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2009-01-28 第171回国会 衆議院 本会議 第6号
公式Web版
会議録情報
0
平成
二十一年一月二十八日(水曜日)
—————————————
議事日程
第四号
平成
二十一年一月二十八日 午後一時
開議
一
国務大臣
の
演説
—————————————
○本日の
会議
に付した案件
麻生内閣総理大臣
の
施政方針
に関する
演説
中曽根外務大臣
の
外交
に関する
演説
中川財務大臣
の
財政
に関する
演説
与謝野国務大臣
の
経済
に関する
演説
午後一時三分
開議
河野洋平
1
○
議長
(
河野洋平
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
国務大臣
の
演説
河野洋平
2
○
議長
(
河野洋平
君)
内閣総理大臣
から
施政方針
に関する
演説
、
外務大臣
から
外交
に関する
演説
、
財務大臣
から
財政
に関する
演説
、
与謝野国務大臣
から
経済
に関する
演説
のため、発言を求められております。順次これを許します。
内閣総理大臣麻生太郎
君。 〔
内閣総理大臣麻生太郎
君
登壇
〕
麻生太郎
3
○
内閣総理大臣
(
麻生太郎
君) ことしは
平成
二十一年、天皇陛下が御即位されて満二十年になりました。
国民
の
皆様
とともにお祝いを申し上げたいと存じます。(
拍手
)
世界
は今、新しい
時代
に入ろうとしております。その際に、
日本
が果たすべきは、新しい
秩序づくり
への
貢献
です。同時に、
日本自身
もまた、
時代
の
変化
を乗り越えなければなりません。目指すべきは、
安心
と
活力
ある
社会
です。 新しい
世界
をつくるためにどのように
貢献
すべきか、新しい
日本
をつくるために何をなすべきか、私の
考え
をお話しさせていただきたいと存じます。 今回の
世界
的な
金融危機
は、百年に一度のものと言われております。しかし、
危機
はチャンスでもあります。
危機
が
混乱
をもたらすのか、それとも新しい
時代
を開くのか、それは私
たち
の
対応
にかかっております。 一九二九年の大恐慌の教訓を忘れてはなりません。
世界各国
は、自国の
利益
を優先し、
保護主義
に走りました。それは、
世界経済
を収縮させ、第二次
世界大戦
にもつながっていきました。 戦後、
各国
は、その反省に立ち、
協力
し合う
関係
を築きました。そして、
世界経済
は半
世紀
にわたり
成長
を続けました。しかし、今回の
金融危機
は、
経済
が予想を超えてはるかにグローバル化したとき、これまでの仕組みでは限界があることを示しております。 私は、昨年十一月のワシントンでの
金融サミット
で、
我が国
の過去の
金融危機
とそれを克服した
経験
を
各国首脳
に説明をしました。また、
国際通貨基金
の
機能強化
と、
最大
一千億ドルの融資による
日本
の
貢献策
を表明しました。あわせて、次のことも提唱いたしております。
一つ
は、
金融市場
の監督と
規制
に関する国際的な
協調性
の
必要性
です。もう
一つ
は、
保護主義
に陥ることなく、
世界
の貿易と
経済
を拡大することの
必要性
であります。 これらは、
各国
の賛同を得て進みつつあります。
世界
第二位の
経済規模
を持つ
日本
は、
世界経済
の新しい
ルールづくり
に積極的に
貢献
しなければなりません。もちろん、
経済
だけではありません。
東西冷戦
が終わって二十年、
国際社会
の平和と安定に向け、新しい
秩序づくり
にも参画しなければなりません。 同時に、
日本
もまた、この国の形を変える節目にあります。 私
たち
は、この二
世紀
の間に、二度の
危機的状況
を
経験
しました。そして、その都度、みずからの
生き方
を
転換
し、かつ驚異的な
成功
をおさめたのが
日本
の歴史です。 一度目は、開国と明治維新です。鎖国で取り残された
我が国
は、
殖産興業
にかじを切りました。そして、急速な
工業化
を達成し、非
西欧諸国
として唯一、列強の仲間入りをしました。 二度目は、敗戦と戦後
改革
であります。焼け野原になった
我が国
は、
軍国主義
を捨て、
経済重視
に
転換
をしました。そして、
世界
第二の
経済大国
になるとともに、安全で平等な
社会
をつくりました。 今、三度目の
変革
が迫られております。急速な
少子高齢化
、新たな格差や不安、
資源
や
環境
の
制約
、そして
時代
にそぐわなくなった
社会
の
システム
、これらを乗り越えなければなりません。試練を乗り越えたときに、人は
成長
します。
混乱
を乗り越えたとき、
社会
が進化します。
危機
は、むしろ飛躍するための好機でもあります。 今回も、私
たち
がみずからの
生き方
を選び、この国の形をつくります。目指すべきは、
安心
と
活力
ある
社会
です。
世界
に類を見ない
高齢化
を
社会
全体で支え合う、
安心
できる
社会
、
世界
的な
課題
を
創意工夫
と
技術
で克服する、
活力
ある
社会
です。 そのために
政府
は何をなさなければならないのか、私
たち
はこの点についても既に多くのことを学んでおると思います。それは、官から民へといったスローガンや、大きな
政府
か小さな
政府
かといった
発想
だけではあるべき姿は見えないということであります。
政府
が大きくなり過ぎると、
社会
に
活力
がなくなりました。そこで、多くの
先進諸国
は、小さな
政府
を目指し、個人や
企業
が自由に
活動
することで
活力
を生み出しました。しかし、
市場
にゆだねればすべてがよくなるというものではありません。サブプライムローン問題と
世界不況
がその例であります。今、
政府
に求められる
役割
の
一つ
は、公平で透明な
ルール
をつくること、そして
経済発展
を誘導することです。 もう
一つ
の
政府
の
役割
は、みんなが参加できる
社会
をつくること、そして
安心
な
社会
を
実現
することです。
日本
は、勤勉を
価値
とする国です。この美徳が今日の
繁栄
を築きました。それを続けるためにも、
高齢者
、
障害者
や女性も働きやすい
社会
、
努力
が報われる
社会
をつくることが重要であります。また、
競争
に取り残された人を支えること、再び挑戦できるようにすることが重要です。 この点において、
我が国
はなお不十分であることを認めざるを得ません。
日本
の
行政
は、産業の
育成
には
成功
しました。これからは、
政府
の
重点
を
生活者
の
支援
へと移す必要があろうと存じます。
国民
の
安心
を
考え
た場合、
政府
は小さければよいというわけではありません。
社会
の
安全網
を、
信頼
に足る、安定したものにしなければなりません。中福祉を目指すならば、中
負担
が必要であります。私は、
景気回復
と
政府
の
改革
を進めた上で、
国民
に必要な
負担
を求めます。 現在の豊かで安全な
日本
は、私
たち
がつくったものです。
未来
の
日本
もまた、私
たち
がつくり上げていくものだと存じます。過去二回がそうであったように、
変革
には痛みが伴います。しかし、それを恐れていてはならないと存じます。暗いトンネルの先に明るい
未来
を示すこと、それが
政治
の
役割
です。よき伝統を守り
発展
させる、そのために
改革
する、それが私の目指す真の保守であります。(
拍手
) 私は、
世界
にあっては新しい
秩序づくり
への
貢献
を、
国内
にあっては
安心
と
活力
ある
社会
を目指します。 以下、当面する
課題
と
政府
の
取り組み
について述べさせていただきます。 第一の
課題
は、
活力
ある
社会づくり
です。 私は、当面は
景気対策
、中期的に
財政再建
、中長期的には
改革
による
経済成長
と申し上げております。まず急がねばならないこと、それは
景気対策
です。
世界
が同時に、かつてない
不況
に入りつつあります。
日本
もまた、この
世界不況
から逃れることはできません。しかし、大胆な
対策
を打つことで、
世界
で最初にこの
不況
から脱出することを目指します。異常な
経済
には異例な
対応
が必要であります。 第一次
補正予算
、第二次
補正予算
、そして
平成
二十一年度
予算
、これら
三つ
を切れ目なく、いわば三段ロケットとして進めてまいります。
経済対策
の
規模
は約七十五兆円となります。
予算
と
減税額
では合計約十二兆円、
国内
総
生産
に比べて約二%になります。諸
外国
の中でも
最大規模
の
対策
であります。 その際には、
生活者
、
中小企業
、
地方
の
三つ
に
重点
を置きました。
公共事業
などの従来型の
景気対策
ではなく、
生活
や
雇用
を守ることを
目的
とするものであります。
生活防衛
のための大胆な
実行予算
、
平成
二十一年度
予算
をこう呼びたいと思います。 職を失った
派遣労働者
の
方々
には、急ぎ昨年の末から、
雇用促進住宅
などの住居を提供しております。
雇用保険
につきましては、非
正規労働者
が
給付
を受けやすいよう、
適用基準
を一年以上の
雇用見込み
から六カ月に短縮します。
雇用保険料
を引き下げます。標準的な世帯で
年間
約二万円に当たります。
日雇い派遣
を
原則禁止
にするなど、
労働者派遣制度
を見直します。
派遣労働者
、内定を取り消された学生、
年長フリーター
を正規
雇用
した
事業主
に対して助成します。
雇用創出
のため、
地方
に四千億円の
基金
をつくります。これは、将来につながる
事業
、例えば
高齢者
の
介護
や
配食サービス
などにつなげていきたいと思います。これらにより、三
年間
で百六十万人の
雇用
を見込みます。
定額給付金
は、一人当たり一万二千円をお渡しいたします。
子供
や
高齢者
には二万円。
子供
二人の四人家族では六万四千円になります。さらに、一兆円
規模
の
減税
を行います。
住宅ローン
の
減税
につきましては、
控除可能額
を過去
最大
となる六百万円に引き上げます。
自己資金
で
省エネ改修
や
バリアフリー改修
をしても
減税
します。
中小企業対策
につきましては、昨年末までに、
緊急保証
と特別の貸し付けを合わせて、約二十二万件、四兆五千億円の実績が上がり、資金繰りに大きな
効果
を発揮しました。さらに、第二次
補正予算
によって、
保証
・
貸付枠
を三十兆円に拡大します。また、
中小企業
の
法人軽減税率
を、二
年間
、一八%に引き下げます。
従業員
の
雇用
を守りつつ
後継者
に
経営
が引き継がれた場合には、
相続税
や
贈与税
を猶予します。 大胆な
財政出動
を行うからには、
財政
に対する
責任
を明確にしなければなりません。また、持続可能な
社会保障制度
を
実現
するには、
給付
に見合った
負担
が必要であります。そのために、
社会保障
と
税財政
に関する
中期プログラム
を閣議決定いたしました。
経済状況
を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ段階的に
消費税
を含む
税制抜本改革
を行うため、二〇一一年度までに必要な
法制
上の措置を講じます。その実施時期は
経済状況
をよく見きわめて判断しますが、私としては、二〇一一年度に向けて
景気
が回復するよう
全力
を尽くします。 これは、
社会保障
を
安心
なものにするためです。子や孫に
負担
を先送りしないためであります。
国民
に
負担
をお願いするに当たっては、不断の
行政改革
の
推進
と
無駄排除
の徹底の継続が大前提です。例えば、
公益法人
への支出を
平成
十八年度に比べ約四割削減します。私のし
ごと館
など、無駄が指摘されている
事業
を廃止します。国の
行政機関
の定員については、
社会
保険庁の廃止によるものを含め、約一万五千人を純減します。
道路特定財源
は、すべて一般
財源
化します。 国の
出先機関
の二重
行政
を排除するため、その事務や
権限
を
地方自治体
に移譲し、抜本的に統廃合します。
縦割り行政
の弊害を打破するため、
内閣人事局
を設置するとともに、
公務員制度改革
全体の
工程表
を策定し、
改革
を
前倒し
で実行します。天下りなど、
公務員
の特権と批判される慣行につきましても厳しく
対応
し、
押しつけ的あっせん
を根絶します。
世界
は、
人口急増
や新興国の
経済成長
、
資源制約
や
環境制約
の高まりといった、
人類史上例
を見ない
構造変化
に
直面
をいたしております。
未来
を先取りし、
世界
が
直面
する
課題
の
解決
を先導する、そのような商品や
モデル
をつくることが
我が国
の持続的な
成長
をもたらします。 そのため、新たな
成長戦略
を策定します。昨年秋に取りまとめた新
経済成長戦略
を
基礎
としつつ、
雇用
や
市場
の
創出
に
重点
を置いた
三つ
の柱といたします。 具体的には、
世界最高水準
の
環境技術
と
社会システム
の
構築
を目指す低
炭素革命
。
iPS細胞
など
最先端
の
医療研究
の
活用
や、優しく、しかも効率的な
医療
・
介護サービス
を
実現
する
健康長寿
。魅力ある
地域
、アニメなどのコンテンツ、ファッションなどの
ブランド力
、おいしく安全な食べ物といった
日本
らしい
ソフトパワー
を生かす
底力発揮
。今後二、三年で、集中的な
インフラ整備
、
研究開発
、
規制
・
制度改革
に一体的に取り組むとともに、
成長
を支える
情報通信技術
の
戦略
も策定いたします。
アジア
は
世界
の
成長センター
でもあります。その
自律的成長
を
我が国
の
成長
につなげるためにも、
アジア
の
成長力強化
と
内需拡大
のための
戦略的国際協力
を、東
アジア
・
アセアン経済研究センター
も
活用
しつつ進めてまいります。
WTOドーハ
・ラウンドの
早期妥結
や
経済連携協定
の
交渉
に
取り組み
ます。 新たな
農政改革
を
推進
します。農業に潮目の
変化
が訪れております。食料の安全、
安心
を確保し、
自給力
を向上させるため、従来の
発想
を
転換
し、すべての政策を見直します。 まず、
平成
の
農地改革法案
を今
国会
に提出します。所有から利用への
転換
であります。また、意欲ある
若者
や
企業
の参入を進めるとともに、
経営対策
によって担い手の
経営
を支えます。さらに、
米粉
や
飼料用
の米の
生産
を本格的に進め、
自給率
の低い麦、大豆の
生産
を拡大するなど、
水田フル活用
への
転換元年
といたします。これらによって、
農山漁村
に
雇用
とにぎわいを生み出します。
景気後退
による
経済
と
雇用
への打撃は、
地方
ほど深刻であります。
地方自治体
が
地域
を活性化できるようにするためには、
財源
と
権限
が必要であります。
地方税
や
地方交付税
の
減少分
を補てんするのに加え、
地方交付税
を一兆円増額します。
インフラ整備
のために、使い勝手のよい
地域活力基盤創造交付金
を創設します。
分権型社会
が目指すべき国の形であります。知事や
市町村長
が
地域
の
経営者
として腕を振るえるようにしなければなりません。
地方分権改革推進委員会
の勧告を踏まえ、
地方自治体
の
活動
について、国による義務づけを見直し、
自由度
を拡大します。(
拍手
)
課題
の第二は、
暮らし
の
安心
です。
暮らし
の
安心
は、
年金
、
医療
、
介護
など、
社会保障制度
への
信頼
があってこそ成り立ちます。
年金
記録
問題により、
公的年金制度
に対する
信頼
が損なわれました。
国民
の
皆様
には改めておわびを申し上げる次第です。既に、ねん
きん特別便
をすべての
現役加入者
と
年金受給者
の方にお送りをし、御
自身
の
記録
を確認していただいております。これに加え、四月から、順次、
標準報酬
の
記録
もお送りいたします。
紙台帳
との
突き合わせ
を含め、計画的、効率的に
記録回復作業
を進めます。
医師不足
など
地域医療
をめぐる問題に対しては、
医師養成数
を増員し、
勤務医
の
勤務環境
を改善します。
救急医療
も、消防と
医療
の
連携
などにより、患者を確実に受け入れられるようにいたします。
長寿医療制度
につきましては、さらに
議論
を進め、
高齢者
の
方々
にも納得していただけるよう見直しを行います。四月から
介護報酬
を引き上げ、
介護従事者
の処遇を改善いたします。
少子化対策
につきましては、妊婦健診を十四回分すべて無料にいたします。
出産育児
一時金も四十二万円に引き上げます。また、
平成
二十二年度までに十五万人分の
保育所
などをふやします。 昨年は、食の安全や
暮らし
の安全を脅かす事件が相次いで発生いたしました。
消費者
の
利益
を守るため、一日も早い
消費者庁
の設立に向け、
関連
三
法案
の成立を急ぎます。あわせて、
地方自治体
が
相談窓口
を増設し、きめ細かに
対応
ができるようにいたします。 昨年の
交通事故死者数
は五千百人余りとなり、昭和四十五年のピーク時に比べ、三分の一以下に減らすことができました。今後十
年間
でさらに半減させます。新たな
犯罪対策
を進め、
世界
一安全な
国日本
を目指したいと存じます。他方、
自殺者
は
年間
三万人を超えております。だれもが生きやすい
社会
をつくらなければなりません。
学校施設
の
耐震化
も
前倒し
で実施いたします。
日本
に定住する
外国人
やその
子供
が増加しつつあります。新たに設けた
担当組織
の
もと
、
地域
における
支援
を進めます。ニートや引きこもりなど、困難を抱える
若者
を
支援
するため、新法をつくります。
裁判員制度
が五月から始まります。
国民
が
刑事裁判
に参加することで、司法をより
国民
に身近なものとするための
改革
でもあります。
国づくり
の
基本
は、
人づくり
です。 小中
学校
の新
学習指導要領
を四月から一部先行実施し、
理数教科
などの
授業時数
を一割程度増加させます。これによって学力を向上させ、豊かな心や健やかな体をはぐくみます。また、
学校
に
携帯電話
を持ち込ませず、
有害情報
や
ネットいじめ
から小中学生を守る
対策
を進めます。 昨年の
日本
人四名の
ノーベル賞受賞
は、画期的な出来事であったと存じます。大阪の
町工場
の技と夢が詰まった「まいど一号」が今、宇宙を飛んでおります。
基礎研究
を充実させるとともに、
科学研究費補助金
など約九百億円を投じて、
若手研究者
などの多様な
人材
が活躍できる
環境
を
整備
いたします。また、英語による
授業
のみで学位が取得できるコースや、
世界トップレベル研究拠点プログラム
を
推進
し、大学の
国際競争力
を
強化
します。 さらに、
経済状況
の厳しい中でも不安なく
教育
を受けられるようにすることや、国際的に活躍できる
人材
の
育成
などについて、
日本
の将来を見据え、
教育再生懇談会
において幅広く検討を進めます。 二〇一六年オリンピックの
日本開催
に向けた
支援
に努めます。 地球温暖化問題の
解決
は、今を生きる我々の
責任
であります。同時に、
環境
問題への
取り組み
は、新たな需要と
雇用
を生み出す種でもあります。
成長
と両立する低
炭素社会
、
循環型社会
を
実現
いたします。
我が国
が持つ
世界最先端
の
環境
・
エネルギー技術
をさらに伸ばすことが必要です。
太陽光発電
や
環境対応自動車
の
開発普及
などを進めてまいります。
排出量取引
の試行を通じて、
実効性
のある
日本型モデル
を
構築
します。
温室効果ガス
を削減する
中期目標
を、科学的、
総合的観点
から検討した上で決定します。 本年末までに、
地球温暖化対策
の
次期枠組み
を決める
国際会議
が開催されます。すべての
主要国
が参加する、公平で実効ある
枠組み
の
構築
に向け、積極的な
役割
を果たしてまいりたいと存じます。(
拍手
)
課題
の第三は、
世界
の平和と安定に向けた
貢献
であります。
国際社会
の平和と安定は、
日本
は
もと
より、
世界
の
発展
に欠かすことができません。私は、
日米同盟
を基軸にしながら、
アジア太平洋諸国
との
連携
、
国連
などの場を通じた
国際協調
を重要な柱として、平和と安定の
構築
に
全力
を尽くしてまいります。 まず、米国とは、
オバマ大統領
とともに、
同盟関係
をさらに
強化
いたします。
金融危機
への
対応
はもちろん、
テロ
との
闘い
、核軍縮・不拡散、
気候変動
といった
地球規模
の
課題
に
連携
して取り組んでまいります。
在日米軍再編
については、沖縄など地元の声に耳を傾け、
地域
の振興に
全力
を挙げて
取り組み
ながら、引き続き着実に進めてまいります。 先般、
日中韓首脳会議
を初めて独立した形で開催し、
未来志向
で包括的な
協力
を進める大きな一歩を踏み出しました。中国との
戦略的互恵関係
、韓国との成熟した
パートナーシップ関係
を通じて、
アジア
と
世界
の平和と安定に
貢献
してまいります。 ロシアとは、
アジア太平洋地域
における重要なパートナーとしての
関係
を
構築
するため、領土問題の
最終的解決
に向けた
交渉
を進めるとともに、幅広い分野での
関係
を進展させます。
北朝鮮
につきましては、
拉致
、核、ミサイル問題などを包括的に
解決
し、不幸な過去を清算し、
日朝国交正常化
を
実現
すべく
取り組み
ます。また、六
者会合
におきましては、
非核化プロセス
を前進させるとともに、すべての
拉致被害者
の一刻も早い帰国の
実現
に向け、
北朝鮮
に対し、
早期
に全面的な調査のやり直しを開始するよう、具体的な行動を強く求めてまいります。 私には、
一つ
の信念があります。それは、
経済的繁栄
と
民主主義
を希求する先に平和と幸福は必ずやかち取れるというものであります。これは戦後
日本
の
歩み
でもあります。私が自由と
繁栄
の弧という言葉で表現したように、自由、
市場経済
、人権の尊重などを
基本
的な
価値
とする若い
民主主義諸国
の
努力
を積極的に
支援
します。
日本
は、
国際社会
の
責任
ある
一員
として、また、この一月からは
国連安保理
非
常任理事国
として、積極的な
役割
を果たしてまいります。ODAを
活用
し、
アフリカ
を初めとする
途上国
の安定と
発展
、
テロ
との
闘い
、貧困や
環境
問題、水問題など
地球規模
の
課題
の
解決
に
貢献
をします。
資源
・
エネルギー外交
を進めます。インド洋における
補給支援活動
を継続し、国際的な
平和協力活動
などに積極的に取り組んでまいります。 また、
ソマリア周辺
などでの海賊の襲撃は、
日本
を含む
国際社会
にとっての脅威であり、緊急に
対応
すべき
課題
であります。
関係国
との
連携
の
もと
、実行可能な
対策
を早急に講じ、新たな
法制
の
整備
を検討します。
世界経済
の一段の減速に伴い、
日本経済
も急速に悪化をいたしております。
景気
の
後退
を食いとめ、
不況
から脱出するためにも、
予算
及び
関連法案
を早急に成立させることが必要です。これが
日本
の
経済
を、そして
日本
の将来を決めると存じます。
経済成長
なくして、
財政再建
も、安定した
社会保障制度
もあり得ません。 今こそ、
政治
が
責任
を果たすときだと存じます。
国会
の意思と覚悟が問われております。
国民
が今
政治
に問うもの、それは
金融危機
の津波から
国民生活
を守ることができるか否かです。 与野党間に意見の違いがあるのは当然です。しかし、
国民
が望んでいるのは、単に対立するのではなく、迅速に
結論
を出す
政治
です。
政府
・与党としては、最善と思われるものを提出しております。野党にもよい案があるなら、大いに
議論
をしたいと思います。ただし、いたずらに
結論
を先送りする余裕はありません。 とかく、物事を悲観的に見る人がおられます。しかし、振り返ってみてください。
日本
は、半
世紀
にわたって平和と
繁栄
を続けました。諸
外国
からは尊敬される、
一つ
の
成功モデル
でもあります。そして
日本
は、優秀な
技術
、魅力ある文化など、
世界
があこがれる
ブランド
でもあります。自信と誇りを持ってよいと存じます。
日本
の
底力
は、必ずやこの難局を乗り越えます。そして、明るく強い
日本
を取り戻します。 私は、自由民主党と公明党の
連立政権
の
基盤
に立ち、新たな
国づくり
に
全力
を傾注してまいります。決して逃げることはありません。
国民
の
皆様
とともに、着実に
歩み
を進めてまいります。
国民
の
皆様
と
議員各位
の御理解と御
協力
を心からお願い申し上げます。(
拍手
)
—————————————
河野洋平
4
○
議長
(
河野洋平
君)
外務大臣中曽根弘文
君。 〔
国務大臣中曽根弘文
君
登壇
〕
中曽根弘文
5
○
国務大臣
(
中曽根弘文
君)
外交
の
基本方針
について所信を申し述べます。
外交
の
目的
は、
我が国
の国益、すなわち
我が国
の安全と
繁栄
及び
我が国国民
の
生命財産
の確保にあります。そのためには
世界
の平和と
繁栄
が不可欠であり、
我が国
としても、その
実現
に大きな
責任
を有しております。 現在、
国際社会
は、深刻な
経済危機
に
直面
をしております。また、
国際テロリズム
、やむことのない
地域紛争
、待ったなしの
気候変動
問題と、引き続き困難で早急に取り組むべき
課題
が山積をしております。今こそ、諸
課題
に対する
我が国
の
考え
を明確に示し、
国際社会
をリードする積極的、主体的な
外交
を展開すべきと
考え
ます。私は、
時代
の
変化
に適応した
戦略
を持って
外交
を進めるため、
全力
で取り組んでまいります。 昨年、
我が国
は、
北海道洞爺湖サミット
、第四回
アフリカ開発会議
(TICAD4)を主催し、
国際社会共通
の
課題
の
解決
に向け、大きな成果を達成いたしました。本年から二
年間
、
我が国
は、
国連安全保障理事会
の
一員
として、
国際社会
の中で新たな重責を担うことが期待されています。
国際社会
の現状を見れば、私
たち
の歩むべき道は決して平たんではありません。
我が国
が、みずからの
繁栄
を追求し、
国際社会
において名誉ある地位を得んと希望するのであれば、国を挙げて現下の諸困難に立ち向かう気概が必要であります。 本年、
日本外交
がみずからに課すべき命題として、第一に、
日米同盟
の
強化
と
近隣諸国
との
協力関係
の
推進
、第二に、
基本的価値
を共有する
諸国
との
連携
を深めつつ
国際情勢
の安定を図ること、第三に、
我が国
の
経験
と英知を
活用
して
人類共通
の問題の
解決
にリーダーシップを発揮することの三点につき申し述べます。
日米同盟
は、
日本外交
のかなめであり、同時に、
アジア太平洋地域
の平和と安定の礎です。 この一月二十日には、
アメリカ国民
の期待が極めて高い
オバマ
氏が、新たな
責任
の
時代
を掲げ、大統領に就任いたしました。同大統領は、
外交
政策においては、引き続き国際的リーダーシップを発揮し、
世界
の平和と安定に
貢献
していく旨、たびたび明言しています。 新政権との間で、強固な
信頼
関係
の
もと
、
我が国
から率直かつ具体的な提案を行うことにより、ともに
課題
に取り組む緊密な
協力関係
を
構築
し、
日米同盟
を一層
強化
するとともに、
アジア太平洋地域
と
世界
の平和と
繁栄
に向けて力を尽くしてまいります。その一環として、抑止力の維持と沖縄など地元の
負担
軽減を図るべく、
在日米軍再編
を着実に実施し、日米安保体制を堅持してまいります。 さらに、
世界
の平和と
繁栄
の
実現
に向け、金融・
世界経済
の問題、
テロ
との
闘い
、
気候変動
・エネルギー、核軍縮・不拡散及び
アフリカ
開発といったグローバルな
課題
への
対応
においても、新政権と一層緊密に
連携
してまいります。
我が国
は、
アジア
の
一員
として、
アジア太平洋諸国
とともに
地域
の平和と安定を維持し、ともに
繁栄
し
発展
していかねばなりません。 昨年末、初の単独開催となる第一回日中韓サミットを福岡で開催し、さまざまな分野における
協力
の
推進
について一致するという大きな成果を挙げました。
日本
、中国、韓国が互いに
連携
と
協力
を
推進
することは、
アジア
地域
の今後の
発展
にとっても有意義であります。個別の懸案は存在するものの、三カ国の首脳が個人的な
信頼
関係
を築くという意味でも極めて意義深い会合でありました。今後とも、両国とは、首脳レベルは
もと
より、外相レベルにおいても頻繁に意見交換を行うよう努めてまいります。 中国とは、引き続き首脳を含むハイレベルでの交流を積み重ね、東シナ海の
資源
開発や食の安全などの個別の懸案にも適切に対処しながら、
戦略的互恵関係
の
構築
を引き続き
推進
し、
アジア
と
世界
の平和と安定にともに
貢献
していく
考え
であります。 先日、麻生総理は、シャトル首脳
外交
の一環として韓国を訪問しました。首脳会談において確認されたとおり、
未来志向
の成熟した
パートナーシップ関係
の
構築
に向け、二国間にとどまらず、
国際社会
においても幅広い
協力関係
を築いていく所存です。
北朝鮮
については、日朝平壌宣言にのっとり、
拉致
、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に
解決
し、不幸な過去を清算して
日朝国交正常化
を図るべく、引き続き努めてまいります。 六
者会合
において
早期
にしっかりとした検証の具体的
枠組み
に合意し、
非核化プロセス
を前進させると同時に、
早期
に
北朝鮮
による
拉致
問題の全面的な調査のやり直しが開始され、生存者の帰国につながるような成果が得られるよう、引き続き真剣に
取り組み
ます。 重要な隣国であるロシアとは、昨年十一月に行われた日ロ首脳会談の結果を踏まえ、
アジア太平洋地域
における重要なパートナーとしての
関係
を
構築
するため、外相レベルを含めて、北方領土問題の
最終的解決
に向けて強い意思を持って
交渉
を進めます。また、極東・東シベリア
地域
での
協力
を含め、幅広い分野での
協力
を進展させます。
基本的価値
を共有するインドや豪州との間でも、安全保障や
経済
連携
を含め、多様な分野で
関係
を
発展
させていきます。 東南
アジア
諸国
連合(ASEAN)の
各国
との
関係
を、本年の日メコン交流年や重層的な
経済
連携
の
取り組み
などを通じて、多くの分野で
強化
し、また、ASEANの統合と
発展
を力強く
支援
してまいります。 現下の
世界
的な金融
経済
の
混乱
の中で、
アジア
諸国
が、開かれた
成長センター
として
世界経済
に
貢献
することが重要です。
アジア
太平洋
経済
協力
(APEC)や東
アジア
首脳
会議
などの
枠組み
を
活用
して、
アジア
諸国
とともに、この
地域
の
経済
的安定と
発展
のために一致して取り組んでまいります。 本年五月に北海道にて開催する第五回太平洋・島サミットを通じ、
気候変動
を含むさまざまな
課題
の
解決
に向けた
取り組み
への
支援
を
強化
し、太平洋島嶼国との
関係
強化
を図ります。
アジア
以外の
地域
においても、
基本的価値
を共有する国々と
連携
しつつ、平和と安定のために
協力
してまいります。
基本的価値
を共有する欧州
諸国
や欧州連合、北大西洋条約機構などとの
連携
を
強化
してまいります。また、バルト
諸国
や中東欧、中央
アジア
・コーカサス、南
アジア
といった民主化と
市場経済
化を進める国々との対話や
協力
に引き続き取り組んでまいります。
我が国
が原油の約九割を輸入する中東
地域
の平和と安定は、
世界
全体の安定と
我が国
のエネルギー安全保障にとって不可欠の条件です。中東
諸国
との間で、
資源
にとどまらない重層的な
関係
を
強化
してまいります。 最近のガザにおける情勢悪化により民間人に多数の死傷者が出たことを遺憾に思います。イスラエル、パレスチナ武装勢力の双方による停戦の表明を歓迎いたしますが、これが永続的な停戦につながることが重要です。そのための
関係
者への働きかけや、ガザ地区の人道状況改善のための一千万ドルの
支援
などを着実に実施してまいります。その上で、平和と
繁栄
の回廊構想などを通じ、中東和平プロセスの進展を
最大
限
支援
してまいります。 先般、自衛隊は、約五年にわたるイラクでの任務を無事完了しました。その
活動
は、イラクを初め
国連
、
関係
諸国
から高い評価と多くの感謝を受けております。私も、隊員一人一人が厳しい
環境
下にありながら使命感を持って立派に任務を果たしたことに、心から、御苦労さまでしたと言葉をかけたいと思います。(
拍手
)
我が国
としては、引き続き、復興
支援
の成果を根づかせ、イラクとの幅広い分野での
協力
及び長期的な友好
関係
を
構築
してまいります。 イランの核問題の平和的、
外交
的
解決
のため、
国際社会
と緊密に
協力
するとともに、伝統的な友好
関係
に基づくイランへの働きかけを行ってまいります。 ブラジル及びメキシコを初め、
経済
面での存在感と国際場裏での発言力を増している中南米
諸国
との
関係
も
強化
してまいります。その一環として、東
アジア
・ラテンアメリカ
協力
フォーラムの外相会合を
日本
で開催し、
アジア
と中南米との
協力
強化
に主導的
役割
を果たしてまいります。 次に、
我が国
の
経験
と知見を生かして国際的なリーダーシップを発揮すべき問題について、何点か取り上げたいと思います。 中でも、現下の金融
経済危機
の克服は、
我が国
を含む
国際社会
の喫緊の
課題
です。 麻生総理は、昨年十一月の金融・
世界経済
に関する首脳会合において、
我が国
の
経験
を踏まえた具体的な提案を行い、
各国
の連帯を呼びかけました。早急に実体
経済
の悪化を食いとめ、
各国
が
保護主義
に陥ることを防ぐことにより、
世界経済
の安定を確保し、
危機
再発を防止することが必要であります。
我が国
は、四月にロンドンで開催される第二回首脳会合などを通じて、
各国
と協調して積極的に取り組んでまいります。
世界
貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド
交渉
の
早期妥結
、
経済連携協定
や投資協定などの
交渉
及びこれら協定の
活用
に積極的に
取り組み
ます。知的財産権保護の
強化
に向けた国際的な
取り組み
にも引き続き注力いたします。 また、中長期的視点に立って、エネルギー・
資源
を安定的に確保するため、主要
生産
国との
関係
強化
に加え、輸入先とエネルギー源双方の多様化を図ります。二国間及び多国間の
協力
を通じて、輸送路の安全
対策
も
強化
してまいります。さらに、近年の
世界
的食料需給の逼迫を踏まえ、食料安全保障の一層の
強化
に向けた具体的施策に取り組んでまいります。 地球
環境
の保全は、
未来
に対する我々の
責任
です。特に、
気候変動
問題については、二〇一三年以降の
枠組み
について、本年末の
国連
気候変動
枠組み
条約第十五回締約国
会議
(COP15)において合意を得ることとされており、本年は国際
交渉
が本格化します。
我が国
としては、
北海道洞爺湖サミット
やCOP14の成果を踏まえ、すべての主要
経済
国が
責任
ある形で参加する実効的な
枠組み
の
構築
に向け、引き続きリーダーシップを発揮してまいります。また、
途上国
の
温室効果ガス
排出削減や
気候変動
の悪影響への
対応
などに積極的に
協力
をいたします。 さらに、
我が国
の知見や
技術
を生かし、新興
経済
国におけるエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーや省エネ
技術
の
活用
に向けて、
国際社会
と
協力
して取り組むとともに、核不拡散、原子力安全及び核セキュリティーの確保を大前提として原子力
協力
を
推進
してまいります。 先月、私は、ノルウェーを訪問し、クラスター弾に関する条約に署名してまいりました。この条約は、人道上懸念のあるクラスター弾を禁止する歴史的意義のあるものです。
我が国
は、被害者
支援
を含む国際的な
取り組み
に引き続き積極的に
貢献
してまいります。 また、
我が国
は、唯一の被爆国として、核兵器のない
世界
の
実現
に向け、現実的かつ具体的な
取り組み
を主導します。二〇一〇年核兵器不拡散条約(NPT)運用検討
会議
の
成功
に向けて、核不拡散・核軍縮に関する国際委員会を含め、
関係国
との
協力
を
強化
していく
考え
です。 さらに、
我が国
のすぐれた科学
技術
を生かし、国際
協力
や宇宙分野での
取り組み
などを
推進
してまいります。
テロ
リズムは、自由で開かれた
社会
に対する挑戦であり、
テロ
リズムの撲滅は、
我が国
自身
の国益であります。インドのムンバイにおける連続
テロ
事件では、
日本
人を含め、多くの
方々
が犠牲になりました。改めて、犠牲者の
皆様
に心から哀悼の意を表します。
我が国
は、
テロ
対策
としてインド洋における
補給支援活動
を行っているほか、アフガニスタンが再び
テロ
の温床にならないよう、同国において、治安面や
経済
復興において
医療
や
教育
を初め幅広い
支援
を実施してきています。アフガニスタンの
地方
復興チームへの文民派遣などを含め、
支援
の
取り組み
を一層
強化
してまいります。さらに、
テロ
との
闘い
の前線国家であるパキスタンにおける
テロ
撲滅や
経済
安定化への同国
政府
の
取り組み
を
支援
してまいります。 海洋国家であり、貿易国家でもある
我が国
にとって、航行の安全や海上の安全確保は、国家の存立と
繁栄
に直結する極めて重要な問題です。現在、海上交通路において海賊行為が多発、急増していることは、大変懸念すべき事態であります。航行の安全確保や、何よりも
日本
国民
の生命及び財産の保護の観点から、海賊
対策
はまさに火急の
課題
であり、新たな法
整備
の検討を進めるとともに、できることから早急に措置を講じてまいります。
国際社会
の平和と安定があってこそ
我が国
の国益も
実現
されるとの思いから、
国連
平和維持
活動
(PKO)を初めとする国際的な平和
活動
を一層拡充する
考え
です。 今後二
年間
、
国連安全保障理事会
の
一員
として、積極的かつ建設的な
役割
を果たしてまいります。同時に、
国連
がより
効果
的にその任務を果たすためにも、
我が国
の
常任理事国
入りを含む安保理
改革
の
早期
実現
を目指し、本年二月に開始される
政府
間
交渉
に臨む決意であります。 重要な
外交
手段である
政府
開発援助(ODA)を積極的に
活用
し、
途上国
の
人づくり
、
国づくり
を
支援
するとともに、地球的
規模
の
課題
の
解決
に
貢献
することは、
我が国
自身
の国益にかなうものです。
我が国
として、
戦略
的な国際
協力
の実施に一層努めてまいります。 第四回
アフリカ開発会議
(TICAD4)や
北海道洞爺湖サミット
で約束した
支援
策を着実に実施していきます。人間の安全保障の理念に基づき、
アフリカ
諸国
を初めとする開発
途上国
に対し、貧困削減、
教育
、保健、水・衛生などの分野で
支援
し、ミレニアム開発目標達成に向けても
貢献
してまいります。 同時に、平和の定着、民主化・よい統治の
実現
に加え、
市場経済
化、
法制
度
整備
、貿易・投資
環境
整備
など、
途上国
の
経済成長
の加速化と
我が国
との
経済
交流に役立つ
支援
にもODAを積極的に
活用
していくこととしています。 非
政府
組織(NGO)や民間
経済
界とも
連携
を
強化
し、ODAの
効果
的、効率的な実施と、質の一層の改善を進め、援助
効果
のさらなる向上に努めます。 以上のような
日本外交
の
基本方針
について諸
外国
の理解と
信頼
を増進させることは、
外交
政策の円滑な
推進
にも資するものです。このため、
我が国
の
外交
方針を力強く対外発信いたします。また、伝統文化からポップカルチャーまで、
我が国
の文化の魅力を
戦略
的に発信するとともに、
日本
語の普及、知的交流の促進に取り組んでまいります。二〇一六年東京五輪の開催
実現
に向けた招致
活動
を積極的に
支援
していくほか、スポーツ分野での交流も一層促進していく
考え
です。 最後に、
外交
実施体制について一言申し上げます。 山積する
外交
課題
に迅速に対処し、また、海外における
日本
人の
生命財産
を適切に保護するためにも、需要に見合った形での人員、組織及び情報収集・管理体制などの
強化
が不可欠であります。
国民
の
皆様
の御理解を得ながら、
外交
基盤
を充実させ、
我が国
の
外交
力を一層
強化
してまいります。 私は、
外務大臣
就任前から現在に至るまで、数多くの国を訪問し、それぞれの国の
国民
に接してきました。そこで共通して感じたことは、国の大小を問わず、いずれの国においても、人々が、自分の国を愛し、自分の国に誇りを持っているということであります。
我が国
の憲法においても、「
国際社会
において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。」とうたわれているように、他国から
信頼
され尊敬されるとともに、
国民
が自国に誇りを持てる
国づくり
をすることが重要であると
考え
ます。 冒頭でも述べましたように、
外交
の
目的
は、
我が国
の国益、すなわち
我が国
の安全と
繁栄
及び
我が国国民
の
生命財産
の確保、さらに、国家の名誉や威信を守ることであり、
国民
が自国に誇りを持てるようにすることでもあると信じます。
日本
は、科学
技術
の力、人的
資源
、幾多の困難を乗り越えた実績、いずれをとっても
世界
に誇れるものを持っております。
国際社会
が山積する困難を抱えている今、
我が国
が積極的、主体的な
外交
を展開し、
国際社会
の中で活躍することは、
国民
が自信や誇りを得ることにつながるものと確信します。
外交
は、党利党略を超え、与野党が一致して取り組むべきものと
考え
ます。
国民
の
皆様
と、党派を超えた
議員各位
の御理解と御
協力
をお願い申し上げます。(
拍手
)
—————————————
河野洋平
6
○
議長
(
河野洋平
君)
財務大臣
中川昭一君。 〔
国務大臣
中川昭一君
登壇
〕
中川昭一
7
○
国務大臣
(中川昭一君)
平成
二十一年度
予算
の御審議に当たり、
財政
政策等の
基本
的な
考え
方について所信を申し述べますとともに、
予算
の大要を御説明申し上げます。 初めに、最近の
経済
金融情勢への
対応
について申し述べます。
世界
の金融資本
市場
の状況を見ますと、米国などで急速に普及した証券化商品や金融派生商品に対して、金融機関が十分なリスク管理を怠った結果、大
規模
な損失が発生し、欧米主要金融機関において
経営
問題が表面化したこと等を契機に、
市場
全体が
混乱
に陥りました。百年に一度とも言われる
金融危機
であります。 金融資本
市場
の
混乱
は、信用収縮等を通じて実体
経済
に悪影響を及ぼし、
世界
的な
景気後退
が発生しております。
我が国
においても、輸出や
生産
が減少し、消費も停滞しており、
雇用
情勢が急速に厳しさを増すなど、
景気
は急速に悪化しております。 こうした情勢に対し、厳しい
財政
状況の
もと
、当面は
景気対策
、中期的には
財政再建
、中長期的には
改革
による
経済成長
の三段階で
経済
財政
政策を進めることとしております。 まず、
財政
面で十二兆円程度、金融面で六十三兆円程度、合計七十五兆円程度となる一連の
経済対策
を取りまとめました。これら一連の
対策
に盛り込まれました各措置につきましては、可能なものから早急に実行していくことでありますが、
対策
をより実効あるものとするために、これから御説明する
平成
二十一年度
予算
を、
平成
二十年度第一次
補正予算
及び第二次
補正予算
とあわせて切れ目なく実行していくことが必要であると
考え
ております。 また、金融
機能強化
法の改正を初めとして、
金融市場
の安定化や金融円滑化のためのさまざまな施策を実施しております。 さらに、
我が国
は、昨年十一月の金融・
世界経済
に関する首脳会合において、IMFに対し
最大
一千億ドル相当の融資を行う用意があることを表明する等、積極的な
貢献
を行っており、
各国
から高い評価を受けております。 今後とも、バブル
経済
崩壊後の
危機
をみずからの力で克服した
経験
も生かしながら、
金融危機
後の新しい
世界経済
金融に
対応
した
枠組み
づくりの
議論
に積極的に参加するとともに、
我が国
の
景気回復
を図って、
世界経済
に
貢献
してまいりたいと
考え
ております。 次に、
我が国
財政
の現状と
財政
健全化の
取り組み
について申し述べます。 既に申し述べましたとおり、
我が国
経済
は、
世界
的な
金融危機
の渦中にあります。一方、
我が国
の
財政
は、国、
地方
を合わせた長期債務残高が
平成
二十一年度末には八百四兆円、対GDP比で一五八%になるなど見込まれ、主要先進国の中で最悪の水準にあると、極めて厳しい状況にあります。 金融・
世界経済
に関する首脳会合の宣言にもあるとおり、即効的な
対応
が求められる中にあっても、
財政
の持続可能性を保持する政策の
枠組み
を維持していくことが必要であります。とりわけ、巨額の債務を抱えております
我が国
にとりましては、
財政
健全化は、安定した
経済成長
を図る上でも重要な
課題
であります。当面、現行の
基礎
的
財政
収支に関する
努力
目標の
もと
で、
景気回復
を最優先としつつ、
財政
健全化の
取り組み
を進めてまいります。 また、中期的な
財政
責任
を果たし、
社会保障
に対する
国民
の
安心
強化
を図るため、昨年末に閣議決定いたしました
中期プログラム
に従い、
消費税
を含む税制抜本改正に向けた
取り組み
を進めてまいります。 続いて、
平成
二十一年度
予算
及び税制改正の大要を御説明申し上げます。
平成
二十一年度
予算
は、
世界
的な
経済
金融危機
にあって、
国民
の
生活
と
日本経済
を守るための施策を大胆に実行する、
生活防衛
のための大胆な
実行予算
であります。
国民生活
を守るため、医師確保・
救急医療
対策
、
雇用
対策
、出産・子育て
支援
などの施策を講じます。また、
日本経済
を守るためのセーフティーネットや、将来の
成長
の芽を育てるための施策を盛り込んでおります。これらの重要施策については、重要
課題
推進
枠を
活用
するなどにより、思い切ってめり張りをつけました。 また、
財政
規律を維持する観点から、
基本方針
二〇〇六等に基づく
改革
を継続しております。さらに、
行政
支出総点検
会議
における指摘等も踏まえ、厳格に政策の
必要性
を精査することなどにより、徹底した無駄の削減を図り、
公益法人
への支出、特別会計の支出、広報経費等の
行政
経費等について、大幅な削減を行っております。 一般歳出は、五十一兆七千三百十億円であります。
基礎
年金
の国庫
負担
割合の引き上げや
道路特定財源
の一般
財源
化等により、前年度当初
予算
に比べ四兆四千四百六十五億円の増となっております。
地方
財政
につきましては、
地方
公共団体が、
雇用創出
等を図ることとともに、
地方
における安全、
安心
の確保や
地域
活性化に向けた
事業
を円滑に実施することができるよう、
地方交付税
を一兆円加算しております。また、国税及び
地方税
収の落ち込みに対し適切な補てん措置を講じつつ、
地方
における歳出
改革
は継続しております。この結果、
地方交付税
交付金等について、前年度当初
予算
と比べ九千五百九十七億円増加の十六兆五千七百三十三億円としております。 これらに国債費二十兆二千四百三十七億円を合わせた一般会計総額は、前年度当初
予算
と比べ五兆四千八百六十七億円増加の八十八兆五千四百八十億円としております。 一方、歳入につきましては、租税等の歳入は、
景気
の悪化等により、前年度当初
予算
と比べ七兆四千五百十億円減少の四十六兆一千三十億円を見込んでおります。その他収入は、
財政
投融資特別会計
財政
融資資金勘定からの四兆二千三百五十億円の受け入れを含め、九兆一千五百十億円を見込んでおります。 以上のように、歳出歳入両面におきまして
最大
限の
努力
を行う一方、税収が大幅な減少となる中、新規国債発行額につきましては、三十三兆二千九百四十億円となっております。 次に、主要な経費について申し述べます。
社会保障
関係
費につきましては、
財政
投融資特別会計から一般会計への特例的な繰り入れにより臨時の
財源
を確保し、
基礎
年金
の二分の一を国庫で
負担
することとしております。また、歳出の効率化を図るため、後発医薬品の使用を促進する一方、医師確保・
救急医療
対策
や出産・子育て
支援
などの重要
課題
に
重点
を置いております。なお、
雇用
対策
につきましては、住宅・
生活
支援
、
雇用
維持、再就職
支援
等に
対応
しております。 文教及び科学振興費につきましては、
基礎
学力の向上等を目指して、新
学習指導要領
に
対応
した
教育
環境
を
整備
し、
学校
、家庭、
地域
の
連携
を
支援
するとともに、ノーベル賞につながるような
基礎研究
等に対する
支援
に
重点
を置いて、めり張りをつけながら科学
技術
振興費を増額しております。 防衛
関係
費につきましては、
在日米軍再編
事業
への
対応
や防衛力の向上等を図る一方、コスト削減への
取り組み
など、経費の合理化、効率化を行っております。
公共事業
関係
費につきましては、
道路特定財源
制度を廃止してすべて一般
財源
化するとともに、特定
財源
制度を前提とした
地方
道路
整備
臨時交付金を廃止し、
地域活力基盤創造交付金
を創設いたしました。あわせて、
社会保障
財源
への拠出を行います。その上で、
国民生活
の安全、
安心
の確保、
地域
の自立、活性化及び
成長力強化
に資する
事業
等への
重点
化を図っております。
経済
協力
費につきましては、めり張りを
強化
し、無償資金
協力
、JICA
技術
協力
を九年ぶりにプラスするなど、ODA全体の
事業
量の増加を図っております。
中小企業対策
費につきましては、現下の
経済
金融情勢を踏まえ、信用
保証
制度等の
中小企業
金融の
基盤
強化
、下請適正取引の
推進
、
事業
承継
支援
、
中小企業
と農林水産業との
連携
に関する施策等に
重点
化を図っております。 エネルギー
対策
費につきましては、特別会計
改革
の一環として特別会計の歳出総額を抑制するとともに、低
炭素社会
実現
やエネルギー安定供給確保への
対応
等に
重点
化を図っております。 農林水産
関係
予算
につきましては、強い農林水産業の創設に向けて施策の選択と集中を行い、食料供給力の
強化
、農商工
連携
の
推進
、
農山漁村
の活性化等を図っております。 治安
関係
予算
については、治安
関係
職員の増員を初め、安全で
安心
して暮らせる
社会
の
実現
に向けた
重点
化を図っております。 また、
経済
金融情勢の
変化
等を踏まえ、果断な
対応
を機動的かつ弾力的に行うため、
経済
緊急
対応
予備費を新設しております。 国家
公務員
の人件費につきましては、
行政機関
で一万四千八百五人の定員純減を行うこととし、
社会
保険庁
改革
関連
の移行減を除いても、
平成
十八年度以降の純減計画期間中、
最大
の二千五百二十五人の純減とすることのほか、給与構造
改革
等を的確に
予算
に反映することとしております。 あわせて、
平成
二十一年度
財政
投融資計画につきましては、現下の
経済
金融情勢を踏まえ、
企業
の資金繰り
対策
等、必要な資金需要に的確に
対応
するため、前年度当初
予算
と比べ、十年ぶりの増加となる一四・四%増の十五兆八千六百三十二億円としております。 また、借換債及び財投債を含む国債発行総額につきましては、百三十二兆二千八百五十四億円と、四年ぶりに増額となりました。国債残高が多額に上る中、引き続き、国債管理政策を
財政
運営と一体として適切に運営する必要があり、国債発行に当たっては、安定消化と中長期的な調達コストの抑制に努めることを
基本
として、
市場
のニーズ、動向等を踏まえた発行に取り組んでまいりたいと
考え
ております。 税制改正について申し述べます。
平成
二十一年度税制改正につきましては、現下の
経済
金融情勢を踏まえ、
景気回復
の
実現
に資する等の観点から、住宅・土地税制、法人税制、
中小企業
関係
税制、
相続税
制、金融・証券税制、国際課税、自動車課税等について、必要な改正を行うこととしております。 具体的には、
住宅ローン
減税
を大幅に拡充するとともに、新エネ・省エネ設備等について即時償却を可能とする措置の導入、中小法人等の軽
減税
率の引き下げや欠損金の繰り戻し還付の復活、
環境
対応
車への自動車重量税の減免など、幅広い措置を講じることとしております。 以上、
財政
政策等の
基本
的な
考え
方と、
平成
二十一年度
予算
の大要について御説明申し上げました。
国民生活
と
日本経済
を図るための施策が来年度当初から直ちに実施されるために、
平成
二十一年度
予算
を今年度内に成立させることが必要不可欠でございます。
関係
法律案とともに御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
我が国
は、戦後の荒廃から立ち直り、奇跡とも呼ばれた高度
経済成長
をなし遂げ、二度の石油
危機
といった厳しい試練をも乗り越えてまいりました。 今また、
世界
は
金融危機
の最中にあります。しかし、私は、これまで幾多の試練を乗り越えてきた
我が国
、そして我々
日本
人に、乗り越えられない困難はないとかたく信じております。
我が国
が持つ潜在能力を存分に発揮させ、
国民
の
皆様
に元気と自信を取り戻していくことに、私も
全力
を挙げてやっていく決意でございます。
国民
各位の御
協力
と御理解を切にお願いする次第でございます。(
拍手
)
—————————————
河野洋平
8
○
議長
(
河野洋平
君)
国務大臣
与謝野馨君。 〔
国務大臣
与謝野馨君
登壇
〕
与謝野馨
9
○
国務大臣
(与謝野馨君)
世界
の金融資本
市場
と
主要国
の実体
経済
は、まさに歴史的な
混乱
と
危機
に
直面
しております。 金融は、古来、相互の
信頼
を
基礎
としてまいりました。昨年九月のいわゆるリーマン・ショックは、相互の
信頼
に深刻な亀裂をもたらし、
世界
的な信用収縮を背景に、金融資本
市場
は大きく
混乱
しております。また、その
混乱
が、さまざまな経路を通じて
各国
の実体
経済
の急激な落ち込みを引き起こすに至っております。
世界経済
が一体化を強める中で、
我が国
もまた、その
混乱
と落ち込みから逃れることはできません。
国内
における金融や
雇用
の先行き不安が増幅し、
経済
活動
の萎縮がさらなる萎縮を招く懸念も生じております。我々は、不安と萎縮の連鎖の入り口をうかがっている状況にあります。 しかしながら、一九二九年の大
不況
を単純に連想し、ゆえなき萎縮に陥るのではなく、そのようなことをすれば事態は悪くなるばかりであります。
世界
は歴史に学んでいます。
各国
が緊密な
国際協調
の
もと
で各般の政策を思い切って講じていけば、大
不況
の悲劇を繰り返すことはあり得ません。
我が国
においても、バブル崩壊の
経験
を経て、
金融危機
対応
のための諸制度は国際的に見ても相当に充実しております。
政府
としては、まず、
国内
における不安と萎縮の連鎖を断固として断ち、次に、すべての世代が
安心
できる
社会保障制度
の再
構築
を行い、同時に、
アジア
を初め
世界
が
直面
するさまざまな
課題
の
解決
を主導していく中で
我が国
の
成長力強化
を
実現
していく、こうした基軸に沿って政策
資源
の総動員を図っていく決意であります。 まず、不安と萎縮の連鎖を断ち切ることに
全力
を挙げるとの
考え
方の
もと
、
事業
総額七十五兆円の三次にわたる
経済対策
を取りまとめてまいりました。いわゆる真水、すなわち、
財政
支出で見ても対GDP比二%程度の
規模
であり、諸
外国
の
対策
と比べても遜色のないものであります。 また、その内容についても、資金繰り
支援
、
雇用
対策
、
地方
活性化、
社会
的に弱い立場の人々への
支援
などの施策に
重点
化するとともに、
雇用創出
などのための
地方交付税
や投資促進のための全額即時償却制度を初め、過去に全く例のないような思い切った措置を数多く盛り込みました。
中小企業
への信用
保証
や
政府
系金融機関による資金繰り
対策
、株式
市場
活性化などについても果断な
対応
を取りまとめたところであります。 とりわけ、
雇用
問題には
最大
限の力を注いでおります。意欲のあるだれもが仕事につけるようにすることは、すべてに優先する
政治
の
課題
であります。 まず、非
正規労働者
を中心とするセーフティーネットの
整備
に緊急で取り組むこととしております。加えて、緊急の
雇用
機会確保のために、四千億円の
雇用
関連
基金
の造成や、一兆円の
雇用創出
などのための
地方交付税
増額を行います。さらに、各
地域
が主体的に現場ニーズを踏まえた
雇用創出
を行えるように、単に
予算
措置のみならず、
事業
者間の
連携
促進や
制度改革
により
地域
の
取り組み
を
全力
で
支援
してまいります。 中長期的には、
環境
、
介護
、農林、観光分野など、成熟
社会
にふさわしい
戦略
的
市場
創出
によって新規の
雇用
機会を
創出
してまいります。
平成
二十年度第一次
補正予算
に続き、第二次
補正予算
及び
平成
二十一年度
予算
、税制改正を初めとする
関連法案
などによって、これらの施策を迅速に実行し、
国民生活
の防衛と
景気
底割れの防止に向けて
政府
の総力を挙げて取り組んでまいります。 また、金融政策については、
日本
銀行が内外の厳しい金融情勢に対して迅速かつ適切な
対応
を行っていると
考え
ており、
政府
は、
日本
銀行と一体となって適切な
経済
運営に向け、引き続き万全を期す所存であります。 次に、持続可能な
社会保障
構築
とその安定
財源
確保に向けた
中期プログラム
について申し上げます。 不安の解消と不信の克服は、いわばコインの裏表の
関係
であります。金融や
雇用
についての不安の連鎖を断つことに
全力
を挙げる一方で、
社会保障
の
安心
強化
の道筋や
景気回復
後の
税財政
の
枠組み
を正直に
国民
にお示しし、その
責任
を貫徹していくことで不信を克服していかなければなりません。 第一が、
社会保障
の
安心
強化
です。 団塊世代がすべて
年金受給者
となる二〇一〇年代半ばまでに
社会保障
の費用
負担
の問題にめどをつけなければ、
社会保障制度
の持続可能性は失われていきます。一方、
医療
、
介護
を初め制度自体にもさまざまなほころびが生じております。効率化を図りつつ、安定
財源
に裏打ちされた
機能強化
を大胆に行い、そのほころびを直していかなければなりません。 第二が、
消費税
を含む税制全般にわたる抜本
改革
の実行です。
消費税
を含む
税制抜本改革
は、
社会保障
の
安心
強化
のみならず、持続的な
経済成長
と
我が国
の構造
改革
のために欠かすことはできません。まず、
社会保障
の安定
財源
の確保によって、巨額の個人金融資産を消費拡大に回していくための
基盤
をつくることができます。また、所得課税、法人課税など税制全般にわたる抜本
改革
は、
社会
のさまざまな格差の是正、
経済
の
成長力強化
、税制のグリーン化など、
我が国
が
直面
する
課題
に
対応
するために必要であります。さらに、ポスト
金融危機
時代
における長期金利上昇のリスクに照らせば、巨額の公的債務を抱える
我が国
の
財政再建
は猶予のできない
課題
であります。 以上申し上げた観点を踏まえ、
社会保障
の
機能強化
を行うと同時に、
消費税
を含む
税制抜本改革
を
経済
好転後に速やかに実行することなどを内容とする
中期プログラム
を昨年末に閣議決定いたしました。
経済
好転後の速やかな実行のためには、
改革
内容の具体化や、
法案
その他の制度的準備を今から早急に行う必要があります。
経済
財政
諮問
会議
や
政府
税制調査会などにおいて集中的な
議論
も行いながら、
政府
横断的に着実な準備を
推進
してまいります。 最後に、
経済
の
成長力強化
について申し上げます。 現在、
世界
は、文明史から見ても特筆すべき大きな潮流
変化
の過程にあります。
世界
的な人口増加が予想される中で
環境制約
や
資源制約
が高まり、
主要国
で急速に進む
高齢化
、国際金融
システム
の
改革
、
世界経済
の多極化など、幾つも大潮流
変化
が重なり合って、かつてない事態に
直面
をしております。
我が国
の
経済
社会
の将来像を明示し、その
実現
に向けたシナリオを描くとともに、官民が今起こすべき行動を共有できる
戦略
を提示してまいります。将来展望を行う上での重要な観点としては、
我が国
の
環境
・
エネルギー技術
の力が十分発揮される低
炭素社会
を
構築
すること、
医療
・
介護サービス
の
育成
などにより
健康長寿
・子育て
安心
社会
を
実現
すること、農林水産業や観光を初め多様な分野で特色を生かした
活力
と独自性のある
地方
を
実現
すること、
世界経済
をリードする
アジア
の新
時代
を
実現
することなどが
考え
られます。
経済
財政
諮問
会議
を通じて
政府
横断的に大胆な実行を加速し、
景気回復
のための下支えと中長期的な
経済成長
の
実現
を同時並行で行ってまいります。 現在の
経済
の状況は、
経済
有事とも呼ぶべきものだと認識しております。 有事に対する
対応
は、最も重要なことは、
国民
それぞれの
信頼
と
協力
であります。この
信頼
と
協力
こそ
我が国
が
世界
に誇る
最大
の強みであることを、我々はいま一度思い起こすべきだと存じます。
信頼
を
基盤
とする
日本
の
社会
の成り立ちを
最大
限に生かして、一致
協力
してこの難局に立ち向かうことを、
国民
の
皆様
、
議員各位
に改めて心よりお願いを申し上げ、所信の表明といたします。 ありがとうございました。(
拍手
) ————◇—————
谷公一
10
○谷公一君
国務大臣
の
演説
に対する質疑は延期し、明二十九日午後一時から本
会議
を開きこれを行うこととし、本日はこれにて散会されることを望みます。
河野洋平
11
○
議長
(
河野洋平
君) 谷公一君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河野洋平
12
○
議長
(
河野洋平
君) 御異議なしと認めます。よって、動議のとおり決まりました。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十四分散会 ————◇————— 出席
国務大臣
内閣総理大臣
麻生 太郎君 総務大臣 鳩山 邦夫君 法務大臣 森 英介君
外務大臣
中曽根弘文
君
財務大臣
中川 昭一君 文部科学大臣 塩谷 立君 厚生労働大臣 舛添 要一君 農林水産大臣 石破 茂君
経済
産業大臣 二階 俊博君 国土交通大臣 金子 一義君
環境
大臣 斉藤 鉄夫君 防衛大臣 浜田 靖一君
国務大臣
甘利 明君
国務大臣
小渕 優子君
国務大臣
河村 建夫君
国務大臣
佐藤 勉君
国務大臣
野田 聖子君
国務大臣
与謝野 馨君