しまして、これまでそこが、
従業員
に対する対応がおろそかになったことはないと思いますし、
日本
の
自動車産業
を支えてきた力の源泉が優秀な
従業員
の存在にあったことは間違いないと考えておりますので、それをもって答えとさせていただきます。
逢坂誠二
33
○逢坂
委員
それでは次に、また続けて
川口参考人
にお伺いしますけれども、
派遣
というような
雇用
の体系などができたことによって製造業に非常にいわゆる柔軟性、弾力性が出てきたという発言がございました。それは事実なんだろうなというふうには思うわけでありますけれども、それは、経営する側から見れば確かに柔軟性、弾力性が出たということではありますけれども、
雇用
される側から見ると、不安定度が増したというふうにも言えなくもないのかなというふうに思います。その意味において、
川口参考人
からも、だからこそ、
セーフティーネット
というものを
政府
でちゃんとやる、安心できる
対策
をやることが大事だという話があったわけです。私も全くそうだと思うんです。 さすれば、では、その
セーフティーネット
という点において、
企業
、
会社
はどういう役割を果たすべきかという点についてはいかがでしょうか。
川口均
34
○
川口参考人
企業
としましては、昨今の急激な、急速な経済
危機
の
状況
の中で、今回の
派遣
ですとか非正規のところで契約を更新できない
状況
に追いやられましたけれども、その過程の中で、
企業
側としましても、いろいろ人道的な観点も含めて対応してきておりまして、寮、
社宅
での宿泊の延長とか、それから
従業員
食堂での食事の継続とか、あるいは傘下
企業
の中では、再就職あっせんのための
相談
窓口のようなものを設けながら、
企業
としてもできる限りの対応を、今回の急激、急速な
環境
変化とそれに伴う
派遣
なり非正規契約の継続がとまったことに対応して、できたことは、そういう形で最大限の
努力
を払ってきたと存じ上げております。
逢坂誠二
35
○逢坂
委員
これから話す話は私個人の考え方でありますけれども、確かに
派遣
労働などの方々は、いわゆる正社員、しかも契約期間のない正社員に比べるとリスクが高いというふうに一般的には思うわけです。それから、先ほど
宇都宮参考人
からも指摘がありましたとおり、非常に賃金が安いというような現実もあるわけですね。でも、リスクが高くて、
企業
にとってはその方
たち
の存在がもし必要だとするのであれば、そのリスクをどこかでヘッジしてあげるということが必要なのではないか。具体的には、やはり
派遣
労働の場合には、賃金を高くするとかそういう対応というのが、賃金は高いけれども
雇用
の
状況
は若干不安定度が増すというようなことも、これは私個人の考え方でありますけれども、そんなこともあるのかなというふうには思います。 さてそこで、
日本
にはこれまで年功序列型の終身
雇用
制度
というものがあったわけでありますけれども、
川口参考人
のこれまでの話からしますと、年功序列型の終身
雇用
制度
であるならば、製造業の
世界
においては、いわゆる柔軟性、弾力性というのは必ずしも担保できないというような意味にもとれるかなとも思うんですが、そういう観点から考えてみますと、製造業、特に今
川口参考人
がかかわりになっている
自動車
工業会において、どういう労働のあり方、
雇用
のあり方が理想だというふうにお考えになっているのか。もし御見解があれば、お伺いします。
川口均
36
○
川口参考人
日本
の独特でもありました年功序列、終身
雇用
、この二つは必ずしも同時に語るべきものではないかとも存じますけれども、年功序列につきましては、やはり今多くの
企業
で
見直し
の過程にあると考えておりまして、基本的には、年齢とかだけではなくて、個々人の能力に応じながら配分をしていくとか対応を変えていくという考え方に今変わってきつつある。 終身
雇用
の
課題
につきましては、やはり、
日本
の
雇用
の安定性、今は
状況
が全く逆転していて、
雇用
を
確保
することそのものが大変厳しい
状況
になっていますけれども、一昨年まで
景気
が非常に好調だった中では、
雇用
をどうやってふやしていけるかというような
環境
があったりしまして、そういう意味では、そんな中で、終身
雇用
的な体系があるからこそ
企業
としては安定的な
雇用
を
維持
できるというメリットもございます。そういうような形で、終身
雇用
の体系ということそのものがすべて問題ということではなくて、やはりその中の長所も多くあったのではないか。 ただ一方で、終身
雇用
であるがゆえに、弾力性の観点はどうしても失われてしまいます。一方で市場というものがあって、市場は弾力的に動いてしまう。それに対応していくためには、
企業
としては生産上の弾力性を
維持
しなければならない。そのためには、非正規労働というものが非常に大きな、重要な役割を果たしてきたのではないか。 正規、非正規で同一労働であれば同一賃金であるという点に関しては、
企業
側としては、特にそれは、全くおっしゃるとおりだと考えます。 ただ、実際の賃金の決定要素の中には、役割ですとか、それから熟練度ですとか、さまざまな賃金の決定要素があって、合理的な要素の中で決めていけば、基礎的な部分は同じで、そういった合理的な諸要素であとは差ができる、こういう形で賃金の問題についても考えておる次第でございます。
逢坂誠二
37
○逢坂
委員
それでは、
宇都宮参考人
に改めてまたお伺いします。
一つ
は、先ほど根本
委員
、江田
委員
からも、現在の
政府
がとっている対応、
対策
というものについての説明がございましたけれども、
宇都宮参考人
からもさまざまな御提案がございました。それらの観点からしますと、今の
政府
がとろうとしている対応、
対策
は十分なのかという点が
一つ
。 それからもう
一つ
が、
セーフティーネット
という言葉が随分いろいろなところで出てきますが、人によっては、
セーフティーネット
を張り過ぎるというのはモラルハザードにつながるんだ、自己責任というものもあるだろう、だから
セーフティーネット
はほどほどにすべきだというような声も一部にあるというふうに思われますけれども、この点についてどう思うか。 二点、お伺いさせてください。
宇都宮健児
38
○
宇都宮参考人
先週の日曜日、名古屋で愛知
派遣切り
抗議大集会という集会がありまして、私は実行
委員長
でしたので、愛知に、名古屋に行ってきたんです。 名古屋では、
派遣切り
に遭った
人たち
が、住居を失った人が大量に出てきています。そして、名古屋の駅の近くの中村区には、毎日百人近くの住居を失った人が
相談
に来られているようですね。それらに対してもう役所の方も手いっぱいなんです。だから、いろいろ手は打たれているようですけれども、現実的には十分な対応がなされていない。 私
たち
は、
派遣
村のような
活動
を
全国
で広めてもらいたい。特に、シェルターをつくって、そこに総合
相談
、
生活
相談
、
就労相談
、あるいは
緊急小口資金
の
貸し付け
相談
とか、そういうものをやっていただきたいという要請はしているんですけれども、それはまだ今のところ全くなされていないですね。 だから我々は、
政府
とか、国、自治体に要求するだけじゃなくて、民間レベルでやるべきことはやろうと。特に、年度末に
派遣切り
が相当出ますので、我々はやることはどんどんやっていく。だけれども、現実的には、そういうフォローというのが極めてなされていないのが現状ではないかと思います。 それからもう
一つ
、モラルハザードの問題は、やはり現場の
派遣切り
に遭った
労働者
とかそういう方と接していない方が言われているんじゃないかと思うんです。まず、そういう
生活保護
をもらうことについても、一般的には非常に逡巡されている方が多いんですね。早く仕事を見つけたいという方が多くて、
生活保護
とか
セーフティーネット
だけで
生活
していこうというのはごくわずかだろうと思います。 問題は、仕事を見つけるにも、住居がないと
ハローワーク
に通っても仕事が見つからないわけです。
会社
の面接にどうして行きますか。それで、実は今のところは、
生活保護
を受給することによってアパートに移って、住所も
確保
して、そこで仕事を見つけて
生活保護
を離脱するというような形になっているわけです。 だから、
セーフティーネット
の組み方としては、利用しやすくて自立しやすい、離脱しやすい、そういう
制度
にすべきだと思いますけれども、現実の
生活保護
の運用としては、これまでは、
稼働年齢
の人はまず受け付けていない、住所がない人は受け付けていない。結局は、高齢者とか母子家庭とか障害者、もう病気になった人しかだめなんです。病気になった人については、ずっと
生活保護
を受け続けさせないとだめなんですね。働けるうちに早く
セーフティーネット
で助けてあげて、新しいところ、就職先を見つけるということが、国家経済からいってもコストの面からいっても合理的だと思っております。
逢坂誠二
39
○逢坂
委員
終わります。どうもありがとうございます。
衛藤征士郎
40
○
衛藤委員長
これにて逢坂誠二君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
笠井
亮君。
笠井亮
41
○
笠井
委員
日本
共産党の
笠井
亮です。 きょうは、両
参考人
、お忙しい中お越しいただきまして、それぞれの御
意見
を拝聴いたしました。 まず、
宇都宮参考人
に伺います。 私も、この年末年始、
年越し派遣
村に伺いまして、深刻な事態の中で大変に皆さん頑張って、
村民
も、そして
ボランティア
の皆さんもということで、本当に大変な中を奮闘されたと思います。
名誉村長
として活躍されたということで、心から敬意を表したいと思います。 そこで、まず伺いたいのは、今日のような大量の
派遣切り
、非正規切りをつくり出した問題として、
参考人
も触れられました
企業
の
社会
的責任ということでありますけれども、今ここでも
議論
がありましたが、この
社会
的責任という問題の核心点というのはどこにあるというふうにお考えか、改めて伺いたいと思います。
宇都宮健児
42
○
宇都宮参考人
先ほど、
自動車業界
を初めとして大変な内部留保をふやしているというお話をしましたけれども、こういう内部留保がどうしてふえたのかというと、まさに今首を切られている
派遣労働者
が残業を繰り返して、それで働いた結果、
企業
が業績を上げてきたわけですね。ところが、こういう不況になると、もう要らないよということで、首を切られた人はいきなり寮とか
社宅
を追い出されて
野宿
を余儀なくされる。そういう
状況
を続けますと、生存の
危機
に陥る人も多いわけですね。みずから
自殺
を試みる、そういう方も発生しています。そういう
人たち
のおかげで
企業
が利益を上げているのに、私は
関係
ないということでいられるのかどうか。 それから、私は、先ほどお話しした日弁連の人権大会を行う過程で、多くの
派遣労働者
のヒアリングをやりましたけれども、何年働いておっても給料は上がらないわけです。ボーナスもないわけです。そして、都合が悪くなれば、いきなり首を切られる。こういうことでは、結婚もできない、子供も産めない、将来に希望が持てない、こういう若い
労働者
にたくさん、
意見
を聞くこと、ヒアリングをしました。 私は、それを聞いて、怒りを通り越して非常に悲しくなりました。経営者のモラルはどこに行ったんだと。自分のところで働いている
労働者
が、人間らしい
生活
ができて、そして幸せな家庭を築ける、子供もつくれる、そういうことを誇りに思うべきだと私は思うんですけれども、そういう誇りとかプライドはどこに行ったんだということで、非常に悲しくなりました。 しかも、こういう
派遣労働者
が働いているのは、中小零細
企業
じゃないんですね。
日本
の名立たる一流
企業
、中には経団連の役員も兼ねている方、そういう
会社
で人間を物のように使い捨てている。こういうような経営者のモラルの荒廃、そういうのをすごく感じまして、そこが一番問題だと思っております。
笠井亮
43
○
笠井
委員
そうした
企業
に、特に大
企業
に
社会
的責任を果たさせるというために、
政治
の役割ということで先ほども幾つか
課題
をおっしゃいましたけれども、特に
国会
がどういう仕事をすべきだというふうにお考えか、端的に伺いたいと思うんですが、いかがですか。
宇都宮健児
44
○
宇都宮参考人
きょうも
自動車業界
の方が出てこられていますが、私も前の
国会
の審議は余りわかっていないんですけれども、ここに経団連の役員は来られているんですか、御手洗さんとか、その他トヨタの経営者。やはり経営者自身を呼んでもらいたいですね。 それから、そういう経営者が
派遣切り
をやっていますけれども、中には違法、不当な
派遣切り
も行われている。こういうことをやはり強く国は指導すべきであると思うんですね。 それから、寮とか
社宅
を追い出されるケースが非常に目立っているわけですけれども、実は寮費とか
社宅
費を
労働者
は払っているケースが多いんです。実際は通常のアパートとかの家賃と同じぐらい払っていますから、これは借地借家法が適用されるケースが多いんじゃないかと私は思います。いきなり解雇して寮とか
社宅
を追い出して住まいを奪うというのは、大変非人間的な行為じゃないかと思いますので、こういう点もちゃんと
企業
の経営者を指導すれば、まだ救われる、
野宿
しなくてもいい、次の仕事に、新しい仕事に向かって
活動
できる、あるいは、やめなくてもいい人がたくさんいるんじゃないかと思いますので、そういう経営者のトップをここで呼んで、厳しく指導していただきたいと思っております。
笠井亮
45
○
笠井
委員
ぜひ、受けとめて、そういう形で実現したいと私も思っております。 次に、
川口参考人
に質問いたします。 先ほども、
雇用
を守る
企業
の
社会
的責任ということで、今
宇都宮参考人
にも伺いましたが、
川口参考人
は、
企業
は人なり、
雇用
確保
は最重要経営
課題
ということを言われましたけれども、そうおっしゃる一方で、
参考人
が、先ほどあったように、苦渋の選択として非
正規従業員
の
雇用調整
を行わざるを得なくなっているということを言われました。そして、お答えの中で、この非正規の方々というのはタイムリーに対応する、弾力性ということも言われました、そういう性格なんだと。 そこで伺いますけれども、この非正規の
従業員
、
労働者
や期間工の方々は、要するに、苦しくなったときには
雇用調整
としていつでも切れるという調整弁、そういう位置づけで雇っていらっしゃるんでしょうか、使っていらっしゃるんでしょうか。いかがですか。
川口均
46
○
川口参考人
先ほども申しましたけれども、非正規の方であろうと、同じ職場で働くメンバー、これは製造の現場を訪れましても、全く一緒に働く仲間であるわけですけれども、現在の百年に一度とか言われます未曾有の経営
危機
、経済
危機
の中にあって、大幅な減産が発生しました。そうした減産の中で、もう今二月、今月なんかは、
自動車
の生産現場というのは半分ぐらい休業している
状況
にございます。それほど現在の生産の
減少
というのは激しい
状況
にあるかと思います。 そうした中で、我々
企業
側としては、十分な
雇用
の
維持
という形がとれない
状況
になりまして、先ほどの御引用いただいた言葉どおり、大変残念ながら、苦渋の選択として、契約を更新できない
状況
になりました。 ただ、もちろん、そこに至る過程の中では、ありとあらゆる対応、
コスト削減
の
努力
を重ねてきた後にそういった対応をとらざるを得なかったという
状況
があることもぜひ御
理解
いただきたいと存じます。 以上です。
笠井亮
47
○
笠井
委員
全く同じ職場で全く一緒に働きながら、こういう
状況
になったら真っ先に切られる。まさにそういう点では調整弁ということになると思うんですね。これでは
社会
的責任を果たせるのかということだと思います。 そこで、昨年の秋以降、
自動車業界
が先頭を切って、急速で大量の非正規切りを進めてこられたわけです。しかし、依然として
自動車業界
全体の人員
削減
計画の全容がはっきりしておりません。そこで、
日本
自動車
工業会の会員
企業
、十四社あると思うんですけれども、その
グループ会社
も含む
削減
計画は現時点でどうなっているのか、その全容を明らかにしていただきたいんですが、いかがですか。
川口均
48
○
川口参考人
昨秋から現在に至り、かつ、今年度末でございます三月末に向けまして、自工会の傘下
各社
でのトータルな非正規の非更新に当たる方が、全体で三万人ぐらいと自覚しております。それが数字上の
実態
でございます。
笠井亮
49
○
笠井
委員
時間の
関係
もありますが、この場で、会員
企業
、個社ごとの数字も出していただけますか。後で結構です。
川口均
50
○
川口参考人
先ほど申しました三万人の数字というのも、我々……(
笠井
委員
「内訳」と呼ぶ)内訳の話ですけれども、自工会自身としては統計を出しているわけでございませんで、私が申しましたのは、新聞報道等で報じられた内容を集計した内容の合計というふうに御
理解
ください。
笠井亮
51
○
笠井
委員
一方で、先ほど生産
台数
、
販売台数
はしっかりつかんで全体の数字を述べられているわけですから、それは個々の積み上げがあるはずなので、これは自工会としてつかんでいないのだったらぜひつかんでいただきたいし、そこでおっしゃれないのだったら個々の
企業
をお呼びするしかないということになると思います。 次に、法令遵守、コンプライアンスの問題ですが、
派遣
期間が三年を超える場合には、
派遣先
の
企業
が
労働者
に直接
雇用
を申し込まなければならない、
労働者派遣法
ではそう定められております。ところが、この法律を逃れようということで製造業の大
企業
が編み出したのが、
派遣
期間をごまかす
偽装請負
でありますが、我々はマツダやいすゞの
実態
をつかんで
国会
でも実際に取り上げましたけれども、
自動車業界
全体でもそういうことが起こっている、横行していると言われております。 そこで、
日本
自動車
工業会の会員
企業
の中で、実際に
偽装請負
を行っていた
企業
というのはどこだというふうにつかんでいらっしゃるのか、伺いたいと思います。
川口均
52
○
川口参考人
自工会としましては、
各社
、個社ごとの
状況
につきましては必ずしも把握しておりませんので、お答えできません。
笠井亮
53
○
笠井
委員
各社
ごとにつかんでいないと、よそごとのような話なんですけれども、国の
制度
に、
労働者派遣
事業適正運営協力員というものがあります。ここに名簿がありますけれども、
全国
で九百三十二名ということで選任、委嘱されて
活動
していて、東京労働局においては、
日本
自動車
工業会から、参与で労務室長の奥村政一さんという方が入っておられます。 この協力員というのは、行政
機関
が行う違法行為の防止、摘発を補完するものとして、
労働者派遣
事業の運用の
実態
をめぐって、法違反の疑いがある事案を把握したときには職業安定行政
機関
に連絡するという役割を担っておられるわけで、工業会として知らぬ存ぜぬでは済まされないと思うんですね。
自動車業界
内の法違反の
実態
について、コンプライアンスの立場からも、法令遵守の立場からも当然つかんで報告すべきじゃないかと思うんです。ぜひ
資料
を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
川口均
54
○
川口参考人
今御指摘のあった個社ごとの
状況
については必ずしも把握しておりませんけれども、御指摘の点につきまして、
自動車
工業会に持ち帰って、傘下
各社
と確認を進めてまいりたいと存じます。
笠井亮
55
○
笠井
委員
偽装請負
で働いていた期間も、実際に同じ職場で同じような仕事をしているということであれば
派遣
期間とみなされるということで、それが合算して三年以上なら、直接
雇用
の義務が生じて対象となります。そういう場合は、既に
違法派遣
になっているわけですから、当然、直接
雇用
になっているべきであるというふうに思うんですが、それはそういうことでよろしいですね。
川口均
56
○
川口参考人
今御指摘の点は、いわゆる二〇〇九年問題とも関連するかと存じますけれども、法令の遵守、コンプライアンスの観点は
企業
としては当然のことですし、コンプライアンスに対する違反があるということは考えがたいことかと存じます。 そういう意味では、三年継続した後の
雇用
の点に関しましても、当然、コンプライアンスの観点で対応するべく準備をしておりましたけれども、昨今の経営
環境
の大幅な変化の中で、その
状況
が百八十度変わってしまったという
状況
であると認識しております。
笠井亮
57
○
笠井
委員
経営
環境
の悪化ということにかかわらず、法令なんですからこれに違反したらだめなわけで、既に五年、六年と働いているケースがあって、それを直接
雇用
を申し入れていない、そういう事態がもう起こっているわけですから、そこはしっかりと対応しなきゃいけない問題だと思います。 しかも、そもそも、今進められている非正規などの大量解雇が先ほどおっしゃったような苦渋の選択なのかという問題なんですけれども、万策尽きてやむを得ないかという点で若干聞きたいと思うんです。
参考人
は、聖域なき
コスト削減
をやった上だというふうに言われました。そこで挙げられた、役員、
管理職
の賞与、報酬、賃金のカットというふうに言われましたけれども、実際に国民から見たら、どれだけ
自動車業界
でそういう
努力
をされているのか見えません。例えば御社の社長も、どういう形で今給与をもらっていらっしゃって、どういうところに住んで、どういうことをされているかということも含めて、いろいろなことを言われておりますけれども、そういう問題があります。株主配当だって、先ほどありましたが、
維持
したりふやしているということが現実にあるわけですけれども、そのこともきちっとやらずに、あるいは国民にきちっと示さない上に、万策尽きた苦渋の選択ということが言えるでしょうか。
川口均
58
○
川口参考人
ただいま御指摘の点に関しまして、やはり個別の
各社
できちっとした対応をとって対応することでございますし、自工会の立場で
各社
に対して個別に指示をするということは当然行っておりません。ただ、一般的な意味合いにおきまして、今回の
状況
の中で、役員も含めまして、速やかに賞与ですとか報酬のカットは率先して行い、そういった点につきましては今回の経営
危機
の中で一番の対応をしたかと存じます。 さらに、先ほどの
派遣労働者
あるいは非正規
労働者
に対する対応につきましても、苦渋の選択と申しましたもののあらわれとしましても、実際に更新をしなくなった後も、
派遣
会社
、
派遣
元の方とお話をしまして、寮ですとか
社宅
ですとかでの滞在期間の延長とか、それから食堂での食事、こういった面、さらに加えて、傘下の個社の中には
相談
窓口みたいなものを設けて、再就職のあっせんですとか
雇用
保険の対応の仕方、こういったものの指導を行っておりまして、できる限りの対応をしてきていると認識しております。
笠井亮
59
○
笠井
委員
今のお話を伺っても、万策尽きたということがなかなか納得できないという問題だと思います。 最後になりますが、内部留保の問題、もう
一つ
そこもあると思うんです。先ほど
宇都宮参考人
からは、とにかくこの内部留保も、非正規の方々が残業もしながら、物のように使われながらためたものではないかというお話がありました。実際に、
自動車
関連を含む製造業で見ても、この十
年間
で内部留保が三十二兆円ふえて百二十兆円になっております。 私
たち
、それを全部使えと言っているんじゃないんですね。その一%を活用すれば、三月までに切られるとされている四十万人を直接
雇用
できるじゃないかということを言っているわけでありまして、留保のうち六十六兆円が投資有価証券ということになっています。だから、直ちにそれが、一%使ったら経営が立ち行かなくなるのか、そんなことは全然ないわけで、その点は大いにきちっとやるべきだ、それが責任だというふうに思うんです。 一点だけ質問したいんですけれども、この問題を私、
国会
で質問しましたら、河村官房長官が、
雇用
を守る
企業
の
社会
的責任があるということで、内部留保の活用について
業界
に対しても働きかけたいと答弁しました。首相もそういうことを言いました。実際に
政府
から内部留保の活用について働きかけがあったでしょうか。伺いたいと思います。
川口均
60
○
川口参考人
今の点、こちらの記憶にございませんので、後ほど確認させていただきたいと存じます。
笠井亮
61
○
笠井
委員
ぜひ確認していただきたいと思います。 私は、
景気回復
のためにも、
雇用
を守る
企業
の
社会
的責任をやはり
日本
自動車
工業会としてもしっかりと真剣に
議論
して果たしていただきたいということを切に申し上げて、質問を終わります。
衛藤征士郎
62
○
衛藤委員長
これにて
笠井
亮君の
質疑
は終了いたしました。 次に、阿部知子君。
阿部知子
63
○阿部(知)
委員
社会
民主党の阿部知子です。 本日は、二人の貴重な
参考人
の御
出席
を、まず冒頭、御礼申し上げます。 今も
笠井
委員
の方から
企業
の
社会
的責任ということでお尋ねがございましたが、私もその点については後ほどお伺いをいたしたいと存じますけれども、まず、それに先立ちまして、私ども、ここ立法府におりまして、やはり
政治
の責任ということをまず第一に、これは主に宇都宮さんにお尋ね申したいと思います。 きょう
宇都宮参考人
は、例えば厚生労働省の講堂の開放も含めて、また私ども議員の何人かが
派遣
村に出向いたことも含めて、お礼という形でおっしゃってくださいましたが、本来であれば、私などはぞっとするのは、もしあの
派遣
村がなかったら、年末、路頭に迷い凍死される方も出たであろう、本当はそれに先立って
政治
がなすべきことをなしていなかった。そうした大きな問題がまず私どもの側にもあろうかと、私の側からは思うわけです。 今回、宇都宮さんは
派遣
村の
名誉村長
と、名誉が大変あるということでありますが、
政治
的な私どもの立場から見れば不名誉な
政治
であったという、ひっくり返しになりますが、実は、私が宇都宮さんにいろいろ教えていただくようになりましたのは、サラ金問題がきっかけでありました。 サラ金が
日本
で二千万、多重債務が二百万人、そして、その中から多くの
自殺
者が出ておるという指摘で、私の友達の
弁護士
が、
日本
の
自殺
者のうち一体何人が経済苦で
自殺
しているのか、阿部さん議員になったんだから調べてちょうだいと。まだ私が議員になって間もないころでありました。私も、それは本当に、
日本
が三万人以上に及ぶ
自殺
者というのは大変なことであるし、その内訳を調べねばならないということで、各部署にもお願いしていろいろなデータも出していただくようになりました。 確かに、
日本
の
社会
では働く盛りのサラリーマンがあっという間に、本当にあっという間にサラ金地獄、あるいは、普通であれば御高齢者の
自殺
が多い等々は病苦等々ありますが、そのほかの要因で本当に
自殺
という道を選んでおられる。私は、二〇〇〇年以降ずっと
自殺
者数が三万を下らない、このあたりから
日本
の
社会
の変質というのは大きくクローズアップされただろうと思うわけです。宇都宮さんは、そのサラ金問題から今日の反
貧困
と。 せんだって公述人で来ていただきました湯浅さんは滑り台
社会
だと言いましたが、別に、
派遣
村に至るまでの方々は、これは失礼な言い方ですが、とても怠けていて、本当にはしにも棒にもかからなくてそうなっているのではない、むしろ、
社会
の構造の中でどこにも歯どめがない
貧困
が生じているという事態として、やはり
政治
の責任なんだろうと思うのです。 先ほど宇都宮さんから具体的に幾つかの御指摘がありましたが、先生がサラ金問題にかかわられ今日の
派遣
村の
取り組み
に至るまで、まず、先生が述べられたことの繰り返しかもしれませんが、
政治
的には何をトータルでなしていくべきか。
貧困
率の捕捉、
生活保護
の捕捉の問題もおっしゃいましたが、私は、今時代は大きな転換点で、その中で
政治
が最低限これをすべきだというようなことがあると思うので、もう一度この点についてお願いいたします。
宇都宮健児
64
○
宇都宮参考人
阿部先生御指摘のとおり、私は三十年近くサラ金問題、多重債務問題に取り組んできたんですけれども、今から思うと、多重債務問題自体が
日本
の
貧困
問題の現象形態だと思っております。 やはり、多重債務者に陥る人、それからサラ金とかクレジット、高利のお金を利用する人は、低所得者が多いですね。日弁連の
実態調査
でも、大体破産者の八割ぐらいが月収二十万未満なんですね。それから、やはり破産の原因として、経済苦、
生活
苦が圧倒的に多いわけです。そういう
人たち
に対する
セーフティーネット
がしかれていませんので、高利のお金に頼るしかないんですね。 私は、二〇〇〇年に日弁連の
調査
団としてドイツ、フランスの消費者金融の
実態調査
をやったことがあるんですけれども、ドイツ、フランスには
日本
のようなサラ金とかやみ金は全くないわけです。銀行が消費者金融をやっていますし、銀行が中小
企業
金融をやっています。それを利用できない人に対して、かなり手厚い
セーフティーネット
がしかれております。だから、
日本
みたいな多重債務問題はヨーロッパにはない。同じ資本主義的な経済形態をとってもそういう国があるんだということでびっくりしましたし、私自身も、何とか
日本
がそういう
社会
になればということで
活動
をしてきたわけです。 それで、やはり
政治
の問題としては、そういう背景にある
貧困
の問題に十分焦点を当ててこなかったんじゃないかと思います。
社会
の風潮としても、やはり
日本
は一億総中流ということで、
貧困
は見えなくなってしまった。それから、ここ数年は
格差
の問題が
議論
されていますけれども、
格差
で
議論
していくと、あっていいのか悪いのかという
議論
になってしまう。ところが、
貧困
の
実態
は、この前NHKの正月の番組で竹中さんですら
貧困
はあっては悪いということを言っていましたので、人間らしい
生活
のできない
生活
者がふえていくことは、これは
社会
的に絶対容認できないですね。 それで、ヨーロッパでは、随分この
貧困
の問題に
政府
も
実態調査
をやっていますし、そこの
削減
をどうするかということが大きな
政治課題
になっています。国連もそういうような計画を立てていますね。例えばイギリスの場合、ブレア政権の時代に、子供の
貧困
の
実態調査
をやっています。子供の
貧困
率がすごくふえているわけですね。それで、二〇一〇年までにイギリスは子供の
貧困
を半減するという計画を立てて、そのための、教育、
社会
保障、さまざまな総合的な
対策
をとってきているわけですね。
日本
でこういうようなことが真っ正面から
政治課題
になって、そして、
政府
としていかに
貧困
を
削減
するかということをやられたことがあるかというと、全くないわけですね。そして、気がつけば
世界
第二位の
貧困大国
になっちゃったということなので、私は、
労働者派遣法
の
改正
についても、そういう視点、働いている人の
権利
を保護する、そういう
人たち
が
貧困
に陥らないようにどうすればいいのかという
議論
が全く欠けていたんじゃないかと思っております。 表面的な、多様な働き方を望む
労働者
のニーズにこたえるというような
議論
がなされましたけれども、では生身で働いている
労働者
はどんな
状態
なんだということがもっとしっかり
議論
されなきゃいけなかったと思いますし、法律ができた後のフォローが全くなされていないですね。 今回は、
派遣切り
ということで、集中的に
派遣労働者
の
実態
があらわれましたけれども、実は、我々、数年前から、こういうような
派遣切り
されて
野宿
になった人の
相談
を受けているわけです。だから、そういうことについても、もっと
政治
がそういう
人たち
に寄り添って
実態調査
を深めていれば、今日の事態はもう少し防げたんじゃないかと思っております。
阿部知子
65
○阿部(知)
委員
貴重な御指摘、ありがとうございます。
貧困
を
政治
の正面の
課題
にせよということで、御指摘のあった住宅や働き方や医療や教育ということを、これからも
国会
の中できちんと責任を持って論じていきたいと思います。 引き続いて、
川口参考人
にお願いいたします。
参考人
はヨーロッパでの職歴というかお仕事も長いように
資料
から拝見いたしましたが、私は、先ほどの
笠井
委員
のお尋ねの
企業
の
社会
的責任ということを具体的責任と言いかえて少し御
質疑
をしたいと思うのです。本来であれば、例えば経団連のしかるべきCEO等々に匹敵する方がこの場へ来られて
日本
のこれからの産業のあり方等も論じ、その
見通し
の中で、やはりきょうの
川口参考人
のいろいろな苦渋の言葉、もう絶望的な
企業
の
状況
等々ありましたから、そういうことも含めて、どこに活路を見出すかを論じた上で、その中で労務管理、いわゆる
雇用
情勢の問題も論じるべきと思いますが、きょうは
川口参考人
の御
出席
ですので、その点に絞ってお伺いをしたいと思います。 私が
社会
的責任を具体的責任と言いかえたのは、先ほど
宇都宮参考人
がおっしゃったように、例えば
派遣
法はできたけれども、それが具体的にどういうふうに労働現場や個人、大事な
労働者
をひずませてきたかということに、この際やはり
企業
にもきちんとした視点を持っていただきたいと私もまた思うものであります。 例えば、
派遣先
に当たられると思いますが、多くの
自動車業界
は、先ほどの
偽装請負
等々、あるいは
有期雇用
の年限が終わった後の正社員化という問題と同時に、このたびの解雇ということだけをとったとしても、まだ契約期間の中にあるにもかかわらず違法解雇、こういうことも行われているのではないか、そういう
実態
については、これは労務管理の基本の基本ですから、どのように把握しておられるか。 私が受けた印象は、残念ながら、ちょっとお話の中では、その労務管理の中に非正規の、
派遣
の皆さんの姿が見えない。でも、確かにそこにいて働いておられて、そして契約途中で首を切られたり、それからもう一点、
派遣先
は、解雇せざるを得ないときに、例えば同じ
企業
グループ内で他の部署を紹介する等々をしなければいけない指針もあるかと思うのですね。解雇に当たって、こうした期間内の解雇や、あるいは実際どのくらい他の工場あるいは
企業
グループ内の部署への転換が図られてきたのか、その
実態
はいかにというところはいかがでしょうか。
川口均
66
○
川口参考人
ただいま御指摘の点ですけれども、まず、基本的に、非正規の方々の中で希望者、あくまでも希望される方ですけれども、希望される方で
会社
としてもぜひ正規に登用したいという方は、実績としましても、過去五年、先ほど申しましたけれども一万人に上る登用を図ってきております。その辺ももう一度御認識いただければ幸いでございます。
自動車産業
の中で、基本的に、コンプライアンス違反がある、途中で首を切るといったことは私自身は認識しておりませんけれども、コンプライアンスの遵守ということは
企業
としての当然の責任であると思います。もちろん、契約の途中であった場合でも、
派遣
の場合ですと、その一月前にノーティスを出す、こういった点に関しましては最低限の
努力
をやってきていると思います。 配置転換に関する御指摘もあったかと思いますけれども、そこの部分につきましては、まさにグループ
企業
、あるいは生産工場であれば別の職場移転とかを頻繁にやっております。それから、夜勤とか昼勤とかシフトがありますけれども、そういったシフト対応といったことも対応しております。そうしたところは、基本的に
正規従業員
を中心に、できるだけ
雇用
を
維持
するという観点で対応してきている内容かと存じます。 以上でございます。
阿部知子
67
○阿部(知)
委員
まず、コンプライアンス違反はないということは、ちょっとやはり認識が違っておられるのではないか。 例えば、具体的ですが、藤沢というところでI
自動車
というのがありまして、十一月の末に、十二月末で九百六十人首を切るぞという通告がありました。ところが、ここは、十月までは増産に次ぐ増産で、休日も
派遣
の人は出ておられたわけです。それから、本当は三月までの契約でありました。それが十二月で途中解約になりました。小さな労働組合ですけれども、労働組合が一生懸命交渉をされて、とりあえず三月末までは期間工については継続がなされました。しかし、これも何回かの
団体交渉
の結果で、私どもから見れば、団交がなければ、当然このコンプライアンス違反は違反としてあっただろうと思うわけです。 これはたまたま私が身近で経験した例なので、契約期間中の解雇というのはほかでも挙げられておりますし、それは一カ月前に言ったからいいというのではないんだ。それから、増産に次ぐ増産で、そのわずか翌月には解雇ということは、私は、その間あらゆる、例えば経営者側の賃金カットとかいろいろなことをしたんだ、やれる
努力
は全部したからではないと思うんです。
派遣切り
という言葉が使われるのは、余りにも急速だからなんだと思うんです。そこに余りの不公正、不公平があるからこそ、今日、
社会
的に問題になったのではないか。 きょう、
川口参考人
は
資料
等々を御準備じゃないと思いますから、ぜひ関連の傘下でそうした契約期間内のいろいろな解雇が、解約があったという事実をお調べいただきたいし、もう
一つ
きょうはぜひお願いがありますが、この私の地元のI
自動車
では、ある意味では私は偉いと思いましたが、
派遣
の皆さんの団交もお受けになったわけです。
派遣
だからといって、はなから
派遣先
が団交を拒否する場合もおありです。
宇都宮参考人
のお話の中に、
派遣先
の方もきちんと、
雇用
責任ではないです、でも、ある意味での
社会
責任を負って、この
派遣
の皆さんともしかるべく
団体交渉
の場に臨んでくれという御
意見
がありました。これは、労務管理上、私は非常に重要だと思います。この点について、お考えを最後にお伺いしたいと思います。
川口均
68
○
川口参考人
個社の
状況
に関しましては、自工会としては把握しておりませんので、今の先生の御指摘にはお答えしかねると存じます。
阿部知子
69
○阿部(知)
委員
何のための労務管理であるか、誠意を持ってやはり臨まれて、
社会
の責任を果たしていただきたいと思います。 終わります。
衛藤征士郎
70
○
衛藤委員長
これにて阿部知子君の
質疑
は終了いたしました。 次に、糸川正晃君。
糸川正晃
71
○糸川
委員
国民新党の糸川でございます。 本日は、
参考人
の皆様、大変貴重な御
意見
をありがとうございました。私は最後の
質疑
者でございます。二十分の時間の中で質問をさせていただきたいというふうに思っております。 先ほど、
川口参考人
のお言葉の中に、製造業の
派遣
をやめると、結果的に、
業界
の物づくりができなくなって、製造業全体ができなくなって、国外での物づくりに変わっていってしまう、国外に出ていってしまう、安い物づくりというのはやはり外に求めるというような発言がございまして、そうなると、それは暗に、安い
労働者
を
国内
で必要としているんだ、その
人たち
というのが非正規
労働者
であったりということになってくるのかなと思いますけれども、これからの経済が、
日本
の経済というのも回復してくる。あらゆる経済
対策
を打つことによって経済が回復してくると思いますけれども、そのときに、この非正規
労働者
の方
たち
をまた再
雇用
されるというふうにもおっしゃっておられました。 そのときに、今、これだけ
社会
問題になってきていますね、
派遣労働者
の雇いどめであったり
派遣切り
というものも含めて。では、
業界
としてどのような
雇用
の仕方、契約の仕方に変えていくのが望ましいか、それをどのようにお考えなのか、
川口参考人
にお伺いしたいというふうに思います。
川口均
72
○
川口参考人
先ほどから若干繰り返しになる点もあるかもしれませんけれども、非正規の労働というものが
自動車産業
に果たしてきた役割はやはり大きい、そういう点はあると存じます。それは、市場の変動というものは常にある、その中でいかに柔軟に生産面で対応していくかというのは、これはもう、国際競争の中にさらされた
日本
の
自動車産業
の縮図ではないのかなと存じます。 そうした中で、そういった生産の弾力性、柔軟性を
確保
するために非正規の
従業員
の労働サービスというものを十分に適用していくということは、
日本
の
自動車産業
が競争力を
維持
していく上で非常に重要である。したがいまして、また今後の
景気回復
の局面でやはりその同じメリットを生かしていくという観点において、非正規の再
雇用
、非正規労働の提供というものを今後とも利用していければ、有効な
日本
の競争力
維持
につながると考えます。
糸川正晃
73
○糸川
委員
ただ、これだけ
社会
問題化してきておりますから、今までと同等の、同じような非
正規雇用
者の採用、こういうのでは正直難しいのかな、私
たち
も、今これを
検討
して、
派遣
のあり方というのをこれから考えていかなきゃいけないというふうに思っています。 きょう
宇都宮参考人
からいただきました
資料
では、やはりそういう
派遣労働者
というのがあるということ、そして、
派遣切り
を行っている
企業
が
社会
的責任を果たす必要があると。そういう中で、例えば、非正規
労働者
の
生活
・就労
支援
基金というものもあったらどうだろうかというようなことも考えていらっしゃると思いますけれども、この基金というのはどういうようなものを想定していらっしゃるのか、詳しく教えていただけますでしょうか。
宇都宮健児
74
○
宇都宮参考人
先ほどお話ししましたように、
派遣
村の
村民
に対しては、結局は、最後の
セーフティーネット
の
生活保護
の活用、それからあと
生活
福祉資金の一部である
緊急小口資金
貸し付け
、こういうものを利用して、住まいを
確保
して今再就職
活動
をやっている。一部、仕事が見つかった方もいますけれども、これは全部税金なんですね。 だけれども、先ほどお話ししましたように、この間、こういう経済不況になる前は、
自動車業界
を初めとして大変な利益を上げてきました。それは、そこで働いていた
派遣労働者
の労働の結果でもあるわけですね。ところが、こういう不況になると、まさに
雇用
の調整弁として首を切ってしまう。それに対する
企業
としての責任は、経済的な負担は全くなされていないんですね。 だから、そういうことでいいのかということで、むしろ、
生活保護
とかそういう
緊急小口資金
、税金だけじゃなくて、もう少し、個別
企業
だけじゃなくて
企業
全体としての、
派遣労働者
を使っている
企業
に給付金を出させて基金を使ったらどうか。場合によれば、そこに
政府
のお金も一部入れるということも考えられると思いますけれども、それを運用して、最後の
セーフティーネット
にかわり得るような、
生活
・就労
支援
基金みたいな
制度
をつくり上げれば、
企業
としての
社会
的責任を果たせといっても、果たし方、形を見つけてあげないとなかなかやりようがないのかなと思いますので、そういう提案をさせていただいたということです。
糸川正晃
75
○糸川
委員
ありがとうございます。 今回、
宇都宮参考人
は
派遣
村の村長として非常に御尽力をされたわけでございます。今、NPO法人とかいろいろなところでこの
支援
活動
というのを継続してやっているわけでございますが、
ボランティア
に対する
支援
ということに対して、
日本
の
政府
、行政が本当に充実して
ネットワーク
をしっかりとできているかというと私は疑問があるところでありますけれども、現場にいらっしゃる先生がどのように受けとめていらっしゃって、そして、これからこういう
支援
活動
に対して、行政はどういうふうに
ボランティア
の方
たち
、そしてNPO法人に対して接すべきだというふうにお考えでしょうか。
宇都宮健児
76
○
宇都宮参考人
今回の非常事態に対して比較的スムーズに対応できているのは、
ボランティア
グループとか、あるいは
派遣
村の場合は労働組合の皆さん方と一緒にやったんですけれども、そういう民間のレベルというのは、いろいろな法律の拘束もありませんのですぐ対応できるんですね。 ただ、実際は、財政的には非常に、それこそ
貧困
な団体が多くて、個人の自己犠牲によってこういう
活動
がなされています。
派遣
村は一月の十二日で終わったのかというと、実はその後もずっと続いていまして、二月の初めごろに都内の旅館からやっと、大体ほとんどの
村民
が、
生活保護
等、あるいは仕事を得て自立できているんですね。そこまでずっとバックアップしたというのは、参加した、実行
委員会
を形成している労働組合とかあるいは
ボランティア
グループなんですけれども、全く手弁当なんですね。それから、村長をやっている湯浅誠さんは、もやいという
野宿者
支援
のNPO法人をつくっているんですけれども、ここ自体がもう破綻の
危機
に瀕しているわけですね。 そういうような、財政的には非常に厳しい
状況
下で非常に自己犠牲的な
活動
をやっている団体がたくさんあるんですけれども、私は、そういう団体が、
派遣
村の
活動
を通じて、
日本
全国
に民間レベルでのこういう
派遣
村を何百カ所もつくれるぐらいの力を持たないとだめだなと。全部
政府
とか自治体に任せていくだけではだめで、やはり民間レベルも力をつけなきゃいけない。そのためのやはり人的な
支援
とか財政的な問題を、もう少しそういう民間レベルの
ボランティア活動
を活性化するために
政府
として配慮するような
対策
があってもいいのではないか、そういうふうにつくづく感じております。
糸川正晃
77
○糸川
委員
非常に
ボランティア
というのは
貧困
で、自己犠牲によって成り立っているということも
理解
しているわけですが、
川口参考人
、やはりこういう
ボランティア
の方
たち
が、
企業
が行った
派遣切り
によって本当に
貧困
層の方々が苦労されていらっしゃるのを
ボランティア
の方
たち
が
支援
し、そして
政府
もこれから
支援
をしていかなきゃいけないということを言っているわけですが、
宇都宮参考人
がおっしゃられているような、例えば非正規
労働者
の
生活
・就労
支援
基金みたいなものをこれから
企業
に求めていく中で、きょう、
参考人
は日産
自動車
というところでいらっしゃっているということではないのかもしれませんけれども、例えば
企業
としてそういう協力ができるのかどうか、製造業全体としてそういうことも、そしてまた
会社
として
社会
的責任を負っていく中でそういうことが可能かどうか、お答えいただけますでしょうか。
川口均
78
○
川口参考人
今のお話はきょう初めてお聞きする話なので、今まだ、その新しい話を出す前に、現在の
セーフティーネット
と言われる諸々の
課題
、
雇用
保険の拡充ですとか住居の問題とか、そういったところをもう一回きちっと洗い直して、どこがうまくいってどこがうまくいっていないのか、やはりそこのところをもう一度検証した上で対応を考えていただくということの方が先ではないのかと存じ上げます。
糸川正晃
79
○糸川
委員
きょう初めて聞いたのかもしれませんから、ぜひ、こういうのは団体の中でもまた御
検討
いただきたいなと思いますし、せっかくこういう機会に
参考人
としていらっしゃったわけですから、またそういうことも情報として持って帰っていただければというふうに思います。 今、どうしても最低賃金の問題というのがこれからまた
議論
になってくると思うんですけれども、
我が国
は時給が七百三円だということですね。厚生労働省の
海外
情勢報告によりますと、先進国の中では最低水準にあるということでございます。 働く
貧困
層、ワーキングプア、こういう
人たち
をなくすためにやはり最低賃金を引き上げる必要があるのではないかということが言われていますけれども、この引き上げがもたらす効果、影響というんでしょうか、よい面も悪い面もあると思いますが、このことについて、お二人の
参考人
からそれぞれ御
意見
をいただきたいというふうに思います。
宇都宮健児
80
○
宇都宮参考人
先ほど冒頭に、最低賃金の大幅引き上げが必要だというふうに
意見
を述べさせてもらいました。 先生おっしゃるとおり、
日本
は先進国でも最低ですね。この今の最低賃金で、フル稼働しても
生活保護
水準以下の収入しか得られないというような都府県がたくさんあるわけです。少なくとも、働けばそれこそ
貧困
から脱却できる、人間らしい
生活
ができるというところまで最低賃金を引き上げるべきだと思いますね。そういうところから手がけていかないと、なかなかワーキングプアの問題は解決しない。だから、
労働者派遣法
の問題とかいろいろありますけれども、最低賃金の引き上げというのは、まず最初にやるべきことの
一つ
じゃないかと思います。 これまで、こういうことが問題になって少しずつ上がってきていますけれども、まだまだ
生活保護
水準以下というのは、これだとなかなかワーキングプアの問題は解決しないと思いますので、ぜひ
国会
においてもよろしくお願いしたいと思います。
川口均
81
○
川口参考人
自工会の立場として最低賃金を云々するということは難しいと思いますけれども、ただ、最低賃金の内容というのは、その時々の
状況
とか
雇用
の情勢、あるいは全体の産業の
状態
等を総合的に勘案し、かつ、BRICsとか新興国の台頭とか、そういった国際的な観点での賃金のあり方等を総合的に判断していただいて御決定いただければと存じ上げます。
糸川正晃
82
○糸川
委員
ぜひ、
川口参考人
、
会社
の、
企業
の中でも重要な地位につかれていらっしゃるわけでございますから、こういう賃金の問題、そういうこともしっかりと御
検討
いただきたいなというふうに思います。 私もそうでしたけれども、
社会
に出て、だんだん所得が上がっていくということに対しては喜びもあるし、自分のモチベーションも高まっていくし、そういう
環境
というのをやはり
社会
的責任の中でしっかりと果たしていただければなと思うわけです。苦しいのはわかりますけれども、苦しいからといって賃金をカットする、もしくは据え置くとか、そういうことだけじゃなくて、やはり正社員の方
たち
に対しても、そして非正規の方
たち
にも手を差し伸べていただけたらいいなというふうに思うわけです。
川口参考人
に、ちょっとこれは個人的な質問になってしまうかもしれませんけれども、日産が操業停止工場の正社員に副業容認を
検討
しているということが出ておりまして、これは
川口
さんがおっしゃられたのかどうかなんですけれども、
従業員
の健康管理等を含めて慎重に
検討
して結論を出していきたいというようなこともおっしゃっていますが、この正社員の副業ということに対してどのような御認識を持っていらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。
川口均
83
○
川口参考人
本日は、自工会の立場で参っておりますので、日産そのものの考え方についてはあえて触れたくないんですけれども、一般論としましては、現在大幅な休業
状況
にある、そういった中で、
従業員
の方から副業の申し出があった場合、どういうふうに対応するか。
原則
的には禁じております。
原則
的には禁じておりますが、今の特別な
環境
の中で、そういう面を対応していくかどうか、今先生がおっしゃったとおり、健康管理の問題とかも含めて総合的に判断していく必要があると思いますし、自工会の中では、その判断は個社の判断にゆだねるという形になるかと存じます。
糸川正晃
84
○糸川
委員
済みません、きょうは自工会の方からいらっしゃっているということで、非常にお答えしづらかったかもしれませんけれども。 これも、もう余り時間がありませんので、最後に
宇都宮参考人
と
川口参考人
にお伺いしたいんですけれども、やはり非正規
労働者
そして正規
労働者
あわせまして、こういう今の経済情勢になって、これからに対して非常に不安を抱えていらっしゃる方というのは多いと思うんですね。こういう方々に対してカウンセリング等というのも必要になってくると思うんですけれども、例えば
社会
的
取り組み
の中で
政府
はこういうことをしてくれたらいいのになとか、そういうカウンセリングについての要望がありましたら、お聞かせいただけますでしょうか。
宇都宮健児
85
○
宇都宮参考人
これは
派遣
村実行
委員会
の方からも要望していますが、やはり、仕事を失って
生活
資金もままならない、中には住居も失っている人がいるわけですけれども、そういう人にいろいろな
相談
窓口というのは、あっちに行け、こっちに行けというのは、とても
相談
できないんですね、
交通費
すらない人もいますから。 一カ所に
相談
窓口をつくって、そこに、行政の方から、就労それから
生活
相談
、それから
貸し付け
の
相談
、それから借金を抱えている人もいますから、そういう
相談
、一カ所でワンストップサービスができるような
相談
窓口を、ぜひ
政府
が行政の方にも、自治体にも働きかけてつくっていただけたらと思います。なかなかこれがまだできていない。名古屋ですらできていないんです。よろしくお願いします。
川口均
86
○
川口参考人
今、宇都宮先生がおっしゃったような内容だとしましたら、それはやはりいわゆるパブリックサービス的な、公としての観点でのサービスになりますので、
企業
の方としては、そこの中でどういう形でサポートできるか、そういう形での参考
意見
を述べさせていただくような形で参加という形になるかと存じます。
糸川正晃
87
○糸川
委員
ありがとうございました。 大変貴重な御
意見
をありがとうございました。終わります。
衛藤征士郎
88
○
衛藤委員長
これにて糸川正晃君の
質疑
は終了いたしました。 以上をもちまして
参考人
に対する
質疑
は終了いたしました。
参考人
川口
均君、
参考人
宇都宮健児
君におかれましては、御多用中のところ、まことにありがとうございました。
委員会
を代表して御礼を申し上げます。(拍手) 午後一時から
委員会
を再開することとし、この際、休憩いたします。 正午休憩 ————◇————— 午後一時
開議
衛藤征士郎
89
○
衛藤委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 この際、お諮りいたします。 三
案審査
のため、本日、
政府参考人
として
内閣官房郵政民営化推進室長
振角秀行君、
国家公務員制度改革推進本部事務局長
立花宏君、
内閣
府
食品安全委員会事務局長
栗本まさ子
君、
内閣
府
公益認定等委員会事務局長
原正之君、
内閣
府
官民人材交流センター審議官
平山眞君、
金融庁総務企画局長
内藤純一君、
総務省大臣官房長
田中順一君、
総務省人事
・
恩給局長
村木
裕隆
君、
総務省情報流通行政局郵政行政部長
吉良
裕臣
君、
総務省統計局長
川崎茂君、
外務省大臣官房審議官
羽田浩二君、
文部科学省大臣官房長
森口泰孝君、
文部科学省
生涯
学習政策局長
清水潔君、
厚生労働省医政局長
外口
崇君、
厚生労働省社会
・
援護局長
阿曽沼慎司
君、
厚生労働省保険局長
水田邦雄君、
農林水産省総合食料局長
町田勝弘君、
経済産業省産業技術環境局長
鈴木
正徳君、
経済産業省製造産業局長
細野
哲弘君、
資源エネルギー庁長官
石田
徹君、
中小企業庁長官
長谷川榮一
君、
国土交通省大臣官房技術審議官
関克己君、
国土交通省総合政策局長
大口清一君、
国土交通省道路局長
金井道夫君、
環境省地球環境局長
寺田達志君、
防衛省地方協力局長
井上
源三君の
出席
を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
衛藤征士郎
90
○
衛藤委員長
御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
衛藤征士郎
91
○
衛藤委員長
次に、お諮りいたします。 最高裁判所事務総局小川刑事局長から
出席
説明の要求がありますので、これを承認するに異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
衛藤征士郎
92
○
衛藤委員長
異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
衛藤征士郎
93
○
衛藤委員長
これより一般的
質疑
を行います。
質疑
の申し出がありますので、順次これを許します。川内博史君。
川内博史
94
○川内
委員
川内でございます。一時間半、閣僚の皆様方、お忙しいところ恐縮でございます。よろしくお願いいたします。 まず、質問要旨にはかんぽの宿から書いてございますが、ちょっと順番を入れかえさせていただいて、
生活保護
の母子加算について最初に質問をさせていただきたいと思います。
生活保護
の母子加算はこの四月一日から廃止をされるという予定になっているそうでございますが、これは、今本当に、
全国
の母子家庭、百二十万世帯というふうに言われているそうでございますが、この百年に一度の大変厳しい経済
状況
の中で、なおさら厳しい
状況
に置かれているというふうに思いますが、なぜ廃止をされるのかということについて、まず御説明をいただきたいと存じます。
阿曽沼慎司
95
○阿曽沼
政府参考人
お答えを申し上げます。
生活保護
の母子加算につきましては、母子加算を含めた
生活
扶助の基準額が、一般の母子世帯の平均的な消費水準と比べますと、
生活保護
を受けておられる母子世帯の方が高いということでございまして、そういう意味で、一般の母子世帯との公平性の観点を踏まえまして、一律機械的な給付を見直す、世帯の自立に向けた新しい給付に転換する、そういう考え方で廃止をするということでございます。
川内博史
96
○川内
委員
一般的な母子世帯と比べて扶助額が多かったのだという御説明でございましたが、それでは、一般的な母子世帯というものをどのようにして算定されたのかということを教えてください。
阿曽沼慎司
97
○阿曽沼
政府参考人
総務省が実施しております
全国
消費
実態調査
に基づきまして、母一人子一人の消費支出額でその消費水準を比べまして、細かく申し上げますと、五段階の低い方から高い方までございますが、その真ん中の第三・五分位の世帯の消費水準と
生活
扶助の基準額とを比べたということでございます。
川内博史
98
○川内
委員
総務省が行っている
全国
消費
実態調査
において、母子世帯、母一人子一人の世帯を五段階に分けて、その真ん中の消費
実態
を一般的な母子世帯としたのだという御説明でございました。 それでは、この
全国
消費
実態調査
における母一人子一人の母子世帯のサンプル数は幾つですかということを、総務省統計局から御答弁いただきたいと思います。
川崎茂
99
○川崎
政府参考人
お答え申し上げます。
平成
十一年に私ども総務省統計局が行いました
全国
消費
実態調査
の中では、約六万世帯が対象でございますが、その中の母子世帯は四百九十八世帯でございます。
川内博史
100
○川内
委員
母一人子一人の母子世帯は、サンプル数四百九十八世帯しかないんですね。百二十万世帯ですよ、全体では。それを、四百九十八世帯を五つに分けて、その真ん中をとりました、それが一般的な母子世帯の消費
実態
ですということで比べたというのが厚生労働省の説明です。 それでは、もう一回総務省統計局にお尋ねをいたしますが、四百九十八世帯を五分位、五つのクラスに分けるというのは、統計的に有意でしょうか、統計的に意味があるんでしょうか。
川崎茂
101
○川崎
政府参考人
お答え申し上げます。 私どもの行っております
全国
消費
実態調査
は、非常に精密な標本設計に基づいて
全国
の世帯の縮図になるような統計をつくるというものでございますので、その中での四百九十八世帯というと少なく見えるかもしれませんけれども、かなり代表性の高い標本であるというふうに考えております。 これをどのようにお使いになってその結果を出されるかということにもよるのですが、これが統計的に有意であるかどうかというのは、どのような仮説を立てられまして、またどういう水準で仮説を検証していくかということで変わるものでございます。したがいまして、今回の結果につきまして統計上有意であるかどうかということを私どもの方で直ちに判断することは困難ではございますが、この件につきましては、厚生労働省において適切に判断されたものであるというふうに考えております。
川内博史
102
○川内
委員
いや、総務省さん、統計をつかさどる統計局として、私はその答弁はちょっと責任を回避した答弁ではないかというふうに思います。 それでは、六十歳以上の単身者の世帯を、サンプル数は幾つとっていますか、
全国
消費
実態調査
で。
川崎茂
103
○川崎
政府参考人
恐縮でございますが、お尋ねを事前にいただいておりませんでしたので、
手元
にちょっと数字が用意してございませんので、直ちに
手元
にある
資料
を調べさせていただきます。
川内博史
104
○川内
委員
委員長
、これは大変大事な数字なんですよ。 では、単身高齢者の世帯を、統計局としては幾つの分位に分けて公表していますか。(発言する者あり) 教えてやれよという声があったので。私が統計局からいただいた
資料
では、六十歳以上の単身者の世帯については、四つの分位に分けて統計をしています。四つの分位、四つのクラスに分けているということですね。ということは、四つのクラスに分けるのがぎりぎり統計的に有意であるということを統計局は六十歳以上の世帯については判断しているということなんですよ。 では、母子世帯を五つの分位に分けて、それで比べることが統計的に有意なのか、それが意味があるのかというと、私は、統計局はしっかり答えなきゃいかぬ。まあ、はっきりわかりませんと言ったわけですね。先ほども、有意ですとは言い切れないわけですね。 わかりましたか、数字。今、ちょっと私がしゃべってつないでいましたけれども。単身、六十歳以上の高齢者の世帯。だって、すぐ出るじゃないですか、数ぐらい。
衛藤征士郎
105
○
衛藤委員長
川内君、後ほど答弁させますから。
川内博史
106
○川内
委員
いや、
委員長
、
生活保護
の母子世帯については、これは
委員長
も大変御関心が深い問題であるというふうに思います。 テレビで、私も母子加算額、
生活保護
の御家庭の問題に大変心を痛めています、これについては高木さんからもお話がありました、高木さんというのは公明党の高木先生ですが、何とか考えなければいかぬと思っていると。さらに続けて、御
関係
の皆さんだけではなく、私ども
国会議員
も、多くの
国会議員
がそのように心を痛めている、そう思っていますから、これについてここで発言する以上、必ずやりますと。必ずやります、こう
予算
委員長
は、
予算
委員長
としてお出になられたテレビ番組で、
生活保護
の母子加算については、これは廃止してはならないんだと。私は、まことに正しいお考えであるというふうに思います。 さらに
大臣
、これは、
生活保護
の母子加算を廃止する、あるいはそのままにしておくというのは、
大臣
告示、舛添
大臣
の一存で決められることでございます。一存で決められるんです、
大臣
告示ですから。今すぐにでもできることなんです、そのままにするよと。(発言する者あり)まあ、一存では決められない、それはそのとおり。 だけれども、権限としては、
大臣
告示だから
厚生労働大臣
が発出するわけでございまして、この
委員会
の
委員
の皆さん、そして
委員長
、
生活保護
の母子加算を廃止すべきではないということについては、みんな
意見
は一致すると思いますよ。だれも、いや、切っていいんだと言う人はいませんよ。 そもそも、この
生活保護
の母子加算を廃止するという
検討
会では、廃止していいという
意見
は少数
意見
だったんですからね。それを、厚生労働省の事務方が廃止するということに決めたわけですね。
大臣
、これは、
生活保護
の母子加算についてはきちんと復活をすると。
予算
は大丈夫ですから。ありますよ。
舛添要一
107
○舛添
国務大臣
一つ
の政策をどういうふうに決めるかというときに、さまざまな配慮が必要で、最終的に私がその告示を発出するにしろ、これは
社会
保障審議会の中で
生活保護制度
の在り方に関する専門
委員会
、こういうところで専門家によく
検討
していただく。 そのとき、今総務省にお尋ねになったデータなんかがあると思いますけれども、もともと母子加算というのは、戦後すぐ、
日本
が貧しかったときに、
生活保護
自体の水準が非常に低かった、とてもじゃないけれども母子家庭はやっていけないということで、そもそも加算された。 しかし、不断に
見直し
ていかないといけないし、
社会
保障
制度
というのは、常にあらゆる
制度
についてモラルハザードが起こってくる。例えば、
生活保護
のあり方を見たときに、今、年金の問題もいろいろ大きな問題がありますが、年金をもらうよりは
生活保護
の方がいいじゃないか、あっちの方がいいじゃないかという方がいるとか、いろいろな問題がありますね。 そういう中で、だんだん
生活保護
の水準も上がっていきました。そうすると、今のデータなんかを使いますと、母子家庭への加算を加えたときに、普通の母子家庭と比べたときにちょっと多過ぎるのじゃないかという
意見
が出て、今のように、三年かけて、十七年、十八年、十九年で少しずつなくしていくというのが
一つ
。 それから、
ハローワーク
でいろいろなことを今やっていますが、今、
雇用
の問題が大変大きいですけれども、やはり就業の
支援
、仕事を持ってもらう。働ける能力があれば、母子家庭であってもお母さんがいろいろな仕事をしていただく、そしてお金も稼いでいただく、そういうことの御
支援
を申し上げるということで、そちらを一生懸命やってくれる方々にはきちんと助成をしますということです。 それから、高校生以上の子供のときには、学校に行くための授業料を払わないといけないですから、その補助も含めているわけでありまして、それは、先ほどですけれども例えば就労
支援
月額一万円加えます、それから、職業訓練をやっていただく方、つまり働く意欲はあるんだ、こういうお母さんには五千円差し上げるということでありますし、今言った高等学校就学費用ということで、一世帯当たり一万五千円。 だから、そういう全体のパッケージで、仕事につくことをお勧めしながら、そして片一方でお助けすることは助ける、しかし全体の公平も考えるということで、
一つ
の政策のパッケージです。 ただ、今これだけ経済が悪くなったときに、今の
制度
以外で、例えば緊急的にそういう方を救うという手もあります。ですから、これはそれぞれの政策のパッケージなので、御
意見
は今しっかり承った上で、これはまた専門の
委員会
とも
検討
していただくとともに、母子加算自体の本来の問題もありますが、今緊急に救わないといけない
人たち
は、例えばほかの手で救えることがないかなというふうに思っていまして、問題意識は共有しておりますが、きょう私がすぐ、廃止、はい、もう
大臣
がこう決めたというのは、ちょっとお待ちいただきたいと思います。
川内博史
108
○川内
委員
統計局、出ましたか。いや、今
大臣
がおっしゃられた
検討
会で
検討
したのだということに、疑義がありますということを私は申し上げているわけですね、疑義がありますと。 なぜかなら、では、まず答えられることを答えていただきますが、
検討
会で、
委員
全体が何人だったのか、その中で母子加算を廃止してよいと明確に発言した人は何人だったのか、そのことからまず言ってください。それで、サンプル数が少ないねということは指摘されていたということも言ってください。
阿曽沼慎司
109
○阿曽沼
政府参考人
審議会に設けられた
検討
会でございますので、今わかる範囲で申し上げますけれども、全体としては、一般の母子家庭の消費水準との比較の観点からは、現行の母子加算は必ずしも妥当であるとは言えないという言い方がございました。それにつきまして、しかし、母子家庭は一般的に所得が低いことや、一の……(川内
委員
「いや、
検討
会の結果を聞いているんじゃなくて、賛成
意見
を言った人は全体の
委員
の中の何人ですかと私は質問をしているんです」と呼ぶ)
検討
会で実際にどういう御発言があって、何割の方が賛成して何割の方が反対かというようなデータは、今持ち合わせておりません、残念ながら。
川内博史
110
○川内
委員
いや、きのう質問レクの中でちゃんとそういう
議論
しているじゃないですか。何でそんなごまかすの。
予算
委員長
が、天下の
予算
委員長
が大変な問題にしている問題ですよ。それについて、
委員長
、こんないいかげんな答弁を許すんですか。担当局長が、持ち合わせていませんからわかりませんとは、何ですか、それ。
舛添要一
111
○舛添
国務大臣
専門
委員会
の細かい数がわかり次第お知らせするようにします、それはこの場においてなり。 私のところに来ている報告では、現行の母子加算は必ずしも妥当とは言えないというのが全体の
意見
ですが、ただ、統計
調査
における一般母子世帯の客体数、つまりサンプル数の少なさから、一般母子世帯の消費支出額との単純な比較によってこの基準の妥当性を判断することはできないという指摘もあったと。 何名がやったというのは、これは数がわかり次第お知らせいたします。
川内博史
112
○川内
委員
いや、
社会
・
援護局長
、それはひきょうですよ。きのう、ちゃんと私は、
委員
全体が何人で、母子加算を廃止していいと言っている
委員
は三人だねということを確認しているじゃないですか。(発言する者あり)いや、確認している。議事録ちゃんと読んでいるんですから、私は。その上で臨んでいる。何でごまかすんですか。
衛藤征士郎
113
○
衛藤委員長
簡潔にお答えください。
阿曽沼慎司
114
○阿曽沼
政府参考人
きのうお伺いをしていないものですからあれなんですが、私が今担当から聞いたところによりますと、大体三人対三人というふうな、半々といいますか、そういうふうなお話でございました。
川内博史
115
○川内
委員
委員
全体は何人ですか。
阿曽沼慎司
116
○阿曽沼
政府参考人
委員
の方は十二人おられて、それで賛成と反対が三人三人ということであったというふうに聞いております。
川内博史
117
○川内
委員
いや、私が聞いたのは、
委員
全体が何人で、明確に母子加算は廃止してよろしいと言った
委員
は何人ですかということを聞いているわけですよ。 十二人のうちで三人、明確に廃止してもいいということを発言しているわけで、これはそもそもその基礎となった統計にも疑義があるし、さらに
検討
会の結論にもおかしな点があるということですよ。 高齢者の数字、わかりましたか。
川崎茂
118
○川崎
政府参考人
平成
十一年の
全国
消費
実態調査
におきます六十歳以上の単身世帯の対象数でございますが、二千百六十世帯ということでございます。
川内博史
119
○川内
委員
二千百六十世帯を四つの分位に分けて統計しているでしょう、総務省統計局は。
川崎茂
120
○川崎
政府参考人
そのとおりでございます。
川内博史
121
○川内
委員
四つの分位に分けるというのは、五つの分位に分けるというのとは全然意味が違うんでしょう。ちょっと教えてくださいよ、我々この
委員会
の
先生方
に。私も素人だから。四つに分けるのと五つに分けるのは全然違うんだ、五つに分けると有意性が失われると。
川崎茂
122
○川崎
政府参考人
お答え申し上げます。 四つに分けたら有意性があって、五つに分けたら有意性がなくなる、そういう単純なものではないというふうに考えております。 私どもの統計の結果は利用度の高いものを中心に出しておりまして、そういう中で、高齢者のところはかなりよく使われるということで出しておりましたが、母子世帯の部分につきましては、必ずしも一般的な利用頻度が高いわけではございませんでしたので、私どもの方の集計には出しておりませんで、それを、母子世帯の
検討
のために厚生労働省の方で独自に特別な集計をなさったということでございます。 恐縮でございますが、私どもの方で、どのような詳細な集計の分析のやり方をされたかといったことがわかっておりませんので、そういう意味で、先ほど申し上げましたとおり、厚生労働省の方で、専門家もいらっしゃいますので、そちらで
検討
して適切に判断されたのではないかというふうに考えておるということでございます。
川内博史
123
○川内
委員
それではちょっと聞き方を変えましょうか。 総務省統計局は、例えば二千六百世帯の六十歳以上の単身世帯を四つの分位に分けて公表しています。しかし、では、母子世帯四百九十八世帯を五つの分位に分けて公表することに総務省統計局として責任を持てますか。
川崎茂
124
○川崎
政府参考人
お答え申し上げます。 結果の利用というのは、非常に誤差も含みながら御利用いただくということが前提でございます。統計
調査
の結果は必ず、特に標本
調査
ですと標本誤差がございますので、その大きさを勘案いただきながら適切に御利用いただくというのが
原則
であると思いますが、私どもが公表しております結果というのは、基本的には十分使用にたえると思っておりますし、また、それを細分したからといって使えなくなるというものではございませんで、そこの誤差の評価をしていただければ十分使えるという可能性はございます。
川内博史
125
○川内
委員
いや、私が聞いたのは、母子世帯四百九十八世帯を五分位に分けて公表することに、総務省統計局として、統計をつかさどる担当局として、責任を持って公表できますかと聞いているんです。
川崎茂
126
○川崎
政府参考人
これはにわかにはお答えしにくい部分でございます。標本誤差を評価した上でないと正確なお答えはできませんが、一般的に考えますと、五百世帯くらいあれば、それを五分位で集計して公表するということは、私どもの統計の中ではあり得ることであるというふうに考えております。
川内博史
127
○川内
委員
全然レクで聞いたことと違うことを言うんですけれども。それは自信が持てない、責任が持てませんということを私ずっと再三にわたって詰めてきたんですけれども、やはりそれはいいことなんですね。
全国
で百二十万世帯ある母子世帯が大変に厳しい
状況
に置かれている中で、母子加算が切られようとしています。その基礎となるデータとして、
全国
消費
実態調査
、四百九十八世帯しかないものを厚生労働省が使い、それを五分位に分けて、真ん中の
人たち
が一般的な母子世帯だということで判定をし、扶助額の方が多いから切りますという判断をした、その基礎となりましたということについて、別にいいんじゃないですか、そういうこともあるんじゃないですか、そういうことなんですか。私はちょっと信じられないですね。
委員長
、
委員長
もこれは必ずやりますというふうにおっしゃっていらっしゃる案件なんですね。私は
委員長
と思いが同じなので、母子世帯の母子加算について、これはこの厳しい
状況
の中で本当に生命線だというふうに思います。 ぜひ舛添
大臣
、残された時間は余りないですけれども、本当に母子世帯の
生活
実態
というものがどうなのかということを、
生活保護
を受けている母子世帯の
生活
実態
、そうでない母子世帯の
生活
実態
というものをきちんと
調査
して、少なくとも二千世帯ぐらいはきちんと
調査
をした上でこうだと言うならまだ納得できますが、四百九十八世帯でこうですよと言われても、それは私が少なくとも今まで受けた、きょう総務省統計局はちょっと言うことが違ったけれども、責任持てませんと言ったんですから。そこは
大臣
、母子世帯の
生活
実態
について厚生労働省としてきちんともう一回
調査
すると。
全国
消費
実態調査
の中における四百九十八世帯のサンプルを使ったものが
議論
の基礎になるのではなくて、やはりサンプル数が少ないということは指摘にもあるわけですから、二千世帯ぐらい
調査
をした上で、もう一度
大臣
告示を発出するかどうか考えるというぐらいは言っていただかないと、この
予算
委員会
の
委員長
が必ずやりますと言っていることですから、これでは
政府
予算
が通らなくなっちゃいますよ、そうでしょう、
委員長
。
舛添要一
128
○舛添
国務大臣
こういう大変厳しい経済
状況
であります。国民全体が
雇用
の問題にさらされている。とりわけ、母子家庭の皆さん方が大変困窮している
状況
にあることは想像するに余りあるというふうに思っております。 そういう意味で、例えば
ハローワーク
なんかでも、就業意欲の高い母子家庭のお母さん方に対する特別な
支援
を行っておりますし、マザーズ
ハローワーク
のようなところもありますので、厚生省の諸
機関
、今の
ハローワーク
を含めて、そういうところからデータをくみ上げながら、どういう形で
検討
するか、これはまた総務省とも
相談
しながら、
実態
を見て、すぐ母子加算、その手もあると思いますが、それ以外のさまざまな施策でそういう方の窮状を救えるような手を
検討
させていただきたいと思います。
川内博史
129
○川内
委員
委員長
、
委員長
も、これは必ずやりますと
委員長
として御発言になっていらっしゃることですから、私も一生懸命協力しますので、ぜひ一緒にやりたいというふうに思います。 一言御発言をお願いします。
衛藤征士郎
130
○
衛藤委員長
川内博史君の発言を
委員長
としても重く受けとめております。
川内博史
131
○川内
委員
それでは、次に、かんぽの宿について聞かせていただきます。
平成
十六年の郵政民営化の基本方針、それから
平成
十七年四月の法案との違いについて、郵政民営化の基本方針には、かんぽの宿あるいは郵貯施設について「分社化後のあり方を
検討
する。」とだけ書かれている。しかし、法案になると、
日本
郵政株式
会社
法の中で、五年以内の譲渡または廃止というふうに書かれている。これはだれが一体どういう形で
検討
したんですかということをお聞きしたらば、
資料
を下さいと申し上げたらば、本
予算
委員会
に
資料
が提出されて、その
資料
とは、竹中平蔵郵政民営化担当
大臣
の御著書「竹中平蔵
大臣
日誌」なるものが
政府
からの
資料
として提出をされたわけでございます。それに、竹中平蔵さんは、郵政民営化準備室にいろいろ言うと情報が漏れるので全然別なところで法案の
検討
を行った、自分はそれをゲリラ部隊と呼んでいたというふうに書いてあるのでございます。 「竹中平蔵
大臣
日誌」の中に出てくる、郵貯、簡保施設の五年以内の譲渡または廃止ということを竹中
大臣
とともに
検討
したであろうゲリラ部隊というのは一体何なのかということを教えていただきたいと思います。
振角秀行
132
○振角
政府参考人
お答えさせていただきたいと思います。 先生御指摘がございました、先日の
理事
会に抜粋を提出させていただきました竹中元
大臣
の著書の中で、同氏の私的な内輪のグループと指摘されているということは著書から知っておりますけれども、それ以上のことはちょっと我々
承知
しておらないというのが
実情
でございます。
川内博史
133
○川内
委員
そうすると、この前も確認しましたが、郵政民営化準備室は、竹中
大臣
に指示をされて法案の作成だけをやった、
検討
したのではなくて、郵政民営化準備室は作成だけをやったということでよろしいですね。
振角秀行
134
○振角
政府参考人
引き続きお答えさせていただきたいと思います。 御指摘のように、出しました
資料
にも書いてありますけれども、当時の竹中郵政民営化担当
大臣
は、こういうような旧加入者福祉施設については、本来の仕事、つまりコア業務でないので、資産を処分し撤退すべきということで判断されて、そういう形で指示をおろされたということでございます。それを受けまして、我々は、では処分するまでとりあえず当該施設をどこに承継させるかとか、あるいは譲渡または廃止までの猶予期間としてどの
程度
が必要か等の
検討
を行いまして、法制化に努めていったというのが経緯でございます。
川内博史
135
○川内
委員
郵政民営化法案の概要には、かんぽの宿、郵貯施設については、譲渡または廃止と書かれていなくて、「
日本
郵政株式
会社
が暫定的(五
年間
)に保有」、こう書いてあるわけですね。概要を、こういうふうに書きなさい、譲渡、廃止と書いちゃだめよ、暫定的に保有と書きなさいという指示をしたのはだれですか。
振角秀行
136
○振角
政府参考人
お答えさせていただきます。 当時の記録、そこまで細部にヒアリングまでしておりませんので、ここではちょっと今お答えはできません。御了承いただければと思います。
川内博史
137
○川内
委員
それはおかしいですね。だって、さっき郵政民営化の、今は推進室長ですが、準備室では、五
年間
日本
郵政が保有するとかどうするとか細かいところを
検討
しましたと言ったじゃないですか。では、概要版を、五
年間
暫定的に保有と、譲渡、廃止と書かずに暫定的に保有と書こうねという
検討
も郵政民営化準備室でしたんですかと聞いているわけですよ。大事なことですよ、これ。レクと違うことを言うからこんなことになるんだよ。
振角秀行
138
○振角
政府参考人
基本的には、法制局と先ほども申し上げましたような細部の点を詰めていったわけでございますけれども、先ほど指摘されたところについてちょっと正確な確認はしていないというのが今の
実情
でございます。
川内博史
139
○川内
委員
では、この件については正確に聞いていただいて、この郵政民営化法案の概要になぜ譲渡、廃止と書かずに暫定的に保有と書いたのか、事情をまた教えていただきたいというふうに思います。 続いて、このかんぽの宿について、メリルリンチとのアドバイザリー契約について聞かせていただきたいというふうに思います。 メリルリンチとのアドバイザリー契約を、その書類をいただいたら、審査の上メリルリンチに決定した、こう書いてあったんですけれども、審査したその責任者というのはだれなんでしょうか。
横山邦男
140
○横山
参考人
お答えいたします。 稟議の最終決裁者は、宿泊事業部を担当する、私とは違う別の担当役員でございます。 しかしながら、私も、不動産、資産ソリューション部を担当する役員として、その合議の決裁には参加いたしておる次第でございます。
川内博史
141
○川内
委員
一千万円のアドバイザリー契約ということでございますけれども、この一千万円の積算根拠を教えてください。
佐々木英治
142
○佐々木
参考人
本件のメリルリンチのアドバイザリー業務を遂行するに当たりましては、担当者十一名を前提といたしましてこの業務内容を勘案いたしますると、月一千万円の手数料という形になったということでございます。
川内博史
143
○川内
委員
いや、計算式を教えてくださいと言っているんです。
佐々木英治
144
○佐々木
参考人
ちょっと細かくなりますが、マネジングディレクターあるいはディレクター、バイスプレジデント、担当ということで時間給に差がございまして、その時間給と、何人がそれに携わったかということ、それから月の実働時間をカウントしまして、それを足し合わせた額でこの額になったということでございます。
川内博史
145
○川内
委員
いや、そうもったいつけずに、マネジングディレクターの時間給が幾らで何人とか、何時間とか、その積算の根拠を教えてくださいと言っているんですよ。
佐々木英治
146
○佐々木
参考人
ちょっと細かくなりますが、マネジングディレクター格は、時間給二万円で三人、月の実働時間四十時間ということで、実働時間計百二十時間ということでございます。それから、ディレクター格が、時間給一万五千円、人数二人、実働時間が八十時間、実働時間計百六十時間。バイスプレジデント格は、時間給一万二千円、人数一人、月実働時間百時間、実働時間計百時間。担当が、時間給八千円、人数五人、月実働時間百時間で、実働時間の計が五百時間。以上を集計したものでございます。
川内博史
147
○川内
委員
総務大臣
、時間給二万円といったら、一日十六万円でございます。その
人たち
、時間給二万円、時間給一万五千円、時間給一万二千円、十一名と言いましたけれども、マネジングディレクターで月間の時間が百二十時間、その下の人が百六十時間、その下の人が百時間。これは、だれが働こうが、その時間だれかがマネジングディレクターとして勤めていれば、時間給二万円なわけですよね。これは、私、大変な金額だなというふうに思います。
総務大臣
も何かおっしゃりたいでしょうが、ちょっと後で総括的に御答弁いただきます。 さらに、成功報酬、今度は、六億円と言われておりましたが、六億円の積算根拠、なぜ六億円の成功報酬が算定され得るのかということについて教えていただきたいと思います。
佐々木英治
148
○佐々木
参考人
最初、当社の簿価前後では売れるのではないかというふうに想定をいたしまして、世田谷のレクセンターを含む簿価を当時百八十五億と見込んでおりましたことから、通常の不動産の仲介手数料は大体三%だというふうに考えておりまして、その同
程度
の水準と見込んで、百八十五億掛ける三%で約五・五億円になるんですが、六億円という水準で契約したものでございます。
川内博史
149
○川内
委員
この説明もにわかには、ああそうですかと納得するにはちょっと。不動産売買であれば、不動産売買の手数料と同額を見込んでいましたということであれば、不動産としての評価をし、不動産として売買されればよかったのではないかというふうに思います。 それでは、資産ソリューション部に、
日本
郵政公社にザイマックスという
会社
からお入りになられて、横山専務の下で御活躍をされていらっしゃる
伊藤
和博さんという方がいらっしゃいますが、この前、西川社長は、三井住友銀行の
関係
者の紹介で
日本
郵政に入ったんですよ、
日本
郵政の役員になったんですよということを教えていただきました。この
伊藤
和博さんは、三井住友銀行の
関係
者とは横山専務のことでよろしいんでしょうか。
横山邦男
150
○横山
参考人
お答え申し上げます。 準備企画
会社
日本
郵政になりましてからの話でございますが、当時、いろいろな分野で人材を募ろうということをしておりました中で、不動産分野につきましても何人か候補が挙がりました。そのうちの一人が
伊藤
でございまして、それ以外も採用したのでございますが、
伊藤
につきましては、確かに、三井住友銀行の
関係
者、今、
日本
郵政におります担当部長クラスからのノミネートの中から挙がってきた人物でございます。 この人間を準備企画
会社
時代に人事部長の面接を通じて採用いたしまして、最終的に、十九年の十月一日に取締役会の決議で
日本
郵政の執行役に選任されたところでございます。 以上でございます。 ちなみに、私は、事前にこの
伊藤
は面識はございませんでした。
川内博史
151
○川内
委員
これを余り長くやってもしようがないので、次に行きます。
平成
十九年の九月三十日までは、かんぽの宿の法的性格は簡易保険加入者福祉施設であるということでよろしいですね。
佐々木英治
152
○佐々木
参考人
かんぽの宿等は、簡易生命保険法第百一条に定める簡易保険加入者福祉施設として設置されたものでございます。 今先生御指摘の民営化前、すなわち
日本
郵政公社当時におきましては簡易生命保険法が効力を有しておりまして、当然、かんぽの宿の法的性格は簡易保険加入者福祉施設というふうに
理解
しております。
川内博史
153
○川内
委員
郵政公社は、
平成
十七年からかんぽの宿について、加入者福祉施設について減損会計を始めているということでよろしいですか。
藤本栄助
154
○藤本
参考人
お答えいたします。
日本
郵政公社におきましては、
平成
十七年の中間決算から減損会計を
導入
いたしてございます。
川内博史
155
○川内
委員
十七年から減損会計を始めた、公社時代から始めたわけですが、かんぽの宿、加入者福祉施設事業というものは、
平成
十九年九月三十日、民営化される前日、郵政公社が閉鎖されるまでの間は、加入者福祉施設事業であり、いわゆるホテル事業ではないということでよろしいですか。
藤本栄助
156
○藤本
参考人
公社期間中におきましては、簡易保険の加入者福祉施設という性格を持った事業でございました。
川内博史
157
○川内
委員
私が聞いているのは、ホテルではあるが、ホテル事業ではないということでよろしいですね。泊まるわけだから、当然、旅館とかホテルなんですよ、泊まるんだから。ホテルだが、ホテル事業ではないということでよろしいですね。
藤本栄助
158
○藤本
参考人
ホテルに類似した業態ではございますけれども、あくまでも簡易生命保険法上の位置づけでございます。
川内博史
159
○川内
委員
郵政公社の業務方法書というのがありますよね。これは
総務大臣
が認可されるものなんですけれども、この業務方法書に、簡易生命保険の福祉施設について
規定
されているんですね。その利用料、どういう利用料の取り方をします、していいですよということがきちんと
規定
されているんですね。
総務大臣
認可です。 この利用料の項目を読んでください。
佐々木英治
160
○佐々木
参考人
かんぽの宿の運営を担当しておりますので、私の方から読ませていただきます。
日本
郵政公社においては、かんぽの宿等の利用料につきまして、今先生御指摘の
日本
郵政公社業務方法書第百五十三条第二項で、利用者が当該施設に要する費用の一部を負担するために支払うべき料金と定義されております。 この定義は、簡易生命保険法第百一条三項において、簡易保険加入者福祉施設に要する費用は公社の負担とする、ただし、その一部は公社の定めるところにより当該施設の利用者の負担とすることができるというふうな
規定
を受けてのことだというふうに
理解
しております。
川内博史
161
○川内
委員
この業務方法書の百五十三条には、今お答えになられたけれども、利用者は利用料の一部を負担することができる、基本的には郵政公社が全部運営しますよ、一部を負担してもらいますよということを書いてあるわけですね。さらには、「なるべく安いものでなければならない」ということも書いてあるわけでございます、第二項に。 ということは、
平成
十九年九月三十日までは、加入者福祉施設事業は公社が主体的に運営をするものであって、利用者からはその利用料の一部をもらう。すなわち、
赤字
が当然だと。 要するに、
赤字
という概念さえも実はおかしいんです。
赤字
、
黒字
という概念さえもおかしい。単なる簡易保険の営業のコストであるという
理解
でよろしいですね。
佐々木英治
162
○佐々木
参考人
日本
郵政公社当時におきましては、簡易保険事業の中で、かんぽの宿等は、今先生御指摘のように、簡易保険加入者福祉施設として、簡易保険の加入者に対する現物給付的サービスと位置づけられていたものでございます。したがって、かんぽの宿等の運営に要する費用は、簡易保険事業の運営に要するコストとして観念されていたものと認識しているところでございます。 ただ、コストである以上、私ども、おのずから、適正な水準であるということが事業運営上求められることは当然でありまして、かんぽの宿等の経営改善のための
取り組み
を行ってきたということでございます。
川内博史
163
○川内
委員
私が聞いたことに誠実に答えていただきたいんですが、コストを
削減
する
努力
はしなければならない、これはいかなる組織でもそうだと思います。コストを
削減
する
努力
はしなければならないが、
赤字
であるという言い方は、そもそも加入者福祉施設事業については当たらないですよねということを私は聞いております。
佐々木英治
164
○佐々木
参考人
先ほどお答えいたしましたように、加入者福祉事業といたしましては、簡易保険事業の運営に要するコストということでとらえております。(川内
委員
「だから、
赤字
という言い方はおかしいですよね、そもそもそういう言い方はしませんよね」と呼ぶ)要する費用と、それからお客様からいただく運営費の一部ということになります。その差というのは、どう表現するかですが、私どもはそこはやはり
赤字
というふうに認識をしておりましたけれども、もともとはそういう現物給付の一環ということでございますので、表現としてはどうかなという感じはいたします。
川内博史
165
○川内
委員
今、ちょっとおかしいですよ、コストだと言っておいて
赤字
だと認識していましたというのは。
コスト削減
の
努力
はしなければならないが
赤字
という概念でとらえるのは。だって、費用の一部しか利用者から取りませんと業務方法書で言っているわけでしょう。業務方法書で、
総務大臣
の認可を受けて、一部しか取りませんよ、しかも、なるべく安く取るんですよと言っておいて、
赤字
だ
赤字
だと言うのはおかしいでしょうということを言っているんです。そうですと言わないと。 ちょっともう、二時までに
総務大臣
は総務
委員会
に行かなきゃいけないんだから、ちゃんと答えてくださいよ。
衛藤征士郎
166
○
衛藤委員長
答弁は簡潔にお願いします。
藤本栄助
167
○藤本
参考人
経理を担当している立場から一言お答え申し上げたいと思います。 事業を営む際には当然収益がございまして、それに対応する費用がございます。
企業
会計上、収益から費用を引いて、余りが出れば
黒字
でありますし、余りが出ずにしりが出れば
赤字
でございます。そういう意味では、簡易保険事業、だれが負担するか、御利用者の負担であるのか、あるいは簡易保険事業において負担するかを問わず、費用は費用でございますので、引いてしりが出れば
赤字
でございます。
川内博史
168
○川内
委員
では、
赤字
が出ることが当然、要するに、業務方法書における使用料
規定
によれば、
赤字
が出ることを費用としてきちんと郵政公社全体で見ましょうね、それをコストとして考えましょうねという事業であったということでよろしいですね。
佐々木英治
169
○佐々木
参考人
今の先生の御
理解
でいいかと思います。
川内博史
170
○川内
委員
それでは、その事業を、
平成
十七年から減損会計を入れましたと。その減損会計を入れるに当たって不動産鑑定評価というものがなされるわけでございますが、その不動産鑑定評価を依頼するに当たって、ホテル事業として評価してねということは言っていないかもしれないが、減損会計を
導入
しますと。さらには、不動産鑑定評価の三つの手法である、そもそものコスト、それから近隣の不動産の価値、さらには収益還元法、この三つの手法で評価してね、収益還元法も使ってねということを、
日本
郵政公社は不動産鑑定評価に当たって依頼していますね。
藤本栄助
171
○藤本
参考人
お答えいたします。 不動産の鑑定評価を依頼する場合には、今先生お話がございました三つの手法が標準的な手法でございます。したがいまして、
日本
郵政公社におきましてもその三つの手法を採用するようにということでお願いをしてございます。それは、一般的な不動産の鑑定評価基準に書かれているとおりでございます。
川内博史
172
○川内
委員
一般的な不動産鑑定評価基準は収益還元法も使うというのはわかりますよ。しかし、御自分
たち
でおっしゃられたように、そもそも加入者福祉施設事業は、御自分
たち
も、
赤字
が出て当然の施設である、事業であると。すなわち、利用料は一部しか負担していただいていません、なるべく安くしますということを業務方法書で言っている。その施設を収益還元法という手法を取り入れて減損会計するということに、今回のめちゃめちゃ安くなるトリックが存在するわけですね。
総務大臣
、もう二時になりますから、今までの
質疑
を聞いていただいて、これは、不動産鑑定評価の基準、さらには、きょう金融庁にも来ていただいているんですが、
企業
会計基準、この二つに照らし合わせて、不動産の価格というのは正味売却価格として適正なものでなければならないということが大前提なんです。適正なものでなければならない。しかし、適正さを欠く部分があったのではないかと。なぜかなら、だって、一万円が六千万になったり、千円が四千八百万になったりするわけですよね。それは適正とはとても言えないわけですよ。その部分において、この不動産鑑定評価の基準や
企業
会計の基準に照らして、果たして公正妥当なものであったのかということは十分に
検討
されなければならないというふうに思いますが、
総務大臣
の御所見をいただきたいと思います。
鳩山邦夫
173
○鳩山
国務大臣
このかんぽの宿の問題は、そもそもが不透明な部分が多過ぎる。この間申し上げましたように、オリックスに決まりますと、オリックスと
日本
郵政の間の最終契約は非常に緩いものになって、オリックスの単独判断で施設を譲渡あるいは廃止できるというふうな
規定
が後からできるというような、不透明の限りを尽くしているような思いがいたします。 川内先生御指摘のように、大きな問題は、やはり
企業
会計というものは使わなくちゃいけないらしいんですが、減損処理というもののあり方がめちゃくちゃだというのが
一つ
あります。 きょうは、先生の御質問はその点について理論武装できる内容でありました。つまり、
日本
郵政公社業務方法書第百五十三条第二項というのは、要するに、費用の全部は払わないで一部を負担するというのだから、そもそもがまともな料金は取らないと。ということは、いわゆる収支決算でいえば、最初からマイナスだということが前提になっているわけじゃないですか。それが前提になっていて、マイナスだから、収益を生んでいないから、土地の評価方法、だからこれは不動産として物すごく安いんだと。それをまたごまかす手段として、これは事業譲渡だからという理屈をつくって、そしてたたき売りしようとしている寸前で何とかこれはやめさせることができたわけでありますが。 非常におかしなところが多いわけで、その
一つ
は、先生御指摘のとおり、減損処理のあり方。減損処理した簿価というのを出して、その簿価で売ろうとした。しかし、一般の
企業
が採算のとれる事業としてこの土地や建物を使って事業をしようという場合には、減損処理した簿価というのは全く無
関係
になってくるんではないか、私はこういうふうに思っているわけで、公社時代のことでありますが、そういう非常にいいかげんな考え方で国民の財産を処理していたがために一万円が六千万、千円が四千九百万ということになって、国民に非常な不信を招く結果になっているのではないか、こう思います。 きょうはいい勉強をさせていただいて、ありがとうございました。
川内博史
174
○川内
委員
ぜひ、この問題については私もさらに、やはりもともとは国民の皆さんの財産だったものですから、しっかりと検証しなければならぬと思っています。 それでは、次の論点。体細胞クローン牛とかクローン豚というのがあって、ちょうどきょう午前中にこの体細胞クローン牛あるいは体細胞クローン豚の、ちなみに、クローンには受精卵クローンというのももう
一つ
あって、もう受精卵クローンは市場に出回っているんですけれども、余り皆さん知らないんですが、全然表示されていないんですね、これは人工的に遺伝子を操作してつくられたものですよというものが全くわからずに受精卵クローンの場合は出回っているんですけれども。 今度新たに体細胞クローンというものが、今、食品安全
委員会
で、ちょうどきょうの午前中、新開発食品専門
調査
会で
検討
が行われ、いよいよ答申につながっていくというふうに聞いておりますけれども、きょうの午前中の食品安全
委員会
の
検討
の
状況
というものをまず御報告いただきたいと思います。
栗本まさ子
175
○栗本
政府参考人
お答え申し上げます。 お尋ねの件につきましては、昨年の四月に厚生労働省から諮問を受け、食品安全
委員会
の新開発食品専門
調査
会にワーキンググループを置いて審議が行われ、本年一月に開催されましたワーキンググループにおいて、現時点における科学的知見に基づき、従来の牛や豚に由来する食品と比較して同等の安全性を有するとする評価結果の案が取りまとめられました。 このワーキンググループの評価結果の案につきまして、本日開催されました新開発食品専門
調査
会で審議が行われまして、一部修正の必要な部分はございましたが、本案が了承され、食品安全
委員会
へ報告することとされました。 今後は、食品安全
委員会
での審議が行われ、了承が得られれば、国民からの御
意見
、情報の募集、
意見
交換会を行い、必要に応じてさらに審議を重ねた上で、最終的に評価結果が取りまとめられることとなります。 以上でございます。
川内博史
176
○川内
委員
体細胞クローン牛というのはだれも今まで食べたことが、食べたことのある人はだれもいないんですよ。だれもいないにもかかわらず、自然に生まれた、あるいは育った牛や豚と一緒です、科学的にはそうなのかもしれませんけれども、そういう報告をしますということでございます。 では、ちょっと科学的な数字をお答えいただきたいんですが、再構築胚、この再構築胚というのは、体細胞クローン牛をつくるために薬品やらあるいは電気的ショックやらを与えて受精させて胚をつくる、それがだんだん分裂していって生体になるわけですけれども、この再構築胚の生存率、受精してから胚ができて実際にちゃんと成長しますよという生存率はどのぐらいですか。
栗本まさ子
177
○栗本
政府参考人
お尋ねの件につきましては、評価結果の案に、体細胞クローン胚、これはお尋ねの再構築胚のことでございますが、これによる産子の出産の割合は一〇%以下との報告があると記述されております。
川内博史
178
○川内
委員
生存率が一割以下なんです。九割以上は死んでしまうんですよ。その体細胞クローン牛を食品として評価して、万々が一、研究者の技術開発の意欲というのはとどまるところを知らないですからどんどんどんどんやるわけですね、では、それが市場に出ますというときに、そのままでいいんだろうかと。 少なくとも技術開発の研究の成果は否定されるべきものではないし、それは研究者の成果として評価をすべきところもあるでしょう。しかし、実際にお肉を食べますという消費者の側に立てば、自然に生まれ育った牛や豚なのか、それともクローン技術、薬品をかけたりあるいは電気的ショックを与えたりして工業的につくり出された牛や豚なのかということについての区分け、表示はきちんとなされるべきであるというふうに思いますが、官房長官それから消費者行政担当
大臣
のそれぞれの御所見をお聞きしたいというふうに思います。官房長官も答えてくださいよ。
野田聖子
179
○
野田
国務大臣
体細胞クローン技術を使って、今事務局長からも説明ありましたけれども、ただいまの専門
調査
会で結論が出た、それを受けて安全
委員会
の方でこれから審議をされるわけですけれども、これから審議をされるとともに、またパブコメとかさまざまな国民各界各層の御
意見
を承りながらということで、引き続き、一カ月以上かかると思いますけれども、これについては
議論
をしていきたいと思っています。 表示のあり方については、そういう
検討
結果を踏まえて、消費者等
関係
の皆さんの御
意見
を十分聞いて各省庁が連携すべき問題だというふうに考えております。
河村建夫
180
○河村
国務大臣
今、
野田
担当
大臣
から御答弁があったところでございますが、あれを聞いておりまして、早く消費者庁というのができていると、ここでこういう問題はもっともっと全体的、統一的にできるかな、こういう思いを抱きながら答弁を聞いておりました。 私も、
野田
大臣
が答弁されたように、同感でありまして、これは今から本格的に食品安全
委員会
で
議論
をされるわけであります。ヨーロッパ等においてもこの問題はかなり、そう簡単なことじゃないということで、流通等についても非常に厳しい目で見ております。
日本
においても同じ感覚でなければいけない、やはり消費者にかかわる大きな問題だ、このように意識をいたしておりますので、これからこの
議論
を待って適切な対応をいたしたい、こう思っております。 当然、本格的になってくれば表示の問題とかいろいろな問題が出てくるだろう、こう思っておりますが、今はまだその段階にございませんので、十分今の
議論
を踏まえた対応を適切にやらなきゃいかぬ、このように思っております。
川内博史
181
○川内
委員
済みません、表示については、消費者の選択というものを保障するということは大事だねという
理解
でよろしいですか、お二方、両
大臣
。
野田聖子
182
○
野田
国務大臣
消費者にとっては表示というのは大変大切なものでございますが、その前に、安全
委員会
等またはパブコメ等でさまざまな御
意見
がまだ出てくると思っております。それをしっかり受けとめてから広く考えていきたいというふうに考えております。
川内博史
183
○川内
委員
僕は大事だと思うんですよ、要するに、食品安全
委員会
ではほとんど
議論
されないんですから。なぜかなら、もう専門
調査
会で
議論
が済んで、
社会
保障審議会の例えば
生活保護
部会で
議論
されたものが社保審に上がって、それでいいですというのと同じように、食品安全
委員会
は親
委員会
ですからほとんど
議論
されないんですよ。でも、パブコメにかかって、それでいいですかということに最後はなるわけですね。 だから、そういう意味で、流れができているから、表示については大事ですよねということを私は確認したいというだけの話なんです。
野田聖子
184
○
野田
国務大臣
食品安全
委員会
にかかったからもう結論が出ているということではなく、これにつきましては大切なことなので、それ以外にも、やはり消費者団体や多くの消費者に関連する皆さんの
意見
を聞いていくということが大切だということで御
理解
いただきたいと思っております。
川内博史
185
○川内
委員
多くの消費者団体の
意見
を聞いていくということが大事だというのはだれも否定しないですよ。そうですねと。それは、体細胞クローン牛の食品の安全性についてこれからパブコメをとります、いろいろな
人たち
が
意見
を言ってくるでしょう。それは体細胞クローン牛の安全性についての
意見
であって。 では、今度は、その後、私が一般的に聞いているのは、体細胞クローン牛というのは生存率は一割以下ですと食品安全
委員会
事務局から御報告があったわけですね。明らかに自然界に存在するものとはまだ違う、偶然にできるものなんですよ。そうすると、やはり自然界に存在するものとそうでないものについては、消費者に対して違いますよということを表示するというのが私は一般的には当然のことだというふうに思うんですが、そういうことが、決める決めないは別にして表示しますと言ってくださいと言っているのではなくて、そういうことは大事だ、それは本当に自分もそう思うということを言ってくださいねということなんです。
野田聖子
186
○
野田
国務大臣
表示を消費者が知ろうとするときは、流通されたものを選択するかどうかというので大変重要なことだと思います。 その流通するかどうかという前段階の話で、必ずしも科学的な安全イコール消費者にとっての安心ではないということも踏まえてまだまだ大きな
議論
が必要ということであり、表示については、それまでの間にいろいろな
意見
を承る必要があるのではないかと。 ですから、表示というのは一般論的には消費者にとっては大切だけれども、体細胞クローン牛が専門
委員会
で科学的に安全だというふうに決められたからといって、国としては、それがすなわち消費者の安心だから流通させますよというところまでは至っていないので、表示については別個そういう
議論
をしなければならないということだと思います。
川内博史
187
○川内
委員
流通させるかどうかはまだわからないという御答弁をいただきました。ありがとうございます。 それでは、これは、要するに、
野田
大臣
、いろいろな法律に牛とか豚とかいう言葉がありますよね。その言葉が、これはそもそも昭和二十年代にできた法律に牛とか豚とか、あるいは別表に書いてあったりするわけですよね。では、その牛とか豚は自然界に存在する牛や豚を指しているわけで、工業的にできた牛や豚が法律上の牛に当たるのかとか、そういう
議論
も私はあると思うんですね。 もうこれ以上は言いませんけれども、科学的な、あるいは科学技術の進展に対しての評価というのは私は否定するものではないけれども、消費者の選択の利益というものは確実に保障されていかなければならないということだけ確認させていただけたというふうに思います。 それでは、最後に、今、公共事業の国発注分直轄事業について、地方負担金をもう払いたくないという知事さん
たち
が出てきているという問題について、若干取り上げさせていただきたいというふうに思います。 直轄事業の地方負担金というものについて、三割負担、地方は自動的に何か請求書が回ってきて負担させられるんだということでございますが、一方で、公共事業というのはその地域経済に対して大きな経済効果をもたらすわけでございますけれども、
平成
十九年度の直轄事業で、さらに、新築あるいは改築の道路事業の発注事業の
全国
の合計額というものを教えていただきたいと思います。
金井道夫
188
○金井
政府参考人
お答えいたします。 直轄事業の新設、改築に係る道路事業の発注額でございますが、先生御指摘の様式で、国債の工事を全部単年度に集約して膨らまして計上したということで計算をいたしますと、約一兆四千六百億円というふうに認識をいたしております。
川内博史
189
○川内
委員
その一兆四千六百億円の国直轄の道路事業が
全国
で発注されている。そうすると、その発注された事業が当該都道府県内に本社を置く事業者が受注をした金額、それから県外
企業
、その事業が発注されている当該の都道府県外の
企業
が受注した金額をそれぞれお答えいただき、要するに地元
企業
に発注された割合というのは結局のところどうなっているのかということを教えていただきたいと思います。
金井道夫
190
○金井
政府参考人
先ほどの係数で申し上げますと、当該都道府県内に本社がある
企業
が受注した金額が約四千八百億円、当該都道府県以外に本社がある
企業
が受注した金額が九千八百億円でございまして、これのみで見ますと約三三%ということでございますが、中小
企業
への発注ということでございますと、五二%を中小
企業
に発注いたしております。
川内博史
191
○川内
委員
財務大臣
、国の直轄事業というのは、
日本
全体として見れば、それはGDPに全体として反映するが、しかし、その地域のGDPという意味においては、県外に七割持っていかれるわけですよね、その地域には三割しかGDPには反映しません。 これは、
財務大臣
がおっしゃる有効
需要
をいかにつくり出していくかという意味において、地域の経済を活性化させるという意味において、私は改善する必要が大いにあるのではないかというふうに思っております。 これは、国交省さんからいただいて、都道府県別に自分で数字を集計してみたんですが、例えば、二階
大臣
の和歌山県だと、
国土交通
省の直轄事業ですよ、県内
企業
受注額が和歌山県だと五十三億円、和歌山県外の
企業
が受注した金額は二百七十一億円で、一六%しか和歌山県内
企業
は道路事業における直轄事業は受注していないという結果になります。 大分は若干いいんです。県内
企業
受注額は百二十一億で、県外
企業
受注額が百七十六億、四一%。これは私の
手元
にありますので、電話をいただければ皆さんにお答えします。 これらのことをどう改善していくのかということなんですが、
国土交通
省の直轄事業というのは規格の高い道路が多いわけですね。だから、結局、でかい
企業
しか受注できませんというものが多いわけです。ところが、
平成
十八年度の道路行政の業績達成度
報告書
というものがあって、それを読むと、ルート、工法、規格を見直すことによってコストを大幅に下げることができますと。ルート、工法、規格。要するに、規格を下げる、ルートをいろいろ考える、あるいは工事の方法も考える、そのことによってコストを下げる。コストを下げるということは、地元の
企業
が受注できる工事になりますよということを意味するわけでございます。 この達成度
報告書
について、ちょっと御説明を道路局長にいただきたいと思います。
金井道夫
192
○金井
政府参考人
達成度
報告書
でございますが、いわゆるコスト縮減によりまして事業を効率的に進めるということでございまして、例えば十九年度で見ますと、一五%のコスト縮減を目標にいたしまして、実績一四・一%ということでコスト縮減を達成しております。 主要な中身は、議員御指摘のとおりでございますが、例えば、若干縦断勾配を犠牲にして、橋を少し低くしてコストを縮減するとか、例えばインターチェンジのときに、今まではトランペットといってぐるぐる巻きにしておりました、それをやめて、直接つけてコスト縮減をするとか、いろいろ計画上の工夫をかなりさせていただいておるというふうに考えております。
川内博史
193
○川内
委員
百年に一度の
危機
の中で、地域の経済を、特に地方の経済をどう支えていくのかというのは、公共事業というのはGDPに乗せていく上では非常に大事なわけですが、国全体としてマクロで見るのではなくて、ミクロで地域の経済をどう活性化していくかということを考えなければならない。 そこで非常に有効になるのは、二階
大臣
が所管されていらっしゃる、中小
企業
庁が持っている官公需法という法律になるわけです。この官公需法では、中小
企業
への発注目標、その地域に限定したというところがないのがちょっと残念なんですが、とにかく、中小
企業
というのは地元
企業
が圧倒的に多いわけですから、官公需法では中小
企業
への発注割合というのを目標として決めているわけですね。さらには、二階
大臣
のお名前で、地方の知事さん
たち
に対して、自治体が発注する事業についても中小
企業
に発注してくださいねという目標を要請していらっしゃるというふうに思います。 まず、
平成
十九年度の地方自治体における発注目標とその達成度を、二階
大臣
の方から教えていただきたいと存じます。
長谷川榮一
194
○長谷川
政府参考人
事実
関係
のお問い合わせでございますので、私の方からお答えをさせていただきます。 まず、仕組みといたしまして、官公需の目標を、
経済産業大臣
から、各省庁及び
政府
機関
、独立行政法人等でございますけれども、そこに、あらかじめ法律に基づきまして協議をいたしまして決めるわけでございます。この中で、閣議決定でその目標を決めた上で、地方自治体に対しましても、
経済産業大臣
から知事に対してこの閣議決定に係ります契約の方針を速やかに通知いたしまして、自治体におきましても受注の機会の増大を講ずるように要請をいたしております。 十九年度でございますけれども、地方公共団体の御協力もございまして、中小
企業
向けの発注というのは全体で十兆六百五十四億円。これは、都道府県と、それから一定
程度
の、約十万人以上の人口をお持ちの比較的大きい市、事務負担もございまして、そこに注記をしておりますが、この十兆を超えるという実績を上げているというのが現状でございます。 そして、先ほどお尋ねがございましたように、この
政府
の決定の中で、なるべく小分けにして中小
企業
の方が受注をしやすいように、また国の地方支分部局の中ではなるべくその地域で発注するというような方針もあわせて決め、通知をしているところでございます。
川内博史
195
○川内
委員
目標を言いましたっけ。だから、発注目標と実績を答えてくださいと僕は言ったんですけれども。
長谷川榮一
196
○長谷川
政府参考人
お答えを申し上げます。失礼いたしました。(川内
委員
「割合、割合」と呼ぶ)はい。 まず、地方公共団体の方に、国としてこの目標と言うのは、これは国の
機関
じゃございませんので、その目標はございません。 ただ、官公需総額に占める割合というのは、先ほど申し上げました額で約七七%弱でございます。
川内博史
197
○川内
委員
地方公共団体の場合は、七七%を中小
企業
、いわゆる地域の
企業
に発注しているのではないかということが予想されるわけでございます。 そこで、この官公需法に基づいて各省の発注目標を取りまとめられるお立場にある二階
大臣
として、
平成
二十一年度に向けて中小
企業
への発注割合を、今までの目標や実績をさらに大幅に上回るように、やはり地域の経済を支えるためにそういう目標設定を、今までは大体六月の下旬から七月に閣議決定されるんですが、大幅に前倒しをしてしっかりやるということを、御決意を聞かせていただきたいんです。
二階俊博
198
○二階
国務大臣
官公需の早期発注については、先ほども
中小企業庁長官
からも申し上げたとおり、今月、各省庁に要請をしたところであります。 中小
企業
向けの契約目標の比率を過去最高の五一%とする、これは本年度でありますが、地元中小・小規模
企業
からの受注機会を増大することでありますが、ただいま議員御指摘のように、この件につきましては、さらに積極的に地方に中小
企業
に受注が多く行き渡るように、受注のチャンスを増大していただくというために、もう少し前倒しで
検討
をしてみたいというふうに思っております。 なお、この際、和歌山県の道路の問題でいろいろ御心配をいただき、先般はわざわざ和歌山まで
調査
に来ていただいて、御苦労のほど、感謝します。そのうち、私も九州の方へもお邪魔します。
川内博史
199
○川内
委員
ありがとうございます。 私は、道路の整備は必要である、必要だという立場なんですね。しかし、地元の経済にもプラスになるように、しっかりとコストを下げればBバイCも上がるし、そうなると地元の
企業
が受注できる仕事になりますねということで、みんながよくなれる道路行政というものを提案していきたいというふうに思っておりますので、二階
大臣
にいろいろまた御指導をいただきながらやりたいというふうに思います。 そこで、
国土交通大臣
にお尋ねをいたします。 新たな費用便益分析マニュアルというものができて、そして新たな交通
需要
推計もできて、年度末に向けて新たなBバイCの再計算というものが始まっているというふうに思いますが、全部で何事業の再計算をされるのかということをお尋ねいたします。
金子恭之
200
○
金子
国務大臣
対象になりますのが、高規格道路について百七十三カ所、その他直轄事業について約四百五十カ所を予定しております。
川内博史
201
○川内
委員
その中に、今まで計算したらBバイC一を超えていたけれども、恐らく新たな計算では三割ぐらいBバイCが落ちるでしょうから、一を切るところも出てくるでしょう。そういう場合、私どもは、つくるななんて言わないんですよ。本当に必要であるならば、先ほども申し上げたように、ルート、工法、規格を見直すことによってコストを下げて、そしてBバイCが一を上回るようにして、そうすることによって地元
企業
も仕事ができますよねという事業にしていくことが百年に一度の経済
危機
に対応する方法ではないかというふうに考えているわけですけれども、
国土交通大臣
、再計算して結果が出ますよね、では、その後どうしていくのかということについて、お考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
金子恭之
202
○
金子
国務大臣
大変大事な御指摘をいただきました。 コスト縮減については、先ほど道路局長から一部御説明させていただきましたように、大きなトランペット型のインターチェンジ、これを平面Y字と言っていますけれども、というふうにするとか、二つの川を一本で渡しておった橋を、これを修正いたしまして、二つの川を別々の橋にすることによって、橋梁を下げて、コストを二三%下げるといったような
努力
も、
コスト削減
をやってきております。これは、御指摘のとおり引き続きやっていきたいと思います。 ただ、
全国
的な高速道路ですとか幹線国道などのルートというのは、やはり求められるスピード、それと安全性の
確保
、これはもう
委員
よく御案内のとおりでありますが、道路の曲線半径など、求められるもの、あるいは必要とされるもの、やはりこういう意味では安全性というものは
維持
していく必要があると思いますが、一方で、地域内の道路等につきましては、ルートの変更ですとか、幅員を工夫していくというようなことは大事な御指摘であると思っております。 そういうことを通じて、私の立場で、適正な競争が
確保
される範囲内で可能な限りの分離分割発注を推進して、中小、中堅の
企業
が受注できるように進めていきたいと思っております。
川内博史
203
○川内
委員
私の時間が参りましたので終わらせていただきますけれども、せっかく道路特定財源が一般財源化されて、何にでも使えるお金ですよということになったわけですね。そうすると、この経済
危機
の中できちんといろいろなことをやりくりして、道路
予算
についても、きちんとBバイCを計算して、コストを下げるところは下げて、そして
予算
が生まれてきましたと。そうすると、冒頭申し上げたとおり、それを
生活保護
の母子加算などにきちんと回していくというような、全体のやりくりをきちんとするためにも、道路のあり方というのは非常に大事な部分であるということで、これからもいろいろ提案を続けてまいりますので、またいろいろ
議論
をさせていただきたいというふうに思います。 ありがとうございました。
衛藤征士郎
204
○
衛藤委員長
これにて川内博史君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
細野
豪志君
。
細野豪志
205
○
細野
委員
閣僚の皆さん、お疲れさまでございます。川内
委員
に続きまして質問させていただきたいと思います。 特に閣僚の皆さんの中でも与謝野
大臣
、長時間本当にお疲れさまでございます。物理的にもずっと大変なお役だと思いますが、それ以上に、今の
日本
の経済
状況
、
社会
状況
を考えたときに、もともと三つに分かれていたはずの
大臣
をすべて兼ねられているというのは本当に大変だと思います。 まず、与謝野
大臣
にお伺いをしたいのは、旧来までは経済財政の政策の担当をされていて、昔でいえば経済企画庁長官も兼ねられている。そういう中で、経済成長を実現しなければならない、そういうお立場にあるわけですね。一方で、今度は
財務大臣
として財政規律も守っていかなければならない。特にこの二つは、当然、
予算
をつくるというときには矛盾をする、そういう役割にもなりかねないわけですが、その問題を今の
状況
においてどういうふうに考えられていて、どうやって、何に優先順位をつけつつ、この難局を乗り越えようとされているのか、まずそのことを御答弁いただきたいと思います。
与謝野馨
206
○与謝野
国務大臣
経済も財政もうまくやりたいと思っております。 しかしながら、今の
世界経済
、
日本経済
の現状を見ますと、財政規律というのはもちろん大事ですけれども、それにも増して、やはり
日本経済
が底抜けしないようにどういう政策をとっていくか、これが麻生
内閣
としての責任であり、我々閣僚は、麻生
内閣
総理
大臣
のその使命感にこたえていくということが我々の職責であると思っておりまして、二つの
大臣
を兼ねていることが、法律上矛盾も生じませんし、また、私自身の中での内部矛盾も生ずるものではないと思っております。
細野豪志
207
○
細野
委員
麻生総理は盛んにこういうふうに答弁されていますね。当面は
景気
対策
、中期的には財政再建、こう答えられていますね。そうしますと、今の
状況
の中でいうならば、財政再建よりも
景気
対策
が優先をされる、そういうお考えでよろしいでしょうか。
与謝野馨
208
○与謝野
国務大臣
経済のことが最優先なんですけれども、財政のことを忘れちゃ困るので、常に財政のことも頭に浮かべながら経済のことをやっていく、ここが多分大事なところじゃないかと思っておりますし、また、中期プログラムというのはそういう意味で書かれているものと私は考えております。
細野豪志
209
○
細野
委員
経済のことについてもう
一つ
だけお伺いしたいんですが、昔、私、実はこの仕事につく前に経済の予測をしばらくやっていた時期がありまして、そのときに、GDPの四半期統計、これは非常に注目していつも見ておりました。 そういう中でいうと、去年の十月—十二月の四半期統計というのは、もちろん私も見たことがないし、今この世の中に生きているエコノミストと言われる
人たち
も、だれも見たことがないような、
政治
家も見たことがないような、それぐらいすさまじい数字だったわけですね、年率で一二%強マイナスというのは。 これは、需給ギャップがどれぐらいあるのか、諸説あるんですが、
政府
が恐らくかなり少な目に見積もった数字でも二十兆円ですね。来年度に入ってくれば、さらに需給ギャップが恐らく
拡大
をすると思います。この二十兆円強の需給ギャップという数字と、今
政府
が出してきておられる、一次補正、二次補正、本
予算
を含めても十二兆円というこの数字は、これはどう考えても
景気
対策
の数字として合わないんですね。 もう
一つ
言うならば、去年通った補正
予算
も含めての十二兆円ですから。八兆円分は補正
予算
ですよ。来年度に若干それが残るとしても、流れるとしても、どう考えても、この需給ギャップとこの数字というのは合わないんですよ。 賢明な与謝野
大臣
ですからもうわかっていらっしゃると思うんですが、補正は組まざるを得ないですね。そのことについて、いろいろとお立場はあるのかもしれないけれども、この経済
状況
を、もう数字そのものを見れば、だれがどう見たってこれは今の
予算
じゃ無理なんですよ。いかがですか。
与謝野馨
210
○与謝野
国務大臣
私どもが
予算
をつくりますときには、やはり、あるクロスセクションというか断面の数字をとらざるを得ない、これが去年の十二月の
政府
の経済
見通し
。その断面での数字に基づいているのが今の
予算
であるわけです。 二月十六日に出ましたQEというのは、先生も驚かれたということですが、我々ももっと驚いたわけですし、また、一—三月の様子を聞いてみますと、個別の指標はまだいろいろ悪い方向を示している。 これでどうするのかというのですが、我々
政府
、特に閣僚の頭は、現在の
国会
で今御審議いただいております
予算
を御承認いただくことで頭がいっぱいでございまして、残念ながら、そのほかに考えが及ばないというのはまことに残念でございまして、やはり、経済界や学界、言論界、そして各党の皆様方に、どうすべきかということは真剣にお考えいただかなければならない段階に来ているということは正直に申し上げたいと思います。
細野豪志
211
○
細野
委員
仙谷
委員
から、先日、与野党で
国会
できちっと協議をしようじゃないか、
国会
でですよ、議会という場所で衆参で
議論
をしようじゃないかという発言がありましたが、私も全く同じ
意見
です。 そういう意味では、そういう経済
対策
について、表の場所で、きちっと
国会
で
議論
する場所はあるべきだと思います。きょうはこの話はこれ以上突っ込みませんが、その必要性は私は個人的には認めているということは申し上げたいと思います。 その上で、
大臣
にもう
一つ
お伺いしたいのがやはり消費税なんですよ。 中期プログラムを出されまして、
大臣
を兼務される前の所信の中で、こういうふうに与謝野
大臣
はおっしゃっていますね。消費税を含む税制抜本改革を経済好転後に速やかに実行することを内容とする中期プログラムを閣議決定しました、経済好転後の速やかな実行のためには、改革の内容の具体化や、法案その他の
制度
的準備を今から早急に行う必要がありますと。 この考え方に変更はありませんか。
与謝野馨
212
○与謝野
国務大臣
いつかはやりますということは永久にやらないということと一緒なので、ここはやはり、この時点からきちんと準備をしてやりますということは言い切るということが
政治
には必要だと私は思います。 ただし、急にやろうと言っている話ではなくて、どんなに早くたって三年後ですし、三年後でも、やはり経済が好転しているという条件が整っていないといけませんし、ましてや、
政治
がどうこの問題を判断するかということによっても決まってくるわけですから、自動的に物事が進んでいくという話とは全く違う。ちゃんと条件もあるし、
国会
という、あるいは各政党というちゃんとブレーキもついているわけですから、ノンブレーキで進んでいくという話とは違うんだ、これはぜひ御
理解
をいただきたいと思うんです。
細野豪志
213
○
細野
委員
先日、私、
予算
委員会
の中で、埋蔵金の問題で大分
大臣
とやりとりをさせていただいて、私は、まずは埋蔵金を初めとした無駄遣いの構造をなくしてから消費税の
議論
をすべきだということを申し上げて、そこは少し考え方に距離があるなということを感じました。 ただ、こういう立場にある私でも、消費税を
議論
してどういう形にするのかということについては、これはいつかは考えざるを得ないのはよくわかっている話で、そのことについて
大臣
がいろいろなことをおっしゃっていることに関しては、きょう、ちょっと突っ込んで聞いてみたいなと思ったんですよ。 まず、
大臣
にお伺いしたいんですが、条件があるというふうにおっしゃいましたね。この条件です、問題は。 中期プログラムには二〇一一年からと書いてある。そして、今度出されている所得税法の
改正
案には、
平成
二十三年度ですから二〇一一年度ですね、二〇一一年度までに必要な法制上の措置を講ずる。これは大分違いますね。二〇一一年度までに実行するのと、そのときに法整備をしているのでは、法整備をしたら実現するのはその後ですから、このタイミングは、明らかに中期プログラムと今回出している法案の中では違う文面になっているんですが、これについて、時期はまずどう考えられていますか。
与謝野馨
214
○与謝野
国務大臣
法律の専門家やなんかが集まって書いた文章ですから、ごちゃごちゃしているんですけれども、書いてあることは全く同じで、特に、総理が三年後に
景気
が好転した後に消費税をお願いしますということを実際法律にしますと、そういう複雑な文章になってわかりづらい、私自身もわかりづらいと思いますけれども。 それはどういうことを言っているかということを申し上げますと、うまくいったら二〇一一年からやりましょう、でも、うまくいかない場合でも、二〇一一年までには法律だけはつくっておきましょう、だけれども、実際それでやる、具体的にスタートするのは、それは別の判断ですよと。ただ、法律としての、税法としてのフレームワークはそれまでにつくっておく必要があるでしょう、それを開始するための条件というのはまた別なんじゃないですか、また別にちゃんと決めなきゃいけないでしょうと。 そういうことが書いてあるので、そんな難しい複雑なことが書いてあったり、何か逃げようとか、何か強引にやろうとか、そういうことが書いてあるわけじゃないんですね。
細野豪志
215
○
細野
委員
中期プログラムにはこう書いてあるんですね。消費税を含む抜本的税制改革を「二〇一一年度より実施できるよう、」と書いてあるんです。二〇一一年度よりということは、二〇一一年の四月ですね。それは法律を整備する話とは違うんですよ。これは、いろいろ与党内でも
議論
があってこういう文面になったんでしょうが、明らかに変わっている。 もう
一つ
大臣
にお伺いしたいのは、では、どういう条件が整えば消費税を上げるのかという問題です。 麻生総理は潜在成長率というような話をされていますが、ことしがもうすぐ二〇〇九年度になるわけですが、二〇〇九年度から一〇年度、一一年度に潜在成長率みたいなものが大きく上がるなんてことは考えられないですね。今、
内閣
府が見積もっておられる潜在成長率が約一%ですね。ここ二、三年よかったですが、それでも二%弱ですよ。潜在成長率というのは、そんなに一年や二年で大きく変わるものじゃないんです。 では、どういう基準で消費税を上げるか上げないかという決断をされるんですか。
与謝野馨
216
○与謝野
国務大臣
中期プログラム自体には、「今年度を含む三年以内の
景気回復
に向けた集中的な取組により経済
状況
を好転させることを前提に、」というふうに書いてあって、これは法律に書いてあることと同一だと私は思っております。 それから、次の質問は非常に重要な質問で、だれがどういう基準で経済が好転したのかということを判断するのか。これはなかなか難しい話で、実はいろいろな
意見
があって、潜在成長力に言及して法律を書けとか、いろいろな
意見
があった。 ただ、経済財政諮問
会議
の議事録を見ていただきますとわかるんですけれども、経済は循環する、循環するときに、下降局面で税を上げるということは愚の骨頂だ。これは経済の悪化を加速させるだけだ。それから、経済の頂点で税を上げるということも、これもまた避けなきゃいけない。頂点に達したということは、後は下げるということだから。だから、税を考えるときに、
日本
の経済が最下点に達して上昇局面に移ったときにやはり税を入れるということが経済に最もショックを少なく与えることではないか。 しかも、段階的にということが書いてありますけれども、これは例えばいろいろな税制を、いきなりフルの税率をどんといくのか、それとも段階的に税率を上げていくのか、そういう考え方が入っていて、やはり税制抜本改革というのは重要だけれども、
一つ
は経済回復が前提ですよと。それから、税の
導入
時期というのは、なるべく、経済に影響があるとはいえ、ショックを与えるような影響ではいけないし、また経済を下降させるような方法の
導入
はやはり避けなきゃいけないという一連の思想で中期プログラムも税法も書いてあるんです。 ただ、書く人が頭のいい
人たち
だから複雑そうに見えますけれども、中身は単純でございます。
細野豪志
217
○
細野
委員
大臣
、税を上げるタイミングとして、ピークでもだめだ、下降局面ならましてだめだという、同じ
意見
ですね。 ただ、そのことを考えるとき、もう
一つ
難しい問題があるのは、
景気
の上昇局面、後退局面、
景気
の
底打ち
、
景気
のピークの判断は、
政府
がやっている判断でいえば約一年おくれますよね。だから、おととしの
景気
がピークで、下がってきたという判断をしたのは去年の年末じゃなかったでしたか、私の記憶が確かなら。さまざまな経済指標を総合的に判断して、ここが底だ、ここがピークだという、これを打つわけですよね。ということは、一
年間
判断できないんですよ。一年は明確な判断ができないんですね。 もう
一つ
申し上げると、同じ回復局面といっても、これは水準がありますから、底が深ければ深いほど、底から多少上がったところで
景気
のレベルは非常に低いわけです。景況感がいいという
状態
にならないわけですね。どのタイミングで上げるのかというのは、これはまた非常に難しいわけです。だから、今
大臣
がおっしゃったようなお話だと、これは何ら、いつ上げるか決まっていないという話になるんですよ。 例えば、
景気
がボトムを打ってから一年になったら上げるということをおっしゃるならおっしゃらないと。私と消費税に対する考え方は若干違うので、その辺について、同じだから誘導しようという話ではないんだけれども、せっかくこういうふうにおっしゃって書かれているんなら、その趣旨を明確に答弁でおっしゃらないと書いた意味がないですから。 では、
大臣
は、
景気
がボトムを打ってから、それが、ことしじゃちょっときついのか、来年なのか、これはわかりませんよ。今の
状況
ならわからないけれども、それから一年たって、ボトムを打って一年たったときに、ちょうどこれがボトムを打って一年ですというのがわかりますよ、統計上。これまでもそれでやってきたんだから。では、答弁からすると、その時点で上げるというお考えなんですね。いかがですか。
与謝野馨
218
○与謝野
国務大臣
QEを最終的に確定するのにはそのぐらい時間がかかるわけですけれども、どの数字、底を打ったという話ですか。(
細野
委員
「一致指標でやるじゃないですか」と呼ぶ)ですから、全体を判断していかなきゃいけない話なので、経済の厳密な分析をする方の御
意見
も大事ですけれども、やはり
政治
として総合的な判断をして、今消費税を
導入
しても経済にショックを与えないかどうかという、
政治
家がやはり総合的な判断をその局面で要求されるんだろうと思うんです。 それで、
見通し
が完全に当たるかといったら、それはわかりません。わかりませんけれども、
政治
がそれについて責任を持って判断するということに私は尽きると。ただ、その指標がほぼ確定するまで待てば、先生おっしゃるように、時間はどんどんたっていって全部後講釈になっちゃうので、そこはやはり先取り的な勇気は少し必要だということは率直に認めます。
細野豪志
219
○
細野
委員
与謝野
大臣
は非常にここはこだわっておられて、考え方をお伺いしたいなとぜひ思っていましたので、きょうは話を聞かせていただきました。 ただ、今の御答弁を聞いていて、ああ、こういう形で将来こうなるんだなというところまでは、これは全く決まっていないということも逆にわかったなという思いでございまして、いろいろな
議論
がこれからもあるでしょうから、そういう中で私自身も
議論
に加わっていきたいなというふうに思っております。 この話をしていると終わりがないので、次の議題に行きたいと思いますが、石破
大臣
に汚染米の問題を聞きたいと思います。 きのう、筒井
委員
と石破
大臣
の中で、農政についてさまざまな
議論
がありました。自民党内でもいろいろな
議論
があるようですが、選択的な減反
制度
について提案をされた部分、さらには土地の問題、農地の問題について、所有から一歩前に出て利用をやっていくというこの考え方。個人的には、これはなかなか勇気のあることをおっしゃったなと思います。 その
議論
もぜひしたいと思うんですが、私は、その
議論
をする前に、実は、まだ農水省が片づけていない、片づいていない問題があると思っていまして、世間ではもう話題から外れてしまいましたが、その問題の
一つ
が私は汚染米だというふうに思っています。 農水
大臣
、
手元
に
資料
をお配りしていますので、五枚目を
委員
の皆さんももしよろしければごらんいただきたいんですが、
大臣
、よろしいですか。 これは農林水産省が出してくださったデータでございまして、最近の
政府
米に関するカビの発見
状況
という数字です。一番のところで年度ごとのカビの発見件数が書かれてありまして、十七年度の十六件から、十八年度三十六件、そして十九年度四十四件、二十年度が八十九件と、数字が大きく上がってきております。 問題はその下なんですが、この二十年度の八十九件を月次の数字で見てまいりますと、四月二件、五月一件、六月三件からずっと始まって、数が非常に少ないところにとどまっているんですが、十一月に十二件にはね上がって、十二月に二十九件、そして一月は三十件という件数になっていますね。 まず
大臣
にお伺いしたいんですが、十二月、一月と、直近の二カ月、大きくカビ米の件数がふえている、この原因は何ですか。
石破茂
220
○石破
国務大臣
それは、昨年の十二月八日から後は、実需者に引き渡す前にすべての袋をあけて、目で見てカビがあるかないかというのをチェックするようになりました。それまではすべての袋を開いておったわけではございませんので、すべての袋を開くようになったらばふえましたということ、事実だけをお答えすればそういうことでございます。
細野豪志
221
○
細野
委員
では、農水
大臣
、十二月が二十九件、一月が三十件ですね。一月からずっと、平均すると三件ぐらいの数字が並んでいますね。ということは、逆に言うと九割方は見過ごされていたと。汚染米は入っていたけれども、全量
調査
をしてみたら三十件
程度
になったけれども、その前までは実は汚染米は入っていたんだけれども見過ごされた、そういう話じゃないですか。
石破茂
222
○石破
国務大臣
その可能性が全くなかったとは申しません。それは、全量を開いてみたらそういうことでしたということに相なりますので、意図的に見逃していたとかそういうことではございませんが、その中に、では、ほかにも入っていたのじゃないの、そういうことがあったのじゃないのと言われれば、そういう可能性を否定することはできません。そのとおりです。
細野豪志
223
○
細野
委員
石破
大臣
、そうすると、石破
大臣
が可能性があるとおっしゃった、見過ごされたものはどうなったんですか。
石破茂
224
○石破
国務大臣
それが市場に流通をしておったということではないと思っております。それは、その後事故というのも起こっておりませんし、きちんと全部あけてみたらそういうこともありましたということですけれども、それが見逃されたまま市場に流通し、消費者の手に渡り、そして、いわゆる
委員
のお言葉をかりれば汚染米なるものが市場に流通をしておった、それを見逃しておったということではない。それ以前もチェックはしておったわけでございます。 ですから、私が申し上げたのは、その可能性は否定できないということを申し上げました。それが全くなかったかといえば、そうではない。全量を開袋するようになったら数がふえたじゃないのということは、事実としてはそのとおりでございます。では、それまでに全くチェックを行っていなかったのかといえば、チェックは逐次行っておりました。ですから、それが、消費者の口に汚染米がそのまま流通したということをそのまま同義として申し上げているわけではございません。
細野豪志
225
○
細野
委員
大臣
、ごまかされていますね。これは毎月三十件あるわけです。それまでは毎月一件とか三件とか、その
程度
しか出ていなかった。九割方見過ごされていたということはお認めになりましたね。 では、それが市場に流通していないという根拠は何ですか。では、残りはどうなったんですか。どうなったかをお答えいただきたい。
石破茂
226
○石破
国務大臣
これは、私もカビの専門家ではございませんので、聞いておられる方がわかりにくいなと思われたらごめんなさい。私が
理解
している範囲で申し上げます。
平成
二十年の四月から十二月、すなわち開袋を全部やる前のことですね。MA米でカビが発見され、分析が終了したものは二十一件ということになるわけでございます。このうち、アスペルギルス・フラバス種なるものが同定されたのは十六件。 このアスペルギルス・フラバス種というのは、何だか恐竜の名前みたいですが、そういう種がございまして、これには、アフラトキシンB1というものを産出する株と、そうじゃない株というのがあります。つまり、いい株と悪い株みたいな分け方になりますが、そのうち、アフラトキシンB1という悪いものが検出されたのは一件のみということでございます。 過去五
年間
にそのアフラトキシンB1が検出されたケースは四件ございますが、いずれもカビそのものから検出されたので、
販売
に供する米から検出されたわけではないということでございます。
細野豪志
227
○
細野
委員
大臣
、時間は十分あるんですが、それでもやはりもったいないですから、ちゃんと
議論
しましょう。 私が補足しておきますと、今出たアフラトキシンというのは、この地上に存在をする最強の発がん性物質ですよ。フラバス種というのは、それを産出し得るカビですよ。 さらに加えて言うならば、私も随分カビに詳しくなりました、この半年ぐらいカビの専門家に相当話を聞きましたから。これは、フラバス種からアフラトキシンになるのは、見た目では全くわからないそうです。しかも、煮ても焼いても食えないんじゃなくて、食ってしまった場合には、アフラトキシン自体は全く効果は薄れない、発がん性物質としての効果は全く薄れない、そういう最強の物質なんですよ。それが一件入っていた。それは間違いない事実。 その前提で、
大臣
にしっかりまずここは御答弁いただきたいんですよ。国民の皆さんもこれは見ていますよ。要するに、これまでの農水省の検査は正直言ってずさんでした。それは、全量
調査
するのがいかに大変なことかというのも私わかっていますから、それはすべて悪いとは言わないけれども、この足元で三十件出ている。その中で、その前は見つけられなかった部分は市場に流通をして、そして消費者が食べている可能性を否定できない。これは
大臣
、きちっと答弁をしないと、単にごまかしているだけということになりますよ。 まず、そこについて答えてください。発見をできなかった九割方はどうなったんですか。
石破茂
228
○石破
国務大臣
ですから、テレビをごらんの方、仮に録画で、あるいは同時中継でごらんの方におわかりにくいかもしれませんがということをお断りしたのは、そういうことです。 ですから、
委員
の方が私よりもはるかにお詳しいと思いますが、アフラトキシン、イコールすべて猛毒で、がんを発生する史上最強の発がん物質である。それは、アフラトキシン自体はそうなのですが、アフラトキシンというものもいろいろな種類があって、B1を産出するものと、しないものとある。ここはよろしいですね。アフラトキシンの中にもいろいろなものがあって、いいアフラトキシン、悪いアフラトキシンとは言いませんが、アフラトキシンB1なるものを産出する株と、そうじゃないのとございますよと。 そして、同定された十六件のうち、そのB1を検出されたのは一件だけで、これは公表いたしておるものでございます。既にこれは公表しておるものでございます。 つまり、アフラトキシンB1を産出しても、温度とか湿度、つまり、先ほどおっしゃったように……(
細野
委員
「わかっています」と呼ぶ)いやいや、お尋ねになっているから聞いているので。煮ても焼いても食えないとおっしゃいましたが、温度によって、湿度によって、いろいろな条件が合致をしなければアフラトキシンB1というものは産出しないということになるわけです。どんなときでもそれが発がんとしてがんを生起させるかといえば、そうではない。温度などもすべて合致した、そういう条件を成就しなければそういうことにならないわけでございます。 今までカビそのものから検出されたものというのが、過去五年でアフラトキシンB1が検出されたケース四件。それは、いずれもカビそのものから検出をされたものであって、
販売
をする米からそういうものが検出されたことはない。 したがって、そのように猛毒を発生する、がんを発生させるものを、結果として、ずさんに消費者の口に入るような流通ルートに乗せたということではないという認識を私は持っております。
細野豪志
229
○
細野
委員
アフラトキシンが入ったか入っていかないかという
議論
の前の話をしているんです。どういうカビが産出しているかは、これは調べてみないとわからないんですよ。 ただ、要するに、今調べてみたら三十件出てきたのが、実際にその前は出ていなかったということを考えれば、そのものはどこに入ったかといったら、流通をして、それは
食料
残渣になった。幸いにしてなったものがあればいいですが、そうでないものについては、これはおなかに入ってしまっていることは間違いないでしょう。私は、それがアフラトキシンだと断定はしていませんよ。 まず、そのカビそのものが発生をした米が消費者に流通をしてしまったんですということについては、それは積極的に認める必要はないけれども、この数字を見たら、可能性があるということは、
大臣
、きちっと認めないと
議論
が出発しませんよ。アフラトキシンの話はしていませんよ。
大臣
、いいですか。 九割方の、見過ごされた可能性があるものについては、流通ルートに回って、消費者がそれこそ消費をした可能性を否定できませんね。このことについて聞いているんです。
大臣
、ここを答えてください。
石破茂
230
○石破
国務大臣
ですから、
委員
も慎重な方ですから、言葉は本当に気をつけてお使いになっているのはよくわかるのですが、カビが入ったものが流通していた可能性というものは否定できないかと言われれば、それは否定はできません。それはそうです。しかしながら、ではアフラトキシンがどうなのだと言われれば、それは
委員
が質問の中でおっしゃったとおり、それはまた別のお話でございましょう。 カビがきちんと発見できないで、すなわち、全量開袋すればこんなにいっぱい出てきたわけですから、では、それ以前はどうだったのと言われれば、それが流通していたことは否定できないということは、先ほど来認めておるとおりでございます。
細野豪志
231
○
細野
委員
ようやく事実認識がこれで一致をしました。カビが生えていたものが流通をして、そして消費者の口に入っていた可能性を、
大臣
、お認めになりましたね。そこから問題になるのは、では、そのカビがどんな種類のものだったのかということなんですよ。 お配りをした
資料
の、今年度に八十九件出ているカビのうち、先ほど
大臣
が答弁をされましたが、具体的にどういうカビかということで明らかになったのが二十一件ですね、
大臣
。二十一件のうち、最も種類が多かったのがアスペルギルス・フラバス種ですね。私、実はもっと割合は少ないと思っていたんですよ。アフラトキシンを産出し得るカビだから、そういうものはめったに入っていなかったのかなと思っていたら、全範囲で
調査
をしたもの二十一件のうち、十六件はフラバス種なんですよ。 そして
大臣
、重要な御答弁をされましたが、そのうちの一件にアフラトキシンが入っていたんですね。二十一件に一件、アフラトキシンが入っていたんですよ。
政府
委員
に確認しますが、これを見つけたのはだれですか。
町田勝弘
232
○町田
政府参考人
お答え申し上げます。 これは、
政府
が加工食品
メーカー
に原材料として
販売
したタイ産米の一部からカビ状の異物百八十グラムが発見されて、このカビ状の異物を分析したところ、カビ毒が検出されたということでございます。 これは
販売
した先でということでございますので、発見したのは実需者ということでございます。カビ状異物を発見して連絡をしてきたのは実需者ということでございます。
細野豪志
233
○
細野
委員
何度も言いますが、アフラトキシンというのは地上に存在をし得る最悪の発がん性物質と言われていて、食品衛生法上は扱ってはならない、絶対入っていてはならないことになっている物質なんです。その物質が去年の年末に発見をされています。しかも、聞こえにくかったですが、それを発見したのは農水省じゃなくて、売り渡しをされたその事業者が発見して、農水省に知らせて、そして判明しているんです。 もう
一つ
政府
委員
に聞きますが、この実需者から連絡があったのが去年の十月の二十三日ですが、農水省がこの実需者に対して、この業者に対して米を
販売
したのはいつですか。
町田勝弘
234
○町田
政府参考人
お答え申し上げます。 搬入いたしましたのは、その前日の十月二十二日でございます。
細野豪志
235
○
細野
委員
大臣
、これは重要なんですよ。十月の二十二日までは
政府
米だったんですよ。それを二十二日に売り渡して、二十三日に事業者が発見しているんですよ。これは、二十二日から二十三日の間にカビが生えたと思いますか、アフラトキシンが発生したと思いますか。違いますよ。
政府
が持っている中で、もうアフラトキシンは発生していたんですよ。それを
政府
が事業者に売って、この事業者が善意で言ってくれたからよかったけれども、言ってくれていなかったら市場に流通しているんですよ。 こういう問題がこれまで起こっているんです。
大臣
、ちょっと認識を変えられた方がいいと思いますよ。 この件について、しっかり私はコメントをもらっていないので、どういうふうに農水省として考えられているのか、御答弁いただきたいと思います。
石破茂
236
○石破
国務大臣
ですから、
委員
がおっしゃるとおり、たまたまその業者さんがこれはカビが生えているよというふうに言ってくれたので、わかりましたということであるわけです。 ですから、それまでの検査の体制というものに、ずさんさ、完璧を欠く部分があったということは、それは率直に認めざるを得ないところだと思っております。
細野豪志
237
○
細野
委員
この汚染米の
議論
を石破
大臣
と何度もやらせていただいて、私は、石破
大臣
というのは、これまで
防衛
省でいろいろ不祥事が中であったり、いろいろ御苦労をされたときも見ていましたが、
大臣
を私はこの部分では信頼しているんです。すなわち、問題があった場合にはできるだけ情報を公開して、そして再発防止に努めるということについては、私は石破
大臣
を信頼しているんですね。 その石破
大臣
に、
一つ
納得ができない、ぜひ改めていただきたいことがあります。それは、農水省は、ことし発生しているこの八十九件の汚染米の検査をしないというんですね、これまでしていたのに。 農水
大臣
、ことし二十一件発生したもののうちの一件にアフラトキシンが入っているんですよ。実際問題には、月に三十件ぐらいの汚染米が流通をしていると換算すると、
年間
三百件から四百件ぐらいの汚染米が入っている可能性があることは、これは否定できませんね。二十件に一件アフラトキシンが入っているということは、この数字だけからすれば、
年間
に十件から二十件ぐらいのアフラトキシンが流通していても、確率的にはおかしくないんですよ。断定はしませんよ、私は断定はしないけれども、その可能性はこの数字からすると否定できない。 去年だけではないんですよ。
平成
十八年にもアフラトキシンは二回発見されている。そして、
平成
十六年にもアフラトキシンが発生をしている。これは、もしかしたら氷山の一角かもしれないでしょう。
大臣
、これはぜひ農水省に言ってもらいたいんですが、八十九件全部
調査
をしてください。これまでしていたんだから。いろいろ新しくこれからのものを大量に
調査
しなきゃならないという言いわけは聞きました。ただ、少なくとも、ことしこれだけしっかり発見をされて、これがどういうもので、どういう形で流通していたのかということも含めて、過去について検証なくして未来はないと私は思いますよ。しっかり調べてください。
石破茂
238
○石破
国務大臣
一つ
は、これから消費者の方々の口に渡るものの中にアフラトキシンが入らない、それは全量開袋でやるわけで、これからそういうことは起こりませんということは、私として断言をさせていただきます。 では、今までやったものはどうするんだというと、既に分析を発注しているものもございます。それはきちんと分析をし、なぜこのようなことが起こったかということはきちんと検証をしなければいけない。既に発注したものについてまで、もういいや、やめるということはいたしません。既に分析を発注したものにつきましては、最後まで分析を行い、どうしてこういうことが起こったかということが定性的にわかると思っております。 八十九件全部をやるべきかどうかということにつきましては、これは確率論の問題になりますので、これだけのものをやったとした場合に、どうしてこんなことが起こったかということが検証されるかどうか。それは、すべてやらなければならないということで、
委員
が知見に基づいてまた御指摘をいただければ私どもも考えますが、今のところ、現在発注しているものを分析するということでよろしいと私自身考えております。 もう
一つ
は、これはプレスリリースで申し上げておりますが、どの時点できちんと、カビが発生しないように、あるいは、したかどうかということをチェックするかというのは、実際に産地から船で積み出され、それから船で
日本
までやってきて、
日本
でおろしてと、いろいろな過程があるわけでございます。どこにおいてどのようなチェックをすれば一番効果的かということをこれから、今検証いたしておるところです。
委員
おっしゃるように、一日で突然カビがわくというようなことはあり得ないのでありまして、どこの時点でやることが一番いいか、そしてどのようにダブルチェック、トリプルチェックをかければカビの発生が防げるかということは、これから先、きちんと検証して、一番いいやり方というものを確立してまいります。 ですから、何で全部やらないんだということについては、今発注してあるものをきちんと分析することで、今まで何でこんなことが起こったのかということを検証するに十分ではないかというふうに思っておりますが、
委員
がカビを本当に十分御研究になって、いやいや、それは全部やらなきゃだめなんだということであれば、それはまた
検討
させていただきたいと存じます。
細野豪志
239
○
細野
委員
私、この件に関しては、必ずしも、農水省の官僚の皆さんがこれまでやってきたこと、言ってきたことを余り信用していないんですね。
大臣
の答弁も大事ですが、事務方にも確認をします。 では、八十九件のうち、既に発注が終わっているのは何件ですか。そのうち、判明をしているものが何件で、今
調査
を待っているものは何件ですか。そこをしっかり答弁してください。
町田勝弘
240
○町田
政府参考人
全部お答えできるかあれなんですが、十月までの部分というのは、すべて分析は終わっております。十一月、十二月、本年一月に発見されて分析発注したものは、それぞれ十二件、二十九件、三件、合計四十四件でございます。 この四十四件のうち、分析を終了していないのが三十三件でございます。これにつきましては、
大臣
からお話がありましたとおり、すべて分析を行うということでございます。
細野豪志
241
○
細野
委員
十一件はもう分析が完了していて、三十三件が分析が終わっていない。これについてはきちっと答えを持ってくるということでいいですか。もう一度確認。
町田勝弘
242
○町田
政府参考人
さようでございます。三十三件について分析を行うということでございます。(発言する者あり)
細野豪志
243
○
細野
委員
今我々の
委員
の方からもありましたが、
大臣
、四十四件までやっているわけですね。あと二十七件ですか、二十七件きっちりやればいいじゃないですか。それで、アフラトキシンが出ないなら出ないでいいし、もう食べたものを全部検証するのは無理なんですよ。ただ、この八十九件というのは非常に重要なサンプルですよ。残り二十数件ですから、それもやって、きちっと過去はこういうことで検証し終わりました、結果はこうですと
委員会
に報告してください。 その上で、
大臣
、
一つ
だけ言っておくと、今、四十四件、これも結果を出すと言ったけれども、きのうまでこれも出さないと言っていたんですよ、農水省は。これはもう発注をしましたけれども、答えは持ってきませんと言っていたんですよ。本当ですよ。何度も何度もこの数週間やり続けて、二十一件だけ結果を持ってきたけれども、残りは、穀物検定協会に発注をしているにもかかわらず、結果は出しませんときのうまで言っていたんですよ。ほうっておいたらやりませんよ、
大臣
。 いいですか、ここで約束してください。残りの十一月、十二月、一月の七十一件もすべて調べて、どういうカビだったのか、菌だったのか、そのことを皆さんに明らかにする、
委員会
にも報告をする。お約束いただきたいと思います。
石破茂
244
○石破
国務大臣
先ほど申し上げましたように、現在発注しているものの分析をきちんと行うということで、今までの原因等々は明らかになるという報告を私は受けております。 ただ、
委員
おっしゃいますように、きのうとおっしゃいましたか、きのうまで、それもやらない、あるいは公表しないというふうに言っておったとすれば、私、その話は聞いておりません。そうだとすれば、日々言うことが変わっちゃうということであれば、それは
委員
が不信感をお持ちになるのも当然のことだろうと思っております。 私自身、これから先そういうことは起こらないということ、そしてまた、過去何で起こったかということは、今発注しているものを分析すれば足りる。そして、これから先、先ほど申し上げましたように、あらゆる段階でチェックをしていけばよいのだということで、それなりに納得はしておりましたが、
委員
がおっしゃいますことにも首肯し得る部分がたくさんございますので、もう一度
検討
して、必ず結果は御報告を申し上げます。
細野豪志
245
○
細野
委員
私、
大臣
の言葉は信用しますので、もう一回はっきり答弁してください。 残り二十七件です。そんなにコストがかかるものでもありません、時間はかかるかもしれないけれども。きっちり全量を過去については検証をして、これからは出ませんというのが一番すっきりするじゃないですか。やっていただけますね。これはしっかり答弁してください。
石破茂
246
○石破
国務大臣
それをやることの意味ということだと思います。私は
委員
のおっしゃるとおりだと思いますが、事務方の方から、いや、今発注しているものを分析するので十分足る、それをやることの意味、税金を使ってまでやることの意味というものに意味が見出せないという話も聞いておりますので、それがどうなのかということは、きちんと、
国会
の場で御指摘のあったことですから、私自身、それは大したお金のかかる話でもないだろうということでございますので、それが税金の使い道として正しいということであれば必ず行わせていただきます。 もし仮に行えないということであるならば、なぜやらないかということはこの場できちんと申し上げる責任がございます。
細野豪志
247
○
細野
委員
ここできちっと御答弁いただけないのは正直残念ですね。
大臣
、事務方からしっかり話を聞いてください。検査
機関
は複数あります。ことしはたまたま悪名高き穀物検定協会にやっておられるようですが、ほかにも幾つかあります。全量検査をするということになって、複数の
機関
に分割発注することを
検討
しているようです。過去を検証できない理由は全くないです。しかも、残りは二十七件、そんなに時間かかりません。しっかり検査をして、そしてそれを国民の前に明らかにする。
大臣
はそうやっていただけると約束していただいたと私はとりますから。お願いしたいと思います。
大臣
にもう
一つ
この問題を聞きたいんですが、私、やはりちょっとこの問題を見ていて考えてしまうのが、カビが発生している米のほとんどが輸入米なんですね。なぜ輸入米なのかというと、それは、米ですから飛行機で運んでくるわけにいかないので船で運んでくるわけですね。船底は湿っているわけですよ。そこで、どんぶらこどんぶらこと海を渡ってくれば当然しけて、船の中、もしくはその後倉庫にあるときにかびる可能性が高いわけです。それを、しかもこれからは全量検査をして、相当コストをかけて流通をさせる。 WTO上の約束もあり、これは非常に難しい問題があるのかもしれないけれども、一回立ちどまって、このMA米の扱いについては、これは国際協定云々ではなくて、
我が国
の国民の安全の観点から一回考え直す、体制も含めて。それぐらいは、農水
大臣
、国民のことを考えたら
我が国
の
政府
はやるべきだと思います。いかがですか。
石破茂
248
○石破
国務大臣
分科会でもどなたかにお答えをしましたが、それはミニマムアクセス米が入ってこないのが一番いいに決まっているんです、そんなもの。そしてまた、
生産調整
に影響を与えないということで、これは
政府
が保管をし、それは国民の税金で保管をしておるわけですから、ミニマムアクセス米は一切入れないというふうに言えば、それはもうみんなよかったよかった、こういう話になるわけでございますが、そうすると、七七八という高関税を張っているというのをどう考えるんだという
議論
とこれはセットなのは
委員
も御案内のとおり。 それで、危ないから入れないんだということを盾に、ではミニマムアクセス米を入れないということができるか。それはまさしく、おたくの国でちゃんとチェックをすればいいんじゃないのと。あるいは、タイであるとかベトナムであるとか、そういう国において、
我が国
として申し入れて、きちんと検査してちょうだいよ、危ないものが入ってきちゃ困るんだからというようなやり方があるはずなので、私は、危ないものが入っている、だから入れないということが通るかどうかといえば、七七八を張りながら、危ないのでそれは入れませんということはなかなかストレートには通りにくいお話だというふうに考えております。 ミニマムアクセス米を入れないためにどういうようなやり方ができるか、それは消費者に危ない米が流通しないための施策というものとはまた別に、かぶる部分もございますが、また別に
議論
をしていかねばならないのだろう。 よく御党の議員が御提案になりますところの、輸入機会を提供しているのであって、全部正直に入れることはないではないかというお話があります。そうすると、国家貿易というものをやり、そして
生産調整
に影響を与えないということと、機会さえ提供すればいいのだということが鼎立し得ることなのかどうかという
議論
をきちんと詰めていかねばならないことなのだと思っています。 仮に、それでは国家貿易ではない、民間貿易にするのだというやり方をした場合に、それは、関税を乗り越えて米が入ってくるという可能性は私は否定できないんだと思っております。 つまり、
生産調整
に影響を与えないということを担保するためには国家貿易を堅持せざるを得ない。国家貿易で国として、民間から入る道を閉ざして国が買うのだといったときに、民間だったら全量買うのにね、それ以上買うのにねと言われたときに、いやいや、そうではありません、国がやる以上、まさしくミニマムの、それは機会の提供ではあるけれども半ば義務的に買わざるを得ないのだということは、それは賢明な
委員
であれば御
理解
をいただけることだと思います。これは、先ほど鼎立という言葉を使いましたが、消費者の安全、それから
生産調整
、そして高関税、ここをどう考えるか。 そして、例えば、
アメリカ
に
日本
の
自動車
は二・五%の関税で入っているわけでございますね。
アメリカ
の米を
日本
が買う、タイの米を
日本
が買う、ベトナムの米を買うというときには、七七八という半ば輸入禁止的な関税をかけておるわけで、輸入禁止と言うからには輸入機会を提供してくれ、それがミニマムアクセスの本質でございます。 そうすると、
我が国
の産業構造、貿易構造というのをどのように考えるかということまで
議論
はさかのぼるのでございまして、
委員
がおっしゃることは心情的にはよくわかりますし、
委員
もすべてのことを御存じの上でお尋ねですが、消費者に危険が及ぶかもしれないのでミニマムアクセス米やめというすぱっとした
議論
にはならないと思っております。
細野豪志
249
○
細野
委員
大臣
、私もこれを未来永劫ストップできるとは思っていませんよ。それはやはり義務があるので、それについて国際的に責任を果たすということは必要でしょう。ただ、農水省のこの間のどたばた劇を見ていて、本当に安全を
確保
できる体制が
我が国
にできているのかというと、甚だ心もとないんですよ。 だとすれば、まず一時的にでもこれはとめるところはとめて、そして体制が整ったところでミニマムアクセス米をどう
確保
していくのかということを考える。それぐらいは、私は、国民の安全を考えれば、選択肢としては十分
検討
に値すると思いますよ。この
議論
はちょっと切りがありませんのでやめますが。 石破
大臣
はこれで結構です。ありがとうございました。どうぞお帰りください。 きょうは、消費者問題担当の
野田
大臣
に来ていただきました。 今回、消費者庁の問題を担当されていて、私、この問題は大変大事だと思っている。ただし、残念ながら、
政府
が出してきている消費者庁の体制の中で一番欠けているのは、今私が石破
大臣
とやりとりをしたこの部分だと思うんですよ。 輸入米は、厚生労働省が検疫のところで、こういうものが入っていないかとチェックしますね。
国内
に入ったら農水省が、農政事務所がチェックをする体制になっている。ただ、チェックができずにこのまま来て、そして実際に怪しいものが回ってしまった可能性があるということも、石破
大臣
自身が今お認めになりました。 今度、消費者庁を新たに設置されるわけですが、この体制は変わるんですか。
野田聖子
250
○
野田
国務大臣
お尋ねいただきまして、ありがとうございます。 消費者庁についてはなかなか発言の機会がないものですから、この場をかりて少し説明をさせていただきたいと思うんです。 事故米、これは、先般発生した事故米の不正規流通で、いかに農水省とまた食品の安全にかかわっている厚生省とのもたもたがあったか。さっきどたばたがあったというお話がありましたけれども、そもそも、あの事故米が
拡大
してしまった理由は、通報があったけれども、それを
手元
で、隠し込んでいたとは言わないけれども、迅速に
調査
に行かなかった農水省の問題がありました。 消費者庁になると、通報やいろいろな報告が、消費者庁が一元管理をすることになるので、利害
関係
が発生しませんから、速やかにその通報に対応することが可能になります。迅速に対応することが可能になります。 今回も、お米を扱っている人というのは、いわば農水省とお友達
関係
というと申しわけありませんけれども、いわばそういう仲間内であったから、ためらいがあったのではないか、
調査
も大変ずさんだったし、
調査
という
調査
になっていなかったんじゃないかということで、どんどん
拡大
した経緯がある。 これに関しまして、中立公正な消費者庁は、その担当である農林省に措置命令、速やかにやりなさいという指示を発することができるわけですね。それでも当該の役所がもたもたしているようだと、法律の権限のもとでみずからが立入
調査
ができる、そういう力を持っております。 そういうことで、今般そういういろいろなトラブルがあったところに関しては、消費者庁という役所があれば速やかに改善できたということは確実であります。
細野豪志
251
○
細野
委員
大臣
、いろいろな通報があったり、きちっとなされたときにどう対応するのかというのは基本で、それすらやっていなかった農水省は論外なんですよ。 ただ、消費者庁ができたところで、水際は厚生労働省がやり、
国内
に入ったものの安全は農水省がやり、それこそ検疫体制とそして農政事務所の
関係
というのは、これは変わらないでしょう。変わるんですか。
野田聖子
252
○
野田
国務大臣
各省庁縦割りになって、情報の共有がきちっとなされていないというのが今回の問題であったと思いますので、それは、消費者庁が司令塔的役割を果たして、一気呵成に、それぞれにそれぞれの役割に応じて動いていただくという要求、措置命令ができるということであります。
細野豪志
253
○
細野
委員
やはりここは体制は変わらないんですね。
大臣
、もうここのやりとりは、別の場所もまたあるんでしょうから、そこでいろいろな
議論
をしていただくとして、ここが私は、今回の消費者庁の問題を考えたとき一番、やはり危険なものは
日本
の場合は外から入ってくるケースが多いんですよ。この部分が穴があいているということが最大の問題だと思いますので、そのことを指摘したくて最後に質問させていただきました。 ありがとうございました。どうぞ、お忙しいと思うので、
野田
大臣
、結構です。 官房長官、もうすぐ会見に行かれるということで、ちょっと話題をかえて、天下りの問題、特に公益法人の問題について質問をさせていただきたいと思います。
資料
をつくっておりまして、後ろから三枚目をごらんください。せっかく昔パネルをつくったので持ってきたんですが、これは私の地元の、十人という、規模としては非常に小さい鉄骨業の業者が、十名の中で取得している資格の種類なんですね。資格の種類だけで十八種類。そして、その中に、例えば二番に書いてある
日本
溶接協会の一番上の資格であれば、溶接管理技術者適格性証明書というのであれば、特別級、一級、二級、こういう資格があって、とにかくこの資格を取るのにコストがかかってかなわぬというふうにこの
業界
の方は皆さんおっしゃっています。 私、調べてみました。それぞれの資格を付与している公益法人や団体に役所の方のOBがいないかと調べてみたら、いるんですよ、やはり。
国土交通
省からの天下り、都道府県からの天下り、厚生労働省からも天下っています、そして経済産業省からも天下っている。こういう構図は、やはり本当に一回変えないかぬと私は思うんですよ。 まず、総論として、官房長官、どう思われるか。時間もないでしょうから、御答弁いただけますか。
河村建夫
254
○河村
国務大臣
いわゆる技術者の資格問題でございます。これがあって、いろいろな団体があって、そこへ天下り、こういうふうになっているんじゃないかという御指摘かと思います。 ただ、この資格がまず必要であるかどうかということについては、これはまた資格との問題もございましょうし、それから、資格
制度
のあり方等との問題もあろうかと思います。ただ、さはさりながら、この鉄骨加工、この辺は建物の一番最初のところでありますから、この安全性というのはやはりきちっとやってもらわなきゃいかぬ、そういうことからこれは生まれたんだと思いますね。 だから、先に資格
制度
を設けて、そしてその団体をつくっていって、天下りのためにつくったと考えるとこれはちょっと、そこまで考えると、しっぽが体を振るような話になりますが、そういう形で資格
制度
が生まれていって、そういう団体が必要になってできてきた、このように思います。しかし、安全性の点から考えなきゃいけませんし、そういうものの天下りと言われるものが、
予算
とか権限とか、それを持って押しつけ的に行っている、これはやはり絶滅しなきゃいかぬ。こういう方向で官民人材交流センターもつくっていったわけでありますから、そういう視点で見る。 しかし、こういう公益法人的なものの
見直し
等は、これはふだんもやっていかなきゃなりませんし、どのような形になっているか、これはやはり考えていかなきゃいけない
課題
だ。そういう面でのいわゆる天下り、いわゆる権限、
予算
押しつけ的なもの、それ以外の、定期的にずっと行っているじゃないかと前の
委員会
でも御指摘あった、そういうことについての
見直し
等は不断にやはりやっていかなきゃいけない
課題
である、このように認識をしております。
細野豪志
255
○
細野
委員
今、官房長官は、
予算
と権限とおっしゃいましたね。こういう公益法人の資格というのは、
予算
と権限ということでいうと非常にグレーなゾーンなんですよ。 別に、この資格を持っているからといって、補助金をもらっているわけではないんですね。権限があるかといえば、これは民間の資格なので、別に国家資格と違って強制力があるものではないんです。ただ、現実的には、例えば市町村や都道府県の入札のときに、こういう条件がないと業者として入れないことになっているから、公的な資格ではないけれども、取らないと商売をやっていけないことになっている。それが非常にグレーなゾーンで、しかも、国の手が届かない一方で民間はなかなか
意見
が言えないというのは、こういうものなんですよ。 きょうは
国土交通大臣
に来ていただいていますが、このリストにあった一番上の
日本
鋼構造協会の資格ですね。一枚
資料
をめくっていただくと、この鋼構造協会の建築鉄骨製品検査技術者という、この資格の費用が書かれています。 この資格が必要だというふうに考えるとして、一回目の試験に、上に書いてある区分でいえば、学科試験受験料であるとか実技試験受験料であるとか資格登録料であるとか、これが大体四万七千円ぐらいかかっていますが、これはもしかしたら費用としては必要な部分があって、やむを得ないのかもしれないかなというふうに思います。 ただ、この資格は、有効期限は五年なんですね。五年で失効してしまうんです。五年ごとに新しい資格を取らなきゃならなくて、そのたびに、下に書いてある三万三千六百円、この二つの、継続講習受講料と継続資格登録料、更新試験受験料と更新資格登録料、それぞれ何を意味するのか極めて微妙ですが、合計をすると三万三千六百円払わないかぬ。 しかも、例えば静岡県であれば、名古屋まで行かないかぬですね。名古屋まで行かなきゃいけない、東京と名古屋にしか拠点がないので。これは業者にとっては大変な負担なんですよ。こういう同じような資格が十種類、二十種類あるわけだから、そのたびに一々そういうところへ行って資格を取って、更新をして、失効するのに対応するという、これはもう本当に負担が重いんですね。
国土交通大臣
が所管をしている公益法人の中でこういうのが相当あると思います。
大臣
として、こういうものについてしっかり中を見ていくというおつもりがおありかどうか、お答えをいただきたいと思います。
金子恭之
256
○
金子
国務大臣
今の先生お尋ねの鉄骨
関係
でいきますと、この中でも特に溶接の技術というのが、やはり安全性という意味で、品質を
確保
するという意味で、施工能力という意味では非常に大事だと言われております。 ただ、先生御指摘のように、中小
企業
に非常に負担をかけている、それから、これだけ細分化された技術資格というものが妥当なのかどうか。これは、鉄骨に限らず、工事、完成物の安全などの観点から必要な範囲で行っておりますが、同時に、こういう
制度
の
見直し
も随時行っているようであります。 御指摘のように、お預かりして
検討
させていただきたいと思います。
細野豪志
257
○
細野
委員
大臣
、行っているようでありますというのは、それぞれの公益法人がやっているという御趣旨の答弁だと思うんですが、ほっておけば資格はどんどんふえるんです。実際にどんどんどんどんふえて、新しい技術ができるたびに新しい資格ができる。本当に必要なものはいいですよ。でも、その必要性は、例えばそれぞれの公益法人に判断をさせれば、それはもう資格をふやせばふやすほど業者はたくさん取らなきゃならないわけだから、たくさんお金が入ってくるんだから、どんどん新しいのをつくりますよ。更新だって何度もしますよ。 そういうところを
国土交通
省として踏み込んで、本当にどうなのかということについて、特に天下りのいるところもありますからね。そういうところについては
国土交通
省として、きちっと、中小
企業
を守る立場からもチェックした方がいいんじゃないですかということを申し上げているんです。どうですか。
金子恭之
258
○
金子
国務大臣
私も点検をさせていただきたいと思います。
細野豪志
259
○
細野
委員
さらにひどいのは経済産業省です、二階
大臣
。 一番最後のペーパーをごらんください。これは
国土交通大臣
が勘違いして答えられましたが、この資格は実は経済産業省。
日本
溶接協会、
大臣
、こんな団体知らないと思いますね。所管なんです。私も知りませんでした。見たら、この資格、皆さん一覧表を見てください。何と百六種類、資格がある。 私は専門家じゃありませんから、それぞれどういう資格なのかわかりませんが、可能な範囲で、
業界
の方複数から、これはどういう資格かというヒアリングをしてまいりましたが、実に細かい。要するに、鉄の厚さが何ミリだとどの資格、これが幾つになるとどの資格と、全部細目が分かれている。
大臣
、百六種類ですよ。これを取らないと仕事ができないといって、本当に、複数の資格を持っている人を何人も抱えて、大変な苦労をしている。 さらに、こういう団体で私が問題だと思うのは、十二番の認証料金の中の、わかりにくいんですが、サーベイランスというのがあるんですが、これは毎年免許を更新するのにこの手数料を取るんですよ。毎年ですよ。しかも、三年に一回、この資格は失効するので、また取り直さなきゃならないんです。 現場で働いている人間は日々こういう業務をしているわけだから、資格あるなしにかかわらず、それは技術でいえば熟練するわけですよ。もちろん、安全性の観点から必要最小限の資格は必要ですよ。でも、こんな負担をさせておいて、これは私は民業圧迫以外の何物でもないと思いますよ。
大臣
、いかがですか。
二階俊博
260
○二階
国務大臣
議員御指摘のようなことが事実であるとすれば、私の方としては、十分
調査
をして、社団法人溶接協会等にも
実態
をよく聞いてみたいと思います。
細野豪志
261
○
細野
委員
私もちょっと電話してみたりしたんですが、いや、民間の資格なので自主的に取りに来られるんですと言いますよ、間違いなく。違うんです。それは入札の条件に課されていたり、やらないと生きていけない
環境
になっている中で、これはもう苦しい中で取っているんですよ、
各社
。 官房長官、そろそろ記者会見だと思うので、その前に伺いたいんですが、これは本当にまだまだ氷山の一角です。私が聞いているだけでも、例えば下水道の
関係
の業者、内装
関係
の業者、庭をつくっている業者、それぞれのところにいろいろな公益法人があって、いろいろな資格があって、それで
国土交通
省だ、経済産業省だ、厚生労働省だ、この三つは三大資格試験役所ですよ。必ずそういう団体がかんで、そして民業を圧迫していますよ。やはりこういうものと闘うのが私は行革だと思うんですよ、
政府
として。 官房長官は、公益法人の問題で何度も私は
議論
をしてきましたが、正直言って、いま
一つ
この部分に対して、本当に何とかしなきゃならないという気迫みたいなものが感じられない。やはり民業圧迫はおかしいですから、しっかり調べて、おかしいものはなくすと、これはしっかり答えていただけませんか。
河村建夫
262
○河村
国務大臣
これまでも、そういう御指摘を踏まえながら、国から公益法人に委託したり、そういうような
関係
、こういう検査、検定、資格付与、こういうことについては、
平成
十四年に一度、改革実施計画に基づいて、官民の役割とか規制改革推進の観点から必要な
見直し
をやってきております。事務事業の廃止、あるいは客観的な第三者
機関
へのチェックの移行等々もやってきております。 ただ、その中でもまだ改革の対象にならなかったものについてもさらにやるという形でやってきて、その結果をインターネットで発表する等やっておりますが、まさに今御指摘のような点がさらにまだあるという御指摘でございますから、そういうものが民業を圧迫しているということであれば、やはりそういう視点に立って
調査
もし、
見直し
をする、こういう姿勢は大事だと思います。 特に、公益法人は国との
関係
も非常にあるわけでありますから、そういう視点に立ってやらなきゃいかぬ、このように思います。
細野豪志
263
○
細野
委員
若干踏み込んだ決意を示していただいたということで、どうぞ記者会見の時間ということですので。
国土交通大臣
と経産
大臣
はこれで結構です。ありがとうございます。 それで、文科
大臣
、済みません。ちょっと漢検で聞こうかと思ったんですが、官房長官に踏み込んで答えていただいたので、きょうはもう結構です。ありがとうございます。 残された時間は十五分ですので、最後に自然エネルギーの問題について少し聞きたいと思います。
資料
をつけておりますので、一枚目の
資料
をごらんいただけますでしょうか。 経産
大臣
、残ってください。済みません、これで聞くので。失礼しました。 まず、
環境大臣
にお伺いをしたいんですが、
資料
をごらんいただけますか。これは、経済産業省に出していただいた
資料
なんですが、
我が国
の非化石燃料の発電がどうなっているのかということについて示した表なんです。 実は、これまで経済産業省に何度言っても出てくるのは上の
資料
だけでございまして、非化石燃料の発電分野における国際比較というと必ずこのグラフが出てきた。それを見ると、全計で千八十二億キロワットアワーという数字が出てきておりまして、これだけ見ると、例えばお隣のドイツとか、右側に書いてあるイギリスであるとか
アメリカ
であるとか……(発言する者あり)二枚目ですかね。その上の表の全計のところを見ていただくと、
日本
は、これは遜色ない数字に確かになっている。 これは、
一つ
非常に技術的に難しいのは、水力の中でもいわゆる揚水と言われる小規模な水力については自然エネルギーの範疇に入れることが多い、再生可能エネルギーにも入れることが多いので、
日本
の場合には、水力全体を入れると、水力発電が多いのでこの数字になってきたんですね。 ところが、実際に、では再生可能エネルギーはどうなのかというのを、これはいろいろな計算があるんですが、経済産業省がようやく出してくれた
資料
ですので、数字として現実に見てみますと、これは下の部分なんですね。総発電量がそれぞれ出ていますが、その下の、再生可能エネルギーに水力を含めると
日本
は一〇・九%と結構高いんだけれども、これは、再生可能エネルギーということでいえば、まやかしの数字です。ダムは、いろいろな意味で、プラスもあるかもしれないけれどもマイナスもありますから。 実際問題としては、再生可能エネルギーの水力を除いた部分で計算をすれば、
日本
の場合には発電量が一・八%、ドイツとかイギリスとか
アメリカ
と比較をしても非常に低い水準にとどまっていると私は思いますが、この数字、
環境大臣
としてはどう思われますでしょうか。
斉藤鉄夫
264
○
斉藤
国務大臣
細野
委員
の御質問に率直に答えるとすれば、一・八%というのは非常に低い数字というふうに認識しております。 再生可能エネルギーというのは、まさに読んで字のごとくでございまして、ここに水力を加えるかどうかというのはいろいろな
議論
がございます。水力を加えて再生可能エネルギーというふうに
議論
をする場合もございますが、これからは、非常に大型のダムをつくるということの
環境
に対する影響等を考えますと、いわゆる小水力というものは当然、これは千キロワット以下のものを言いますけれども、小水力は再生可能エネルギーに加えるけれども、大型ダムは外して考える。 そういう意味では、この一・八%のところを再生可能エネルギーもしくは新エネルギーと考えるというのが普通で、これについてはまだまだ
日本
は伸びる余地が大いにあると思っております。
細野豪志
265
○
細野
委員
非常に
環境大臣
らしい御答弁をいただいたと思います。 経産
大臣
にはちょっと厳しいことを聞かざるを得ないんですが、こういう哀れな数字に
日本
の再生可能エネルギーがとどまっている背景として、私は政策のミスがあったというふうに思っているんです。 実は、経済産業省も、一般論としては再生可能エネルギーについては推進をしますということを言うんですね。具体的に言いますと、もう一枚めくっていただいて、これは、二〇〇六年五月に経済産業省が出した新・国家エネルギー戦略の中の図表の二十八という
資料
です。これを見ますと、
大臣
、二〇一〇年から二〇二〇年まで加速的普及期ということで、新エネルギー自体をすごい勢いでふやしていく加速期になっているんですね。 これは、皆さん、
大臣
、加速しているというイメージはすぐつかんでいただけると思うんですが、では、それと現実はどう違うのかというのは、もう一枚めくってください。 これは、RPS法ですね。実際に自然エネルギーを普及させる定量買い取り
制度
を
日本
は
導入
していますが、その
制度
に基づいて、どういった形で自然エネルギーを
導入
していくのかということを目標値として掲げているグラフなんですが、これも経済産業省のデータをもとにつくっています。 これを見ると、
平成
十五年から出ていますが、
平成
二十二年度から増加の角度が急に
減少
しているのを、
大臣
、わかりますか。これは
平成
十九年、おととしの三月にRPS法に基づいて目標値を先延ばしをしたときの数字なんです。それをプロットしたものです。 何を申し上げたいかというと、経済産業省自身がエネルギー戦略の中で加速的普及期というふうに銘打っている自然エネルギーを、実際の数字に落とし込むときは、この増加角度をわざわざ鈍化をさせて目標値を設定してしまっている。これは明らかに私は政策のミスだと思うんですよ。まず、これは率直にお認めになって、そして過去の政策のミスを改める、そういう決断をされるべきではないかと私は思いますが、
経済産業大臣
、いかがでしょうか。
二階俊博
266
○二階
国務大臣
今議員の御指摘のようなRPS法の実施について、まだまだ速度が足りないということの御指摘であろうと思いますが、我々は、今日のこの
状況
において、再生可能エネルギーの中でも、いわゆる太陽光発電の
導入
等について真剣な対応をしようということで、RPS法はRPS法として従来やってきたことですから、これはこれで伸ばしながらも、固定買い取り
制度
等の
検討
に入るということでやっておりますので、両々相まって加速的に対応していきたいというふうに思っております。
細野豪志
267
○
細野
委員
経産
大臣
がここへ来て前向きになっていらっしゃることは
承知
をしていますし、経済産業省の中でも大分雰囲気が変わっていることも私もつかんできておりますので、それは結構なんですね。 ただ、
大臣
、しつこいようなんですが、こういう加速的普及期という形で目標をつくっておきながら、大方針を立てておきながら、個別の政策になると伸び率を鈍化させた、このおととしの決断は明らかに誤っていませんでしたか。この間違いは検証した方がいいと思いますよ。要するに、当時は電事連も余り積極的ではなくて、目標値としては下げたわけですね。何か振りつけがなされているようですが、
大臣
、まずここは認めて、間違いを認めた上で新たにどういう
制度
設計をしていくのかということについて考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
二階俊博
268
○二階
国務大臣
けさ、私は電事連の森会長にお越しをいただいて、今日のこの
状況
において電事連の皆さんにも御協力を願う、国民の皆さんにも御協力を願う。
環境
問題、
環境
問題ということは、言うは易しいんですが、実際実行していく上においては、
政府
はもちろんのことでありますが、各
関係
企業
の皆さんや、あるいは実際家庭で電気を使う立場の消費者の皆さんにも御協力を願わなきゃいけない。しかし、固定買い取り制を実行していくに際して、まず電気事業者の
関係
の皆さんの協力を得るということは極めて重要な部分でありますから、けさ、少し早目でございましたが、森会長にお越しをいただいて協力を要請しました。 それによって、電気事業連合会としても、
政府
がそこまで決断をされるならば我々の方も協力をするということのお約束をいただきましたので、私は、法令
改正
等も含めて直ちに
検討
に入るように事務当局に命じたところであります。
細野豪志
269
○
細野
委員
今までの答弁からすると相当踏み込まれたと思います。それは評価をしたいと思います。 もう
一つ
だけ、ちょっと気になることがあるので
大臣
にお伺いしたいんですが、太陽光なんですが、太陽光発電をしっかり
日本
で事業者としても育てて普及をさせることは、私は大賛成です。やるべきだと思うんですね。 ただ、気になることが
一つ
ありまして、といいますのは、RPS法の目標の中において、太陽光というのは、実際の発電量の二倍カウントできることになっていますでしょう。これは、コストが高くて、普及が望まれる太陽光、これをちょっとげたを履かせて、事業者にたくさん買わせるために二倍カウントにしたんですね。 ところが、このグラフで示しております、RPS法というのは量が決まっていますから、これだけ買ったら義務を果たしたことになるんですね。ということは、太陽光をたくさん買えば買うほど、実際の発電量の二倍カウントされますから、実際の発電量は少なくて義務が果たせてしまう、そういう矛盾した話になるんですよ。
大臣
、これはわかっていただけますね。 ですから、まず、太陽光の二倍カウントをするのであれば、二倍カウントは結構だけれども、そこの部分についての量は上げる、もう少し上げて目標をつくるとしなければ、整合性のとれた政策にならないんですね。まず足元のやれることから私はやるべきだと思いますが、
大臣
、いかがお考えですか。
二階俊博
270
○二階
国務大臣
電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法、いわゆる議員がおっしゃっておりますRPS法において、
平成
二十六年度の新エネルギー等の利用目標量を、
平成
十八年度の実績の三倍近くの百六十億キロワット時と設定しているところであります。 この目標量を
検討
したのは
平成
十九年の三月であります。したがって、総合資源エネルギー
調査
会の需給部会等におきましても、
平成
二十年五月に長期エネルギー需給
見通し
を取りまとめたわけでありますが、この
見通し
に示された最大
導入
ケースは、二〇二〇年に一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合が八・二%という水準であり、今後は、この水準を踏まえつつ、RPS法の利用目標量を設定していくことが重要だと考えております。 そして、固定価格
制度
を
導入
するということによって、これは改めて広く多くの
関係
者の皆さんの御同意や御協力を得なければなりませんので、太陽光発電を活用する新しい電力対応を我々は積極的に考えていかなくてはならない、このように思っております。
細野豪志
271
○
細野
委員
大事な点なので、最後に
大臣
、確認をしたいんですが、RPS法上の新たな目標設定をするのは
平成
二十三年の三月という、これはまた二年後という随分気の長い話になるんですね。そのときまで待ってRPS法をどうするかなんという
議論
をするのは、私はナンセンスだと思います。 確認をしますが、では、定額の買い取り
制度
を
導入
する、
政府
の方針としてはそれを決めて、やるなら早い方がいいですね。電事連とあとは消費者の皆さんに
理解
を得れば、これは通常
国会
で法律を出す、そういう覚悟でいらっしゃるということでよろしいんですか。
二階俊博
272
○二階
国務大臣
まさに消費者の皆さん、そして電力
業界
の方々の協力が必要でありますが、同時に、
国会
におきまして、各党の皆さんの御協力を得て、今
国会
で法律を出させていただいて、直ちに実行に移す。まあ、実行に移すといいましても、いろいろと諸般の準備期間もありますから、直ちにといっても一カ月や二カ月でできるわけではありませんが、可及的速やかに実行に移して、現在の
状況
にこたえていきたいと思っております。
細野豪志
273
○
細野
委員
この点については我々も賛成をします。旧来から我々は、固定価格で本当にこれを育てていかないと、マーケットをつくっていかないと、
我が国
のエネルギーはもたないし、それだけではなくて、
世界
に売っていくネタとしてももう時期を逸してしまうという思いでやってきましたから、この部分については、私は個人的にも、恐らく民主党としても賛成できると思いますので、ぜひ作業を急いでいただきたいというふうに思います。
環境
省としても、それを後押しするという方針でいいんですね。それだけ最後に確認させてください。
斉藤鉄夫
274
○
斉藤
国務大臣
固定価格買い取り
制度
については、爆発的に太陽光発電を伸ばす有力な選択肢とこの前も菅
委員
に対してお答えをしたところでございまして、経済産業省から御
相談
があれば、一致協力して頑張っていきたいと思っております。 また、RPS法につきましても、所管は経済産業省でございますが、
経済産業大臣
が決断されれば
環境大臣
に
相談
があるということになっております。先ほどの固定価格買い取り
制度
を設定すれば、自動的にRPSの値も出てくるわけでございまして、そういう意味で、
環境大臣
に御
相談
があれば、促進に向けて一緒に頑張っていきたいと思っております。
細野豪志
275
○
細野
委員
甘利
大臣
、済みませんでした。ちょっと聞こうと思ったんですが、天下りのところに質問が行かなかったものですから。 最後のところに関しては経産
大臣
と
環境大臣
から非常にいい御答弁をいただきましたので、若干時間を余していますが、その答弁をいただいたということで、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
衛藤征士郎
276
○
衛藤委員長
これにて
細野
豪志君
の
質疑
は終了いたしました。 次に、大島敦君。 〔
委員長
退席、
鈴木
(恒)
委員長
代理着席〕
大島敦
277
○大島(敦)
委員
民主党の大島です。 きょう、一時間ほど、さまざまなテーマについて質問をさせていただきます。 いろいろと、どこから伺うか迷っているんですが、まず、今の
我が国
の立ち位置について、若干私の私見を述べながら
議論
を進めたいと思うんですけれども、昨年の大体四月、五月ぐらいから、経済産業省さんにお願いして、中小
企業
三百選なんという本があるものですから、その中小
企業
の方にお会いさせていただいたり、あるいは、つくばにある産総研、産業技術総合研究所に訪問させていただいたり、各
企業
の中央研究所に訪問させていただいて、中小
企業
ですと物づくりを中心に、産総研ですと太陽光発電を中心に、そして民間の研究所では、
自動車
会社
あるいは電力あるいはガス
会社
で新エネルギー、特に電気
自動車
を中心に、ずっといろいろと勉強をさせていただきました。 なぜかというと、私は、昨年はパラダイムシフトが起きたと思っているんです。パラダイムシフトが起きたと思っていまして、丸紅経済研究所の柴田さんの話を伺うと、一九七〇年代の後半のオイルショックがあって、それからオイルの値段は、大体それまでが二ドルから三ドルぐらいだったのが、一挙に次のステージに移って、大体十ドルから三十ドルぐらいで二〇〇〇年代の前半ぐらいまでは推移をしてきまして、それが昨年、これは金融が非常に不安定だったものですから、その価格については乱高下が激しかったんですけれども、それで次のステージに移ったと思うんです。 これは原油、エネルギーの値段と穀物の値段も同じトレンドですから、多分、この金融の不安がなければ、もっと明らかに安定した価格推移が見られたかなと思っているんです。ですから、中長期的には、基本的にエネルギーの値段あるいは穀物の値段は上がって、次の時代に入ったという認識でおります。 そうすると、前の一九七九年のオイルショックのときに、たまたま、ビジネスウイークの記者が書いた本で「テクノクラシー」というのが一九八三年に出たのかな、八四年に読んでいまして、要は、一九七九年の当時、ビジネスウイークの記者が
世界
じゅう取材していて、スイス人の投資家に取材していると、当時も今と同じような現状で、皆さん、貴金属なりに投資が流れていたんですけれども、妙な投資があったと書いているわけです。 当時、スイスの投資家は、七九年の時代に富士通とか松下とか日立に投資をしているわけですよ。これは、次の時代を読んで、
日本
のエレクトロニクス産業が伸びるという前提で彼らは次の手を打っていたのかなということで論を説いていくんですけれども、結局、彼が言っているのは、ソ連は、テクノロジーの進歩についていけなくて、多分崩壊するだろうということを八三年に書いております。ですから、今の、この去年から始まったパラダイムシフトは、次の産業が
世界
のどこかで生まれつつあるのかなと思っていまして、自分もまだわからないんです。 昨年の太陽光発電なりあるいは電気
自動車
、電気
自動車
は自分で乗ってみました。東京電力さんの中央研究所に行って、iMiEVという三菱の電気
自動車
、男四人が乗って、私が運転してアクセルを踏むと物すごい勢いで加速力がよくて、これは時代が変わったなと思いました。一九九四年、
日本
で一番最初のインターネットの博覧会のINTEROPというのが幕張で開かれたときに、私はそれを見て、
世界
が変わるなと思ったぐらいの実感を覚えたんです。 ただ、電気
自動車
は、バッテリーと、もう
一つ
は、エアコンは大丈夫なんです。ただ、電気で暖めるものですから、ヒーターが非常にききが悪いので、
アメリカ
でも、東海岸ではなくて温暖の西海岸で電気
自動車
の
会社
がふえているというのは、恐らく暖めなくていいから西海岸の方でできているのかなと。
日本
でも恐らく、東京から以南だと大丈夫なのかなとは思っておるんですけれども、そういう産業構造が大きく今変わっている時期にあると思うんです。 これから中長期的には、私は非常に悲観的なものですから、四、五年後、
世界経済
がよくなったときに、
我が国
の産業構造を変えることによって、次の成長の先頭を走りたいなと思っているんです。ですから、そのためには相当痛みが伴うのが現状だと思っていまして、そのために、前回あるいは前々回も
セーフティーネット
のことについて詳しく御
議論
をさせていただいたところなんです。 それで、二階
経済産業大臣
に伺いたいんですけれども、この産業構造の変化というのを、まだ役所の皆さんからのお話を聞いてもぴんとこないものが多いんです。これまで従来どおりのもので、新たなところというのが出てこない。自分も、先ほどの繰り返しになるんですけれども、太陽光発電と電気
自動車
ぐらいしかないのかな、そういう非常に
貧困
な発想しかないものですから、さらなる発想があるかどうかについて伺わせていただければいいんですけれども。
二階俊博
278
○二階
国務大臣
大変難しい御質問をいただいたわけでございますが、しかし、同時に、我々
政治
を担当する者は常に考えておかなくてはならないわけでありまして、私は、ただいまの御質問、御
意見
を十分念頭に入れて、今後の対応に取り組んでいきたいと思っております。
世界
同時不況、そして経済
社会
の
状況
は不透明感で覆われておる、ここまではだれでも解説をするわけでありますが、我々はこれから先、
政治
として、国民の皆さんに夢や希望を持っていただけるような将来像、将来の姿をやはり描かなくてはならないと思っております。 新経済成長戦略というふうな成長の道筋を、私はちょうどたまたま担当したものですから二度にわたってまとめてみましたが、今日このような
状況
の中で、昨年の九月に閣議決定しました新経済成長戦略改訂版、これを基礎としながら、我々は今後に対応しなくてはならない。
一つ
は、御案内の低炭素革命に対してどう対応していくか。このことは、先ほど来御
議論
いただいております太陽光発電あるいは電気
自動車
、
世界
最高水準を行くと自他ともに考えております
環境
技術等を生かした、そういう低炭素革命、低炭素
社会
、これを構築していくことがまず一番に大事だと思います。 次には、効率的な医療、介護サービス、最近はロボット等を活用した介護も極めて順調に進んでおりますが、健康長寿
社会
ということに対して、あくまでも楽しい、しかも夢のある健康長寿
社会
でなくてはならないわけであります。何となく悲壮感が漂うような健康長寿
社会
ではなくて、我々がお互いに助け合って、そしてみんなで励まし合っていくような健康長寿
社会
の実現が
一つ
重要な柱としてあると思います。 そして、オスカーの獲得によって、昨晩から、アニメとか
日本
の映画について、極めて新聞、テレビを独占しておる、
日本
として久々の明るい話題を受けたわけでありますが、私は、このコンテンツ産業というのは、今、御
承知
のとおり十三兆五千億ぐらいにトータルでなります。なりますが、これをもっともっと
支援
していくことによって、やがて積み上げでは十九兆五千億という説もありますから、二十兆円産業ということは決して夢ではない、こう思うわけであります。私は、極めて重要な産業、これからの成長産業とさえ思っておりますから、農業に対して、これを軽く言うわけではないんですが、農業は御案内のように九兆円ぐらいでございますから、このコンテンツの二十兆というのは極めて大きな位置を占めるわけであります。 これらの三つの柱は、これからの目指すべき経済
社会
の将来像ではないか。これを、政党政派を超えて、あるいはまた官も民も一体となって対応していけるような大胆な政策のパッケージを示すことが、我々の今与えられた責任だというふうに思っております。そこに新たな
雇用
の場を見出していく、これが大事だと思っております。 私は、先般の税制
改正
その他におきまして、いろいろな
関係
者の皆さんが、このことをやってくれれば経済はこのように成長するというふうなお話があるんですが、いや、ちょっと待ってください、
雇用
の
関係
が抜けてやしませんかと。つまり、これを実行することによって
雇用
の面でどういう効果があるということを説明していく、そういう習慣を、私
たち
は政策をつくっていく場合に考えていかなきゃいけないのではないかと思っておるわけであります。 今後、また、大島先生のような広い知見に基づいて、いろいろな御
意見
、どうぞ経済産業省の方へもお寄せいただいて、我々はこれに対してこだわりは持っておりません。イデオロギーも乗り越えて、政党政派を乗り越えて、ここは国民の皆さんに真剣にこたえていくときだと思っております。どうぞよろしくお願いします。
大島敦
279
○大島(敦)
委員
ありがとうございました。 今、三点挙げられまして、
一つ
が低炭素ということ、もう
一つ
が医療を中心に介護、多分、医療の分野、もう
一つ
がコンテンツ、多分これは、映画、あるいは、
日本
ですと東京ガールズコレクションという、東南アジアから多くの方が要はその場でショーを見ながら買われるなんということも、非常に若者
たち
の気持ちをつかんでいるという話もよく聞くものですから、この三つは正しいと思うんです。 ただ、国のあり方として考えたときに、やはり二〇〇二年以降、この前たびたび説明しましたけれども、外国の方のために働いても余りいいことはなかったなという思いがあるわけです。外国の方のためにたくさんいいものをつくって輸出したけれども
国内
では余り芳しくなかったなと思っていまして、やはりこれは、内需と言われるんですけれども、自分も輸出産業、鉄鋼業に十四年ほどいましたから、為替変動によって
設備投資
計画が相当変動を来してリスクがあるなとか、できるだけ物を買わない
社会
というのも悪くないなとは思うんですよ。 今、例えば
我が国
のエネルギーの輸入金額、二〇〇七年は比較的安定した年だと思うんですけれども、大体二十兆ぐらい買っているわけですよ。そのうちの十五兆が石油で大体三兆が天然ガスですから、残りが石炭とかあるいは核燃料物質になっていまして、この二十兆を半分に、十兆にすると、単純にGDPで、これが五百兆ですから、二%部分は寄与できるかなと思っているんです。そういう、物を、エネルギーを買わないという国の目標が私
たち
は必要だと思うんです。 要は、加工貿易ですから、原材料を輸入して、一生懸命いいものをつくって輸出するというのも必要かもしれない。でも、そのことによって、一生懸命輸出もするんだけれども、これまでのようにそれほど無理に輸出しなくてもどうにか食べられる
社会
も
我が国
としては
一つ
のありようかなと思うんですが、二階
大臣
、その点について、申しわけないんだけれども手短に御答弁いただければ助かります。
二階俊博
280
○二階
国務大臣
やはり、そのために我々は、今襲ってきております洪水のような金融不安の中を乗り越えれば、次には、
日本
が立ち上がっていくためには、
一つ
は中小
企業
、
一つ
は農林水産業、ここに重点を置いて、私
たち
は新たな成長産業としてこれらを位置づけていく。 これらはいずれも、御案内のとおり地方に位置しております。したがって、地方を元気にさせる。そして中小
企業
、これはお得意の物づくりを中心とした中小
企業
。農産物も極めて立派なものが私
たち
の国には生産できるわけでありますから、これを
海外
にむしろ打って出るぐらいの気概を持ってやっていく。そして、人手不足を言われておった農林業でありますが、最近は、地方の農業にも大いに参画をしたいという方々も出てきておりますから、このチャンスを生かしてやっていきたい。 よく農ということをいいますと、例えば農商工連携なんという言葉があります。水産業、林業が抜け落ちておるような感じをお与えして大変残念に思うんですが、農というときには必ず農林水産業一体になって入っておるということも申し上げておきたいと思います。
大島敦
281
○大島(敦)
委員
ありがとうございました。 そうすると、エネルギーのさまざまな分野があるんです。自分としては、このエネルギーの二十兆円を半分にすることを
一つ
の目標としていいのかなと考えていまして、そのために、各党ともに太陽光発電と言ったり電気
自動車
と言っていますから、できるだけこれは促進する必要があるのかなと思っているんです。(発言する者あり)確かに、ゼロというのもあるかもしれないですけれども。 それで、私
たち
の国の中で一番産業競争力として強いところが現場の力だと思っています。 舛添さんにちょっと質問させていただきたいんですけれども、
派遣
業の話をしなくてはいけないなと思うんです。要は、正社員の方と
派遣
社員の方がいて、
日本
の物づくり、あるいはサービスでもいいんですが、現場の力の根幹が何かについて舛添さんの御見解を伺えればいいんですけれども、
大臣
の御見解を。現場の何が
日本
の産業競争力の源泉なのかというところ。
舛添要一
282
○舛添
国務大臣
昨年、静岡で物づくりの技能オリンピックがありました。若い
人たち
がさまざまな分野ですばらしい能力を発揮している。つまり、そういう人間、特に技術を持った
人たち
、これが富を生み出している。その他いろいろありますけれども、私は、基本は、我が
日本
の最も誇っていいのはそこだというふうに思っています。
大島敦
283
○大島(敦)
委員
日本
の現場が強いのは、今の舛添
大臣
の話はたくみの
世界
だと思うんですよ、たくみじゃなくて、システムとしての現場なんです。 要は、五Sと言われる、整理、整頓、清掃、しつけ、清潔とか、あるいはTPM、JK、QC
活動
とか改善運動とか、これは、経営が想定したものをしっかりと現場が実行でき、それを改善提案でさらに突き進めることができるというのが必要なんです。これが現場の力でして、今、この視点が私
たち
の国の中で大分失われているのかなと思っているんです。
派遣
という働き方は、現場の力がついてこないんです。これは、三分の一の皆さんが現場の力がついてきていないんです。だから私は問題だと思うんです。 きょうも
自動車
工業会の方がいらっしゃっていて、彼が、
景気
の変動によってまたよくなったら雇いたいというお話をされたときに、ちょっとそれは違うのかなと思ったわけです。高い給与を払っているんだったら雇ってもいいと思うんですよ。それは、高度成長期においては、契約社員の皆さんは実は正社員よりも賃金が高かった時代があるんです。過去においては、
自動車業界
の契約社員でも高かった時代があるんです。そのときには、
会社
側は恐らく正社員の皆さんには、老後も安定しているからということを言われたと思う。でも今は、不安定な職場に対して、御
承知
のとおり安い給与で働いていただくから問題だと思うんですよ。 不安定な職場、あるいは、要は
会社
の都合で賃金を払って、
会社
の都合でもしもそれをやめていただくケースがあるとすれば、それについては一定の賃金を払うべきだと思うんです。そこの観点がまず抜けているかなと思うんですけれども、その点について舛添
大臣
の御答弁をお願いします。
舛添要一
284
○舛添
国務大臣
私が、登録型の
派遣
、つまり、きょうはある
自動車
会社
に行って、あしたはまた別のところに行くというような形についていかがなものかなと申し上げたのは、今まさに
委員
がおっしゃったように、スキルの蓄積ができない、そして、今言ったいい意味での
日本
的な経営とかいろいろな改善
努力
、QCサークル、こういうようなものに対して参加意識がある意味でなくなってくる。ですから、そういう点はやはりきちんと見直さないといけないだろうと。 それから、もちろん、首切りをするときは三十日前に通告し、きちんとその対価を払うということをやらないといけないと思いますけれども、基本的には
委員
がおっしゃったことだろうというふうに思っております。
大島敦
285
○大島(敦)
委員
まずは給与の問題と、今の経営、よく皆さん、大
企業
と中小
企業
とか言うんですけれども、大
企業
の経営者の具体的なイメージを思い浮かべてみるといいと思うんです、今の大
企業
の経営者がどういうバックグラウンドを持っているかということ。年齢的には、きょうの
参考人
の方は多分五十五歳ぐらい、おおむね五十五歳から始まって六十五歳ぐらいの範囲内におさまるぐらいの方で、
日本
のバブルがはじけた一九九〇年代には、多分係長とか課長ぐらいだった人なんですよ。きのうの与謝野
大臣
の御答弁の中で、三つの過剰の話をされておりました。人員の過剰であり、借入金の過剰であり、もう
一つ
が設備の過剰であるということ、この三つの過剰に皆さんは懲りているんです。 この十五
年間
、前の一番大きなバブルが一回はじけて、その後二回はじけているんですけれども、そのときに、もう金輪際貸しはがしはされたくないというこのトラウマ。もう
一つ
は、金輪際解雇はしたくない。私の先輩も要は解雇とかあるいは出向に携わっていましたから、相当つらい仕事です。あるいは、私の
会社
ではないんですけれども、人事部長の方で、同期をみんな、あるいは後輩を、
会社
の都合でやめていただいて、自分も潔く
会社
を離れられた方もいるわけです。このトラウマが今の経営者の気持ちなわけです。大きな
会社
なんだけれども、皆さんサラリーマンなんですよ。 それで、要は、一九九九年の
派遣
法、その後の
改正
が行われて製造業に対する
派遣
ができたので、非常にうれしいなと、うれしいというのか、
会社
としてはこれは使えるなと思ったはずなんです、前のそのトラウマがありますから。ですから、それでもう正社員の方はできるだけ絞って、あとは
景気
変動に対応できるように
派遣
社員あるいは契約社員の方をふやされたというのが今までの歴史だと思うんですよ。 ですから、そんなに難しくない話だと思っていまして、まずはここで、これから
派遣
法制については与野党で
議論
があると思うんですけれども、それはそちらに譲りまして、では
派遣
の中で過去どうだったということを
一つ
舛添
大臣
に伺いたいんですけれども、要は労働災害なんです。 労働災害については、製造業に対しての
派遣
を解禁してから労働災害が相当ふえてきているかと思うんですけれども、いかがでしょうか。 〔
鈴木
(恒)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
舛添要一
286
○舛添
国務大臣
まずデータですけれども、休業四日以上の死傷者数、これは労働災害の
状況
で、
平成
十年に十四万八千二百四十八人だったのが
平成
十九年には十二万一千三百五十六人と、実は約一八%
減少
しております。また、死亡者については、
平成
十年に千八百四十四人だったものが
平成
十九年には千三百五十七人と、これも二六%
減少
しています。 しかし一方、一度に三名以上の
労働者
が被災する、これも重大災害と呼んでいますが、これは、
平成
十年に二百一件だったものが
平成
十九年には二百九十三件となっておりまして、約四六%増加している。つまり、重大災害が一・五倍にふえている、これが特色でございます。(大島(敦)
委員
「
派遣
業について」と呼ぶ) 失礼しました。ちょっとお待ちください。
派遣
業における労働災害の発生
状況
でございますけれども、これは、今のは一般でございましたので、休業四日以上の死傷者数は、
平成
十九年について見てみますと、前年に比べて一・九倍の二千七百三人、それから死亡者数は十八人で、前年に比べて七人がふえている。
派遣
業においてはこういうふうに増加をしてございます。
大島敦
287
○大島(敦)
委員
済みません、
派遣
業の労働災害の現状なんですけれども、もう一回確認させていただくと、休業四日以上というのが、重大災害と言われているものについてはずっとふえてきているわけですよ。
平成
十六年で六百六十七人、
平成
十七年で二千四百三十七人、十八年で三千六百八十六人、十九年で五千八百八十五人ということで、労働災害が非常にふえてきているということだと思うんです。 今、物づくりの製造業に対する
派遣
について、禁止すべき、禁止すべきじゃない、あるいは期間を置いた方がいいという
議論
がありまして、この労働災害については、地味なテーマなんですけれども、命とか、あるいはその方の御家族に関するテーマだと思うんですよ。ですから、労働災害について、
派遣
という働き方で本当に労働災害が防止できるかどうか。私はできないと思うんです。 労働安全衛生というのは、
会社
の中であるいは現場の中での日ごろの教育訓練がないと身につかないものなのです。自分でも、今、横断歩道を渡るときには、
メーカー
出身ですから指さし呼称なんてして横断歩道を渡ってしまうぐらいなんですよ。そこまで教育訓練を施したとしても、必ず大きな製鉄所では何年に一回かは死亡事故が起きるし、ヒヤリ・ハットはあるし、あるいは、落下に伴っての四日以上の重大災害というのは防げないケースが多いんです。 ですから、その点について舛添
厚生労働大臣
としての御所見を伺わせてください。
舛添要一
288
○舛添
国務大臣
先ほど、例えば登録型の
派遣
の問題の
一つ
は、スキルが蓄積できない、それから、経営、労働
環境
について参加意識が少ないというようなことがありますし、そういうことでやはり
派遣
業の労働災害がふえているというふうに思いますので、これは今、
派遣
元に対し、
派遣先
に対してきちんとそういうことを指導していただきたい、それから、マニュアルもつくり指導を徹底しているというのが今の
状況
でありますけれども、問題意識は
委員
と共通、共有しておりまして、
派遣
ということからくる問題が深く背景にあるだろうと思っております。
大島敦
289
○大島(敦)
委員
私自身は、
派遣
業において、物づくりの職場に人を
派遣
するときの労働安全衛生、安全についての教育は難しいと考えているんです。これは、要は、経営者としてしっかりとした安全に対する教育訓練を受けた方でないとなかなかわからないところなんですよ。ですから、前の
派遣
の製造業に対する
見直し
の
議論
の中で、厚生労働
委員会
ではこの件については指摘をさせていただいているんです。物づくりに
派遣
すると労働災害がふえてしまうおそれがあって、なかなかそれは難しいんじゃないですかねと。
派遣
業の皆さんに安全衛生をとことん身につくまでさせるのはなかなか難しいという
議論
をさせていただいたんです。 ですから、今後物づくりに対する
派遣
を考えるときに、命の問題ですから、そして、けがを負ってしまったら、これは障害年金なりをいただいて結構大変な人生を送るケースも多々あるものですから、その点についての
議論
もぜひお願いしたいと思うんですけれども、もう一度御所見を伺わせてください。
舛添要一
290
○舛添
国務大臣
労働災害というのは極めて深刻で、先ほど冒頭に申し上げましたように、一般的には減っている、しかし、重大な災害がふえているし、特に
派遣
においてふえている。こういうことをいかに防止するかということを、これは先ほど申し上げましたように、
派遣
元、
派遣先
に対して指導しマニュアルをつくるということをやっていますけれども、今後の
労働者派遣法
の
議論
においても、
委員
が御指摘のように、この観点をきちんと入れた上で
議論
すべきだというふうに考えております。
大島敦
291
○大島(敦)
委員
もう
一つ
は、製造業に対する
派遣
が認められてから、
労働者派遣
事業所数が急激に伸びているということがあるかと思うんですよ。
平成
十一年には一万二千六百五十三だったのが、
平成
十二年には一万四千四百六十二になって、
平成
十九年には七万六十六ですから、この数字というのは、七万六十六は一般
労働者派遣
事業ですから、一般だけの数字なんです。自分も計算してみると、一年に七千、許可しているわけです。これは
派遣
事業ですから、三百六十五で割ってみると、一日二十件以上許可し続けるわけですよ、これまでの間、毎年毎年、毎日毎日。 これで本当に許可と言えるのか、御所見を伺わせてください。
舛添要一
292
○舛添
国務大臣
今
委員
御指摘のように、
平成
十一年度末時点で一万二千六百五十三カ所が、十九年度末時点では七万六十六カ所というふうに大幅に増加をしております。それは、十一年と、特に十五年の
改正
で製造業への
派遣
が解禁されたことにあると思います。 一応、一定の基準があって、その基準についてはきちんと厳格に審査をして認めていくという形で今行っているということでございますけれども、現在、この資格要件、今
委員
がおっしゃったのはそういうことだと思います、こんなにどんどん認めていいのか、もっと資格要件を厳しくすべきじゃないかということだと思います。これは今与党の中でその点についても
議論
していただいておりますので、とりあえず、この
労働者派遣法
の
改正
案で、こういう
議論
をぜひ与野党を超えてきちんとやっていきたいというふうに思っております。
大島敦
293
○大島(敦)
委員
もう一度伺いたい。
大臣
、なぜこれだけ急激にふえたのか。やはり規制改革の流れが非常に色濃かったのかなと思うんですよ。 一定の要件と言いますけれども、私も伺ってみると、そんなに多くの要件が許可の割にはないと思うんです。多分、ページ数でもA4判で五枚ぐらいの書式を整え、かつ、一千万円があればすぐ許可をするということになっていますから、この一千万円で足りるのかどうか。例えば、一千万円でしたら、一人
労働者派遣
をするのであれば百万だとして、十人が一千万で、二十人になったら二千万とか、そういうエスカレーションをつけて、今回の事例のようにやむなく
派遣切り
等があったときにはそれからお金を拠出していくということが必要だと思うんです。
企業
の中で一番嫌な仕事をアウトソーシングしたわけですよ。大
企業
で一番嫌な首切りという仕事をアウトソーシングしたんですよ。だから、そこについては、それを受ける側もその気構えを持ってもらわないといけないと思うんです。 ですから、舛添
大臣
には、今後の
見直し
の中で、
派遣
業のこの点と、あと、過去を振り返ることも多少必要だと思うので、これまでふえたというのは、厚生労働省としては大分、譲るところは譲って、譲り過ぎたのかなとは思うんですけれども、その点についての御所見をお願いいたします。
舛添要一
294
○舛添
国務大臣
経済のグローバル化という
議論
のときにさまざまありました。債務とか
設備投資
とか人員の三つの過剰というのは相当言われたし、選択と集中ということも言われた。いろいろな意味で改革のいい面はありますけれども、
平成
十一年そして十五年の
改正
、このときには、
雇用
が非常に不安定であって、つまり
失業
率が高かった。そこでの、何としてでも
雇用
を創出するという
一つ
の要請がありましたけれども、私は全く
委員
と同じ
意見
を持っているのは、
雇用調整
のシステムとして、そして、それは首切りが嫌なんですね。はっきり言えば、人に首切りをさせる、それが
派遣
業なわけです。 したがって、そういう問題に対して、これは相当厳しい要件の審査をやっておりますし、書類審査だけではなくて、都道府県労働局において必ず実地
調査
をやれということで、これは紙だけ出してもだめで、実地を通じて、これはあなたの
派遣
業の事務所ですかということで見るということをやっておりますし、すべての許可
申請
については、
厚労省
だけではなくて、労働政策審議会の
意見
も聴取するということで厳格にやっております。 しかし、大きなところで
平成
十一年、十五年の
改正
について振り返って、私も同じような感想を持っていますので、これは、与野党を超えて、
派遣
法の審議のときに、そういう大島
委員
のおっしゃったような点も踏まえた上で幅広く
議論
をし、
日本
の製造業の活力を取り戻すためにも、そしてもちろん国民一人一人の
生活
が大事なわけですから、職を失う、住居を失う、菅さんにも相当、正月にテント村の件で御
努力
いただいて、みんなでこれは頑張って、ああいう方々を一日も早く救おうということでやったわけですから、そういう観点からこの
派遣
法についてもきちんとみんなで
議論
していきたいと思っております。
大島敦
295
○大島(敦)
委員
派遣
の働き方が
一つ
あって、もう
一つ
が契約社員だと思うんです。契約社員も法
改正
で三年までは認められておりまして、戦後間もなく労働基準法で、期間の定めのある働き方、これは人身拘束を防止するために一年という縛りを設けたんですけれども、それが今悪用というのかな
拡大
解釈というのかな、異なる観点で
企業
が利用しているのかなと私は思うんですけれども、その点についての御所見を伺わせてください。手短にお願いをいたします。
舛添要一
296
○舛添
国務大臣
三年ということで、特別な場合には若干延ばすことができますけれども、私は常にこの問題について言っているのは、恒産なければ恒心なしということでありまして、常用
雇用
、つまり期間のない
雇用
が基本ですよ、こういう原点をしっかりした上でその
議論
をすべきだと思っております。
大島敦
297
○大島(敦)
委員
三カ月ぐらい前かな、自分の地元の駅で、日曜日、ちょっとビラを配っていたら、二十代の方に、五人ほどに囲まれたんです。我が党の支持じゃないようなんですけれども、いろいろと
議論
をさせていただいて、大島さんの理想は何かと聞かれたわけです。二十代ですから、自分は、普通に働けば、普通に九時から六時まで、プラス残業すれば、大体三百五十万ぐらい、正社員として払ってやりたいなという話をしたんです。三百五十万、そんなに多い金額じゃないかもしれない。 二十代の方、五人ぐらいの方から私が言われたのは、それは理想だと言われたんです。そんなの理想だと言われたんです。今の二十代の皆さんは、学校を卒業してからずっと非正規で働いているから、二百万とか二百五十万が当たり前なんです。今、ここまで労働というのは傷んでいるんですよ。 ですから、今私がずっと
雇用
の問題に携わっているのは、先ほど二階
大臣
ともやりとりをさせていただいた、将来がかかっている
日本
の産業競争力が相当傷みつつあるということなんです。 これから恐らく長い
景気後退
が
世界
で始まったとして、ロストジェネレーションと言われる三十代前後の方がもう一度生まれようとしているわけですよ。学校を卒業するけれども、要は正社員としての職場がない。そうすると、非正規という働き方になって、そしてなかなか正規には戻れないということになるんです。だから、ここについては、私
たち
としては、しっかりとした
セーフティーネット
は整えなければいけないなと考えているんです。 多分、経済産業省さん、厚生労働省さん、あるいは農水省も入るかもしれない、さまざまな働き方の中でしっかりと受けとめなくてはいけない。今、舛添
大臣
の所管の厚生労働省の公的職業訓練のいすの数は大体三万から五万ぐらいしかないんです。そんなに多くはないんです。これを十万、二十万までふやしていかないと、多分これから数年は対応がとれないなと考えているんです。これが一点。 もう
一つ
、きょう
国土交通大臣
にも来ていただいておりまして、その件について、一言、こういうケースがあるものですから、お伝えしなければいけないなと思っています。 私もずっと昨年から取材をしておりまして、これは民間でも、あるいは民間じゃないかもしれないんですけれども、要は公共の運輸
会社
、これは鉄道
会社
に勤めていらっしゃる方で、昨年、彼は
会社
をやめたんです、結婚できないから。三十歳前半で、これまでまじめに働いてきたので、駅長さんからも送別会を開いていただくまでちゃんと働いた方が、給与がずっと二百五十万なんです、残業して二百八十万なんです、契約社員で。一年ごとの更新で、これはずっと更新することも可能なんですけれども、
派遣
法で三年
派遣
すると正社員として雇わなければいけないという条項がありますから、
会社
側も気にされて、三年とか四年たつと更新しないケースが多いんですと。あと、正社員になりたくても年齢制限があったりしてなれなかったりもして、こういう方がいるんですよ。 契約社員ですと、要はアパートに入れないわけです。そうすると、彼は、そういう人を受け入れてくれる、関西の方ですと、大体五万から七万ぐらいで入れてくれるところがある。共同の炊事場で、共同のトイレで、共同のふろがついていて、大体部屋が一部屋あってというところで、それで役所と交渉してようやく
住民票
をいただいた、そういう方がいらっしゃった。 本当にこれは彼から直接伺いまして、要は、ガールフレンドが見つかったんだけれども、給与が新入社員よりも低いから結婚できないから、転職をして、転職先が見つかったんだけれどもなかなか大変だと言っているんですよ。 こういう
実態
が本当にいいかどうか。これは
政治
の判断として、こういう働き方を私
たち
が容認するかどうかという価値観の問題だと思っているんです。それについて
国土交通大臣
からの御所見をいただきたいんですけれども。
金子恭之
298
○
金子
国務大臣
今、大島
委員
から生々しいお話を承りました。 鉄道
関係
というお話でございますが、最近、鉄道の
関係
では、切符のインターネット予約が普及をしてきたというようなことで、駅の窓口業務の効率化を図る、そのために駅の業務に携わる契約社員をふやすというようなことが出てきているというお話も、そして正社員化を求める声があることも認識しております。 鉄道という公共
機関
であります。良質な鉄道サービスの提供も重要であります。そういう中で、
雇用
形態については事業者の経営判断でありますが、労働
関係
法規はきちんと適切になされるべきものと思います。 同時に、麻生総理も、正規社員が好ましいということを経済界にいろいろな場で話をされておりますが、私個人としても同じ気持ちであります。
大島敦
299
○大島(敦)
委員
やはり与謝野
大臣
も正義という話を、当
予算
委員会
の多分一番最初の日だと思うんですけれども、されていたかと記憶をしておりまして、二月の二日には、
米国
のオバマ大統領も、納税者に援助を求めながら、ウォール街の金融
機関
は恥ずかしいことに昨年二百億ドルの賞与を払った、
米国
民はこうしたおごりを許さないだろうということを言っているわけですよ。法的な縛りはないとしても、発言する重みというのは私はあると思っているんです。 ですから、
国土交通大臣
にももう一度、多分これは民間
企業
ですから、でも民間
企業
は先ほど申し上げましたとおりサラリーマンですから、サラリーマンというのはどうしても株主の方を向きがちなわけですよ。株主の方を向きがちになれば、配当しなくちゃいけないとかいろいろと言われて、これまでは外国人の方の持ち株比率も多かったものですから、いろいろとそちらの方に気を配られるケースが多かったと思うのです。 私は、サラリーマン経営者の方に言いたいのは、君
たち
が役員になったのは、それは同僚であり部下に助けてもらって役員になったのかなと思っているわけです。そういう気持ちを大切にしない経営者の方が非常にふえていると思うんです。 僕は、二階
大臣
が、昨年末かな、電機
会社
の経営者の皆さんをお呼びになって、要は
雇用
の話をされて、それで、二階
大臣
が終わってエレベーターに向かうところのシーンがテレビに映ったときに、経営者の皆さん、余り
関係
ないなという顔つきをしていたものですから、若干むっとしたこともあるんです。だれのおかげで私
たち
の
日本
の中で商売、経営ができているかとか、そういう気持ちがうせているかなと思うんですよ。 ですから、
金子
国土交通大臣
にも、確かに先ほど言ったとおり、労働基準法の中の、要は期限の定めのある働き方は認められているんですけれども、こういう二百五十万ぐらいで雇うことが本当に
社会
的な正義として正しいかどうか。これは、いろいろな働き方がありますから、ただ、ある
程度
、三十代の男性の方で、しっかりと働ける方がそういう
状況
に置かれていることが
我が国
として許されるかどうかというところを伺わせてください。
金子恭之
300
○
金子
国務大臣
何といっても、
雇用
というのは
企業
の
社会
的な一番大事な役割だと思っております。そういう意味で、先ほど麻生総理の
正規雇用
が好ましいとおっしゃっているということも御紹介させていただきましたけれども、それが何とか実現できるように
努力
していきたいと思っております。
大島敦
301
○大島(敦)
委員
よろしくお願いをいたします。 きょうは、
野田
大臣
に来ていただいておりまして、昨日は、糸川
委員
から
自殺
の問題についていろいろと聞かれて御答弁されておりまして、なかなか大変だなと思いました。
野田
大臣
の所管は非常に広くて、多分、御本人でもなかなかこういう所管だというのは言えないかなとは思うんですよ。宇宙もやらなければいけないし、消費者も入っているし、公益法人改革もあるし、自分もなかなか、十個ぐらいあって、恐らく
自殺
の問題と言われてもそれだけの時間をとれないかなと思っているんです。 それで、
野田
大臣
に一問質問させていただきたいのは、昨日も糸川
委員
が聞かれておりました目標、どれだけ
自殺
者を減らすかという目標。これは、参議院の代表質問で尾辻議員も
自殺
の問題は取り上げられておりました。これから、
失業
者がふえれば
自殺
がふえるから、しっかりとそのことはやらなければいけないというお話をされておりました。 多分、三万人から、今、これは統計の持ち方によって違うので、厚生労働省と警察庁で若干、二、三千人のずれがあるものですから、三万人と置けば二割で六千人、十
年間
ですと一
年間
に六百人ずつ
自殺
者を減らさなければいけないわけです。私は来年度は少なくとも三万人を超えないということは必要だと思うんですが、その点について御答弁をお願いいたします。
野田聖子
302
○
野田
国務大臣
この十年、三万人を超えているということは昨日も御報告申し上げまして、大変痛ましいことであります。
自殺
というのは、予防可能であるけれども、その
自殺
の原因、要因というのもいろいろなものがあるわけでして、例えば精神障害、病気による、うつ病等々で代表されるものであったり、または、急速にふえた原因というのは、
社会
的要因と言われています
失業
とか倒産によって、きのうもお話し申し上げましたけれども、貸し渋りに遭い中小
企業
の経営者が亡くなるというケース。または、
失業
によって職を失い命を絶たれてしまう。とにかく、ありとあらゆる要因というのを、私
たち
は、ようやく基本法ができまして、この
国会
で、超党派で一人でも多くの命を支えよう、救おうということで
活動
しているところであります。 ですから、その目標を実は大綱の中で掲げておりますし、先日も、舛添
大臣
の厚生労働省の方でもそういう目標というのが、健康21でしたか、あるということですけれども、にわかに一
年間
で何百人を減らすということは容易ではありません。そのときの経済
状況
の浮き沈みによってもそういう対応が変わってくるでありましょうし、そういう中で、でも何も目標なしで取り組むわけにもいかないということで、ぜひとも私
たち
は、大綱の中では
平成
二十八年までに
自殺
率を二〇%以上
削減
したい、そのために大勢の皆さんの力をかりて、
一つ
ずつその要因を精査し、それに必要な
対策
を講じていきたいということで、しっかり取り組んでいきたいと思います。 あと、御心配いただいておりましたけれども、私の担当は二十一あります。ただ、
自殺
に関しましては、一人の
大臣
が頑張る仕事ではなく、やはりありとあらゆる、各省、そしてもちろんNPOの専門家の方
たち
を総動員でやらなければならない。その総合調整をさせていただくとともに、大綱に基づいて、官房長官を会長にした
対策
会議
というのがきちっと
政府
内にできているので、私一人ということでなく、皆さんの力を束ねることができる土台づくりに貢献していきたいと取り組んでいるところであります。御
理解
ください。
大島敦
303
○大島(敦)
委員
自殺
の問題は、
景気
変動で
自殺
が減ったりふえたりするという理屈は避けた方がいいと思うんです。 これは、
景気
変動によって十年から十二年にかけて
自殺
者がふえたわけですよ。その後も高位、三万人で下がらないのは、これについては、前回この場で公述人の方、エコノミストの方に来ていただいて、中小
企業
においてはここ数年はずっと下降局面にあったということとダブっているなと思っていまして、ことしはふえるおそれが多分にあると思っています。 ですから、官房長官にはぜひ、
政府
全体として、三万人はふやさない、そういう発想だと
対策
が全然違ってくるのです。今までとは違う事態なんですよ。多分、来年一
年間
通して見て、
自殺
者の数は三万三千とか三万五千とか非常にふえることが想定をされている中で、
景気
変動ということに理由を求めないで、国としてしっかりと減らすということが私は必要だと思っています。 そうすると、二十一年度
予算
、私
たち
は賛成するか反対するかわからないんですけれども、その中で予備費がありますから、しっかりと
自殺
対策
については
予算
をつけて、
政府
の方針として、私
たち
の国に住んでいる方の命は守るということが決意として必要だと思うんですけれども、申しわけありません、一言で御答弁をお願いいたします。
河村建夫
304
○河村
国務大臣
国民の命を守っていくというのも
一つ
の
政治
の大きな使命でございます。その責任も
内閣
にあるという意識を持って、今おっしゃったような目標値を持って、それに向けて具体的な
対策
を立てていくことが大事だと思います。
予算
もふやしておりますが、約百五十八億九千二百万でございますけれども、さらに必要なものについては
予算
をふやしていく、こういう思いでやってまいりたい、このように思っております。
大島敦
305
○大島(敦)
委員
なかなか御配慮いただきましてありがとうございます。 最後の質問なんですけれども、年金の話題に触れなければいけないものですから。 今から五年前の年金の
議論
の中で、厚生労働
委員会
で大分やりとりをさせていただきました。昨日ですか公表されましたこちらの方、今回の現況及び
見通し
によりますと、年金については非常に厳しいかなと自分は思うんです。要は、足元の利回りというのがそんなに多くはないんですけれども、今後の利回りとして四・一とか四・二とか三・九とか、極めて高い利回りを考えていらっしゃるわけですよ。前回よりも高い利回りなわけです。 私は、一回転職をして保険業に五年ほどいました。保険業においては、例えば日生さんのように四十兆円を超える大きな保険業の運用利率は、経済の成長率とほぼリンクするわけです。小さな
会社
ですと、それぞれいいところに運用できますから、高い運用も可能かもしれない。ただ、年金のように百兆円を超える資産を、ここに書いてあるとおり四%、四・一、四・二、三・九で運用することが非常に難しいのかなと私は思っているんです。 ですから、その点につきまして、与謝野
大臣
もこれは見ていますか。まだ見ていない、年金の。(与謝野
国務大臣
「見ていない」と呼ぶ)そうすると、舛添
大臣
から、この点につきまして見直す必要があるかどうかについて伺わせてください。
舛添要一
306
○舛添
国務大臣
昨日、この専門家が出した数字というのは、私は非常に厳しいと思っています、六二%が五〇に落ちるわけですから。ただ、五年に一回のある意味でルーチンの検証でありますから、これは
平成
十六年以降の中位推計で四・一と出ていますので、これから先、五年後、十年後、最終的に三十年後の
世界
というのはどうなるかというのは、それは経済の変動もいろいろありますから一概には言えないので、むしろ、六二だったのが五〇という数字に落ちたことの非常な深刻さはやはり考える必要がある。 そして、十六年の
改正
というのは、要するに、保険料はそんなに上げませんよ、それから五〇%を
確保
しますよ、積立金を活用します、そして三分の一から二分の一に国庫負担をやりますという四本柱で成り立っているわけなので、そういう意味で、今後どうなるかといったら、経済情勢とか人口動態とかさまざまな
問題点
があると思いますけれども、私は非常に厳しいという認識のもとで、年金
制度
全体についても、これは党派を超えてどういう形にすべきかというのを
議論
すべき時期に来ている、そういう認識を持っております。
大島敦
307
○大島(敦)
委員
舛添
大臣
、前回、百年安心プランということで前の参議院議員選挙は戦われているわけですよ。ずっと百年安心プランということで、百
年間
、一回この年金
制度
をセットすれば大丈夫ですよということでずっと説明をされてきたわけです。ですから、今回この数字を見て変えるというのは結構大変なことだと思うんです。 これを見ると、申しわけないけれども、先ほどの三・九から四・二の運用利回りのバックボーンになる経済成長が〇・八%とか一・二%とか〇・四%なんです。このくらいの経済成長でこれだけの運用というのは常識的に難しいと僕は思うんです。これはおかしいと思うので、年金については今後も……(舛添
国務大臣
「違う、違う」と呼ぶ)今の舛添
大臣
の答弁はすぐ見直すなんということは言っていないんですか。では、もう一度答弁をお願いします。
舛添要一
308
○舛添
国務大臣
前提が甘いよと言われて批判を受けているような、これは専門家がやったことですから、そういう検証でも五〇まで落ちているということは極めて厳しいですよということをまず申し上げておきたい。 さらに、その上で、例えば党派を超えた議員の方々がいろいろな提案をなさる、新聞社も提案をなさる、経済団体も提案なさる、いろいろな年金の案が出ていますから、そういうことについても、これは長期的にみんなで
議論
をしてみましょうということを申し上げているわけであります。
大島敦
309
○大島(敦)
委員
舛添
大臣
、
政府
を預かっていらっしゃるわけですから、議員の単独の、個々人の議員のいろいろなお考えはあるかと思うんですが、新聞社も
各社
出しているんですけれども、
政府
答弁としてはなかなかそれは語れないところだと思うんですよ、私としては。
政府
としては、やはり、もしもこれを見直すのであれば相当の覚悟を持って見直さなければいけないなということをつけ加えさせていただくとともに、この年金の
議論
で、最後に、よく、
企業
が持っている余剰資金ですか……(発言する者あり)内部留保ですか。これは二〇〇五年の「エコノミスト」で熊野さんという方が記事を書いていて、私は、これを当時見て、なるほどと思ったわけです。このときは、積み上がった八十二兆円の資金余剰という記事が出ていて、要は、私
たち
の
社会
を保っていくためには、人口が減ってくるわけですから、しっかりと給与を払ってあげて経済のボリュームを膨らましてあげないと、国の借金だって返せないですし、あるいは年金保険料だって納められないわけです。ですから、先ほど
金子
大臣
、二百五十万で、あるいは三百五十万が今の二十代は、それは大島さん、理想だと言うのが今の世の中なんです。これは私
たち
の国のあり方がかかっていることなんです。 ですから、できるだけ賃金については
企業
であればしっかりと支払うことも必要だなということをつけ加えさせていただいて、私、大島からの質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
衛藤征士郎
310
○
衛藤委員長
これにて大島敦君の
質疑
は終了いたしました。 次に、
穀田
恵二
君。
穀田恵二
311
○
穀田
委員
共産党の
穀田
です。 〇八年十月から十二月期のGDPは、御
承知
のとおりに年率換算マイナス一二・七%と、第一次石油
危機
直後に次ぐ大幅な下落率を記録しました。
日本経済
を引っ張ってきた輸出がマイナス一三・九%に落ち込んだことが大きいと言われています。私は、はっきり言って、外需頼みの経済構造の脆弱性がはっきりあらわれて、そのことが主要先進国の中でも最悪となったと考えています。 さて、二月二日、NHKスペシャルは「
アメリカ
発
世界
自動車
危機
」を放映しました。それによりますと、長年のビジネスモデルを延命させるためにつくり出された架空の消費があった、売り上げを伸ばすため
自動車
ローンの審査が極限まで甘くされ、ウォール街が推し進めた証券化ビジネスと手を結んだ車
販売
のシステムが広がった、このように報じていました。 つまり、住宅のサブプライムローンの
自動車
版。サブプライム層、簡単に言えば、高級車を買えない層とでもいうんでしょうか、この際は。甘い審査でローンを組ませて買わせるやり方でGM車を
販売
していた。そのローン債権を証券化して、ウォール街を通じて
世界
に債権をばらまいていた。住宅のサブプライムローンと全く同じやり方であります。 そこで、GMだけでなく、
アメリカ
では
日本
の
自動車産業
も同じような
販売
方法を行っていたのではないかと思うのが普通です。
アメリカ
の架空の消費に依存していた
日本
企業
はどうしていたかということは問題だと思うんですね。トヨタ、ホンダ、日産などは
アメリカ
での
販売
を伸ばしてきましたが、
販売
の手法として、GMと同じように、
自動車
ローンを証券化する等デリバティブ金融商品を利用して、生産の現地化、
自動車
販売
を進めていたのではないか。 この
実態
をどう把握しているか、二階
経済産業大臣
にお聞きしたいと思います。
二階俊博
312
○二階
国務大臣
アメリカ
での
日本
車のいわゆる
自動車
販売
の
実態
をつぶさに
承知
しているわけではありませんが、我々が今まで好調な当時聞いておりましたことは、
日本
車を申し込んでもなかなかそれを購入することは難しい、順番待ちになっておる、こういうことをよく聞いておったわけであります。 そんな
状況
からして、今議員が御指摘のようなことを
日本
の
自動車
各社
も
アメリカ
でやっておったとは想像しがたいわけでありますが、せっかくの御指摘でありますから、我々の及ぶ範囲で
調査
をしておきたいと思います。
穀田恵二
313
○
穀田
委員
それは、
調査
はしていただくのは結構なんですが、若干認識が甘いと私は思うんですね。 というのは、トヨタの年次報二〇〇七で、事業等のリスクを説明する中に文章がちゃんとありまして、「トヨタは、デリバティブ金融商品を利用し、生産の現地化を進めることにより、」ということをきちんと明記してやっているんですよ。その中で「金融サービス事業へのネガティブな影響は、トヨタの
財務
状況
及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性」がある、ここまで書いていて、やはりやっているということで、調べてもらうのはいいんですけれども、そういう形でやっているということははっきりしているわけです。 結局、
アメリカ
でのローン、リース損失についても、二〇〇八年四月から〇九年三月の
見通し
で、トヨタが九百から一千億円、ホンダが四百九十億円、日産
自動車
が六百二十七億円と見ています。GMよりは軽いとはいえ、そして
程度
の差はあるけれども、
自動車
ローンの証券化など同じような
販売
手法をとっているということを私はこの際はっきり指摘しておきたいと思うんです。 金融破綻で、
アメリカ
の消費がデリバティブ金融商品を利用することで生み出された過剰なものであったということがはっきりしています。その過剰な消費はどうやってつくられてきたかということを、そういうやり方があったんだということを私は今言ったわけですね。実体経済への波及が一番顕著な形であらわれているのが実は
自動車産業
なんです。 そこで、もう一度、二階
大臣
に聞きたいんですけれども、
自動車産業
自身がこんなやり方をしていたら、物づくりの根本を放棄して、金融に頼った
販売
で過剰の消費、架空の消費をつくり出した結果ではなかったかというふうに思うんですが、その辺の見解だけ、どう考えているかをお聞きしておきたいと思います。
二階俊博
314
○二階
国務大臣
日本
の
自動車産業
が、今日のサブプライムローンに代表されるような経済悪化の引き金を引いたとは思ってはおりませんが、今のような御
意見
に対しても、十分慎重に対応していきたい。 なお、融資の面におきまして、私どもは、中小
企業
に力点を置いて対応してまいりましたが、中堅
企業
、また大
企業
にもだんだんとそういうことに対する対応の必要性が生じてまいりましたので、皆さんの御了解を得た上で、
海外
に進出している
日本
企業
、
日本
の大手
企業
に対しても、必要に応じて融資の道を開くということなどをやって、直ちに倒産とか
雇用
を、いわゆる解雇するというようなことのないような対応を考えておるところでありますが、今のようなことは一応
調査
をしてみたいと思っております。
穀田恵二
315
○
穀田
委員
それは、把握して
調査
をしてでいいんですけれども、私は、中小
企業
に対して経産
大臣
が、ほんまにこれは何とかせなあかんという思いはよくわかります。 ただ、この問題を私が言っているのは、なぜこんなことを言っているかというと、やはりトヨタなど
日本
の
企業
も、
アメリカ
のそういう、言われている架空の消費を生み出す一翼を担って、そして、架空の消費などによって生まれた過剰消費を頼りにした経営をやってきたということを言っているわけですよ。そういう仕組みはなかったのかと。だから、それが今、
アメリカ
の中で破綻をし、崩壊をした。そういう点では、
日本
の
企業
も、
アメリカ
の
企業
が経営責任を問われているのと同様に、
日本
のそういう大手の
自動車産業
も経営の失敗と言わざるを得ない、こういう問題があるよということを言っているわけです。 この間、今度の
国会
で、私どもは一貫して
派遣切り
なんかの問題を追及してきました。経営者は、
派遣切り
だとか発注切りなど、
労働者
や下請中小
企業
に犠牲を押しつけているということなわけですね。だから、そういう意味でいいますと、そういう事態を正しく知らなければ、
政府
がトヨタなど輸出の大
企業
の経営者の経営責任を追及することもできないわけです。だから、私はあえて、こういった
実態
がある、それは経営責任だということを、
アメリカ
でいえばそう言われているんだから、しっかりせなあきませんよということを言っておきたいと思います。 もういいです。それはもう、そういうことで。
二階俊博
316
○二階
国務大臣
穀田
議員の御主張は御主張としてわかりますが、我々は、それを一概に、それはそうでございますと言うわけにもまいりません。ですから、よく調べた上で、また御
相談
しましょう。
穀田恵二
317
○
穀田
委員
ですから、そういう点を私は、現実は、トヨタの文書からも、現実からもある。トヨタだけがそういうことを免れているわけじゃない。もしやっているとすれば、まさに経営責任が問われるということについては、もしやっていたということを
大臣
が認識されれば、これは今後経営責任をはっきりさせなくちゃならぬということだけ言っておきたいと思います。もう
大臣
、結構です。 次に、その意味では、私は、内需を
拡大
するには、仕事そのものがないという事態を打開することが緊急の
課題
となっていると思います。住民の命、安全、暮らしに密着した
社会
資本整備の
維持
補修など、小規模公共事業への思い切った
予算
の投入が必要だと私は考えています。そういう立場から、まず、
社会
資本整備で今、そして今後大きな問題となる老朽化、荒廃の問題について確認したいと思います。 多くの
社会
資本が高度成長期に整備されてから四十年、五十年経過し、老朽化などが進み、その
対策
が重要な問題になっています。国民の安全、安心にとって、ゆるがせにできない問題であります。 そこで、
社会
資本の老朽化の現状について聞きます。
国土交通
省は、道路の橋の
状況
について
調査
していますが、その結果はどうであって、何をせねばならないと判断しているのか、
金子
国土交通大臣
にお聞きします。
金子恭之
318
○
金子
国務大臣
御指摘のとおり、非常に
社会
資本、特に高度成長期のときに整備されました道路、河川、港湾等々について、
社会
資本全体の老朽化が急速に進行する
状況
を認識しております。 特に、
国土交通
省が実施した
調査
では、去年の四月でありますが、地方公共団体が管理する橋梁のうち、老朽化、古い基準による設計等の理由によって通行規制している橋梁が一千橋ある。さらに、
全国
の地方公共団体が管理する橋の長さが十五メーター以上の橋梁十三万の橋のうち、過去五年以内に定期的点検が実施されているものが四割にとどまっております。特に、市町村が管理する橋梁におきましては、その点検の実施が二割にすぎないということ。これは早急に進めていかなければいけない、計画的な補修等々をしていくということが重要と認識しておりまして、地方公共団体におけるこれらの
取り組み
が一層進むよう
支援
してまいりたいと思っております。
穀田恵二
319
○
穀田
委員
驚くべき
実態
なんですね。 今皆さんにお配りしている
資料
の一がそれであります。大体、安全かどうかも点検されていない橋が
全国
で半分以上ある。そして、地方の管理、とりわけ市町村管理の橋は、八四%も五
年間
一度も点検されていない
実態
なんですね。 さらに、私は橋だけじゃなくてほかのことを調べてみますと、国交省が昨年行った河川堤防管理の
実態調査
によりますと、全域の見回りの有無の項では、都道府県管理の三〇%に上る六千二百九十三の河川が全く実施していないと。つまり、県や市町村管理河川は定期点検も余りやられていないという現実なんです。その上に、下水道や上水では管渠が壊れ、道路が陥没して車が被害に遭うとか、周辺住民が水道を利用できなくなったという報道が最近多くなっていることは、御
承知
のとおりです。
国土交通
省は、こういう
実態
を踏まえて、各地方自治体に対して、
社会
資本の老朽化に対応するための長寿命化計画の策定を推進しているのではなかったですか。その策定
状況
はどうなっていますか。
金井道夫
320
○金井
政府参考人
橋梁を事例に御説明を申し上げます。 先生御指摘の長寿命化修繕計画でございますが、現時点で三十一の都道府県、それから四十七の市町村で長寿命化修繕計画の策定に取り組んでおりますが、全体で見ますと、計画策定済みのものはまだ約一一%ということでございまして、私どもとしては、
平成
二十四年度までに橋梁のおおむねすべてにおいて長寿命化修繕計画を策定できるように、新たな中期計画の目標としているところでございます。
穀田恵二
321
○
穀田
委員
この長寿命化も、計画策定はたった一一%と、極めておくれている。市町村における
社会
資本のこういう問題では、市町村が特におくれているということは極めて深刻と言わなければなりません。 そこで、
社会
資本、特に市町村が管理する道路、橋、堤防、下水道、公営住宅など、住民の命と安全、暮らしに身近なものが、結局、点検されずにずっと放置されている事態にある。問題は、こういう身近な
社会
資本整備、とりわけ
維持
補修など管理を最優先すべきではないかと思うんですけれども、
国土交通大臣
、簡潔に。
金子恭之
322
○
金子
国務大臣
御指摘のことは本当に大事なテーマであると思っております。 地方公共団体のこれを促進するためにも、財政的な面、技術的な部分というのが地方団体はどうしても不足する部分でもありますので、そういう技術者を養成するということをあわせて進めていきたいと思っております。 ちなみに、費用の面、財政的には、
平成
十九年度に、こういう老朽化に対する修繕計画の策定費用に対して国が補助する
制度
を新たに創設いたしました。今御審議いただいております第二次補正
予算
では、今度は点検の費用に対しても国庫補助が行えるように
制度
を拡充したところであります。
穀田恵二
323
○
穀田
委員
それは知っています。ただ、点検の費用も二十万円ですので、そんなに胸張ってやってまっせなんというような話にはならぬということだけは言っておきたいと思うんです。 だから、先ほど大事な点だとありましたから、
維持
補修が重要であることは論をまちません。問題は、そこで、道路を
一つ
例にとってみたいと思うんですけれども、当然、道路が延伸したり新設したりするということは、さらに
維持
補修の対象がふえて、費用がふえるのはある意味では当たり前なんですね。 そこで、
大臣
、もう一度、道路の
維持
補修、修繕費の推移について答弁を求めたいと思います。
金井道夫
324
○金井
政府参考人
お答えいたします。 道路の
維持
修繕費ということでございますと、約十
年間
、二〇〇六年度と一九九五年度を比較いたしますと、直轄国道については、コスト縮減に
取り組み
まして約九割に減っております。一方、地方公共団体がする道路につきましては、道路の種別によって若干差がございますが、六〇%台、七〇%台に
減少
しているところもかなり見られます。
穀田恵二
325
○
穀田
委員
そこで、私ども調べましてつくって、皆さんにお渡ししている
資料
が二枚目です。だから、今ありましたように、九五年から比較しますと、押しなべて
維持
補修費が減っていることがわかります。例えば、一般国道でいっても、五千五百十七億円から四千七百五十億円、市町村でいいますと、六千四百八十億円から四千五百二十億円、その減りが市町村道では大きいものを示しているということは、この
資料
でおわかりかと思うんです。 私が今まで何をずっと言ってきたかということを言いますと、結局、
社会
資本の老朽化が重大問題であるにもかかわらず、
一つ
は現状の点検もできていない、二つ目に老朽化の
対策
も、長寿命化と言っているんだけれども十分練られていない、三つ目に、道路などの例に見られるけれども、費用も、本来はふえなければならないのが減ってさえいる、それら全体を特徴的に見ると、特に市区町村にひずみが大であることが明瞭だ、これが、私が言いたい、ずっと言ってきた結論なわけですね。 そこで、インフラの老朽化すら点検されていないというのは、特にこれは何とかせなあかんと私は思っています。だから、もっと深刻に受けとめる必要がある。したがって、ただ
予算
があるかないかだけの
議論
ではだめで、なぜなら、住民の命が直接脅かされるわけだから、そういう危険が存在するのに、
予算
がなかったからできませんでしたということでは済まされない。事故でも起きれば、行政の不作為が問われ、損害賠償責任が発生する。 そういう意味では、地方自治体の大変な
実態
だけに、鳩山
総務大臣
に聞きたいと思うんです。そういう深刻な
実態
があるのに、市町村はなぜ点検もしないのか、そこに回す
予算
を削らざるを得ないという原因が何かあるんじゃないのか、その辺についての見解をお伺いしたいと思います。
鳩山邦夫
326
○鳩山
国務大臣
直轄国道とか補助国道とか主要地方道とか、そうしたものは全部仕組みができていますね。それは、それなりの国と都道府県の役割分担というものがあるわけですね、直轄国道については、地元負担について大分評判が悪い部分もありますが。 ところが、先生が先ほどから問題にされておられる市区町村では、道路や橋の点検もできない、その修繕もできない。補助金が出るというのは災害防除というときだけ、つまり、例えば橋が腐りかけていて、このままほっておいたら橋がおっこっちゃうだとか、道路がひどく損壊するというとき以外は補助金が全く出ない。ということは、単独事業なんですね。 結局、また三位一体の
議論
になりますけれども、地方交付税がうんと削られてきた中で、一番減ってきているのがいわゆる地方単独事業なんです。つまり、先生が話題にされておられる市町村の道路や橋の問題というのは基本的に地方単独事業なものですから、それで、ひどくこれがおくれているし点検すらできない、こういうことになっていると思います。 そこで、ただ、今回、総理は一兆円という地方交付税の積み増しをやった。このうち五千億は
雇用
だ、その残りの五千億のうちの千五百億が元気回復というテーマになっている。千五百億円のうち、大体、県が二百億、市が三百億。これは、補助金というのではなくて地方交付税ですから、単独でこうした橋や道路の問題に使うことができる。これで少しはしのげるのではないか、こういうふうに思っております。 基本的に、地方単独事業が大幅に減ることと先生の問題意識の事柄とはイコールだと思います。
穀田恵二
327
○
穀田
委員
そのとおりなんですよ。 では、今
大臣
は三位一体に言及しましたけれども、そうすると、問題は、三位一体改革でやられたところで、この間も
大臣
は言ってはりましたね、急激にやり過ぎた、失敗の部分がある、地方をここまで苦しめているのは正しくない部分があったからだとたしか述べましたね。 そうすると、国庫補助の負担金の問題で、今
維持
補修が重大な
状況
になっているのに、簡単に言えばその
予算
が
削減
されているということになるわけで、そうすると、この問題を通じて言えば、間違いだったということはこの部分にも当てはまるということですな。簡単に。
鳩山邦夫
328
○鳩山
国務大臣
私は、間違いだったと言っているよりは、三位一体改革で地方交付税の減が余りに急激だったために、それは弱い方弱い方に一番しわ寄せが行っているんだ、それがまさにこのグラフなのじゃないんですか。都道府県の方はまだいい、政令市はいい、しかし市町村では、これは単独事業だから全然できなくて、点検もできない、修繕もできない。これはやはり、地方交付税が減るととにかく市町村に一番響く、こう考えていいような気がするんです。
穀田恵二
329
○
穀田
委員
なぜ私は三位一体やその他構造改革の問題について言及したかといいますと、麻生さんが当時、二〇〇三年の時代に
総務大臣
でした。そのときの方針にこの問題が書いてあるわけですよ。それはどう書いているかというと、国庫補助負担金等の整理合理化方針という中にあって、住民に身近な
生活
基盤の整備に係る負担金、今のあれですね、対象の縮減、採択基準の引き上げを図り、地方単独の事業にゆだねていくと。これは書いている方針なわけですよ。これが、現実に起こっている地方自治体での先ほどの事態を招いているわけですね。だから、ここが間違っているのじゃないかと私は言っているわけですよ。 だから、三位一体という問題はいろいろあるでしょうけれども、間違った部分、負の部分というのはここにもあらわれているということを私は言いたい。だから、
大臣
が間違っている部分があると言うんだったら、これもそうなんだなということを言っているだけなんです。そのとおりでよろしいか。
鳩山邦夫
330
○鳩山
国務大臣
しかし、やはり人間は将来を見るべきでして、そういった意味で、あの総理の決断による一兆円の別枠というのが、県二百億、市町村三百億、こうしたものに充てられるわけでございますから、これは大きな効果を生むと思っております。
穀田恵二
331
○
穀田
委員
それは歴史にしっかりゆだねて、私が、そうじゃなかったということを言ったということ等、お互いに記録しておきましょう。 最後に、私、今インフラの
維持
補修だとか長寿命化というのが大事だということをずっと述べてきましたけれども、問題は、これをどこでやるのかということなんですね。私は、どちらかといえば中小
企業
が得意の分野だと考えています。 そこで、公共工事を規模別で見た場合、
雇用
の
関係
を
調査
した内容があると聞いています。総工事費評価額百万円当たりの
労働者
数
調査
というのがあります。この概要と特徴を、もう最後ですから、簡潔に、事務方でいいですから述べてください。
大口清一
332
○大口
政府参考人
簡潔に述べさせていただきます。 御指摘の、
平成
十一年度公共工事着工統計
調査
年報における総工事費評価額百万円当たりの
労働者
数は、総工事費評価額規模別に見ると、規模が上がるにつれまして、いわゆる
労働者
の数は減るという相関
関係
がございます。
穀田恵二
333
○
穀田
委員
それを表にしたのが三枚目の
資料
です、一九九九年度の総工事費評価額百万円当たりの
労働者
数。 これは残念なことに、この
調査
以後、この方式の
調査
をやっていないんですね。でも、これにわかりますように、百万から五百万の規模、これが百万当たり二十一・一人というふうに、規模が小さければ、やはり
労働者
、その
雇用
の数字が上がるという現実を示しているわけなんですね。 ですから、私は、小規模事業、工事というのは、
雇用対策
の面から見ても大きい役割を果たすことは明確だと考えています。したがって、
維持
補修など身近な小規模工事というのは地域の中小
企業
が受注し、仕事起こしになる。地域の
雇用
にもなるし、ふえる。したがって、小規模事業への手厚い
支援
こそ、
雇用対策
、地域経済活性化に役立つことは明らかだと思うんです。 今こそ住民の命、安全、暮らしに密着した
社会
資本整備の
維持
補修など、小規模公共事業への思い切った投入へ転換することで、内需の
拡大
、
雇用
、地域経済活性化を図るべきだということを述べて、質問を終わります。
衛藤征士郎
334
○
衛藤委員長
これにて
穀田
恵二
君の
質疑
は終了いたしました。 次に、阿部知子君。
阿部知子
335
○阿部(知)
委員
社会
民主党の阿部知子です。 本日は、
委員長
初め与謝野
大臣
も、本当に長時間、そして各
委員
の皆様も、午前、午後にわたっての御審議、お疲れのことと思います。きょうは私が最後でありますので、もうしばらくのお時間をちょうだいしたいと思います。 私は、きょうはゴルフの話から入りたいと思います。 皆さんのお
手元
に、私の地元というか、神奈川県の座間にございます座間キャンプの地図が置いてございます。この米軍の座間キャンプというところは、皆さんもこの図を見ていただければおわかりのように、大変に人口密集地の中にございまして、そして、ここのゴルフ場で、ゴルフボールが外に飛んでくるという事案が頻発をしております。(発言する者あり) 実は、去年の五月にも、今、そうだと言った
笠井
さんが
外務
委員会
でお取り上げくださいまして、そのときもやはり、子供が顔面にけがをし、本当にもうすれすれのところでという事態で、大変に深刻な
状況
でありました。その後も十月にもございましたのですが、今回もまた、お
手元
の相武台中学というところで、野球の練習をしている少年の鼻先をかすめてゴルフボールが飛びました。 これは、PTAの皆さんも大変に懸念されて、そして、飛んできたゴルフボールの後を三人の
日本
人のプレーヤーの方が米軍基地から出てこられて、子供さんがけがされたかどうかを気にされたんだと思いますけれども。そもそも、この米軍基地の中で
日本
の皆さんが、それも恐らく少なからぬ数プレーしているのではないかということに、地元もまた大変にびっくりしたわけです。 そこで、ここの近くの市民団体の方が、双眼鏡でのぞいて、何人くらいの方がどのようにプレーしておられるのかと見たところが、大体利用者の九割近くが
日本
人とおぼしき、近くへ行って確認したわけじゃないからわからないですよ、そういう方であったと。地元としたら、これは、こんな地域ですし、米軍基地があるために町の発展も妨げられていますし、そんなに
日本
人が多いのであれば、何か米軍のキャンプのためのものでないんじゃないかというふうなことで、返還もしてほしいという声もまた強くなっているわけです。 普通、民間のゴルフ場であれば、ゴルフボールが外に飛んできてけがを起こすような事態は、即刻営業停止であります。ところが、米軍のキャンプであるがゆえに、去年も同じことがあった、ことしもまた改善されない、続いているわけです。 きょうは中曽根
外務大臣
にお願いがございますが、まず、この利用
実態
、そんなに
日本
人が多いのかどうか、これを事実としてお調べいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。一点です。
羽田浩二
336
○羽田
政府参考人
お答えいたします。 米軍施設・区域内のゴルフ場は、在日米軍
関係
者の福利厚生施設として利用されていますけれども、従来、米軍との友好親善の意味合いから、米軍の使用に支障のない範囲に限り、
日本
人の使用を認めているものと
承知
しております。米軍がこういう文脈において
日本
人によるゴルフ場の使用を認めても、日米地位協定上問題があるとは考えておりません。 在日米軍
関係
者以外の者による米軍ゴルフ場の利用については、このような趣旨を踏まえつつ、節度を保っていくべきものと考えておりますけれども、米側は、こういう観点から、米軍のゴルフ場の適切な利用を
確保
するためのガイドラインを作成し、実施しているものと
承知
しております。
阿部知子
337
○阿部(知)
委員
申しわけありませんが、私の貴重な時間を浪費しないでください。九割が
日本
人だったと市民が観察しているからどうだと。節度を超えたの何のは、もういいですよ。何割というのかはわかりませんが、去年の暮れも観察してもそうだった、ことしもそうだ、そしてボールは飛んでくる、子供はけがをしそうになる。これでは納得ができないわけですよ。 私は、そういう観点で今中曽根
外務大臣
に、これはきのう投げてあるわけですから、今初めて言ったわけではないですよ。きちんとまず調べてください。イエスかノーかの一言で結構です。お願いします、
大臣
。
中曽根弘文
338
○中曽根
国務大臣
在日米軍
関係
者以外の人が利用しているかどうか。これは、ゴルフ場が米軍の施設・区域内に設置をされている、そういう趣旨も踏まえながら、まず節度を保ってやっていくべきものと考えますけれども、米側は、まさにかかる観点から、米軍ゴルフ場の適切な利用を
確保
するためのまずガイドラインを作成いたしまして、実施しているものと
承知
をしています。それによって、在日米軍と地域
社会
の友好親善の観点から、
日本
人等による使用も認められていると
承知
しています。
外務
省としては、安全等についてはかねてから申し入れを行い、またゴルフ場も改善を行っておりますけれども、引き続いて申し入れを行っております。 調べられるかどうかという御質問ですが、米軍基地内で働いている
日本
人
従業員
も使っているということであると思いますので、外部の
日本
人ということなのか、内部も含めてなのか、そういう点もあろうかとは思います。ちょっと、調べられるかどうか、今、私自身、急なので、ここではお答えできません。
阿部知子
339
○阿部(知)
委員
急なのでなんというのはやめていただきたいんです、きのう質問通告をしてあるんですから。
大臣
、それは余りにも私の質問権への侵害ですよ。何も今急に言ったわけではないのです。 そして、お
手元
の
資料
を見ていただくと、どんな
人たち
がプレーしているか。これは米軍がホームページに出した料金表ですよ。上から見ていただくと、軍人さんの階級によっての料金の違い、その他の招待客というのは、
日本
人であれ米軍
関係
者であれ、あるでしょう。
日本
人
従業員
、座間の自衛隊員、あとは名誉常連顧客とか、こういうのもあるわけですよ。 こんなこと、聞いていただければ、九割がもし
日本
人で、それが、本当に重要な、地域の、町の繁栄にとっては非常に重要なところにあるんですよ。そして、実はここはゴルフの利用税を払わなくていいわけですね。もし
日本
人の一部がそこで利用税も払わずに九割やっていたら、大きな問題ですよ。そういうこともあるからこそ、市民団体が指摘されているんですから、これは日米友好のためにもならないですよ、逆に言えば。市民感情は逆なでですね。ボールは飛んでくる、見たら
日本
人だ、何やってるんだということになります。 続いて、浜田
防衛大臣
にお調べいただきたいことがあります。 二枚目の
資料
を見ていただきますと、これは、あの守屋さんのゴルフ好きのときに問題になり、
防衛
省の方でお調べいただいて、米軍関連の基地の中にあるゴルフ場をどのくらい自衛隊の方が御利用であったかという実数ですね。 これは十四年から十八年までしか出ておりませんけれども、各キャンプ、例えば座間では、
防衛
省の皆さんは約百人くらいプレーしておられる。延べ回数でいえば、下に書いてございますが、四百回以上ということで、よもやですよ、あれだけ守屋さんの事件がありましたし、そして当然見直すべきは見直すべきだということになっておるので、今もって続いているとは思いたくございません。 でも、実はこれは
大臣
にも見ていただきたいですが、座間のプレーは、自衛隊員は、座間にお勤めの場合は三千円。では、ほかの自衛隊員は行っていないんだろうか、これもまた疑念の点でございます。実は、私はこういう根掘り葉掘りのことは伺いたくはないです。だけれども、もしこれで子供に事故が起きて、それが自衛隊員の打った球であったりした場合に、やはり本当に国民の感情はおさまらないですよ。 そういうことがあり得るので、
防衛大臣
にも、現状をきちんと
防衛
省として把握していただきたい。少なくとも適宜適切、数が何回までが適宜かわかりません、おつき合いもおありでしょう。しかし、余りに過大であれば、それは度を過ぎたと申しますから、浜田
大臣
、いかがでしょうか。お願いします。
浜田靖一
340
○浜田
国務大臣
そういう先生の御指摘もよく私も
理解
するところでありますので、
実態
を調べながら今後とも対応していきたいというふうに思います。
阿部知子
341
○阿部(知)
委員
この件は私が今回初めてじゃなくて、さっきの
笠井
さんもお取り上げだし、民主党の浅尾さんもお取り上げだし、武正さんも主意書で出しているんですね。繰り返せば誠意がないということになりますから、重ねて中曽根
大臣
と浜田
防衛大臣
にはお願いを申し上げたいと思います。 引き続いて、私はきょう、
我が国
で今いわゆる少子化問題が大変に大きな
課題
となっておりますが、子供
たち
の分娩というか、赤ちゃんの生まれることに関する質問に移らせていただこうと思います。 最初の一問は舛添
大臣
にお伺いしたいですが、まず、
大臣
は、
厚生労働大臣
に御就任になってから、せめて出産くらいはお金の不安なく産むということを保障したいというお
取り組み
をされていることはよく存じております。 このたびの
予算
の中でも、例えば健診にかかわる十四回の費用や、あるいは健康保険から給付される一時金を合わせて四十二万まで引き上げようということで御尽力であります。 私は、そもそも、そうであれば、出産は健康保険適用にしてくれて、特に、何回も何回も健診にかからなきゃいけない、十四回以上のお母さんだっているんですから、そこまでも安心させてほしいなと思いますが、きょうはその時間がないのでさておいて、こうやって
大臣
がせっかく引き上げていただいても、その余波が及ばないというか、手の届かない部分があるので、きょうはそこをお話し申し上げたいと思います。 まず、三枚目の
資料
には、昨年来といいますか、ことしに入って、まず一月にはお産に伴う医療事故等々の補償のための三万円の上乗せや、ことしに入って四万円の健康保険料の給付の引き上げの内訳が書いてございます。一部は国庫補助ですが、一部は健康保険から出るわけです。 はてさて、現在において、無保険の問題、特にお母さん
たち
が健康保険に入っておられなかったら一体どうなっちゃうんだろうか。 今、
大臣
、御存じでしょうか、病院は未収金というのに悩んでおります。大体、この未収金、統計上どのくらいあるか。急で、これは予告してございません、もし御存じだったら御答弁いただきたいのと、こうやって保険から給付するといったって、入っていなければ何もないわけです。そのことについて
大臣
はどんなふうにお考えか、二点お願いします。
舛添要一
342
○舛添
国務大臣
未収金は、ちょっと突然のお話なので、今データがございません。 要するに、
セーフティーネット
がさまざま張りめぐらされている中で、その網にかからない人をどうするかということがあると思いますので、それは
生活保護
それから助産施設、そういう形での対応ができるというふうに思っております。
阿部知子
343
○阿部(知)
委員
ところが、なかなかできないんですね。
大臣
がおっしゃったように、
生活保護
も
一つ
の方法ですけれども、やはりこれだけ少子化で、生まれるというところが大事な中で、大体、
調査
できる限りでも、出産にかかわってお金が払えない、全額じゃなくても一部払えない、あるいは全額払えないというのは恐らく六千件以上、病院の未収
状態
があって、集計十七億円となっております。 実は、これは
厚労省
にもお尋ねしましたが、そのうち、では、今度の施策をしたら、健康保険から払われて、それで病院の未収金が減るのかというと、データもないし、残念ながら調べてもおられないわけです。
大臣
は今私の質問に先んじて御答弁いただきましたが、その次のページには、助産施設における入所者数推移というグラフがあります。 私がこの間、助産師さんのことばかり取り上げているので、これは助産師さんが取り上げる分娩と思われるかもしれませんが、実は助産施設というのはそうではなくて、児童福祉法にのっとって、戦後まだ
日本
が貧しかったころに、お産のチケットが出るんですよ、お産券。こういうチケットを持ってお産をされる方、
一つ
は
生活保護
。でも、
生活保護
の方だけじゃないんですね。無保険、あるいは保険は資格証明書かもしれません、入っておられても、所得税にして八千円ちょっと以下くらいの方にはこのチケットが出るのですが、この数がまた、
平成
十八年度では六千五百五十一人。 これは、どんどん
貧困
化が進んでおりますから、ふえていて、逆に昨年はちょっと減っているんですね。これが非常に私は深刻だと思うんです。逆に言えば、このお産チケットのことを、例えば
生活保護
の場合は大体手続がわかりますから、もっとお産をしようという、そして健康保険も持っていないという方に
理解
して周知していただければ、せめて産むところだけが保障されると思うんです。ところが、これも御存じない。 そしてもう
一つ
、
大臣
、ここでぜひお願いがあるんですけれども、このお産チケットを持ってこられて病院で分娩されますと、大体病院にとっては、収入、平均二十万円くらいが手に入ります。ですけれども、お産の実勢価格は、
大臣
がこのたび四十二万円に引き上げてくださったように、この二倍くらい、実勢価格。こうしたことを良心的に引き受けているところほど経済的に負担になってくるのです。このお産チケットのいわば措置費、ここの
見直し
もぜひ
検討
していただきたい。とにかく生まれるということを私は保障していただきたいので、
大臣
、いかがですか。
舛添要一
344
○舛添
国務大臣
少子化が進んでいるところで、この少子化
対策
の大きな柱はまさに産んでいただくということですから、この
制度
をさらに周知徹底させる。 それで、今の四ページ目の、この
委員
の
資料
にございますように、やはりこれは、減っているのは助産施設自身が減っている。それはやはり産科医の不足ということもあるので、医師不足の対応をもきちんとやっていきたいと思っております。
阿部知子
345
○阿部(知)
委員
産科医の不足とともに、経営的な問題もあるんです。さっき言った、実勢価格の半値でやらねばならない。しかし、みんな頑張っているんです。頑張っているところを支えていただいてこそ
政治
ですから、確かに医師不足もございますけれども、これはいい
制度
ですから、
大臣
の力でもっと充実させていただければと思います。 与謝野
大臣
もおられますので、きょうは私は最後に、産科医療補償
制度
。これは実は私がこの
委員会
で取り上げさせていただくのはもう三度目になって、何度もしつこいなと思われているかもしれませんが、私は、この
制度
が本当に充実してほしいので、そういう観点から幾つか伺います。 まず、舛添
大臣
には、
資料
の五ページ目、ここには男性のお医者様と、それから赤ちゃんを身ごもられた若いお母さんの写真が並んでおります。これは厚生労働省が女性週刊誌にお出しになった広告で、「産科医療補償
制度
がはじまります。」というふうに銘打ってあります。この文章を見る限り、「妊婦の皆様が安心して産科医療を受けられるように、分娩
機関
が加入する」「この
制度
に加入している分娩
機関
でお産すると、万一の時に補償の対象となります。」と書いてあるんですね。これだけを読むと、
大臣
、あたかもお産される御本人の万一、すなわち、お産は命がけなんですよ、そういうときも補償の対象になると思いたいし、思えてしまいます。 そして、
大臣
、この
制度
について、昨年の暮れの段階で百七十八人の妊産婦さんにアンケートをとりました。一体どのくらいの方が、例えばお産で一時金が三十八万円に三万円ふえる、それは、自分に来るんじゃなくて、そのまま素通りして補償
制度
に使われちゃうということをどのくらいの方が知っていたと思われるでしょうか。お母さん
たち
にはどう周知されているでしょうか。
大臣
、お願いします。
舛添要一
346
○舛添
国務大臣
今細かいアンケートのデータはありませんけれども、やはり新しい
制度
をやるというときに、我々はもっとこれは周知徹底する。この広告もそのためであるわけですけれども、福島県立大野病院のああいう例もありましたので、とにかく訴訟リスクがあることが産科医になるのが嫌だということの大きな理由であったものですから、こういう
制度
を、とにかく小さく産んで大きく育てたいということでまず一歩を踏ませていただきました。いろいろな御批判もあると思いますので、それから、まだ周知徹底も足りないと思いますが、今後
努力
をして、皆さん方が安心できるいい
制度
に育てていきたいと思っております。
阿部知子
347
○阿部(知)
委員
まず、この
制度
自身を知っていると答えた方は、既におなかに赤ちゃんがおられるお母さんでも半数です。それから、脳性麻痺の子供に対してのみのものであるというのを知っておられた方が三分の一です。 知らないで、でも、一時金は自分の
手元
に残らずに、そのままこの保険
制度
に行くわけです。普通であれば、私はあり得ないと思います。そこが、本当に小さく産んで大きくなるのかどうかです。お医者様の側を守ることも大事ですけれども、私は、当事者であるお母さん
たち
に正しいメッセージがきちんと伝わらなければ、産んだって育ちません。むしろ、疑義ばかりが膨れていくのではないかと思います。 その部分について、きょうはもう
一つ
お願いいたします。その次のページ、産科医療補償
制度
と車の自賠責保険というのを比較させていただきました。 自賠責保険も、車が人身事故等々を起こした場合に何の保障もなければ困りますから、これは自賠責法という法律に基づいて強制的に加入しているわけです。 同時に、それだけの強制力を持つだけあって、きちんと根拠法があり、その保険料の算定は損害保険料率算出機構というところがこれを行い、そしてもう
一つ
、保険料をこれくらいに定めますよということを今度は審議会にかけてその妥当性を問う。いわば二重、三重の仕掛けがここにはきちんと組まれておるのであります。 私は、あえて言えば、保険という商品はそれくらいにしておかないと。だって、これはお母さんは御存じなくて自分の保険料をお払いだと。何のためかもわからない、自分に来るかと思ったら来ない、保険料はどこで算定しているやらもグレーゾーンだと。実は、保険料の算定は
日本
医療機能評価機構というところがやっておられますが、ここには、
大臣
も御
承知おき
のように、天下り、わたりの問題も指摘されているのであります。 私は、この
制度
を本当に大きく育てたければ、まず法律をつくることだと。無過失補償に
拡大
していくためにも、きちんと根拠法をつくる。そして、保険料がオープンに見えて、算定根拠も見えて、納得していただけるようにしないと、三万円は高いですよ、いかに何でも。 与謝野
大臣
、これまで私はお二方の金融
大臣
並びに副
大臣
にお伺いして、もうこの法律自身は金融庁がお認めですから、今さら否やで
大臣
のお立場で何か違うコメントができるわけではないということは
承知
しながら、しかし、こうしたものが保険商品としてある意味で強制力を持って存在し、しかしこれは、さっき舛添さんがおっしゃったように、小さく産んでも大きく育てていかなきゃいけないために、透明性の担保とか、あるいはもっと金融庁がきちんとこれを見ていただけるような何らかのスタンスが必要だと私は思うんです。今までだと、伺っても、厚生労働省がやっていて、
厚労省
は医療機能評価機構に丸投げして、そこに天下りしてと。本当にこれでは国民は納得できないんですよ。
大臣
、いかがですか。
与謝野馨
348
○与謝野
国務大臣
三年ぐらい前のある日、猪口邦子さんが来られて、少子化
対策
をやりたいんだけれども何かアイデアはないかというので、私は、自賠責保険と原子力保険、この保険のあり方について御説明をして、産婦人科に対してそういう保険はつくれないのか、そういう研究をされたらいかがですかということをお勧め申し上げました。 そのとき私の頭にあったのは、やはり法律に基づいた強制加入の保険が必要だということを前提にお話ししていて、これは保険料は、お医者様それから子供を産むお母様、両方が負担して、そして一定の保険
制度
をつくる。 それで、原子力損害賠償責任法という法律は、保険でカバーする分野と、それから、保険でカバーできない分は補償契約というので国が補償する、そういう二段構えになっているので、そういう二段構えの法律をつくったらいかがですかということをお勧めしたんですけれども、でき上がったのは、それなりにいい保険のやり方ですけれども、まだまだ十分完成度を高めていく余地があると思いますし、先生御指摘になられましたように、いつだかの質問で、百万人掛ける三万円は三百億だ、そういうお金の使い道というのはきちんと見ていく必要がある。これは料率の面からも使い道の面からも両方ですけれども、そういうことをきちんと心にとめてこの保険を見ていきたいと思っております。
阿部知子
349
○阿部(知)
委員
せっかく与謝野
大臣
がおっしゃってくださったので、実は、三百億のうち約五十二億は、この保険を
維持
するための管理費に使われてしまうわけです。これを保険料の流用と言われても、私は指摘は当たっていると思います。その部分は、例えば国が出すならまだ違いますけれども。そのうち約四十億ちょっとが民間損保
会社
、
日本
医療機能評価機構が十一億を使うわけです。舛添
大臣
、保険料はこういうふうに使っていいんでしょうか。健康保険料です。 それから、もう
一つ
問題があります。実は、脳性麻痺だけじゃなくて、お産のときにはいろいろな障害が、知的障害も生まれるかもしれない、あるいは、お産のとき感染してなるかもしれない。そういうのを全部これは排除なんです。対象じゃないんです。お母さんの中にも子供の中にも分断を生みます。 本当に大きく育てたかったら、私は、きょうは時間ですからまた厚生労働
委員会
でお聞きしますが、
大臣
には本当にしっかりとこのグレーな部分を透明化して、定着するようにお願いしたいと思います。 ありがとうございます。
衛藤征士郎
350
○
衛藤委員長
これにて阿部知子君の
質疑
は終了いたしました。 次回は、明二十五日午前九時から
委員会
を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時一分散会