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阿部(知)
委員 社会民主党の
阿部知子であり、C案の提案者でもあります。
まず冒頭、ちょっと質疑の
関係で
委員長にお願いがございます。私の一問目は、できれば、この長い
脳死論議の中で、平成六年に当初出された
中山案というものがございまして、それから、先ほど来話題になるこの
法律、現下の
法律ができ上がった平成九年のときの提案者でもある
中山先生にぜひいていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。来られるまで待って、やれる部分はやりますから。でも、私の時間は三十分ですので。
それから、前回私が質疑をして十分な御返答を得ていません河野先生についても、私は、質問を投げるときに指名をするのは失礼と
思いますから、再度という言葉をつけて質問を投げたわけです。御答弁席におられません。そこで、大変申しわけないのですが、
福島先生にお戻りいただきまして、本当にこういう逆指名は恐縮と
思いますが、私は先ほど来の法制局の答弁であきれているわけであります。そのあたりも含めて、経緯をしっかりと御存じの方に御答弁をいただきたいと
思います。
福島先生には、ありがとうございます。
中山先生が来られたら、追ってまたお尋ねをいたします。
皆様のお手元に、私が「
臓器移植法成立までの
法案等の変遷」というもの一枚を配らせていただきました。どなたもお持ちの「
脳死、
臓器移植等に関する資料」、調査室の作成したものの一ページをとらせていただきました。これが、今日ただいまある、私どもの
現行法といたしております
法案の出生の経緯といいますか、今日ここにでき上がった経緯が一番よくわかるものと
思います。
実は、平成六年の四月に旧
中山案が提案されて、これは森井案とも申しますが、これは
脳死臨調を受けて、
脳死は人の死である、
臓器摘出は、本人の書面による意思表示、プラス、本人意思が不明のときは
家族の書面。これは、いみじくも現在A案となっておりますものと同じと理解されます、骨格において。多少の違いがあれば、後で御説明をいただきます。
そして、これに対して実は、平成八年の六月十四日、修正が一回かけられました。ここで、
家族の書面による承諾で可能とすることを削除いたしました。この削除に至る
理由は、やはり御本人が表明されているということが第一であろうということで一たん削除されて、それがさきの
国会で
審議された
中山案となるわけです。修正
中山案と呼ばせていただきますが、これが再
提出後の
中山案であり、一応
衆議院で可決されて、参議院で現行ある形になりました。
なお、
衆議院での
審議のときには、今回の私どもの提案者である
金田誠一さんが提案されて、
金田案となっているわけであります。
旧
中山案から新
中山案というか一度修正された
中山案の大きな違いは、先ほど言いました、
家族の書面による承諾ということを削除いたしました。そして、削除した段階で、基本的に
移植は御本人がそう望まれるということを前提に、
脳死を死とするか、あるいは死とせず、違法性の阻却で、死んではいないんだけれども
提供していただくかということで論議が行われ、そして、結果的には参議院でさらに修正を加えられて、この
中山案であっては、
臓器移植以外の場面に影響が及ぶことが考えられる、
脳死は人の死としても、それが
移植以外の場面に影響が及ぶことが考えられるから、
脳死に関するさまざまな意見があることに配慮し、
臓器移植に際して
脳死を認めることとし、六条二項という現在の、
臓器を
提供する場合に限って
脳死判定した身体を
脳死体として使うという法の体系になったわけです。
現行法は下に書いてありますが、それプラス、ここで見ていただきたいのは、
脳死判定に至るまでの
脳死の判定手続等を厳格化するということにおいて、ここで法的
脳死判定というものが現状のように行われてきました。
しかし、先ほどの法制局の御答弁であれば、一体この最後の参議院での
審議と修正の過程は何であったのか。あってもなきがごとくの御答弁でした。法制局、いかに何でもそれはひど過ぎる。私ども
立法府にいる者が一生懸命、その及ぼすところ、影響を考えて
審議した結果の修正案でございました。
福島先生もおいででありましたから、よく御存じだと
思います。
この修正案の論議につきましては、実は、私の先輩で、私とはスタンスを異にいたしますが、今井澄さんが、まだ御存命で、こう答弁されております。「実は大分前に
脳死臨調で大方の
社会的合意を得られているということが言われたにもかかわらず、」このときも同じでした、
社会的合意はあるあるある、六〇%だ、四〇%だと。論議を、議事録を読むと全部出てまいります。「にもかかわらず、この間の
審議を踏まえてもなかなか合意が得られないとなると、これが一般の
脳死ということに拡張されるのを避けなければならない。」こういう趣旨でありました。
果たして今回の提案者の皆さんはこの参議院での
審議をどう見るのか。さっきの法制局の言い方だと、この一項はあってもなくても同じですと。そうではないんだと
思いますね。あの参議院での
審議時間は確かに修正案が出てから短くて、そのことについて問題は指摘されたけれども、そのとき
立法府にいた者は真剣に論議し、そして
一つの結論を得たんだと私は
思います。
この長い
経過にかかわった
福島先生は、なぜ二段跳びで元祖
中山案まで戻していいのか。そういうことをしていくと、ここの
審議というものの信義が問われる。やはり
審議というものにみんな一生懸命熱を入れてやっているわけです。そこまで戻すなら、二度の修正の意味はあったのか、二度の修正を覆すだけの
立法背景、
立法趣旨はあるのか。この点について、一点、明確にしていただきたい。