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秋葉分科員 厚労省の立場からすれば、いきさつが、私自身も申し上げたように公衆衛生の歴史でスタートはしてきているんだけれども、近年の犯罪の高度化、多様化ということにかんがみれば、もう少し治安の面からの死体の取り扱いということの領域に踏み込んで厚労省も協力してもらわないと困ると私は思うんですね。
この間、自民党の議連で、
東京都監察医務院というのを視察してきたんです。
東京都は五人に一人が解剖に回されていますから、やはりすごいなと思いますね。いただいた統計を見ますと、
平成三年以降のデータを見たって、「検案」の中で「その他」というのがありますけれども、つまりこれは、行政解剖をされたうち、事件性はないと思って解剖に回されたんだけれども、例えば多い年は、
平成七年のように千六百件解剖して四件は他殺だったということがわかったんですね。この
東京都監察医務院のデータによれば、
平成四年から、少なくとも毎年一件から、少ないときはゼロの年も確かにありますけれども、多い年は四件ですね。結局、心不全だったり何だりと事件性がないと判断された、つまりある意味では検視では見抜けなかった、それが他殺だったとわかったわけですよ。つまり、この監察医務院がなければ事件性なしとされていたわけだから、ある意味では表に出ることはなかったわけですね。
私は、これは
警察の調査官に手抜きがあったとかそういうことを言っているんじゃないですよ。現場では当然最善を尽くして全力でやってもらっているわけです。これはもう本当に腐乱死体だとか何とかと大変なことです。実は私の親戚もこの仕事をしておりましたので、本当に大変な仕事です。だから、そういう仕事の中で手抜きがあったということを申し上げるんじゃなくて、結果としてやはり検視ではわからないものがどうしても出てくるということなんですよ。だから、解剖の
件数をふやしていく努力が必要だということを申し上げたいわけです。
そういうことを熱弁しても、厚労省もなかなか建前の話にしかなりませんから、現実的な対応を考えれば、四十七
都道府県にはすべて医学部があって、そこの法医学教室で司法解剖にしても協力してもらっているのが
実態なわけですよ。ところが、残念ながら法医学教室が定員割れしたり、あるいは四国のある県のように、定員
措置はしているんだけれどもたまたま
先生が転任になって不在になったりとか、大変なわけです。ですから、自分の県で発生した死体の検案が自分のところで司法解剖できなくて隣の県に協力を仰いだり、そういう
実態ですよ。
宮城県も、法医学教室、舟山
先生初め三人のスタッフが頑張っていただいております。この間も舟山
先生にもいろいろな
お話も伺ってまいりましたけれども、やはり基本的には法医学教室を充実していくことが、まずはそれぞれのブロックに監察医制度ができる前の、とりあえずは当面の応急手段として必要だと思うんだけれども、これまた、大学の法医学教室の話になると、
警察庁の問題じゃなくて定員管理は文科省だなんということになるものですから、そういう縦割りもいかがなものかと思うんですよ。
警察庁もしっかり頑張ってもらっているとは思うんだけれども、文科省として、特定の教室の定員だけに言及するというのは非常に難しい面もあるけれども、しかし、我々は、今この医師不足の中で、医師の定数増ということを見ているわけだから、その中で、法医学の協力者も何らかのインセンティブで誘導していくような
措置があってもいいと思うんだけれども、文科省にも来ていただいておりますので、法医学教室の定員の充実ということについて、具体的な取り組みがあるのかないのか、お答えいただきたいと思います。