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岡本(充)
委員 三月二十五日の
消費者問題に関する特別
委員会で
質疑を行いましたときに、
食品安全委員会委員長の
答弁が混乱をしました。文書でその内容をまとめるようにという
委員長の要請に基づき、資料をつくりました。お手元にお配りをさせていただいております。
議事録に残したいと
思いますので、まずざっと読み上げますので、お時間をお許しいただきたいと
思います。
平成二十一年三月二十五日の
消費者問題に関する特別
委員会の
質問の要旨。
食品安全
委員会は、平成十七年に「「米国・カナダの輸出プログラムにより管理された牛肉・内臓を摂取する場合と、我が国の牛に由来する牛肉・内臓を摂取する場合のリスクの同等性」に係る食品健康影響評価について」答申(以下「この答申」という。)を行い、その結論の附帯事項として「SRMの利用の禁止が必須である。」とし、「牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」と飼料規制の強化を求めた。また、「健康な牛を含む十分なサーベイランスの拡大や継続が必要である。」として、「最低限、高リスク牛の全てを対象とした継続的なサーベイランスが必要である」とも
指摘をしている。
そこで、私は、
消費者問題に関する特別
委員会において、米国の飼料規制について
食品安全委員会委員長はどのような評価をしているのかを問うた。
前提として、米国が二〇〇八年四月にホームページ上で、BSEの交差汚染防止の観点から、三十カ月齢以上の牛の脳や脊髄等について、ペットを含むすべての動物の飼料に使用することを禁止すると公表し、二〇〇九年四月から実施をすることとしていることは私も承知をしている。(以下「米国の新対策」という。)これをもって、
農林水産省は、米国の規制改革及び競争政策に関する日本国
政府の要望事項(以下「対米要望事項」という。)から飼料規制の強化とサーベイランスの実施という二〇〇七年には掲げていた要望を二〇〇八年には取り下げたと昨年秋の臨時
国会における私の
質問で
答弁をしている。また、食品安全
委員会が米国の新対策について一定の評価をしていることは私も承知をしている。
その上で、米国の新対策が完全に実施をされたとしても、日本がSRMと定義をする三十カ月齢未満の牛の脳や脊髄等は引き続きレンダリングに回され、牛以外の動物の飼料として出荷されることとなる事実を私は
指摘をした。
なお、この答申が出された時点で既に米国では牛に対して牛由来の肉骨粉などを飼料として給餌することは禁止されていたが、牛由来の肉骨粉などが製造され続けている
現状と他の動物に給餌された牛由来の肉骨粉などが牛の飼料へ混入する交差汚染の懸念が
指摘をされていた。その
指摘を踏まえ、この答申ではあえて「SRMの利用の禁止が必須である。牛飼料への禁止のみならず、交差汚染の可能性のある、他の動物の飼料への利用も禁止する必要がある。」としたと理解している。
しかるに、米国の新対策が実施され、リスク管理
機関である日本の
農林水産省及び米国の農務省のリスク管理がたとえ万全であったとしても、米国の新対策だけでは牛のSRMは今後とも他の動物への飼料への利用がなされ、この答申で禁止を求められた状態が続くことになるのではないかとの疑念を私は持っている。
そもそも、食品安全
委員会の答申に基づいて行われた対米要望事項から飼料規制の強化に関する要望を取り下げるのであれば、米国産牛肉の輸入が続いている以上、その強化が十分になされた場合か、科学的知見をもって強化の必要性がなくなった場合しかあり得ない。いずれにせよ、食品安全
委員会が評価をするべき問題であり、食品安全
委員会に評価を求める前にその要望を取り下げた昨年の
農林水産省の対応には、道義的にも、また食品安全基本法(平成十五年
法律第四十八号)(以下「法」という。)第二十三条四項に照らしても問題がある。
その
指摘をされた
農林水産省は、昨年十一月、食品安全
委員会に米国の新対策について報告をした。その報告を受け、リスク評価
機関である食品安全
委員会が、米国の新対策に対して一定の評価というあいまいな表現の評価をしただけでは、対米要望事項から飼料規制強化を取り下げるのに十分と
考えられる飼料規制の強化がなされたと評価をしたのか、飼料規制の強化の必要性がなくなったと評価をしたのか、それとも、米国の新対策は一歩前進であり、一定の評価をするものの、まだ飼料規制は不十分だと評価をしたのかが判然としない。
一方、米国の新対策の報告を受けて、まずは一定の評価だけ行い、この対策が十分な飼料規制であるか否かを明らかにするのであれば、そのスケジュールを明らかにされたい。
米国の新対策の万全な実施をもって十分な飼料規制だと評価するのであれば、次の変更が必要である。すなわち、日本のSRMの定義を変更する。
米国の新対策のいかんにかかわらず、飼料規制の強化をする必要がなくなったと評価したのであれば、次の変更が必要である。すなわち、牛由来のSRMを他の動物への飼料として利用することの禁止を求めたこの答申を変更する。
米国の新対策の万全な実施をもってもまだ飼料規制は不十分だと評価するならば、もしくは、一定の評価をしただけであり、十分か否かの評価に至っていないのであれば、必要十分な施策が実施をされているとの評価に少なくとも現時点では至っておらず、対米要望事項からの削除は不適切となる。
対応としては、食品安全基本法第二十三条一項三号「前号の規定により行った食品健康影響評価の結果に基づき、食品の安全性の確保のため講ずべき施策について
内閣総理
大臣を通じて
関係各
大臣に勧告すること。」、同項四号「第二号の規定により行った食品健康影響評価の結果に基づき講じられる施策の実施状況を監視し、必要があると認めるときは、
内閣総理
大臣を通じて
関係各
大臣に勧告すること。」に基づき、食品安全
委員会は、
内閣総理
大臣を通じ、
農林水産大臣に対し、今後とも米国に対してさらなる飼料規制の強化を求め、本年の対米要望事項に列記するよう求める。
いずれの
答弁であれ、上記のいずれか
一つの変更ないしは対応を食品安全
委員会はとる必要がある。
なお、米国の新対策に対し、一定の評価をするというどのようにも読み取れる文言だけで、今後これ以上の評価をする予定がないとの見解であるならば、食品安全
委員会が飼料規制強化を求める答申を出しておきながら、その求めた強化策の報告を受けても評価をしないことになり、科学的知見をもとにみずからもリスク評価を行える
機関としては、その存在をみずから否定し、無
責任とのそしりを免れない。
また、牛の肉骨粉は、飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する
法律(昭和二十八年
法律第三十五号)第三条第一項に規定された、また、同法第二十三条の規定である製造、輸入、販売もしくは使用の禁止をされている飼料であり、法第二十四条第一項五号によれば、
農林水産大臣は食品安全
委員会の
意見を聞かなければならないこととされており、また、同条第一項十三号では、SRMのレンダリングの禁止を規定する根拠となる牛海綿状脳症対策特別措置法(平成十四年
法律第七十号)第七条第一項または第二項の厚生労働省令を制定し、または改廃しようとするときには、厚生労働
大臣は食品安全
委員会の
意見を聞かなければならないことになっていることに反すると
考える。
また、第百七十回
国会十一月十九日の衆議院
農林水産委員会において石破
大臣は、「私
どもとして専門的な知見を持ってやっておるわけでございますが、そこにおいて食品安全
委員会というものをどのように関与させるか、どのように関与させるべきなのかということについては、今後のことも踏まえまして、
事務方でもう少しよく詰めさせたいということが私と舛添
大臣との間の協議の結果でございます。」と
答弁し、関与を求めていく姿勢を示している。
一定の評価をするとの
意見だけではいかようにも解釈でき、法の定める
意見を放棄しており、法違反の疑いが残る。食品安全
委員会が一定の評価以上の評価をしないのであれば、上記の
指摘を踏まえ、評価をしない理由と根拠を明らかにされたい。
リスク管理官庁の施策に反映される食品安全
委員会の評価を問うたわけであり、一定の評価だけではリスク管理官庁としてもとるべき施策が判然としない。
なお、食品安全
委員会として、
農林水産省に対して、米国の新対策の実施状況の把握を含めまして、今後とも情報の提供をしてもらうよう要請することは、米国の新対策の万全性を監視することであり、当然必要な措置ではある。
ただ、上記で
説明したとおり、米国の新対策がたとえ万全であったとしても、また現段階で実施されていない対策であっても、その対策が不十分であれば、実施される前であっても当然のこととしてさらなる対策を求める必要性があることは明らかであり、私の
質問に対する
答弁とはなっていない。
平成二十一年三月二十五日の
消費者問題に関する特別
委員会での
食品安全委員会委員長に対する問いとしては、米国の新対策に対する食品安全
委員会の評価を明らかにされたい。
答弁としては、上記で述べたとおり、以下のいずれかになり、
答弁によりそれぞれの対応ないしは変更が必要となる。
十分な対策と評価をしている。
この答申において
指摘した飼料規制の必要がなくなったと
考えている。
一定の評価をするものの、不十分な対策と評価をしている。
とりあえず現段階では一定の評価をしただけで、現時点では十分とも不十分とも断じておらず、今後評価をする。であれば、評価をする時期を
答弁で示す。
一定の評価をしており、今後とも評価を行うつもりはない。であれば、その見解の根拠と理由を法に照らして
答弁で明らかにする。
これを求めたものであります。よろしくお願いします。