○鷲尾
分科員 民主党の鷲尾でございます。
きのうは郵政記念の日ということで各地でいろいろ式典が催されている、またきょうも式典が催されているようでございます。そんな忙しい中で、きょうは
日本郵政株式会社の藤本常務執行役にもおいでいただいております。大変お忙しい中、何か午前中は四国におられたようでございますが、国会の方に来ていただいているということでございまして、実のある議論をぜひともしてまいりたいと思っています。
冒頭、私、鳩山
総務大臣に大変な敬意を表させていただきたいと思っております。と申しますのは、かんぽの宿のオリックスさんに対する一括譲渡契約、これはある
意味、鳩山
総務大臣のツルの一声でとまったというところでございます。また、その後、総務省としても、
日本郵政株式会社あてに、監督上の命令ということで四月三日に出されております。この資料も拝見をさせていただきましたので、資料に基づいて幾つか質疑をさせていただきたいと思います。
かんぽの宿についてですけれ
ども、公表されている書類を拝見いたしますと、
平成十六年三月期から
平成十九年三月期まで四期連続で減損をいたしております。土地で約三百億、それから建物でも約千三百億されております。当然、郵政公社さんが、企業会計原則が適用になってからいわゆる減損の会計というものを適用してという
お話の経緯は、今までの
予算委員会の議論でも、私、承知いたしております。国有財産が、国民共有の財産が、たった三年で約一千六百億円もいわば滅失してしまっているというのが
計算書類上の事実でございますので、果たしてこの処理が適切だったかどうかというところについても、我が党の峰崎
委員が国会でやられました議論をベースに、きょうは少し深掘りをさせていただきたいと思います。
また、国民の共有の財産を守るという立場で、総務省さん、それから金融庁さんも、監督上の責任というのは一体どういうものがあるのか、また、これからどういう方針を持って、こういった
日本郵政株式会社などの経営方針に対して、どういった点を留意すべしと言うのかということについて、議論を進めさせていただきたいと思います。
日本郵政株式会社に対する監督上の命令を読みましたけれ
ども、その中でも、私、特に注目いたしたいなと思うのは、これまでの歴史的経緯を尊重して国民共有の財産に対する認識をしっかりと改めるべきである、また、適正な譲渡価格を実現すべしであると。その中の論点として、入札価格の基準を
事業譲渡、社員の雇用継続を前提とした極めて低い鑑定評価を前提に行われた減損処理後の簿価を用いたということや、一括譲渡を前提として鑑定評価額や帳簿価額を大きく上回る入札価格を適当として判断したということについて、これはちょっとおかしいんじゃないかといった点を挙げておられます。
確かに、
平成十九年三月に一括売却した不動産計百七十八物件中、約六八%がその後転売されております。その後転売され、落札業者が当然転売暴利を得ていた、こういう事例が続々と明らかになっているわけですから、これらの事例の責任というのは、当然、資産管理上の責任として
日本郵政にあるであろう、また、その一因として減損会計ということがあるであろうというふうに考えております。
そこで、もともとの減損会計というものは一体どういうものかということを少しおさらいさせていただきたいと思います。
固定資産の減損というのは、固定資産の収益性の低下によって
投資額の
回収が見込めなくなった状態であって、減損処理とは、その価値の下落を帳簿価額に反映させる会計処理であるということで、この減損会計というのは、時価と簿価の差額を評価損として計上するいわゆる時価会計ではなくて、将来の収益から
回収できる見込みのない
投資額を損失として認識していると。この間、金融庁さんもお答えいただいているとおり、これは取得原価会計の枠内の話でございます。
他国のことを紹介いたしますと、アメリカでは、あくまでもこれは、時の経営陣が短期的な業績のV字回復を目的として一挙に減損を出して、そこから次の期にV字回復させる、そういったような恣意的な減損の計上を防ぐためにこの減損会計が作成されたということを聞いております。
また、
我が国では、バブルの崩壊以前では、固定資産に含み益が発生している、それを企業がため込んでいていいのかという議論、それからバブル崩壊以降では、不動産価格が下落していわば資産に含み損があるであろうけれ
ども、それが財務諸表にあらわれていない、これは
投資家にとって
投資情報としては余り有効ではない、だから、その含みの部分をしっかりとあらわせる、そういう
意味で減損会計を作成したということでございます。
そこで、この先ちょっと
質問に移らせていただきたいと思います。
資産の時価評価と金融資産の自己評価、それから固定資産の減損というのは、これは全く異なるということは峰崎先生の議論でもあったんですけれ
ども、この中で、国会でお答えをいただいている内藤
局長の
答弁に、減損会計における時価の算定につきましては、同資産の種類や特性によって方法は異なるものの、資産の営利、非営利により取り扱いの差は設けられていないとあります。
私、考えますに、資産の営利、非営利というのは経営者の意思に基づくものであります。要するに、不動産を考えて、それを販売するのか、
投資用で持つのかということの経営意思が、資産としての種類や特性に含まれるというふうに考えているわけです。
日本郵政さんにお聞きしたいと思いますが、減損の兆候を判断する基準として、営業活動から生じる損益またはキャッシュフローが継続してマイナスの場合というものを適用しているというふうに御
答弁されていますが、これはなぜなんでしょうか。
〔
寺田(稔)
主査代理退席、
主査着席〕