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町田参考人 おはようございます。
経済ジャーナリストの
町田徹でございます。
本日は、このような場を設けていただきまして、
委員長並びに
総務委員会の
皆様、ありがとうございます。
きょうは
かんぽの宿について
意見を述べよということでございますが、国会の方でも連日この問題について審議もされていますし、
調査もされております。私の日ごろの
取材と
問題意識等を含めてかなり重なる
部分もあると思いますが、どぶ板を踏むような
取材をやってきて感じているところを申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
早速ですが、
皆様にお配りしています
資料でいいますと、二枚目の一番
最後のところにいきなり飛んでしまうんですが、時間の節約のためにまずここへ行きたいと思います。
そもそも、この
かんぽの宿というものはどのように売るということを規定してあるのかということでございます。
皆様御
承知のとおりかと思いますけれども、
日本郵政株式会社法の、わざわざ
附則というものの第二条に書かれております。なぜ本則でなくて
附則なのか、本当に必要なことだと自信を持っていたのなら、何でこの
附則なんというわからぬところに書いてあるのかなというのが、
ジャーナリストとして最初に持つ疑問でございます。
さらにこれを読んでいきますと、
条文の中には、
日本郵政株式会社について、「
平成二十四年九月三十日までの間、」「次に掲げる
業務を行う」となっていて、さらに細かく、「一 次に掲げる
施設の
譲渡又は
廃止」とあって、その次にイだのロだのと出てくるんですが、イで、実は
メルパルク、旧
郵便貯金会館が出てくるんですが、
郵便貯金会館という
明示はございません。
先生方、皆さん、今回改めてお読みになっていると思いますが、これは旧法の
郵便貯金法、既に
廃止された
法律を読まないと
メルパルクのことを指しているのがわからない
仕組みになっています。さらにロの方も、ここに
かんぽの宿が書いてあるわけですが、これも
かんぽの宿という
明示はありません。もしくは旧
簡易生命保険の
加入者施設という
明示もありません。
廃止になった
法律の
条文の何条なりを読んでいくと、ああ、なるほど、
かんぽの宿のことを言っているんだなというのが初めてわかるような
仕組みになっています。
本当にこのものを
廃止しなきゃいけない、
譲渡しなきゃいけないと感じていたのなら、何でこんな
こそくな書き方をしているんでしょうか。この
法律を読んでいると、これは売らなきゃいけないんだということが書かれているようには思えないです。
それで、少し戻っていただいて、一枚目の一番下の
グラフを見ていただきたいんですが、私、
ジャーナリストで物を書くのが仕事なので、ふだんワープロしか使っていない
人間が
グラフをつくるエクセルというソフトを使ったもので、つたない
グラフになっていて見にくいかと思うんですが、実は、
日本郵政公社の時代の
かんぽの
宿宿泊事業部門の業績の推移を
グラフにしてあります。それが棒
グラフです。
見ていただくと、二〇〇三年度の百七十九億九千五百万円の
赤字が、二〇〇五年度は九十一億六千八百万円の
赤字。これは上になっていますけれども、
赤字です。
赤字がほぼ半分に激減しています、わずか二年で。さらに行きますと、
公社の
最後の年、これは半年決算でございますけれども、三十三億三千万円まで
赤字が減っております。年換算しても六十億ぐらいの
赤字という計算になると思います。ですから、わずか四年の間に
赤字が三分の一、あるいは二年の間に
赤字が半分になっているわけです。
かんぽの宿というものについて見ていきますと、先ほど申し上げましたように、
郵政民営化六法の中で
売却が規定されているわけですけれども、
民営化六法というのは、二〇〇五年の十月十四日に
法律として成立しています。
基本方針の発表ということでいいますと前年の九月十日、二〇〇四年の九月十日ですね。法案の
閣議決定ということになりますと四月の二十七日でございます。ということは、この
グラフで見ていただくと、真ん中の二〇〇五年度の途中になります。ですから、もともと
営利事業でなくて
赤字でよかった
事業を、
公社化して、こういう
赤字はなくそうという議論を始めて、わずか二年で
赤字額を半分に激減させている。
こういう実績とか、いずれ黒字化できるのではないかとか、劇的な改善ができるのではないかという実情をよく踏まえた上でこの
事業が不要だという判断をされたんでしょうか。冒頭の、いかにも
こそくな、
かんぽの宿を売れということが
法律で示されているということがわからない上に、この時期の判断であったとすれば、
かんぽの宿というのはどういう
事業で、どういう
収益力を持っているかということがきちんと判断されたとは、
ジャーナリストとして考える場合には、非常に考えにくいなという印象を受けております。
これが、そもそもの、
かんぽの宿の
譲渡、
廃止に関する
部分でございます。
次いで、一番冒頭のところへ戻ります。
時間の制約がございますので一々全部読み上げませんが、今回のオリックスに対する全国の約七十の
施設の
譲渡の問題ですけれども、応募した二十七社の一社から、二週間ほど前ですが、どうしてもお話ししたい、オフレコで聞いてほしいと言われて、行ってまいりました。要するに、今回、既知の事実というのですが、既に知られている事実以外のことは公表するなというふうに
日本郵政の方からかんぬきをかけられているという話を聞かされてまいりました。
何が言いたいかといいますと、現時点ですら、この一連の
売却手続でどういうことがあったのか、まだ隠れている事実があるんじゃないかということを申し上げたいんです。連日、国会の方でいろいろな
調査をされて、いろいろなことが出てきていますけれども、応募した
企業の方は実はまだ言いたいことを何も言っていない、言えていない。
さらに言いますと、このbのところになりますが、ある
企業です、その
企業が秘密保持協定のもとに見せられたという
資料によりますと、二〇一〇年の三月期から
郵政の
かんぽの宿
事業は十億円の黒字に転換する、そういう見通しがこの
資料には書かれていました。翌年は二十億円に黒字が
拡大するとなっています。こういう事実も表には出ていなくて、単に、
郵政民営化の段階でいうと、竹中平蔵さん、当時の担当大臣の著作を読みますと、これは本業でないから、コア
事業でないから競争力がないとか、それから国会での西川社長、現在の社長の
発言を聞いていると、毎年四十億ぐらいの
赤字を出していて、持てば持つほど
赤字だから
売却を急がなければならなかったというふうに説明されています。
ですが、丹念に二十七社を回って
取材していくと、実際には十億円の黒字になると言われている
企業があったり、どういう交渉過程があったか明らかにするなと言われる
企業があったり、この
入札過程が一体どういうことだったのか、まだまだ明らかになっていないというのが実情だと思います。この不透明な点についても、ぜひこちらの国会の方で追及していただけるといいなというのが
ジャーナリストの感想でございます。
さらに進めますが、なぜこのようなことが起きてきたのかということです。
皆様のお手元の三枚目の
資料に
関係するところで、なぜこれが起きたかという問題の前にもう
一つ申し上げておきたいのは、
日本郵政というものについては、この
かんぽの宿だけでなくて、
メルパルク、旧
郵便貯金会館の賃貸契約においても、当初
かんぽの宿でやったんだと言っていたような一般
競争入札はやはりここでもやられておりません。
随意契約で、具体的に申し上げますと、
競争入札をやるのであれば参加したいと言った
企業が、
企業体がと申し上げた方がいいかもしれません、拒否されているとか、一般
競争入札はやらないからといって断られて、不透明な形でこのワタベウェディングというところに賃貸されているわけですね。しかも、このあたりも別の
委員会の
質疑の中で一部オープンになってきておりますけれども、東京とか京都の
施設に関しては、ほかの
施設と賃貸期間が違っていて、極端に短い。
実は私、数カ月前に
メルパルクについて
取材を始めていたわけですけれども、
メルパルクについては、実は大手の不動産
会社が既に購入することが決まっている、だから
入札手続もないから不透明な形でいっちゃうんだということをあるソースから伝えられて、
取材に入ったわけです。ところが、当時、
日本郵政が私に言ったのは、長期の賃貸契約をしているから、そんな
売却なんかできるわけがないという話でした。
これもやはり、何かおかしなことがあるんじゃないか、大手の不動産
会社に転売するという前提が先にあって、このよくわからない賃貸を将来売りやすいためにかませているんじゃないかという疑問が残っています。
さらに、横山さんという方が
日本郵政の専務執行役ですが、この方がどういう方かというのが先日来参議院の
質疑の方でも随分注目されているんじゃないかと思うんですが、参議院で出たのは、いまだに出身母体の三井住友銀行の社宅に住んでいるというお話でした。
実はこの方、私が
取材したところ、退職出向という表現をされています。これは厳密な定義がよくわからない言葉なんですけれども、要するに、出向扱いであって、いずれ、
民営化にめどがついた段階で三井住友銀行に戻ってくるんだ、そういう扱いになっているんだというふうに三井住友銀行の広報から説明を受けました。この方が、平社員じゃないんですよ、専務執行役という物すごく責任ある
立場にいて、それで
日本郵政で
グループ戦略を決めている。
申し上げたいのは、この
かんぽの宿でも実質的な責任者じゃないかと言われたんですが、ほかでも二つ大きなディールを事実上決めたとされております。
その
一つが、もともとの郵貯はクレジットカード
業務を、提携カードという表現で四十数社のクレジット
会社と提携して発行していたわけですが、これを
民営化に当たって単独進出に切りかえるということで提携
関係を全部解消しまして、ゆうちょ銀行は、新たに自分たちで発行するという形で提携
関係を変えたんですが、これに選ばれたのが三井住友カードでございます、提携先として。もう名前からおわかりのとおりで、三井住友銀行の
グループの
会社です。
もともと三井住友銀行御出身の方が、それまで四〇何%シェアを持っていたクレディセゾンですとか、そういう
会社を次々に外して、それまでの実績がわずか〇・二%しかなかった
会社を強引に提携先にして、それまでは、クレジットカードの発行
業務に係る手数料というのは提携
会社の方に
負担してもらっていましたから、
日本郵政の方では
負担していなかったものを、三井住友カードに発行事務を委託しているからということで、この手数料を払う
仕組みに変えているんですね。これを判断されているのが、三井住友銀行御出身で、現在も籍のある専務執行役なわけです。
こういうのはどうしても不透明な利益誘導という印象を持つんですが、違いますでしょうか。そのあたりもぜひ一度国会において調べていただけるといいなというのが私の感じでございます。
あわせて申し上げますと、三井住友
グループなり、三井住友に友好的な
企業に対する便宜が図られているのではないかというケースとして、
郵便局で配る文房具だとか日用品、ティッシュペーパーとか、そういうものがあると思うんですが、そういうものを購入する
会社を、もともと
郵政ファミリーの
会社だったんですが、
民営化するに当たって一般の
企業に変えた。これ自体は、長年の利権のうみのようなものが発生している
可能性があるから、変えるというのはすごくいいことだと思うんですが、変えた結果、もとのファミリー
企業から買うよりも値段が上がっちゃったと言っている
郵便局長さんが何人もおられるんですね。この
会社が、都内に本社を置いている
会社なんですけれども、これがまた三井住友銀行がメーンバンクの
会社という
仕組みになっています。
ですから、
日本郵政という
会社を見ますと、一応立派な体裁で、
委員会等設置
会社のような体裁になっているんですけれども、これは取締役会がきちんとワークしているんでしょうか、ガバナンスがきっちりしているんでしょうか。
一番チェックしていただきたいのは、
会社の中でどういう意思決定をして、どういうフェアな形で、
株主、
利用者にどう利益があるからこの
企業を選んで、こういう設定をしているんです、この説明が今のところ何
一つなされていないと思うんですね。このあたりを含めて、ぜひ
調査いただければいいなと思っています。
では、なぜこういうことが横行しているかという
部分なんですけれども、皆さんのお手元にお配りしたものでいうと四ページ目の真ん中辺から、いろいろな
法律を例示させていただいていますけれども、要するに、過去の
民営化企業、NTT、
日本電信電話にしろ、JR
グループにしろ、
日本たばこにしろ、重要な
資産の
売却であるとかいうものに関しては、所管大臣がきちんとチェックする
仕組みがございます。ここにお示ししたのがその
条文でございます。それに対して
日本郵政の方は、今回たまたま、
会社の
売却にしたいということで、
かんぽの宿
部門を別
会社化して
株式分割するのがありましたから、ここで鳩山大臣のチェックが入ったわけですけれども、そうでなければ入らなかった。
資産の
売却はチェック対象じゃありません。
それから、
郵便局と
郵便事業については
資産売却に関して大臣認可が伴いますが、これはNTTや
日本たばこではすべての重要
資産になっている。JRでは三億円になっているものが、十億円以上でいい。さらに、ゆうちょと
かんぽには
売却に関する規制はございません。
こういうところが、ガバナンスがどうなっているか今わからない状態の
会社で、かつ外部からのチェックもない。さらに言えば、ディスクロージャー誌というのを
日本郵政が
公社時代から出していますけれども、これの厚み
一つ見ていただけばいいんですが、
民営化してからの方が、財務データ、
経営データの公表が激減しております。