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坂口委員 これは皆さんによく相談をしていただかなければならない問題でございますし、全体としても一応十名ということになっておりますから、十名というその数が決まっているのかどうかはよくわかりません。十一名にしてもいいのならば、そんなに
考えずに、十一名にして一人ふやします、こう言っていただければよろしいわけでありますから、ぜひそこはひとつ御検討をいただきたいというふうに思います。
さて、
内需を拡大していきますためには、消費者の心理それから消費者の心を大切にすると同時に、所得格差のない社会というものをやはりつくっていかなければなりません。中間所得層の拡大と申しますか、そうしたことが消費を拡大していくというためにも大変大事なことではないかというふうに思っております。
所得格差の尺度として、ジニ係数というのがございますね。大変難しい
言葉で、テレビをごらんになる皆さん方、おわかりにくい方もあろうかと思いますけれ
ども、所得、資産の不公平度というんですかね、公平度と言ってもいいと思うんですが、それをはかる尺度でありまして、イタリアのジニさんというのが考案されましたのでジニ係数というふうに言われております。ゼロから一までの間で、一に近いほど格差が大きい、ゼロに近いほど格差が小さい、こういう数字でございます。
ひとつこの表をごらんいただきたいというふうに思いますが、これは、OECDで出されましたものを、
日本総合研究所の太田清さんという方が論文でさらにそれを詳細に検討されたものをお借りいたしました。
この表をごらんいただきますと、十四カ国、十四カ国といいますと、オーストラリア、カナダ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、
日本、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スウェーデン、イギリス、アメリカ、この十四カ国でございますが、この中でジニ係数を見ますと、十四カ国中十一位。市場所得ということになっておりますが、市場所得、総所得というんでしょうかね、税やあるいは保険料を引かれる前の所得だと思いますが、それで見ますと、全年齢で見ますと十四カ国中十一位でありますから、格差が大きい方から数えて順番に来て十一位というのは、格差が非常に少ない国ということになるわけです。
ただし、この数字は二〇〇二年ぐらいの数字でありまして、この論文が出ましたのが二〇〇六年の十二月でございまして、二〇〇二年でございますから若干の異動はあるというふうに思いますが、大きな筋道としては違っていないというふうに思います。
それが可処分所得になりますと、十四カ国中五番に上がってくるわけであります。税あるいは保険料を引きました後の所得で見ますと、十四カ国中五番目の高さになってくる。どちらかといえば、この十四カ国でいえば格差がある方の部類に上がってくるということであります。
それからもう
一つ、格差を見ますときに、貧困率がございます。相対的貧困率という、これも難しい
言葉でありますが、絶対的貧困率に対して相対的貧困率。すなわち、真ん中の数字、中央値、高等学校で勉強したことがございますが、中央値を出しまして、そこからその未満の、下が何%あるかということを見たものでありますから、この貧困率の高かったその人たちが皆、その日その日食べられないというほどのことを言っているわけではないというふうに思います。
これで見ますと、この
最初の所得で見ますと十四カ国中九番目でありまして、これも下の方でございますが、これが可処分所得で見ますと二番目に上がってくるんですね。アメリカに次いで二番目に貧困率が高いということになってくる。これは、なぜこんなことになるのかな、私は実はそう思ったわけでありまして、これはひとつ
財務大臣にお聞きせなわからぬなと、そのときに思ったような次第でございます。
もう一枚、ちょっと、きょうごらんをいただきたいというふうに思います。
これも同じOECD十四カ国の平均を出した、同じ太田さんの論文の中から拝借をいたしまして、その一部を出してございますが、これを見ますと、いわゆる賃金に対する税率及び社会保険料というものを出しまして、そして、平均賃金、真ん中のところで見ていただきますと、
日本は両方合わせますと一九・三、それから十四カ国の平均は二八・一でありまして、税と社会保険料双方合わせますと、
日本の方が低い、十四カ国平均の方が高い、こういうことでございます。
下は、税率と社会保険料を別々に書いてございますが、
日本は税率におきましては五・六と非常に低くて、十四カ国平均では一八・七になっております。社会保険料を見ますと、今度は
日本の方が一三・六で高くて、十四カ国平均は九・四ということになっております。
トータルで見ると一九・三と二八・一で、十四カ国平均の方が高くて
日本の方が低い、少ない、こういうことでありますから、税が少ないのになぜ
日本の、それを引くと貧困率が高くなっていくのか、あるいは格差が大きくなっていくのか、いささか私は、この論文を一番
最初拝見しましたときに、あれ、なぜこんなことになるのかな、こう思った次第であります。
ここをもうちょっとよくごらんいただきますと、その両側に、平均賃金の三分の二とそれから三分の五と両方書いてございますが、三分の二ですから平均賃金の人の三割減、七〇%ぐらいでございましょうか、それから三分の五ですから一七〇%ぐらい、七割増。だから、三割減のところと七割増のところ、平均値とそれよりも少ないところ、それよりも多いところというふうに分けて出してある。これはOECDがこういうふうに出しているわけでありますが、これを見てみますと、
日本の税率と社会保険料両方合わせてみましたものは、低い方から一八・三、平均が一九・三、そして高い方が二二・一、こうなるわけであります。十四カ国平均は二四・三、二八・一、三三・八、こうなっております。
結局のところ、保険料率は、
日本と十四カ国とではそれぞれ差はありますけれ
ども、賃金の格差による差は両方
とも余りないわけでありますが、税率のところは、十四カ国平均で見ますと、低い方が一四・九、真ん中が一八・七、高い方が二五・五というふうに、格差は大きいわけですね。
それで、トータルで見ますと、全体として
日本は、一八・三、一九・三、二二・一というふうに、どちらかといえば、格差はついてはいますけれ
ども、なだらかなわけですが、十四カ国平均の方が二四・三、二八・一、三三・八というふうになっておりまして、どちらかといえば格差がこちらの方が大きいということが、ちょっと済みません、初めの方にもう一度移らせていただきますが、今のそのことがこの順位に関係をしていく。ジニ係数で見ますと、十一番、十二番というようなところにありましたものが可処分所得で五番目に上がってくる、それから貧困率で見ますと、九番目でありましたものが二番目に上がってくるということになりますのは、所得の額に対する税率の関係が
影響してこうなってきているということを物語っているということであります。
総理も経団連なんかに行かれまして、所得が上がるようにひとつぜひ
お願いしたいということを申し入れされたことがありますし、我々も経営者の皆さん方にお会いをしますと、ぜひひとつ働く皆さん方の所得が上がるようにしてくださいよ、あるいは所得格差がないように
お願いをしたいというようなことを申し上げているわけですが、税や保険料を引く前の数字、すなわち経営者の皆さん方が出していただいた賃金で比較をしたものと、そこから税金を引いた後で比較をしたものとを見ると、税金を引いた後の方が格差が大きくなっているということであります。
我々は経営者の皆さん方に、ひとつできるだけ格差のないようにということを
お願いしておりますけれ
ども、しかし、
お願いをしておる側の我々が国会でやっております税率や保険料率というものの方が格差を拡大しているということであれば、我々としても、これは少し
考え直さなきゃならないのではないか、こう私は思った次第であります。
今、消費税の話も出ております。将来の社会保障費を賄いますために消費税が重要な役割を果たすことは私も十分に存じ上げているつもりでございますが、その消費税の前に、もう一遍所得税なり住民税なり法人税なりの見直しを行うことの方が先ではないか、私はこの方の論文を見ながらそう実は思った次第でありまして、そういう意味で、ひとつ
財務大臣並びに
総理大臣の御所見をお伺いしたい、こういうことでございます。