○下条
委員 ありがとうございます。大どころそんな感じだと思うんですね。
例えば、この点についてことしの二月、「資本市場」に関西大学の田村香月子専任講師が書いているんですけれども、要するに、住宅ローン担保
証券の
仕組みというのは、住宅という担保の価値が上昇していくから維持されている前提だった、それが平成十八年から吹っ飛んでしまった、十九年に入ると今度は数倍の延滞率がふえてきた、サブプライムローンのデフォルトが高まった、サブプライムのデフォルトが高まったので、多くの
証券化されていた価格の方が先に下落していった、そしてサブプライムローンの住宅ローン担保
証券、今度は
証券化商品に変えますから、
債務担保
証券、それを切っていった先の価格がぐぐぐっと落ちていっちゃった、それを知らないで、
最初の部分の評価だけになっていた、こういうことを言っているわけなんですね。
だから、アメーバみたいに分裂をしていったものは、実を言うと非常に難しくて、御庁でもマッピングというのをやっていて、
金融庁のBIS
規制について、もう釈迦に説法なので中身は言いませんが、どのぐらいのデフォルトが十年であるかをそれぞれ、スタンダード・アンド・プアーズからフィッチから含めて全部やって、表にしてやっているのがあるんですよ。でも、それはあくまでもその
格付会社が
最初に出したものの結果がどうかなんですよ。
最初に出したものは、あくまでも住宅ローン担保
証券なんです。
これだけだったら別に、これもウオッチしなきゃいけないんですけれども、その後の細分化した
債務担保
証券の評価が問題になっている。これは実を言うと、今
金融庁の中でも評価はないんです。ただ、
最初に出たものをずっと見て、どのぐらい当たっていたかな、デフォルトになったかなというのを表にしてあるのは、ここに今、僕持ってきています、あります。
私が何を言いたいかというと、今度の大混乱で
日本も、
大臣が腹を痛めながら頭を悩ませながら非常に景気対策をやらなきゃいけない原因は、突っ込み過ぎちゃったせいなんですね、いろいろな
商品に対して。そのうちの一つに農中さんがあると僕思うんです、法人として。また、個人
投資家もいろいろなものに突っ込んじゃって、それがどかんと来ている。だから回らなくなって、外資系含めて、金が足りなくなって
日本から引き揚げたので株価が落ちて、
銀行の担保余力がBIS
規制上なくなったので、貸し金ができなくなって貸しはがしが、こういう順番になっていますよ、簡単に言えば。
だから、本当の原点は、実を言うとこの評価なんですね。すべての原点は、
最初の評価がそのまま続いちゃったことによる、どかんと来たときの
対応ができなかった、僕はそう思っているんです。だから一気に下がっちゃったんです、三カ月のうちに十倍も下げだと。そうすれば、当然市場は混乱するわけであります。それが、一部、今
大臣がおっしゃった理由だと私は思うんです。
そこで、一番必要なのは、今
大臣もおっしゃっていた
金融商品についての十分な見識が果たして、発行した会社に対する評価をした
格付会社がその後まで追っかけていなかったと僕は思うんですよ。この部分をきちっとやっておかないとまた同じことが繰り返されます。幾ら
登録して、何とか
証券、フィッチでも投資研究所でもスタンダードでもいいんですけれども、
登録して、はい
検査報告しますよ、事務だけやったところで何にも変わらないです。また同じことが起きます。私は、どうしてもここでやらなきゃいけないのは、実際にそれを運用している部分のモニタリングをしていかなきゃいけないと思うんですよ。つまり
監視ですね。
この
監視は、実を言うと難しくて、さっき私が利益相反の話をなぜしたかというと、何百万ドルも金を払ったから
格付をしてやった、スタンダード・アンド・プアーズが。ところが、その後は何の
義務もないんですよ。ということは、もちろん、
証券にしろ債券にしろ、毎年株主総会をやって発表しますよね。でも、
最初の
段階から別に崩さないわけです、スタンダード・アンド・プアーズはそのレーティングを。そうすると、そのままの状態で
商品は走っていくわけです。なぜかというと、金をもらわなきゃやる必要はないし、払う方は、わざわざ
お金を払ってもっと下げてくださいとは言わないわけなんです。
ここに、実を言うと、今回の
格付の評価だけで走り過ぎてしまった全
世界の動きがある。その原点が
アメリカに僕はあると思っています。それはちょっときょうは外しますけれども。
そこで、ここに割とおもしろい指標があって、これは
金融庁が発行なさっている、昨年の十二月の時点の数字で、
我が国の預金取扱
金融機関の
証券化商品の保有額についてという発表をなさっていまして、その中にサブプライム関連
商品の
商品別毀損率というのがありますね。住宅ローン担保
証券が第一
段階で四九・九六%。CDO、つまり
債務担保
証券の毀損率が八六・七七%。つまり、切り売りしたら、八七%、九〇%近くが毀損していってしまうという結果が出ています。これは、皆さんがお出しになったものですけれどもね。
今、モニタリングという
行動規範はあくまでも努力
義務なんですね。努力しなさいよと。要するに、後を追っかけるのは、まあ努力しなさい、よほど悪くなったらやってもいいけれども、こういう状態になっているんですね、
大臣。だから、これはこのままでいいのかなと。
もしも、
登録制だ
監視だとやるのであれば、その部分をきちっとやっていかないと、これは悪く言うと、せっかくいい
法案ですけれども、事務だけがかさんで、モニタリング、追っかけができていないレギュレーション、
規制になってしまうと私は思います。
そこで、このモニタリング、要するに
証券化商品、分散していけばいくほど毀損率が高くなっていく、非常にデリバティブの難しい部分に対しての
格付を、あくまでも今までどおり努力
義務だけにしておくのか。それとも、これからの
政令の中で、具体的にその部分についてやはり橋渡しをして条件をつけていくのか。そこをまず、
金融庁の方から方向感としてお聞きしたいと思います。