○神風英男君
民主党の神風英男です。
私は、
民主党・
無所属クラブを代表して、ただいま
議題となりました
防衛省設置法等の一部を改正する
法律案について質問いたします。(
拍手)
まず冒頭、今般の北朝鮮によるミサイル発射事案について伺います。
今回の発射誤報について、浜田
大臣はヒューマンエラーと結論づけておられますが、果たしてヒューマンエラーだけの問題であったのでしょうか。
検証
報告によると、航空総隊司令部で、部隊から、スパークインフォメーション、飯岡探知との連絡を受けながらも、そのスパークインフォメーションをSEW入感と取り違えて、飯岡探知、SEW入感と中央指揮所に連絡し、その結果、発射アナウンスになったとの
報告であります。
確かに、この点については、ヒューマンエラーであると確認できます。しかしながら、この種の対応については、用語の使い方、伝達の方法、確認チェックの手順等について厳密なマニュアルがあってしかるべきと考えますが、
報告を聞く限りでは、そのマニュアルが
機能しているようには思えません。
また、当然ながら、中央指揮所自体におけるSEWの確認チェックもマニュアル化されていると想像しますが、なぜその確認作業さえもなされなかったのでしょうか。
つまり、誤報の原因は、そもそもマニュアルが存在していなかったことによるものか、またはマニュアルに不備があったのか、あるいはマニュアルは
整備されていてもそのマニュアルを無視して行動したことに原因があるのか、防衛
大臣の明確な答弁を求めます。
さらに、五日には、前日の失敗から、折木良一統合幕僚長が中央指揮所で陣頭指揮に当たり、首相官邸に発射を伝えるよう指示したそうですが、危機
管理への対応としてシステム化されているはずの指揮命令系統が、なぜ四日と五日で異なっているのでしょうか。四日と五日の指揮命令系統の相違点、また、そうなった
理由について、防衛
大臣に伺います。
また、そうした背景には、危機
管理能力をアピールしたい首相官邸が、とにかくできる限り早く
情報を出せと防衛省に強いプレッシャーをかけたということを複数の
関係者から聞いておりますが、その事実
関係について、官房長官、防衛
大臣に伺います。
次に、北朝鮮は、おおよそのミサイル発射時間帯について、事前にアメリカ、中国、ロシアに通告し、さらには、米国を通じて韓国にもこの
情報が伝えられていたと報道されています。では、日本に対してアメリカからの
情報提供はあったのでしょうか。
この点について、防衛省は、アメリカ経由等の
情報も含めて、
情報提供はないと明確に否定しております。しかし、その一方、外務省及び官房長官は、明確な回答を避け、日米間の緊密な
情報交換はやっているとの発言に終始しております。
この点について、それぞれの正確な事実
関係について、外務
大臣、官房長官、防衛
大臣に伺います。
また、仮に外務省がアメリカからの
情報を入手していたとすれば、なぜ防衛省にはその
情報が伝達されなかったのか、外務
大臣に明確な答弁を求めます。
さらに、韓国では、このアメリカからの
情報提供によって、五日午前十一時二十分というミサイル発射前の時点で既に国家安全保障
会議、NSCが招集されたということですが、仮に日本にもアメリカからの
情報提供があったとするならば、なぜ首相の官邸入りが発射後の十一時三十六分になったのか、官房長官に伺います。
結局のところ、このアメリカからの
情報提供が日本にはなかったとすれば、四日の日本の誤報騒動の失態を見てアメリカが日本への
情報提供を控えたとも想像できるわけであり、日本の危機
管理能力の低さを世界に露呈する結果となってしまったわけですが、その点についてのそれぞれの
立場からの見解を、外務
大臣、官房長官、防衛
大臣に伺います。
さて、本題に入ります。
本改正案は、もともと昨年の通常
国会に提出され、本院で
可決された後、参議院に送付されたものの、与党が
審議に応じなかった等、参議院側の事情により、未了、廃案となった
内容を含んでおります。
その中には、陸上自衛隊の学校の生徒身分の新設や、自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数の変更といった予算に関連する改正もありましたが、昨年の改正案が廃案となったことによる予算変更等の影響があったのかどうか、防衛
大臣に伺います。
また、本改正案の最大の眼目は、防衛省改革のための
組織改革にありますが、近年、防衛省・自衛隊では、さまざまな不祥事が頻発しております。
防衛施設庁による官製談合事案や、前次官による防衛装備品調達をめぐる汚職事件。また、航空幕僚長という要職にある者が、
政府見解と明らかに異なる私見に基づく論文を公表し、更迭される事案も発生しました。
特に、補給艦「ときわ」の給油量取り違え事案を初め、補給艦「とわだ」の航泊日誌誤破棄事案やイージス艦機密
情報の持ち出し、護衛艦「しらね」の火災事案、さらにはイージス艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故等々、海上自衛隊の不祥事や事故が目立ちます。
海上自衛隊は、昨今、通常の
任務に加えて、補給新法によるインド洋での補給活動や、海賊対策のための海上警備行動によるソマリア沖・アデン湾での船舶護衛活動、さらには今回の北朝鮮ミサイル発射に対するイージス艦の展開など、さまざまな場面で多くの役割が求められています。
その一方で、護衛艦隊の
人員充足率の低下が現場で深刻な問題となっています。長期間航海に出て活動する職務が若者やその家族から敬遠され、海上自衛官のなり手が減っているとも聞きます。ましてや、不祥事や事故を頻発し、世論からの強い批判によって、隊員の士気低下や質の悪化、さらなる志望者の減少を招いているのではないでしょうか。
まずは、海上自衛隊の抜本的な立て直しが急務と考えます。海上自衛隊が抱える問題と、隊員の規律回復、士気向上につながる
組織の立て直しについて、防衛
大臣の見解を伺います。
防衛省のたび重なる不祥事を受けて、官邸に防衛省改革
会議が
設置され、昨年七月に
報告書が取りまとめられました。この
報告書を受けて、防衛省では、改革本部を
設置し、今回の
法改正に係る
事項や、
組織改革の
基本方針等が決定されたものと承知しております。
特に、昨年末に公表された「防衛省
組織改革に関する基本的考え方」では、これまで内局優位とされてきた体制を大きく変更する、いわゆる制服組の
権限拡大が盛り込まれました。本来、不祥事の再発防止が目的であったはずの防衛省改革が、大がかりな
組織改革に変質をしています。
背広組と制服組の対立構造は、これまでも指摘されたところであり、文官、自衛官相互の一体感の醸成と協働体制の確立は必要と考えますが、一連の不祥事の再発防止策として制服組の
立場強化が果たして適当であるのかどうか、シビリアンコントロールの観点から、
国会の場で十分に議論する必要があります。今後の
組織改革について、防衛省内における現在の検討状況を伺います。
防衛省改革の一環として、本改正案には、防衛参事官制度の廃止と、防衛
大臣補佐官の新設及び防衛
会議の新設が盛り込まれました。
防衛参事官制度の廃止は、防衛省改革を主導した石破元
大臣のかねてよりの持論だったと承知しておりますが、形骸化等の問題が指摘されていた参事官制度を廃止する
理由について、改めて
説明を求めます。
また、新設される防衛
会議や防衛
大臣補佐官の位置づけや役割も不明確です。
防衛
会議は、防衛省の
所掌事務に関する基本的方針について
審議する
機関とされていますが、防衛
会議では、
大臣に対して各
委員が
意見を述べるだけなのか、それとも、何らかの取りまとめ等を行い、その
内容を基本的方針とするのでしょうか。どのような目的で
会議を開催するのかがあいまいであり、このままでは形骸化するおそれもあります。
また、これまで防衛省内でこのような各局各幕の責任者による
会議は開かれてこなかったのでしょうか。
以上、防衛
大臣に伺います。
さらに、防衛
大臣補佐官についても、政治任用により、防衛省の
所掌事務に関する重要
事項に関し、
大臣に進言等を行うとされていますが、まず、何のために
大臣補佐官を置くのでしょうか。
所掌事務に関する重要
事項とは、具体的にはどのようなものか。政治任用によってどのような人材が任命されることを想定、期待しているのか。また、職務を通じて知り得た秘密が漏れる可能性はないのかという懸念もあります。
このように、新たな
機関の
設置には多くの疑問や問題点がありますが、浜田
大臣は、現在の
大臣補佐体制にどのようなふぐあいがあるとお考えでしょうか。その上で、
組織改革の必要性について、浜田
大臣御自身の見解をお伺いします。
冷戦時代と冷戦後、さらには北朝鮮を含む東アジア全域における日本を取り巻く脅威の質は、相当程度変化をしています。しかしながら、この三十年間、陸海空三自衛隊の予算額の推移、あるいは陸海空の現員数は、余り大きな変化をしていないように見受けられます。
今般の北朝鮮ミサイルの脅威を初め日本に対する脅威の変化に、自衛隊の体制そのものが対応し切れていないのではないかという危惧を持ちますが、防衛
大臣の見解を伺います。
今から六十八年前、日本が航空機によって米戦艦を沈めた真珠湾攻撃は、実は、それまで世界の海戦思想を三百五十年にわたって支配した、大艦巨砲主義というそれまでの常識を転換させた画期的な出来事でありました。
しかしながら、その後の大きな疑問は、おくれをとった米国の方が思想を転換し海戦の構造改革を遂げたのに対して、なぜ日本はいつまでも戦艦大和に寄りかかる戦略を転換できなかったのかということです。
その疑問に対して、元航空参謀で真珠湾攻撃にも参加し、戦後は参議院
議員を務めた源田実氏は、次のように答えています。長年苦労をさせてきた水兵たちに対して、もう君らの時代は終わった、これからは飛行機乗りの時代だとは言えなかった。
悲しいほどに単純な答えですが、この改革を阻む病弊の本質は、今でも日本
社会の至るところに横たわっています。
そうした病弊に冒され、もはや時代的役割を終えた自民党にかわって、今後、
民主党が新しいシステムへと転換していくことをお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(
拍手)
〔国務
大臣浜田靖一君
登壇〕