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国務大臣(鳩山邦夫君) 塩川
議員からの第一問は、地方の疲弊について
お尋ねでありました。
先ほど原口
議員から再
質問を受けました三位一体の
改革についてでございますが、失敗の部分があると申し上げましたが、私は、三位一体すべてを否定しているわけではありませんで、例えば、四兆七千億円の補助金を切ったが、三兆円税源移譲はされた、これは、国税が
地方税に税源が移譲されるなどということは当初はなかなか
考えがたいことであったから、そういった意味では、地方
財政改革の第一歩であるというような評価はいたしております。
ただ、これは、郵政民営化も似ているところがありますが、いい部分が大きければ、また影の部分も強くなる場合があって、光と影の関係というのはあるわけで、結局、地方の税収入という意味で非常に苦しくなった面があるということを申し上げた次第でございます。
三位一体
改革や累次の基本方針に基づく地方
歳出の抑制は、国、地方通じて極めて厳しい
財政状況である中で、
財政健全化を進める上でやむを得なかった面があると思っております。
また、三位一体
改革は、補助金
改革や三兆円の税源移譲などを
実現し、地方の自主性、主体性を高める、また、国、地方を通じた
財政健全化を進めるということでも貢献はしたと思います。
地方税財政改革の第一歩であったのは間違いありません。
しかしながら、
地方交付税の
削減が結果として急激に行われたことがあって、
財政力の弱い地方公共団体等には非常に厳しい影響があったわけでございまして、このため、
平成二十一年度においては、既定の経費とは別枠で
地方交付税を一兆円増額したということでございます。
基本方針二〇〇六についての
お尋ねがありました。
我が国は、いわゆる国、地方を通じた債務残高八百兆円、こういうふうに言われているわけでございまして、これを将来
世代にすべて先送りするというのは決してやってはならないことでございますから、
財政健全化とか行政の
改革、効率化というのは、いつの時代でもやっていかなければならない、避けて通れない
課題だと思っております。
税収の回復なくして
財政の再建は困難であることも踏まえて、当面は
景気対策に力点を置きつつ、
中期的には
財政健全化を進めるということで、国と地方と歩調を合わせて、
歳出改革の
取り組みを引き続き進めてまいります。
市町村合併についての
考え方と方針でございますが、現行の合併新法は自主的な市町村の合併の推進を目的とするものであって、合併新法の期限である
平成二十二年三月末も見据え、地域の将来について十分議論し、納得の上、合併に取り組んでいくことが必要だと
考えております。これからも、自発的に規模の利益を求めて合併をしようということは大いに結構だと思っております。
そして、今後の市町村合併を含めた
基礎自治体のあり方について、第二十九次地方
制度調査会に今
審議いただいているところでございます。
私がいろいろなところで講演をしたり申し上げておりますのは、無理な合併はすべきではない、合併は強制させるものではない、それぞれの地域に根づく文明、文化をかえって消し去るような無理な合併は望ましくないということを申し上げているわけでございます。
地域
雇用創出推進費でございますが、これが暫定
措置ではないかということですが、今のところ二年間の暫定ではございます。
これは、既定の加算とは別枠で
地方交付税を一兆円増額したときに、その半分を特別枠、地域
雇用創出推進費としたわけでございまして、地域
雇用創出推進費については、
生活防衛のための
緊急対策に基づいて、臨時的、
特例的な
対応として、
財政投融資特別会計の
金利変動準備金を活用して、
平成二十二年度までの二年間の
措置といたしております。
先ほど申し上げましたように、五千億の内訳は、都道府県に二千五百、市町村に二千五百。都道府県においては、有効求人倍率の低いところに
優先的に振り向ける。市町村については、有効求人倍率という統計がございませんので、一次
産業比率の高いところに多く行くように工夫をいたしております。
それから、
財源不足の補てんは交付税率の引き上げで
対応すべきではないかと。
塩川
議員御
指摘の
地方交付税法第六条の三第二項というのは、要するに、地方の収入が非常に下がってしまう、
地方交付税の額が不足していく場合には、地方行
財政制度の改正や
地方交付税の法定率の引き上げを行うことが必要だという条文でございまして、現在は確かに、十数年連続で
地方交付税の額が不足しているわけでございます。
国も大量の国債
発行をする厳しい
財政状況にあることなどを考慮しますと、先ほどもありました法定の算定率を直ちに引き上げることは、現実的には困難でございます。したがって、
地方交付税の
特例的な加算や臨財債の
発行で
財源不足を補てんしているわけではありますが、
中期プログラムとの関係も含めて、私は、そろそろ
地方交付税の算定率についても、与野党を問わず、御議論を始めていただいてもいい時期ではないか、そう
考えております。
直轄
事業負担金の
見直しについての
お尋ねですが、これは、直轄
事業が地域に及ぼす便益に見合って地元公共団体にも応分の
負担を求めている、三分の一とか三割、こういう
負担を求めているわけでございまして、国と地方の役割分担の問題と直結をしてまいります。補助金、交付税、税源配分の
見直しということとの一体的な
検討を進めております。
現在、地方分権
改革推進委員会の方から勧告が出て、国と地方の役割の分担、あるいは、国の出先機関、義務づけ、枠づけの抜本的な
見直しというテーマで議論をして、工程表もつくっていくわけでございますので、その点との絡みにおいて
考えていかなければならない問題と存じます。
公立病院については、安定的に必要な医療を供給するために、
平成十九年末に提示したガイドラインに沿って、各地方公共団体において公立病院の
改革に取り組んでいただく必要があるものと
考えております。したがって、公立病院に関する
地方交付税の
措置は、二十年度は二千九百三十億ですが、七百億円増額をして、これを公立病院に充てることといたしたわけでございます。
やはり、公立病院の場合は、不採算だからすぐやめてしまうというわけにいかない。非常につらいことがあります。ですから、もちろん、医師不足の問題とか診療報酬の問題とか、これはすべて解決をしなければなりませんが、公立病院については、できるだけ地方
財政の面で面倒を見る必要があると
考えておりまして、例えば、病床当たりの単価につきましても二割程度の増額を図っているところでございます。
企業立地についての国の
責任でございますが、企業立地の問題については、地域経済を
活性化し、地域の
雇用を
創出するために、地方公共団体が企業誘致に努めていくことは当然だろうというふうに思います。そのような
取り組みに対して地方
財政措置を講じてまいりました。現在は、
雇用情勢の急激な悪化に伴って、
雇用創出のために多くの
施策を
実施しなければならないわけでございます。
地方
財政に関しては、過去
最大の四千億円の基金を設置する。これは都道府県に設置をします。既定の加算とは別枠で五千億の地域
雇用創出推進費も出します。そういうことで、地域の
雇用の
創出に向けて積極的に取り組んでいきたいと
考えております。
就学援助の問題。
準要保護児童生徒に係る就学援助については、地方の事務として定着しておりますが、
平成十七年度に従前の国庫補助金を一般
財源化し、現在は、準要保護児童生徒の就学援助は
地方交付税措置を講じているところでございます。
これらの地方公共団体において円滑な
事業の
実施が図られるように、文部科学省とも協議しながら必要な地方
財政措置を講じてまいりたい、この点でもなるべく優しく援助すべきだと
考えております。
定住外国人
対策についてでございますが、定住外国人の
対策は普通交付税により
措置しておりまして、これに加えて、外国人の増加が著しい市町村を
対象に、
日本語理解講座開設や外国人相談窓口設置等に要する経費は特別交付税で
措置していこうと思っております。
平成二十一年度からは、昨今の
雇用情勢を踏まえ、一月三十日に内閣府において取りまとめられた「定住外国人
支援に関する当面の
対策について」の一環として、経済上の問題により外国人学校での就学が困難となった外国人子弟に対する
支援、これは授業料軽減等ですが、そうしたことを
実施する地方公共団体も特別交付税で面倒を見てまいります。
郵政民営化でございますが、これは、簡易郵便局の一時閉鎖とか、いろいろな影の部分については御
指摘をいただいているところでございます。
私といたしましては、郵政民営化委員会の最初の意見がこの三月末に出るわけでございまして、それを踏まえながら、影の部分でどういうところを改善すればいいか一生懸命
考えてまいります。先ほども申し上げましたように、国営に戻すということは全くあり得ないことでございますが、民営化の影の部分を見直すという意味では、聖域なくやっていくべきだと
考えております。(
拍手)
〔
国務大臣舛添要一君
登壇〕